技術基準適合証明

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テンプレート:Ambox 技術基準適合証明(ぎじゅつきじゅんてきごうしょうめい)とは、特定無線設備(小規模な無線局に使用するための無線設備)が電波法令の技術基準に適合していることを証明(電波法第38条の2)することである。総務省令特定無線設備の技術基準適合証明等に関する規則(以下、「証明規則」という。)により実施される。類似制度として電気通信事業法上の端末機器に対する技術基準適合認定という制度がある。

概要

従来、無線機器型式検定規則に基づき電波研究所(現 情報通信研究機構)が行っていた型式検定の業務の内、重要性の高い船舶・航空・測定器以外を民間に開放したものといえる。 特定無線設備の種別は証明規則第2条第1項各号に規定されている。

広義には下記の工事設計認証(こうじせっけいにんしょう)(電波法第38条の24)および技術基準適合自己確認(ぎじゅつきじゅんてきごうじこかくにん)(電波法第38条の33)が含まれる。技術基準適合証明および工事設計認証は、総務大臣の登録を受けた証明機関が実施する。技術基準適合証明機器、工事設計認証機器、技術基準適合自己確認機器には、それぞれ証明規則で定める表示をすることができ、適合表示無線設備と総称される。

適合表示無線設備を使用することが、

条件である。なお、携帯電話やコードレス電話など電気通信回線に接続するものには、技術基準適合認定も必要となる。

沿革

  • 1981年(昭和56年) 郵政省令特定無線設備の技術基準適合証明に関する規則(現 証明規則)施行により開始された。
    • 証明機関は証明規則第2条第1項の各号毎に指定されるものとされた。
  • 1985年(昭和60年) 電気通信事業法が施行された。
    • 端末機器に対し技術基準適合認定が開始された。
  • 1999年(平成11年) 「特定無線設備の工事設計についての認証」と「承認証明機関」の制度が導入された。
    • 特定無線設備の工事設計についての認証とは、下記の工事設計認証のことである。
    • 承認証明機関とは、日本向けの無線機器を取り扱う外国業者に対し、技術基準適合証明または工事設計認証と同様の審査を行えると郵政大臣(現 総務大臣)が承認した外国機関である。
  • 2001年(平成13年)
    • 特定無線設備は、電波法第38条の2の2第1項の区分に基づき第一種・第二種・第三種のいずれかに分類された。
      • 第一種は、市民ラジオ及び小電力無線局
      • 第二種は、携帯電話端末、MCA無線などの移動する特定無線局
      • 第三種は、第一種及び第二種以外の特定無線設備
    • 証明機関は上記の区分ごとに指定または承認されるものとされた。
  • 2003年(平成15年) 国内証明機関が指定制から登録制となった。
    • 指定証明機関は、国の事務を代行する立場にあり、役職員には公務員と同等の秘密保持義務もあった。
    • 登録証明機関は、中立な民間機関と位置づけられ、国は審査方法等に問題がある場合には改善命令等の事後措置を講じることになる。技術基準適合証明等に関し秘密保持や責任関係等について条件を設定することは申請者の責任である。
  • 2004年(平成16年)
    • 電波法令の特定無線設備の区分の名称から第一種・第二種・第三種の文言は削除されたが、区分自体は変更無い。(通称として用いられている。)
    • 技術基準適合自己確認の制度が導入された。

技術基準適合証明

登録証明機関が申請された無線機器に試験を実施し、個体ごとに異なる技術基準適合証明番号を付与する。申請は誰でも行うことができ、他制度の導入後も少量生産品に適用されている。 費用は

  • テレコムエンジニアリングセンター 基本料に抜取試験の抜取数に対する1台当りの試験手数料を加算した額(平成24年2月現在の手数料による。)
    • 基本料20,000円、加算額は種別により1台目24,000円~、2台目以降16,000円~
  • 日本アマチュア無線振興協会 台数及び周波数帯により1台当り51,800円~206,700円(平成25年4月施行の業務規程による。)

工事設計認証

ファイル:Telec-bluetooth-label.jpg
工事設計認証番号の表示例(下段の二つ)
上段は技術基準適合認定の設計認証番号

登録証明機関が申請された無線機器について試験を実施するほか、工場での生産体制が機器を製造するにあたり工事設計に合致することを確保することができるかについても審査を行い、工事設計認証番号を付与する。認証を受けた工事設計と同一に作られる無線機器は、同じ番号を表示できる。

工事設計認証の申請は、無線機器の製造、販売、輸入、修理、点検、加工等の業者が行うことができる量産品向けの制度であり、導入後はこの制度が主流となっている。

工事設計認証を受けた者は「認証取扱業者」と呼ばれ、「工事設計合致義務」(生産品が認証を受けた工事設計通りに製造されることを保証する義務)及び「検査記録」(製造過程において、生産品が工事設計に合致していることを確認する記録)の作成と保管が義務づけられる。

技術基準適合自己確認

特別特定無線設備(証明規則に定める特定無線設備のうち無線設備の技術基準、使用の態様等を勘案して、他の無線局の運用を著しく阻害するような混信その他の妨害を与えるおそれが少ないもの)について、製造業者・輸入業者みずからが検証・試験を実施して総務大臣に届け出る制度である。総務大臣から届出番号が付与され、工事設計が同じ無線機器は、同じ番号を表示できる。

特別特定無線設備の種別は証明規則第2条第2項各号に規定されているが、携帯電話端末、PHS端末、コードレス電話およびにれらに無線LAN機能を追加してものに限られている。

表示

適合表示無線設備には証明規則様式第7号および様式第14号に基づく表示が義務付けられる。 ここで、無線設備の種別の記号は証明規則第2項の各号ごとに様式第7号に1又は2英字が規定されており、技術基準適合証明番号および届出番号の一部とされる。 また、証明機関の記号は技術基準適合証明番号および工事設計認証番号の最初の3数字である。

表示の除去

適合表示無線設備の変更の工事(改造)をした者は表示の除去をしなければならない。

詳細については技適マークを参照のこと。

証明機関

2013年(平成25年)5月現在、登録証明機関は14法人および1個人ならびに過去に登録証明機関であった2法人で次のとおり。

名称 記号 旧記号 備考
テレコムエンジニアリングセンター(TELEC) 001 01
日本アマチュア無線振興協会(JARD) 002 02 第三種特定無線設備に限る。
ディーエスピーリサーチ(DSP) 003 03
ケミトックス 004 04  
テュフ・ラインランド・ジャパン(TUV) 005 05
アールエフ・テクノロジー 006
UL Japan 007
コスモス・コーポレイション 008
SGSジャパン 009    
テュフズードオータマ 010 第一種特定無線設備に限る。
テュフズードザクタ 011   旧称ザクタテクノロジーコーポレーション
インターテック ジャパン 012
日本品質保証機構 013 第一種特定無線設備に限る。
栗林暢彦 014 第一種特定無線設備に限る。
EMCC DR. RASEK Japan 015 (休止中)
日本電波法認証ラボラトリー 016 第一種、二種特定無線設備に限る。
電気安全環境研究所 017  
認証技術支援センター 018  
テンプレート:Color過去に登録証明機関であった法人

旧記号は、証明機関が指定制であったときの記号

承認証明機関は、特定機器に係る適合性評価手続の結果の外国との相互承認の実施に関する法律にいう外国適合性評価機関として、総務大臣が公示する。

2012年(平成24年)10月現在、登録外国適合性評価機関は次の11法人。

名称及び国名 記号 備考
TELEFICATION B.V( 201 第二種特定無線設備に限る。
CETECOM ICT Services GmbH 202 第二種特定無線設備に限る。
BABT( 203 第一種特定無線設備に限る。
Phoenix Testlab GmbH(独) 204 第二種特定無線設備に限る。
TRaC Telecoms & Radio Ltd(英) 205 旧称KTL、第二種特定無線設備に限る。
EMCCert Dr. Rasek GmbH(独) 206 第二種特定無線設備に限る。
BV LCIE( 207 第二種特定無線設備に限る。
Siemic,Inc.( 208 第一種特定無線設備に限る。
ACB,Inc(米) 209 第一種特定無線設備に限る。
MiCOM Labs(米) 210 第二種特定無線設備に限る。
Bay Area Compliance Laboratories Corp(米) 211 第二種特定無線設備に限る。
UL Verification Services Inc.(米) 212 第一種および第二種特定無線設備に限る。

証明員

証明機関には、電波法第38条の8第2項の規定による証明員を置かねばならない。要件は同法別表第4による

  1. 大学短期大学を除く。)若しくは旧制大学で無線通信に関する科目を修めた卒業者又は第一級陸上無線技術士で、無線設備の機器の試験、調整又は保守の業務に3年以上従事した経験
  2. 短期大学若しくは高等専門学校若しくは旧制専門学校で無線通信に関する科目を修めた卒業した者又は第一級総合無線通信士、第一級海上無線通信士若しくは第二級陸上無線技術士で、無線設備の機器の試験、調整又は保守の業務に5年以上従事した経験
  3. 前号の資格に相当する外国の資格を有する者で、無線設備の機器の試験、調整又は保守の業務に5年以上従事した経験
  4. 大学に相当する外国の学校で無線通信に関する科目を修めた卒業者で、無線設備の機器の試験、調整又は保守の業務に3年以上従事した経験
  5. 短期大学又は高等専門学校に相当する外国の学校で無線通信に関する科目を修めた卒業者で、無線設備の機器の試験、調整又は保守の業務に5年以上従事した経験

台数・件数

平成21年度
  技術基準
適合証明
工事設計認証 技術基準適合
自己確認
国内 国外 小計
台数 件数 件数 件数 件数
合計 32,766 4,323 738 5,061 0
第一種特定無線設備 25,896 2,220 684 2,904 0
第二種特定無線設備 543 836 41 877 0
第三種特定無線設備 6,327 1,267 13 1,280 0
総務省情報通信統計データベース 特定無線設備技術適合証明件数による。

日本国外の端末に関する問題

日本国外から何らかの方法で、技術基準適合証明(あるいは前述する承認証明機関の検定)をクリアしていない、または検定はクリアしているものの技適マークの表示機能を持たない端末(以下そのような端末を総称して「技適未クリア端末」と呼ぶ)を日本国内に持ち込み利用した場合、その取り扱いが近年問題となっている。

2014年現在技適未クリア端末を日本国内で使用した際に、電波法第103条の5に基づく国際ローミング(3G/LTE等)の対象に含まれない電波(Wi-Fi、Bluetooth等)を一瞬でも発すると、電波法第110条における「不法無線局」の扱いとなり、厳密には違法となる[1][2]。しかし現実的にはそのような端末の利用者を(現行犯以外の方法で)逮捕するのはほぼ不可能である上に、実際には日本に観光・仕事等の理由で入国する渡航者等が技適未クリア端末(ノートPC、スマートフォン等)を持ち込み利用することは日常的な光景となっている。またこの法規制のため、日本国外で製造される格安な端末を輸入して日本国内で使用することも現実的には難しくなっており、一部のメディアからは「技適マークが非関税障壁と化している」と批判されている[3]

このため総務省でも、2014年に入り制度の見直しを行う方針を固め、少なくともWi-FiやBluetoothなど国際的な規格が確立しているものについては、日本への渡航者が技適未クリア端末を持ち込み利用した場合でも合法とする方向で法改正を行う方針を明らかにしている[4]。ただ輸入端末の扱い等については見直しの方針は出されておらず、当面は問題の完全な解消には至らないものと見られている。

脚注

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関連項目

外部リンク

  • 「海外で購入したiPadを国内でWi-Fiに接続すると違法なのか。」への総務省の見解 - CNET Japan・2010年4月15日
  • 海外製携帯電話端末の国内利用を巡る誤解 ~技適マークと電波法~ - BLOGRAM・2012年8月3日
  • 2014年は“SIMフリー元年”になるか? - 週アスPLUS・2014年1月2日
  • 訪日外国人の端末、技適なしでも“サクサク”通信可能に!? 制度見直しへ - Internet Watch・2014年6月13日