上下分離方式

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テンプレート:複数の問題 上下分離方式(じょうげぶんりほうしき)とは、鉄道道路空港などの経営において、下部(インフラ)の管理と上部(運行・運営)を行う組織を分離し、下部と上部の会計を独立させる方式である。

一般には、中央政府・自治体や公営企業・第三セクター企業などが土地や施設などの資産(下)を保有し、それを民間会社や第三セクターが借り受けるなどして運行・運営(上)のみを行う営業形態をとられることが多い。

日本での採用事例

鉄道

鉄道における上下分離方式の採用例
鉄道事業者名 線区 公的主体

投資
公的主体の投資+
ランニングコスト負担
公的主体の保有 固定資産税の
減免措置
青い森鉄道 全線 あり あり 車両以外の鉄道資産 あり
三陸鉄道 全線 車両 トンネル・橋梁・車両 トンネル・橋梁 税相当額補助
上信電鉄 全線 あり インフラと車両 なし あり
上毛電気鉄道 全線 あり インフラと車両 なし あり
富山ライトレール 全線 あり インフラと車両 なし なし

次の一覧は、土佐電気鉄道が2010年12月2日提出した資料より[1]

実施例
みなし上下分離実施例


鉄道における上下一体方式の採用例(参考)
鉄道事業者名 線区 公的主体

投資
公的主体の投資+
ランニングコスト負担
公的主体の保有 固定資産税の
減免措置
えちぜん鉄道 全線 あり なし なし なし
三岐鉄道 北勢線 あり なし 土地のみ なし
和歌山電鐵 全線 あり なし 土地のみ なし
凡例
鉄道事業者名の下地:緑色は第三セクター黄色は中小民鉄
  • 各欄の下地:青色は都道府県主体赤色は沿線市町村主体紫色は都道府県+沿線市町村主体
  • 投資に国庫補助が入る場合、国も公的主体に含まれる。
  • 上表中のランニングコストとは、車両における車両保存費、インフラ部分の線路保存費・電路保存費、土地の場合の固定資産税・都市計画税を指す(欠損補助という意味ではない)。

道路

道路における上下分離方式の採用例

日本の高速道路日本高速道路保有・債務返済機構が道路とその付帯施設を保有し、東日本高速道路首都高速道路中日本高速道路西日本高速道路阪神高速道路本州四国連絡高速道路の各社がそれを借り受けて管理・運営している。

ヨーロッパでの採用事例

鉄道

欧州連合が国鉄の上下分離を指導したため、大部分のヨーロッパの国鉄(に相当する鉄道)は上下分離方式となっている。

ヨーロッパでは、上下分離は大きく分けて二通りの仕組みが見られる。一つ目は、下部と上部の会計分離だけを目的としたものである。スウェーデン、スイス、フランスなどで採用されている。基本的に、上部の運営会社は一つである場合が多い。例えば、フランスでは、日本における公共企業体に近い「商工業的公施設法人」(EPIC)のフランス国鉄(SNCF)の機構改革の際には、フランス国鉄本体をEPICのまま、列車の運行・車両の保有などを行なう鉄道運営法人とし、線路やなどの鉄道施設(インフラ)は、新たに設立されたEPICのフランス鉄道線路事業公社(RFF)が保有する形式に改革された。

二つ目は、上下分離とともにオープンアクセスを導入して複数の上部組織が存在するケースである。代表的なのはドイツとイギリスである。ドイツ鉄道は、東西鉄道組織統合とともに民営化・上下分離を行い、上部の組織は長距離・近距離・夜行・貨物などの会社に分割した。その上でオープンアクセスを導入し、新規参入の会社にも線路使用を認めている。この仕組みを利用して、地方自治体が軽量ディーゼルカーを購入してローカル列車を運転するケースが増えている。イギリスでは、国鉄(British Rail)改革に際して、上下分離と大々的なオープンアクセスを導入したが、線路の保有・管理会社と運行会社とで管理をバラバラに行なったために整備が行き届かず、1999年10月5日ロンドン近郊パディントンでの大事故をはじめ、数々のトラブルを招いた、という指摘もある。

アメリカ合衆国での採用事例

鉄道

アメリカ合衆国の旅客鉄道も、上下分離方式である。旅客列車は公企業であるアムトラックが運行しているが、アセラ・エクスプレスが走る東海岸の幹線(北東回廊)など一部を除けば線路を所有しておらず、貨物鉄道会社の線路を借りて運行している。貨物鉄道会社は民営企業であるため、下部が民営、上部が公営というケースである。

関連項目

脚注

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  1. 高知県[1]
  2. 鉄道ピクトリアルNo.852 2011年8月臨時増刊号 pp.21-24