小田ひで次

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テンプレート:Infobox 漫画家 テンプレート:Sidebar with collapsible lists 小田 ひで次(おだ ひでじ、1962年 - )は、日本漫画家岩手県八幡平市(旧・岩手郡西根町)出身。

NPO風景の生命(いのち)を守る地域づくりネットワーク理事。宇都宮文星短期大学芸術文化コース非常勤講師。

概要

1991年アフタヌーン四季賞にてデビュー。デビュー作は『魚』[1]黒田硫黄などと交友がある。漫画家を本格的に目指した理由のひとつに、母の死があったと語っている。

作風

隅々まで描き込みが多く、写実的ではあるが柔らかい筆致により温かみを感じさせる絵柄が特徴。デビュー時と現在では絵柄がかなり変化している[2]。作品で使用されるスクリーントーンは現在全て自作のものを使用するなど、いわゆる凝り性な性格である。『拡散』を執筆していたときは丸ペンで全てを作画していた。ちなみにそのときは金銭的な事情で、ペン先が鈍くなると砥石で研いでいた。

『平成マンガ家実存物語 おはようひで次くん!』などを始め、友人、知人、有名人など実在の人物をモデルにキャラクターを描くことが割りと多いが、実際の人物より(小田の主観で)格好良く描いている事があり、キツく癖を強調するのが似顔絵の基本であるので、写真を見ながら描いた人間以外は[3]、あまり実在の人物に似ていない[4]

人物など

本人の身長は(漫画家としては)高めで大柄。声は低めで竹中直人的な声質。髪を後ろで縛っており、20代の頃から自分で適当な長さまで伸びると切っている。御飯に牛乳をかけて食べるのが好きで、周囲の者をゲンナリさせた事があった。また、市販のスポーツドリンク類を購入して飲む時に水を半分入れて飲む癖がある。本人曰く「味が濃すぎるから薄めている」[5]

幼少期に放送していた初期の『ウルトラマン』シリーズの大ファンであり、メトロン星人がアパートに居た(ちゃぶ台を挟んであぐらをかく)シュールな画を見た時の衝撃の大きさから、ウルトラマンの気ぐるみの中の人物にまで言及し、スペシウム光線のフォームの違いにまでその発言が及ぶ[6]が、そのマニアックさとは裏腹に『機動戦士ガンダム』シリーズなどに対する知識は全く無く[7]、インターネット、アニメ、ゲーム類といった現在の秋葉原のオタク系文化への理解や関心も薄くむしろ嫌がる傾向がある。

非常に読書家であり、その結果シュールレアリズムから文化人類学宗教学など独自の思想を強く持っている。

教授として文星芸術大学に所属する漫画家のちばてつやは文星短大から編入した学生たちの作品を見て「小田さんの教え方が巧い」と賞賛した。本人も「(現在の立場は置いておき)人に漫画を教えるのは好きだ」と発言している[8]

『ミヨリの森』近年の作品など

2006年、インターネット上で『平成マンガ家実存物語 おはようひで次くん!』を連載していた。タイトルのとおり、本作の主人公は作者の小田ひで次。ただしフィクションが多分に含まれており[9]、小田が書店に下宿している部分などは完全に創作(彼の父親が書店を経営していた為、ある意味寓意的ではある)。

作品『ミヨリの森[10]青春アドベンチャーでラジオドラマ化されており、美術監督の山本二三によってアニメ化された。制作されたアニメはテレビ局上層部などには非常に好評であったが、(前述のウルトラマンなど)キャラクターの動きに拘る小田の要望に答えることがTVアニメでは難しく、企画が挙がっていたアニメの続編は制作されなかった[11]。『手乗りマンモスのモウちゃん』など『ミヨリの森』執筆以降は低年齢層を意識した作品が発表される。

NPO風景の生命(いのち)を守る地域づくりネットワークなど小田は郷里に関連する仕事も行っており、縄文時代をモチーフにしたイラスト地図の作画などを手がけており、過去から現在までの漫画作品に登場する精霊妖怪などのクリーチャーデザインも含めて、デザイナーとしての実力に一部で高い評価がある。

作品リスト

単行本

ネット連載

  • 平成マンガ家実存物語 おはようひで次くん!(講談社、MiChao!

アンソロジー

  • 東日本ふるさと物語 - 参加。
    • ひで次くんの箱舟 2011年8月、徳間書店

脚注

  1. 文字通り魚が登場する作品であるが、小田は魚のデザインについて特に強い考えがあったわけではなく、マスや鮭の仲間に見える”魚”は非実在のオリジナル生物である。以後、代表作となる『ミヨリの森』に至る現在まで小田は独特の生物や妖怪を描く作家として知られている。『魚』に登場する魚を捕まえる人物も、黒人系の人物にみえるが人種を意識しての作画は皆無であり、(本人にとって”男が日本人なのか外国人なのか?”は)「どちらでも良い」と述べた。
  2. 本人曰く、「『拡散』の頃は普通に描いていたつもりだったが、人間の鼻などが大きすぎて今見ると驚く」。また、『拡散』と同じ方向性の物語がもう描けない自覚がある為か、『拡散』の熱心なファンに対して多少の苦手意識があることを度々周囲に洩らしている。
  3. 『拡散』のモブの中に宮沢賢治が登場しているが、写真を見ながら描いたのでわりと似ている。また『拡散』ではよく探すとオウム真理教の麻原彰晃なども登場しているのだが、再版ではオウム真理教が起こした事件が大きいことなどを考慮し、原稿に直接眼鏡や髭を上から描き足すなどをして誰だかわからない状態となった。
  4. 友人の文星芸術大学准教授らが指摘している。
  5. 実際、スポーツ栄養科学の専門家には市販のスポーツドリンクは味が濃いので割って飲むべきだと主張する者が多い。
  6. 『拡散』にもウルトラマンが登場する。
  7. (ガンダムブーム直前の)『宇宙戦艦ヤマト』まではアニメを観ていたと発言している。
  8. 小田の教育者の手腕を評価した文星芸術大学の学長と理事長から「非常勤講師から常勤講師になって欲しい」との依頼があったのだが、小田は「自分は教育者である前に漫画家である」という考えから丁重に断っている。
  9. しかし”小田が携帯電話を持っていない”など嘘のような事実もかなりある。
  10. アニメ映画『千と千尋の神隠し』を観た小田は自分なら子供達を意識してこう物語を創ると『ミヨリの森』を執筆した側面がある。また「ありえないだろうが」と前置きをして「もしパチンコで『ミヨリの森』の企画が来たら儲かる話でも俺は絶対にOKしない」と、この作品に対する愛着が強い。最近の定番ともなったパチンコ産業にデザインとして使われているアニメ、漫画の存在に否定的である。
  11. 不思議なことに多くの人間が指摘した歌手やアナウンサーなどを起用した微妙な声優の演技LVについて小田は「気にならない。アニメは動きだ」と述べている。
  12. 『拡散』はネーム企画段階では『拡散病』というタイトルであったが、“病”という部分が「マイナスのイメージで困る」と編集者から指摘されタイトルを変更する(小田は結果的に『拡散』というタイトルの方がゴロが良く気に入ったと述べている)この『拡散』を執筆時の小田は内面での様々な葛藤など、若き自己にある何かをよく作品に出しており、『拡散』は非常に芸術性と文学性が高い漫画作品となっている

外部リンク

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