コピー商品
コピー商品(コピーしょうひん)とは、意図して何かに似せた商品である。デッドコピー (テンプレート:En)。合法のものと違法のものがある。他社の人気商品に、意匠(外観)、商標などを似せる。ブランドの商標を似せる場合、偽ブランド商品とも呼ぶ。または、自然物あるいは自然物の加工品、たとえば食品や宝石などに似せた人造製品も、コピー商品と呼ぶ。物品の種類により、コピー食品、コピー車などとも呼ばれる。
目次
無許可のコピー
主にベストセラーやロングセラーの、優れた機能・設計や、高い市場価値を持つ商品を模して製造する。またメディア関連のデータを複製して販売している物もこの範疇に含まれる。
往々にしてオリジナルの商品と比較して粗悪な材料を使用していたり、分解した部品を採寸した際に発生する誤差により、機能や耐久性の面で劣る場合があり、そのようなものは単純に粗悪品と呼ばれる場合もある。
違法な場合
オリジナル商品との類似が顕著であれば、オリジナルの権利者が持つ、以下のような知的財産権を侵害することになりうる。
- 有効に商標登録されたブランド・ロゴ・商品名等 → 商標権。
- 意匠(外観) → 国によって異なるが、意匠権(日本・イギリス)・テンプレート:仮リンク権(EU諸国)・テンプレート:仮リンク権(アメリカ合衆国)など。
日本において意匠権は、有効に意匠登録された場合に初めて保護される事に留意すべきである。 他国においては、立体商標権が存在する場合がある。
但し、他者が先行して販売する独自性を有する物品に著しく類似する物品の製造もしくは販売や、 周知性を有しまたは特別顕著性を有するロゴ等の類似品を製造や販売を行った場合は、知的財産関連諸法の侵害とは別に、不正競争防止法に触れることもある。
日本では関税法(2006年までは関税定率法)で定められる「輸入してはならない貨物」にいわゆるニセブランド品が含まれており、輸入検査時や入国者への税関検査時に発覚すれば、輸入を差し止められる。
合法な場合
「無許可だが合法」な場合もある。多くの場合、国による知的財産権制度の違いが関係している。
- パブリックドメインになった
- 著作権・特許権・意匠権は、有効期限があるため、期限切れによりパブリックドメイン (PD) となる。そのとき商品価値がまだ残っていたなら、類似商品が同時多発的に製造販売されることとなる。
- 医薬品の特許権が切れた場合の後発医薬品、映画の著作権が切れた場合のパブリックドメインDVDなどがその例である。
- ただし、知的財産権(特に著作権)の有効期限は国により異なるため、他国ではまだ権利が有効ということもある。
- 商標権は無限に延長可能なので、商品価値がある間に商標権が消滅することは通常はない。
- 権利登録をしていなかった
- 特許権や商標権などは、国ごとに登録が必要である。そのため、権利を登録していない国でコピー商品が販売されることがある。
- かつては(アメリカ旧著作権法の特殊性により)著作権でもこのようなことが起こりえた。NECがインテル8086の互換チップV30を製造したとき、インテルは、日本など無方式主義諸国での登録手続きとなる著作権表示をしていなかったため、著作権を主張できなかった。
- その種類の知的財産権が存在しない
- たとえばインドでは、成分特許が認められないため、他国では特許が有効な医薬品の後発医薬品を製造販売できる。
各国の事例
日本
日本の税関で押収されるコピー商品は非常に多い。ほとんどが中国で製造されたコピー商品である[1]。
中国
中国では、「山寨文化」(パクリ文化)と言う言葉が出来るほど、コピー商品が蔓延している。
中国ではファッションブランド、電化製品、自動車、バイク等の様々な偽ブランドが平然と出回っており、山寨(シャンジャイ、Shānzhài)と呼ばれている。中にはSQNY(SONY)のラジオや乾電池[2][3]、SHARK(SHARP)のマイク[4]、HONGDA(HONDA)のオートバイ[2][3]等の紛らわしい商標を名乗った商品もあり、大きな問題となっている。
実際に、偽ブランドが先に商標登録されてしまい、本物が逆にコピー商品として扱われ、中国で販売禁止となったり、別の商標を使わざるを得なくなったを事例もある(クレヨンしんちゃんの例が有名)。自社ブランドを使いつつ、他社の人気のある意匠を真似ることもある。比亜迪汽車 (BYD) は西側先進国のさまざまなメーカーの意匠を真似たコピー車を多数、BYDブランドで製造販売している[5]。
韓国
韓国では、Me-too商品(模倣商品)とも呼ばれるコピー商品が、製菓業界で深刻な社会問題となっている[6]。また韓国ロッテ、農心のような大企業であっても、平然と日本や韓国内他社の商品のコピーを販売している(ペペロ、セウカンの項を参照)。
こういった商品はただ名称やパッケージデザインを模倣するのみならず、競争会社の開発人材を引き抜くことにより、その会社の技術を獲得して製造されるケースも報告されているテンプレート:Refnest。
食品以外にも、YAMUDA(YAMAHA+HONDA)のオートバイ用部品ブランド[7]等の紛らわしい商標を名乗った商品もある。
ライセンス生産
テンプレート:Main オリジナル製品の権利者の許可(ライセンス)の下、生産される。ブランドの商標権がライセンスされる場合には、オリジナルと同じないし類似したブランド(偽ブランドとはならない)で売られるが、そうでない場合は独自ブランドとなる。
品質はオリジナルと同等のことが多い。特に、ブランドがライセンスされている場合はそうである。しかし、ライセンシーの技術力が不足していたり、技術流出防止のために技術移転が制限された場合などには、オリジナルより劣ることになる。
レプリカ
テンプレート:Main 過去の製品を、材料のみ現代品を使って(当時の物は入手不可能な為)正確に再現したレプリカというジャンルも存在し、これらに関しては熱烈なファンを獲得するなど、固有の市場が発生している。
これらは基本的に、オリジナルの知的財産権が残存している場合でも、権利者がライセンスを与えているもしくは権利者自身が製造している正規商品のため、偽物とはいえない。しかし、一度市場に出た正規のレプリカが、レプリカと明言されずに売られることはある。
人造製品
天然の物が高価であったり、稀少な場合などにしばしば生産される人工の製品。合成皮革(商標名「クラリーノ」「エクセーヌ」など)などは、このジャンルでは最も成功した部類であり、天然皮革には無い防水性や耐候性から、むしろ必要とされて利用される場合もある。服飾関係では、かつては稀少な毛皮の代わりに、最近では動物の権利問題などモラル面からフェイクファー(人造毛皮)も多く使われている。
食品関係で有名な例としてはかにカマボコがある。かにカマボコは消費者が本物の蟹を加工した食品と混同するとして、農林水産省の指示で「カニ」を商品名に使えなくなった経緯がある[8]。実際はスケソウダラのすり身を使い、カニの煮汁で風味をつけた蒲鉾である。人造食品としては、大正時代からある育児用「粉ミルク」がある。また、化学技術の発達から派生した技術を用いた、近年における代表的なものとしては、人造イクラがある[9]。
脚注
注釈
出典
関連項目
- 偽造品の取引の防止に関する協定
- 中国の知的財産権問題
- 韓国の知的財産権問題
- バッタもん - 一般に偽物を指して使われることがある
- ぱくり・山寨
- 贋作
- 模倣品