ボーイズラブ
ボーイズラブ(和製英語)とは、日本における男性(少年)同士の同性愛を題材とした小説や漫画などのジャンルのこと。書き手も読み手も主として異性愛女性によって担われている。
目次
概要
BLと略されることもある。1990年代中頃から用いられ始めた。元々は雑誌『JUNE』の名前からそのまま「JUNE(ジュネ)」[1]と呼ばれていたが、『ビブロス』や『ぱふ』など複数の雑誌がこのジャンルに参入し「ボーイズラブ」を使い始め普及していった。英語圏では日本語を導入して「Shōnen-ai」という。もともとは商業オリジナルの作品を指す言葉だった(アマチュアによるオリジナルは「オリJUNE」と呼ばれた)が、BLという名称が広まったことにより、プロ・アマ、オリジナル・二次創作問わず使われるようになった。エッセイストの杉浦由美子によれば、「for girls love」という少女漫画のキャッチコピーを見たビブロスの編集者が「だったらうちはボーイズラブだ」と思い立ったのがボーイズラブという言葉の誕生であるという[2]。
少年愛・ショタコン・やおい・JUNEなどの類似語があるが前二者が少年に対する愛情・嗜好そのものを指すのに対し、後二者がそのような嗜好を持った多くの場合性行為を伴う少年同士の関係に主眼を置いた創作物のジャンルを指すという点で異なっている。
やおいはJUNE・パロディやおい(二次創作)・同人誌・ボーイズラブ・商業出版の全てを含む総称であるがボーイズラブという単語はもともと商業出版で生まれて普及した単語なので、JUNEと同じくパロディやおいとは別ジャンルとして扱われる。JUNEよりも明るく軽い作品が多い。パロディやおいとJUNEはもともと男性同士の恋愛を扱っているという以外はほぼ別ジャンルであったが初期は書き手が少なかったため、パロディやおいの作家を商業オリジナルに引っ張ってくることも多くあった。
ボーイズラブの漫画家の中には青年漫画で活躍している作家や、少女漫画家として活動する作家、少年漫画から参入した作家や、ゲイコミックも手がける作家など多種多様。また、小説においてもライトノベルや大衆向け文芸作品を手がける作家もいる。作家の中には他ジャンルへの活動の際、ペンネームを変えている者もいる。
漫画では作風や絵柄が少年漫画風、青年漫画風、劇画調などに仕上げる作家もいるものの、恋愛模様を主眼においている点と絵柄の美麗さなどから少女漫画と混同されがちであるが、ジャンルとしてはほぼ独立がなされている。また、「非ショタコン」を叫んだり、また「美形じゃなくても」という考えを持つ読者・著者も増えてきている。外見や性格が似たようなキャラクターであってもそのキャラクターが攻なのか受なのか、これも同じく読者・著者によって左右される。愛好者は女性の方が多いが、男性もいる。
ボーイズラブの系譜において、最初の著名な作品は1976年から1984年まで連載された竹宮惠子の漫画『風と木の詩』とされている。この作品の経緯はウィキペディアのこの項でふれられている。
メディア展開
小説・漫画・映画のみならず、ドラマCD・アダルトゲーム・OVA・アダルトビデオなどがある。ボーイズラブゲームは「ボブゲ」もしくは「BLG」と略される。アニメイトなど、アニメグッズを専門に取り扱っている店の中にはボーイズラブコーナーを設けているところも多い。ウェブの漫画投稿サイトなどでも、BLのジャンル[3]があるサービスが増えている。
特殊用語
ボーイズラブ小説のレーベル
概要
ほとんどが新書版(ノベルズ)・文庫版での出版だが、角川書店等では高い人気を得た作品は単行本で出版されることもある。
2000年代に入った頃から男性向けアダルト本の出版社が男性向けの売り上げが様々な規制のあおりを受け凋落し始めたのを受け、そのノウハウをボーイズ・ラブジャンルに応用する形で次々と新規参入を果たしたためレーベル数は肥大化し膨大になっている。そのため老舗として知られたレーベルに影響が見え始めており、リーフ出版の倒産、クリスタル文庫の出版鈍化などが起きている。
主なレーベル
- BLN ボーイズラブノベルス(ノベリストウェブ)
- アイノベルス(雄飛)…2007年版元経営破綻により消滅
- アイスノベルス(オークラ出版)
- アイス文庫(オークラ出版)
- アクアノベルス(オークラ出版)
- アズ・ノベルズ(イーストプレス)
- アルルノベルズ(ワンツーマガジン社)
- オヴィスノベルズ(茜新社)
- キャラ文庫(徳間書店)
- キルシェノベルズ(マイクロマガジン社)
- CROSS NOVELS(笠倉出版社)
- クリスタル文庫(成美堂出版)
- GENKI NOVELS(ムービック)
- 講談社X文庫ホワイトハート(講談社)
- SHYノベルス(大洋図書)
- CVノベルス(リーフ出版)…2007年版元経営破綻により消滅
- シャレード文庫(二見書房)
- シャレードパール文庫(二見書房)
- ショコラノベルス(心交社)
- ショコラノベルスHYPER(心交社)
- セシル文庫(コスミック出版)
- ダリア文庫(フロンティアワークス)
- ダリアノベルス(フロンティアワークス)
- ディアプラス文庫(新書館)
- Hug文庫・Hugノベルズ(飛鳥新社)
- 花丸ノベルス(白泉社)
- 花丸文庫(白泉社)
- パレット文庫(小学館)
- ビーボーイスラッシュノベルズ(ビブロス)…2006年版元倒産により、新会社・リブレ出版に移る
- ビーボーイノベルス(ビブロス)…上記に同じ
- プラチナ文庫(プランタン出版・販売フランス書院)
- ベリーノベルス(永岡書店)…2005年に1度出たのみ。その後発行は止まっている
- ラキアノベルス(ハイランド)…版元・ハイランドがビブロスの関連会社だったため、連鎖倒産。レーベルは消滅
- ラキア・スーパーエクストラ・ノベルズ(ハイランド)…上記に同じ
- ラピス文庫(プランタン出版・販売フランス書院)
- リーフノベルス(リーフ出版)…2007年版元経営破綻により消滅
- リンクスロマンス(幻冬舎コミックス)
- ルチル文庫(幻冬舎コミックス)
- 角川ルビー文庫(角川書店)
- Holly Novels(蒼竜社)
主なボーイズラブ漫画誌
現在刊行中の全ボーイズラブ漫画誌は、日本の漫画雑誌#ボーイズラブ漫画誌を参照。
- アクアBLキングダム (オークラ出版) - 携帯コミック誌
- GUSH(ガッシュ) (海王社)
- 花恋(カレン) (日本文芸社)
- Chara(キャラ) (徳間書店)
- コミックアクア (オークラ出版)
- コミックJUNE (ジュネット)
- コミックマガジンリンクス (幻冬舎コミックス)
- CIEL(シエル) (角川書店)
- ダリア(Daria) (フロンティアワークス)
- ディアプラス(Dear+) (新書館)
- drap(ドラ) (コアマガジン)
- 花音 (芳文社)
- BE×BOY GOLD(ビーボーイゴールド) (リブレ出版)
- BOY'Sピアス (ジュネット)
- マガジンBE×BOY(-ビーボーイ) (リブレ出版)
- 麗人 (竹書房)
- ルチル (幻冬舎コミックス)
主なボーイズラブ小説誌
- 小説b-Boy(リブレ出版)
- 小説アクア(オークラ出版)
- 小説リンクス(幻冬舎)
- 小説ディアプラス(新書館)
- 小説キャラ(徳間書店)
- シャレード(二見書房)
- 小説花丸(白泉社)
- 小説ショコラ(心交社)
主なボーイズラブドラマCDレーベル
- インターコミュニケーションズ
- サイバーフェイズ
- バナナジュースカンパニー(モモアンドグレープス社)
- フィフスアベニュー(販売協力:白泉社・ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメントジャパン)
- マリン・エンタテインメント(販売協力:ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメントジャパン)
- ムービック(販売協力:ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメントジャパン)
- Binetsu(ランティス)
- リーフ出版
- リブレ出版
- Atis collection
主なボーイズラブゲームレーベル(会社)
- Alice Blue(制作休止)
- ビジュアルアーツ
- プラチナれーべる
- Spray
- アイン
- Nitro+CHiRAL(ニトロプラスキラル)
- パルミエ
- 郎猫儿(ランマール)