高橋宏志
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高橋 宏志(たかはし ひろし、1947年12月18日 - )は、日本の法学者、弁護士。中央大学法科大学院教授、東京大学名誉教授。専門は民事訴訟法。神奈川県出身。
人物
新堂幸司の弟子で、法科大学院(日本版ロースクール)制度の導入に大きく関与した。自分の講義を受けた学生からカオスに陥ると告白されたことなど様々なエピソードを自ら披露し[1]、歯に衣着せぬ物言いで著名である。また、「食べていけるかどうかを法律家が考えるというのが間違っている」、「人々のお役に立つ仕事をしていれば、法律家も飢え死にすることはない」[2]と法律家としての心構えを述べている。ウェブ掲示板等において、「ピロシ」とあだ名されている。
学説
訴訟物について、師である新堂と同じく「新訴訟物理論」「訴訟法説」をとり、その他の論点についても、『法学教室』の連載を元にした後掲『重点講義民事訴訟法』において、民事訴訟の目的論について自らの態度を決定しないとの棚上げ論をとり[3]、抽象的な目的論から演繹的に具体的規範の提示をするべきでないとして、精緻な利益考量を経た解釈論を多々主張しているが、それらの解釈論は新堂説を乗り越えていないと井上治典から論評されたことがある[4]。
学歴
- 1966年 神奈川県立湘南高等学校卒業
- 1971年 東京大学法学部第一類卒業
職歴
- 1971年7月 - 東京大学法学部助手
- 1974年12月 - 東京大学法学部助教授
- 1985年8月 - 東京大学法学部教授
- 1991年4月 - 東京大学大学院法学政治学研究科教授
- 2004年4月 - 東京大学大学院法学政治学研究科長・法学部長(2007年3月まで)
- 2006年1月 - 司法試験委員会委員長
- 2007年4月 - 国立大学法人東京大学理事(副学長)
- 2009年4月 - 中央大学法科大学院教授
- 2009年 - 弁護士登録(第二東京弁護士会)、東京大学名誉教授
- 2009年7月 - 森・濱田松本法律事務所客員弁護士
著書
論文
- 「必要的共同訴訟論の試み」(『法学協会雑誌』92巻5号、6号、10号、1975年)
- 「米国ディスカバリー法序説」(『法協百周年記念論文集』第3巻、1983年)
- 「確定判決後の追加請求」(中野貞一郎先生古稀祝賀『判例民事訴訟法の理論(上)』、1995年)