クロウ・クルワッハ
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クロウ・クルワッハ(Crom Cruach)は、ケルト神話に登場する神。アイルランドにおいて最も重要な神の一柱であり、太陽の神性をもっていた。アルスター南部では戦いと死の神として崇拝されていた。その名のクロウは「三日月」、「輪」、「頭」を意味しクルワッハは「血まみれ」、「山、積み重ね、塚」を意味する。詳しい神話は残っていないが、その像は金で作られ、それを囲むように12体の小さな像が配置されていた。その姿は巨大な怒れる羊の角を生やした(または牡羊の頭をした)蛇(竜身)ともされ、その怒りを鎮めるために多くの生け贄が捧げられたとも言われる。
バロールが生み出した暗黒竜と同一ともされ、ヌアザを含め様々な神々を惨殺。ただし、プロインシァス・マッカーナ著『ケルト神話』には蛇神や竜神とは書かれておらず、謎多き神である。
なお、聖パトリックはクロウ・クルワッハの偶像を破壊し、信仰を禁じたという。
参考文献
- 健部伸明と怪兵隊『虚空の神々』新紀元社〈Truth in Fantasy 6〉、1990年、ISBN 978-4-915146-24-4。
- プロインシァス・マッカーナ『ケルト神話』松田幸雄訳、青土社、1991年、ISBN 978-4-7917-5137-2。