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X68000
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{{出典の明記|date=2011年10月}} [[File:X68000ACE-HD.JPG|thumb|right|270px|X68000ACE-HD(1988年)]] '''X68000'''(エックス ろくまんはっせん)シリーズは、[[1987年]]3月28日に[[シャープ]]が発売した[[パーソナルコンピュータ|パーソナルコンピューター]](パソコン)。 本項目では[[昭和]]62年 ([[1987年]]) に発売された初代'''X68000'''(型名'''CZ-600'''シリーズ)と、[[平成]]5年 ([[1993年]]) に発売された後継シリーズの'''X68030'''(型名'''CZ-500''' / '''CZ-300'''シリーズ)をあわせて記述する。 ==概要== [[昭和]]62年 ([[1987年]])に[[シャープ]]が発売した16ビットパソコン(「パーソナル[[ワークステーション]]」を呼称)。略称は'''X68K、ペケロク、ロクハチ、ロッパー、ペケロッパ'''など。また、後に発表された32ビット版の[[#X68030|X68030]]シリーズと併せ、X680x0と表記されることもあった。 [[1980年代]]後半から[[1990年代]]前半にかけて、[[日本電気|NEC]]・[[PC-9801]]シリーズ、[[富士通]]・[[FM TOWNS]]シリーズに次いで、[[ホビーパソコン]]の一角を担った。日本のホビーパソコン[[CPU]]に[[モトローラ]]の[[MC68000]]を採用した機種は、他に発売されなかった。販売台数は1991年9月の時点で13万台<ref>[[アスキー_(企業)|アスキー]](現・[[KADOKAWA]]/[[アスキー・メディアワークス#アスキー・メディアワークス ブランドカンパニー|アスキー・メディアワークス]])刊行パソコン雑誌『[[LOGiN]]』 1991/10/4号より</ref>。 標準の[[オペレーティングシステム]] (以下OS) だった[[CUI]]の[[Human68k]]、および[[GUI]]の[[SX-Window]]は、後にユーザーコミュニティに対してフリーで公開された。 ==X68000== 初代機のX68000は、発売前年の[[昭和]]61年 ([[1986年]]) に発表された。開発は、パソコン[[テレビ]]、[[X1 (コンピュータ)|X1]]シリーズを開発した、シャープ栃木のテレビ事業部。[[ソフトウェア]]・[[ハードウェア]]共に[[X1 (コンピュータ)|X1]]シリーズとの[[互換性]]は一部の周辺機器を除いてないが、実質上の後継機種である。[[MZ (コンピュータ)|MZシリーズ]]をリリースし、後の[[Mebius]]ブランドパソコンの元となった[[大和郡山市]]の産業機器事業部は関わっていない。 初めて発表されたのは、[[昭和]]61年 ([[1986年]]) 10月2日 - 7日に開催されたエレクトロニクスショー'86(現:[[CEATEC JAPAN]])。シャープブースの一角に展示され、[[デジタイズ]]された女性歌手[[荻野目洋子]]<ref>当時、シャープのAV機器のイメージキャラクターでもあった。</ref>の65536色画像と「グラデュース自走」と銘打たれた[[グラディウス_(ゲーム)|グラディウス]]の実動画面、そして画面切替によるチェス盤の上をあらかじめ[[レイトレーシング]]された玉が跳ねるといった[[デモンストレーション]]が行われた。展示画面には「新開発 16ビット パーソナルワークステーション X68000」と書かれた絵文字と南国をイメージした背景が表示されていた。 [[イベントコンパニオン|コンパニオン]]による[[デモンストレーション]]は、「このパソコン、何と喋るんです」のナレーションに答えてX68000が「早く紹介して下さいよ」と[[ADPCM]]で発声するもので、その後ハードウェアの特徴と構成が紹介されるというものだった。後述の「マンハッタンシェイプ」はこの時点で名称が確定しており、デモンストレーションでも紹介された。 当時、日本で68000系を採用したパーソナルコンピューターは殆ど[[前例]]がなく、業務用の[[EWS]]と誤解した人も多かったため、会場ではそれほど大きな注目は集めなかった。MC68000採用の理由は、メモリ空間が16MBと大きいことと、''「OSがのっかりやすい」''ことだった<ref>『パソコンヒット商品物語』(1991) p.88 電子機器事業本部液晶営業システム事業部(1988年当時)・小林冬記の証言より引用。</ref>。当時、[[日本]]の[[電機メーカー]]の間で68000系[[MPU]]を採用する独自の[[EWS]]を開発・発売するのが一つの流行になっていた背景もあった。 その後、[[Oh!MZ]]誌を始め、各[[パソコン雑誌]]にて取り上げられた事により認知が高まり、次いで[[シャープ]]市ヶ谷のエルムホールにて[[九十九電機]]と協賛したお披露目が行われた(全国各地で行われたという説もあるが、詳細は不明)。内容は[[ラヴェル]]の[[ボレロ]]を[[FM音源]]で再生しつつ、[[デジタイズ]]された画面を次々と[[X1 (コンピュータ)|X1]]シリーズ用の[[HDD]]ユニットより読み込んで表示させるというものだった。また、[[グラディウス (ゲーム)|グラディウス]]のデモについては[[ビックバイパー]]だけが[[カーソルキー]]の操作に合わせて可動し画面内を飛んでいるというものに変わった。 発表から発売まで約5カ月あいたため、発売前から一部の店舗にデモ機が置かれた。この時点でグラディウス、[[アセンブラ]]、[[X68000のテーマ]]等の同梱ソフトウェアは揃っていたが、本当に発売できるのか、あるいは発表された価格を実現できるのかについて懐疑的に見る向きも多かった。実際に発売されたのは、1987年3月下旬である。出荷数は少なく、実際に購入者の元に[[初期ロット]]が届けられたのを見て、突発的に注文する顧客もいた。 その結果、シャープは[[バックオーダー]]を抱えることとなり、好調な滑り出しとなった。 当初は[[インテル]]系プロセッサを始め、様々なプロセッサの搭載が検討されていたとされるが、最終的には[[Macintosh]]と同じ[[MC68000]]が採用され、日本のメーカーによる最初にして最後の68000系[[コンシューマー|個人]]向けパソコンとなった。 当時のパソコン市場で主流だったNECの[[PC-9800シリーズ]]の最高級機種と比べ、[[CPU]]の処理能力では優位に立てなかった。本シリーズ初代機発売開始時点でのPC-9800シリーズに搭載されていた最速CPUはPC-98XL(1986年12月発売。FDD2基搭載モデルの本体価格575,000円)の80286 10MHzで、演算性能そのものはCPUの開発時期や集積トランジスタ数の差を反映して、同クロックでの68000比で約2倍程度の差があった。しかし、当時としては競合機種に対して特別な大容量を誇る[[VRAM]]と強力なグラフィックコントローラ群によって実現された65,536色の多色グラフィックと[[スプライト (映像技術)|スプライト]]機能、[[FM音源]]8チャンネル+[[Adaptive Differential Pulse Code Modulation|ADPCM]]1チャンネル、1MBのメインメモリ(最大12MB)等の周辺回路により、総合的に競合製品を凌駕するホビーマシンとして凌駕する性能を備えていた。その象徴となるのが標準添付アプリケーションの一つでもある、当時はゲームコンソールでも多くの要素が割愛されて移植されていた「[[グラディウス (ゲーム)|グラディウス]]」の存在である。 価格面でも当時の各部品の卸値相場から想定して本体価格50万円程度、専用[[ディスプレイ (コンピュータ)|モニター]]と合わせて70万円はするのではないかと噂されたが、同時期のNECのPC-9801VX2(本体価格433,000円 FDD2基搭載モデル)より64,000円安い本体価格369,000円に落ち着き、専用[[ディスプレイ (コンピュータ)|モニター]]と合わせても実売価格40万円程度で発売された。 また、「'''5年間はハードの基本仕様を変えない'''」という方針が当初から決められていた。 これらの機能を実現するための膨大な[[回路]]の実装には積極的に[[カスタムLSI]]が採用された。初代機ではそれぞれビーナス1・ビーナス2([[CRT]]コントロール)、VSOP([[ビデオ]]コントローラー)、シシリアン([[入出力|I/O]]コントローラー)、ET([[メモリー]]コントローラー)、シンシア・シンシアJr.([[スプライト (映像技術)|スプライト]]コントロール)の[[コードネーム]]が付けられていたものが使われた。現在に至って見直しても、その[[基板]]上の部品配置は整然として美しく、当時の開発陣の熱意と苦心の跡が伺える。 試作機段階ではこれらの機能を全て[[標準ロジックIC]]で実装したとされ、その容積は[[19インチラック]]1本分に上ったとされている。 こうした設計から、ホビー向けマシンとしてその機能を生かしたソフトウェアやハードウェアなどを自作するマニア層を中心に、当時としては安価なCG制作機として映像作品を創作する者もいた。そのハードを生かしたゲームも多数市販された。特にアーケードゲームの移植作が多く、コアなゲーマー(ゲームユーザー)などにも支持されていた。 この様に、ビジュアル的なパフォーマンスでは強烈なインパクトを示した機体だったが、実務面では既にPC-9800シリーズがビジネス向けパソコンの主流として納まっていた背景もあり、オフィス系(実務・応用)アプリケーションへの対応状況などは比例して芳しくなかった。その一方で教育・組み込み向けなどへの営業展開もなされていた。一部のアーケード(業務)用ゲーム機の筐体に組み込まれたり、PROシリーズなどが業務用組込みシステムの開発用途に着目され、Forks社などからX68000での動作を前提にした[[OS-9]]環境で動作する[[Local Area Network|LAN]]ボードなどの周辺機器が発売されたこともある。通勤電車の行き先電光板の制御用として使われた実例もあった。教育分野では、ゲームクリエイターを育成するために、専門学校の実習機としても採用されていた。 [[プログラミング (コンピュータ)|プログラミング]]環境の整備に力が入れられており、専用の[[C言語]][[コンパイラ]]が安価な価格で提供された。標準で付属している[[BASIC]]である[[X-BASIC]]が、BASICとしては非常に独特の、C言語風味の言語仕様であり、X-BASICからC言語への変換ツールや、プログラミング上問題になりやすい差異について検出する構文検査ツールなどが提供されるなど、BASICからCへのユーザーの移行が考えられていた。 また、[[システムコール]]及びハードウェア構成、それぞれのハードウェアへの[[機械語]]レベルでの直接[[アクセス]]の方法とそれぞれの[[ペリフェラル]]が持つ[[レジスタ (コンピュータ)|レジスタ]]の意味と動作の全てが公開された。 やがて、動作クロック16MHzの高速化機種であるX68000XVI発売を経て、X68030が発売された。実質的な最終機種である同機が発売された1993年頃には、[[DOS/V]]や[[Microsoft Windows 3.x|MS-Windows 3.1]]などの[[オペレーティングシステム]]が搭載された[[PC/AT互換機]]や[[CD-ROM]]ドライブユニットがそれぞれ普及し始めていた。しかし、本シリーズはソフトウェアのメディア供給が依然として[[フロッピーディスク]]のみで、その大半が5.25インチの2HDだった。それを打開するため、[[Small Computer System Interface|SCSI]]のCD-ROMドライバが[[サードパーティー]]や[[フリーウェア|フリーソフト]]で開発された。ただし、一部のCD-ROMドライブでは正常動作しないなど制約も多かった。X68000シリーズ対応の[[CD-ROM]]を[[媒体]]としたソフトウェアもわずかながら発売された。 またこの頃には、国産機としては初めて[[MPEG]] ([[MPEG-1]]) による動画再生(MPEGエンコーダボードを拡張スロットに装着し、OSはOS-9/X68030にて[[Video CD]]の視聴)を実現している。 キャッチコピーは「夢を超えた」(初代)「アートの領域へ」(ACE) 「夢の続きを語ろう」(EXPERT / PRO) 「父のパソコンを越えろ」(XVI) 「夢の、頂きへ」(X68030) など。イメージキャラクターは[[ツタンカーメン]] (X68000)、[[火の鳥]] (X68030) など。 なお、当時のシャープ顧問だった[[宮永好道]]によると、シャープが本機を出す際に一番気にしていたのは、「他のやらない事をする」社風の[[ソニー]]の出方だったという。これは懸念に終わったが、後にソニーは[[VAIO]]シリーズでその持ち味を出して来た、と自著で語っている<ref>[[宮永好道]]「誰も書けなかったパソコンの裏事情」([[並木書房]])</ref>。 ==外観上の特徴== X68000の筐体は「マンハッタンシェイプ」と称するプラスチック製の左右分割ツインタワー型デザインとなっており、片側にオートイジェクトが可能な5.25インチ[[2HD]]対応の[[フロッピーディスク|FDD]]2基と内蔵ハードディスクユニット(搭載可能機種のみ)、それに電源ユニットを搭載、反対側には拡張I/Oスロットを2基搭載した。2つのタワーの間にはポップアップハンドルを内蔵し、底部が連結されてそこに各種I/Oポートが実装されるサブ基板が搭載されていた。付属の専用[[マウス (コンピュータ)|マウス]]は上部の蓋を外すと[[トラックボール]]としても使用可能。マウス端子は本体に1つ、専用[[キーボード (コンピュータ)|キーボード]]に2つあった。このデザインは初代と、後継機のACE・EXPERT (II)・SUPER・XVI、X68030 (CZ-500) に受け継がれた。 マンハッタンシェイプという名前は、当時[[アメリカ合衆国]]・[[ニューヨーク州]]の[[マンハッタン島]]に存在した[[ワールドトレードセンター (ニューヨーク)|ワールドトレードセンター]]のツインタワーの景観を連想させる事から名付けられた。若手デザイナーによるこの造形は、歴代の日本製パソコンのデザインの中でも秀逸なものとされ、[[グッドデザイン賞]]も受賞している。その一方、この本体ケースの金型制作には多額のコストが掛かったという{{要出典|date=2011年10月}}。 PROシリーズはこれとは異なる横置き筐体で、他モデルとデザインの異なる専用キーボード及びX1turboZ付属のものと同じマウスが付属し、拡張I/Oスロットを4基搭載した。また、30万円を切る廉価版としての側面もあった。しかし、従来の縦置きシリーズとは回路設計がやや異なる部分があり、SCSIボードの「Mach-2」など、非対応とされたハードウェアも少なからずあった。 Compactシリーズはオートイジェクトが可能な3.5インチFDDを搭載、プラスチック製で縦置きであるが非ツインタワー型で、専用キーボードはテンキーを省いたもの、マウスはPROと同じものが付属した。 ボディ色はグレーまたはブラック、SUPER以降はチタンブラックのみとなった。「X68000」のバッジは金色、Compactでは白色印刷、「X68030」のバッジは赤。 ==X68000の仕様== ===CPU=== [[CPU]]には当時の[[Macintosh]]などと同じ[[モトローラ]]の[[MC68000]]を採用した。動作クロック周波数は10MHzで、無印、ACE、EXPERT、SUPERまでは[[セカンドソース]]の日立製HD68HC000が使用された。当時[[CMOS]]版のMC68000を生産していたのは日立だけだった。 搭載された[[MC68000]]は16ビットCPUでありながら、32ビット環境を前提に設計された直交性の高い命令アーキテクチャーが特徴であり、同時代のCPUとしては[[アセンブリ言語]]が扱いやすかった。 X68000 には[[FPU]]として[[MC68881]]が使用可能であり、拡張スロットに装着するものが純正品としてシャープから発売されていた。 毎年高速化されていく他機種を横目に、4年を経てようやく、基本性能はそのままでクロック周波数が高速化されたXVIが登場した。このXVIと次のCompact XVIではモトローラ社製のMC68000が使用され、クロック周波数が16/10MHzの選択式になった。またFPUはメイン基板に専用ソケットが搭載された。 なおXVIの発売をきっかけとして従来の10MHz機やXVI・Compact XVIのクロック周波数を高速化する改造が[[電子掲示板|BBS]]や雑誌で公開され、ユーザーの間で流行した。 MPUは、Compact以外は[[ソケット]]に実装されていたため交換が容易で、HD68HC000搭載機ではモトローラ純正MC68000に交換も行われた。また、倍のクロックに変換する基板を作成して販売した会社もあった。これはそのままでは劇的な高速化は見込めないため、独自設計のメモリーアクセスを改善する拡張メモリーボードを組み合わせることで真価を発揮する、という製品だったが、このメモリーボードは結局発売されなかった。さらに、変換基板を自作しての[[MC68020]]搭載を試みた者もいた。その後、上位の32ビットMPU[[MC68030]]に換装するアクセラレーターボードなどが他社から発売され、ヘビーユーザーの間で広まった。 ===主記憶=== メモリー空間は、MC68000が利用可能な16MBのうち、主記憶空間として12MBを使用することができた。この主記憶領域は[[リニアアドレシング]]が可能であり、また、領域を指定しスーパーバイザー領域とする事で、アプリケーション側からアクセス禁止にすることも可能だった。 標準では、初代・ACE・PRO・PROIIは1MB(追加1MBは専用メモリーボードによってメインボード上に増設可能だが、2MB以上のメモリーを増設する場合はこの専用メモリーボードによってまず2MBまで増設することが必須である)、その他は2MBを搭載していた。 シャープからは拡張スロットに差すタイプの4MBの拡張メモリーボードが発売されていたが、後に他社から8MB以上のメモリーを装備したものが発売された。 X68000のメインメモリーは拡張スロットを介したものを含め、すべてノーウェイトアクセスであるが、動作クロックの上昇したXVI・Compact XVI 以降の機種では、10MHz動作の汎用拡張スロット経由でのノーウェイトアクセスは不可能だったため、本体内部に8MBまで増設可能なメモリーソケットも用意された。 ただし、この場合12MBまで増設するには8MB以降は拡張スロットによる増設となるため、この4MBをアクセスする場合は多大なウェイトが挿入されることとなり、これによる速度低下を回避するため、この領域をRAMディスクとして使用するなどして、この範囲にコードが置かれることを回避する使用法もあった。 X68000は全機種でメモリーバックアップ機能を持つ16KBのSRAMを内蔵し、メモリースイッチの設定を保存するほか、RAMディスクとしての使用やSRAMからのシステム起動も可能だった。ただし、SRAM領域は通常は書き込み禁止に設定されており、プログラムの暴走など万一の事態でも書き換わる事はまず無いとされたが、PRO系の機種ではSRAM回りの設計に難があり、通常使用でもSRAMに書き込まれているデータが破損することがあった。一方、このSRAM領域を利用して潜伏・感染する[[コンピュータウイルス|コンピューターウイルス]]も存在した。 ===グラフィック=== グラフィック画面表示用の[[VRAM]]([[フレームバッファ]])は512KBを搭載している。これを使用して、256×256または512×512×最大16ビット(65,536色)、768×512×最大4ビット(16色)の表示が可能である。また、[[CRTC]]のレジスタを直接操作することにより、1024×768×4ビットの表示や640×400に近い解像度、384×512などでの表示も可能である。 グラフィックVRAMへのアクセスには、領域として 全2MB(1024ドット×1024ライン×16ビット)が予約されているが、実際に搭載されている512KBのVRAMは、画面モードによらず常に1ワード(16ビット)=1ピクセルとなるように 512KB - 2MBのメモリ空間に配置される。すなわち、16色ならば、2MB のメモリ空間の下位4ビットが有効になり、256色表示ならば、1MB の領域の 下位8ビット(残り 1MB の領域は無効)、65,536色表示であれば先頭の 512KB の領域で 全16ビットが有効になるという仕組みである。これによりピクセル単位のカラー操作を容易なものとしていた反面、多数のピクセルを書き換える際にアクセス速度の点では不利だったが、のちにデータ転送時のみグラフィックVRAMの構成を切り換えて隙間なしでデータ転送するテクニックが登場した。 また、グラフィック画面だけで独立した面(プレーン)を最大4プレーン(512x512ドット 16色時)持つことができた。16色モード時には1024×1024ドット1プレーンまたは 512×512ドット4プレーン、256色モード時には512×512ドット2プレーン、65,536色モード時には512×512ドット1プレーンという構成で、複数のプレーンを重ねあわせて表示することができる他、半透明機能があった。また、それぞれ独立に上下左右がつながった球面スクロールが可能となっている。 同時代のパーソナルコンピューターとして標準的な環境での解像度は640×400ドット16色であり、この表示に必要なVRAMは128KB弱である<!--ただし、PC-9801シリーズなどはこれを2画面分搭載し、切り替えて表示することが可能である-->ことからも、X68000の圧倒的な画像処理能力がうかがえる。X68000の65,536色はGGGGGRRRRRBBBBBIの16ビットによって構成されており、RGB各5ビットによる32768色と輝度ビット(半段階の明るさ調整)によって実現されている。 グラフィック画面は、上記の他、高速クリアなどの画面制御機能はあったものの、基本的には[[MPU]]の直接制御によって図形描画が行われた。同時代の主な16ビット以上のパーソナルコンピューターで、グラフィックディスプレイコントローラーを採用しラインや多角形、塗り潰しなどの簡易的な描画機能が搭載されていた点とは対照的である。 これは当時、安価なグラフィックディスプレイコントローラーのハードウェア描画機能がまだ貧弱であり、速度的にも充分なものでなく、かつ実装及びプログラミング上の制約が大きかったためと推測される。 後にPC-9800シリーズでもこの問題から、[[グラフィックチャージャー]]と称してX68000同様の[[ピクセル演算]]機能を実現して、性能の向上を図っている。 ===テキスト表示=== いわゆるキャラクタ単位のテキスト画面は用意されず、グラフィック面とは別に512KBのビットマップVRAMが用意されていた。 X68000のテキスト面はプレーンドピクセル方式のビットマッププレーンであり、同時代の標準的なパーソナルコンピューターのグラフィック画面に相当する情報量と表現力を持っていた。ビットマップによるテキスト表示は、その表現力と引き換えに、キャラクタ型VRAMと比較すると負荷が重い(遅い)ものであるが、X68000のテキストVRAMには同時プレーンアクセス機能やラスタコピー機能、ビットマスク機能などの画面制御機能が用意されており、CPUの処理を大幅に軽減することが可能となっていたため、十分な速度を得ることができた。 テキストVRAMは4プレーン存在するが、通常、そのうち2プレーンはマウスカーソルとソフトウェアキーボード、電卓の表示に使用されるため、テキスト表示は2プレーンで行われることが多い。 テキスト表示用にフォントパターンを[[Read Only Memory|ROM]]に搭載している。このCGROMに搭載されている文字種は、16×16ドットのJIS第1/2水準漢字に加え、24×24ドット、12×12ドットのJIS第1/2水準漢字(非漢字752文字、第1水準漢字3008文字、第2水準漢字3478文字)である。このほか、ビットマッププレーンを生かし、ユーザー定義のフォントを使用することも可能だった。 通常の16ドットフォントを使用した際のテキスト表示は半角で96文字×32行であるが、VRAM自体は1024×1024ドットの広さを持っており、これを利用してSX-Window Ver.3.xでは起動時オプションの指定で最大1024×848(インターレース)での表示が(隠し機能的に)可能なほか、[[CRTC_(LSI)|CRTC]]のレジスタ操作と入力周波数の物理的な変更により、1024×1024ドットのフルスクリーン表示なども実現されている。なお、インターレース表示での高解像度画面は、長残光CRTを使用しないかぎりちらつきが著しく実用に耐えない。そのため、X68000XVI CompactやX68030ではSX-Windowの640×480表示用に追加搭載された50MHzのクロックオシレータをより高周波数のもの、具体的には80MHzや100MHzのものに交換し、高解像度対応のCRTと組み合わせてSX-Windowの高解像度表示を実用的なものとすることがOh!X誌で紹介され、一部でこの改造が流行した。 このテキスト面は前述の画面制御機能が使用できるほか、1ワードで最大16ドット、ロングワードで32ドットの書き換えが可能となるため、用途によってはテキスト画面をグラフィック画面代わりに使用し、他機種からのゲーム等の移植にも使われた。ビジュアルシェルやSX-WindowもテキストVRAMで実現されている。 ===スプライト表示・その他の表示機能=== その他には、16ドット×16ラインで65536色中16色、同時表示枚数128枚の「スプライト機能」と「BG面」を持っている。これは、特に[[アクションゲーム]]や[[シューティングゲーム]]の作成に非常に有効だった。スプライトとBGのパターンデータは共用であり、VRAMとは独立した16KBの高速SRAMを使用していた。 スプライト以外の、これらのすべての画面を合わせると、最大で7枚(グラフィック4+テキスト1+BG2)もの独立スクロール機能付きの画面をハードウェアで合成表示することが可能だった。 他には、パソコンとしては珍しく「走査線(ラスタ)割り込み」を可能としていた。なお、ライバルと目されたFM TOWNSは、HSYNCを検出することは可能だったが、それを割り込みトリガには出来なかったため、一般にラスター割り込みを使うエフェクトは、他の手段で再現していた。 また、専用端子へ接続するカラーイメージユニットを使用することにより、当時としては先進的な、ビデオ信号のキャプチャが可能だった。 X1のパソコンテレビの機能も受け継いでおり、テレビチューナー付の純正の専用[[ディスプレイ (コンピュータ)|モニタ]]では、チャンネル操作や[[スーパーインポーズ (映像編集)|スーパーインポーズ]]などのテレビコントロールも可能だった。 ===その他の機能=== サウンド機能として、X1turboZと同じ8チャンネルのステレオ[[FM音源]] ([[YM2151]]) に加え、[[Adaptive Differential Pulse Code Modulation|ADPCM]] ([[沖電気工業|沖電気]]製MSM6258) を1チャンネル搭載した。 YM2151の定格入力周波数は3.58MHzであるが、本機ではX1に合わせ4MHzが入力されているため、出力される音程はチップの仕様と異なる。 ADPCMは、シンセサイザ然としたFM音源を補う形で、パーカッションなどとして同期演奏することから始まり、フリーソフトウェアや、SPS等によるソフトウェア的な合成により、多重に出力できるような利用がされるようになった。 リニアPCMを扱うことはできないが、ハードウェアとして扱えるようにしたボードや、FM音源に対し矩形波の近似波形を音色として設定しチップの応答速度限界付近の出力を制御し、DACとして利用することで、PCMとして利用するソフトウェア等も存在している。 他には本体の電源を制御する機能がついており、ソフト上から時間を指定して電源をON/OFFすることが出来た。このため、現在のPC/AT互換機でのATX/BTX筐体のように、前面の電源スイッチとは別に背面に主電源スイッチがあった(Compact / Pro / ProIIを除く)。さらに正面電源スイッチのほかに背面にリモート電源端子があり、[[継電器|マグネットコイルリレー]]などの外部スイッチより起動することも可能だった。また、4チャンネルの[[Direct Memory Access|DMA]]も搭載していた。 キーボードは80C51を内蔵した[[シリアル通信|シリアル]]制御で、本体からキーボードの特定のキーに内蔵されたLEDを制御することも可能だった。 ===拡張性他=== 本体の背面には10MHz動作の汎用拡張スロットが用意され、各種拡張カードや増設メモリカードなどの搭載が可能だった。 ジョイスティックポートは同時代に標準的なD-sub9ピンの[[アタリ_(企業)|ATARI]]規格準拠のものであり、X1とは異なり、一般的なピンアサインに変更された。このジョイスティックポートは縦型の機種では本体前面と背面に1ポートずつ、PRO系では前面に2ポート設置されていた。[[プリンター]]はセントロニクス仕様準拠のパラレルポートで、同時代の一般的なPC-9800シリーズのプリンターポートがそうだったように、入力はBusy信号のみの、事実上出力のみに特化した仕様のものが実装されていた。コネクタはX1同様のMIL-C-83503に準拠した俗に言う[[MILタイプ圧接コネクタ]]だった。さらに、RS-232C上位規格の[[RS-232|RS-232E]]に準拠した[[シリアルポート]]、FDDの増設端子などのコネクタも標準搭載した。 また初代機から[[SASI]]相当の[[ハードディスクドライブ|HDD]]増設端子を備えており、純正のX1turbo用増設ドライブの他、PC-9801用のSASI[[ハードディスク]]を流用できた他、後に有志が公開したドライバ<ref>SxSI、TwoSCSIにも互換性改善を試みるプログラムが含まれる。これらドライバのドキュメントに含まれるパリティービットの生成回路の追加により、SCSI2の機器もより多く動作させることが可能である。</ref>によって[[Small Computer System Interface|SCSI]]として使用することもできた。 HDD増設端子は、X68000 SUPERからはSCSI端子に変更され、ACE以降は、本体内にHDDを内蔵するスペースがあり、マウンタ等は設置されていないものの、保守部品として別途入手し、工作することで内蔵することが可能であった。 また、拡張SCSIインターフェイスは内蔵インターフェイスとハードウェア的には別の実装になっているにもかかわらず、便宜上、拡張ボード、内蔵デバイスと検索されるため、拡張ボードを使用した場合は、内蔵デバイスが無効になる。これらをソフトウェア的に別IDを与え、併用するTwoSCSIというソフトウェアも開発された。 SCSI機器は、SCSI端子を持つX68000に接続して利用できるはずだが、ある一時期に発売されたSCSI機器は、X68000に接続しても認識できない問題が少なくなかった。この問題には、[[終端抵抗]]の有無(SCSI機器末端の終端抵抗を取り外すことで動作する機器も存在した)といった電気的特性の他、[[日本電気|NEC]]が発売していたPC-9801-55ボードや同時期の[[PC-9800シリーズ]]本体内蔵SCSIには1台目SCSI機器のベンダID先頭3文字がNECでないと起動しない制限、俗に言う「[[PC-9800シリーズ#55ボード問題|NECチェック]]の巻き添え」に起因するものがあり、[[パソコン通信]]を中心にSCSI機器動作確認情報の交換が行われていた。 初代機からX68000 XVI(PROを除く)までは立体視端子(STEREOSCOPIC端子)も装備されていたが、対応ソフトは[[電波新聞社]]から発売された[[セガ]]の「[[ファンタジーゾーン]]」のみで、利用するための専用[[ハードウェア]]が発売されることはなく、[[満開製作所]]が[[ファミリーコンピュータ]]用「[[ファミコン3Dシステム|3D SYSTEM]]」をX68000の立体視端子に接続するためのアダプタセット(立体視端子を持たないPROやCompact、X68030にも対応)を発売するだけにとどまった。なおファンタジーゾーンが発売された時には満開製作所のアダプタは発売されておらず、電波新聞社発行の[[マイコンBASICマガジン]]等でアダプターの自作が紹介された。 また、拡張カードを自作・試作するためのユニバーサルカードが、[[サンハヤト]]等から発売されていた。 またX68000の拡張カードの仕様はPC-9801用の拡張カードの大きさと概ね寸法が近似していたため、X68000用のユニバーサルカードが入手が難しい場合には、PC-9800シリーズ用の物を電源及びグランドのパターンにパターンカットを施し、部品面 / 配線面を裏返しに用いることにより流用できた。 ===標準ソフトウェア=== 本体内蔵の[[Read Only Memory|ROM]](容量512KB)には、[[CP/M]]のBDOSやMS-DOSのIO.SYS、MacintoshのToolBoxなどに相当する基本入出力システム'''IOCS'''(Input Output Control System)を搭載、これを活用する標準添付の[[オペレーティングシステム]]としては、[[ハドソン]](現・[[コナミデジタルエンタテインメント]])とSHARPが[[MS-DOS]]を参考に開発した[[キャラクターユーザインターフェース|CUI]]ベースの[[Human68k]]が標準添付されていた。このHuman68kは、単にユーザーインターフェイスのルック&フィールがMS-DOSに酷似しているだけではなく、システムコールのファンクションもMS-DOSとほぼ同等だった。 [[MC68000]]MPU特有の特権モード(スーパーバイザモード)を生かし、一部システム領域を、アプリケーションからのアクセスから保護する機能も有していたため、アプリケーションエラーを検出し、実行を停止させることもできたが、OS として特権モードとユーザーモードの分離が十分でなく、その後システムに復帰できるかどうかは運頼みの側面もあった。 Human68k上で動作する独自の[[グラフィカルユーザインターフェース|GUI]]を取り入れた簡易的なウインドウシステムであるビジュアルシェルが付属していたが、後により洗練されたウインドウシステムである[[SX-Window]]によって置き換えられ標準添付となった。 言語としては、[[BASIC]]を独自に[[C言語]]ライクな構文表記に拡張した[[X-BASIC]]なども付属していた。X-BASICで作られたプログラムはC言語に変換してコンパイルすることも可能である。 日本語入力ソフトとしては'''ASK68k'''という[[FEP]]が添付されていた。同時代の水準と比較してその変換精度にはやや難があったが、細部に目を移せば、ローマ字かな変換モードで「X」 1文字で「ん」を入力できるといった操作体系や、あらかじめ日本語処理を意識して設計されたキーボード上の専用キーとの親和性は高かった。 X68000 初代から日本語ワープロソフトwp.xが標準で添付されていた。機能的にシンプルでやや安定性に欠けていたものの、文書を書いて印刷するための最低限の機能は備えており、動作も軽いほか、メモリが許す限りファイルを同時に扱ったり、子プロセスを立ち上げられたりなどもできた。 SX-Windowでは、Ver.3.0以降wp.x に代わり、シャーペン.xというエディターが付属した。シャーペン.xは基本的にテキストエディターだが、各種フォント(書体倶楽部などのZeit社製ベクトル/アウトラインフォントおよび書家万流など一部のシャープ製SX-Window用アプリケーショ同梱のアウトラインフォント)に対応するなどSX-Window Ver.3.0で拡張された機能をフルに生かすソフトとなっていた。また、多彩な表現力を備えるだけではなく、Human68kのCOMMAND.Xに相当するコマンドシェルを「コンソール」モードとして実装するなど、自在なカスタマイズの可能なものとなっていた。このシャーペン.xはSX-Window環境で標準添付あるいは市販されたものとしてはほぼ唯一のエディター(後にフリーウェアとしてMuleなどが移植された)であり、他に選択肢が無かったこともあり、SX-Windows上ではあらゆる用途で使用できるものとなっていた。 ==X68030== 1993年3月に発売された'''X68030'''シリーズ(型名は'''CZ-500''' / '''CZ-300'''シリーズ)は25MHzの[[MC68EC030]]を搭載したX68000の後継機種。名実ともに32ビットパソコンとなった。5インチFDDを装備するX68030 (CZ-500) と、3.5インチFDDを装備するX68030Compact (CZ-300) の2機種が発売された。角を強調したデザインがX68000との外観上の差異である。 X68000発売当初は、次の[[MC68020]]以上の[[MPU]]を積む[[32ビット]]パソコン化の際は、大幅な[[アーキテクチャ]]の拡大と改良が予定された。そのために移植性に優れたCコンパイラーが安価に提供され、うまく行けば、ユーザーは既存のプログラムを再[[コンパイル]]するだけで32ビットパソコンへとスマートに移行できるはずだった。[[アセンブラ]]レベルであっても、互換性に優れた上位プロセッサの恩恵を受け、趣味としての充分な時間と労力の中で問題にならない程度の一部の書き換えで事は済むはずだった。しかし、MC68EC030の採用に留まり、かつ後述されるわずかな改良に留まってしまったのは、主にコストが要因と言われている。 MC68EC030はソケットによって実装されており、ユーザがより高速な33MHz版のMPUに差し替えたり、MMUを内蔵する[[MC68030]]に換装することが可能となっており、交換された場合、起動時にMMUの存在が認識、表示されるようになっている。後に、[[MC68040]]や、[[MC68060]]を搭載するためのアクセラレータが他社から発売された。 主記憶は標準で4MBとなり、内蔵の専用メモリーソケットに12MBまで搭載可能だった。MC68030 / MC68EC030は4GBのメモリー空間を持つが、X68030ではX68000のアーキテクチャを引き継ぎ互換性の維持を優先した結果、このメモリー空間の12 - 16MBの領域に[[メモリマップドI/O|メモリーマップドI/O]]やVRAMが配置され分断された。このことにより、セグメントによる制限のないリニアアドレッシングが売りの68系コンピューターでありながら、[[インテル]]の86系16ビットコンピューターの「640KB / 768KBの壁」などと同様の状態を生み出すこととなった<ref>同種の問題は当時のMacintoshにもあり、OSのバージョンアップにより解決した</ref>。 なお、メモリーバスがMPUと同じ25MHz駆動となったX68030シリーズについては通常のDRAMではなく、より高速にアクセス可能な日立製作所製スタティックカラムモードDRAMが採用され、ページ間をまたぐアクセス(1ウェイト挿入)以外については0ウェイトでのアクセスが可能となった。もっとも、製品に実装されたこのメモリーはオーバークロック動作には弱く、約30MHz前後を境界としてそれ以上のクロックでMPUを動作させる際には基板上のジャンパパターンに配線を行ってメモリーの動作モードを通常のDRAMモードに切り替える必要があった。また、市販PCでこのメモリーを標準搭載したのは本シリーズが事実上唯一であり、コスト面では不利な要因となった。 後に、16MB以上の空間に[[SIMM]]メモリーを増設するボードが他社から発売され、これとMC68030のMMUを活用しハイメモリー空間にメインメモリーを配置することも可能となった(一部、既存のアプリケーションとの互換性には問題が生じるものもあった)。ちなみにHuman68kバージョン3.0でのプログラミングでは16MB以上のメモリー空間は、予約済み領域とされアドレスの上位1バイトはゼロで埋めることが要求されている。これは、将来16MBを超えるメモリー空間を利用する際に互換性を確保するためである。 他のスペックは基本的にX68000を踏襲しており、内部増設メモリーの動作クロックが向上し32ビットバスで接続された結果、従来よりも高速なアクセスが可能となった点や、一部の周辺I/Oなどが従来より高速動作可能となった点で性能改善が見られた。また、DMAコントローラーに従来よりも高速なバージョンのチップを使用する、クロック変更のためのパターンが基板上に記されている、起動時のBIOS表示で定格よりも高速な動作クロック周波数や標準では搭載されていないMMUの有無が自動判別されて表示される、などユーザが手を入れることも睨んだ作りになっており、一部の雑誌では発売と同時により高速な速度で駆動させるための記事が公開された。 反面、元々強力なグラフィック機能などは16ビットバスで接続され、I/Oには多大なウェイトが挿入される等、高速化されたCPUに対して足を引っ張るアンバランスな設計も見られた。 [[FPU]]ソケットも用意され、PLCC版の[[MC68881]]や、より高速な[[MC68881#MC68882|MC68882]]を追加できた。通常のPGA版ではなくPLCC版とされたのは、当時このタイプのMC68882がMacintosh LCシリーズなどでサポートされており、店頭での入手が容易だったことに配慮されたためだったという。もっとも、このFPUは標準OSであるHuman68k上ではソフトウェアによる浮動小数点演算ドライバーであるfloat2.xと共通のAPIでアクセスするfloat4.x経由でのアクセスとなったためオーバーヘッドが過大で、その性能はアプリケーション側で直接MC68881 / MC68882を駆動するように対応されるまで十分発揮されていたとは言い難かった。 ただし、FPUを直接使用するようにプログラムされた、浮動小数点演算や超越関数を多用するアプリケーションプログラムではその効果は絶大で、X68000にFPUボードを追加して同様に直接アクセスした場合と比較しても大幅な性能向上が期待できた。 内蔵ハードディスクにはどちらのモデルにもSCSIの2.5インチタイプのものを使用するようになっていたが、5インチモデルの筐体内には通常の3.5インチタイプのドライブが搭載可能なスペースと取り付け金具が用意されていた。ただしSCSIケーブルのコネクタが異なるため、搭載に当たっては変換ケーブルを用意する必要がある。 SCSIインターフェイスは電気的にはSCSI 1規格準拠のままだったが、CCS (Common Command Set) の制定によりソフトウェアレベルでの互換性確保が可能となり、またデバイスタイプが明確に定義されたことから、従来はデバイスタイプをドライブの側でHDD互換としなければブートできなかった、光磁気ディスクドライブなどのリムーバブルメディアからのOSブートがサポートされた。 旧機種互換用のモード切り替えスイッチはなく、起動時にキーボードのXF1 - XF5キーを押したままとすることでMPUの動作速度を旧機種と相当する速度に変更できるようになっていた。しかし互換性はあまり高くなく、パッチ当てを必要とするソフトウェアも少なくなかった。 バンドルされるOSのHuman68Kは先述のデバイスタイプ定義に伴う内部的な仕様の変更や、ネットワーク対応などを前提としたファイルシステムの拡張が施されたバージョン3.0となった。さらに、SX-Windowもバージョン3.0となり、ベクトルフォント対応などの機能強化と内部処理の高速化、それにテキストエディター「シャーペン.x」の添付などにより実用性が格段に向上した。なお、X68030では従来のX68000用ソフトとの互換性維持のため、Fライン例外処理を行っている部分をAライン例外処理へ変更するなどの修正を実施した、Human68K バージョン2.15がROMに内蔵されており、上述のXFnキーとの組み合わせでフロッピーディスクから起動される、市販された全ての旧バージョンのHuman68kを自動判別して、ロード時に68030対応のHuman.sysと動的に差し替えるという機能が実装されている。 また、発売後にはMC68030が内蔵するMMUにより本格的な仮想記憶に対応する NetBSD 等の UNIX互換OSも有志の手で移植され、MPUのMC68030への交換が一部で流行した。 このようにある程度の盛り上がりを見せたが、当時既に68000系プロセッサの優位性は、[[MIPSアーキテクチャ]]など高性能な[[RISC]]の台頭で失われており、さらに80386から始まったIntel製の32ビットプロセッサファミリーとの競合でも不利になりはじめていた。実際に、かつて68000系MPUを採用した[[EWS]]等では80386や80486との差別化をより決定的にできるRISCプロセッサへの移行が進んでおり、[[アップル インコーポレイテッド|アップル]]の[[Macintosh]]など68000系のMPUを採用する機種では、前月にMMU内蔵のMC68030 25MHzと4MBのRAM・HDDを搭載したMacintosh LC IIIがより安く発売されたり<ref>同年夏にはモニタ一体型のLC 520が、同年秋にはMC68LC040 25MHz搭載のLC 475が発売</ref>、本体基本価格をかなり高く設定できる業務用の上位機種には、より高速な[[MC68040]]が搭載されていた。つまり個人がホビー用途として購入できる価格帯に、メーカー標準出荷状態で68000系MPUの最新のものを搭載することはコストの問題から事実上不可能だった<ref>MC68EC030の採用でコストを下げた一方、高コストなスタティックカラムDRAMを採用するなど、アンバランスなコストのかけ方も問題だったという説もある</ref>。これらのようなコストや外的な要因もあり、直系の後継機は発売されることなく、シリーズは終焉を迎えることとなった。 ==オペレーティングシステム== 1988年、[[マルチタスク]]リアルタイム[[オペレーティングシステム]]として[[Microware]]社の [[OS-9]]/X68000 が発売された。OS-9/68Kの単一機種売り上げでは世界記録を樹立するが、当時 poor man's UNIX(プアマンズ・ユニックス、貧者のUNIX<!---これは揶揄ではなく誉め言葉でした。少なくとも当時は--->)とまで言われた、個人所有可能なUNIXライクな環境としては当時ほぼ唯一と言ってよかったOS-9自体や、OS-9上で主流を占めるUNIX系由来のツール環境に馴染むユーザーの絶対数が少なく、X68000ユーザーの間で広く普及することはなかった。その後、Ver.2.4が発売された。そして、X68030の登場とともに1993年には[[Microware]]社よりOS-9/X68030及び[[X Window System|X11R5]] for OS-9/X68030が発売された。 [[1989年]]にはニューウェイブから[[CP/M#他CPU版|CP/M-68K]] が発売されている<!--同年に計測技研から発売されたのはCP/M-68Kエミュレータです-->。 また商用ソフトウェアのOSの他にも、X68030、またはアクセラレータ基板併用によりMPUをMC68030やMC68040などに換装したX68000では、[[Minix]]なども移植された。さらにX68030ではユーザーモードでも[[X Window System]]が使用できるよう、VRAMなどへのアクセスを可能とするためにMPUソケットの一部のピンを非接触とする加工をした上で、MPUをMMU内蔵のMC68030・MC68040・MC68060(アクセラレータ基板併用を含む)に交換する必要があったが、アマチュア有志により[[NetBSD]]が移植された。 ==発売機種一覧== {| class="wikitable" style="font-size:smaller;" |+ シャープ純正 |- !発売年!!機種名!!型式!!HDD容量!!定価(円)!!カラー<ref group="※">B,BK:ブラック、G,GY:グレー、TN:チタンブラック</ref>!!ボディー!!メモリー容量!!特徴 |- | nowrap|1987年3月 | X68000 | nowrap|CZ-600C | style="text-align:center"|- | style="text-align:right"| 369,000 | style="text-align:center"|E/B | style="text-align:center"|タワー | style="text-align:center"|1MB | CPUに日立HD68HC000 10MHz搭載、SASI搭載<br />コナミ「グラディウス」バンドル |- |rowspan="2"|1988年3月 | X68000 ACE | CZ-601C | style="text-align:center"|- | style="text-align:right"| 319,800 | rowspan="2" style="text-align:center"|GY/BK | rowspan="2" style="text-align:center"|タワー | rowspan="2" style="text-align:center"|1MB | rowspan="2"|後部I/O配置変更、FDD強制イジェクト追加<br />HD搭載モデル追加、ボディーカラー「ブラック」追加 |- | X68000 ACE-HD | CZ-611C | style="text-align:center"|20MB | style="text-align:right"| 399,800 |- |rowspan="4"|1989年3月 | X68000 EXPERT | CZ-602C | style="text-align:center"|- | style="text-align:right"| 356,000 | rowspan="2" style="text-align:center"|GY/BK | rowspan="2" style="text-align:center"|タワー | rowspan="2" style="text-align:center"|2MB | rowspan="2"|メモリー2MB搭載初モデル |- | X68000 EXPERT-HD | CZ-612C | style="text-align:center"|40MB | style="text-align:right"| 466,000 |- | X68000 PRO | CZ-652C | style="text-align:center"|- | style="text-align:right"| 298,000 | rowspan="2" style="text-align:center"|GY/BK | rowspan="2" style="text-align:center"|横置き | rowspan="2" style="text-align:center"|1MB | rowspan="2"|横置きボディ初モデル、拡張I/Oスロット4基<br />PRO専用キーボード・マウス<ref group="※">PROシリーズには[[パイオニア]]の[[OEM]]も存在している(本体のSHARPロゴがPIONEERになっている)。主に伝言ダイヤルなどの制御用として使用されていた。</ref> |- | X68000 PRO-HD | CZ-662C | style="text-align:center"|40MB | style="text-align:right"| 408,000 |- |rowspan="2"|1990年3月 | X68000 EXPERT II | CZ-603C | style="text-align:center"|- | style="text-align:right"| 338,000 | rowspan="2" style="text-align:center"|GY/BK | rowspan="2" style="text-align:center"|タワー | rowspan="2" style="text-align:center"|2MB | rowspan="4"|X68000ゴールドエンブレム採用<br />BIOS改良高速化、SX-WINDOW添付 |- | X68000 EXPERT II-HD | CZ-613C | style="text-align:center"|40MB | style="text-align:right"| 448,000 |- |rowspan="2"|1990年4月 | X68000 PRO II | CZ-653C | style="text-align:center"|- | style="text-align:right"| 285,000 | rowspan="2" style="text-align:center"|GY/BK | rowspan="2" style="text-align:center"|横置き | rowspan="2" style="text-align:center"|1MB |- | X68000 PRO II-HD | CZ-663C | style="text-align:center"|40MB | style="text-align:right"| 395,000 |- | 1990年6月 | X68000 SUPER-HD | CZ-623C | style="text-align:center"|81MB | style="text-align:right"| 498,000 | rowspan="2" style="text-align:center"|TN | rowspan="2" style="text-align:center"|タワー | rowspan="2" style="text-align:center"|2MB | rowspan="2"|SASIを廃止しSCSI標準化<br />ボディーカラーを「チタンブラック」のみに |- | 1991年1月 | X68000 SUPER | CZ-604C | style="text-align:center"|- | style="text-align:right"| 348,000 |- | rowspan="2"|1991年5月 | X68000 XVI | CZ-634C | style="text-align:center"|- | style="text-align:right"| 368,000 | rowspan="2" style="text-align:center"|TN | rowspan="2" style="text-align:center"|タワー | rowspan="2" style="text-align:center"|2MB | rowspan="2"|モトローラ[[MC68000]]の16MHz標準化(10MHz切換付)<br />ボディ形状変更 |- | X68000 XVI-HD | CZ-644C | style="text-align:center"|81MB | style="text-align:right"| 518,000 |- | 1992年2月 | X68000 Compact | CZ-674C | style="text-align:center"|- | style="text-align:right"| 298,000 | style="text-align:center"|グレー | style="text-align:center"|タワー | style="text-align:center"|2MB | 3.5インチFDD搭載、コンパクトボディ、別名CompactXVI |- | rowspan="2"|1993年3月 | X68030 | CZ-500C | style="text-align:center"|- | style="text-align:right"| 398,000 | rowspan="2" style="text-align:center"|B | rowspan="2" style="text-align:center"|タワー | rowspan="2" style="text-align:center"|4MB | rowspan="2"|モトローラ[[MC68030|MC68EC030]]の25MHz標準化、メモリ4MB標準化<br />X68030レッドエンブレム、ボディ形状変更 |- | X68030-HD | CZ-510C | style="text-align:center"|80MB | style="text-align:right"| 488,000 |- | rowspan="2"|1993年5月 | X68030 Compact | CZ-300C | style="text-align:center"|- | style="text-align:right"| 388,000 | rowspan="2" style="text-align:center"|B | rowspan="2" style="text-align:center"|タワー | rowspan="2" style="text-align:center"|4MB | rowspan="2"|2HD/2DD両対応3.5インチFDD搭載<br />コンパクトボディ |- | X68030 Compact-HD | CZ-310C | style="text-align:center"|80MB | style="text-align:right"| 478,000 |} {| class="wikitable" style="font-size:smaller;" |+ 参考:他社改造発売製品 |- !発売年!!機種名!!型式!!HDD容量!!定価(円)!!カラー!!ボディー!!メモリー容量!!特徴 |- | 1992年5月 | X68000 XVI Compact-HD | CZ-310 | style="text-align:center"|80MB | style="text-align:right"| 466,000 | style="text-align:center"|グレー | style="text-align:center"|タワー | style="text-align:center"|2MB | CompactXVIに2.5インチ80MB HDD内蔵<br />(株)計測技研発売 |- | rowspan="2"|1993年6月 | X68000 CompactXVI RED ZONE | CZ-674C改 | style="text-align:center"|- | style="text-align:right"| 160,000 | rowspan="2" style="text-align:center"|グレー | rowspan="2" style="text-align:center"|タワー | rowspan="2" style="text-align:center"|2MB | CompactXVIのクロックを24MHzに改造したもの<br />(株)満開製作所発売 |- | X68000 CompactXVI RED ZOMBIE | | style="text-align:center"|- | style="text-align:right"| | クロックアップ耐性がなく24MHz駆動に耐えられなかった個体などを元の16MHzに戻して廉売したもの<br />(株)満開製作所発売 |- | 1994年9月 | X68030 D'ash | | style="text-align:center"|- | style="text-align:right"| 368,000 | style="text-align:center"|チタンブラック | style="text-align:center"|タワー | style="text-align:center"|4MB | X68030のクロックを33MHzに改造したもの、50台限定<br />(株)満開製作所発売 |- | 1994年11月 | X68030 HG/500 | | style="text-align:center"|500MB | style="text-align:right"| 368,000 | rowspan="2" style="text-align:center"|チタンブラック | rowspan="2" style="text-align:center"|タワー | rowspan="2" style="text-align:center"|8MB | X68030に500MB HDDと、8MBメモリーを搭載したもの<br />[[九十九電機]](株)発売 |- | 1995年4月 | X68030 HG/324 | | style="text-align:center"|324MB | style="text-align:right"| 328,000 | X68030に324MB HDDと、8MBメモリーを搭載したもの<br />[[九十九電機]](株)発売 |} {{reflist|group="※"}} ==周辺機器== ===シャープ純正=== ====内蔵用オプション==== *増設RAMボード **CZ-6BE1 - CZ-600C用 (1MB) **CZ-6BE1A / CZ-6BE1B / CZ-6BE1B(A) - CZ-601C / 611C / 652C / 653C / 662C / 663C用 (1MB) **CZ-6BE2 / CZ-6BE4 / CZ-6BE4C - 拡張スロット用 (2MB / 4MB / 4MB) **CZ-6BE2A - CZ-634C/644C用 (2MB) **CZ-6BE2B - CZ-6BE2A / CZ-674C用 (2MB) **CZ-6BE2D - CZ-674C用 (2MB) **CZ-5BE4 - CZ-300C / 310C / 500C / 510C用 (4MB) **CZ-5BE4 - CZ-5BE4用 (4MB) *数値演算プロセッサーボード (CZ-6BP1) *数値演算プロセッサー (CZ-6BP2) - CZ-634C / 644C / 674C用 *FAXボード (CZ-6BC1) *[[GPIB]]ボード (CZ-6BG1) *[[Local Area Network|LAN]]ボード (CZ-6BL1 / CZ-6BL2) - BL1:10Base5 / BL2:10Base-2 / 5 *[[MIDI]]ボード (CZ-6BM1 / CZ-6BM1A) - BM1A:VCCI基準適合 *SCSIボード (CZ-6BS1) *増設用RS-232Cボード (CZ-6BF1) - 2チャンネル *ビデオボード (CZ-6BV1) *ユニバーサルI/Oボード (CZ-6BU1) *増設用ハードディスクドライブ ====外部機器==== *Compact用増設5インチFDD (CZ-6FD5) *ハードディスクユニット *光磁気ディスクユニット (CZ-6MO1) - 5.25インチ[[MO (記憶媒体)|MO]]ドライブ *拡張I/Oボックス (CZ-6EB1) - 4スロット 無印:グレー / -BK:ブラック PRO / PROII非対応 *モデムユニット (CZ-8TM2) *カラーイメージジェット (CZ-6VT1) *カラーイメージスキャナー (CZ-8NS1 / JX-220X) *カラーイメージユニット (CZ-6VT1 (-GY / -BK)) *カラービデオプリンター (CZ-6PV1) *48ドット熱転写カラー漢字プリンター *ドットマトリクス漢字プリンター *ドットマトリクスカラー漢字プリンター *液晶ディスプレイ(XVI以降専用、解像度は[[VGA]]相当のみ) ====アクセサリー==== *RGBケーブル (CZ-6CR1) - CZ-300C / 310C / 674C用 *RS-232Cケーブル (CZ-8LM1 / CZ-8LM2) - LM1:平 / LM2:クロス *SCSI接続ケーブル (CZ-6CS1) - CZ-300C / 310C / 500C / 510C / 674C用 *テレビコントロールケーブル (CZ-6CT1) - CZ-300C / 310C / 674C用 *インテリジェントコントローラー(サイバースティック) (CZ-8NJ2) *ジョイカード (CZ-8NJ1) *トラックボール (CZ-8NT1) *マウス (CZ-8NM1 / CZ-8NM2 / CZ-8NM2A) *マウス・トラックボール (CZ-8NM3) *アンプ内蔵スピーカーシステム (AN-160SP) ===他メーカーから=== *[[V30]] CPU Board *V70 CPU Board *Polyphone サブCPU搭載MIDIボード *[[ARCNET]] Board *[[MIDI]] Board *EtherNet Board *Xellent30(X68000用68030アクセラレーター 東京システムリサーチ) *060turbo(X68030用68060アクセラレーター 満開製作所) ===パワーユーザーによる各種拡張カード=== パワーユーザーによる拡張ボード開発の歴史は古く、極初期には[[Macintosh]]互換ボードが一部のユーザーの間で開発された。これは SCSI 拡張ポートや AppleTalk (RS422) ポートなどを含んだ本格的な物で、Macintosh 用の多くのソフトウェアが動作したが、ROM を実機からコピーして流用するなど著作権上の問題があり、本格的に発売、流通されることはなかった。その後、Oh!Xが休刊した[[1995年]]頃から、ユーザーが拡張ハードを自主製作することが本格的に行なわれるようになった。 [[太陽系]]の惑星の名称がついたものが多かった。事の発端は、Mercury Unitの作者が、[[美少女戦士セーラームーン]]の登場人物であるセーラーマーキュリー役の[[声優]]・[[久川綾]]の声を高音質で録音・再生することを目的としてMercury Unitと命名したことに始まる。 *Mercury Unit (PCM) *Neptune-X([[Industry Standard Architecture|ISA]]用EtherNetカード接続アダプター) *Nereid(LAN+USB+Memory統合拡張ボード X-PowerStation製作) *Jupiter-X(X68000用68040 / 68060アクセラレーター) *Venus-X(X68030用68030アクセラレーター+セカンドキャッシュメモリー) *040turbo(X68030用68040アクセラレーター) *ビデオキャプチャーユニット *キーボード変換機 <!--プロジェクト断念とのことなのでとりあえずコメントアウト * 060turboX(X68000,X68030用[[MC68060|68060]]+[[Coldfire]]アクセラレーター X-PowerStation] ※開発中) --> など 本体を作ろうとする試みもあったが結局、完成には至っていない。 ==ソフトウェア== ===シャープ純正=== 発売元がシャープ、開発は別のソフトハウスというものも多い。 ====サウンドツール==== *Sampling PRO-68K *SOUND PRO-68K *MUSIC PRO-68K *MUSIC PRO-68K〔MIDI〕 *Musicstudio PRO-68K *SOUND SX-68K *MUSIC SX-68K ====グラフィックツール==== *NEW Print Shop PRO-68K *CANVAS PRO-68K *Easydraw SX-68K *Easypaint SX-68K ====OS==== *[[Human68k]] *[[SX-Window]] *[[OS-9/X68000]] - (開発はマイクロウェアシステムズ) ====開発環境==== *X-BASIC - (Human68k標準付属の[[C言語]]ライクな[[BASIC]]) *C Compiler PRO-68K - (XC + ライブラリ) *THE福袋 *XBAStoC CHECKER PRO68K - (X-BASICのコードをC言語に変換したときに起こりえる問題点を指摘する) *AI-68K (Staff [[LISP]] / OPS PRO-68K) *SX-WINDOW開発キット Workroom SX-68K ====ビジネスツール==== *Teleportion PRO-68K *Multiword PRO-68K *Hyperword PRO-68K *CYBERNOTE PRO-68K *Stationary PRO-68K *BUSINESS PRO-68K *BUSINESS PRO-68K Popular *CARD PRO-68K *DATA PRO-68K *TOP給与計算エキスパート *TOP財務会計 *PressConductor PRO-68K *CHART PRO-68K *EGWord SX-68K *フォント&ロゴ デザインツール 書家万流 SX-68K *XDTP SX-68K *Datacalc SX-68K ====通信ツール==== *Communication PRO-68K *Communication SX-68K ====ゲーム==== =====アーケード移植===== [[シャープ|SHARP]]販売 / [[エス・ピー・エス|SPS]]開発のもの。以下、発売順。 *[[ツインビー]] ([[コナミデジタルエンタテインメント|コナミ(現・コナミデジタルエンタテインメント)]]) - CZ-217AS / CZ-217ASC *[[アルカノイド]] ([[タイトー]]) - CZ-222AS / CZ-222ASC *[[熱血高校ドッジボール部]] ([[テクノスジャパン]]) - CZ-232AS / CZ-232ASC *[[沙羅曼蛇]] (コナミ) - CZ-218AS / CZ-218ASC *[[フルスロットル (ゲーム)|フルスロットル]] (タイトー) - CZ-231AS / CZ-231ASC *[[パックマニア]] ([[ナムコ]](現・[[バンダイナムコゲームス]])) - CZ-233AS / CZ-233ASC *[[ニュージーランドストーリー]] (タイトー) - CZ-230AS / CZ-230ASC *[[V'BALL]] ([[テクノスジャパン]]) - CZ-246AS / CZ-246ASC *[[スーパーハングオン]] ([[セガ]]) - CZ-238AS / CZ-238ASC *[[サンダーブレード]] (セガ) - CZ-239AS / CZ-239ASC *[[ダウンタウン熱血物語]] (テクノスジャパン) - CZ-254AS / CZ-254ASC *[[サイバリオン]] (タイトー) - CZ-229AS / CZ-229ASC *[[熱血高校ドッジボール部サッカー編]] (テクノスジャパン) - CZ-262AS / CZ-262ASC *[[中華大仙]] (タイトー) - CZ-268AS / CZ-268ASC *[[ダッシュ野郎]] ([[東亜プラン]]) - CZ-269AS / CZ-269ASC *[[ボナンザブラザーズ]] (セガ) - CZ-270AS / CZ-270ASC ===他メーカーから=== ====OS・開発環境==== *[[OS-9|OS-9/X68030]] *[[Microware Ultra-C]] Compiler for OS-9/X680x0 *[[X Window System|X-Window]]&Motif for OS-9/X68030 ====グラフィックツール==== *Z's Staff Pro 68k *Matier ====3DCGソフトウェア==== *サイクロン (PSYCLONE) Express *C-TRACE 68 *DoGA CGA System *3Dアトリエ *XL/Image ====ゲームメーカー==== X68000 / X68030向けのゲームソフトを精力的に開発し提供してきたゲームソフトメーカーを列記する。 *[[エス・ピー・エス|SPS]] *[[電波新聞社]]([[マイコンソフト]]) - 末期には「ビデオゲームアンソロジー」シリーズを展開した。 *[[コナミ]](現・[[コナミデジタルエンタテインメント]]) *[[カプコン]] *[[ズーム (ゲーム会社)|ズーム]] *[[エグザクト]] *[[ウルフチーム]] *[[システムサコム]] *[[M.N.Mソフトウェア]] *[[魔法 (ゲーム会社)|魔法]] *[[エレクトロニック・アーツ|エレクトロニック・アーツ・ビクター]] *[[満開製作所]] - ゲームだけでなくX68000関連商品全般を開発し販売していた。 *[[サイバーヘッド (ゲームメーカー)|アルシスソフトウェア]] ====ビデオゲームアンソロジー==== [[電波新聞社]]販売 / [[マイコンソフト]]開発 全13組18作 *vol.1 [[テラクレスタ]] / [[ムーンクレスタ]] ([[日本物産]]) 1992年11月20日発売 *vol.2 [[チェルノブ]] ([[メガドライブ]]用[[ゲームパッド|コントロールパッド]]変換アダプター付属)([[データイースト]]) 1993年1月29日発売 *vol.3 [[スターフォース]] ([[テクモ|テーカン]]) 1993年3月26日発売 *vol.4 [[リブルラブル]] (専用十字パッド付属)(ナムコ) 1993年6月25日発売 *vol.5 [[クレイジー・クライマー]] / [[クレイジー・クライマー2]] (日本物産) 1993年8月27日発売 *vol.6 [[ぶたさん]] ([[ジャレコ]]) 1993年10月30日発売 *vol.7 [[ドラゴンバスター]] (ナムコ) 1993年12月10日発売 *vol.8 エキサイティングアワー / 出世大相撲 (テクノスジャパン) 1994年2月25日発売 *vol.9 [[アルゴスの戦士]] ([[テクモ]]) 1994年4月28日発売 *vol.10 [[Mr. Do!]] / Mr. Do! v.s UNICORNS ([[ユニバーサルエンターテインメント|ユニバーサル販売]]) 1994年7月2日発売 *vol.11 [[パックランド]] (専用3ボタンジョイパッド付属) (ナムコ) 1994年12月9日発売 *vol.12 [[ディグダグ]] / [[ディグダグII]] (ナムコ) 1995年3月10日発売 *vol.13 [[バラデューク]] (ナムコ) 1995年5月26日発売 ===フリーソフトウェア=== 国内では全くパソコンに採用されなかった68000系列のパソコンであるが故の宿命から、[[オフィススイート]]等の実用ソフトを初めとして[[パッケージソフトウェア]]に恵まれず、かつ圧倒的な[[PC-9801]]の[[シェア]]に押されていたことが、逆に独自の豊かなフリーウェア文化が花開く土壌を形成し、ユーザー有志の手により様々なソフトウェアが作られ、[[パソコン通信]]や書籍などを通じて配布された。市場占有率から勘案されるユーザーの絶対数に比して、その数と充実ぶりには目を見張るものがあり、日本のパソコン文化とは異なる[[ヨーロッパ]]のパソコン文化を思わせる流儀と実績を残した。特に主な標準ソフトウェアには、機能を強化した、[[リバースエンジニアリング]]による[[パッチ]]または互換プログラムが存在した。また[[GNU]]のツール環境の多くもHuman68K環境に移植された。 パソコン市場で主流だったMS-DOS環境から孤立していたX68000の世界では、[[プロプライエタリ・ソフトウェア|プロプライエタリ]]なソフトウェアの供給を期待することがほぼ不可能といった事情などを受け、ユーザーの間、および専門誌「Oh!X」誌上では、しばしば「'''(ソフトが)無ければ(我々の手で)作る'''」という合言葉が使われた。 ====GNU C Compiler==== SHARPから発売された XC コンパイラーは C言語の標準である K&R に非準拠であり、数々の制限があった。一方、有志の手により 1988年初頭には GNU C Compiler(以下 GCC)が移植され、X68000 への最適化も行われた。その後、GNU C++ (g++) も移植されるとともにライブラリも整備され、これらの開発環境の整備により多くのフリーソフトウェアを生み出した。これらは当時のパーソナルコンピューターとしては比較的大規模なソフトウェアであり、MS-DOS 環境と比較して、X68000 の持つリニアで巨大なメモリー空間を生かしたソフトウェア(移植)であると言える。 *Nemacs、microEmacs - エディター *GDB - GNU Debugger - デバッガー *GNU make - make *bash - シェル *HLK - High speed linker - リンカー *HAS - High speed assembler - アセンブラ *[[TeX]] ツール 等 ====Z-MUSIC==== 音楽ドライバー・サウンドドライバー。バージョン2.0が広く使われた。後述のMXDRVに比べると後発にあたり、処理速度の向上、機能の追加等が図られている。MXDRVとは直接の互換性はない。 X68000の内蔵音源である[[FM音源]]8声と[[Adaptive Differential Pulse Code Modulation|ADPCM]]1声(MPCM.X ©Wachomanを使用すれば16声まで)、[[MIDI]]ボードが接続されていればMIDI[[楽器]]も同時にコントロールすることが出来る。 一般の音楽制御ドライバーでは1台のMIDI楽器をコンピューターの外部音源という位置付けで扱っていたが、Z-MUSICではX68000を[[ホストコンピュータ|ホスト]]に複数のMIDI楽器をコントロールすることができるように設計されている。 Z-MUSICは、ゲームに組み込んで使うことも考慮して設計されており、一部の市販ゲームや[[同人ゲーム]]で実際に採用された。 また、第三者によって、他ドライバーからのデータ変換、ビジュアルプレイヤーやミュージックセレクター、データ制作や開発支援、[[Adaptive Differential Pulse Code Modulation|ADPCM]]ユーティリティーなど様々な[[ツール]]が作られた。 なお、Z-MUSICのZは、作者の名前である西川善司 (Nishikawa Zenji) から採ったものである<ref>[http://www.z-z-z.jp/zmusic/ Z-MUSIC Home Page]</ref>。 =====Z-MUSICシステム ver.3.0の特長===== *X68000本体付属のOPMDRV.Xと上位互換性あり。Z-MUSIC ver.2.0以前の演奏データはver.3.0以降とソース (ZMS) レベルで上位互換があり、そのまま演奏可能。 *FM音源、ADPCM、MIDI楽器を同時に同期演奏可能(MIDIシステムのない環境でもZ-MUSICは利用可能)。 *複数のX68000を相互に接続しての同期演奏も可能。 *汎用トラックを65535本装備。最大同時演奏トラック数65535本。[[RS-232|RS-232C]] MIDIを2ポートと2枚のMIDIボードを同時に制御可能。MIDIは、64チャンネルまでを同時制御可能。最大同時演奏チャンネル数88チャンネル (FM8+ADPCM16+MIDI64)。 *独自のADPCMドライバー「MPCM.X」©WachomanにてADPCM音源をFM音源のように柔軟に制御可能。 *[[ポルタメント]]や[[オートベンド]]、[[和音]]や[[ビブラート]]などの特殊効果を内蔵音源とMIDIの両方で使用可能。ARCC (Assignable Realtime Control Change) 機能も、1トラックあたり同時に4つまで独立に動作させることが可能。 *コンピューター音楽ならではの音楽情緒を作り出す[[テンポ#アゴーギク|アゴーギク]]機能やエンハンスドベロシティシーケンス機能を装備。 *2曲まで[[テンポ]]の異なった音楽を同時に演奏可能。 *送信MIDIデータを[[リアルタイム]]で最適な送信方法を選択して送信するVTMS機構、送信MIDI[[メッセージ (コンピュータ)|メッセージ]]をリアルタイムに最適化するARS機構を装備。これらにより多チャンネル演奏時でもテンポずれの最大限抑止、[[CPU]]負荷の低減を両立。 *MT-32 / U220 / [[コルグ・Mシリーズ|M1]] / [[ローランド・SCシリーズ|SC-55 / SC-88]] / [[General MIDI|GM]]音源などに対応した楽器個別の制御命令を装備。 *MIDI楽器側の[[音色]]や設定データ、ユーザーの演奏を[[Standard MIDI File]]に出力可能。 *オブジェクトレベルの演奏データ (ZMD) を出力可能([[コンパイル]]機能)。 *Z-MUSICが持つ機能のすべてを公開。外部プログラムから利用可能。プログラム間通信機能も装備し、高度な連動動作機能を提供。 *専用[[アナログ-デジタル変換回路|A/Dコンバータ]]によって[[サンプリング]]された高音質のADPCMデータ[[ライブラリ]]を標準装備。 *全情報公開。ライセンスフリー。 ====MXDRV==== 最も広く使われた音楽ドライバー。[[パソコン通信]]等で普及した。FM音源とADPCM音源を制御する事が出来る。前身にMUDRVがある。 対応するのは[[MDX(音楽データ)|MDX]]ファイル(演奏データ、[[拡張子]].mdx)とPDXファイル(ADPCMデータ、[[拡張子]].pdx)。 複数人で頻繁に改良が加えられたために数多くのバージョンが存在し、[[ADPCM]]を擬似的に多重発音出来る[[PCM8]]・PCM8Aに対応しているバージョンも有る。 [[パソコン通信]]等ではコピー曲やオリジナル曲などのMDXファイルが数多く流通した。 MMDSP、MDXSのように演奏をビジュアル表示する再生ソフトも数多く作られた。 MXDRVは後に[[PC-9800シリーズ]]と[[FM TOWNS]]にも移植され、音源チップの差からパート数や音色などが不完全ながらもMDX再生が出来た。[[Microsoft Windows]]でもFM音源YM2151をエミュレートするDLLドライバーと組み合わせてMDXファイルを演奏する事が出来る[[アプリケーションソフトウェア|アプリケーション]]が幾つか存在する。 ====MNDRV==== 本体のみでは、FM8音/ADPCM16音を制御する事が出来るFM音源ドライバー。 MIDI制御にこそ対応していないものの、満開製作所製MK-MU1Oがあれば搭載されているYMF288を同時に利用でき、FM20音、PSG6音、チップ内蔵リズム音源2セット、ソフトウェア合成によるADPCM16音の最大54音を同時に制御することが可能。 更に、YMF288の効果音モードでオペレータごとの制御を可能にしているため、サイン波として扱った場合、FM音源のパートを最大26音制御することが可能になっている。 ====PCM8.X==== ADPCMについては、[[江藤啓]]作のリアルタイムADPCM多重再生ドライバーPCM8.X (PCM8A.X, PCM8SB.X) を使用することにより、ソフトウェアレベルで[[PCM]]を合成し見かけ上最大8チャンネルでの再生が可能である。別人によりPCM16.Xが試作された。 ====その他のもの・初期のもの==== X68000登場当初、その[[グラフィック]]性能を生かして[[パソコン通信]]経由であらかじめ決められた構文に従って相手側のパソコンに簡易な[[グラフィック]]と[[テキスト]]を表示させつつ音楽を演奏させる[[ソフトウェア]]が作成され、「'''あきら'''」と命名された。 X68000では65536色の表現が可能なことから、[[イラストレーション]]などの表現で従来の[[ベクターグラフィック]]からZ's Staff Pro 68k等の[[グラフィックツール]]によって作成された[[ビットマップ画像|ラスター形式]]の[[グラフィック]]が主流になっていった。その中で一番の問題はその画像を保管するにあたり[[外部記憶装置]]の容量が絶対的に不足していたことであり、それを解決するべく[[PIC (画像圧縮)|PIC形式]]の画像圧縮[[フォーマット]]が考案された。これはX68000シリーズで画像を保管する際のスタンダードなフォーマットとなった。 ==電脳倶楽部== 電脳倶楽部は、[[満開製作所]]が発行していたX68000用ディスクマガジン。内容は読者投稿が大半を占めていた。『月刊電脳倶楽部』は[[1988年]]5月に創刊され、12年間に亘って発行された。初代編集長は三上之彦([[祝一平]])だった。Vol.140から[[電子媒体|媒体]]が[[CD-ROM]]に変更された。同社がX68000関連事業から撤退した[[2000年]][[8月]]発行のVol.148で廃刊。 その間に別冊も数多く発行され、『電脳倶楽部別冊』が壱號から拾六号まで、[[CD-ROM]]による『すてきな電脳倶楽部』(すて電)、『すごい電脳倶楽部』(すご電)、『激光電脳倶楽部』がVol.1からVol.7まで発行。 [[フロッピーディスク]]で発行されたVol.1からVol.139までは、『月刊電脳倶楽部パーフェクトコレクションVol.1~50』、『月刊電脳倶楽部パーフェクトコレクションVol.51~100』、『月刊電脳倶楽部パーフェクトコレクション1997年度版』(Vol.101 - 115)、『月刊電脳倶楽部パーフェクトコレクション1998年度版 / 1999年度版』(Vol.116 - 139) として[[CD-ROM]]にまとめられた。別冊も『電脳倶楽部別冊・完全保存版』として[[CD-ROM]]化されている。 ==DoGAとの関係== DoGAは、[[大阪大学]]コンピュータクラブや[[京都大学|京大]]マイコンクラブの有志が集まり、共同研究[[プロジェクト]]「PROJECT TEAM DoGA」として[[1985年]]に設立された。 さらに[[1993年]]には、子会社として株式会社ドーガを設立し、法人としてDoGAの活動をサポートしている。 DoGAは、[[シャープ]]と提携し、X68000上で動く[[コンピュータグラフィックス|CG]]制作ソフト「DoGA CGAシステム」を開発<ref>[http://www.doga.co.jp/ DoGA(PROJECT TEAM DoGA、株式会社ドーガ)]</ref>。この活動に[[アスキー (企業)|アスキー]]社(現・[[KADOKAWA]]/[[アスキー・メディアワークス#アスキー・メディアワークス ブランドカンパニー|アスキー・メディアワークス]])が関心を示し、[[月刊アスキー|月刊ASCII]]に開発状況を連載した。その後、[[ソフトバンク]](現・[[SBクリエイティブ]])のOh!Xに連載が引き継がれた。 当時[[パーソナルコンピュータ|パソコン]]上でCG[[アニメ]]を[[動画]]として見ることができるのは画期的な事であり、「DoGA CGAシステム」は、国産ソフトとしては日本初の試みだった。 ==シリーズの終焉== 次世代機「NewX」をメーカーで開発中という話も、専門誌である雑誌『[[Oh!X]]』誌の編集後記で流された。しかし発売には至らず、『Oh!X』誌自体も[[PlayStation (ゲーム機)|プレイステーション]]などの次世代ゲーム機と[[PC/AT互換機]]、並びにPC-9800シリーズ用基本ソフトウェア(OS)である[[Microsoft Windows 95|Windows 95]]の発売で盛り上がった年である1995年末の12月号をもって休刊。X68030はそのまま、X1から続いたXシリーズの最終機となった。 Xシリーズ販売終了後、[[World Wide Web|Web]]に代表される新しいパソコンの使い方が広まるにつれ、世界的なパソコンアーキテクチャーの統一が進行し、ユーザーは徐々に[[Macintosh]]や[[Microsoft Windows]]などへと移行して行った。 しばらくは非公式にユーザー同士で拡張ハードを自主製作するなどの勢いは引き継がれたものの、時間と共にそれは衰退していった。その後のパソコンの性能向上によってEX68をはじめとする[[エミュレータ|エミュレーター]]も作成され、それは単行本としても発売された。その後も[[秋葉原]]などでユーザー主催のイベントが何回か開かれた。 『Oh!X』は1998年に[[ムック (出版)|ムック]]形態で復刊したが、2001年春号以降、続刊は出ていない。またシリーズ発売終了後も周辺機器などを発売していた満開製作所は、創業者[[祝一平|三上之彦]]が[[1999年]][[4月2日]]に死去した後、[[2000年]]に事業撤退を表明して翌[[2001年]]には消滅した。 2000年、[[オペレーティングシステム]]、開発環境、[[Basic Input/Output System|BIOS]]などが[[ニフティサーブ|NIFTY-SERVE]]シャーププロダクツユーザーズフォーラムスタッフの尽力により、シャープ側の厚意もあって無償公開された。また[[ズーム (ゲーム会社)|ZOOM]]など一部のメーカーも自社製のアプリケーションソフトを無償で公開していたことがある。 X68000はゲームプログラミング入門に適した特性を持つため、2000年以降もしばらくはゲーム制作者もしくはコンピューターに関する専門学校で、職業訓練にX68000を採用したところも存在した。 市場での流通終了から20年近く経過しているので、発売当初の状態で完全に動作する個体はほとんど存在しない。その原因として一番多いものは、電源ユニットの故障である。電源ユニットの大きさを小さくするため、採用されたケミコンの電解液に4級塩が使用されていた。これが経年劣化に弱く、リード線引き出し部分の密封用ゴムを侵して電解液の液漏れを起こし、結果的に回路ショートを起こす。ちなみにメーカー公式の修理受付は既に完了している。ただし非公式で修理請負を営んでいる個人も実在するので、まったく修理不可能という訳ではない。 現在でも動作の可否を無視すれば、本体はネットオークションなどを通じて入手することができる。 電源ユニットを自分で修理し利用し続けているユーザーもいるが、好事家の中にはX68000の筐体のみを利用して内部に[[PC/AT互換機]]用パーツを組み込んだユーザーも多数実在する。中には5.25インチFDDの位置にスロットインタイプのCD (DVD) ドライブを取り付け、X68000特有の機能だったオートイジェクト機能をそのまま再現するなどの工夫が施されているものもある。 その後、シャープはパソコン事業をPC/AT互換機である[[Mebius]]ブランドに集約した。この[[Mebius]]ブランドを展開している部署は、Xシリーズを展開していた部署とはまったく異なる。Xシリーズを展開したテレビ事業部は、後年の組織変更により別の事業部(AVシステム事業本部)となった。 Xシリーズは日本国内のみで発売された独自アーキテクチャであるが、[[IOCS]]と[[DOS (OS)|DOS]]、[[エミュレーション]]ソフトウェアが[[フリー]]<!-- どのフリー? -->形態で公開され、ネットワークによって世界に広まったため、日本国外でもXシリーズの認知度は比較的高い模様である。 ==遺産== [[エミュレータ]]として、[[Microsoft Windows]]上ではEX68、けろぴー、WinX68k高速版、XM6、[[Macintosh]]上ではX68EMなどが[[フリーウェア|フリーソフト]]として公開されている。 ==関連書籍== *X68000テクニカルデータブック [[1987年]] アスキー出版局テクライト編 監修シャープ株式会社テレビ事業部 ISBN 4-87148-426-2 *月刊Oh!X([[ソフトバンク]]、[[1987年]][[12月]]号 - [[1995年]][[12月]]号) *図解16ビットマイクロコンピュータ[[MC68000]]の使い方([[オーム社]]、小島進) *作りながら学ぶ[[MC68000]]([[CQ出版社]]、[[トランジスタ技術]]編集部) *68000ソフト&ハードのすべて(CQ出版社、トランジスタ技術編集部) *VMEシステム完全マスタ(CQ出版社、インタ-フェ-ス編集部) *68000 PROGRAMMER'S HAND BOOK([[技術評論社]]、宍倉幸則) *68000 マシン語プログラミング([[工学社]]、村山二郎) *X68000マシン語プログラミング 入門編(ソフトバンク、村田敏行) *X68000マシン語プログラミング グラフィックス編(ソフトバンク、村田敏行) *SX-WINDOWプログラミング(ソフトバンク、吉沢正敏) *X68000 Cプログラミング(ソフトバンク、中森章) *X68000 ゲーム・プログラミング(技術評論社、[[京大マイコンクラブ]]) *GCCによるX680x0ゲームプログラミング(ソフトバンク、吉村智興) *X68000ベストプログラミング入門(技術評論社、千葉憲昭) *X68000パワーアッププログラミング([[アスキー (企業)|アスキー]]、島田広道・丸川一志・ 石橋尚史) *プログラマーのためのX68000環境ハンドブック([[工学社]]、吉沢正敏・市原昌文) *X68000 X-BASIC入門([[BNN]]、荻野浩一郎・デブッタボーイズA・デブッタボーイズB) *SX-WINDOW ver.3.1開発キット(ソフトバンク、吉沢正敏・牛島健雄・西田文彦・小浜純) *X68000データブック([[小学館]]、[[ポプコム]]編集部) *Inside X68000(ソフトバンク、桒野雅彦) *Outside X68000(ソフトバンク、桒野雅彦) *X68030 Inside/Out(ソフトバンク、桒野雅彦) ISBN 4-89052-499-1 *X68040turbo(ソフトバンク、BEEPs) *X680x0 Develop. & libc II(ソフトバンク、吉野智興・中村祐一・石丸敏弘・今野幸義・村上敬一郎・大西恵司) *X680x0 Develop. Manual Books(ソフトバンク、吉野智興・中村祐一・石丸敏弘・今野幸義) *X680x0 libc Manual Books(ソフトバンク、村上敬一郎・大西恵司・荻野裕二) *[[OS-9]]ユーザーノート([[啓学出版]]、ピーター C.ディブル・西脇弘[訳]) *パーソナルコンピュータのための[[OS-9]]入門([[オーム社]]、蜂谷博) *OS-9/68000トレーニングマニュアル([[宝島社|JICC出版局]]、大内和博・熊谷博・角田多幸) *RAINBOW OS-9ガイド(SPIRIT Publishing、デイルL.パケット・ピーター C.ディブル・西脇弘[訳]) *OS-9/68000マルチユーザシステムガイド(SPIRIT Publishing、矢野公正) *初心者のためのOS-9/X68000操作ガイド([[BNN]]、[[インタープログ]]編) *GNUツールボックス(ソフトバンク、吉村智興・村上敬一郎) *X680x0 TeX(ソフトバンク、吉野智興) *NetBSD/X68k(ソフトバンク、NetBSD/X68k委員会) *X68000 3Dグラフィックス入門(BNN、BNN第2企画部編) *Z’s Triphony DIGITAL CRAFTによる誰でもできる3次元グラフィックス([[アーマット]]・[[工学図書]]、玉川美土里) *ナムコビデオゲームミュージックライブラリーVol1([[電波新聞社]]、磯田 健一郎・[[マイコンBASICマガジン]]編集部) *パソコンFM音源音色ライブラリーVol.1(電波新聞社、原田雅司・永田英哉) *パソコンFM音源音色ライブラリーVol.2(電波新聞社、永田英哉) *パソコンFM音源音色ライブラリー フロッピー・バージョン(電波新聞社、マイコンBASICマガジン編集部編) *NAGDRV for X68000([[電波新聞社]]、[[マイコンソフト]]) *Z-MUSICシステムver.2.0(ソフトバンク、Oh!X編集部、1993年12月) ISBN 4-8905-2460-6 *Z-MUSICシステムver.3.0(ソフトバンク、元Oh!X編集部、1997年1月) ISBN 4-7973-0184-8 *The World of X68000(電波新聞社、[[山下章]]) *The World of X68000 II(電波新聞社、山下章) *X68000傑作ゲーム選-ログインソフトウェアコンテスト(ソフトバンク、中森章) *X68000フリーソフトウェア 最新・ゲーム&ユーティリティ集([[日本文芸社]]、望月馳也) *X68000 Free Software Book(ソフトバンク、グループ68K) *[[ゲームラボ|バックアップ活用テクニック]]総集編([[三才ブックス]]) *バックアップ活用テクニック総集編2(三才ブックス) *X68000やさしいプロテクトの外し方のすべて([[日本文芸社]]、PEC編集部・編) *究極!! X68000エミュレータ([[秀和システム]]、高木啓多) ===ムック=== *X68000活用研究(電波新聞社、塚越一雄) *X68000活用研究II X-BASICマスター編(電波新聞社、宮原哲也・深沢幸三) *X68000活用研究III X-BASIC活用Q&A (電波新聞社、塚越一雄) *[[X1 (コンピュータ)|X1]]/X68000ゲーム・ミュージック・プログラム大全集(電波新聞社、[[マイコンBASICマガジン]]編集部編) *Z-MUSICシステムver.1.0(ソフトバンク、Oh!X編集部、1991年11月) *I/O別冊X68k ディスク本1(工学社、I/O編集部・星正明) *Oh!X 1998復刊記念号(ソフトバンク、1998年11月) *Oh!X 1999春号(ソフトバンク、1999年5月) *Oh!X 1999夏号(ソフトバンク、1999年9月) *Oh!X 2000春号(ソフトバンク、2000年3月) *Oh!X 2001春号(ソフトバンク、2001年3月) <!-- ===X68000関連項目を掲載したことがある定期刊行誌=== 現在ではX68000関連の記事が掲載されることは、当時を回顧するものを例外とすればほとんどない。 *月刊[[ログイン (雑誌)|ログイン]](アスキー[創刊当時] - 2000年より[[エンターブレイン]]) 休刊 **90年代前半の頃はログインのゲームの投稿作品のほとんどがX68000のゲームだった。 *月刊[[コンプティーク]]([[角川書店]]) *月刊[[I/O (雑誌)|I/O]](工学社) *[[月刊マイコン]](電波新聞社) - 後にマイコンピュータマガジンと誌名変更するが最終的に休刊 *月刊[[マイコンBASICマガジン]](電波新聞社) 休刊 *月刊[[テクノポリス (雑誌)|テクノポリス]]([[徳間書店]]) 休刊 *月刊[[ポプコム]]([[小学館]]) 休刊 *月刊[[Hacker (雑誌)|Hacker]]([[日本文芸社]]) 廃刊 *月刊[[電撃王]]([[メディアワークス]]) - 後にDengekiGAMESとなるも休刊 *隔月刊PEC(PEC編集部) 廃刊 *[[ラジオライフ]]別冊バックアップ活用テクニック(三才ブックス、PART14まで) :季刊バックアップ活用テクニック(三才ブックス、[[1989年]]6月号PART15-[[1993年]]3月号PART30) :隔月刊バックアップ活用テクニック(三才ブックス、1993年6月号PART31-[[1994年]]8月号PART38) :隔月刊[[ゲームラボ]](三才ブックス、1994年10月号-[[1997年]]12月号) :月刊ゲームラボ(三才ブックス、[[1998年]]2月号-) --> ==脚注== {{脚注ヘルプ}} {{Reflist}} ==参考文献== *{{Cite book ja-jp | editor = [[THE COMPUTER]]編集部 | year = 1991 | title = パソコンヒット商品物語 | publisher = ソフトバンク | isbn = 4-89052-194-1}} ==関連項目== *[[Human68k]] *[[SX-Window]] *[[:Category:X68000用ゲームソフト]] ==外部リンク== {{Commonscat|X68000}} *[http://x68030.web.fc2.com/ X680x0資料館] *[irc://irc.afternet.org/#retrocomputing #retrocomputing] on AfterNET (X68000 and general classic computing chat) {{シャープ}} {{DEFAULTSORT:X68000}} [[Category:シャープのパーソナルコンピュータ]]
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