Vimのソースを表示

{{Infobox Software
|名称=Vim
|スクリーンショット=[[Image:Vim-(logiciel)-console.png|300px]]
|説明文=[[端末エミュレータ|ターミナル]]上で実行中のvim
|ロゴ=[[Image:Vimlogo.svg|100px]]
|最新版=7.4
|最新版発表日=2013年8月10日
|最新評価版=
|最新評価版発表日=
|開発元=[[Bram Moolenaar]] など
|対応OS=[[クロスプラットフォーム]]、一般的には[[UNIX]]、[[Linux]]、[[Microsoft Windows|Windows]]など {{see|#移植された環境}}
|種別=[[テキストエディタ]]
|ライセンス=[[GNU General Public License|GPL]] 互換の[[ドネーションウェア|チャリティウェア]]
|公式サイト=http://www.vim.org/|
}}
'''Vim'''（'''ヴィム'''または'''ヴィアイエム'''）は、[[vi]] から派生し、発展した高機能な[[テキストエディタ]]である。

==概要==
Vimはオランダ人のプログラマーBram Moolenaarによって[[Amiga]]向けに開発された。のちに[[Microsoft Windows|Windows]]を含むさまざまな環境に移植され、特に[[Unix系]]オペレーティングシステム (OS) では[[Emacs]]と並んで広く使用されているテキストエディタとなっている。

Vimという名称は、オリジナルの[[vi]]エディタに近づくことを目標として、開発当初'''V'''i '''IM'''itation（viの模倣）の略とされていた。しかし、やがてviを超えることを目指して'''V'''i '''IM'''proved（viの改良）とされるようになり、今日ではオリジナルのviを大きく上回る機能を持つに至っている。

VimはGUIを必要とせず[[CUI]]でも動くため、Unix系OSに標準のエディタとして搭載されていることが多い。コンピュータの大容量化と高速化にともない、2000年以降のOSでは viに代わってより高機能な Vim、あるいはその機能劣化版が標準装備されるようになってきている。このため、コマンドライン上でviを実行すると代わりにVimが起動するディストリビューションが一般的となった。

Vimは基本的に[[キャラクタユーザインタフェース|CUI]]で動作するが、[[グラフィカルユーザインタフェース|GUI]]で動くVimのことを特に'''GVim'''（gVim, gvim, ジーヴィム）と呼び区別している。マウス操作など、GUIであることを生かしたGVimにしかない機能もある。

viエディタと同様、キーボードのみで操作されることを前提としていたため、キーボードのみですべての操作が可能になっている。その基本的な操作方法はviと同じで、状況に応じてモードを使い分けることでテキストを編集していき、小さなコマンドの組み合わせをその場で作ることによって多種多様な機能を実現する。

Windows系エディタ（[[メモ帳]]など）などの他のエディタとは操作方法がまるで異なるため、一通りのテキスト編集作業ができるようになるまで慣れが必要となる。しかしながら、一旦慣れてしまえばメモ帳などとは比較にならないほどのテキスト編集速度を得ることができるため、数多くのVim愛好家が存在する。Vimの他の機能と併せて、プログラムコードやシステム設定ファイルを編集するのに特化しているため、特にプログラマーやシステム管理者に利用者が多い。

viと同じく、Vimの特殊なキーボード操作は、{{独自研究範囲|慣れると一種の快感さえも得られるようになり|date=2013年12月}}、（他のソフトウェア上で、指が勝手にhjklを叩いている、文字を打った後に Ctrl-[ を押してしまう等の）中毒症状すら起こす者もいた{{要出典|date=2013年12月}}。このためかvi系 (vi, Vim, [[nvi]]) のキーボード操作法は、エディタをはじめ、各種ビューワや、[[ブラウザ]]のプラグインにいたるまでその後のソフトウェアの操作方法に強い影響を与えていった。特に[[Mozilla Firefox]]のアドオンである[[Vimperator]]は{{要出典範囲|有名である|date=2013年12月}}。

[[Image:Vim-split.png|thumb|Vim の分割スクリーン]]
Vimの大きな特徴として高いカスタマイズ性を挙げることができる。オリジナルのviがどんな環境でも設定なしですべての機能が利用できる万人向けのエディタだったのに対し、Vimでは設定ファイルを用いることでより個人の好みにあったエディタに[[カスタマイズ]]することができる。

エディタの詳細設定は主に ~/.vimrc（Windows版では %USERPROFILE%\_vimrc）というファイルに書いておき、起動時にVimがそれを読み込むことで設定が反映される仕組みになっている。Vimは独自のスクリプト言語 ([[Vim script]]) を用いて自身の機能を拡張することができ、かなり幅広い機能強化を行うことが可能である。有志らによって書かれた有用なスクリプトはプラグインとして [http://www.vim.org/ www.vim.org] 上や個人のブログ上で公開されている。~/.vim（windows版では %USERPROFILE%\vimfiles）フォルダ以下にこれらのプラグインファイルを置くことで機能を拡張できる。

Vimは、多言語、多コーデックを扱うことができ、[[iconv]]で対応しているものならばたいてい利用できる。しかし日本語などのマルチバイト文字を書くには不便が多く、もっぱら英文編集での利用が一般的である。

ライセンス形態は、GPL互換のチャリティウェアとなっており、いわゆるフリーでオープンソースなソフトウェアとして配布されており、Vimを起動すると[[ウガンダ]]の子供たちへの援助を募るメッセージが表示される。

==歴史==
{{lang|en|Vim}} 誕生のきっかけは、ブラム・ムーリナー<ref>{{lang-en-short|Bram Moolenaar}}</ref>が1980年代の終わりに{{lang|en|[[Amiga]]}}コンピュータを購入したことによる。彼はエディタとして{{lang|en|vi}}を使おうとしたが、当時{{lang|en|Amiga}}用の{{lang|en|vi}}は存在しなかった。そこでviのクローン{{音声ルビ|{{lang|en|Stevie}}|スティービー|表示}}を元にして{{lang|en|Vim}}のバージョン1.0を開発した。最初の第一目標は{{lang|en|vi}}の機能をまねることだったので、その頃の{{lang|en|Vim}} は {{lang|en|Vi IMitation}}（{{lang|en|vi}}の模造品）の略とされていた。1991年に{{lang|en|Vim}}のバージョン1.14がいわゆる「{{lang|en|Fred Fish}} ディスク #591」という{{lang|en|Amiga}}用の[[フリーウェア]]集に収録され、公開されることとなった。

{|class=wikitable
!日時
!バージョン
!変更点
|-
|nowrap|1987年7月
|N/A
|ティム・トンプソンが {{lang|en|[[Atari ST]]}} 向けに {{lang|en|vi}} クローン {{lang|en|Stevie}}<ref>{{lang|eN|ST editor for VI enthusiasts}} の頭文字から命名</ref>を公開した。ソースコードは {{lang|en|[[Usenet]]}}<ref name=stevie>{{cite web|first=ティム|last=トンプソン|date=2000-03-26|url=http://nosuch.com/tjt/stevie/|title={{lang|en|Stevie}}|accessdate=2010-12-27}}</ref><ref name="stevie-usenet">{{cite newsgroup|title={{lang|en|A mini-vi for the ST}}|author=ティム・トンプソン|date=1987-06-28|newsgroup=comp.sys.atari.st|id=129@glimmer.UUCP|url=http://groups.google.com/group/comp.sys.atari.st/msg/8db96f888d778a32?dmode=source|accessdate=2010-12-27}}</ref>に投稿された。
|-
|nowrap|1988年6月
|N/A
|トニー・アンドリュースが {{lang|en|Stevie}} を改良し、{{lang|en|UNIX}}と{{lang|en|OS/2}}に移植し、バージョン3.10として{{lang|en|Usenet}}<ref name=stevie/><ref name="v15i026">{{cite newsgroup|title={{lang|en|v15i037: Stevie, an "aspiring" VI clone for Unix, OS/2, Amiga}}|author=トニー・アンドリュース|date=1988-06-06|newsgroup=comp.sources.unix|id=893@fig.bbn.com|url=http://groups.google.com/group/comp.sources.unix/msg/1fccf6a82259beed?dmode=source|accessdate=2010-12-27}}</ref>に投稿した。
|-
|nowrap|1988年
|1.0
|ブラム・ムーリナーが {{lang|en|Stevie}} を元にして {{lang|en|Amiga OS}} 向けに{{lang|en|Vim}}<ref>{{lang-en-short|Vi IMitation}}</ref>を開発した。ただし非公開。
|-
|nowrap|1991年11月2日
|1.14<ref name="history">{{cite web|first=Bram|last=Moolenaar|date=2002-01-15|url=http://www.free-soft.org/FSM/english/issue01/vim.html|title={{lang|en|Vim, an open-source text editor}}|accessdate=2005-10-24}}</ref>||{{lang|en|Vim}}が{{lang|en|Amiga}}の{{lang|en|[[Fred Fish]] disk}} #591<ref>[http://cd.textfiles.com/fredfish/v1.6/FF_Disks/571-600/FF_591/Contents {{ドメイン名|Textfiles.com}}]</ref>に収録された。
|-
|nowrap|1992年
|1.22<ref name="history"/>
|{{lang|en|Unix}}と{{lang|en|[[MS-DOS]]}}に移植された。
|-
|nowrap|1993年11月14日
|2.0
|このバージョンから {{lang|en|Vim}} は {{lang|en|Vi IMproved}} の略称とされた。
|-
|nowrap|1994年8月12日
|3.0<ref name="history"/>
|[[Windows]]をサポート。複数バッファ機能。
|-
|nowrap|1996年5月29日
|4.0<ref name="history"/><ref>{{cite web|date=2004-03-12|url=http://www.vim.org/htmldoc/version4.html|title={{lang|en|Official Vim Manual, Version 4 summary}}|accessdate=2008-08-06}}</ref>
|{{lang|en|[[GUI]]}}版の公開
|-
|nowrap|1998年2月19日
|5.0<ref name="history"/><ref>{{cite web|date=2004-01-17|url=http://www.vim.org/htmldoc/version5.html|title={{lang|en|Official Vim Manual, Version 5 summary}}|accessdate=2008-08-06}}</ref>||[[シンタックスハイライト]]とスクリプト言語（ユーザ定義関数、コマンド）のサポート
|-
|nowrap|1998年4月6日
|5.1
|バグ修正と様々な改良
|-
|nowrap|1998年4月27日
|5.2
|長期サポート、ファイルブラウザ、ダイアログ、ポップアップメニュー、セレクトモード、ユーザ定義関数、ユーザ定義コマンド、{{音声ルビ|{{lang|en|[[Tcl]]}}|ティクル}}のサポートなど
|-
|nowrap|1998年8月31日
|5.3
|バグ修正
|-
|nowrap|1999年7月25日
|5.4
|簡単なファイル暗号化、様々な改良
|-
|nowrap|1999年9月19日
|5.5
|バグ修正と様々な改良
|-
|nowrap|2000年1月16日
|5.6
|新しいシンタックスファイル。バグ修正など。
|-
|nowrap|2000年6月24日
|5.7
|同上
|-
|nowrap|2001年5月31日
|5.8
|同上
|-
|nowrap|2001年9月26日
|6.0<ref name="history"/><ref>{{cite web|date=2004-03-12|url=http://www.vim.org/htmldoc/version6.html|title={{lang|en|Official Vim Manual, Version 6 summary}}|accessdate=2008-08-06}}</ref>||折りたたみ、プラグイン、多言語サポート、垂直分割ウインドウなど。
|-
|nowrap|2002年3月24日
|6.1
|バグ修正
|-
|nowrap|2003年6月1日
|6.2
|GTK2、アラビア語のサポート、バグ修正など
|-
|nowrap|2004年6月7日
|6.3
|マーク機能、翻訳、バグ修正など
|-
|nowrap|2005年10月15日
|6.4
|外部スクリプト言語インタフェースの追加（{{lang|en|Perl}}、{{lang|en|Python}}、{{lang|en|Ruby}}）、多数のバグ修正など
|-
|nowrap|2006年5月7日
|7.0 <ref>{{cite web|date=2006-05-10|url=http://vimdoc.sourceforge.net/htmldoc/version7.html|title={{lang|en|Official Vim Manual, Version 7 summary}}|accessdate=2008-08-06}}</ref>||スペルチェック、自動補完、タブページ、ハイライト機能の強化、アンドゥー機能の改良など
|-
|nowrap|2007年3月12日
|7.1
|シンタックスファイルの追加、ランタイムファイル、バグ修正など
|-
|nowrap|2008年8月9日
|7.2 <ref>[http://groups.google.com/group/vim_announce/browse_thread/thread/2c89671dd928812f {{ドメイン名|groups.google.com}}]</ref>||{{lang|en|Vim}}スクリプトでの浮動小数点のサポート、スクリーン描画のコードのリファクタング、シンタックスファイルの追加、など
|-
|nowrap|2010年8月15日
|7.3
|スクリプト言語{{lang|pt|[[Lua]]}}と{{lang|en|Python}}3をサポート。 {{lang|en|[[Blowfish]]}}暗号化、 制限なしアンドゥーとリドゥー
|-
|2013年8月10日
|7.4
|新しい高速な正規表現エンジン
|}

====移植された環境====
{{lang|en|vi}}エディタはもともと{{lang|en|Unix}}上でしか動作しなかったが、{{lang|en|Vim}}は {{lang|en|AmigaOS}}（公開時のプラットフォーム）だけでなく、{{lang|en|[[アタリ (企業)|Atari]] [[MiNT]]}}、{{lang|en|[[BeOS]]}}、{{lang|en|DOS}}、[[Microsoft Windows|{{lang|en|Windows}}]]、[[IBM]] {{lang|en|[[OS/2]]}} と [[OS/390]]、{{lang|en|[[MorphOS]]}}、{{lang|en|[[OpenVMS]]}}、[[QNX]]、{{lang|en|[[RISC OS]]}}、{{lang|en|UNIX}}、{{lang|en|[[Linux]]}}、[[BSD]]、{{lang|en|[[Mac OS]]}}<ref>[http://vimdoc.sourceforge.net/htmldoc/help.html#sys-file-list <code>:help sys-file-list</code>]<br>{{cite web|url=http://www.vim.org/download.php|title={{lang|en|Vim Online: Downloads}}|accessdate=2007-01-07}}</ref>、[[OS X|{{lang|en|Mac OS X}}]]<ref>{{cite web|url=http://developer.apple.com/library/mac/#DOCUMENTATION/Darwin/Reference/ManPages/man1/vim.1.html|title={{lang|en|Mac OS X Manual Page For vim(1)}}|accessdate=2010-01-12}}</ref>など、多数のプラットフォームに移植されてきた。

また、独立した移植版が{{lang|en|[[Android]]}}<ref name="vimtouch">{{cite web|url=http://code.google.com/p/vimtouch/|title=Vim Touch|accessdate=August 31, 2012}}</ref>と[[iOS (アップル)|iOS]]<ref name="vimiosappstore">{{cite web|url=http://itunes.apple.com/us/app/vim/id492668168?mt=8|title={{lang|en|App Store - Vim}}|publisher={{lang|en|Apple Inc.}}|accessdate=2012-02-05}}</ref>でも動作する。

====その他====
誕生から25年近く経ち、機能追加を重ねることで、Vimはソースコードが30万行を超える巨大で煩雑なアプリケーションになった。
この巨大化したコードを刷新して、現代的なアーキテクチャに作り変えようと[http://neovim.org/ Neovim]プロジェクトが2014年2月にフォークした。
プラグインの互換性を保ちながら、より自由度の高い機能を提供できるようにすること、内部構造をスリム化しメンテナンスしやすくすることが目的として挙げられている。
このプロジェクトは[http://bountysource.com bountysource.com]で3万ドル強の出資金を集めることに成功している<ref name="neovimbountysource">{{cite web|url=https://www.bountysource.com/teams/neovim/fundraiser|title={{lang|en|Neovim: vim's rebirth for the 21st century}}|accessdate=2014-05-31}}</ref>。

==モード切替==
{{lang|en|Vim}} は複数のモードを用いてテキストの編集を行う。この独特な機能は初学者を混乱させやすい。

あらゆるエディタは、テキストの挿入とエディタに与えるコマンド指示を区別するという意味でモードを持つと言えるが、他のほとんどのエディタはこのモードを全く異なる方法で実装している。{{lang|en|Vim}} は {{lang|en|vi}} と同様、モード毎にキー割り当ても切替わるという点において独自性を持つ。これによって、マウスやメニューを全く使わず、最低限の[[メタキー]]の使用だけで全ての編集機能を使えるようになっている。

{{lang|en|Vim}} には6つの基本モードと5つの派生モードが存在する。しかしながら実質使用されるのは次の4つのモードであり、その他のモードは重要ではなく、特に意識されていない。

{|class=wikitable
!モード
!状態
|-
|ノーマルモード||カーソル移動やテキストの削除、コピー、ペーストなどの簡単な指示を行う。
|-
|ビジュアルモード||テキストを選択するだけのモード。
|-
|挿入モード||実際にテキストを入力するモード。
|-
|コマンドラインモード||ファイルを開いたり、検索・置換などの様々な指示を行う。
|}

その他のモード
*セレクトモード
*{{lang|en|Ex}}モード
*演算子未解決モード
*置換モード
*挿入ノーマルモード
*挿入ビジュアルモード
*挿入セレクトモード

もっとも簡単な使い方の例としては、
#コマンドラインモードでファイルを開き、
#ノーマルモードでカーソルを移動させ、
#挿入モードでテキストを入力し、（{{keypress|ESC}} キーで再度ノーマルモードに戻り）
#コマンドラインモードでファイルを保存する。

====ノーマルモード====
普通の編集コマンドを全て入力することができる。
カーソルの移動をしたり、いくつかのキーを押すことでショートカットのように編集することができる。

{|class=wikitable
!キーボード操作
!コマンド表現
!機能
|-
|{{keypress|j}}
|<code>j</code>
|下にカーソル移動
|-
|{{keypress|k}}
|<code>k</code>
|上にカーソル移動
|-
|{{keypress|h}}
|<code>h</code>
|左にカーソル移動
|-
|{{音声ルビ|{{keypress|l}}|エル|表示}}
|<code>l</code>
|右にカーソル移動
|-
|{{keypress|d}} {{keypress|w}}
|<code>dw</code>
|単語を削除
|-
|{{keypress|y}} {{keypress|y}}
|<code>yy</code>
|一行コピー
|-
|{{keypress|Ctrl}}+{{keypress|f}}
|<!--code lang="vim">&lt;C-f&gt;</code-->
|1ページ下にスクロール
|}

エディタの起動時にはこのモードで始まり、他のモードはこのモードから起動する。全ての操作の中心となる重要なモード。他のモード中に {{keypress|ESC}} か {{keypress|Ctrl}}+{{keypress|<nowiki>[</nowiki>}}、{{keypress|Ctrl}}+{{keypress|c}} を押すことでこのモードに移行できる。操作中にどのモードにいるのか分からなくなった場合は {{keypress|ESC}} を押すとノーマルモードに移行できる。

=====演算子未解決モード=====
ノーマルモードの派生モード。「実行範囲の指示が必要なコマンド」を実行した場合にVimが指示を待っている状態。

例えば、ノーマルモードで {{keypress|d}}キー<ref>{{lang|en|delete}} の意</ref>を押すとこのモードに入る。続けて {{keypress|d}} キーを押した場合は一行削除、{{keypress|w}}<ref>{{lang|en|word}} の意</ref>を押した場合は一単語削除、{{keypress|$}}（行末の意）を押した場合は行末までを削除、となる。{{keypress|d}} {{keypress|5}} {{keypress|d}} とキーボード操作すると、カーソル位置から5行分の削除となる。

====ビジュアルモード====
テキストの部分選択を行うだけのモード。選択後に別途コマンドを与えることにより、選択領域のコピーや削除を始めとしたテキスト処理を行う事が出来る。

テキスト選択中にも移動コマンドなどを行う事ができ、選択範囲を素早く変更できる。移動コマンド以外のコマンドを使うと選択領域に対してそのコマンドが実行される。

ノーマルモードから下記の操作でこのモードに移行できる。その区別は、

{|class=wikitable
!キーボード操作
!コマンド表現
!機能
|-
|{{keypress|v}}
|<code>v</code>
|文字単位のビジュアルモードに移行
|-
|{{keypress|V}}
|<code>V</code>
|行単位のビジュアルモードに移行
|-
|{{keypress|Ctrl}}+{{keypress|v}}
|<!--code lang="vim">&lt;C-v&gt;</code-->
|矩形選択ビジュアルモードに移行
|-
|{{keypress|g}} {{keypress|v}}
|<code>gv</code>
|前回選択した範囲をもう一度選択
|}

このモードの時にはコマンドラインに「{{lang|en|-- VISUAL --}}」と表示される。

=====セレクトモード=====
ほとんどビジュアルモードと同じだが、印字可能文字が入力されると選択範囲を削除して挿入モードに入る。{{lang|en|Windows}} の選択モードに似ている。

ノーマルモードから {{keypress|g}} {{keypress|h}}、{{keypress|g}} {{keypress|H}}で移行できる。また、ビジュアルモード時に {{keypress|Ctrl}}+{{keypress|g}} で移行できる。

このモードの時はコマンドラインに「{{lang|en|-- SELECT --}}」と表示される。

=====挿入ビジュアルモード=====
挿入モードでビジュアル選択を開始したときのモード。

例えば  {{keypress|Ctrl}}+{{keypress|o}} {{keypress|v}}、{{keypress|Ctrl}}+{{keypress|o}} {{keypress|V}}、{{keypress|Ctrl}}+{{keypress|o}} {{keypress|Ctrl}}+{{keypress|v}} を実行するとこのモードに入る。

このモードの時にはコマンドラインに「{{lang|en|-- (insert) VISUAL --}}」と表示される。

=====挿入セレクトモード=====
挿入モードでセレクトモードを開始したときのモード。

例えばマウスをドラッグしたり、{{keypress|Shift}}+{{keypress|→}} を押したときこのモードに入る。

このモードの時にはコマンドラインに「{{lang|en|-- (insert) SELECT --}}」と表示される。

====挿入モード====
このモードでは、タイプされたテキストがそのまま書き込まれる（{{lang|en|Windows}} のメモ帳などでテキストを入力する場合と同じ）。ノーマルモードから {{keypress|i}}、{{keypress|I}}、{{keypress|a}}、{{keypress|A}}、{{keypress|o}}、{{keypress|O}} などをタイプすることで挿入モードに移行できる。

{|class=wikitable
!キーボード操作
!コマンド表現
!機能
|-
|{{keypress|i}}
|<code>i</code>
|カーソル位置の前から挿入モードを開始する。
|-
|{{音声ルビ|{{keypress|I}}|アイ|表示}}
|<code>I</code>
|行の先頭から挿入モードを開始する。
|-
|{{keypress|a}}
|<code>a</code>
|カーソル位置の後から挿入モードを開始する。
|-
|{{keypress|A}}
|<code>A</code>
|行末から挿入モードを開始する。
|-
|{{keypress|o}}
|<code>o</code>
|カーソルの下に空行を挿入し、その先頭から挿入モードを開始する
|-
|{{keypress|O}}
|<code>O</code>
|カーソルの上に空行を挿入し、その先頭から挿入モードを開始する
|}

他にもこのモードに移行するためのコマンドがいくつかある。

このモード時にはコマンドラインに「{{lang|en|-- INSERT --}}」と表示される。

=====挿入ノーマルモード=====
挿入モード時に一度だけノーマルモードのコマンドを実行できる。挿入モード時に {{keypress|Ctrl}}+{{keypress|<nowiki>[</nowiki>}}（または {{keypress|ESC}} キー）を押すのが面倒なときに使用される。

挿入モード時に、 {{keypress|Ctrl}}+{{keypress|o}} で挿入ノーマルモードに入る。

このモードの時にはコマンドラインに「{{lang|en|-- (insert) --}}」と表示される。

=====置換モード=====
ノーマルモードからRでこのモードに移行する。文字をタイプするとその分文字が置換されていく。
抜けるには  {{keypress|Ctrl}}+{{keypress|<nowiki>[</nowiki>}} を押す。

====コマンドラインモード====
ウインドウの下部に一行のテキストを入力できる。

コマンドや関数の実行、検索、置換処理など多様な処理を行うことができる。

ノーマルモードから {{音声ルビ|{{keypress|:}}|コロン|表示}}、{{音声ルビ|{{keypress|/}}|スラッシュ|表示}}、{{音声ルビ|{{keypress|?}}|クエスチョンマーク|表示}}を押すことで移行できる。

{|class=wikitable
!キーボード操作
!機能
|-
|{{keypress|:}}
|コロンに続けてコマンドを打ち込み、{{keypress|Enter}} キーで実行する。補完機能あり。ヘルプテキストには「<code>:sort</code>」などとコロンで始まるテキストで書いてある。
|-
|{{keypress|/}}
|前方検索を行う。続けて検索したい文字列のパターンを正規表現で入力し、{{keypress|Enter}} キーで検索を開始する。インクリメンタルサーチ可。
|-
|{{keypress|?}}
|後方検索を行う。続けて検索したい文字列のパターンを正規表現で入力し、{{keypress|Enter}} キーで検索を開始する。インクリメンタルサーチ可。
|-
|{{keypress|!}}
|外部コマンドでフィルタ処理する。続けて実行するコマンド文字列を入力し、{{keypress|Enter}} キーでコマンド実行を開始する。
|}

====={{lang|en|Ex}}モード=====
コマンドラインモードの変種。コマンドラインモードとは次の点で異なる。
*毎回 {{keypress|:}}（コロン）を押す必要がない。
*コマンド実行後も{{lang|en|Ex}}モードに留まる。
*コマンドを実行するごとに画面が更新されない。
*通常のコマンドライン編集機能が使えない。
*マップと短縮入力が使えない。
ノーマルモードから {{keypress|Q}}、{{keypress|g}} {{keypress|Q}} で{{lang|en|Ex}}モードに移行できる。{{keypress|g}} {{keypress|Q}} の場合はコマンドライン編集や補完が使えるようになる。
{{lang|en|Ex}}モードを抜けるときは <code>:vi</code>（または <code>:visual</code>）を使う。

==起動と終了==
===起動方法===
コマンドライン上で、次のコマンドを実行する。
下のコマンドは {{lang|en|Unix}} のコマンドラインで動作するが、{{lang|en|Windows}} 版も基本的に同様のコマンドで起動できる。

{|class=wikitable
!コマンド!!概要
|-
|<code>vim <nowiki>[</nowiki>''options''<nowiki>] [</nowiki>''file ..''<nowiki>]</nowiki></code>||ファイルを編集する
|-
|<code>vim -g <nowiki>[</nowiki>''options''<nowiki>] [</nowiki>''file ..''<nowiki>]</nowiki></code>||ファイルを編集する
|-
|<code>gvim <nowiki>[</nowiki>''options''<nowiki>] [</nowiki>''file ..''<nowiki>]</nowiki></code>||ファイルを編集する
|}

詳しいコマンドラインオプションについて知りたいならば、次のいずれかのコマンドを実行する。

{|class=wikitable
!コマンド!!概要
|-
|<code>man vim</code>||<code>vim</code>のマニュアルを読む
|-
|<code>vim --help</code>||<code>vim</code>のヘルプを出力
|}

<code>vim</code> について初めて学ぶ者は次のコマンドを実行するとチュートリアルを起動できる。

{|class=wikitable
!コマンド!!概要
|-
|<code>vimtutor <nowiki>[</nowiki>-g<nowiki>] [</nowiki>''言語''<nowiki>]</nowiki></code>
|
*<code>-g</code> オプションで <code>gvim</code> 起動。
*''言語''を <code>ja</code> にすると日本語でチュートリアルを始められる。
|}

以下に {{lang|en|vim}} 関連のコマンドをまとめる。

{|class=wikitable
!コマンド
!概要
|-
|
*<code>vim</code>
|通常起動。デフォルト。
|-
|
*<code>ex</code>
|{{lang|en|Ex}}モードで起動。ノーマルモードに戻るには  <code>:vi</code> を実行。 <code>-e</code> オプションを付けた場合と同じ。
|-
|
*<code>view</code>
|読み取り専用（リードオンリー）モードで起動。<code>-R</code> オプションを付けた場合と同じ。
|-
|
*<code>gvim</code>
*<code>gview</code>
|GUIバージョン。<code>-g</code> オプションを付けた場合と同じ。
|-
|
*<code>evim</code>
*<code>eview</code>
|GUIバージョンのイージー（簡単）モードで起動。<code>-y</code> オプションを付けた場合と同じ。
|-
|
*<code>rvim</code>
*<code>rview</code>
*<code>rgvim</code>
*<code>rgview</code>
|制限版。<code>-Z</code> オプションを付けた場合と同じ。
|-
|
*<code>vimtutor</code>
|チュートリアルを起動。
|}

実際には、<code>vim</code> コマンド以外はほぼ <code>vim</code> のオプションで代替できるので、環境によっては用意されていないこともある。

===終了方法===
Vimを終了させたい時は、
{|class=wikitable
!キーボード操作
!コマンド表現
!機能
|-
|{{keypress|:}} {{keypress|q}} {{keypress|Enter}}
|<code>:q</code>
|バッファを一つ閉じる。<code>:quit</code> と同じ。他に開いているウインドウがあればアプリケーション自体は閉じない。
|-
|{{keypress|:}} {{keypress|q}} {{keypress|a}} {{keypress|Enter}}
|<code>:qa</code>
|開いているバッファを全て閉じる。<code>:qall</code>、<code>:quitall</code> と同じ。
保存して終了させたい時は、
|-
|{{keypress|:}} {{keypress|w}} {{keypress|q}} {{keypress|Enter}}
|<code>:wq</code>
|現在のバッファを保存して閉じる。
|-
|{{keypress|:}} {{keypress|x}} {{keypress|Enter}}
|<code>:x</code>
|<code>:wq</code> とほぼ同だが、書き込みが行われるのは変更点がある時だけである。
|-
|{{keypress|:}} {{keypress|w}} {{keypress|q}} {{keypress|a}} {{keypress|Enter}}
|<code>:wqa</code>
|全てのバッファを保存して閉じる。
|-
|{{keypress|:}} {{keypress|x}} {{keypress|a}} {{keypress|Enter}}
|<code>:xa</code>
|<code>:wqa</code> とほぼ同じだが、書き込みが行われるのは変更点がある時だけである。
|}

中断したい時は、ノーマルモードで {{keypress|Ctrl}}+{{keypress|z}} を押す。{{lang|en|gVim}} ではタスクバーに最小化されるが、端末版ではプロセスをバックグラウンドに移す。

また、ノーマルモード時に {{keypress|Z}} {{keypress|Q}} で保存せずに終了、ノーマルモード時に {{keypress|Z}} {{keypress|Z}} で保存して終了となる。

==カスタマイズ==
{{lang|en|Vim}} は {{lang|en|vi}} とは異なり、個人の好みに合わせて徹底的に[[カスタム|カスタマイズ]]できる。{{lang|en|vi}} は環境非依存で特に設定せずに使うのが一般的だが、プログラマ向けの {{lang|en|vim}} は設定を多用して各個人向けに使いやすくするのが一般的である。その設定の範囲は基本的な[[インタフェース (情報技術)|インタフェース]]から、キーボードマクロまで幅広い。

{{lang|en|Vim}} は、独自のスクリプト言語（{{lang|en|vim}}スクリプト、<code>:help vim-script-intro</code>）を持っており、カスタマイズ処理は主にこの言語で記述する。{{url|http://www.vim.org/}} や個人のブログ上で、便利なスクリプトが[[プラグイン]]として公開されている。Vimスクリプトは強力だが一方で、モードの概念を織り交ぜて書くことになるため、文法が複雑で分かりにくく見づらいという欠点を持つ。このため、プラグインを書くのはある程度慣れが必要となる。カスタマイズ用のスクリプトは、コンパイル時に {{lang|en|Vim}} に追加できる {{lang|en|[[Perl]]}} や {{lang|en|[[Python]]}} や {{lang|en|[[Ruby]]}} などのインタフェースを使用して記述することもできる。

{{lang|en|Vim}} の初期設定は主に <code>~/.vimrc</code><ref>ヴィムアールシー、Windows版では <code>_vimrc</code></ref>というテキストファイルで行い、<code>~/.vim</code> ディレクトリ<ref>{{lang|en|Windows}}版では <code>vimfiles</code></ref>に多数のプラグインスクリプトを配置することによって機能拡張を実現する。個人の設定は多種多様だがほとんどのユーザーは、<code>~/.vimrc</code> には[[オプション]]（<code>:help options</code>）やキーマップの変更などを記述する。

<code>set</code> コマンドでオプションを設定する。
オプションの名前に <code>no</code> を付けるとその否定になる。

{|class=wikitable
!コマンド
!意味
|-
|<code>set nocompatible</code>
|{{lang|en|vi}} と互換モードにしない
|-
|<code>set number</code>
|行番号を表示する
|-
|<code>set autoindent smartindent</code>
|プログラミング用に自動インデントする
|-
|<code>set expandtab</code>
|タブ文字をスペース文字に変換する
|-
|<code>set nobackup</code>
|バックアップをとらない。
|-
|<code>syntax on</code>
|構文強調表示機能を有効にする
|-
|<code>nnoremap ; :</code>
|キーマップの変更。
|-
|<code>vnoremap ; :</code>
|キーマップの変更。
|-
|<code>inoremap &lt;C-a&gt; &lt;C-o&gt;0</code>
|キーマップの変更。
|-
|<code>inoremap &lt;C-e&gt; &lt;C-o&gt;$</code>
|キーマップの変更。
|}

<code>~/.vim</code> 以下はある程度用途ごとにディレクトリが分けられている。
ダウンロードしたプラグインは指定されたディレクトリに置くことで動作する。

細かい説明は[http://vim-users.jp/2009/06/hack34/ {{lang|en|Vim-users.jp - Hack #34: Vim}} のディレクトリ構成]を参照。

 <code>~/.vimrc
 ~/.vim/
     after/
     autoload/
     compiler/
     colors/
     doc/
     plugin/
     ftdetect/
     ftplugin/
     syntax/
     indent/
     macros/</code>

==プラグイン==
プラグインのVimスクリプトは、上記の適当なディレクトリに配置することで動作する。

しかし、[http://www.vim.org/ Vim.org] からダウンロードしてきた第三者によるプラグインファイル（しばしば複数のファイルから成る）は、自分で解凍して複数のディレクトリに配置しなければならなかった。このため、自分の書いた設定ファイルと、第三者の書いたプラグインとが混在し、プラグインが増加するにつれて管理が複雑化することが多かった。

特に後者はバージョンもすべて自己責任で更新する必要があったため、{{独自研究範囲|プラグイン管理は決して快適なものではなかった|date=2013年12月}}。

===プラグインの管理===
====Vimball による管理====
プラグイン管理の負担を軽減するために、Vimがバージョン7になると、'''Vimball'''（ヴィムボール）と呼ばれる機能が搭載されるようになった。これはプラグインをVimballという形式に圧縮して単一のファイルでプラグインを提供しようとするものである。このVimballを使うことでプラグインのインストール・アンインストールを簡便に行う事ができ、プラグインのインストール面での負担が軽減された。Vimball形式で提供されているプラグインをインストールするには、[http://www.vim.org/ Vim.org] からダウンロードしてきたファイル（拡張子 '''.vba'''）を手持ちのVimエディタで開き、:so %  を実行することで自動的に展開されて、インストールできる。このときインストールしたプラグイン情報も記録されるのでアンインストールもできる。

アンインストールするには、次のコマンドを打ち込むことでアンインストールできる。
 :RmVimball [プラグインの名前]
その他の使用法については:h vimballで確認できる。

しかしながらVimball形式に対応したスクリプトが非常に少なかったことや、プラグインのバージョン管理まで面倒を見てくれなかったことから、プラグイン管理の負担が劇的に改善されることはなく、現在は主流の管理方法ではなくなってきており、[[Git]]を用いた方法に移行しつつある。

====GitHub による管理====
2000年代後半になるとプラグインの管理方法は大きく変わりはじめた。それは[[GitHub]]の登場によって多数のプラグインが、分散型バージョン管理システム[[Git]]で管理されるようになってきたためである。GitHubが個人に無料でスペースを提供したため、自分の設定ファイル群である ~/.vim (dotvim, vimfiles) をGitHub上で管理する者が増加し、プラグイン管理もすべてGitで管理したいという需要が出てきた。

まず、[http://www.vim.org/scripts/script.php?script_id=2332 pathogen]（パソゲン、Tim Pope氏作）というプラグインが登場した。これは自分の~/.vim全体をGitで管理し、第三者プラグインはGitのsubmodule機能によって管理するようにした。これのプラグインの登場により、第三者プラグインと自分の書いたプラグインとを別々に管理できるようになったことで、Vimball形式の時の問題点はほとんど解決され、プラグイン管理の負担をかなり劇的に低減させることに成功した。さらにGitを使った利点として、自分で好きなようにフォークして変更できることも大きなメリットであった。

しかし、Gitによってプラグインの更新が楽になったとはいえ、その更新もインストールもプラグインごとに管理しなければならない点は変わらなかった。2010〜2011年になると、その部分を自動化し改良したVimスクリプトが登場した。それが、[https://github.com/gmarik/vundle Vundle]（バンドル、gmarik氏作）と[https://github.com/Shougo/neobundle.vim Neobundle.vim]（ネオバンドル、Shougo氏作）である。これらのスクリプトを用いることで使いたいプラグインの名前やレポジトリを列挙するだけで、コマンドひとつで一括インストール、一括更新が可能になった。これに呼応する形で[http://www.vim.org/ Vim.org]にアップロードされていたプラグインもその殆どが[https://github.com/vim-scripts GitHub上に移植]された。

これらのプラグイン管理用のプラグインが整備されたことにより、初期（数年前まで）の管理方法に比較するとVimのプラグイン管理の環境は格段に向上した。

===代表的なプラグイン===
Vim.orgでホストされているVimのプラグインは、もともと小さな機能をもったスクリプトが多かった。しかしながら、2000年代後半のここ数年でVimには高性能で多機能なプラグインが急激に増加してきた。その背景には、コンピュータの高性能化や、Vimスクリプトのハックが進んだことなどが挙げられる。{{要出典範囲|特に、Shougo作による、Unite、Vimshell、Neocomplcacheなどはその代表例である|date=2013年12月}}。

下に、汎用的で代表的なプラグインを挙げる（順不同）
; Align
: テキストの整形
; Unite
: ファイル一覧、最近開いたファイル一覧、バッファ一覧、リファレンス表示など、様々なものを表示できる。自分で拡張したり、他のプラグインとの連携ができる。
; Neocomplcache
: Vimの補完機能を向上させる。拡張することでコードスニペットの補完ができる。
; Vimshell
: Vim内でシェルをエミュレートする。
; Vimfiler
: フル機能の[[ファイラー]]。
; Emmet
: [[HyperText Markup Language|HTML]]の編集に[[Zen Coding]]が使えるようになる。zencodingの後継プラグイン。
; Eregex
: Vimの分かりにくい[[正規表現]]を、[[Perl]]などで使われる一般的な正規表現で書けるようにする。
; Quickrun
: 現在開いているバッファのコードを、[[シェル]]に戻ることなく手軽に実行できる。
; Vim-ref
: Vimでperldocやpydocなどの[[レファレンス|リファレンス]]を手早く閲覧できる。
; Surround
: Vim 7から導入されたテキストオブジェクトを便利に扱うことができる。
; NERD-Commenter
: コードのコメントアウトを手軽に行える。
; NERD-Tree
: ディレクトリ構造をツリー表示する。gVimではマウス操作にも対応している。
; Project
: [[統合開発環境|IDE]]のようにファイルの管理を強化する。
; YankRing
: レジスタ（[[クリップボード]]）に履歴の機能を追加する。
; Matchit
: 「対応するカッコに飛ぶ」の機能を強化し、例えば[[Ruby]]のendでも移動できるようにする。
; Calendar
: Vimにカレンダーを搭載。日記も書くことができる。
; Buftabs
: ステータスライン上にバッファの一覧を表示する。
; Syntastic
: ファイルを保存すると自動的に構文チェックなどを行い、エラーのある箇所を表示する。サポートするプログラミング言語も豊富。

==機能==
===概要===
[[Image:Screenshot-vim2.png|thumb|300px|Vim の機能：行数、Unicode、構文のハイライト、テキストの折り畳み]]
[[Image:screenshot_vim7_word_completion.png|thumb|300px|Vim7 における新機能：スペルチェックとドロップダウン付きの単語補完]]

[[vi]]というとコンパクトでありながら豊富なテキスト操作手段をもつエディタという印象が一般に持たれている。いっぽうVimは多くのコマンドを追加しており、オムニ補完や構文強調、[[リアルタイムシステム|リアルタイム]]スペルチェックなどの機能も次々と導入されており、もはや[[vi]]のもつコンパクトという性質は引き継いでいない。

*設定によりオリジナルのviとほぼ互換の操作を実現 (set compatible)
*マルチバッファ
*任意個数ウィンドウ分割（縦、横）
*[[リスト]]や[[ハッシュテーブル|辞書]]を備えた独自の[[スクリプト言語]]を実装している
*スクリプト中から[[Perl]]、[[Ruby]]、[[Python]]、[[Tcl/Tk|Tcl]]、[[Scheme|MzScheme]]を呼び出せる
*登録略語補完（アブリビエイション）
*動的単語補完
*多段階アンドゥ
*[[C言語|C]] / [[C++]]、[[Java]]、[[Ruby]]、[[Python]]など40以上の言語に対応したオートインデント
*[[ctags]]を利用したタグジャンプ
*クラッシュしても、ほぼ直前のファイルを復元可能
*カーソル位置や開いているバッファ状態の保存・復元（セッション機能）
*2つのファイルの差分を色分けし、同期スクロールして表示するdiffモード
*リモートファイル編集
*オムニ補完（[[インテリセンス]]と同等の機能）

===画面分割とタブ===
VimはGNU screenと同じように画面分割して編集することができる。左右分割して2つのファイルを差分表示してみせたり、上下分割で上にヘルプ表示しながら編集を進めたりできる。ウインドウの移動には Ctrl-w w、 Ctrl-w j[khl] を用いる。

Vim 7からはタブ表示機能が加わり、さらに多くのファイルを同時編集可能になった。タブの移動にはgt 、gTを用いる。

この機能をさらに便利にするものとしてUniteやVimshell、quickrunなどのプラグインが開発されている。特にUniteはこれまでのバッファ管理プラグインを包括する多機能なプラグインとして{{誰範囲2|注目を浴びている|date=2013年12月}}。

===補完機能===
Vimには補完機能が備わっており、挿入モード中 Ctrl-n 、Ctrl-p で文中の単語をポップアップ表示、補完することができる。コマンドモード中でも補完をさせることができる。近年ではneocomplcacheというプラグインを用いることで、ほぼ何でも補完対象にすることができるようになっている。

===強調表示===
Vimは非常に多くのテキストファイル、ソースコードを色分けできる。デフォルトで400以上の文法を色分けすることが可能であり、この数は他のテキストエディタと比較して群を抜いている。特にViやVimを用いてUNIXの設定ファイルを編集するケースが多いことから/etc以下のかなりのファイルが色分け表示される。

また、正規表現を駆使することで必要に応じて拡張できる。その設定ファイルは一般的に~/.vim/syntax以下に収められる。さらに色分けのカラースキームも自由に変更でき、自分の好みに応じて様々に使い分けることができる。

===ヘルプ機能===
[[Image:Vim-(logiciel)-aide.png|thumb|right|Vim のヘルプ: 検索方法 ':helpgrep evim'。下が見つかった場所で、上が選択した場所に対するヘルプテキスト]]

Vimにはテキスト形式の膨大な[[文書|ドキュメント]]が存在する。また、Vimでは問題の解決法を見付けるためのさまざまな機能が提供されている。構文のハイライトやVim独自のヘルプの文法によって、[[予約語|キーワード]]はさまざまな色で強調表示される。[[ショートカットキー|キーボードショートカット]]で[[ウェブブラウザ]]のようにキーワード間を行き来することができる。更に[[グラフィカルユーザインターフェース|GUI]]版ではマウスを使っても移動することができる。ユーザが楽に解決法を探すための機能は他にもあり、そのうち主なものは ':helpgrep' コマンドである。これを用いれば、ユーザはヘルプ全体の中から単語を探すことができ、':cwindow' でもう一つのウィンドウ内にヒットしたものが表示され、それによってヘルプ内の一致する箇所へ移動することができる。Vimのヘルプ機能でヒットリスト内から更に単語を探すこともできる。

===プログラマ支援===
Vimは[[プログラマ]]によって開発されたプログラマのためのエディタである。Vimにはプログラマの仕事を楽にするための機能が備わっている。[[統合開発環境]]と同様、ソースファイルを編集した後Vimから直接[[コンパイル]]できる。[[コンパイラ|コンパイル]]エラーが発生したときには、もう一つのウィンドウが表示される。[[エラーメッセージ]]に基づいて、直接他のウィンドウ内に表示されたソースファイルのエラーの出た箇所へジャンプすることができる。構文のハイライトやテキストの折り畳みもプログラマにとって役立つ機能として挙げられる（':help quickfix'参照）。

===ファイルの差分===
[[Image:Vim-(logiciel)-diff-repli.png|thumb|left|Vim を使ったファイルの比較]]

しばしば行われる作業に異なるバージョンのファイルの比較がある。Vimには2つのバージョンのファイルを2つのウィンドウに並べて、差分をさまざまな色で表示する機能がある。変更された行や挿入された行は色を付けて強調され、変更のない範囲は折り畳まれて表示される。図では変更された行は赤で、挿入された行は青色で表示されている。折り畳まれた箇所は灰色になっている。UNIXではvimdiffコマンドでもこの機能を利用できる。

===スクリプト言語===
[[Image:Vim-(logiciel)-script-calendar.png|thumb|right|カレンダーのスクリプト（左）とそのソース（右）を表示したVim]]

Vimには独自の[[スクリプト言語]]が備わっており、それを用いれば[[マクロ (コンピュータ用語)|マクロ]]で対応するのが難しいような複雑な作業を自動化できる。Vimのスクリプトは-sオプションを付けて起動したり、いわゆるプラグイン[[ディレクトリ]]内に入れたりすれば読み込まれる。':source' コマンドでもスクリプトが読み込まれ実行される。Vimスクリプトの例にVimの設定ファイルがあり、UNIXや[[Linux]]では .vimrc、Windows では_vimrcというファイル名になっていることが多い。このファイルは起動時に自動的に実行される。

Vimのスクリプト言語では[[コマンドラインインタープリタ|コマンドライン]]の[[コマンド (コンピュータ)|コマンド]]が全て利用でき、':normal' コマンドで通常モードの全てのコマンドも使うことができる。この言語では数と文字列の2つの[[データ型]]が用意されている。[[ブール代数|ブール値]]は数で実現され、0は偽でそれ以外の数は真と評価される。また、重要な比較演算子や基本的な算術演算子もある。[[制御構造]]も用意され、[[if文]]や [[while文]]が使える。さらにユーザが自前の[[関数 (プログラミング)|関数]]を定義でき、100を超える定義済み関数を利用できる。作成したスクリプトは[[バグ|デバッグ]]モードでテストすることができる。

==弱点==
*1行が長いと処理が非常に遅くなる
*独自のスクリプト言語の仕様が煩雑。自動実行系、ウィンドウ管理系のコマンドが貧弱
*C-1 など、マッピングできないキーが存在する（キャラクタ端末アプリケーションであるための制限）

==Vimと似た操作体系をもつアプリケーション==
*[[nvi]]
*[[Cream]]
*[[elvis]]
*[[Stevie]]
*[[Vrapper]]（[[Eclipse]]のプラグイン）
*[[Vimperator]]（[[Mozilla Firefox]]のアドオン）

==脚注==
<references />

==関連項目==
{{Portal|FLOSS|[[ファイル:FLOSS_logo.png|41px]]}}
*[[テキストエディタの一覧]]

==参考文献==
*Steve Oualline『Vi IMproved‐Vim完全バイブル』[[高橋則利]]訳、[[技術評論社]]、2004年5月、ISBN 4-7741-2018-9

==外部リンク==
{{commons|Category:Vim}}
*[http://www.vim.org vim.org]（プロジェクトのウェブサイト）
*[http://vim-jp.org/ vim-jp]（日本語対応 Windows、Mac OS X版Vimの配布）
*[http://vim-jp.org/vimdoc-ja/ Vim 日本語ドキュメント]
*[http://www.kaoriya.net/ KaoriYa]（日本語対応 Windows 版 Vim の作者サイト）
*[http://www15.ocn.ne.jp/~tusr/index.html spanish passion]（設定方法、チュートリアル等）
*[http://vimwiki.net/ VimWiki]

{{テキストエディタ}}

{{DEFAULTSORT:ひむ}}
{{Link FA|de}}

[[Category:テキストエディタ]]
[[Category:オープンソース]]
[[Category:クロスプラットフォームのソフトウェア]]