火球
火球(かきゅう、fireball)とは、一般に-3〜-4等級よりも明るい流星の事である。火玉(ひだま)とも言われる。大気中で蒸発したものも、隕石となって地表に落下したものも、一定以上の明るさで光れば、どちらも火球と呼ばれる。なお昔は、隕石となった火球を、隕星と呼ぶ事もあったが、最近はあまり使われない。
流星と火球
国際天文学連合 (IAU) では、火球とは「どの惑星よりも明るい流星」("a meteor brighter than any of the planets"、-4等級より明るい) であると定義している[1]。一方アマチュアの研究者が組織する国際流星機構 (IMO) ではより詳細に、その火球が観測者の天頂で観測されたとすると-3等級以上の明るさになるであろうもの、と定義している。この定義は、火球が観測者から見て地平線近くで観測された場合に、距離を大きく修正することになる。たとえば地平線から5度の位置で観測された-1等級の流星は、IAU の定義では火球ではないが、その火球の直下では -6 等級で観測されるであろうことから、IMO の定義では火球になる[2]。
科学的な観測でなく一般的な目撃の場合、明るい流星を流星ではなく火球と判断するのは主観的であって、厳密な境目は無い。
火球の軌道は、流星群の母天体である彗星よりも、むしろ小惑星に近い傾向がある。隕石の軌道もほとんどの場合、小惑星のように黄道面とのなす傾斜が緩やかなものが多い。つまりこうした火球のうちの一部が、隕石になるとの考えに無理はないとの証拠である。
英語では火球に相当するのはファイアボール (fireball) であるが、他にボーライド (bolide) とも呼ばれる。 ボーライドは一般にファイアボールの同義語として用いられるが、とくに最後に爆発をともなう火球として区別する場合もある[3]。
火球の観測
明るい火球が隕石として落下した場合、その軌道は火球の目撃情報からも得られる。またより正確な情報を得る為、火球監視カメラと呼ばれるカメラによって自動監視が行なわれている。
流星群の観測では、流星の明るさの統計が、研究の手がかりになる事があるため、毎年の主な流星群の火球の出現状況が、詳しく調べられている(観測項目を予め決めた、流星群の火球データの収集)。なお流星群に属する火球は、隕石になった例が知られていない。
火球を見た時、現れた方角に注意する事と、時刻を確認しておくと、他人が観測した火球と同じものかどうかを確認する手がかりとなる。また、飛行方向を記録しておくと、飛行経路特定の役に立ち、ひいては隕石落下位置の推定を行う有力な資料となる可能性がある。
なお、夕方の西の空にはしばしば火球のような物体を確認できるが、これは飛行機の誤認である場合が多い(日本火球ネットワーク参照)。
火球の音
テンプレート:Main 火球や流星はしばしば音を伴って流れたり、音を立てて爆発することがあると言われる。しかし実際には数十km上空で起こっている現象であるため、地上の観測者に物理的な音が届いたとしても音速を考えれば数分後のはずである。そのため音を伴う観測例が後を絶たないのは大きな謎となっており、電磁波音のような説が提唱されている。
関連項目
出典
外部リンク
- 日本火球ネットワーク
- 国際流星機構 (IMO)テンプレート:En icon
- 日本流星研究会
- アメリカ流星協会 (AMS)テンプレート:En icon
- 流星群カタログ(太陽黄経順) - 吉田誠一のホームページ