シャイニングガンダム
シャイニングガンダムは、テレビアニメ『機動武闘伝Gガンダム』に登場する架空の兵器。
第13回ガンダムファイト前半戦で、主人公ドモン・カッシュが搭乗するネオジャパン代表モビルファイター (MF)(大会登録番号:GF13-017NJ)。
メカニックデザインは大河原邦男が担当。本項目では、兄弟機であるライジングガンダムや、その他雑誌、漫画媒体に登場する関連機体の解説も記述する。
目次
機体解説
ネオジャパンの科学者ミカムラ博士が、第13回ガンダムファイト用にライジングガンダム・アルティメットガンダム(デビルガンダム)と同時期に開発した機体。第12回大会のネオジャパン代表ガンダムの流れを汲むデザインとなっている。
機動性を重視して設計し攻守に優れた機体であり、コロニー格闘技の覇者でもあるガンダムファイター(パイロット)ドモン・カッシュが繰り出す流派東方不敗の技の数々を遺憾なく再現する性能を備える。また、胸部のエネルギーマルチプライヤー発動に伴うアーティフィシャル・オーラ・ジェネレーター(人工気力発生装置)の駆動を制御する事により、東洋の気功の様な気を練る機能を持ち合わせる。搭乗者の感情の変化に応じて戦闘力や機体が変化する機構を備え、通常時のノーマルモード、戦闘時のバトルモード、搭乗者の怒りが頂点に達した時に発動するスーパーモードの3形態への変形が可能。
なお小説版においては、ドモンより以前にスギハラという名のネオジャパン軍少尉が搭乗者候補として挙がっていたとされている。
スーパーモード
本機の特筆すべき点は、搭乗者の感情や状態が機体性能に反映される事である。この技術は第13回大会において見せられた最新技術の1つでもある。
中でも本機は「怒り」の感情をピックアップすることで「スーパーモード」と呼ばれる形態を発動し、ノーマルモードの約1.5倍の戦闘能力を発揮する。また、この状態で初めて最大の必殺技「シャイニング・フィンガー・ソード」が使用可能となる。スーパーモードへの変形時にはアームカバーのスマッシュブースターが点火しカバーを解放、ショルダーカバーが開きエネルギーフィールドジェネレーターが作動、レッグカバーを開放しシュートブースターが展開、踵のアウトリガーが接地しグリップ力を強化。頭部のフェイスカバー、頭頂部フィールドリダクションフィン及び側面のリトラクタブルダクトが展開し、機体制御システムが集約されている頭部ユニットの冷却を始める。これに加えて最大出力を発揮するシャイニング・フィンガー・ソードの使用時には全身が金色に輝く。その圧倒的能力に比例して、機体及び搭乗者自身に多大な負担を強いる事になり、長時間の使用は不可能となっている。ライゾウ博士に怒りでしか力を引き出せないという欠陥を指摘されていたが劇中においてドモンは何度も怒りを感じずにスーパーモードまで移行させている。
本編にて初めてその姿を披露した際、背中のコアランダーが上に持ち上がる描写があったが、以降の発動時には、その演出はカットされている。また、主にスーパーモード変形時に展開する各部の装甲は、ファイターの体調や機体の状態により各所が個別に展開することもあるらしく、一概にそれぞれのモードに限って展開するというわけでは無いとされている。
スーパーモード時のシャイニングガンダムはバトルモード時を上回る戦闘力を発揮するが、発動の引き金には前述の通り「怒り」という感情を引き金としていた。しかし、怒りに身を任せたスーパーモードでは真の強敵の前ではまったく無力であった。それは東方不敗マスター・アジアとのファイトでも証明されている。
後にドモンがギアナ高地の修行において「明鏡止水」の境地に辿り着いた事により任意でのスーパーモード発動が可能となった。この時、シャイニングガンダムは必殺技「シャイニングフィンガー」を放ちデビルガンダムを破壊した。なお、この明鏡止水の境地に達した事で発動するスーパーモードは、「怒りのスーパーモード」と区別され「真のスーパーモード」と呼ばれる。
コア・ランダー
シャイニングガンダムにはコア・ランダーと呼ばれるバックパックと一体化したコックピット兼脱出装置が装備されている。従来のガンダムシリーズの機体に採用されていたコア・ファイターのような航空機ではなく、非装輪ホバリングタイプの車両(スカイカー)として使用される。劇中でも移動手段として幾度か登場した。コア・ランダーは他国のMFのいくつかにも採用されているが、ほとんどは設定上のみの存在である(ただしデザイン面ではコア・ランダーの存在が反映されており、プラモデル等では劇中で描写されなかった機体であっても本体とコア・ランダーの接続・分離が可能である)。そのため、シャイニングガンダムのように劇中で明確に描写された機体は珍しく、他にはチボデーのガンダムマックスターぐらいである(走行シーンだけならサイ・サイシーのドラゴンガンダム用の機体も1カットだけ描写されているが合体シーンはない)。ちなみに、劇中シャイニングガンダムのコクピットに乗り込んでいたレインにドモンがコア・ランダーでの脱出を促すシーンがあり、コア・ランダーのバーニアが使用できない、背中の接続部の穴の分の装甲がガラ開きになる、などのデメリットを抜きにすればコア・ランダーがなくても戦闘が継続できると思しき描写がある。
なお、非戦闘時のガンダム本体は蓮の花を模したシルエットの移動運搬用カプセルキャリアー(ブッド・キャリアー)に格納されており、ドモンの周辺付近のどこかに隠れている。だが、一度ドモンが指を鳴らし呼び叫ぶと、どこからともなく姿を現し、すぐさま駆けつける仕組みになっている。機体を隠すのもレインの仕事のひとつらしい。
武装
固定武装はビームソードが左腰に大小二刀、頭部バルカン砲、肩部のマシンキャノン、籠手アーマーに内蔵されているシャイニング・ショット。ビームソードは放映当時の書籍によってはビーム兵器ではなく、ビームに見えているのは加熱したナノマシンとの記述もある(ドラゴンガンダムのフェイロンフラッグ、マスターガンダムのマスタークロス等も同様)。ドモンはバルカン使用の際は「バルカン」と武器名を言って使用する。
シャイニング・ショットは籠手アーマーに片方2門、計4門仕込内蔵される小型のビーム射撃武器だが、近接格闘戦主体のドモンの戦闘スタイルにおいてはほとんど使用されず、後継のゴッドガンダムには初めから同様の装備は設けられなかった。また籠手アーマーには、打撃時の拳の初速を増し威力を向上させる加速ブースターも内蔵されている。また『SDガンダム GGENERATION』シリーズのシャイニングショットは手を合わせて放つ武器となっている。
この他の装備としては、TV本編の第1話で使用したグレネード・タイプの煙幕弾がある(俗にシャイニング煙幕と呼ばれている)。
必殺技
- シャイニングフィンガー
- フェイスカバーとアームカバーが開き、指関節が外れ関節からエネルギーを放出して掌全体が発光。液体金属でマニピュレーターを覆う。そして液体金属で覆われたエネルギーで掴んだ物体を粉砕するというもの。他にも、頭部を掴んだ相手のコンピュータ記録情報を引き出すことができる。この時、自身でも言うように正に黄金の指となり、掌全体が光り輝く(実際は緑色だが)。また、シャイニングフィンガーを打つためのこの形態をバトルモードという。左右どちらの手でも発動可能である。ガンダムファイト国際条約で「頭部を破壊された者は失格」と定められている為、頭部を直接破壊出来るこの技は強力な決め技となる。また、同条約「相手のコクピットを攻撃したり破壊してはならない」という項目についても、攻撃範囲が狭い為回避させ易い事が有効性として挙げられる。
- また、第4話や第18話のようにエネルギーを放射する使い方も可能なようである。シンジュクシティでのスーパーモード発動時にはより長大なエネルギーを放ち、放射されたエネルギーは一帯を抉るほどであった。
- 前口上は「俺のこの手が光って唸る、お前を倒せと輝き叫ぶ」[1]であり、ゴッドフィンガーなどのほかの技にも引用、あるいは一部を変えて使われる。主にこの前口上を言い放つのは搭乗者(メインファイター)であるドモン・カッシュだが、他のファイターが類似の技を放つ際も類似した口上が共通して使われる事がある。
- シャイニングフィンガーソード
- シャイニングガンダムの出力を最大にまで高める事により機体を黄金と輝かせ、全エネルギーをシャイニングソードに送り込む事で通常のビームソードの時とは異なる、シャイニングフィンガーの様な緑色の巨大なエネルギーの剣を形成し斬りつける。シャイニングガンダム最大の必殺技。
- 前口上は「俺のこの手が光って唸る、お前を倒せと輝き叫ぶ!くらえ!!愛と怒りと悲しみのぉぉ……」[2]であり、剣を振り上げた後「面」「面」「面」あるいは「突き」「突き」「突き」もしくは「面」「突き」「胴」と叫ぶ。
- 消費が激しいためスーパーモード発動時にしか使用できない。
- シャイニングストライク
- これは本編にその名称は登場せず、元々はスーパーファミコン版ソフトの格闘ゲーム由来の技名であった。同ゲームでは投げ技だが、後にスーパーロボット大戦シリーズに登場した際は、通常のパンチやキックの総称のようになっている。
劇中での活躍
- TV本編
- ネオジャパン代表機としてネオイタリアに降下したのを皮切りに、必殺技シャイニングフィンガーを武器に数多くのファイターたちと予選であるサバイバルイレブンを戦い抜く。整備時やドモンの不在時などには、一時的にレイン・ミカムラが搭乗者を務めた事もあった。
- その後ギアナ高地での修行の結果「真のスーパーモード」をシュバルツ・ブルーダーの導きにより発動。東方不敗の駆るマスターガンダム、デビルガンダムを退けるものの、機体のエネルギーを使い果たしてしまう。さらに、東方不敗の執拗な攻撃の盾となって機体は中破。後継機であるゴッドガンダムにレインの協力でデータを転送した後、本機は放棄された。
- なお、小説版ではドモンの生身によるシャイニングフィンガーも披露されている。技の概要は指先に「気」を集中させ相手の額に放つ事で、脳神経を麻痺させるというもの。小説版ではテレビ版とは異なり三本指で繰り出されるのが特徴である。
- その他
- シャイニングフィンガーの特徴的な演出は、以後のガンダムシリーズにおいても用いられている。時系列的に『Gガンダム』より遥か未来の世界を描いた作品『∀ガンダム』ではモビルスーツ・ターンXの溶断破砕マニピュレーターからシャイニングフィンガーが繰り出されるという描写がある。また、『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』に登場するデスティニーガンダムの武装のひとつ「MMI-X340 パルマフィオキーナ掌部ビーム砲」もシャイニングフィンガー的な演出で描かれている。
- ガンダムシリーズ以外のアニメとして、テレビアニメ『ケロロ軍曹』ではサブローが描いた物を実体化させる「実体化ペン」で本機を生み出している。この他『ニニンがシノブ伝』、リメイク版『テイルズ オブ デスティニー』等、ドモン・カッシュの声を当てている関智一が出演する他作品においてパロディのネタにされる事が度々ある。
デザイン
ノーマルモードのデザインモチーフは大河原曰く「日本というイメージから鎧武者」である。また、スーパーモード時の外観のデザインは歌舞伎をモチーフにしており、ギミックは文楽人形のガブを真似ている。
マスターグレード化の際には若干のデザイン変更が行われており、特に胸部のデザインは腕組み用機構との兼ね合いで大きく変更されている。前期OPのように腕組みは出来るが、腕組み用パーツは付いておらず、MGゴッドガンダム付属のものかMGガンダムシュピーゲル付属のパーツを流用する必要がある(手のひらのモールドが同じなのは後者である)。
ライジングガンダム
本機はガンダムファイト用ではなく、ウルベ・イシカワ専用の対デビルガンダム用兵器として用意された。純粋に戦闘を主目的としたMSに近い性格の機体である。ガンダムファイト公式戦用の機体としては承認されておらず、型式番号は非GF参加のネオジャパン軍配備の機体として「JMF-1336R」が与えられている。名目上はゴッドガンダムのサポート用とされていた模様。本来はシャイニングガンダムの開発過程で生まれた武装強化案を下地に、同機の予備フレームと外装を流用し、単一の機体として再設計された。そのためほとんどの部品がシャイニングガンダムと共用である。パーツ状態でガンダムファイト第13回大会の決勝戦が行われていたネオホンコンに持ち込まれ、ミカムラ博士とアキノ曹長の手によって組み上げられた。ノーマルモードとモビリティモードの2つの形態を持つ。
劇中での活躍は当初のパイロットであるウルベではなく、シュバルツ・ブルーダーの口からデビルガンダム事件の真相を知らされたレイン・ミカムラに強奪され出撃する。その後、ウォルターガンダムと対戦しこれを撃破している。
放映開始前にアニメ誌等に情報が掲載された時、一部記事では主人公のガンダム名が「ライジングガンダム」であった。
本放送中にアニメ誌等に情報が掲載された時は、シャイニングガンダムのプロトタイプで今後レインが搭乗するガンダムだと紹介された。またシャイニングガンダムと共用である部分が多いが、これはバンダイから「(生産コストを下げるため)シャイニングガンダムにオプションパーツを追加して全く新しいモビルファイターを作れないか?」という要望があったため[3]。
武装
- バルカン砲×2
- シャイニングガンダムと同型の小口径機関砲。
- ビームマシンガン
- 連射型のビーム兵器。
- ヒートナギナタ
- コアランダーとの間に装備されている長柄の武装。旋回させることで、ビームを弾く事ができる。
- ビームボウ
- ビームで形成された矢を撃つための装備。
- ライジングシールド
- ビームボウに両肩の装甲をつけることで作られるシールド。シールドを張ってもビームボウ自体の銃口は開かれる。このシールドを展開した状態がモビリティモードである。
必殺技
- 必殺必中ライジングアロー
- 矢状のビームを形成し放つ。弓の弦を引き絞ることでより高威力となる。
- ライジングフィンガー
- イボルブで放った技でレインの怒りの力か、ゴッドフィンガー以上の威力を発揮した。『SDガンダム GGENERATION WARS』以降、本機の武装として追加されており、ゲームでもその姿を見られるようになった。
格闘ゲームで登場した技
以下はスーパーファミコンの格闘ゲーム「機動武闘伝Gガンダム」で登場した技。
- 刀掃脚
- 空燕撃
- 空刀旋
- ライジングスラッシュ
コア・ランダー
ライジングガンダムのコア・ランダーはシャイニングガンダムとほぼ同じものであるが、ヒートナギナタが固定されているためそのままでは使用不可能である。そのため走行形態は劇中には登場していない。
劇中での活躍
ランタオ島に出現したウォルターガンダムとの戦闘にてレインが搭乗する。ウォルターガンダムのバーサーカー・システム制御部分を必殺必中ライジングアローで打ち抜くが、ウォルターガンダムの暴走は止まらずやむなくレインは機体を破壊しパイロットのアレンビー・ビアズリーを救出している。
外伝作品での関連機体
ニンジャー
講談社発行の雑誌「コミックボンボン」の連載企画『機動武闘伝外伝』に登場するネオジャパン軍のMS。ネオジャパンがブッシ、ノブッシに次いで開発した量産型MSで、シャイニングガンダムの原型となった。
シャイニングアッガイ
漫画『いけ! いけ! ぼくらのシャイニングアッガイ!!』に登場。ガンダムファイトより格下の「アッガイファイト」用の機体である。外見はシャイニングガンダム風のアッガイで、シャイニングフィンガーを使用し、スーパーモードになることも可能(スーパーモード時には頭部が展開する)。同タイプのMF(?)として、アッガイマックスターがある。
劇中ではスーパーモードの制御が出来ないことを理由にシュバルツによってアッガイファイトに降格させられたドモンが搭乗。同じく降格させられたチボデーとアッガイファイトの試合を行うも、レインの「超ダサー」との発言に逆上、スーパーモードを発動させ、シャイニングフィンガーでレインを攻撃した。
この作品を受けてか、ゲーム『SDガンダム GGENERATION-F-IF』の「ガンダムファイトEX」では、ドモンが通常のアッガイ(仕様は改造で能力が向上してある)に乗って登場する。また、前述の2種類のアッガイのガレージキット(「MO-CRAFT」制作)も存在した。漫画の作画用の模型資料の提供は近藤和久であったという。
シェイディングガンダム
漫画『超級!機動武闘伝Gガンダム』に登場。通称「黒シャイニング」。形式番号:JMF1337SD
戦績を残せないドモンに対して業を煮やしたカラトが、ドモンを廃人にまで潰してしまう目的で作ったMF。外見は黒いシャイニングガンダムだが、細部で異なる。全武装を使用可能だが、スーパーモードは無い。
パイロットは存在せず、学習成長型(ラン&グローイングアップタイプ)CPUで、ドモンの全戦闘データ(ドモン放浪編Round5までの対戦相手のデータを含む)が入力されており、1.5倍の処理速度で判断・行動する。またドモンの精神を掻き乱す為に、パイロットイメージはキョウジ・カッシュにプログラムされている。
カラトの構想では、ドモンが廃人になった後、シャイニングガンダムにCPUを搭載(ドモンは認証上、廃人状態で搭乗)し、ガンダムファイトのみを続行する予定だった。
レインの機転でキャリアーに収容されたシャイニングガンダムを追跡し、破壊しようとするが、スーパーモードを発動したシャイニングガンダムに破壊された。