厳美渓
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厳美渓(げんびけい)は、岩手県一関市にある磐井川中流の渓谷。栗駒山を水源とする。全長2キロメートル。1927年(昭和2年)に国の名勝及び天然記念物に指定された。
なお、同市内の東部には猊鼻渓(国の名勝)という地名が類似した渓谷がある。
歴史
古くから景勝地として親しまれており、一帯を治めた伊達政宗もこの地を賛美している。1877年(明治10年)8月には、明治天皇が東北巡幸の際に立ち寄っているほか、近代の文人、幸田露伴もこの厳美渓を訪れ、紀行文を記している。古く都として栄えた平泉に近く、戦後になって平泉が観光地として人気が出たため、それに伴い、厳美渓も観光客が急増した。現在も、年間約90万人が訪れる県南部有数の観光地となっている。
特色
厳美渓は栗駒山の噴火によって堆積したデイサイト質凝灰岩が、磐井川の水流によって浸食され、形成されたものである。奇岩、瀑布、深淵と様々な表情を見せるが、特に川底には甌穴の発達が顕著。これは巨石の隙間を流れた礫(小石)が水流の中で暴れて弧を描き、岩盤を球状に削っていったもので、地質学上にも貴重なもの。
郭公だんご
厳美渓では「空飛ぶだんご」として知られる郭公だんごが名物となっている。これは渓谷の休憩所に設けられてあり、ワイヤーロープで繋いだ籠に代金を入れ合図の板を叩くと、対岸の店が注文を聞いて、だんごと茶を提供してくれるというものである。
販売している団子はあん・ごま・みたらしが主で、「空とぶ団子」では三本セットで売られている。その他、限定商品もある。
関連項目