日産・セドリック
セドリック (CEDRIC) は、日産自動車が1960年から2004年まで製造・発売していた高級セダンである。なお、2014年現在も製造・販売されている同名の営業車についてはセドリック営業車を参照。また、一般、官公庁向けに販売されていた自家用セダンについてはセドリックセダンを参照。
目次
- 1 概要
- 2 初代 30型系(1960年 - 1965年)
- 3 2代目 130型系(1965年 - 1971年)
- 4 3代目 230型系(1971年 - 1975年)
- 5 4代目 330型系(1975年 - 1979年)
- 6 5代目 430型系(1979年 - 1983年)
- 7 6代目 Y30型系(1983年 - 1999年)
- 8 7代目 Y31型系(1987年 - )
- 9 8代目 Y32型系(1991年 - 1995年)
- 10 9代目 Y33型系(1995年 - 1999年)
- 11 10代目 Y34型系(1999年 - 2004年)
- 12 車名の由来
- 13 取扱販売店
- 14 脚注
- 15 関連項目
- 16 外部リンク
概要
姉妹車のグロリアと共に、同クラスのトヨタ・クラウンとは、自家用車をはじめ、タクシー・ハイヤー、パトカー、教習車としても長年の競合車種だった。セダン型とハードトップ型、それにライトバンおよびワゴンが年式によりラインナップされる。3代目230型からのセドリックはグロリアと併せて「セド・グロ」と呼ばれた。
初代 30型系(1960年 - 1965年)
テンプレート:Infobox 自動車のスペック表 ライセンス生産していた日産・オースチンA50ケンブリッジに変わる純国産中型乗用車として開発。ラップアラウンドウィンドウと呼ばれるサイドに回り込んだフロントウインドシールドと前傾したAピラー、縦型デュアルヘッドランプ、テールフィン等、アメリカ車の影響を強く受けたスタイルが特徴。リアコンビネーションランプをはじめとするリアエンドのスタイルにはオースチンの影響も見られる。
日産初の一体構造車体(ユニットボディ = モノコックボディ)を採用。エンジンは当初はG型4気筒1500cc(71ps)、後にH型4気筒1900cc(88ps)、K型6気筒2800cc(115ps)、4気筒2000ccのSD20型ディーゼルエンジンが追加された。ブレーキは4輪ドラムブレーキで、前輪ユニサーボ(リーディングシュー)、後輪デュオサーボ(リーディング&トレーリングシュー)。ステアリングギアボックスはウォームローラー型だった。グレード構成は当初スタンダードとデラックス、後にカスタムとスペシャルを追加。
- 1960年4月 - 発売。
- 1960年11月 - ホイールベースと全長を100mm延長した1900ccカスタム(G30型)を追加。これは1961年4月に小型自動車の規格が排気量2000cc以下、ホイールベース2.7m以下に変更される事に対応したもの。
- 1961年5月 - 「1900DX」を追加。
- 1961年9月 - マイナーチェンジでフェンダーとフロントグリルの形状を変更。
- 1962年4月 - ワゴンとバンを追加。セダン、ハードトップ含めたフルラインナップは6代目登場まで続く。リヤゲートは電動昇降式のウインドウを下ろした後、下に開く構造である。また、ワゴンは荷室にジャンプシートが設けられており、8人乗りである。ジャンプシートはY30型まで引き継がれている。同時にオートクラッチ付きが設定された。
- 1962年10月 - マイナーチェンジにより4灯式ヘッドランプが縦から横並びに変更され、国産車初のパワーシートも設定された。同時に1900STDも追加された。
- 1963年2月 - 2800ccのK型エンジンを積む「スペシャル(50型)」が発売された。カスタムのホイールベースを205mm、全長を345mm延長したもので、戦後の国産初の3ナンバー普通乗用車である。この50型は後にプレジデントへと発展していく。
- 1963年9月 - マイナーチェンジでフロントグリルの形状が変更された。
- 1964年6月 - 2000ディーゼル(QGS31型)追加。
- 1964年7月 - ボルグワーナー製3速オートマチック搭載車追加。
- 1964年9月 - マイナーチェンジでフロントグリル、テールランプの形状を変更。
- 1965年2月 - リクライニングシート付きの設定が追加された。
- 1965年5月 - 一部変更でリアフィニッシャー(装飾)が追加された。
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バン
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ワゴン(リア)
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セダン 1900デラックス(リア)
2代目 130型系(1965年 - 1971年)
テンプレート:Infobox 自動車のスペック表 前モデルのアメリカンスタイルとは打って変わってピニンファリーナデザインのヨーロピアンスタイルとなった。フローイングラインと呼ばれるフロントからリアにかけて下がっていくラインや、下すぼまりのCピラーに特徴があった。ピニンファリーナのデザインが採用されたため、このセドリックのために日本でデザインされていたボディスタイルは拡大の上プレジデント150型に流用された。歴代セドリックでは唯一3ナンバー普通車の設定が存在しないモデルである。ほかに警察専用車としてH30型、Y40型搭載の「パトロール」が存在する。エンジンはH20型4気筒OHV2000cc (92ps) 、J20型6気筒OHV2000cc (100ps) 、スペシャル6のみはL20型OHC6気筒ツインキャブ2000cc(115ps、後に130ps)が搭載され、警察向けとしてH30型直列6気筒OHV3000cc、Y40型V型8気筒4000ccが搭載された。足回りは前輪ウィッシュボーン・コイル、後輪リーフスプリング。後に長く使われる事になる3N71型フルオートマチックトランスミッションはこのモデルに初搭載された。当初のグレード構成は4気筒の130型にDX、6気筒のP130型にSTD6とカスタム6、H130型スペシャル6。
- 1965年10月 - 発売。
- 1966年10月 - マイナーチェンジでテールランプが変更され、DX6、パーソナル6が追加された。
- 1967年10月 - マイナーチェンジでテールランプが変更された。
- 1968年9月 - マイナーチェンジでフロントボディスタイルが大きく変更され、運転席のシートベルトが標準装備となった。J20型エンジンに替わりL20型6気筒シングルキャブ2000cc (115ps) が搭載された。ワゴンは30型以来の特徴あるリヤゲートの開閉構造から、一般的な固定ウィンドウ式1枚パネル跳ね上げタイプに変更となった。また、上級モデルで可能だったリアドア三角窓の開閉は不可能となり、Cピラーに設置されていた読書灯の形状も変更された。そして、外気の噴出し口がダッシュボードに設置され、オプションのクーラーを付けると冷気も出るようになった。
- 1969年10月 - マイナーチェンジでフロントグリル等が変更され、スペシャルGLとパーソナルDXが追加された。ホイールが13インチから14インチへ変更された。
- 1970年 - パーソナルDX-Vが追加された。レザートップで運転席ヘッドレストが標準装備。
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バン 2000デラックス6
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セダン スタンダード(後期型)
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セダン スペシャル6 リア(後期型)
3代目 230型系(1971年 - 1975年)
テンプレート:Infobox 自動車のスペック表 同時にモデルチェンジしたグロリアと基本構造を同一とし、フロントグリル、エンジンフード、テールランプ、オーナメント類以外はすべて共用する姉妹車となった。このモデルよりそれまでの追浜工場から栃木工場での生産となった。 ボディスタイルは流行のコークボトルラインを採り入れた。トヨタ・クラウンの2ドアハードトップに対抗するため、本モデルよりハードトップの設定がなされ、後に日本車としては初の「4ドアハードトップ」も追加された。4ドアハードトップはスポーティさと4ドアの利便性で大きな人気を博し、個人ユーザー向けの大半が4ドアハードトップとなった。ハードトップのデザインはセダンから派生した物であるが、A、Cピラー共にセダンよりも傾斜を大きくしてキャビンを縮小、セダンの丸型4灯式ヘッドランプ、大型テールランプに対し、ハードトップでは角型2灯式ヘッドランプ、小型テールランプとする等の差別化を図っていた。
エンジンはH20型4気筒2000cc (92ps) 、L20型6気筒2000cc(シングルキャブ115ps、ツインキャブ125ps)、L26型6気筒2600cc (140ps) 、SD20型4気筒ディーゼルが設定された。尚、L26型6気筒は、バンにも搭載された。
サスペンションは、前輪ダブルウイッシュボーン独立、後輪リーフスプリングリジッドだった。
国内販売では、同時期のクラウンが斬新なボディスタイルで法人や保守的なユーザーに敬遠されたこともあり、グロリアと合わせた販売台数がクラウンを上回った唯一のモデルでもある。海外向けでは、1972年の日中国交正常化後、日産車で最初に中国へ輸出、販売されたモデルである。
- 1971年2月 - 発売。
- 1971年10月 - 「2600GX」を追加。
- 1972年6月 - 「2600カスタムDX」、「DX」、「ハードトップDX」を追加。
- 1972年7月 - 2000cc車のマイナーチェンジを行い、フロントグリル、テールランプの形状が変更された。赤一色でブレーキランプとの判別が付きにくかったリアターンシグナルランプがアンバーテンプレート:要曖昧さ回避に変更され、独立して点滅するようになり、被視認性が向上した。
- 1972年8月 - 4ドアハードトップを追加。
- 1972年10月 - 2600GXにEマチック3速AT設定。
- 1973年4月 - 昭和48年排出ガス規制適合、2600cc車の外装を中心にマイナーチェンジ。
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4ドアセダン 2000カスタムデラックス
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4ドアセダン 2600GX
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ダットサン220C(輸出仕様)
4代目 330型系(1975年 - 1979年)
テンプレート:Infobox 自動車のスペック表 デザインはキープコンセプトながら、アメリカンスタイルをさらに昇華させた。
- ボディは4ドアハードトップ、2ドアハードトップ、4ドアセダン、バン。ワゴンは廃止された。
- 発売時のグレードは、ディーゼルを除く4ドアセダンで2000cc車はスタンダード・デラックス・カスタムデラックス・GL・SGL、2800cc車はSGL、ハードトップで2000cc車はカスタムデラックス・GL・SGL、2800cc車はSGL、バンではスタンダード・デラックス。この他にタクシー向けにLPG仕様のカスタムデラックス、スタンダード。
- ガソリン・LPG乗用車は、発売当初型式は単に330だったが、後の制度変更により、A-またはH-が付くようになった。排出ガス規制対策の影響を受け、プレジデントと共に採用された排出ガス浄化装置 (NAPS) が付き230型よりも車重が重くなる。インテリアは格段に豪華なものとなっていた。上級グレードの「ブロアム」が登場した。エンジンはGXグレードの廃止により全車シングルキャブエンジンとなった。
- サスペンションは、前ダブルウイッシュボーン後ろ縦置き半楕円リーフである。
- 1975年6月 - モデルチェンジ。
- 1975年10月 - 「ディーゼルDX」と「L20型のEGI仕様」を追加。
- 1976年4月 - セドリックパトロール(A-YP330型)発売。
- 1976年6月 - 昭和51年排出ガス規制適合/4ドアハードトップに角型ヘッドランプとカラードホイールカバーを持つ「Fタイプ」を追加。GL仕様のホイールカバーがSGL仕様と同一になる。ガソリン・LPG乗用車が331型系となり、セダン、ハードトップの型式が統一される。
- 1977年6月 - マイナーチェンジ/L28E型2753ccエンジンを搭載した最高級グレード「2800ブロアム」を追加。また、セダンにSD22型2164ccディーゼルエンジン搭載車を追加。ハードトップにアルミホイールオプション設定。SGL、ブロアム車のデジタル時計をドラム式から蛍光管式に変更。
- 1977年10月 - 生産累計100万台達成。
- 1978年10月 - 昭和53年排出ガス規制適合、ハードトップのブロアムとエクストラにラジアルタイヤを標準装備、4ドアセダンと4ドアハードトップFタイプに「2000SGL-Eエクストラ」を追加。「2800SGL」を廃止し「2800SGL-E」を新設。ガソリン乗用車が332型系となる。GL、カスタムデラックス、デラックス仕様のデジタル時計がドラム式からカレンダー機能つき蛍光管式デジタル時計へ変更される。SGL以上も同様の変更。
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バン
5代目 430型系(1979年 - 1983年)
テンプレート:Infobox 自動車のスペック表 2ドアハードトップを廃止し、4ドアハードトップ、4ドアセダン、ワゴン/バンの3系統のボディバリエーションとなる。ワゴンは230系以来の復活となった。スタイリングは、先代330型の曲線を多用したデコラティブなものとは一線を画した、直線的でクリーンなイメージのものへと大きく変化した。サスペンションは、前輪ダブルウイッシュボーンはキャリーオーバーだが、後輪がこの代から5リンクとなった。オープンカーに改造された430は警察行事などの儀礼用に現在テンプレート:いつも使用されている。海外輸出は、セダンとステーションワゴンがあり、フロントグリルがグロリアハードトップのものを流用している。ハードトップも東南アジア(香港・シンガポールなど)といったごく少数の地域へ台数限定で輸出されており、日産セドリックとして輸出された唯一の例でもある。後年は中東・ガルフ地域でもハードトップが投入されたのもこの代からである。また、1981年以降の輸出分からDATSUNブランドからの変更に伴いNISSANの併記が見られるようになった。
- 1979年6月 - モデルチェンジ。L28EはECCS(エンジン集中制御システム)に進化
- 1979年9月 - L20S搭載のバン(J-V430型)発売。
- 1979年10月 - 乗用車日本初の直列6気筒ディーゼルエンジン、LD28型搭載車および日本初のターボエンジン (L20ET) 搭載車を追加。なお、ブルーバード、スカイラインにもターボ搭載車が追加された。
- 1980年2月 - LD28エンジン搭載車に5速MT車追加。
- 1980年3月 - 一部改良。
- 1980年4月 - ターボブロアム(セダン/ハードトップ)、ターボAT、固定式ガラスルーフ(スタールーフ)装備のハードトップ200E SGL-Fを発売。
SGL-FにはASCD(オートスピードコントロール装置)を標準で設定
- 1980年8月 - LD28エンジン搭載の5速MTバン・ワゴン追加および一部改良。
- 1981年4月 -マイナーチェンジを実施。L28Eはエンジン各部改良、出力が145psから155ps、トルクが23kgmから23.5kgmに向上。SGL-Fはターボ付きに発展、ターボ無しのSGLエクストラがカタログ落ち。ターボSGLエクストラのリアブレーキがディスクになる。L20EがECCSに進化、同時にL20E用のATがロックアップ付きになる。インパネにはロックアップ作動ランプを装備。280Eブロアムは大型カラードウレタンバンパーを装備。ボンネットはセダン、ワゴン、バンとハードトップで別形状だったのが、セドリック、グロリアで別形状になる。インパネのアッパーパネルをハードトップとセダン、ワゴン、バンで共通の形状に。木目調パネルの色が明るい色になる。電子チューナーをSGLと280D VX6に拡大採用。ブロアム系、SGL系、VX6のシートデザイン、生地を共通に。ターボブロアムの運転席パワーシートが非設定に。ASCDが280Eブロアム、200E SGLにオプション設定、SGL-Fには設定されず。
- 1982年6月 - ATを3速から4速に換装(一部グレードを除く)200Eと280Dは通常の4速ロックアップ付き、200Eターボ、280EのATを電子制御4速全段ロックアップ付きに、これにより25%燃費向上。4速AT設定に伴いフロアトンネル拡大。L20系エンジンはエンジン各部の変更により10kgから20kg軽量化、低回転域トルクの向上。L20ETはECCSに進化。ターボブロアムの運転席パワーシートがオプション設定に昇格、ASCDがブロアム系、SGL-Fに標準、他SGL系にオプション。デジタルメーターをSGL-Fにオプション設定。ディーゼル車は昭和57年排出ガス規制適合。バンのガソリン車が56年排出ガス規制適合、これに伴い型式がL-V431に変更。
- 1982年9月 - 一部改良。営業車を除くエアコン搭載車に冷媒警告灯追加。
- 1983年2月 - 4ドアハードトップに「ターボエクセレンス」、「200Eエクセレンス」を追加。ターボS、200E GLがベース。このグレードのみボディサイドのピンストライプ、ツートンカラーが設定される。装備はドアトリム、オーディオがブロアムと同様に、シート生地がブロアムと同様の生地になる。バックレストに「excellence」の刺繍入り、オーバーヘッドコンソールが設定される。グリルに「Excellence」のエンブレムが入る。
- 1983年3月 - エクセレンス車継続車種となる。
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280Eブロアム オープンカー仕様
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車内
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ダットサン280Cエステート(欧州仕様)
6代目 Y30型系(1983年 - 1999年)
ハードトップ・セダン:1983年 - 1987年
バン・ワゴン:1983年 - 1999年 テンプレート:Infobox 自動車のスペック表 ハードトップとセダン、ワゴン・バンのフルラインナップの最後のモデルとなる。このモデルは長年にわたり搭載されていた直列6気筒のL型(L28E、L20ETなど)に代わり、日本初のV型6気筒エンジン(VG型)を搭載したことでも有名である。このVG型エンジンはアルファロメオのV型6気筒を参考にしたといわれる。シリンダーブロックは製作コストの制約上、鋳鉄製となった。前輪サスペンションは、先代のダブルウイッシュボーンから、マクファーソンストラット・コイルとなる。また、小型車の寸法要件が改正された(前端オーバーハング0.8m以下+軸距2.7m以下+後端オーバーハング1.2m以下→全長4.7m以下)ため、このモデルよりホイールベースが延長されている。
これまでセダンとステーションワゴン(日本未販売のV30E-SGL)が主体だった海外輸出仕様は、一部東南アジアへ輸出されていたハードトップも中東地域が追加され、香港・シンガポール・中東では「V30E/ETブロアム」として販売された。中東向けハードトップには、5MT/4ATキャブレター仕様のVG30Sが。東南アジア向けにはインジェクション仕様のVG30Eが用意された。またこの代から欧州(除くイギリス)、東南アジアと中東輸出向け車名がダットサン220-280Cから「日産・セドリック」に、中国では日産・小公に、イギリスやオーストラリア市場では日産 300Cとなった。クウェートのみグロリアとして販売したが、外観はセドリックそのものである。輸出仕様の特徴はフロントグリルにNISSANバッチが装着され、グリル側が斜めになったグロリア仕様のヘッドランプ・レンズを採用、さらに欧州向けはヘッドランプ・ワイパーやリアフォグ内蔵テールレンズ(ワゴンは吊り下げ式)が装備されていた。速度計は欧州向けが240km/h目盛り、香港・シンガポール・UAE向けは220km/hである。後継車は欧州と中南米市場では前輪駆動のマキシマに、オーストラリア市場では現地生産のスカイラインにバトンタッチされ1987年で輸出打ち切り。台湾の裕隆汽車公司では1994年にセフィーロ(A32)にバトンタッチされるまで生産が続いた。日産の組み立て工場があるメキシコではパトカーとしても採用されていた。
1987年セダンとハードトップがY31型にモデルチェンジした後もバン・ワゴンは日本国内専売車両として1999年まで生産が継続された。 このY30系ワゴン・バンはドレスアップを好むユーザーにも根強い人気があり、最終型(1995年11月 - 1999年8月)のワゴンのSGLリミテッド(ベンチシートのコラムAT)は流通台数が少ないこともあり中古車価格が高い。ディーゼル車規制の区域では、ガソリン車のベンコラ(ベンチシート&コラムシフト)への改造例もある。
- 1983年6月 - モデルチェンジ。
- 1983年11月 - 特別仕様車「50アニバーサリーバージョン」発売。
- 1983年12月 - V30EブロアムVIP追加および一部改良。カラードバンパーが拡大採用される。
- 1984年2月 - セダン営業車にL20Pエンジンの6気筒LPG車が追加された。
- 1984年6月 - VG30ET型エンジン (230ps 34.0kg·m) 追加。「V30ターボブロアムVIP」と「V30ターボブロアム」。
- 1984年9月 - 特別仕様車「V20Eエクセレンス」発売。
- 1985年6月 - マイナーチェンジでSTD・DXを除きフェイスリフトを行う。ヘッドランプとテールランプが変更され、コーナリングランプ、フォグランプ(ハードトップ、ワゴンのみ)が装着された。ワゴンのフロントマスクはハードトップと共通になる。バンパーの形状が変更され、主力の5ナンバー車は大型カラードバンパーが装着された。VG20ET型がジェットターボ仕様となったほか、ディーゼルエンジンが新設計のRD28型となる。「4ドアハードトップV20ターボ アーバン(430以来のターボSの代わり、後にアーバンGに名称変更)/アーバンX(ターボFから改称)」が追加されたほか、「ワゴンV20E SGL」、「ワゴン280D-6 GL」、「セダンSGLの6気筒LPG仕様」が追加された。上級車種に電動格納式ドアミラーを標準装備、スーパーソニックサスペンション設定。タコメーターもそれまでハードトップのみの装備だったがセダンV20ターボSGL以上に拡大採用された。海外輸出用STDのエンジンスワップも行われ、SD23型からTD25型(直4に変化無し)へ変更した。
- 1986年1月 - エクセレンスおよびL20P搭載のブロアム追加。
- 1986年3月 - 一部改良、RD28エンジン搭載のA/T車のロックアップ制御を電子制御式に変更。
- 1986年11月 - 一部改良。駐車灯が廃止され、フロント合わせガラスとリヤシート中央にシートベルトを追加。これは、道路運送車両の保安基準改正により、後部座席中央のシートベルト装備が義務化されたことによる措置である。
- 1987年1月 - 特別仕様車エクセレンスGおよび4ドアハードトップのターボアーバンG追加。
- 1987年6月 - セダンとハードトップが販売終了。ワゴン/バンはそのまま継続販売となった。同時にバンに2LのV6エンジン搭載車を追加。このモデルはワゴンと同じフォグランプ内蔵の角目ライトの顔を持つ。グレードはDX/カスタムDX/GLの3種類。AT車も選べた。
- 1989年3月 - 一部改良。A/Tシフトロック追加。
- 1991年6月 - ハードトップが8代目に移行後もセダンは7代目、ワゴン/バンは6代目を継続生産。
- 1993年8月 - RD28ディーゼルエンジン搭載車廃止。
- 1994年3月 - バン/ワゴンを一部変更。エアコンは代替フロン化されサイドドアビーム・ハイマウントストップランプ・後席左右に3点式シートベルトを装備。ワゴンの8人乗りコラムAT車も1995年11月まで休止。
- 1995年11月 - 9代目登場に合わせ、ワゴン/バンがマイナーチェンジ。バンは全車V6エンジン搭載車のみに集約と同時に6人乗りのマニュアルコラムシフト車が廃止。ワゴンにはルーフレールの追加とベンチシート&コラムATのSGLリミテッドを追加。その他コストダウンのためシート素材の変更と一部装備の廃止。運転席エアバッグをワゴン全車に標準装備。
- 1997年8月 - 一部改良。日産社内の資料ではフルモデルチェンジしてWY30型になった事になっている。
- 1999年8月 - 販売終了。ワゴンはセフィーロワゴンとアベニールとステージア、バンはエキスパートが受け皿となった。
7代目 Y31型系(1987年 - )
ハードトップ:1987年 - 1991年
セダン:1987年 - 2002年(以降営業車のみで継続)
テンプレート:Infobox 自動車のスペック表 潤沢な開発費に恵まれた時期で、エンジニアリング、スタイリング共に大きな変化が見られる世代である。
従来からの「ブロアム」に加え、901運動の反映でスポーツ性を向上させた「グランツーリスモ (GranTurismo) 」が新たに設定される。デザインも曲線を巧みに使用した張りのあるモダンなものへと変化した。
4ドアハードトップと4ドアセダンのみがY31型系として新規開発され、ステーションワゴンはWY30型の継続生産となった。セド・グロのハードトップとしてはセンターピラーの無い最後の世代であり、また、歴代セドリックで初めてステーションワゴンやバンが起こされなかったボディでもある。
エンジンはVG30ET、VG30E、VG20DET、VG20E、RD28、RB20P(LPG仕様)、CA20P(LPG仕様)。グロリア同様、VG20DET型エンジンを初めて搭載した車種であり、セドリック初のDOHCでもある。
このY31型系から営業車を除くリアサスペンションにセミトレーリングアーム+コイルを採用、セドリック初の4輪独立懸架となる(前輪はマクファーソンストラット+コイル)。フロアAT車のパーキングブレーキ操作がレバーから足踏み式になった。コラムAT車はセダンのみの設定となる。CMには当初坂本龍一・菊池武夫・鈴木エドワードを起用。坂本は現在テンプレート:いつ、リーフのCMに出演している。
1987年の東京モーターショーにオーテックジャパン製の「セドリック・ロイヤルリムジン」が出品され、後に市販される。最上級グレードのロイヤルセレクションIIIでは車両価格が1300万円以上に達し、プレジデントはおろか、メルセデス・ベンツ Sクラス560SELやBMW 7シリーズ750iLよりも高価だった。香港とシンガポールなどのアジア圏でもブロアムVIP(中文:小子VIP)として販売される。このモデルからは欧州枠とオセアニア枠がマキシマへバトンタッチされた。なお、現在テンプレート:いつでもタクシーやハイヤー用途としてこの型は生産されている(セドリック営業車を参照)。
- 1987年6月 - モデルチェンジ。
- 1987年9月 - VG20E型エンジン車にブロアムおよびRD28ブロアムの4WAS(4輪ABS)付車追加。
- 1987年12月 - 教習車用ベース車を発売。
- 1988年1月 - Y31型系のプラットフォームを利用した上級派生車、シーマを販売開始。
- 1988年4月 - 一部改良。フルオートエアコンに「エコノミーモード2」機能追加。
- 1988年6月 - ハードトップのみの設定だった「グランツーリスモ」が新たにセダンにも1車種追加される(V20ツインカムターボ グランツーリスモSV)。ATシフトロックシステム採用。
- 1988年10月 - 特別仕様車「4ドアハードトップ グランツーリスモ スーパーSV」発売。
- 1989年3月 - パーソナル キーの材質をステンレスに変更。
- 1989年6月 - マイナーチェンジ。リアコンビネーションランプが大幅に変更された。V20ツインカムターボ系を中心としたテコ入れが行われ、VG20DET型エンジンはインタークーラーの追加とハイオク化によって最高出力が185psから210psに向上、同エンジン搭載車にトルクコンバータ式としては世界初の5速E-ATが搭載された。同エンジン搭載のV20ツインカムターボブロアムをバンパーとモールの変更で3ナンバー化(車両寸法はHT:4860×1720×1405mm/セダン:4860×1720×1425mm)。デジタルメーターおよびマルチAVシステムをオプション設定。
- 1989年8月 - サンルーフをオプション設定。
- 1989年9月 - セダンV30ブロアム系に、ホイールベースを155mm延長、リアドアを150mm拡幅したLシリーズを追加(WB2885mm、車両寸法5010×1720×1425mm)。
- 1990年1月 - セドリック30周年記念特別仕様車発売。
- 1990年3月 - 鹿児島仕様車を設定。
- 1990年9月 - VG20E・RD28車にブロアムセレクション(3ナンバー車)およびVG30E30・SV(クラシックSVの3リッター版)を追加。VG20DETブロアムに5ナンバー車復活。クラシック・グランツーリスモ車の仕様向上。
- 1990年10月 - グランツーリスモS・グランツーリスモスーパーSV追加。
- 1991年3月 - VG20E・RD28車にクラシックSを追加。
8代目 Y32型系(1991年 - 1995年)
テンプレート:Infobox 自動車のスペック表 ラインナップはハードトップのみで、セダンはマイナーチェンジされ営業車専用となった(セドリック営業車参照)。同期のクラウンの販売不振もあって、再び販売台数でクラウンを上回る。やや若年層よりのスポーティーなグロリアに対し、セドリックではクロームメッキのフロントグリルを使用するなど高級志向の高いユーザーや比較的高い年齢層を狙った位置付けとなった。ブロアム/クラシック系は角型のヘッドライトを採用し、グランツーリスモ系は丸目4灯ライトを採用。エンジンはVG20E、VG30E、Y31型シーマに搭載のVG30DE、VG30DETエンジンとディーゼルのRD28を搭載。ミッションはMTが廃止されて、AT車(5E-AT、4E-AT)のみとなった。グレードはブロアムVIP、ブロアムG、ブロアム、クラシックSV、クラシック、グランツーリスモアルティマ、グランツーリスモSV、グランツーリスモ。パワーウインドウのスイッチやシートの下まで照らす「トータルコーディネート照明」、パーキングブレーキの解除がセンターコンソールのスイッチとインパネ下のノブと2箇所で出来る構造、リモコンミラーとパネルライトコントロールのスイッチが収納可能(開ける時はソフトダンパーでゆっくりと出て来る)、アナログ式の時計、短波ラジオチューナー等、バブル景気期の開発故、過剰な装備や機構が各所に盛り込まれていた。海外向けは、中東と東南アジアに絞られた。香港・シンガポールではこれまで通りハードトップも加わり、セドリックの他にグロリア(海外名グランツーリスモとして)も輸出された。
- 1991年6月 - モデルチェンジ。
- 1993年6月 - マイナーチェンジ。ブロアム系のフロントまわりの部品がグランツーリスモと共通化(ヘッドライトは異型2灯のままでフロントグリルがクロム調)。クラシック系はブロアムJに統一。ブロアムGは、ブロアムVに変更。
- 1994年6月 - ブロアム(VG30DET・VG30DEモデル)・グランツーリスモアルティマ・グランツーリスモSVにSパッケージ追加。
- 1994年9月 - 「V20Eグランツーリスモ」追加。エンジンはY31系と同じVG20E。
- 1995年1月 - 「V20Eブロアム」追加。VG20E型に4速E-ATを組合わせる。
9代目 Y33型系(1995年 - 1999年)
- 1995年6月 - モデルチェンジ。前席デュアルエアバッグを全車標準装備した。エンジンはVG30Eのほか、上級グレードのエンジンがこれまでの主力のVG型からVQ型にバトンタッチしVQ30DE、VQ30DETを搭載。アルミ合金製となり軽量化が図られた。ターボエンジンのVQ30DETは270psを発生。ディーゼルエンジンのRD28も設定。トランスミッションは、旧モデルのY32型で設定のあった電子制御5速ATが搭載されなくなり、電子制御4速ATに統一される。サスペンションはフロントがマクファーソンストラット式、リアがマルチリンク式とされた。このモデルは、中近東エリア向け左ハンドルの輸出仕様が存在した。また、香港・シンガポール向け仕様にはこれまでのセドリック/グロリアとはせずに「ブロアムVIP/グランツーリスモ」というネーミングで販売していた。
- 1996年1月 - VG20E搭載車を追加。ABSを全車標準装備化。
- 1997年6月 - マイナーチェンジ。2500ccのFR用VQ25DEエンジンと、4WDのアテーサE-TSが追加設定される。アテーサE-TS車は、スカイライン、ローレル、ステージアと共通の直列6気筒のRB25DETを搭載した。オドメーターとトリップメーターを液晶化した。
- 1998年1月 - 特別仕様車としてVQ25DE車ブロアムプライムエディションとグランツーリスモプライムエディションを追加。
- 1998年5月6日 - 特別仕様車としてVQ30DE車ブロアムプライムエディションとグランツーリスモプライムエディション、VQ25DE車ブロアムエクストラエディションとグランツーリスモエクストラエディションを追加。
- Nissan Cedric 1995.jpg
前期型
10代目 Y34型系(1999年 - 2004年)
テンプレート:Infobox 自動車のスペック表 新世代LLクラスプラットフォームをベースに開発された[1]。先代までの「ブロアムシリーズ」のノーブルさをセドリックの個性とする「1ブランド1モデル」とした。液晶モニターを標準装備し、ここにエアコンの状態やカーステレオのチャンネル表示などを集約した。非タッチパネルで、カーソルで操作する。ディーラーオプションで(アナログ)テレビチューナーを装着可能。カセットプレイヤーはインパネ底部に配置されている。搭載エンジンは直噴技術であるNEO Diシステムを採用したV型6気筒DOHC VQ30DD型、VQ25DD型、280psを発生するターボ付VQ30DET型、および4WD車専用の直列6気筒DOHCターボ付RB25DET型の4機種。海外仕様では唯一香港でグロリアとして販売されたが、このカテゴリーで輸出が途絶えた。中古輸出では最近ミャンマーへの輸出が目立つ。
- 1999年6月28日 - モデルチェンジ。
- 1999年11月 - 無段変速機「エクストロイドCVT」搭載モデル「300VIP-Z」および「300LX-Z Sパッケージ」販売開始。本木目パネルなどシーマに匹敵するような豪華装備を搭載し値段も500万円を超えた。また、既販車に電動フェンダーミラーおよびLSDがオプション設定される。
- 2000年1月7日 - 40周年記念車「40th anniversary」を発売。記念キー、記念エンブレムなどを装備した。同時に専用のフロントバンパー、フロントグリル、サイドシルプロテクター、リアエンブレム、リヤバンパーなどが装備されたオーテックジャパンの手による特別仕様車「AUTECH(オーテック)」を発売。搭載エンジンはVQ30DET型。
- 2000年6月7日 - 特別仕様車「AUTECH」のグレード名を「300AX」に変更し、VQ25DD型を搭載する「250AX」、「プレミアムリミテッド」追加。
- 2000年10月30日 - 「アイボリーレザーパッケージ」を追加。
- 2001年12月4日 - マイナーチェンジ。日産のCIおよびフロントグリルとリヤコビランプのデザイン変更がなされたほか、特別仕様車「300AX」にVQ30DD型搭載車を設定した。車名ロゴがグロリアと同様、NE-01の「CEDRIC」に変更された。さらに大幅なグレード整理を行った。バーチャルビジョンメーター(デジタルメーター)のオプション設定を廃止した。
- 2002年3月 - 第102回ニューヨーク国際オートショーに、Y34型をベースとする北米専用車「インフィニティ・M45」を出品。F50型シーマの北米向けである「インフィニティ・Q45」と同じVK45DE型エンジンを搭載する。なお、この年でセドリックセダンが生産終了した。
- 2004年4月7日 - グレード整理。ターボモデル(VQ30DET搭載車)廃止。
- 2004年10月14日 - 後継の「フーガ」に系譜をバトンタッチし、セドリックの製造・販売を終了。44年間の歴史に幕を閉じたが、Y31型セダンのセドリック営業車だけは継続生産となった。2014年まで生産されている。
- Daiwa-cedric.jpg
後期型
車名の由来
フランシス・ホジソン・バーネットの小説「小公子」の主人公、セドリックに由来。当時の川又克二社長が命名した。近年では、中国市場専売のティアナの上級仕様「ティアナセドリック」にその名が使用されている。
取扱販売店
モーター店 (ローレル販売会社) →ブルーステージ。ただし、Y31型セダンは全販売会社。
脚注
- ↑ 新型「セドリック」「グロリア」を発売 NISSAN PRESS ROOM
関連項目
- 日産・オースチンA50ケンブリッジ
- 日産・セドリックセダン
- 日産・セドリック営業車
- 日産・グロリア - 姉妹車
- 日産・シーマ
- 日産・フーガ
- 日産・ティアナ - 中国市場で上級グレード(ティアナセドリック)にその名が使用されている。
- 光岡・ガリュー
外部リンク
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