新日本紀行
『新日本紀行』(しんにほんきこう)は、1963年10月7日から1982年3月10日までNHK総合テレビで放送されたテレビ番組である。18年半続いた番組で、制作本数は計793本にのぼる。本項目では、2005年から放送されている『新日本紀行ふたたび』(しんにほんきこうふたたび)についても記載する。
目次
概要
日本で初めての本格的な紀行番組でNHKアナウンサーが日本各地の原風景を訪ね、それにナレーションやインタビューを加えるという体裁を取り入れた。
1969年4月7日放送分よりテーマ音楽を変更し、内容もそれまでの風土記から人間の記録を中心とした紀行ドキュメントにねらいを変えている。テーマ音楽はいずれも冨田勲の作曲で『TOMITA ON NHK』というCDに収録されている。有名な後期のテーマ音楽のタイトル「祭りの笛」は冨田勲本人の命名ではなく、後にレコードやCDで販売するために便宜的に付けられたものである。1982年の最終回まで一貫してフィルム(16㎜フィルム)で撮影され、VTR(ビデオテープ録画)(ENG、ベータカム)録画は用いられなかった。
1960年代から1970年代までの当時は、放送用ビデオテープが大変高価なために、放送された番組のほとんどは消去されて新番組の収録に再利用されるのが一般的であった中で、前述の通りフィルム撮影だったために保存され、全793本の映像が現存している。
白黒で始まった番組のカラー放送化は、1967年3月20日の「南房総」の回の後、同年4月3日の「五島列島」の回から全面カラー化された。
NHKのラジオ放送開始70周年を迎えた1995年から1996年にかけて、(1970年9月21日に放送された「三重連の峠〜秋田・青森県境 矢立峠〜」の回など、過去の再放送などを通して特に人気のあった作品60本を傑作選としてNHKソフトウェア(現:NHKエンタープライズ)、日本ビクター販売で第1期・第2期に分けて各30巻ずつ、全60巻のビデオソフトとして発売された。ビデオソフト化された60本のリリースに際しては、テーマ音楽を含めた音楽とナレーションは放送当時のものを基にしてステレオ方式で新たに収録し直され、テロップも新しくなっているが、テーマ音楽については、1969年4月以前に放送された作品も、『祭りの笛』をステレオで新たに収録し直されたものに変更されている。
また、2000年1月6日から3月16日まで毎週木曜日にNHK総合テレビで『よみがえる新日本紀行』と題して、過去に放送された同番組をデジタルリマスタリング処理(NHKアーカイブス・リマスタリングの項参照)を施して再放送した。
2000年に始まったかつてのNHKの傑作番組を再放送する『NHKアーカイブス』の中でも同番組が度々放送される。特にリクエスト放送が始まった2002年以降は放送頻度も増えて、これが後述の『新日本紀行ふたたび』の誕生のきっかけとなる。
2007年にはNHKアーカイブスのサイトに「新日本紀行全記録」のリンクができ、第1回から最終回まで全ての放送日とタイトルなどが検索できるようになった。
なお、映像修復ならびに権利処理が済んだ一部の作品は全国のNHKにある番組公開ライブラリーで閲覧が可能である。
放送時間の遍歴
初回放送
- 1963年10月7日 - 1964年3月30日:毎週月曜日 21:00 - 21:30
- 1964年4月6日 - 1977年3月14日:毎週月曜日 19:30 - 20:00
- 1977年4月4日 - 1978年3月27日:毎週月曜日 20:20 - 20:50
- 1978年4月5日 - 1982年3月10日:毎週水曜日 22:00 - 22:30
再放送
- 1963年10月10日 - 1964年4月2日:毎週木曜日 11:00 - 11:30
- 1964年4月8日 - 1966年3月30日:毎週水曜日 11:00 - 11:30
- 1966年4月6日 - 1967年3月29日:毎週水曜日 11:20 - 11:50
- 1967年4月4日 - 1969年4月1日:毎週火曜日 23:10 - 23:40
- 1969年4月8日 - 1971年3月30日、1975年4月22日 - 1976年3月30日:毎週火曜日 23:20 - 23:50
- 1971年4月6日 - 1975年4月1日:毎週火曜日 23:15 - 23:45
- 1976年4月10日 - 1978年4月1日:毎週土曜日 11:20 - 11:50
- 1978年4月9日 - 1982年3月14日:毎週日曜日 7:30 - 8:00
本放送時の主なナレーター
その他にも、各地方放送局のアナウンサーがナレーターを担当したこともある(1979年から1981年頃の放送でよく見られる)。
新日本紀行ふたたび
2005年4月9日からは、放送80周年記念のタイミングに合わせて日本時間の毎週土曜日11:25から11:54に『新日本紀行ふたたび〜NHKアーカイブス〜』が放送されている。同番組では『新日本紀行』で訪れた日本各地をもう一度訪れて、当時との歴史比較を展開していく。当番組の前に放送されている『NHKアーカイブス』の兄弟番組という位置づけになっており、『新日本紀行ふたたび』放送開始後は『NHKアーカイブス』本編での『新日本紀行』の放送は無くなっている。NHKエンタープライズが共同制作し、千代田ラフトが制作協力しているがこの両者のテロップはエンディングで出る時と出ない時がある。
- 『新日本紀行』と同じく当番組のテーマも「祭りの笛」であるが、冨田勲の提案により薩摩琵琶奏者・坂田美子のボーカル入りとなっている。番組開始当初はオープニングとエンディングで坂田のボーカル入りの「祭りの笛」が流れていたが、2006年2月26日放送分からエンディングでボーカルなしのバージョンが流れている。
- 放送開始当初は番組中で『新日本紀行』のVTR(フィルム映像)が流れる時には冒頭のBGMでオリジナルの「祭りの笛」がフルコーラス流れていた[1]が、これも2006年5月6日以降の放送では回によって流れなかったり途中でフェードアウトするようになった。
- 当番組のベースとなる『新日本紀行』は1969年4月のマイナーチェンジを挟んで18年半放送されたが、『新日本紀行ふたたび』でマイナーチェンジ前に訪れた土地は2007年1月20日放送の「浅草」(『新日本紀行』では1968年12月23日放送)と2008年1月12日放送の「故郷へのみち〜石川県奥能登深見〜」(『新日本紀行』では「奥能登」のタイトルで1964年6月29日放送、また1973年10月8日放送の「みち」でも訪れている)のみである。
- 2008年10月末時点で最も多く取り上げられたのは北海道で10回、次いで東京都が8回、京都府が6回である(2008年1月2日放送の新春スペシャルの分も含む)。一方、愛知県は『新日本紀行』では名古屋市、瀬戸市、犬山市、南知多町などが取り上げられているがまだ1度も取り上げられていない。
- 2012年度はレギュラーでの編成を終了し、不定期の特番扱いで放送予定。
- 2012年5月にNHK京都放送局が開局80周年記念として『京都スペシャル・新日本紀行ふたたび』を放送した。
放送時間の遍歴
初回放送
いずれも総合テレビで放送。
- 2005年4月9日 - 2006年1月7日:毎週土曜日 22:20 - 23:00
- 2006年1月29日 - 2006年3月5日:毎週日曜日 17:20 - 18:00(スポーツ中継などにより放送休止や時間変更あり)
- 2006年4月15日 - 2007年9月29日:毎週土曜日 11:00 - 11:40
- 2007年10月13日 - 2008年3月15日:毎週土曜日 11:00 - 11:35(放送時間が35分間に短縮)
- 2008年4月5日 - 2010年3月20日:毎週土曜日 11:25 - 11:54(放送時間がさらに短縮され29分間に変更。10月4日以降は11:53までとなり28分間に変更)
- 2010年4月24日 - 2012年3月17日:月1回程度土曜日 11:30 - 11:54[2]
再放送
総合テレビ
- 2006年4月16日 - 2007年9月30日:毎週日曜日 4:20 - 5:00
- 2007年10月14日 - 2008年3月22日:毎週日曜日 4:20 - 4:55
- 2008年4月6日 - 2010年3月28日:毎週日曜日 4:15 - 4:44
主なナビゲーター
その他のアナウンサーがナビゲーターを担当したこともある。また、『新日本紀行』のVTR(フィルム映像)が流れる時に現役のアナウンサーが吹き替えでナレーションを担当することもある。
関連項目
脚注
外部リンク
- NHKは何を伝えてきたか 新日本紀行全記録 - NHKアーカイブス
- NHKアーカイブス 新日本紀行ふたたび
- ↑ CDに収録されているオープニングのバージョンであることが多いが、回によってエンディングバージョンが流れたり、オープニング・エンディング両方のバージョンが流れたこともある
- ↑ 『目撃!日本列島』を差し替えて放送。ただし、近畿地方は『ぐるっと関西おひるまえ』放送のため9:50 - 10:14に放送。