オリバー・サックス
オリバー・サックス (Oliver Sacks、1933年7月9日 - )は神経学者。2007年7月よりコロンビア大学医科大学院教授。自身の扱った患者について記した一般啓蒙書を多く記している。彼自身は、これら著作について、19世紀の医学秘話(文芸的筆致の非公式な傷病録)的な性質のものであると考えている。彼が好んで挙げる例としてアレクサンドル・ルリヤの『偉大な記憶力の物語』がある。
概要
ロンドンで生まれ、オックスフォード大学クイーンズ・カレッジで医学の学位を取得し、カリフォルニア大学ロサンゼルス校で神経医学の研修医となる。1965年以来ニューヨークに居住している。アルバート・アインシュタイン医科大学の神経科臨床医学の教授であり、ニューヨーク大学医学部の非常勤の教授である。また、貧民救済修道女会の顧問神経学者でもある。ニューヨーク市内で開業している。
著作には彼の担当した患者について、その詳細までが記されており、特に患者の体験に主眼が置かれている。そのうち一例では、サックス自身の例を挙げている。多くの場合、患者は完治することはないが、その代わりに自身の状況に新たな手段で対応している。
彼の代表作『レナードの朝』(同名の映画の原著、映画は実話である原著に基づく創作)では、彼が1920年代生まれの嗜眠性障害の患者に新薬のL-ドーパを投与した経験について書かれている。これはイギリスで制作されたテレビ番組「ディスカバリー」の題材にもなっている。
他の著作では、彼はトゥレット障害やパーキンソン病の様々な影響などについて記している。「妻を帽子とまちがえた男」は、視失認に陥った男性についての話であり(これは1986年にマイケル・ナイマンによってオペラ化された)、「火星の人類学者」は、高機能自閉症と診断された学者テンプル・グランディンについて語っている。著書は日本語を含む21か国語に翻訳されている。
視覚障害者であり、片目が失明している。この為、幾何学模様の幻覚が見えると話す(オリバー・サックス 「幻覚が解き明かす人間のマインド」)。
週刊文春、6月27日号(2013年)、67頁によれば、2013年ルイス・トマス賞授賞式に、過去の受賞者として夫妻で出席した際、福岡伸一氏の隣席であった。
著書
- 『サックス博士の片頭痛大全』(Migraine 1970年、ISBN 4-15-050243-9)
- 『レナードの朝』(Awakenings 1973年、ISBN 4-15-050237-4)
- 『左足をとりもどすまで』(A leg to stand on 1984年、ISBN 4-79-492522-0)
- 『妻を帽子とまちがえた男』(The Man Who Mistook His Wife for a Hat 1985年、ISBN 4-79-492522-0)
- 『手話の世界へ』(Seeing Voices 1989年、ISBN 4-79-492525-5)
- 『火星の人類学者』(An Anthropologist on Mars 1995年、ISBN 4-15-050251-X)
- 『色のない島へ』(The Island of the Colorblind 1997年、ISBN 4-15-050237-4)
- 『タングステンおじさん』(Uncle Tungsten: Memories of a Chemical Boyhood 2002年、ISBN 4-15-208517-7)
- 『オアハカ日誌 メキシコに広がるシダの楽園(ナショナルジオグラフィック・ディレクションズ)』(Oaxaca Journal 2002年、ISBN 4-15-208547-9)
- 『音楽嗜好症(ミュージコフィリア)』(Musicophilia: Tales of Music and the Brain 2007年、ISBN 4-15-209147-9)
- 『心の視力』(The Mind's Eye 2011年、ISBN 978-4-15-209255-7)
テレビ番組
- ETV特集 神経科医 オリバー・サックス (1) めざめ
- 放送日:1993年11月24日、内容:『レナードの朝』について[1]
- ETV特集 神経科医 オリバー・サックス (2) 出会い
- 放送日:1993年11月25日、内容:『妻を帽子とまちがえた男』に登場した四人の患者について[2]
外部リンク
- ウェブサイト
- ビデオ
- 「オリバー・サックス:幻覚が解き明かす人間のマインド」 - TEDカンファレンスでの講演の様子。全18分48秒。テンプレート:Ja icon