ザンギエフ
テンプレート:対戦型格闘ゲームキャラクター ザンギエフ(テンプレート:Lang-ru-short[1])は、カプコンの対戦型格闘ゲーム『ストリートファイター』シリーズに登場する架空の人物。
目次
キャラクター設定
『ストリートファイターII』(以下『II』と表記)で初登場した、ソビエト連邦(現ロシア)出身のプロレスラー。赤きサイクロンの二つ名で呼ばれる鍛え上げられた筋肉をもつ巨漢で、全身についた傷跡、剛毛、モヒカン頭が特徴。雪山の中に小屋をかまえ、熊を相手に修練を積んでいる。
闇プロレス界で無敗を誇っていたが、あまりの強さのために対戦試合を組まれなくなり、追放同然の憂き目にあう。その力を振るう相手もいないまま山篭りをしていたが、ある日、ソ連の「偉大な指導者」からレスリングによる国際交流に努めて欲しいとの依頼を受ける。指導者直々の依頼にザンギエフは感動し、その技と鋼の肉体を祖国のために振るうことを決心。『ストリートファイターZERO3』(以下『ZERO3』と表記)以降ではロシアの英雄的存在となっている。
ロシアレスリングとアメリカンプロレスを融合したスタイルで戦う。他にも中国の気功を取り入れて飛び道具への対策にしたり、コサックダンスの動きを蹴り技に取り入れたりと様々なものを組み入れている。
『II』シリーズおよび『ZERO2』での使命は上記の通りだが、『ZERO3』では祖国の脅威となる闇の組織シャドルーの兵器「サイコドライブ」の破壊が使命となっている。この際エドモンド本田と協力してサイコドライブを破壊している。
現実のソ連崩壊後もザンギエフの出身地が「ソ連」と設定され続けているのは、『II』『ZERO』の時代設定が1991年12月のソ連崩壊以前であるため。のちに、時代設定がソ連崩壊後である『CAPCOM VS. SNK』(以下『CvS』と表記)シリーズでは、台詞の中で「ロシアが祖国」としている[2]。
『ストリートファイターIV』(以下『IV』と表記)での参戦理由は、自分を慕う子供との約束を守り、最強を証明するためである。プレイヤーセレクト画面では現在のロシアの国旗が表示される。
人物
筋肉こそ美学という考えを持っており、自らを鋼の肉体と称して壮大な自信を持っている。「掴んで投げることこそが最善かつ最良の戦法」と豪語している[3]。相手に背を向けるのを良しとせず、正面には無数に傷があるが、背中には大統領を庇ったときにできたものが1箇所あるのみ。
愛国心が強く、国家のために闘う意識を持っている。ロシアの国民を「同志」と呼び、ファンをとても大切にする。製鉄所に設けられた特設リングを本拠地にしている。
痩躯の格闘家には、体を鍛えることやもっと食事を多く取るよう勧めるのが恒例となっている。愛国心を他人に押し付けることもしばしばある。
嫌いなものに「妙齢の美しい女性」を挙げているが、同性愛者というわけでもなく『CAPCOM FIGHTING Jam』のエンディングでは美女に囲まれてリゾートを楽しむ夢を見ていた。対戦相手にも男女公平に接しており、時にはレインボー・ミカのように身を挺して女性を助けることもある。
『CvS』ではキム・カッファンにチャン・コーハンと間違われたことがある。のちにキムが謝罪したが、実際に会ってみたチャンが自分とは違い肥満体だったため、不快感を露わにした。
『II』の登場人物の勝利時メッセージは、ザンギエフに限らず攻撃的なものが多いが、それ以降の作品では敗者にアドバイスをしたりやや天然な発言をするなど『II』に比べて温和になっている。
興奮して頭の血管が浮き出ている描写がよく描かれ、『ZERO3』や『マーヴル・スーパーヒーローズ VS. ストリートファイター』(以下『MSH VS. SF』と表記)では血管が切れて血が吹き出ている。
力頼みの頭の悪い人物と受け取られることもしばしばあるが、大統領と同じ大学に通っており、レフ・トルストイのようなロシア文学を引用するような台詞[4]や、対戦相手に読書を薦める台詞もある[5]。また、メガネを着用し、読書や勉学に勤しむイラストも存在する。
ザンギエフを取り巻く人々
『II』をはじめとしたザンギエフのエンディングに登場し、彼を「同志ザンギエフ君」と呼ぶ人物は大学のレスリング部に所属した先輩後輩の関係にあたり、ペレストロイカを推進する要人である。ザンギエフに国際交流を依頼したのもペレストロイカへの理解を得るためである。ザンギエフのエンディングにて、ヘリコプターから姿を現してザンギエフにレスリングによる国際交流に努めたことに対する礼を述べたあとに、ザンギエフ、そして護衛のKGBのメンバー2人とともにコサックダンスを踊る。ただし、その本名はゲームには登場せず[6]、劇中では「大統領」と呼ばれるのみ。『ストリートファイターZERO2』(以下『ZERO2』と表記)以降は、呼び名が「偉い人」「偉大な指導者」となっている。『ZERO2』のザンギエフのエンディングで姿を現した際にはトレーニングルーム(実際には吹雪の中で熊と戦う)をザンギエフに与え、最高級のウォッカの支給を約束したり、その他の作品にも名前のみ登場してザンギエフに激励のメッセージを送るなど、ザンギエフの活躍に深く関わっている。ザンギエフと同じく祖国ロシアを愛しており、彼が活躍し「ロシアの強さが世界に示される」ことを望んでいる。
『ストリートファイターEX』(以下『EX』と表記)のダラン・マイスター、『餓狼伝説』のライデンなど、同業者とはウマが合うらしくエンディングでタッグを組むなどの描写が見られる。とくにライデンとは『CvS』のCPU戦で同じチームとして登場することもある。『X-MEN VS. STREET FIGHTER』のエンディングでは、同じくロシア出身で筋骨隆々の鉄人コロッサスとコンビを組み(その際、名前の頭に「同志」を付ける)、シベリアで暴れるオメガレッドを止めるために出動する。
『ZERO3』に登場する女子プロレスラーのレインボー・ミカはザンギエフに憧れており、彼女のストーリーでは彼女と一勝負したザンギエフがミカを気に入り、共に侵入したシャドルー基地が崩壊した際には身を挺して彼女を守るという一面も見せる。
『頂上決戦 最強ファイターズ SNK VS. CAPCOM』では、『サムライスピリッツ』シリーズの覇王丸がライバル関係となっている。
クロスオーバー
カプコンのクロスオーバーの格闘ゲームにも数多く登場している。『MARVEL VS. CAPCOM CLASH OF SUPER HEROES』(以下『MARVEL VS. CAPCOM』と表記)ではリュウ、春麗と共に数少ない『ストリートファイター』シリーズ出身キャラクターとして登場。『ポケットファイター』ではリュウ、ケン、豪鬼などの主役級キャラクターや人気の高い女性キャラクターたちに混じって登場し、『CAPCOM FIGHTING Jam』でも『II』代表に選ばれるなど、その地位を確固たるものにしている。
ゲーム上の特徴
テンプレート:出典の明記 その鍛えられた肉体と2mを超す巨漢ぶりにふさわしく、ゲーム中トップクラスの体力と攻撃力を持っている。また、プロレスラーという職業を反映し通常技、必殺技を問わず様々な投げ技を持つ(『II』では必殺技の強弱も含めると、実に9種類もの投げ技を有していた)。しかし移動速度はシリーズを通して全キャラクター中最低クラスでジャンプ力も低め。更にその巨体が仇となり、敵の攻撃を受けやすく、また通常技も大振りなものが多い故に隙が大きい。登場作品を通して共通するのは、いかにして相手に近づき、強力な投げ技を決めるかである。
シリーズを通してザンギエフの象徴となっているのが必殺技「スクリューパイルドライバー」である。これはコマンドがレバーを1回転させたあとに地上でパンチボタンを押すという、ほかのキャラクターの必殺技に比べ非常に難易度が高いものである。その代わり、全ての技の中でも最高クラスのダメージを誇り、かつ投げ技としては攻撃範囲も広い強力な必殺技である。数歩先にいる相手を突然捕まえて投げを決める様は「吸い込み」と呼ばれて、プレイヤーから恐れられた。
『II』が出た当初はジャンプの低さや足の遅さなどと併せて、スクリューのレバー1回転という一見すると不条理なコマンドから敬遠されていた(レバーを上に入れるとジャンプしてしまうため、地上では1回転できないと思われていた)。しかし、地上でもレバーを1回転させられる方法(いわゆる立ちスクリュー)が発見され、スクリューパイルドライバーを決めたあとに相手が起き上がる瞬間に打撃をガードさせ、再度同技を仕掛ける通称「スクリューはめ」が開発されてからは、一度転ばせてしまえば一気に逆転できる玄人好みのキャラクターとして位置づけられるようになった。初代『II』での「スクリューはめ」は完璧に実行すれば、理論上は脱出不可能とされる(技の出始めに無敵時間があるサマーソルトを持つガイルは唯一スクリューはめからの脱出が可能。リュウ・ケンの昇竜拳も無敵時間があるが、技を当てられても転ばないので食らった後に再度スクリューはめ続行が可能)。『ストリートファイターII'』(以下『II'』と表記)以降では技後に間合いが広がるように修正されたが、画面端でははめることができた。『II』シリーズは対戦格闘ゲームの礎ともなった作品でもあるため、動きは鈍重で動かし辛いが一発が強く、うまく近づいてコマンド投げで大ダメージを与える「投げキャラ」と呼ばれるキャラクターポジションを確立。以降に発売された多くの対戦格闘ゲームに登場する同タイプのキャラクターたちの元祖となっている。
キャラクター設定で「嫌いなもの」が飛び道具とされているが、実際のゲーム上も「波動拳」、ガイルの「ソニックブーム」といった弾の幅の広い飛び道具には、ジャンプが低く足も遅いため避け辛く、苦戦を強いられる。特に弱パンチで出された飛び道具(中でもサガットの「グランドタイガーショット」)には、その移動速度の遅さゆえに前方ジャンプ以外ではかわすことが難しく、「ダブルラリアット」で飛び道具をすり抜ける以外に対処方法が無くなってしまう。
接近戦が主になるキャラクターなので、ダルシムのように相手を近づけずに戦うタイプのキャラクターは天敵となる(ダルシムの飛び道具である「ヨガファイアー」も苦手)。しかし『スーパーストリートファイターIIX』(以下『スパIIX』と表記)で飛び道具を打ち消しつつ移動できる技「バニシングフラット」が追加され、ある程度は飛び道具にも対抗できるようになった。
『EX』シリーズでは「ダブルラリアット」の性能が際立っており、対空性能が2Dのシリーズよりも高い。ただし飛び道具には弱く、それを持つ相手を相変わらず苦手としている。しかし『EX2』では「バニシングフラット」の代わりに「グロウィングフィスト」があるので多少は対抗できる。
『IV』では投げ無敵の短いシステム上の特徴を生かした近距離戦での攻め、「ダブルラリアット」や「スクリューパイルドライバー(EX版も同じ)」や「EX版バニシングフラット」などを用いた守り、 それらに体力や攻撃力の高さが拍車をかけて、登場作品の中では珍しく上位の性能を持つ。また簡易コマンドが導入されたため、スクリューパイルドライバーを筆頭とする投げ技が決めやすくなっている。各場面での選択肢が比較的少ないため、プレイヤーのレベルに応じてキャラクター同士の相性の印象が全く違うが 上記のキャラクター特性から期待値勝ちをしやすく、相手の立ち回りに対して強引に打開することが可能である。
技の解説
投げ技
- かみつき
- 初期から存在するつかみ技のひとつ。相手にしがみつき、振りほどかれるまで頭部に連続で噛み付く。『ポケットファイター』での名称は「グラップラートゥース」。
- ストマッククロー
- つかみ技のひとつ。片膝をついて相手の腹部をつかみ、アイアンクローの要領で絞め上げる。
- ウォンチューヴォルシチ
- 『ポケットファイター』で使用するレッグスルー。親父に変身し、「卓袱台返し」とともに相手を投げ捨てる。
- ボディスラム
- 『ストIV』で登場。相手を一度担いでから前方に叩きつける。
- ブレーンバスター
- 相手を担いでから、後方に倒れこむように叩きつける。
その他「パワーボム」「パイルドライバー」「ジャーマンスープレックス」「レッグスルー」など、多数の投げ技を持つ。
特殊技
- ヘッドバット
- 垂直ジャンプ時のみ使用可能。『II』シリーズの技で、『II'』以降では特に気絶値が高い。『スパIIX』や『ZERO3』では地上から出せるタイプもあり、こちらは気絶値は低いものの、相手の足払いを飛び越えつつ接近することができる。
- フライングボディーアタック
- ジャンプ時に使える特殊技。「めくり」を狙いやすい。
必殺技
- スクリューパイルドライバー
- テンプレート:See also
- 相手を捕まえて空中に高く舞い上がり、回転しながらパイルドライバーを決める技。高威力で攻撃範囲も広い強力な投げ技であり、同時にいわゆる「コマンド投げ」の元祖でもある。コマンドが「レバー1回転 + パンチボタン」と記載されていたため、当初はジャンプ中などにレバーを回転させなければコマンド入力できないと思われていた。実際には、レバーは上下左右の各方向に1回入力していればよく、加えてしゃがみのグラフィック表示中はレバーが上にはいってもすぐにはジャンプしないことから、時計回りに右から真上まで(あるいは反時計回りに左から真上まで)素早く3/4回転させてジャンプする前にボタンを押すことで地上で技が出せる、通称「立ちスクリュー」と呼ばれるテクニックがある。『スーパーストリートファイターII』(以下『スパII』)以降、掴めなかった場合は空振りする動作が出て隙ができる。
- 『ザ・ムービー』での技名は「スピニングパイルドライバー」。
- アトミックスープレックス
- 『スパII』で追加された技で、ジャーマン・スープレックスからさらに跳び上がってのスープレックスを決める連続投げ。有効範囲は「スクリューパイルドライバー」より狭いが、威力はより大きい。「スクリューパイルドライバー」と同じく地上から直接発動できる。この技で相手を掴むのに失敗すると、下記の「フライングパワーボム」が自動的に発動する。
- フライングパワーボム
- 前方に走り寄り、相手に接触すると捕まえてパワーボムを決める。相手との距離があるときに「アトミックスープレックス」と同じコマンドを入れると発動。奇襲技であるが移動スピードはあまり速くなく、途中で技を中断することはできない。
- 『ストIV』でEX技として発動すると、前進中に攻撃を受けても一発だけ仰け反らずに耐えることができる「スーパーアーマー属性」が付加される。
- ロシアンスープレックス
- 『EX』シリーズの技。相手に走り寄り、接触すると捕まえてスープレックスを決める。「フライングパワーボム」の代替となる。
- ベアハッグ
- 『EX』シリーズの技。「ロシアンスープレックス」のダッシュ時に相手の近くでパンチボタンを押すと、相手を捕まえて抱いて絞める。レバガチャ+ボタン連打で絞める回数がアップし、絞め終わると相手を高く放り投げる。
- ダブルラリアット
- 回転しながら両手でラリアットを放つ技で、『ファイナルファイト』でマイク・ハガーが使用した技と同じもの。回転中は飛び道具を避けることができるほか、『II'』以降は回転しながら前後に少し移動できる。
- 『MARVEL VS.』シリーズではヴァリアブルコンビネーションの際にも使用し、この場合自動で前進していく。
- ハイスピードダブルラリアット
- 『ストリートファイターII'ターボ』と『カプコン バーサス エス・エヌ・ケイ ミレニアムファイト 2000』にのみ登場した、高速回転する「ダブルラリアット」。足下が無敵になっており、足払いなどを避けながら相手に接近できる。「ダブルラリアット」と同じモーションだが上方向の判定が弱い。
- クイックダブルラリアット
- 『スパII』以降に登場した、回転数が少ない「ダブルラリアット」。特性は「ハイスピードダブルラリアット」に似ている場合が多い。
- バニシングフラット
- 弱点である飛び道具に対抗すべく、『スパIIX』で習得した技。前方に移動しつつ、オーラをまとった大きな手のひらで飛び道具を打ち消す。
- 『ザ・ムービー』での技名は「バイオレントフラット」であるが、コマンドは異なる。
- グロウイングフィスト
- 『EX』シリーズのみの技。『EX2』は必殺技で『EX3』ではPモメンタリーコンボとして使用。オーラを纏った手で水平チョップを繰り出す。本作では使用しない「バニシングフラット」と同様に飛び道具を打ち消す効果を持つ。
- アイアンプレス
- 『ポケットファイター』に登場。超硬化し、「フライングボディーアタック」を繰り出す。威力は通常の「フライングボディーアタック」より高く、地上の敵を潰すことができる。落下速度は速いが、着地後の隙が非常に大きい。レベルアップしない必殺技。
- エアプレーンスピン
- 『ザ・ムービー』にのみ登場。相手を担いだ状態で回転する技。
スーパーコンボなど
- ファイナルアトミックバスター
- 様々な投げ技を連続で発動するスーパーコンボ。初登場した『IIX』においては「ジャーマンスープレックス」を2回から「スクリューパイルドライバー」に繋げている。投げ技の種類・回数は、登場する作品やスーパーコンボのレベルによって異なる。『EX』シリーズでは「スクリューパイルドライバー」の前にヒザによるバックブリーカーの攻撃が加わり、威力は全キャラクターの技を通じて最も高い部類にはいるが、コマンドもレバー2回転という非常に難易度の高いものとなっている(『MARVEL VS.』シリーズを除く)。また『スパIIX』と『EX』シリーズ(『EX Plus』以前)では、空振りモーションがなく、投げ確定時にしかゲージを消費(=発動)しない。
『MARVEL VS.』シリーズで間合い外で発動した場合フライングパワーボムと同一モーションでスーパーアーマー属性の移動をする。
- 技名が長いので「FAB」と略されることが多い。
- 作品によっては以下のバリエーションが存在する。どちらもLv3専用技である。
- ウルトラファイナルアトミックバスター
- 『MARVEL VS. CAPCOM』以降の『MARVEL VS.』シリーズで使用できる。「フライングパワーボム」→「アトミックスープレックス」→画面外まで飛び上がる「スクリューパイルドライバー」の連続投げ。ハイパーコンボゲージ3本を消費する代わりに、全ての技の中で威力が一番高い。メカザンギエフ時は使用不可。
- コズミックファイナルアトミックバスター
- 『EX』シリーズのメテオコンボで、相手を掴んだまま宇宙までジャンプした後「ファイナルアトミックバスター」を放つ。「ウルトラファイナルアトミックバスター」同様、決まった時の威力は全体力の半分以上を奪い去る。技自体は『EX』初期から存在したが、正式にこの名称となったのは『EX2 Plus』から。
- アルティメットアトミックバスター
- 『IV』のウルトラコンボ。「祖国のために!」という掛け声と共に相手をつかみ、スープレックス→バックブリーカー→相手を上空に放り投げてからのスクリューパイルドライバーを決める。技構成としては、相手を上空に投げる点と高度がさらに増している点を除くと、『EXシリーズ』のファイナルアトミックバスターとほぼ同じである。威力は申し分なく、発動した瞬間に攻撃判定が発生するため、発動時に範囲内にいるとジャンプでも回避不可能という高い性能を誇る。
- シベリアンブリザード
- 『スパIV』におけるウルトラコンボII。メカザンギエフ(後述)が使用する同名の技とは内容が異なり、空中で相手を摑みヘッドロックの状態で回転した後に相手の両足を小脇に挟み両脇を足で固めた逆海老反りの状態で地面に叩き付ける。
- エリアルロシアンスラム
- 斜めに飛び上がり、空中の相手をつかんで投げる技。『ZERO』シリーズではスーパーコンボのレベルによって内容が異なり、レベル1では後方に放り投げ、レベル2ではパイルドライバー、レベル3ではパワーボムで地上に叩きつける。『MARVEL VS.』シリーズでは通常必殺技として、上記のレベル1に相当するものを使用。
- スーパーストンピング
- 『EX』シリーズのスーパーコンボで、ストンピング(踏みつけるようなキック)を連続して繰り出してからミドルキックとハイキックを放つ。追加入力で攻撃を中断できる。
- ヘビーバイト
- 『ポケットファイター』のマイティコンボ。高速低空なジャンプで相手へ飛びつき、連続で噛み付く。
- ロシアンビート
- 『ポケットファイター』のマイティコンボ。コサックダンスの動きで、連続で下段蹴りを放つ。『頂上決戦 最強ファイターズ SNK VS. CAPCOM』でもLV2専用技として追加されている。
- アイアンボディ
- 『MARVEL VS. CAPCOM』以降の『MARVEL VS.』シリーズで使用できる技。後述する「メカザンギエフ」に変身し、見た目とキャラクター特性が大幅に変更される。変身中にもう一度「アイアンボディ」のコマンドを入力すると変身が解除される。
- フライングブレインクラッシャー
- 『ザ・ムービー』のみに登場したスーパーコンボ。相手をつかんだあとに高速回転しながらの「スクリューパイルドライバー」で攻撃する。
他キャラクターとの合体技
- ダブルファイナルアトミックバスター
- 『MSH VS. SF』および『MARVEL VS. CAPCOM』でのヴァリアヴルコンビネーション(ザンギエフから発動時のみ)。パートナーと共に前後から接近して掴みに行き、捉えて大ジャンプし逆さまに叩き落す(回転はしない)。
- メテオタッグコンボ・ザンギエフ&ダラン
- 『EX3』でダラン・マイスターがパートナーの時に発動可能なメテオタッグコンボ(個別の技名はない)。ザンギエフが相手に掴みかかったところへ、ダランが空中から飛び込み組んだ両手を相手に叩きつけ、さらに二人で挟みうちにしてのラリアットを決める。また、これで相手をKOするとダランがフォールにかかり、ザンギエフが3カウントを取る演出が入る。
- またダラン側からも発動でき、この場合は二人の技の動作が入れ替わる。
メカザンギエフ
『MSH VS. SF』以降の『MARVEL VS.』シリーズには、シャドルーに改造されたザンギエフとして「メカザンギエフ」が登場する。
体が鋼鉄に覆われ[7]、火を吹いたり、投げ技以外の一切の攻撃を受けてものけぞらないようになる「ハイパーアーマー」という状態になる。弱点としては、通常のザンギエフよりもさらに動きが鈍重になることと、ガードが一切できないことである。性格も若干変わり、祖国ロシアの代わりにシャドルーを崇拝するようになっている。エンディングでザンギエフは「これは本当の『鋼の体』ではない」と体を改造したことと己の弱さを悔い、元の体に戻る方法を探す旅に出る。
続編の『MARVEL VS. CAPCOM』ではザンギエフと同じキャラクターとなり、ハイパーコンボ「アイアンボディ」で二つの体を切り替えて戦えるようになった。エンディングでも自らの強さを誇示したあとにメカザンギエフに変身し、ブロディアに挑んでいる。
メカザンギエフの技
ここでは通常のザンギエフが使用しない、もしくは仕様の異なるもののみ記述する。
必殺技
- ウォッカファイヤー
- 口から青白い炎を吐く技。同シリーズのダルシムが使用する「ヨガフレイム」とよく似ており、リーチも長め。
- フライングパワーボム
- ダッシュ速度が遅くなった代わりに進む距離が長くなった。
ハイパーコンボ
- シベリアンブリザード
- 「ダブルラリアット」を出しながら真上に上昇する。
他のメディアでのザンギエフ
その分かりやすいキャラクター性からゲーム以外のメディアでも登場することが多く、巨漢のプロレスラーとして試合やショーに出場するシーンが目立つ。
テレビアニメ『ストリートファイターII V』ではシャドルー所属のレスラーという立場の敵役として登場し、語尾に「だべ」をつける日本の方言を使う。悪役ではあるが、手荒なことはしたくないという一面もある。
劇場版アニメ『ストリートファイターII MOVIE』では、ラスベガスの格闘ショー(シャドルー主催)でブランカと対決する。スクリューパイルドライバーを繰り出し、勝利を確信したところ逆にローリングアタック、ワイルドファング、エレクトリックサンダーの連続攻撃を受けてしまう。
中平正彦の漫画『さくらがんばる!』ではロシアの英雄として登場し、さくらとキャミィ2人を相手に二対一で戦う。さくらとの友情に戸惑うキャミィを諭し、リュウを探すさくらに助言をするなど人格者として描かれている。
OVA『ストリートファイターZERO - THE ANIMATION -』では格闘大会の試合中に、場外から乱入したリュウに試合の邪魔をされ、廃墟から地下へと転落する。
『ストリートファイターIV オリジナルアニメーション feat.さくら』では、さくらの対戦相手として登場しており、リングの上で激しい戦いを繰り広げる。
『ストリートファイター アート・コミックアンソロジー』の著・市川裕文の「アカイキズナ」ではメインキャラクターとして登場。突如格闘大会に乱入し、問答無用でケンに襲い掛かる。しかし、その真意はローズの依頼を受けて、シャドルーによってケンに仕込まれた悪意ある装置を解除するためのものだった。
ハリウッド映画版『ストリートファイター』ではバイソン将軍(日本国外でのベガ)の側近として登場。やや頭の弱い人物として描かれていて、ディージェイに言われるまで給料がもらえることを知らなかったり、テレビで生中継されていた爆薬を積んだ車が自分たちに突っ込んでくる様子を見てチャンネルを変えれば爆破が防げると考えたりしている。根っからの悪人ではなく最終的にガイルの味方になる。
2013年公開のディズニー映画『シュガー・ラッシュ』では、アーケードゲームの悪役キャラクターとしてベガとともに登場する。冒頭の悪役たちのグループセラピーで主人公に哲学的な語り口で「悪役は悪役にしかなれない」「今を生きるんだ」と語る。
その他
開発時の名前は「ウォッカ・ゴバルスキー」。ルールや手加減を知らず、対戦相手を全て再起不能にしたためレスリング界から追放、地下プロレスに身を落としたという設定であった。また共産主義を嫌っており、ストリートファイトを行う理由も金儲けのためである[8]。
PCエンジン版『II'』では、2ボタンパッドでザンギエフを使用するプレイヤーが多かった。RUNボタン・Iボタン・IIボタンを押しっぱなしの状態で、セレクトボタンを連打し「ダブルラリアット」を連続で出すという入力方法が可能だったからである。
アーケードゲーム誌「ゲーメスト」1993年1月号における誤植「ザンギュラはキックボタン3つ同時押しで足に判定のない、速めの回転のスーパーウリアッ上が出せる」[9]から、ザンギエフを指す隠語・通称として「ザンギュラ」が用いられることがある。また『CAPCOM FIGHTING Jam』でデミトリの「ミッドナイトブリス」を受けた際に変身するキャラクターの名前が「ザンギュラちゃん」となっている。
ゲーメスト編集による『II』のその後を描いた『FAREWELL FIGHTERS』では日本に帰化し、その後東京都知事に就任していて、プロレスラー兼政治家となっている。また、日本人の彼女ができている[10]。
『MSH VS. SF』では彼の家族として両親、幼い弟2人と妹、2頭の熊が登場している。
登場作品
- ストリートファイターIIシリーズ
- ストリートファイターZEROシリーズ(『ZERO2』以降)
- ストリートファイターIVシリーズ
- ストリートファイターEXシリーズ
- ストリートファイター ザ・ムービー
- ストリートファイター リアルバトル オン フィルム
- VS.シリーズ
- マーヴルVS.シリーズ(『MARVEL VS. CAPCOM 3』以外)
- SNK VS. CAPCOM 激突カードファイターズシリーズ
- 頂上決戦 最強ファイターズ SNK VS. CAPCOM
- CAPCOM VS. SNKシリーズ
- ポケットファイター
- CAPCOM FIGHTING Jam
- ストリートファイター オンライン マウスジェネレーション
- ストリートファイター X 鉄拳
- 背景出演
- スーパーマッスルボマー
- ロシアステージの背景の観客席に座っている。
演じた俳優(声優)
- 高木渉(『ZERO』シリーズなど)
- 玄田哲章(『CAPCOM VS. SNK』シリーズ、『CAPCOM FIGHTING Jam』)
- 三宅健太(『ストリートファイターIV』、『ストリートファイター X 鉄拳』)
- 金尾哲夫(劇場版アニメ『ストリートファイターII MOVIE』)
- 田中康郎(『ストリートファイターII V』)
- 宇垣秀成(OVA『ストリートファイターZERO - THE ANIMATION -』)
- アンドリュー・ブリニアースキー(映画『ストリートファイター』)
- 大友龍三郎(映画『ストリートファイター』テレビ版吹替)
- 宝亀克寿(映画『ストリートファイター』ビデオ・DVD版吹替)
- リッチ・ムーア(映画『シュガー・ラッシュ』英語版)
- 広田みのる(映画『シュガー・ラッシュ』日本語版)
脚注
関連項目
- エドモンド本田
- レインボー・ミカ
- ダラン・マイスター
- マイク・ハガー
- ルーファス - 『ストリートファイター X 鉄拳』でのタッグパートナー。
- ライデン (餓狼伝説)
- リボルテック - 『ストリートファイター オンライン マウスジェネレーション』のキャラクターを立体化したものがある。リボルテック#「ストリートファイターオンラインリボルテック」を参照。
- ΖΖガンダム - 機動戦士ガンダム vs.シリーズにおける投げキャラクター。スクリューパイルドライバーも使用する。
- ↑ ラテン文字翻字:テンプレート:ラテン翻字
- ↑ 『ZERO2』や『ZERO3』でも作中でロシアが祖国だと語っている。
- ↑ 『ZERO2』における勝利メッセージの1つ。
- ↑ ただし内容を間違って覚えてしまっている。
- ↑ 『X-MEN VS. STREET FIGHTER』での勝利メッセージ。
- ↑ 『1993年AUTUMN創刊号クラブ☆カプコン』および『カプコンファイティングジャム オフィシャルコンプリートガイド』にて「ゴロバチョフ」と明かされた。
- ↑ ゲーム画面上では、金属的な色になったザンギエフの色違いである。
- ↑ 月刊ゲーメスト10月号増刊『ストリートファイターII』P83より。
- ↑ 正しくは「ザンギエフは(中略)スーパーラリアットが出せる」。なお、当該記事は『II'ターボ』の新技紹介であり、ハイスピードダブルラリアットに当時この名前が付けられていた。
- ↑ 月刊ゲーメスト増刊『ストリートファイターIIダッシュ』P27より。