アナトール・フランス
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アナトール・フランス(テンプレート:Lang-fr, 1844年4月16日 - 1924年10月12日)は、フランスの詩人・小説家・批評家。本名はジャック・アナトール・フランソワ・ティボー(テンプレート:Lang-fr)。パリ出身。アカデミー・フランセーズの会員を務め、ノーベル文学賞を受賞した。代表作は『シルヴェストル・ボナールの罪』『舞姫タイス』『赤い百合』『エピクロスの園』『神々は渇く』など。芥川龍之介が傾倒し、石川淳が訳していたことで有名である。
目次
略歴
- 1844年 パリに生まれる。父は書店主。カトリック系私立のスタニスラス大学に学ぶ。
- 1871年 高踏派詩人の雑誌『現代高踏詩集(Le Parnasse contemporain)』に詩作品『La Part de Madeleine』が発表される。
- 1875年 第三次『現代高踏詩集』の準備委員会に参加。
- 1881年 長編小説『シルヴェストル・ボナールの罪(Le Crime de Sylvestre Bonnard)』を発表。アカデミー・フランセーズ(Académie française)の賞を受賞する。
- 1896年 アカデミー・フランセーズの会員(席次38)に選出される。
- 1921年 ノーベル文学賞を受賞。
- 1924年 サン・シル・シュル・ロワールにて没。国葬によって葬られ、パリ近郊のヌイイ・シュル・セーヌ共同墓地に埋葬された。
1922年には全作品がカトリック教会の禁書目録に掲載された。この禁書目録は1966年に廃止された。
日本語訳一覧
1940年より、白水社で「アナトオル・フランス長篇小説全集」全17巻、「アナトオル・フランス短篇小説全集」全7巻が刊行され、1951年に完結した。
2000年に、改版・新装刊行した『アナトール・フランス小説集 (全12巻)』には、長編作品は※5巻、短編作品は7巻全てが収められている。
長編小説
- Le Crime de Sylvestre Bonnard, 1881年
- 『シルヴエストル・ボナール博士の罪』 川崎備寛訳、冬夏社、1922
- 『エス・ボナールの罪』岡野馨訳、春陽堂(昭和初期世界名作翻訳全集第1期)、1923
- 『シルヴェストル・ボナールの罪』伊吹武彦訳※、辰野隆解説、白水社(アナトオル・フランス長篇小説全集)、初刊1940
- 『シルヴェストル・ボナールの罪』伊吹武彦訳、岩波文庫、1975、重版多数
- Les Désirs de Jean Servien, 1882年
- 『ジャン・セルヴィヤンの願い』大塚幸男訳、白水社(アナトオル・フランス長篇小説全集)
- Thaïs, 1890年
- 『タイス』水野和一訳、警醒社、1915
- 『舞姫タイス』谷崎精二訳、聚英閣、1921
- 『舞姫タイス』望月百合訳、新潮社、1924
- 『舞姫タイス』森田草平・関口存男共訳、国民文庫刊行会、1927
- 『舞姫タイス』岡野馨訳、新潮社、1929、のち角川文庫
- 『女優タイス』岡沢武訳、六芸社、1938
- 『舞姫タイス』水野成夫訳※、白水社、初刊1938、新版・白水Uブックス
- 『舞姫タイス』水野成夫訳、北宋社、1992
- La Rôtisserie de la Reine Pédauque, 1892年
- 『鳥料理レエヌ・ペドオク亭』朝倉季雄訳、白水社(アナトオル・フランス長篇小説全集)、1940
- Les Opinions de Jérôme Coignard, 1893年
- 『ジェローム・コワニヤールの意見』市原豊太訳、白水社(アナトオル・フランス長篇小説全集)、1951
- Le Lys Rouge, 1894年
- 『赤い百合』関口鎮雄訳、金星堂、1922
- 『赤い百合』石川淳訳、春陽堂、1923、同文庫版 1932/ のち角川文庫、筑摩書房(石川淳全集第18巻)、1992
- 『赤い百合』小林正訳※、白水社(アナトオル・フランス長篇小説全集)、1950 のち岩波文庫上下
- 『赤い百合』杉本秀太郎訳、臨川書店、2001
- 'L’Histoire contemporaine; L'orme du Mail, 1897年
- L’Histoire contemporaine; Le Mannequin d'Osier, 1897年
- 『柳の衣桁』小林竜雄訳、冨山房百科文庫現代物語第2巻、1940
- 『柳のひとがた』大岩誠訳、白水社(アナトオル・フランス長篇小説全集現代史II)、1941
- L’Histoire contemporaine; L'anneau d'Améthyste, 1899年
- 『紫水晶の指輪』杉捷夫訳、白水社(アナトオル・フランス長篇小説全集現代史III)、1941
- L’Histoire contemporaine; Monsieur Bergeret à Paris, 1901年
- 『パリのベルジュレ氏』川口篤訳、白水社(アナトオル・フランス長篇小説全集現代史IV)、1950
- Histoire comique, 1903年
- 『楽屋裏の話』根津憲三訳、白水社(アナトオル・フランス長篇小説全集)、1950
- Sur la Pierre Blanche, 1905年
- L'île des Pingouins, 1908年
- 『ペンギンの島』水野成夫訳、春陽堂、1924
- 『新人国記 ペンギンの島』木村恭一訳、改造社、1930
- 『ペンギンの島』水野成夫訳、白水社、初刊1937、白水社(アナトオル・フランス長篇小説全集)、1951
- 『ペンギンの島』近藤矩子訳、中央公論社(世界の文学)、1970
- Les Dieux ont Soif, 1912年
- 『血に飢えた神々』村田義雄訳、春陽堂、1932
- 『神々は渇く』水野成夫訳、酣灯社、1946、白水社、1953
- 『神々は渇く』水野成夫訳※、白水社(アナトオル・フランス長篇小説全集)、1950
- 『神々は渇く』根津憲三訳、角川文庫、1961
- 『神々は渇く』大塚幸男訳、岩波文庫、1977
- 『神々は渇く』土岐健児訳、蝸牛社 1977
- La Révolte des Anges, 1914年
短編小説
- Jocaste et le Chat Maigre(ジョカストとやせ猫), 1879年
- Les Sept Femmes de Barbe bleue et autres contes merveilleux, 1909
- 『青鬚の七人の妻』他三篇 長塚隆二訳 角川文庫、1953
- Abeille, 1883
- 『蜜蜂姫』福永挽歌訳、日本評論社、1921
- Nos Enfants(少年少女), 1887年
- 『少年少女』三好達治訳、岩波文庫、1937
- Balthazar(バルタザール), 1889年
- L'Étui de Nacre(螺鈿の手箱), 1892年
- 『影の弥撒』山内義雄訳 新潮社、1924、のち『螺鈿の手箱』、新潮社(短篇小説全集2)
- Le Puits de Sainte Claire(聖女クララの泉), 1895年
- Affaire Crainquebille, 1901
- 『クレンクビーユ』村松正俊訳、平凡社(新興文学全集)、1931
- 『クランクビーユ』山内義雄訳、新潮社(世界文学全集)、1930
- 『クランクビーユ』河盛好蔵他訳、白水社(アナトオル・フランス短篇小説全集)、1939
- Les contes de Jacques Tournebroche(ジャック・トゥルヌブローシュのコント), 1908年
- アナトール・フランス短篇傑作集 若月紫蘭訳 三教書院、1910
- 『聖餐祭』岡本綺堂訳、改造社(世界大衆文学全集)、1929、河出書房新社(世界怪談名訳集)、1987
- 『人間悲劇 外十篇』杉捷夫訳、春陽堂(世界名作文庫)、1932、ゆまに書房(昭和初期世界名作翻訳全集)、2008
- 『聖母と軽業師』大井征訳、岩波文庫(アナトール・フランス短篇集)、1934
- 『襯衣』他二篇 八木さわ子訳 改造社、1939
- アナトオル・フランス短篇小説全集(全7巻) 山内義雄・内藤濯・渡辺一夫・佐藤正彰・杉捷夫他訳、白水社、1939-40、白水社(アナトール・フランス小説集)、2000
※収録された短編集:『6.バルタザール』、『7.螺鈿の手箱』、『8.聖女クララの泉』、『9.クランクビーユ』、
『10.ジャック・トゥルヌブローシュのコント』、『11.青ひげの七人の妻』、『12.ジョカストとやせ猫』。
- 『火の娘』吉田静雄訳、今日の問題社(ノーベル賞文学叢書)、1941
回想録
- Le Livre de Mon Ami(わが友の書), 1885年
- Pierre Noziére(ピエル・ノジエール), 1898年
- Le Petit Pierre, 1918年
- 『小さなピエール』岡田真吉訳※、白水社(アナトオル・フランス長篇小説全集)
- La Vie en Fleur, 1922年
文芸評論
- La Vie littérature, 1888年-92年、※原書は全4冊、それぞれ抄訳版
- Le Génie Latin, 1913年
社会評論
- Le Jardin d'Épicure, 1895年
歴史人物伝
- Vie de Jeanne d'Arc, 1908年
翻案作品
音楽
フィルモグラフィー
記念物
- アナトール・フランス通り、パリ
- アナトール・フランス駅(パリメトロ3号線)、パリ
- アナトール・フランス区(パリの7番目の区)、パリ
- アナトール・フランス (小惑星)(アナトール・フランスに因んで命名された)
逸話
- 1877年にヴァレリー・ゲラン・ド・ソーヴィユと結婚し、1881年に一人娘シュザンヌが誕生したが、1888年から芸術サロンの女主人のアルマン・ド・カイヤヴェ夫人(ガストン・アルマン・ド・カイヤヴェの母)の愛人となり、妻とは1893年に離婚した。1899年にフランスの希望で娘シュザンヌとマルセル・プルーストとの結婚話が持ち上がったことがあるが、実現しなかった。
- アルマン・ド・カイヤヴェ夫人は1910年、フランスと別の女優との関係がもとで自殺未遂し、亡くなった。娘のシュザンヌは1918年に亡くなった。
- 80歳という年齢を考慮する必要もあるが、死後にその脳の重量が1017gしかない(平均的な白人男性の脳は約1500g)ことが判明し[1]、脳のサイズと知的能力は殆ど関連が無いことの証左となった。
脚注
外部リンク
- Anatole France Biography (Nobelprize.org)
- Biography for Anator France(The Internet Movie Database)
- Anatole France Works(Open Library)
- Works by Anatole France(Project Gutenberg)
- アナトール・フランス作品リスト(青空文庫)