吉野口駅
吉野口駅(よしのぐちえき)は、奈良県御所市大字古瀬にある、西日本旅客鉄道(JR西日本)・近畿日本鉄道(近鉄)の駅である。
JR西日本の和歌山線と、近鉄の吉野線が乗り入れ、接続駅となっている。両社の共同使用駅で、JR西日本の王寺鉄道部が管理しているが、近鉄の社員も常駐している。
駅構造
単式ホーム1面1線と島式ホーム2面4線、合計3面5線のホームを持つ地上駅で、開業時からの古い木造駅舎が現在も残っている。うちJRは2面3線、近鉄は2面2線の使用となっているが、島式ホームのうち1面はJRと近鉄の共有となっている。そのため、JRと近鉄は改札内での乗換えが可能であり、更に特定の場合同一ホーム上での乗換えが可能という特異な構造となっている(後述)。駅舎は東側にあり、島式ホームとは地下道で結ばれている。列車の本数は近鉄が多く、現在停車する最長編成はJRが6両、近鉄は4両である。
駅名標は近鉄線のホームも含めてJR西日本の仕様に統一されているが、近鉄線ホームのものはJRロゴがない。
2番・3番のりばの待合室内に地元駅弁業者の柳屋が経営するKIOSKがあり、駅弁の柿の葉寿司を販売している。トイレは1番のりばにあり、男女共用の汲み取り式である。
JR西日本の直営駅であるが、マルス端末の設置はなく、窓口でのJR乗車券の発券はPOS端末を用いて行っている。そのためみどりの窓口は設置されていない。また、近鉄の特急券は窓口で販売されていないが、大阪阿部野橋行のみホーム上の自動券売機で購入することができる。ただし、インターネットで予約した特急券の受け取り以外は直近の列車のみ発売となるため注意が必要である。
改札外にはJR・近鉄それぞれの自動券売機があるが、Jスルーカード・スルッとKANSAIカードともに使用できない。近鉄吉野線の自動券売機でスルッとKANSAIカードが使用できないのは当駅だけである。2007年4月1日より近鉄にPiTaPaが導入されたことで、当駅にも近鉄側改札口にICカード用の簡易改札機が設置されたので、近鉄を利用する場合に限りPiTaPa・ICOCAを利用することができるが、JR西日本は和歌山線大和新庄駅 - 田井ノ瀬駅間がICOCAの利用エリア外のため、当駅からPiTaPa・ICOCAを利用して和歌山線に乗車することはできない。
ホーム | 路線 | 方向 | 行先 | 備考 |
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1 | テンプレート:Color近鉄吉野線 | 下り | 下市口・吉野方面 | |
2 | テンプレート:Color近鉄吉野線 | 上り | 橿原神宮前・大和八木・大阪阿部野橋方面 | |
3 | テンプレート:ColorJR和歌山線 | 下り | 五条・和歌山方面 | |
4・5 | テンプレート:ColorJR和歌山線 | 上り | 高田・王寺・天王寺方面 |
1番のりばのみが単式で、残りのホームは島式である。JR線王寺方面行列車については通常4番のりばに発着し、16時台の1本と臨時列車が5番のりばに発着する。なお、1番のりばから大阪阿部野橋方面への折り返しも可能であり、5番のりばは高田方面と五条方面の両方向の入線・発車に対応している。
2番のりばの大阪阿部野橋方面と3番のりばの五条方面は、相互に同一ホーム上での乗換えが可能である。直通運転を行なっていないJRと大手私鉄が同一ホーム上で乗り換えられるのは、全国的に珍しい。
近鉄吉野線においては両隣の駅がどちらも棒線駅のため、行き違い待ちで数分停車する事が多い。また近鉄・JR間で連絡している列車が遅れた場合にも到着するまで待つことがある。ただしJR高田方面行と近鉄吉野方面行は連絡しないことがあり、吉野方面行が入線しないうちにJR高田方面行が発車する場合もある。
近鉄吉野線は吉野鉄道によって開設された路線で、当駅で吉野杉の貨物受渡し(貨車直通)を行うために国鉄のゲージに合わせて建設された。また、近鉄吉野線の壺阪山駅 - 下市口駅間のルートが距離の短い直線ルートではなく、西側の御所市にある当駅を一旦経由するルートになっているのは、そのような事情もあったからである。和歌山線で貨物輸送が行われていた時には片町線徳庵駅にある近畿車輛で製造された近鉄車両(主に南大阪線用の狭軌車両)を当駅まで甲種輸送を行い、この駅で近鉄へ引き渡された事がある。
駅弁
主な駅弁は下記の通り[1]。みどりの窓口はないが駅弁は販売しているという、現在のJRとしては珍しい駅になっている。
- きぬ巻時雨寿司
- 産比米(ムスメ)
- 鮎ずし
- 柿の葉寿し(柳屋)
- 柿の葉寿しミックス
利用状況
- JR西日本
- 奈良県統計年鑑によると、1日の平均乗車人員は以下の通りである。
- 862人(2005年度)
- 860人(2006年度)
- 752人(2007年度)
- 722人(2008年度)
- 636人(2009年度)
- 623人(2010年度)
- 590人(2011年度)
- 近畿日本鉄道
- 主として通学・通勤用に利用される。吉野口駅(近鉄)の利用状況の変遷は下表の通り。
- 輸送実績(乗車人員)の単位は人であり、年度での総計値を示す[2]。年度間の比較に適したデータである。
- 乗降人員調査結果は任意の1日における値(単位:人)である。調査日の天候・行事等の要因によって変動が大きいので年度間の比較には注意を要する。
年度別利用状況(近鉄吉野口駅) | |||||||||
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年度 | 当駅分輸送実績(乗車人員):人/年度 | 乗降人員調査結果 人/日 |
特記事項 | ||||||
通勤定期 | 通学定期 | 定期外 | 合 計 | 調査日 | 調査結果 | ||||
1982年(昭和57年) | ←←←← | 11月16日 | 2,695 | ||||||
1983年(昭和58年) | ←←←← | 11月8日 | 2,441 | ||||||
1984年(昭和59年) | ←←←← | 11月6日 | 2,680 | ||||||
1985年(昭和60年) | ←←←← | 11月12日 | 2,485 | ||||||
1986年(昭和61年) | ←←←← | 11月11日 | 2,605 | ||||||
1987年(昭和62年) | ←←←← | 11月10日 | 2,599 | ||||||
1988年(昭和63年) | ←←←← | 11月8日 | 2,376 | ||||||
1989年(平成元年) | ←←←← | 11月14日 | 2,534 | ||||||
1990年(平成2年) | ←←←← | 11月6日 | 2,473 | ||||||
1991年(平成3年) | ←←←← | ||||||||
1992年(平成4年) | ←←←← | 11月10日 | 2,659 | ||||||
1993年(平成5年) | ←←←← | ||||||||
1994年(平成6年) | ←←←← | ||||||||
1995年(平成7年) | ←←←← | 12月5日 | 2,588 | ||||||
1996年(平成8年) | ←←←← | ||||||||
1997年(平成9年) | ←←←← | ||||||||
1998年(平成10年) | ←←←← | ||||||||
1999年(平成11年) | ←←←← | ||||||||
2000年(平成12年) | ←←←← | ||||||||
2001年(平成13年) | ←←←← | ||||||||
2002年(平成14年) | ←←←← | ||||||||
2003年(平成15年) | ←←←← | ||||||||
2004年(平成16年) | ←←←← | ||||||||
2005年(平成17年) | 335,640 | ←←←← | 60,549 | 396,189 | 11月8日 | 2,187 | |||
2006年(平成18年) | 337,290 | ←←←← | 52,933 | 390,223 | |||||
2007年(平成19年) | 293,940 | ←←←← | 54,388 | 348,328 | |||||
2008年(平成20年) | 267,420 | ←←←← | 53,821 | 321,241 | 11月18日 | 1,707 | |||
2009年(平成21年) | 235,620 | ←←←← | 48,478 | 284,098 | |||||
2010年(平成22年) | 146,340 | ←←←← | 21,679 | 168,019 | 11月9日 | 1,628 | |||
2011年(平成23年) | 190,686 | ←←←← | 25,254 | 215,940 | |||||
2012年(平成24年) | ←←←← | 11月13日 | 1,483 |
駅周辺
歴史
- 1896年(明治29年)
- 1903年(明治36年)5月15日 - 吉野口駅に改称。
- 1904年(明治37年)12月9日 - 南和鉄道の路線を関西鉄道が承継、同社の駅となる。
- 1907年(明治40年)10月1日 - 関西鉄道が鉄道国有法により国有化。国有鉄道の駅となる。
- 1909年(明治42年)10月12日 - 線路名称が制定され、和歌山線の所属となる。
- 1912年(大正元年)10月25日 - 吉野軽便鉄道(現在の近鉄吉野線の前身)が当駅 - 吉野駅(現在の六田駅)間で開業。同社と国有鉄道の共同駅となる。
- 1913年(大正2年)5月31日 - 吉野軽便鉄道が吉野鉄道に社名変更。
- 1923年(大正12年)12月5日 - 吉野鉄道が橿原神宮前駅(初代)まで延伸。同線においても途中駅となる。
- 1929年(昭和4年)8月1日 - 大阪電気軌道が吉野鉄道を合併。国有鉄道と大軌(吉野線)の駅となる。
- 1941年(昭和16年)3月15日 - 大阪電気軌道と参宮急行電鉄が合併、関西急行鉄道が発足。同社と国有鉄道の駅となる。
- 1944年(昭和19年)6月1日 - 戦時合併により関西急行鉄道が近畿日本鉄道に改組。同社と国有鉄道の駅となる。
- 1987年(昭和62年)4月1日 - 国鉄分割民営化により、西日本旅客鉄道と近鉄の合同駅となる。
- 1989年(平成元年)5月18日 - 近鉄の特急停車駅になる。
- 2007年(平成19年)4月1日 - 近鉄吉野線でICカードPiTaPa供用開始。
隣の駅
- 西日本旅客鉄道
- テンプレート:Color和歌山線
- テンプレート:Color快速(大和路線直通)・テンプレート:Color普通
- 近畿日本鉄道
- 吉野線
脚注
関連項目
外部リンク
- テンプレート:外部リンク/JR西日本駅
- 吉野口|K's PLAZA - 近畿日本鉄道
- ↑ 『JR時刻表』交通新聞社 2010年8月号 p.330
- ↑ 奈良県統計年鑑
- ↑ 近畿日本鉄道 駅別乗降人員
- ↑ 近畿日本鉄道 駅別乗降人員