精通

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テンプレート:See Wiktionary テンプレート:複数の問題 テンプレート:性的 精通(せいつう)とは、男子的に成熟していく過程で生まれて初めて経験する射精。本項では精通に加え、精通前後の男子にとって関連のある第二次性徴や若年者の性行動(オナニーセックス)の諸要についても記述する。

概要

女子初潮(初経)に相当する。初潮を迎えた女子とともに、子供をつくる(生殖)能力を獲得したことを意味し、身体的に子供から大人へと一歩成長したことをあらわす。

多くの場合、夢精またはオナニー(マスターベーション・自慰)によりペニス勃起し、射精することによって精通を経験する。14歳までにほぼ半数の者が経験する(後述 #精通年齢と射精経験率の項を参照)。精通すると以降、女性とセックス(性交)を行った場合には相手を妊娠させる可能性がある。

男子では思春期以降、性的成熟に伴い、精液精巣精管前立腺精嚢などで生産されるようになる。生産過剰になった精液が蓄積の限界を超えると睡眠中に夢精という形で体外へ放出される。また、夢精以外ではオナニーを行ったり、痒みや好奇心がきっかけでペニスを刺激することで勃起してそのまま射精へ至り、精通を経験する場合もある。

精液が活発に生産されていない思春期以前の男児でも、陰茎を刺激することによって、快感の頂点であるオーガズム性的快感)は十分得られるが、まだ精液が十分生産されていないため、射精をする事はない(ドライオーガズム)。しかし、精液が活発に生産され始める思春期以降は、オーガズムによって引き起こされる、前立腺や尿道周囲の諸筋肉の収縮により、精液が尿道を勢いよく通過し、陰茎亀頭に開口する外尿道口から数回にわたって射出されるようになる。

オナニーやセックスによらない射精のことを遺精(いせい)と言う。医学的には生理的遺精と病的遺精に大別される。前出のように夢精や外的刺激によって勃起して射精する場合は生理的遺精である。

性交渉の注意

妊娠の可能性と避妊

精通を迎えると以降、女性とのセックスをした場合に相手を妊娠させる可能性があることは既に述べたが、仮に精通前の男児であっても、すでに精通が可能な状態にまで性機能の成熟が進んでいる場合があり、性交渉の低年齢化が叫ばれているなか、セックスをきっかけに精通を迎える可能性もある。

セックスの相手が女性で、特に避妊措置をせずそのまま内にペニスを挿入した状態の場合、はじめて射精した精液といえども妊娠の可能性は否定できない。 したがって望まない妊娠を避けるためには、精通前であってもペニスのサイズに合ったコンドームを選択するなど、避妊具を使用することが望ましい。

青少年の性交渉と罰則

日本では性交同意年齢に達していない13歳未満の者との性交渉は同意があったとしても強姦罪に、18歳未満の者との性交渉は青少年健全育成条例迷惑防止条例等の違反に問われる場合がある。両者とも13歳未満の場合はお互いに性交に対する判断能力を有していないとみなされるため、児童相談所への通告などが行われる可能性があるが、両者とも13歳以上18歳未満であり、合意のうえでの性交渉の場合は処罰の対象外と判断されることが多い[1]

精通と性の悩み

ペニスの増大、発毛と学校行事

精通は精巣や前立腺などの内性器の発達と関連があると考えられており、外見からわかる特徴としては、精通を迎える前後には精巣(睾丸)や陰茎(ペニス)の著しい成長がみられる。また、性器周辺の発毛(陰毛の発生)がみられる者もいる。小学校4年生や5年生など、比較的早い時期にこれらの特徴が表れた場合、体全体の大きさに比べて不釣合いなほどに性器が大きく成長するため、同級生からからかわれることを恐れて林間学校や修学旅行などの入浴に対して悩みをもつ場合がある。

中学校に進学すると状況は逆転し、陰毛が生えてこないことに悩みをもつ者もいる[2]

精通年齢、発毛年齢ともに個人差が大きく、精通後1、2年にわたって無毛のままである場合も、陰毛がある程度生え揃ってなお精通を迎えないことも、精通も発毛もなかなか来ないことも、珍しいことではない。

剃毛

精通を迎える頃の男児の中には、生え始めたばかりの陰毛を剃る者もいる。前述した学校行事などの際、入浴時に陰毛があることで同級生からからかわれることを心配して剃る場合もあるが、自分の体の成長に対する戸惑いから、成長の象徴といえる陰毛を剃る場合があり、児童心理学では戸惑いから来る成長の否認、もしくは抵抗として、一種の赤ちゃん返りに似た心理行動として受け止められている。

これは防衛本能の一種であって、剃毛によって心の安定を取り戻す効果があり、陰毛は剃ってもまた生えてくるので問題はないが、剃刀の使用は精通前後の男児の多くにとって初めてのことであり使用に不慣れなため、以下の点に注意すること。

  • 清潔な場所で清潔な剃刀を使用するなど衛生に注意すること。
  • T字ではない直刀の剃刀は不慣れな者には非常に危険であるので絶対に使用しないこと。
  • 電気カミソリの使用は性器周辺のようなデリケートな部分では怪我をする可能性があるので使用しないこと。
  • 深剃りによって肌を傷つける可能性があるので、髭剃り向けに売られている深剃り用の多枚刃の剃刀は使用しないこと。
    • できる限りムダ毛処理用の1枚刃のT字剃刀で安全ガードの付いたものを使用することが望ましい。
  • 剃毛にあたっては陰毛や肌を充分に濡らし、石鹸を付けて滑りをよくすること。
    • 髭剃り用のジェルにはアルコールメントール成分が含まれている場合があり、これは陰嚢に付くと焼けるような激しい痛みを伴うので使用しないこと。
  • 剃毛中の転倒による怪我を避けるため、床に直接尻をついて座り、中腰や蹲踞の姿勢、浴槽の縁に腰掛けるなどの不安定な姿勢は避けること。
  • 剃刀の使用方法を充分に確認すること。
    • T字剃刀の場合は横には絶対に動かさず、柄の手前方向にゆっくり引くように動かすこと。
  • 剃った毛が洗い場に残ったり、体に付いたまま湯船に入って陰毛が湯船に浮くことを避けるため、剃った毛はシャワーなどで確実に洗い流すこと。
  • 深剃りによって毛穴から血がにじむ程度は問題ないが、血管を傷つけるなどして血が止まらない場合は恥ずかしがらず親や周囲の大人に助けを求めること。

カウパー氏腺液による誤認

精液を生産し始めるタイミングとカウパー氏腺液を生産し始めるタイミングには個人差があり、射精が可能になってからカウパー氏腺液の分泌が可能になる者もいれば、その逆の者もいる。後者の場合は、性に関する話を友人とした際など性的興奮が高まった際にカウパー氏腺液が分泌されて下着を汚したり、オナニーによってオーガズムに達した場合でも射精をせず、透明なカウパー氏腺液のみが尿道から滲み出すように分泌される期間がある。

カウパー氏腺液は性的興奮状態にあるときに分泌される粘り気のある液体という点は精液と同様であるため、性知識の少ない男児はカウパー氏腺液の分泌を射精と誤認し、「精液の色が薄い」、「飛ばない」などの悩みを抱える場合がある。カウパー氏腺液は透明でペニスの先から滲み出すように分泌されるものであり、まったく正常である。

この場合(「はじめての射精のこと」という言葉の定義上)精通はまだしていない状態ではあるが、カウパー氏腺液を分泌できるということは各器官が着実に成熟しつつある証拠であり、いつ精通を迎えてもおかしくない。

飛ばない悩みとオナニーの頻度

精通を迎えた男児がもつ悩みに「精液が飛ばない」というものもある。オナニーによって射精をしても精液が飛ばずペニスから滴り落ちるようにしか精液が出ないというものである。精液は常に勢いよく射出されるものではなく、前回の射精からの日数や、射精時の性的興奮の度合い、その日の体調によって射精の勢いには違いがある。

思春期には精液の生産が活発であるが、一日に何度もオナニーをするなど射精の頻度が多い場合もあり、精液が飛ばなくてもとくに心配はいらない。またオナニーの頻度についても思春期の多くの男児の共通する悩みであるが、多いからといって心配はいらない。

精通と性教育

男子の精通年齢が低年齢化してきたことから、1980年代末頃から小学校において男子に対する性教育が行われるようになり、以降は教科詰め込み型の教育からゆとり教育への方針転換に伴い、医師助産師を外部講師として招き「いのちの授業」として男女共に同じ教室で第二次性徴性交出産などを体系的に教える現在のような性教育につながっていった。

統計

精通年齢と射精経験率

男子の第二次性徴は急激な勢いで中学生頃に起こる。精通年齢は戦後、身体的発育の早期化(いわゆる早熟化)に伴って早まったが、1970年生まれより最近は延慢化しており、女子における初潮年齢も傾向にあまり違いがないとする調査結果が発表されている[3]


日本性教育協会が6年に一度行っているアンケート調査の結果では、1999年調査までは各学校種別における射精経験率が年々高まる傾向(早期化の傾向)を示しており、特に1999年の調査では中学生(1年生から3年生の在籍者)における射精経験者数は半数を超えるに至ったが、2005年、2011年に行われた調査では遅延化の傾向を示しており、2011年調査における中学校在籍者の射精経験者は全体のおよそ1/3と、1987年調査時の水準に戻っている。

射精経験率の推移
学校 中学 高校 大学
1987年[4] 37.8% 83.8% 92.0%
1993年[4] 46.7% 86.0% 91.5%
1999年[4] 52.9% 88.6% 97.2%
2005年[5] 44.4% 86.6% 97.2%
2011年[6] 36.2% 82.8% 96.8%

(設問「あなたは、いままでに、射精(精液が出ること)を経験したことがありますか」に「はい」と回答した者の学校種別割合。調査対象に中学生を追加した1987年(第3回)調査以降の数値。)


同じ調査の結果を回答者の年齢別に集計したものでは、1999年調査の14歳の射精経験率が6割に達するのに比べ、2005年調査では13歳から15歳までの各年齢で1999年の経験率と比べ1割程度低下しており、6割を超える年齢、9割を超える年齢とも、1999年調査より1歳遅い15歳、18歳と遅延の傾向を示している。

射精経験者の年齢別割合
年齢 12歳 13歳 14歳 15歳 16歳 17歳 18歳 19歳 20歳 21歳
1999年[4] 21.8% 39.6% 60.0% 74.6% 82.9% 92.1% 93.7% 89.3% 100.0% 99.2%
2005年[5] 24.6% 29.4% 52.2% 61.6% 80.0% 88.7% 94.2% 96.1% 95.6% 97.9%

(設問「あなたは、いままでに、射精(精液が出ること)を経験したことがありますか」に「はい」と回答した者の年齢別割合)

※ 2011年調査では回答者の年齢別集計表が公開されていない。

(註:同一集団に対する追跡調査ではなく、各調査年におけるそれぞれの年齢の生徒・学生の経験率であるため、より高い年齢で経験率が落ちる場合があるが矛盾しない)


小学生のうちに精通を迎えた者の精通時年齢については、精通をした年齢を問う設問によって明らかになるが、各調査年度とも6%から7%の者が10歳(まで)に精通したと回答しており、概ね小学4年生以降に精通を迎えた場合には思春期早発症などを心配する必要は特にないといえる[7]。また、思春期遅発症については14歳までに精巣の発育の兆候がみられない場合に該当することがあるが、18歳でおよそ1割弱の者が射精を経験していないと回答していることからもわかるように、遅発症は精通の有無による判断ではなく、精巣(睾丸)の増大、陰茎の発育、陰毛の発生、陰部が赤みや黒みを帯びる等の第二次性徴特有の兆候がみられる場合には特に心配をする必要はない。

精通を経験した年齢
年齢 9歳 10歳 11歳 12歳 13歳 14歳 15歳 わからない/無回答
1999年[4] 6.7% 11.9% 33.2% 30.9% 9.0% 0.2% 8.1%
2005年[5] 7.0% 8.2% 31.6% 29.9% 12.3% 1.4% 9.6%
2011年[6] 0.2% 6.1% 10.2% 25.6% 29.1% 9.5% 1.0% 18.3%

(射精を経験したことがあると回答した者に対する設問「はじめての射精があったのは、何歳のときでしたか」に対する中学生の回答。1999年と2005年は10歳までの回答を「10歳以前」として10歳の欄に計上)

(小学生のうちに精通を迎えた者の最新の統計を示すために中学生の回答結果を引用したが、12歳から15歳の割合については参考程度にとどめられたい。理由は、11歳までの数値については中学生は全員がその年齢を満了しており純粋な回想回答となるのに対し、12歳以上では12歳になったばかりでまだその年齢を満了していない者、その年齢にまだ達していない者が調査対象に含まれ、回想回答よりも低い値を示すためである。また、精通を経験したときの年齢を問う設問であり、上述した年齢別の射精経験割合(調査時の年齢)とは異なる値を示すことにも注意されたい。)

オナニーの経験率と開始年齢、頻度

日本性教育協会のアンケート結果では、射精経験率と同様、1999年までの調査で経験率が高まる傾向を示し、その後は低下に転じている。中学生(1年生から3年生の在籍者)、高校生(同)の経験率が1999年から2011年にかけて1割以上も減少しているのに対し、大学生の経験率が3%の減少にとどまることから、オナニーの開始年齢も精通年齢と同様、遅延化の傾向を示しているといえる。

オナニー経験率の推移
学校 中学 高校 大学
1987年[4] 30.0% 81.2% 92.2%
1993年[4] 33.0% 80.7% 91.5%
1999年[4] 41.6% 86.1% 94.2%
2005年[5] 28.1% 79.8% 94.4%
2011年[6] 23.0% 74.6% 91.1%

(設問「あなたは、自慰(マスターベーション、オナニー)をしたことがありますか。」に「ある」(2005年調査まで)、「1か月以内に経験がある」及び「経験はあるが、ここ1か月はしていない」(2011年調査)と回答した男子の学校種別割合。調査対象に中学生を追加した1987年(第3回)調査以降の数値。)

オナニー経験者の年齢別割合
年齢 12歳 13歳 14歳 15歳 16歳 17歳 18歳 19歳 20歳 21歳
1999年[4] 13.8% 27.6% 46.3% 67.4% 80.6% 87.9% 93.7% 88.7% 98.6% 85.7%
2005年[5] 20.0% 15.1% 30.4% 48.9% 69.5% 83.0% 89.6% 92.2% 94.9% 93.8%

(設問「あなたは、自慰(マスターベーション、オナニー)をしたことがありますか。」に「ある」(2005年調査まで)、「1か月以内に経験がある」及び「経験はあるが、ここ1か月はしていない」(2011年調査)と回答した男子の年齢別割合。)

ソフト・オン・デマンドが首都圏の16歳から59歳の男女に対して行った2009年[8]および2012年[9]の調査によると、男性のオナニー開始年齢の平均は2009年調査で13.2歳、2012年調査で13.4歳で、オナニーを開始した年齢で最も多いのが2009年調査では12歳(約22%)、2012歳調査では13歳(約25%)で、2009年調査、2012年調査とも、11歳から14歳までの間におよそ6割がオナニーを経験したと回答している。

オナニーの頻度については、16歳~19歳で週4~5回以上オナニーをすると回答した男性は42.1%、週1回以上オナニーをすると回答した男性は89.9%に達する。

オナニーの頻度[9]
頻度 割合
ほぼ毎日 21.6%
週4~5回 20.5%
週2~3回 36.4%
週1回程度 11.4%
月に2~3回 4.5%
月に1回以下 1.1%
答えたくない 4.5%

(設問「あなたの過去1年間のマスターベーション(オナニー、自慰)頻度はどのくらいですか」に対する16歳~19歳男性の回答)

また、オナニーをする場所については下表のようになる。

オナニーをしたことがある場所[9]
場所 普段している 普段している
+ したことがある
自分の部屋(ベッドや布団以外) 62.8% 92.7%
ベッドや布団の中 31.2% 69.0%
自宅のトイレ 12.4% 48.5%
風呂場 7.5% 67.8%
職場や学校のトイレ 1.5% 23.5%

(設問「あなたはどこでマスターベーション(オナニー、自慰)をしたことがありますか。あてはまるものを全てお選びください」の回答結果上位5件)

セックスの経験率と初交年齢

性教育協会の調査では、2005年調査以降、高校生、大学生のセックス経験率が減少しているのに対し、中学生では1999年以降ほぼ横ばいで推移しており、低年齢でセックスを経験する一定の層が形成された反面、それ以外の層では初交年齢が高くなる二極化の様相を呈している。

セックス経験率の推移
学校 中学 高校 大学
1987年[4] 2.2% 11.5% 46.5%
1993年[4] 1.9% 14.4% 57.3%
1999年[4] 3.9% 26.5% 62.5%
2005年[5] 3.6% 26.6% 61.3%
2011年[6] 3.7% 14.6% 53.7%

(設問「あなたは、いままでに、セックス(性交)の経験がありますか。」(中学生は「セックス(性交)の代わりに「性的接触」)に「ある」と回答した男子の学校種別割合。調査対象に中学生を追加した1987年(第3回)調査以降の数値。)

セックス経験者の年齢別割合
年齢 12歳 13歳 14歳 15歳 16歳 17歳 18歳 19歳 20歳 21歳
1999年[4] 1.1% 1.8% 3.7% 9.9% 19.7% 28.7% 38.9% 46.0% 54.3% 53.4%
2005年[5] 1.5% 1.6% 5.2% 7.2% 21.4% 24.2% 38.0% 51.5% 57.7% 67.6%

(設問「あなたは、いままでに、セックス(性交)の経験がありますか。」(中学生は「セックス(性交)の代わりに「性的接触」)に「ある」と回答した男子の年齢別割合。)

ソフト・オン・デマンドの調査では、初交年齢(はじめてセックスをした年齢)の平均は19.0歳(2009年調査)、19.1歳(2012年調査)で、16歳~19歳の男性では32.8%(2009年調査)、28.0%(2012年調査)がセックスを経験済みであるとしている。10代のうちにセックスを経験した層の平均初交年齢は16.6歳(2009年調査)から16.4歳(2012年調査)の間でほぼ横ばいであり、初交時のコンドーム使用率は16歳~19歳の層で87.2%(2009年調査)、82.5%(2012年調査)に上る。

周囲の大人の対応

女子における初潮の場合は経血の処置や生理痛、ホルモンバランスの変動により心身が不安定になることから、周囲の大人、特に母親による対応が行われ、日本では初潮を迎えたことを祝って赤飯を炊く習慣がある。

しかし精通の場合は特に医療的なケアが必要なものではないこと、子育てにおいて主導的役割を果たしてきた母親にとって男の子の性の問題は扱いにくいものであること、射精による性的快感を伴うことから精通を迎えた男児本人も親や周囲の大人にあまり話さない(オナニーによって精通を迎えた場合は特に)など、複数の要因から、健常児に対して、精通に対する周囲の大人の直接的な対応が行われることは稀で、精通があったかどうかを本人に問うたりすることは本人を困惑させ傷つける行為として、特に母親が息子のオナニーについて咎めたりすることはタブーとされる。一緒に暮らす親や周囲の大人からみて、オナニーの頻度が多いことが伺われる兆候があったり、射精後のティッシュの処理が乱雑であったりしても、本人の成長に伴って自然に解決する問題として干渉しないことが多い。

しかし、異性との交際が明らかになった際に「むやみにセックスをしないこと」「もしセックスをする状況になったら、必ずコンドームを使うこと」を言い聞かせることは学校の性教育でも行われていることであり問題はない。ただしその際にコンドームを渡したとしてもその時限りであり、渡したコンドームを使い切った後の問題が残る。わが子に何度もコンドームを渡すことは親子ともに心理的抵抗を感じるので、金銭面の問題なくコンドームを購入できるように小遣いの量を増やしたり、あるいは両親の留守中など親の目を盗んで子供が寝室に出入りする前提で考えた場合、たとえ両親がセックスレスであったとしても寝室にコンドームを常備しておくことは、望まない妊娠を避けることに効果がある。ペニスのサイズは概ね高校生程度で成人男性と同等の大きさに成長する。男児が中学生以下の場合、ペニスがまだ成人ほどには発達していないため、セックス中にコンドームが外れてしまわないよう、小さなサイズのコンドームを常備することが望ましい。

剃毛についても、子供が安全に陰毛を剃れるよう、ムダ毛処理用の安全剃刀を脱衣場等に常備しておくことは怪我を防ぐ上で効果が見込める。

障害児と精通

知的障害児の場合、精通を含む性の目覚めは大人になってきたしるしとして理解されるよりも、やっかいなこととして認識されやすい[10]

知的障害精神遅滞自閉症のある男児の中には、オナニーによって性欲を処理することを自らの試行や同年代の友人からの情報によって獲得することが困難で、思春期の旺盛な性欲のはけ口がなく、周囲の女性に抱き付いたり、性に対する羞恥心を獲得することが困難な者の場合は他人の面前でオナニーをする等のトラブルを招くことがある。そのような性に関するトラブルを防ぎ、また本人の性の尊厳を守る目的で、性的欲求を社会生活上問題のない形で自分で解消させるため、障害児者の状況に応じて、オナニーのやり方やマナーを親や周囲の大人が詳しく教えることがある[11]

また、身体障害児の場合にも問題がある。手がない、動かせないなどの障害をもつ場合、手を使ったオナニーを行うことは不可能であり、ペニスを布団などにこすりつけるなどの方法でのオナニーとならざるを得ないほか、射精後にティッシュで拭くなどの後片付けも不可能である。布団を汚す可能性も高い。そのため、頻繁に洗えるよう、汚してもよい大きめの柔らかいタオルを用意するなど介護者が配慮することが多い。

脳性まひ筋ジストロフィーなどの全身性の運動障害でオナニーを行うこと自体が困難な場合、介護者の手による射精介助が行われる場合もある[12]が、配偶者がいない場合、親や兄弟姉妹がこれを行うことは心理的に大きな抵抗があり、頼りとなる外部の介護スタッフの場合、「性的サービス」としてデリバリーヘルスと同様の扱いを受け風俗営業法の届出を提出することを求められる[13]など、法制面の問題が残っている。

精通を題材にした作品

参考文献

  1. *18歳男子と16歳女子 「高校生カップル」の性交渉は「条例違反」になる?|弁護士ドットコム
  2. NHK 中学生日記「ボクの生えいずる悩み」などでとりあげられている
  3. 精通年齢(初めての射精年齢)の遅延傾向(額田成、江口純治 神戸市立西市民病院小児科)
  4. 4.00 4.01 4.02 4.03 4.04 4.05 4.06 4.07 4.08 4.09 4.10 4.11 4.12 「若者の性」白書(日本性教育協会) 第5回調査報告、小学館、ISBN4-09-837046-8。1987年、1993年のデータは11ページ掲載の概要による。
  5. 5.0 5.1 5.2 5.3 5.4 5.5 5.6 「若者の性」白書(日本性教育協会) 第6回調査報告、小学館、ISBN978-4-09-837047-4
  6. 6.0 6.1 6.2 6.3 「若者の性」白書(日本性教育協会) 第7回調査報告、小学館、ISBN978-4-09-840147-5
  7. 日本小児内分泌学会による思春期早発症の定義[1]では、9歳までに精巣(睾丸)の発育がみられるものを思春期早発症の主な症状として挙げている。
  8. SOD Sex Survey 2009 ~日本人の性意識/行動の実態調査~ 調査報告書
  9. 9.0 9.1 9.2 SOD Sex Survey 2012 ~日本人の性意識/行動の実態調査~ 調査報告書
  10. お父さん、出番ですよ[2]、東京都心身障害者福祉センター 山本 良典
  11. 知的障害・発達障害児者のための射精支援ガイドライン[3]、一般社団法人ホワイトハンズ
  12. 【射精介助】自力での射精行為が困難な男性重度身体障害者の方へ[4]、一般社団法人ホワイトハンズ
  13. 「性介護」提供する非営利組織代表と頭固い警察とのやりとり[5]、NEWSポストセブン 2012年6月20日

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