VDP

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VDP(ぶいでぃーぴー)とは Video Display Processor の略称であり、コンピュータの機能ブロックとして映像出力全般を担うプロセッサに対する呼称の一つである。

概要

VDPとは、一般にコンピュータの映像出力全般を担うプロセッサを指し、同様の概念としてはCRTC(Cathode Ray Tube Controller)やGPU(Graphic Processing Unit)、GDC(Graphics Display Controller)などが存在する。

傾向としては、CRTCはコンピュータの歴史上において比較的初期の単純な映像出力のみの機能をもつことが多く、高機能化や多色化よりも高解像度化に比重を置いて発展したものであるのに対し、VDPはその後に現れ、主にNTSCPALなどの低解像度環境をターゲットに、(当時の水準としては)動きの大きな映像出力や動画に比重を置いたものが多いと言える。 現在のVDPもまた、(同時代のパーソナルコンピュータ全般と比較して)低解像度環境を主眼にスプライト機能や動画の伸長機能などを内包した、統合グラフィックプロセッサとして製品化されているものが多い。 VDPはスプライト制御やホストCPUからのVRAMデータ転送、各種タイミング制御が必要なことから、V9938などのように、専用にプログラムされたCPUを内蔵しているものがある。

特徴

CRTCを用いたシステムでは、原則としてCPUからVRAMにバスが繋がっており、VRAM自体の操作をCPUが直接行うことが前提であるアーキテクチャが多い事に対し、VDPではVRAMはVDPに直結され、VRAMの操作はVDPのみが行うアーキテクチャを取る場合が多い。CPUからの操作を受け付ける場合でも、VDPを介して間接的に操作する例が多い。

ただし、VDPが登場し、(当時の水準で)高機能な画像処理機能を提供し始めたと同時期のCRTCでも、現在のPCで一般的な図形の描画やBitBlt等といったアクセラレーション機能を内蔵し、これが高度化して現在のGPUへと発展していることから、機能面からの両者の厳密な区分は困難で、商標上、呼称上の区分でしかないとも言える。

TMS9918/V9938/V9958とその他の画像出力LSIとの大きな違いとしては、VDPがRGB信号(R,G,B,VSYNC,HSYNC)のほかにもNTSC/PALコンポジットビデオ信号(=複合映像信号=ビデオ信号)そのもの、またはそれに近い信号を直接出力している点にある。これは、CRTCやGPUではパソコン等の高解像度ディスプレイを接続する前提となっているのに対し、VDPがテレビに直接画像を出力するためである。CRTCなどでは外部にビデオD/Aコンバータやビデオ信号生成回路を構成しなければならないことが多い。なお、CRTCでもリコー製RP5C16Yなどのように、NTSC信号のインタレース表示のみではあるがコンポジットビデオ信号出力を行っているものがある。

応用例

カーナビケーブルテレビセットトップボックスパチンコ台や携帯電話、映像機器等への内蔵等、多岐に渡る。 過去においては、入門用の8bitホビーパソコンや、低水準のゲーム機などにも応用された。

その他

  • VDPという名称はテキサスインスツルメンツ社のチップ(TMS9918など)で主に用いられた言葉だが、その後、ヤマハV9938V9958など)をはじめとして各社がこの言葉を使うようになった。
  • ヤマハ系VDPの流れとして、中身はMSXのそれとは大きく異なるが、セガメガドライブセガサターンでも使われている。セガサターンは機能の異なる2つのVDPが採用されており、初代セガサターンの場合、VDP1として 315-5689 HD64440F、VDP2として 315-5690 FH3006 が搭載されている。

関連項目

en:Video Display Processor