カボチャ
項目 | 分量 |
---|---|
炭水化物 | 10.9 g |
食物繊維総量 | 2.8 g |
水溶性食物繊維 | 0.7 g |
不溶性食物繊維 | 2.1 g |
カボチャ(南瓜)は、ウリ科カボチャ属(学名 Cucurbita)の総称である。特にその果実をいう。原産は南北アメリカ大陸。主要生産地は中国、インド、ウクライナ、アフリカ。果実を食用とし、カロテン、ビタミン類を多く含む緑黄色野菜。
目次
名称
日本語における呼称は、この果菜が国外から渡来したことに関連するものが多い。
一般にはポルトガル語由来であるとされ、通説として「カンボジア」を意味する Camboja (カンボジャ)の転訛であるとされる[2]。 方言では「ぼうぶら」「ボーボラ」などの名を用いる地方もあり、これはやはりポルトガル語で、「カボチャ」や「ウリ類」を意味する abóbora (アボボラ)に由来するとされる。 ほかに「唐茄子(とうなす)」「南京(なんきん)」などの名もある。 漢字表記「南瓜」はテンプレート:Lang-zh (ナングァ; nánguā)によるもの。
英名は pumpkin (パンプキン)であると理解されている場合が少なくないが、実際には、少なくとも北米では、果皮がオレンジ色の種類のみが pumpkin であり、その他のカボチャ類は全て squash (スクウォッシュ)と総称される[3]。 したがって日本のカボチャは、kabocha squash (カボチャ・スクウォッシュ)などと呼ばれている。
属名Cucurbita はラテン語で、一般的には「ウリ」と訳される語を転用したもの。
生態
葉は大きく突起を持ち、斑模様や裂片をつける。花は黄色や橙色であり、短命。そのため受粉に人工授粉が施されることが多い。
栽培
栽培されているのは主に次の3種類である。
- 西洋カボチャ C. maxima
- アンデス山脈高地の冷涼な土地で栽培化された種で、主に大型のカボチャがこれに含まれる。現在日本で広く栽培されているカボチャは西洋カボチャである。花梗はスポンジ状で膨れており、畝は無い。果肉は粉質で食感はホクホクとして甘みは強く、栗カボチャとも呼ばれる。
- 東洋カボチャ C. moschata
- メソアメリカの熱帯地方で栽培化された種で黒皮南瓜や鹿ケ谷南瓜のような日本カボチャ、バターナット・スクウォッシュがこれに含まれる。
- ペポカボチャ C. pepo
- 北米南部の乾燥地帯で栽培化された種で小型のカボチャ、ドングリカボチャ、キンシウリ(ソウメンカボチャ)などがこれに含まれる。果実の形や食味に風変わりなものが多い。ハロウィンで使われるオレンジ色のカボチャはペポ種である。なお、ズッキーニも同種である。
栽培は日本では春に播種し夏から秋にかけて果実を収穫する。野菜の中でも特に強健で、こぼれ種から発芽することもある。栽培法はいたって簡単で、無農薬栽培も可能。播種・植えつけ後は放置してもよい。ただし、都会などで花粉の媒介を行う昆虫がいない場合は人工授粉しなければならない場合がある。人工授粉は午前9時までに行う。また垣根に這わせたり日よけ代わりに使うこともできる。施肥では窒素過多の場合、つるぼけを起こすことがある。
東洋カボチャは天文10年(1542年)に日本(豊後国)にポルトガル人がカンボジアから持ち込んだ[4]。ペポ種は中国を経由して来たため唐茄子とも呼ばれる。強健な性質を利用して、カボチャをキュウリやメロンの接ぎ木の台にすることもある。
食材
完全に熟してから食する。ビタミンAを豊富に含む。皮は硬いが長く煮ることでやわらかくして食べることができる。サツマイモと同様にデンプンを糖に変える酵素を含んでおり、貯蔵によってあるいは低温でゆっくり加熱することによって甘味が増す。従って、収穫直後よりも収穫後、約1か月頃が糖化のピークで食べ頃となる。日本には冬至にカボチャを食べる風習があるが、前述のように糖化に時間がかかり晩秋以降が食べ頃になるのと、それによって年末まで日持ちする数少ない野菜であるのが一因である。
甘みの強い品種は菓子作りにも向いており、パンプキンパイや、南アメリカのフランやタイの「サンカヤー・ファクトン」などのプリンなどに加工される。
フランスではスープの材料として使われることが一般だが、南部ではパイやパンに料理される。アルゼンチンでは中をくりぬいたカボチャにシチューを入れる。
種子(パンプキンシード)も食品として市販されており、ナッツとして扱われる。パンや洋菓子のトッピングとして用いられることが多い。メキシコにはカボチャの種子をすりつぶしたソースで肉や野菜を煮込んだ、ピピアン (pipián) という伝統料理がある。また、種子から食用油(パンプキンシードオイル)が取れる。
米国ではシナモンやクローブなど、パンプキンパイに用いる香辛料とカボチャを使って醸造したビールが生産されている。
日本では北海道での生産量が多い。アイヌの人々もカボチャを栽培しており、北海道での栽培の歴史は古い[5]。
日本の主な品種
日本かぼちゃ
- 黒皮種
- 富津
- 日向
- 備前
- 黒皮小玉種
- 小菊
- 坊ちゃん
- その他
- 鹿ヶ谷
- ちりめん
- バターナッツ
- 勝間南瓜(こつまなんきん)(なにわ野菜の一つで小粒なので戦中から作られなくなったが復活/生根神社 (大阪市西成区)に「こつま南京塚」がある)
西洋かぼちゃ
- 黒皮栗種
- みやこ
- えびす
- 大浜みやこ - 高級な南瓜とされる。
- 栗あじ
- 九重栗
- 宿儺かぼちゃ
- 青皮栗種
- 赤皮栗種
- 赤ずきん
- 打木
- 白皮栗種
- 伯爵
- 雪化粧
- 雪太郎
ペポかぼちゃ
生産地
- 日本
- 日本国外
- 中国
- メキシコ
- ニュージーランド
- トンガ
など。
このうちトンガでは、もともとかぼちゃの栽培が行われていなかったが、気候がかぼちゃの生育に最適であることと、日本でカボチャの需要が多いにもかかわらず収穫の出来ない12月ごろに収穫期を迎えることに目をつけた日本の商社が1990年代にカボチャ栽培を持ち込んだ。現在ではカボチャはトンガの主要輸出品目となっている。
生薬
乾燥した種子は南瓜仁(ナンカニンまたはナンガニン)という生薬で条虫、回虫駆除に用いられる。
文化
- アメリカなどではハロウィンが近づくと橙色のカボチャの中身をくり抜いて目鼻などをつけた観賞用のちょうちん(ジャック・オー・ランタン)を作り、中にロウソクを立てて戸口に飾る。昔はハロウィンが終わるとジャック・オー・ランタンでよくパンプキンパイを作っていたが、現在のジャック・オー・ランタン用のパンプキンの品種は観賞用に選抜されているため味があまり良くなく、腐るまで放置されることが多い。
- ハロウィンの夜に「トリック・オア・トリート」(いたずらかお菓子か)に繰り出したティーンエイジャーが他人の家のジャック・オー・ランタンを持ち去って打ち壊すのは割りとよくあるいたずらである。オルタナティブ・ロックのバンド「スマッシング・パンプキンズ」のバンド名はここから来ている。
- 113系や115系電車などのうち、湘南色と呼ばれる車両の塗装が、かぼちゃの色に似ていることから、かぼちゃ電車という俗称がある。
- ブラジルでは、頭の大きい人をカボチャと呼ぶことがある。
脚注
参考文献
- バーバラ・サンティッチ、ジェフ・ブライアント編『世界の食用植物文化図鑑』(柊風舎) 196-197ページ
関連項目
外部リンク
- かぼちゃ - 農畜産業振興機構「野菜図鑑」よりtl:Kalabasa