マシンハヤブサ
テンプレート:基礎情報 テレビ番組 『マシンハヤブサ』(Machine Hayabusa)は、東映動画制作のテレビアニメ。 1976年4月2日から同年9月17日までNET(現・テレビ朝日)系列で放映された。全21話。
目次
解説
ワイルド7で知られる望月三起也の原作。 望月自ら描いた漫画版は月刊少年ジャンプに連載されたが、アニメとは、例えば剣は両親を失っていて、佃煮屋を営む親戚に育てられたなど一部設定が異なっている。作品のテイストも特にアニメを意識してはおらず、掲載誌の関係で他の望月作品ほどのバイオレンス&エロス(お色気)描写はないものの望月らしいハードな描写がところどころ見て取れる内容となっている。
元々は本作ではなく、前番組『勇者ライディーン』の続編『続・ライディーン』が放送予定だったが、事情でお蔵入りとなり、急遽本作が制作された。
なお原作には望月とともに、永井豪作品のプランニングやプロデュースを手がけるダイナミック企画が名を連ねている。これはダイナミック企画が敵側=魔王エイハブ率いるブラックシャドーのキャラクター設定を手がけたためである。望月は主人公側=西音寺レーシングチームのキャラクター設定を担当。
ストーリー
“魔王”エイハブ・モビルディック率いる極悪非道のレースチーム、ブラックシャドウ。彼らに兄を「レース中の不幸な事故」の形で殺された西音寺レーシングチームの四輪レーサー・隼剣(はやぶさけん)は、チームの仲間達と共にエイハブの野望――四輪レース界掌握を阻止すべく過酷なレースに挑む。
登場人物
- 隼 剣(ケン)
- 声 - 曽我部和行
- 18歳。ウデは西園寺レーシングチームで一番。テクニックはやや荒削りな面があるものの、レーサーとしての天賦の野生的なカンを持つ。レーシングヘルメットは「隼」の頭部をイメージしたもの。父親の隼正義はV3エンジンの開発中に事故死、兄はレース中の事故で死亡(魔王エイハブの犠牲となっていた)、母親は図書館の司書。
- 岩田 鉄次(ガンテツ)
- 声 - 水鳥鉄夫
- 20歳。部屋では和服を着用。父親が武道家のためか古風な面がある。レーシングヘルメットは「虎」をイメージしたもの。ケン、カミカゼと並んでほぼ全レースに出場。
- 陸奥 悟郎(ムツ)
- 声 - 大竹宏
- 17歳。武者修行のために海外に出かけ、ひどい目にあったが、ハリケーン・ハリーに助けられた経験がある。レーシングヘルメットは「熊」をイメージしたもの。レースにはあまり出場しない。
- 神風 弘(カミカゼ)
- 声 - 山本圭子
- 17歳。日本一のレーサーをめざして上京。出身は奥谷村青草峠で、母親は農業をやっている。レーシングヘルメットは「犬」をイメージしたもの。ケン、ガンテツと並んでほぼ全レースに出場。
- 大和 新伍
- 声 - 矢田耕司 / 肝付兼太
- チーム最年長で元ゼロ戦のパイロット。普段は整備を担当するが、自らマシンヤマトで出場することもある。愛称は「オヤジさん」。
- 西音寺 さくら
- 声 - 吉田理保子
- 16歳。西音寺博士の妹で担当は食事係。非常に気が強い。8話からはマシンさくらに乗って、皆のサポート役も兼ねる。
- 西音寺洋輔博士
- 声 - 永井一郎
- 隼剣の父、隼正義教授の強い影響で、自動車工学の世界に飛び込んだ。ハヤブサV3エンジンをスペックダウンしたV1、V2エンジンをはじめ、V4、V5エンジンを設計した。長髪に鼻髭、サングラス姿が定番で、工学博士というより、ロックミュージシャンといった風貌である。
- 流れ星の竜
- 声 - 若本規夫(当時・紀昭)
- 彗星のごとく登場した天才レーサーで剣のライバル、テクニックは剣をしのぐと言われている。剣の人間的魅力に好感を持っており、剣も竜のフェアプレー精神を高く評価していた。
- エイハブ・モビルディック
- 声 - 大竹宏
- ブラックシャドーレーシングチームを率いて世界のカーレースを牛耳るカーレースの魔王。普段は甲冑を着けているため素顔が不明だったが、実は、世界のレース界から永久追放されたベニー・クレーマーだったことが最終回で明かされた。
- バロン・ネロ
- 声 -
- ブラックシャドーの幹部。
- メフィスト教授
- 声 -
- ブラックシャドーの科学者。マシンの設計&製作を担当する。ラストは、ネロとエイハブの死をモニターで見るなり、別れ酒を煽ると、グラスをモニターにぶつけて爆死。これでブラックシャドーは滅んだ。
登場メカニック
- マシンハヤブサ
- 全長5.7m、全幅2.9m、重量650kg、前輪2輪、後輪2輪。双胴機のようにコックピットを左右のボディで繋いでいるのがデザイン上の特長である。V1~V5のキャバリーエンジン(単発~5発のターボジェット型)を換装する事であらゆるレースに対応できる。ストーリー当初存在していたのはV1とV2だけでV3・4・5は開発中だった。バックミラーがない代わりに後方監視用のモニターカメラが付いている。カラーリングの基調はホワイト、カーゼッケンは1。
- ハヤブサV1エンジン:サーキット用で逆噴射装置付。
- ハヤブサV2エンジン:砂地等のオフロード用。
- ハヤブサV3エンジン:隼剣の父で工学博士の正義が開発した、上り坂に強い高回転高トルクの画期的なエンジン。15000回転で最大パワーを発揮し、この時、ジェット噴射の色がエメラルドグリーンに変わる。なお、V3エンジンには不調域があり、13000回転に達すると、ジェット噴射の色が黒煙を含んだ赤い炎を噴射し、異常振動が発生する。この時点でエンジンの回転数を落とすとエンジンが爆発してしまう。
- ハヤブサV4エンジン:ハンドルに連動して左右のエンジンが片側ずつ逆噴射するコーナリング性能重視のエンジン。4発のエンジンが互いに連動する関係で、バードストライク等により1発がエンストすると残りの3発も止まってしまうという欠点がある。ただしアニメでは描かれておらず、その後、改良された模様。
- ハヤブサV5エンジン:V1からV4までの特性をすべて持たせたエンジン。アフターバーナー付きで、全開にすると路面の陥没や幅の狭い川などを飛び越えられる。
- マシンガンテツ
- 全長5.7m、全幅2.3m、重量570kg、前輪1輪、後輪4輪。5台の内、最も頑強なボディを持ち、多少の落石でもびくともしない。フロントカウルが鋭角的にで、ラリーの際コース上の岩など障害物を砕く衝角になっている。短時間なら水中走行も可能。カラーリングの基調はレッド、カーゼッケンは3。
- マシンムツ
- 全長4.5m、全幅2.2m、重量410kg、前輪2輪、後輪4輪。カラーリングの基調はブルー、カーゼッケンは2。ムツが主に後方スタッフとして動くことが多く、あまりレース出場の機会が無かったため、マシンとしても活躍せず。当時の児童向け雑誌や絵本等によると、水上水中走行に特化したマシンだったらしい。
- マシンカミカゼ
- 全長4.5m、全幅2.1m、重量400kg、前輪2輪、後輪2輪。前後に2基の大型ローターを内蔵し、短時間のホバリングが可能な異色のマシン。ホバリング中の方向転換はできないため、航空機とはみなされない模様(その為人身事故を起こしてしまうエピソードがあった)。カラーリングの基調はグリーン、カーゼッケンは4。
- マシンヤマト
- 全長3.8m、全幅2.3m、重量320kg、前輪2輪、後輪2輪。異形デザインの多い本作登場の5台のマシンの中では、最も現実的な外観のマシンである。ただし、フロントカウル内にドリルを収納しており、地下を掘り進む機能を備えている。カラーリングの基調はオレンジ色、カーゼッケンは5。
- さくら号
- 第8話から登場。自分も出場したがったさくら用にチームメンバーがよってたかって作ったが、補助的に持たせたはずの飛行性能が強力すぎて航空機と看做され、レギュレーション違反で結局レースに出られなくなった悲喜劇のマシン。その飛行性能を生かして、レース中のライブ映像を撮影したり、マシンハヤブサに空中から給油を行うなどの活躍を見せた。
- ビッグギャリー
- 全てのマシンを搭載して転戦するトレーラータイプの大型トランスポーター。飛行形態を持ち、輸送機にもなる。漫画版では新幹線のトンネルから現れて一般道に乗り換えるというインパクトのある初登場の仕方をする。
- X1号
- ブラックシャドウレーシングチームのメフィスト教授が開発。流れ星の竜がドライバー。ハンドルの動きに連動して左右のタイヤの直径が変わり、減速せずにコーナリングすることが可能という画期的なクィックコーナリングホィールを装備。
- 流れ星の竜は、1コーナーごとに「クイックコーナリングホイール!」と叫びながら操作レバーを引いていたが、音声認識システムであるとは考えにくく、やはり当時の一般的な演出手法と推測される。ちなみに、隼剣もV4エンジンでコーナリングする時には、「V4エンジン、ゴー!」と叫びながら、アクセルを踏み込んでいる。
ドライビングテクニック
- 三段跳び走法
- 流れ星の竜が、非力な自分のマシンでマシンハヤブサに対抗するために生み出したスーパーテクニック。落石事故を起こしてコース上に障害物を置くことでマシンハヤブサ本来の性能を発揮できない状況を作り、その間に落石をジャンプ台に使って一気に抜き去る。
- 片輪走行
- 隼剣の障害物突破走法で、マシンハヤブサの片側を浮かせ、狭い部分をすり抜けるように走る。このため左右のタイヤの材質を変えて、片輪を浮きやすくしている。片方向にしか車体を浮かせられないために逆に窮地におちいるが、剣の機転でこれを克服する。
- バックキラー
- ムツの旧友ハリケーン・ハリーの殺人的テクニック。先端がクサビ状になった独特のデザインのレーシングカーを後ろから相手の車体にもぐりこませて、一気に相手を跳ね飛ばす。
- 稲妻5段殺法
- レース中の事故に見せかけて相手を葬り去るという魔王エイハブの必殺技で、「稲妻切り殺人走法」、「地獄攻め殺人走法」、「パラシュート・アタック」、「前輪殺人走法」、「デッドライン殺人走法」の5種類がある。最終回ではそのうち4つしか見せなかった。
スタッフ
- 企画:山口康男(東映動画) ※( )内はフィルム上はノン・クレジット
- 製作担当:岸本松司
- 原作:望月三起也・ダイナミック企画
- 音楽:筒井広志
- キャラクターデザイン:香西隆男
- 美術デザイン:伊藤英治
- メカニックデザイン:辻忠直
- 美術:遠藤重義、勝又激、伊藤英治
- NETプロデューサー:萩野隆史
- 背景:アトリエロビン、かぶとむし
- 特殊効果:佐藤章二、中島正之、平尾千秋、林富喜江、岡田良明、浜桂太郎
- 撮影:片山幸男、佐野禎史、白井久男、清水政夫、山田順弘、菅谷信行、池田重好、森下成一、鈴木啓司、藤橋秀行、佐藤隆郎、目黒宏
- 編集:神原直美、松原千佳子、千蔵豊、田中修(タバック)
- 録音:波多野勲(タバック)
- 効果:伊藤道広(E&M)
- 選曲:宮下滋
- 製作進行:本庄克彦、小島多美子、矢部秋則、佐藤哲朗、永丘昭典、伴亨、長谷川康雄、大宅弘美、福村典義
- 記録:大橋千加子、伊達悦子、的場節代、安藤まるみ
- 現像:東映化学
- 制作:NET、東映動画、旭通信社
主題歌・挿入歌
主題歌シングルは1976年4月発売(SCS-293)。挿入歌の初出は1976年8月25日発売の「テレビまんが人気者(アイドル)デラックス 5」(CW-7076)[1]。
通常、OP・EDとも、テレビサイズはコーラス1のみで構成されるが、本作のテレビサイズ版EDは、コーラス2のみにて構成されている。
主題歌
- オープニングテーマ - 「ダッシュ! マシンハヤブサ」
- 作詞 - 保富康午 / 作曲・編曲 - すぎやまこういち / 歌 - 水木一郎、コロムビアゆりかご会
- エンディングテーマ - 「グランプリ・ブギ」
- 作詞 - 保富康午 / 作曲・編曲 - すぎやまこういち / 歌 - 水木一郎
挿入歌
- 「明日に向かって走れ」
- 作詞 - 保富康午 / 作曲・編曲 - すぎやまこういち / 歌 - 水木一郎
- 「ファイト! ハヤブサ・ケン」
- 作詞 - 保富康午 / 作曲・編曲 - すぎやまこういち / 歌 - 水木一郎
各話リスト
話数 | サブタイトル | 脚本 | 演出 | 作画監督 |
---|---|---|---|---|
1 (1976/04/02) | 走れ! 栄光のマシン | 辻真先 | 芹川有吾 | 小泉謙三 |
2 (1976/04/09) | アルプス大爆走 | 雪室俊一 | 新田義方 | 谷沢豊 |
3 (1976/04/23) | 恐怖! 地獄の鍾乳洞レース | 久保田圭司 | 山口秀憲 | 森利夫 |
4 (1976/04/30) | 魔王エイハブの謎 | 芹川有吾 | 森下圭介 | |
5 (1976/05/07) | ゴーストタウン爆破サーキット | 辻真先 | 岡崎稔 | 香西隆男 |
6 (1976/05/14) | 必殺! ブラックインパルス | 雪室俊一 | 笠井由勝 | 田島実 |
7 (1976/05/21) | カリブ海黒ダイヤサーキット | 久保田圭司 | 奥田誠治 | 宇田川一彦 |
8 (1976/05/28) | さくら号発進せよ! | 辻真先 | 芹川有吾 | 小泉謙三 |
9 (1976/06/04) | 魔のアフリカロードレース | 久保田圭司 | 新田義方 | 新田敏夫 |
10 (1976/06/18) | トルテカの迷宮レース | 辻真先 | 笠井由勝 | 田島実 |
11 (1976/06/25) | エンジンV3誕生! | 雪室俊一 | 山口秀憲 | 森利夫 |
12 (1976/07/02) | 宿命のライバル流れ星の竜 | 久保田圭司 | 岡崎稔 | 鈴木欽一郎 |
13 (1976/07/09) | 片輪走行で突っ走れ! | 雪室俊一 | 芹川有吾 | 小泉謙三 |
14 (1976/07/16) | レースの道は剣の道 | 辻真先 | 奥田誠治 長谷川康雄 |
宇田川一彦 |
15 (1976/07/30) | 愛はサーキットの彼方に | 久保田圭司 | 芹川有吾 | 須田正己 |
16 (1976/08/06) | 野望の大草原猛獣レース | 笠井由勝 | 谷沢豊 | |
17 (1976/08/13) | 魔の試走車X1号 | 富沢和雄 | ||
18 (1976/08/20) | 友よ聴け! エンジンV4 | 雪室俊一 | 岡崎稔 | 鈴木欽一郎 |
19 (1976/09/03) | SOS! ハヤブサ視界ゼロ | 伊東恒久 | 森下孝三 | 篠田章 |
20 (1976/09/10) | 走れカミカゼ! 友情のゴール | 辻真先 | 芹川有吾 | 小泉謙三 |
21 (1976/09/17) | 走れハヤブサ! 勝利のチェッカーフラッグ | 久保田圭司 | 笠井由勝 | 須田正己 |
1976年4月16日はプロ野球中継広島-巨人~広島市民球場(雨傘番組は映画「日本侠客伝」)、
1976年6月11日はプロ野球中継大洋-巨人~川崎球場(雨傘番組は映画「日本侠客伝」)、
1976年7月23日はプロ野球中継大洋-巨人~川崎球場(雨傘番組は映画「侠客列伝」)のためそれぞれ休止
1976年8月27日は第6話のリピート放送
キャラクター玩具
- ポピー(現バンダイ)からは「ポピニカ」として、「マシンハヤブサ」「マシンムツ」「マシンガンテツ」「マシンカミカゼ」「マシンヤマト」「ビッグギャリー」の計6種が発売。いずれも様々なギミックが付いており、特に「マシンハヤブサ」では、付属のキャバリーエンジンやタイヤの交換や、V1エンジンからのミサイル発射(逆噴射のイメージ)、そして運転席部分の発射ギミックが有る。
- なお「V4エンジン」は、アニメでは4機のエンジンが台形状に並んでいるのに対し、ポピニカ版では一直線に並んでいる。
- 8話から登場した「さくら号」も発売の予定だったが、未発売となった。
- バンダイからは、「マシンハヤブサ」「マシンムツ」「マシンガンテツ」「マシンカミカゼ」「マシンヤマト」のプラモデルが発売。「スナップ・キット・モデル」なので接着剤がいらず、更にゼンマイ走行で走らせる事が出来る。「さくら号」「ビッグギャリー」は発売されていない。
ソフト化
2003年2月21日、パイオニアLDCよりDVD-BOXが発売。
脚注
- ↑ 「テレビまんが人気者(アイドル)デラックス」は、2~4作のアニメ・特撮番組の主題歌・挿入歌が混載されたLPシリーズ(OP・EDは既出、挿入歌は新録音)。「5」には本作の他、『超電磁ロボ コン・バトラーV』『ゴワッパー5 ゴーダム』『ザ・カゲスター』から各4曲が収録。