馬借
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馬借(ばしゃく)は、馬を利用し、荷物を運搬する輸送業者。主に平安時代から戦国時代にかけて活躍した。
輸送方法
輸送方法は馬の背に荷物を掛け、それを人が追う形をとる。はじめは、農民たちが農閑期に片手間で行っていたが、室町時代以降は専業化した。
大津、坂本、淀などの水陸交通の要地や主要街道沿いの町に集団で住み、船で運ばれたものを京都や奈良など、当時消費の激しかった地域に運び込んだ。
用途
その組織力や情報の得やすさ、そして当時は治安の悪さから護衛の戦闘員を有していた点などから、室町時代には、一揆の中心にもなり、正長の土一揆や嘉吉の徳政一揆などが知られているが、後者では一揆の攻撃対象となった比叡山延暦寺の保護を受けていた近江の馬借が一揆から離反して、馬借勢力そのものが分裂している。また、延暦寺が鎮圧の先頭に立った天文法華の乱では、京都につながる関所を封鎖して法華宗勢力が抑える京都を経済封鎖した。
「石山寺縁起絵巻」にその姿が描かれているものが有名。同時代の輸送業者としては牛に荷車を引かせる車借が知られている。