ゼネバス帝国

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ゼネバス帝国(ゼネバスていこく)は、玩具シリーズ「ゾイド」に登場する惑星Ziに在る架空国家。

概要

中央大陸全土を統一した風族の族長ヘリック・ムーロアの次男、ゼネバスがヘリック共和国に叛旗を翻して建国(ゾイド公式ファンブック1巻では共和国議会の陰謀でゼネバスが追放されたとの記述がある)。暗黒大陸を本拠地とするガイロス帝国と交流を持ち中央大陸西部を領土とし、共和国軍と一進一退の激しい戦いを繰り広げた。惑星Ziに漂着した地球人冒険商人ランドバリーの持つ高い科学力と技術力を手に入れ、共和国軍を凌ぐゾイドを作り上げて苦しめるがZAC2039年、首都が陥落、ゼネバス皇帝はバレシア基地に逃れ、さらに暗黒大陸のガイロス帝国へ亡命する。二年後、中央大陸に再上陸し失地回復。デスザウラーと特殊部隊スケルトンの活躍でZAC2044年、共和国首都を攻略し占領するが、それでも決定的な勝利を得ることになりえなかった。共和国軍は中央大陸各地で徹底抗戦の構えを崩さずにゲリラ戦を展開し、四年後のZAC2048年、共和国首都は共和国軍によって奪還されてしまう。

首都奪還の勢いに乗った共和国軍は帝国軍を撃破し、三年後のZAC2051年にはゼネバス帝国の首都をまたも攻略する。首都を陥落されてしまったゼネバス皇帝は残存兵力を率いて中央大陸北西、ウラニクス湾沖に浮かぶニカイドス島に立て篭もり、ガイロス帝国の救援を待った。しかし、ガイロス帝国はゼネバス皇帝を裏切り、皇帝とその娘、エレナ姫(のちのヘリック共和国大統領、ルイーズ・エレナ・キャムフォード)を拘束した。これは、多大な援助を与えたにも関わらずかつてと同じ状況まで追い詰められた、ゼネバス皇帝の手腕を見限ってのことであったとされる。皇帝およびその娘を暗黒大陸に連行されたことにより、ゼネバス帝国は滅亡した。残存のゼネバス帝国軍はガイロス帝国軍(暗黒軍)に吸収されるが、有力な機材は没収され、二線級部隊として扱われた。

しかし、それからちょうど50年後のZAC2101年、ゼネバス皇帝の子孫にあたるヴォルフ・ムーロア率いる鉄竜騎兵団によって中央大陸は完全制圧され、このゼネバス帝国の名を受け継ぐ新国家ネオゼネバス帝国として復活を果たす事となる。

ヘリック共和国とは対照的に軍国主義全体主義の色合いが濃く、国民全てが兵士という国民皆兵制度がとられている。これは戦争の長期化によってゾイドも含む人的資源が乏しくなり、生活より軍事を優先する政治体制が強まっているからである。このことは軍需産業に携わる武器商人にとって好都合であり、皇帝は彼らの作る兵器を国民の納税額を引き上げても買い取り、軍備を増強していった。国旗は真紅の地色で国章は黒い縁の赤いシールドに蛇とナイフをあしらった意匠である。なお、この国章はネオゼネバス帝国でも用いられた。

軍隊

概要

ゼネバス帝国の軍隊はランドバリーによって整備され、指揮、統制、通信及び情報処理を総括し高度な軍事行動を可能とするC4Iシステム(シー・クウォドルプル・アイ・システム Command Control Communication Computer Intelligence system)の導入、ゾイドの持つ特性を活用した編成となっている。それはたとえ砲弾が炸裂しようとも周りの戦友が倒れようとも密集したフォーメーションを決して崩さず、決定した進路と進行速度は変更せず先鋒が被害を受けても立ち止まらずに味方の屍を乗り越えて敵を追撃し、指揮官の命令で散開、接近戦に移行するというものである。それはまさに古代ギリシア時代に考案され、アレクサンドロス3世(大王)の時代、無敵を誇ったファランクス陣形を彷彿させるような戦法であった。だが、帝国軍は共和国軍やガイロス帝国軍のように陸海空全てバランスが取れた軍隊とは言いがたく陸上戦力のみ突出しており、海上戦力はウオディック、ブラキオス、シンカーとガイロス帝国とあまり変わりが無く、航空戦力はシンカー、シュトルヒ、レドラー、ホエールカイザーぐらいで戦略的な空軍といいがたい。余談だが、ランドバリーが整備する以前の帝国軍は会敵したら即座に交戦、天運を任せた戦い方を「鉄の鎧を着た騎士ごっこ」と揶揄されていた。

編成

ZAC2030年から34年まで(中央大陸戦争中期)のゼネバス帝国軍の編成(ゾイドコアボックス収録 Zi HISTORY FILE参照)
ゼネバス帝国軍はゼネバス皇帝を最高司令官に最高司令本部を頂点とし、機動陸軍航空師団が存在する。機動陸軍にはザットンゲルダーマルダー、モルガ、レッドホーンアイアンコングなど主力ゾイドが配備された機甲師団、高速小型ゾイドのマーダが配備された特殊工作師団、ゲーターが配備された電子探査師団と3つの師団が編成されており、航空師団はシンカーが配備されている。ZAC2036年にはサーベルタイガー(現セイバータイガー)、暗黒大陸の亡命中にホエールカイザーウオディックディメトロドンシーパンツァーなど様々なゾイドを開発。そしてZAC2044年には当時、最大かつ最強のゾイドであるデスザウラーのロールアウトに至った。なお、デスザウラーをサポートするために従来のゾイドと大きくコンセプトの異なる24ゾイドを開発し、特殊部隊スケルトンを編成。デスザウラーを含むスケルトン部隊の活躍により、共和国首都陥落という結果を出した。その後も新型ゾイドを開発や既存ゾイドの強化(アイアンコングMk-IIやグレートサーベルなど)、改造ゾイド(デスドッグ、デスバードなど)を繰り出すが、ZAC2048年、共和国軍によって首都奪回された頃、戦局はゼネバス帝国に味方せず劣勢に陥っていた。

部隊名

ここでは主にゾイドバトルストーリーと関連する部隊名を解説する。

サーベルタイガー軍団
ゾイドバトルストーリー2巻に登場。ダニー・「タイガー」・ダンカン将軍率いるサーベルタイガーの軍団。帝国首都が共和国軍に包囲された際にもバレシア基地に駐留し続け動こうとしなかったが、これはゼネバス皇帝が暗黒大陸へ脱出するためにバレシア基地を守り続ける必要があったからである。残存勢力が集結しつつあるバレシア基地を共和国軍司令部はサラマンダー飛行隊に攻撃を命じたが、ダンカン将軍自ら陣頭指揮を取るサーベルタイガー軍団を率いて迎撃。低空を飛ぶサラマンダーを叩き落し返り討ちにする。この活躍からダンカン将軍は「空飛ぶ虎」とも呼ばれた。ゼネバス脱出の際、脱出に同行せず踏み止まり、ダンカン将軍以下、全滅する。その後、共和国軍はバレシア基地で大量のサーベルタイガーを捕獲し、その優秀な性能に改めて驚きを声を上げると同時に対抗すべきゾイドを開発。そして誕生したのがシールドライガーである。
イグアン空挺部隊
ゾイドバトルストーリー2巻に登場。フロスト中佐率いるイグアン空挺部隊。国境の橋争奪戦において国境周辺を流れるバーナム川に架かるアルメーヘン橋を空から奇襲。奇襲は成功し、本隊のコングMK-II部隊の到着まで橋を確保する予定であったが、共和国軍の猛反撃で援軍の到着前に全滅。だが、コングMK-II部隊が到着しアルメーヘン橋は帝国軍のものとなった。
コングMK-II部隊
ゾイドバトルストーリー2巻に登場。マークII限定型の部隊。国境の橋争奪戦の時、フロスト中佐率いるイグアン空挺部隊の増援として駆けつけたが、イグアン空挺部隊は既に全滅していた。だが、共和国軍のカノントータスの部隊を蹴散らしアルメーヘン橋は帝国軍のものとなった。その後、コングMK-II部隊を率いていたロバット中佐は、スケルトン部隊に編入された。
スケルトン
ゾイドバトルストーリー2巻に登場。帝国軍兵士なら誰でも知っている歴戦の軍人たちを集めた特殊部隊。隊長はトビー・ダンカン少尉。隊員には、国境の橋争奪戦でアイアンコング・マークII限定型部隊を率いて橋を奪取したロバット中佐(後に大佐となる)、帝国陸軍士官学校の教官で「手持ちミサイルのフランツ」の異名を持つフランツ・ハルトマン大尉が所属した。この部隊を編成した目的は、動きが遅く発見されやすい大型ゾイドの大部隊よりも、敵陣地の隙間を槍のようなスピードで突き進む強力なゾイド「デスザウラー」による単独攻撃にあった。そのため、小型かつ少人数で、デスザウラーの手足となって偵察、補給、連絡、護衛、支援の任務に当たる24ゾイドのような少数精鋭で編成された。その成果は、ゴジュラス基地の壊滅、さらにはエリクソン大佐操縦のウルトラザウルスの撃破と大きなもので、ついには共和国首都陥落という結果を出した。
タイプMK-II部隊
グレートサーベルの商品パッケージ参照。「MK-II」で「マークツー」と読む。アイアンコング・マークII量産型を指揮官機とし、デスザウラータイプMK-II、グレートサーベル、ブラキオスNEWブラックライモスNEWによって編成される混成部隊。アイアンコング・マークII量産型以外は、黒、赤、銀で統一された機体色が特徴。
なお、ヘリック共和国軍もタイプMK-II部隊を編成している(ヘリック共和国#部隊名参照)。

主な所属人物

詳細はゾイドバトルストーリーを参照。ここではバトルストーリー以外に登場した人物を記す。

ガンビーノ
ヒストリー・オブ・ゾイドの登場人物。元々は地底族族長ガイロスの家臣。主君ガイロスの信任厚くいかなる敵にも決して背を見せない猛将と名高かった。部族間戦争終結後、ヘリックI世王の希望でゼネバスとその母を守る親衛隊長の任に就く。ゼネバスの追放にも同行したが、それはヘリック大統領に逆らうわけではなく地底族の人間は生涯を主君に捧げ仕える事を運命付けられている事に従っただけである。中央大陸戦争のきっかけとなったレッドリバーの戦いの際、特殊部隊を率い、かつての部下であったターナー中尉の守る砦を攻撃。陥落できなかったが、多数の損害を与えた。ZAC2032年、部下が引き起こした皇帝の館占拠のクーデター事件の時、ゼネバスから反乱の鎮圧を命じられたが、その際は犯人達を館から逃がした後、共和国との和平とクーデター犯の助命を嘆願する遺言状を残して自害した。
乗機:レッドホーン
ガラモス
ヒストリー・オブ・ゾイドの登場人物。ゼネバス帝国軍大尉。特殊工作隊の指揮官でどんな状況でも陽気に笑いを絶やさない男であると有名。火族出身で爆発物のプロフェッショナルとしてゲリラ戦で活躍したとされる。なお、彼こそモルガの制作発案者である。
メツラー
ヒストリー・オブ・ゾイドの登場人物。ゼネバス帝国軍中佐カミソリメツラーの異名をとる。ガンビーノ将軍率いる特殊部隊がレッドリバーの砦を攻撃中、分隊を指揮し敵首都を目指したが、共和国のグライドラーによって発見される。対空兵装を持たないメツラー分隊は反撃できず敗走しガンビーノの部隊と合流。この敗走は彼にとって屈辱的なことであった。
ランドバリー
ヒストリー・オブ・ゾイドの登場人物。太陽系第三惑星(地球)の宇宙探索・開拓船であるグローバリーIII世号の乗員の一人で宇宙での一攫千金を狙う冒険商人の中心人物。グローバリーIII世号が惑星Ziを発見し、ランドバリーら冒険商人たちが強行着陸を実行しようとして反乱が発生。船内での銃撃戦で船が損傷し惑星Ziに墜落。だが彼は墜落寸前に脱出用シャトルを奪って脱出し一足早くゼネバス帝国領に着陸していた。その後、運良く人目に触れることなく帝国民間人になりすまして惑星Ziをつぶさに観察。好戦的なゼネバス皇帝の性格を見抜いて取り入り、莫大な資金の代わりに帝国軍の兵器を強化する契約を結んだ。それに伴って発言力を強め、帝国軍の軍事ドクトリンにも口を出すようになり戦乱を拡大した。
ローウェン・コーヴ
HMM版「EPZ-03 グレートサーベル」付属解説書「ヒストリーオブグレートサーベル」の登場人物。帝国軍遊撃部隊少佐。かつてはセイバータイガーを愛機とし、それにヘルキャット部隊を率いた高速ゾイド戦闘隊の隊長であったが、共和国軍の042特務部隊の攻撃を受けて隊は全滅、自身も片目と片足を失う重傷を負う。しかし、一ヶ月で軍に復帰し、グレートサーベル開発のアドバイザーに選ばれ、その完成祝賀会の際にゼネバス皇帝に前線復帰を直訴。それが認められると自らグレートサーベルに乗り、帝国軍補給線「ゼネバスロード」を攻撃していた共和国派の山岳民族リルベット族のベアファイター隊を単騎で全滅させ、そして、そこにやって来たかつて自分の部下を奪った042特務部隊を部下達の名前を叫びながら駆逐して行った。
乗機:グレートサーベル

地理

概要

中央大陸の西半分とニカイドス島を領土とし、東半分を支配するヘリック共和国とは中央山脈を隔てて国境とする。マルガリータ暖流の影響で中央大陸の東側は温度差の安定した温暖な気候だが、西側は四年に一度のサイクルで洪水、寒波、日照りなど寒暖の差が激しく自然災害に見舞われ、しばしば飢饉が発生した。北部は氷河地帯で北西部は乾燥地帯で砂漠があり、南西部は大湿原地帯になっている。このように乏しい国土のため、人間が住みにくく土地の豊かな東側とは農作物の収穫や生活の安定と言う点で格差があり、このことが部族間戦争、ひいては中央大陸戦争の原因となった。

都市

  • イリューション市 - 中央大陸南西部の大湿原地帯に位置する都市。共和国領のエツミ港とは中央山脈南部を横切る南部山岳道路で結ばれている。
  • ウラニクス市 - 中央大陸西部沿岸に面した都市。ゼネバス帝国の軍需産業を支えた工業都市。
  • ガニメデ市 - ゼネバス帝国首都に一番近い都市。右側に湖(ガニメデ湖)がある。ギリシア神話ガニュメーデースが語源。
  • ゼネバス帝国首都 - ゼネバス帝国の首都。中央大陸西部のゼネバス山地に位置する。大理石の建物が多く「白い町」とも呼ばれていた。ZAC2039年の帝国首都包囲作戦の際、共和国軍の何日にも渡る砲撃とサラマンダーの空爆で瓦礫の山となった。
  • ダリオス市 - 中央大陸中央部に位置する都市。ここから北へ100km離れた場所に帝国軍の研究所があり、デスザウラーの開発が行われていたが、エリクソン大佐率いるシールドライガーコマンドウルフからなる高速機動戦隊に強襲され、機密保持のために爆破された。
  • トビチョフ市 - 中央大陸西部に位置する都市。共和国領のウィルソン市とは中央山脈北部を横切る北国街道と結ばれている。
  • バレシア市 - 中央大陸北西部沿岸の氷河地帯に位置する都市。ZAC2039年、首都を脱出したゼネバス皇帝はバレシア基地から暗黒大陸ニクスへ亡命した。
  • ミーバロス港 - 中央大陸南部沿岸に面した港湾都市。ZAC2038年、共和国軍はここから上陸し、敵首都を目指した。
  • ユビト港 - 中央大陸南西部沿岸に面した港湾都市。ZAC2100年の第二次大陸間戦争時、ヘリック共和国軍はここから西方大陸へ増援部隊を派遣した。

地域

  • ウラニクス湾 - ウラニクス市に面した湾。北西にニカイドス島が浮かぶ。
  • オビト海峡 - 中央大陸本土と南西の小島との間にある海峡。
  • ガニメデ湖 - ガニメデ市の隣にある湖。
  • ゼネバス山地 - 中央大陸南西にある山岳地帯。議会の陰謀で追放されたゼネバスはここに首都を築きゼネバス帝国を建国した。
  • タイガーゲージ - メトロゲージの南に位置する肉食獣ゾイド群生地。
  • ニカイドス島 - ウラニクス湾沖に浮かぶ島。
  • バレシア湾 - バレシア市に面した湾。ゼネバスが中央大陸亡命の時にも、そして再上陸した時にもここを通っている。
  • バロニア諸島 - 中央大陸北西ダラス海に散らばる島々。位置的には中央大陸の氷河地帯に近いが、火山活動が活発であるため、亜熱帯気候に近い環境。アイアンコング野生体の原産地でもある。
  • マンクス海峡 - 中央大陸本土とニカイドス島との間にある海峡。
  • メトロゲージ - 中央大陸北部、ゼネバス帝国領土側の野生ゾイド群生地。
  • ミーバロス湾 - ミーバロス港に面した湾。
  • ユビト湾 - ユビト港に面した湾。

参考文献

  • 小学館 ゾイドバトルストーリー(全4巻、1987~1988年発行。2003年にゾイドコアボックスとして再版)

テンプレート:ゾイドシリーズen:Zenebas Empire