カウベル
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カウベル とは牛(カウ)などの家畜の首に付ける、金属製の鐘鈴(ベル)のことである。
概要
アルプス山脈一帯の国々の酪農に用いられてきた。形状は、ややつぶれた半球形であり、中は空洞で、口はややつぼまっている。自由に動く金属の舌が付いていて、カウベルが揺れるとこの舌が球を内側から叩いて音を発する。家畜が動くとカウベルが鳴るので、放牧を行う際には音色を頼りに家畜の所在を把握する[1]。
楽器として
楽器として用いる場合には、そのまま用いる場合と、改良して用いる場合がある。いずれも、打楽器、体鳴楽器に分類される。
- 中の舌をなくし形も四角く角張らせ、口がつぼまるよりもむしろ開口部が広くなったような形をしたものが、特にラテン音楽で多用される。この楽器は手に持つか専用のホルダーに固定し、木製のばちなどで叩いて音を出す。いくつかの異なる大きさのものを並べて使用する場合がある。手に持つかホルダーに固定するかによって音色は異り、手に持つ場合は持ち方によって音色を変えることができる。また、ばちの材質を変えることによっても音色を変えることができる。
- 家畜用の形のまま、音の高さがはっきりとわかるように調律したものがある。
スイスカウベルと呼ばれる真鍮製の円錐形のものは、通常のカウベルよりも残響が長く、また独特の倍音による音色を持っている。
その他
プロレスの試合形式の一つであるテキサス・ブルロープ・デスマッチでは、カウベルが付いたブルロープを両選手の腕に結びつけて試合が行われ、ブルロープ及びカウベルは凶器として使用されるのが一般的である。
ウィンタースポーツ(スキーのアルペン競技やボブスレー競技など)においてコース付近でスイスなどの観客が競技者を応援する際に用いることがある。
出典
- ↑ アルプスとカウベル(ミルクの雑学)メグミルクホームページ
関連項目
参考文献
- 『打楽器辞典』網代景介、岡田知之著、音楽之友社、1981年、33-35頁