UH-1 (航空機)のソースを表示

{{Otheruseslist|軍用機としての各論|民間機も含めた総論|ベル ヒューイ|エンジンを双発した型|UH-1N ツインヒューイ|UH-1Nのアップグレード型|UH-1Y ヴェノム}}
{{Infobox 航空機
|名称=UH-1 イロコイ
|画像=画像:23d Flying Training Squadron UH-1.jpg
|キャプション=
|用途=[[汎用ヘリコプター]]
|分類=中型[[ヘリコプター]]
|設計者=
|製造者=[[ベル・エアクラフト]]社
|運用者 more=：
**{{USA}}（[[アメリカ陸軍|陸軍]]、[[アメリカ空軍|空軍]]、[[アメリカ海兵隊|海兵隊]]）
**{{ITA}}（[[イタリア海軍|海軍]]・[[イタリア陸軍|陸軍]]）
**{{JPN}}（[[陸上自衛隊]]）
**{{AUS}}（[[オーストラリア陸軍]]） 他
|初飛行年月日=[[1956年]][[10月22日]]
|生産数=16,000機以上
|生産開始年月日=[[1959年]]
|運用開始年月日=
|退役年月日=
|運用状況=現役
|ユニットコスト=
}}
'''UH-1'''（{{Lang-en|UH-1 Iroquois}}・イロコイ、愛称：{{Lang|en|Huey}}・ヒューイ）は、[[アメリカ合衆国]]の[[ベル・エアクラフト]]社が開発した[[ベル ヒューイ|モデル 204/205/212]][[ヘリコプター]]の[[アメリカ軍]]における制式名称。[[1959年]]より[[アメリカ陸軍]]で採用され、[[ベトナム戦争]]などで活躍した。現在は後継機種の[[シコルスキー・エアクラフト|シコルスキー]][[UH-60 ブラックホーク]]に置き換えがすすんでいるが、[[日本]]の[[陸上自衛隊]]を始めとする多くの国々では現役である。

__TOC__
UH-1には非常に多彩なバリエーションがあるが、ベースとなったエアフレームと搭載する[[エンジン]]に応じて、下表のように整理できる。
{|class="wikitable" style="text-align:center"
!rowspan="2" colspan="2"| ||colspan="9"|搭載エンジン
|-
!T53-1||T53-5||T53-9||T53-11||T53-13||T53-703||T58||T400||T700
|-
! rowspan="8"| ベースモデル
!204
!UH-1A
|-
!rowspan="3"|204B
|
!colspan="3"|UH-1B
|-
|colspan="2"|
!colspan="2"|UH-1E||HH-1K
|
!UH-1F/P
|-
|colspan="3"|
!UH-1C||UH-1M
|-
!205
|colspan="3"|
!UH-1D||UH-1H
|-
!205B
|colspan="5"|
!UH-1J<br />UH-1HP
|-
!212
|colspan="7"|
!UH-1N
|-
!450
|colspan="8"|
!UH-1Y
|}

== 第1世代 ==
=== ベル モデル 204シリーズ ===
{{Multiple image|direction=vertical|width=250
|image1=
|caption1=
|image2=M6 Schematic.jpg
|caption2=M6サブシステム
|image3=M16 Schematic.jpg
|caption3=M16サブシステム
|image4=Avhuey 05.jpg
|caption4=M21サブシステム
}}
{{See also|ベル ヒューイ#204シリーズ}}
もっとも初期のUH-1は、いずれも短胴型のモデル 204シリーズに基づいていた。

==== 米陸軍 ====
[[アメリカ陸軍]]は、[[1959年]][[6月30日]]よりHU-1の引き渡しを受けて、運用を開始した。当初は、[[輸送|軽輸送]]用途を主とした'''スリック'''（slick）として運用されており、最初期の配備部隊は[[第101空挺師団 (アメリカ軍)|第101空挺師団]]、[[第82空挺師団 (アメリカ軍)|第82空挺師団]]および第57医療分遣隊であり、いずれも負傷者後送用途で運用されていた。また、飛行性能が優れていたことから、[[1962年]]春より、武装攻撃用途を想定した'''[[ガンシップ]]'''（gunship）としての運用も検討されるようになった。

{{See also|攻撃ヘリコプター#ガンシップの登場}}

同年[[7月25日]]から[[沖縄県|沖縄]]で、15機のHU-1A（9月以降より<span id="UH-1A">'''UH-1A'''</span>と改称）を有するUTTHCO（汎用戦術輸送ヘリコプター中隊）が編成され、[[10月9日]]には[[ベトナム]]へと派遣された。この[[中隊]]のUH-1は、部隊レベルでの応急艤装により、[[M60機関銃|M60]]または[[ブローニングM1919重機関銃|M37C 7.62m機関銃]]二挺と[[ロケット弾]][[ガンポッド|ポッド]]二個をスキッド上に搭載していた。UTTHCOは[[1962年]][[10月]]から約5ヵ月間、武装ヘリの実戦運用試験を行った。1,800時間にも及ぶ試験の結果、護衛する輸送ヘリの被弾率は50%以上減少し、その有効性を証明した。また、その運用性格上、[[制圧射撃]]時に反撃を多々受けたが、損害は1機のみであった。この試験でUTTHCOは、総じて5-7機のガンシップで20-25機の輸送ヘリを護衛する事が可能という結論を出した。

[[1961年]][[3月]]より、陸軍は、改良型のモデル 204Bを<span id="UH-1B">'''UH-1B'''</span>として運用しはじめた。これは、UH-1A（モデル 204）をもとに胴体を延長し、ローターブレードを53cm幅に大型化するとともに、より強力な[[エンジン]]を搭載したものであった。これにより、基本となるスリック型においては、[[兵士|兵員]]7名か担架3台、貨物であれば1,360kg（3,000lbs）を搭載できた。また、ベトナムにおいては自衛用として[[ドアガン]]も装備するようになった。もっとも広く使用されたのがいわゆるサガミ・マウントで、これは[[キャビン]]後部に[[M60機関銃#M60D|M60D 7.62mm機銃]]を各舷に1丁ずつ装備したものであった。なお、この名称の由来は不明であるが、このシステムが[[相模総合補給廠]]で製作された可能性が示唆されている。

UH-1Bではスリック型以外にガンシップ型も製作され、これは[[1962年]][[11月]]にUTTHCOに配備された。UH-1Bガンシップの艤装はメーカーによる本格的なものであり、XM156ユニバーサル・マウントが胴体後部に装着されていた。このマウントには当初、XM6Eアーマメント・サブシステムが取り付けられていた。'''M6サブシステム'''（[[1963年]]5月に制式化）は、片舷あたり2丁の[[M60機関銃#M60C|M60C機銃]]を油圧駆動の銃座に装備したもので、しばしば[[FFAR (ロケット弾)|FFARロケット弾]]のMA-2ポッド（2発）と組み合わせて搭載された。[[副操縦士]]が射手として光学[[照準器]]により遠隔操作したが、機銃が前方正面を向いているときは、[[機長]]もロケット弾用照準器によって射撃することができた。1963年末からは、M6サブシステムにFFARロケット弾のXM157ないしXM158ポッド（7発）を組み合わせた'''M16サブシステム'''が開発され、初期のUH-1Bガンシップの標準装備となった。また、1963年には、FFARロケット弾を片舷あたり24発（横4列×縦6列の直方体型ポッド）収容した'''XM3サブシステム'''が登場した。XM3サブシステムは、一度に{{Convert|480|lb|kg}}の高性能爆薬を投射可能という強力な[[火力 (軍事)|火力]]投射能力を備えたものの、機銃を省いたロケット弾一本槍の武装であったため、通常、M16サブシステム搭載機のチーム（ライト・ファイア・チーム）とXM3サブシステム搭載機のチーム（ヘビー・ファイア・チーム）を組み合わせての運用が行なわれた。XM3サブシステム搭載機はホッグと通称された。これらのユニバーサル・マウント用のアーマメント・サブシステムに加えて、[[1964年]]7月には、{{仮リンク|M75 40mm擲弾銃|en|M75 grenade launcher}}を機首下面に装備するM5サブシステムが開発され、UH-1Bに搭載された。その後、より収容力を増強したモデル 205シリーズ（UH-1D/H）の導入に伴い、スリック任務はこちらに任せ、UH-1Bは主としてガンシップ任務に投入されるようになった。ただし、スリック型とガンシップ型が基本的に同一機体であるために、重武装を施したガンシップ型が機動性や航続性能、速力で劣り、編隊を組んでの作戦行動が困難になるという問題が発生した。

このことから、[[1965年]]9月からは、ガンシップ用途に特化した機体として<span id="UH-1C">'''UH-1C'''</span>が配備された。UH-1CはUH-1Bの後期生産型をベースとしており、モデル 204BのエアフレームにT53-L-11エンジンを搭載しているが、ローターは68cm幅のブレードとフレキシブル・ローター・ヘッドを採用したモデル540とされている。兵装としては、基本的にはUH-1Bガンシップのものが踏襲され、機首部にはM75 40mm擲弾銃装備のM5サブシステムが、胴体後部にはXM156ユニバーサル・マウントが搭載された。ただし、ユニバーサル・マウントに搭載されるサブシステムとしては、'''M21サブシステム'''が主用された。これはM16サブシステムのM60Cを[[M134 (機関銃)|M134ミニガン]]に換装したもので、[[1966年]]後半から導入された。また、UH-1Cガンシップにおいては、UH-1BガンシップにおけるXM3サブシステムに相当するものとして、XM159ポッドが多用された。これは[[アメリカ空軍|空軍]]の19発入りポッドを導入したもので、XM3サブシステムよりも収容弾数は少ないものの、これによる軽量化と、ポッドそのものの空力設計が洗練されていたことから、機動性と航続性能への影響が低減されていた。UH-1Cは766機が生産された。

また、のちにUH-1CのエンジンをUH-1H同等にまで強化した<span id="UH-1M">'''UH-1M'''</span>が登場したが、これはUH-1ベースのガンシップの決定版となった。これ以後、UH-1の機関系を基にベルが製作した専用のガンシップとして、'''[[AH-1 コブラ]]'''が運用されるようになっていく。
<gallery widths="200px" heights="150px">
image:Bell UH-1B Iroquois on airfield.jpg|クリーン形態のUH-1B
image:UH-1B Iroquois Vietnam.jpg|M16サブシステムを搭載したUH-1B
image:Bell UH-1 with rockets and minigun turret.jpg|M3・M5サブシステムを搭載したUH-1B
</gallery>

==== 米海兵隊 ====
[[File:TK-2 TAT-101 Picture.jpg|thumb|250px|TAT-101およびTK-2搭載のUH-1E]]
[[アメリカ海兵隊]]は、[[H-43 (航空機)|OH-43D]]および[[O-1 (航空機)|O-1]][[連絡機|連絡]]・[[観測機]]の後継としてUH-1を選定、[[1964年]]2月に<span id="UH-1E">'''UH-1E'''</span>を受領して、運用を開始した。これは、UH-1Bの後期生産型をベースに、[[アメリカ陸軍|陸軍]]のUH-1Cで採用されたのと同様のモデル540ローターを搭載するとともに、海兵隊の運用要求に応じた小改正を加えたものである。

海兵隊では、スリック用途には専用の[[輸送]][[ヘリコプター]]である[[シコルスキー S-58|HUS-1（CH-34）]]、およびその後継の[[V-107|HRB-1（CH-46）]]を、[[近接航空支援]]には固定翼[[攻撃機]]を充当しており、UH-1Eは、当初は主として連絡・観測・負傷者後送用途で使用されていた。しかしまもなく、陸軍のUH-1Bをモデルに、[[ガンシップ]]用途への投入が検討されるようになっていった。

UH-1E用に開発されたアーマメント・サブシステムは'''TK-2'''（Temporary Kit-2）と称され、陸軍のM16サブシステムと同様に、片舷につき[[M60機関銃#M60C|M60C機銃]]2丁と[[FFAR (ロケット弾)|FFARロケット弾]]の7発ポッドを1基搭載するものであったが、陸軍のM16と異なり、[[機関銃|機銃]]は固定式であった。また、[[1967年]]4月からは、機首下面にエマーソンTAT-101チン・[[ターレット]]が追加装備された。これはM60C 2丁と[[弾薬]]500発を収容したものであった。
{{-}}
==== 米空軍・海軍 ====
[[1963年]]6月、[[ベル・エアクラフト|ベル]]社は、[[アメリカ空軍]]向けの基地用[[汎用ヘリコプター#空軍|汎用ヘリコプター]]として、<span id="UH-1F">'''UH-1F'''</span>の契約を獲得した。これは、モデル 204Bを元にしているが、米空軍の運用要求に応じた小改正を加えたものである。その最大の変更点は[[エンジン]]であり、[[アメリカ陸軍|陸軍]]・[[アメリカ海兵隊|海兵隊]]向けの機体がいずれも[[ライカミング T53]]シリーズを搭載していたのに対し、UH-1Fでは、[[ゼネラル・エレクトリック]]社製の[[:en:General Electric T58|T58-GE-3]]（出力 1,250hp/932kW）が採用された。これは、空軍が既に運用していた戦闘[[捜索救難]]機である[[シコルスキー S-61R|HH-3E]]と共通化するための措置であった。UH-1Fの引き渡しは[[1964年]]9月から開始され、計146機が生産されたほか、[[練習機]]型である'''TH-1F'''も27機が生産された。また、のちには武装攻撃に対応して、20機が<span id="UH-1P">'''UH-1P'''</span>仕様に改修された。

また、[[アメリカ海軍]]も短距離[[救難機]]として、<span id="HH-1K">'''HH-1K'''</span>を採用した。これはモデル 204Bをベースに、強力なT53-L-13エンジンを搭載するとともに、電子機器を海軍仕様としたもので、[[1970年]]より引き渡しが開始され、27機が生産された。また、回転翼練習機として'''TH-1L'''が90機、汎用機として<span id="UH-1L">'''UH-1L'''</span>が8機生産された。

== 第2世代 ==
=== ベル モデル 205 ===
{{Multiple image|direction=vertical|width=250
|image1=UH-1D at Marine fire support base 1968.JPEG
|caption1=UH-1D スリック
|image2=TM-9-1005-262-13 68 1.jpg
|caption2=M23サブシステム搭載のUH-1D
}}
ベル 204シリーズの運用実績はおおむね好評であったものの、モデル 204Bにおいてもなお、収容力の不足が指摘されていた。このことから、モデル 204Bをもとに胴体を40cm延長するなどの改設計を施した発展型として、[[ベル・エアクラフト|ベル]]社が開発したものが'''[[ベル ヒューイ#205|モデル 205]]'''であった。

これは[[1960年]]に[[アメリカ陸軍|米陸軍]]に対して提示され、同年7月、試作機として<span id="YUH-1D">'''YUH-1D'''</span> 7機を生産する契約が締結された。モデル 205は[[1961年]][[8月16日]]に初飛行し、[[1963年]]8月より、<span id="UH-1D">'''UH-1D'''</span>として米陸軍での運用を開始した。UH-1Dは、UH-1B後期生産型やUH-1Cと同じく、[[エンジン]]としてはT53-L-11を搭載しており、[[兵士|兵員]]なら12-14名、貨物なら1,800kg（4,000lbs）を搭載することができた。アメリカ陸軍は、合計で2,008機のUH-1Dを調達した。

また、ベル社はさらに、モデル 205をもとにして、エンジンを新型で強力なT53-L-13（出力 1,044kW/1,400shp）に換装した''モデル 205A-1''を開発しており、これは<span id="UH-1H">'''UH-1H'''</span>として、[[1967年]]9月より生産に入った。アメリカ陸軍は合計で3,573機のUH-1Hを調達し、さらに海外向けに1,372機が生産された。また、海外での[[ライセンス生産]]も行なわれている。

UH-1Bなどの[[ベル ヒューイ#204シリーズ|ベル 204シリーズ]]が[[ガンシップ]]用途に充当されたのに対して、これらのベル 205シリーズは、主としてスリック用途に充当された。205シリーズでは、[[ドアガン]]としてはM23サブシステムが使われることが多かった。

また、[[アメリカ空軍|空軍]]向けの[[救難機#救難ヘリコプター|軍用救難ヘリ]]として<span id="HH-1H">'''HH-1H'''</span>は[[1971年]]-[[1973年]]に30機がデリバリーされ、HH-43に代わる基地救難機として配備された。
{{-}}

=== ベル モデル 212 ===
{{main|ベル 212|UH-1N ツインヒューイ}}
[[アメリカ海兵隊]]は[[アメリカ陸軍|陸軍]]と異なり、スリック用途には[[V-107|CH-46]]を充当しており、UH-1は武装攻撃や[[連絡機|連絡]]・[[観測機|観測]]・負傷者後送用途に使用されていたことから、ベル 205シリーズの調達は行なわなかった。

しかし、海兵隊の性格上、洋上飛行の頻度が高く、単発では冗長性の問題が指摘されたことから、双発のベル 212の採用が模索されはじめた。これは、ベル 205をベースに、ツインパックエンジンを搭載して双発化した機体であったが、[[カナダ軍]]の運用要求に応じて開発されていたためにカナダ製の[[エンジン]]を搭載していたことが[[アメリカ合衆国下院]]で問題視された。最終的に、[[AH-1 コブラ#形式|AH-1J]]と共通のT400エンジンを搭載することによって購入は認可された。294機のベル 212が発注されて[[1970年]]に引き渡しが開始され、まず[[アメリカ空軍|空軍]]、ついで[[アメリカ海軍|海軍]]・海兵隊に配備された<ref name="Drendel">Drendel, Lou: ''Huey'', pages 14-17. Squadron/Signal Publications, Carrollton, Texas, 1983. ISBN 0-89747-145-8</ref>。[[アメリカ軍]]は、これを'''UH-1N'''として制式化した。

== 第3世代 ==
=== ベル モデル 205B ===
{{See also|ベル ヒューイ#205B / アドバンスト205B}}
[[アメリカ陸軍]]は、UH-1Hの後継として[[UH-60 ブラックホーク]]を採用したことから、UH-1のそれ以上の改良は行なわなかった。しかし、世界的には多数のUH-1が依然として運用されていたことから、メーカー側は独自にモデル 205シリーズをベースにした発展型の開発に着手した。開発は、[[日本]]の[[富士重工業]]と共同で行なわれ、'''モデル 205B-2'''と称された。

富士重工業での生産分は、<span id="UH-1J">'''UH-1J'''</span>として[[陸上自衛隊]]で制式化された。
{{main2|UH-1Jについては[[#日本での展開]]}}

[[File:Iraqi air force UH-1H II Huey helicopter.JPG|thumb|250px|イラク空軍のUH-1HP ヒューイII]]
一方、[[ベル・エアクラフト|ベル]]社での生産分は<span id="UH-1HP">'''UH-1HP ヒューイII'''</span>と称されている。新造機だけでなく、既存機からの改修にも対応しており、延べ2,200時間で改修可能とされている。最初の発注は[[コロンビア空軍]]からのもので、8機のUH-1Hを改修した。[[2003年]]までに、[[ニューヨーク市警察]]などから82機のアップグレード改修を受注したとされている。また、[[2007年]]には[[イラク治安部隊]]からも改修を受注した。
{{-}}

=== ベル モデル 450 ===
{{main|UH-1Y ヴェノム}}
[[File:US Navy 120202-N-VL218-003 Aviation Support Equipment Technician Airman Apprentice Robwil Valderreylabrador secures a UH-1Y Huey helicopter from Ma.jpg|thumb|250px|UH-1Y ヴェノム]]
[[アメリカ海兵隊]]では、UH-1Nをもとに、[[エンジン]]を[[ゼネラル・エレクトリック T700]]の双発配置とし、主ローターを4枚ブレードとするなど、[[AH-1Z ヴァイパー]]とタイアップして開発されたベル 450が'''UH-1Y ヴェノム'''として採用された。今後、順次にUH-1Nを代替していく計画である。
{{-}}

== 日本での展開 ==
=== UH-1B ===
[[File:JGSDF UH-1B.JPG|thumb|250px|UH-1B]]
[[日本]]では[[富士重工業]]が[[1962年]]（[[昭和]]37年）から[[陸上自衛隊]]向けに'''UH-1B'''の[[ライセンス生産]]を行い、[[1972年]]（昭和47年）までに90機を納入した。全機退役済み。
{{-}}

=== UH-1H ===
[[File:JGSDF UH-1H & Type87 mine dispenser 20110109-01.JPG|thumb|250px|UH-1H]]
[[陸上自衛隊]]は[[2013年]]3月末時点でUH-1HとUH-1Jを141機保有している<ref name="hakusyo25">[http://www.mod.go.jp/j/publication/wp/wp2013/pc/2013/datindex.html 平成25年度防衛白書 資料13 主要航空機の保有数・性能諸元]</ref>。[[87式地雷散布装置]]を機外側面に取り付けることができる。[[1972年]]（昭和47年）からは、機体を大型化し[[エンジン]]をT53-K-13Bに強化した'''UH-1H'''の調達に切り替え、[[1991年]]（[[平成]]3年）までに133機を納入、民間型のB204も販売した。

UH-1Hの最終生産8機は[[暗視装置|暗視ゴーグル]]（[[個人暗視眼鏡 JAVN-V6|JAVN-V6]]）対応[[軍用機のコックピット|コックピット]]となり、末期生産の少数はテレビ映像伝送装置または[[FLIR|赤外線監視装置]]が搭載された。
{{-}}

=== UH-1J ===
[[File:JGSDF UH-1J 20120520-01.JPG|thumb|250px|UH-1J]]
平成3年度（[[1991年]]度）予算からは、[[エンジン]]を[[AH-1 コブラ#日本|AH-1S]]と同じT53-K-703に換装し、ワイヤーカッターなどを装備した[[富士重工業]]独自の改良型'''UH-1J'''（平成3年[[防衛白書]]にはHU-1H改、平成4年度防衛白書にはUH-1H改と記載）の調達に切り替え、[[2007年]]（平成19年）までに130機を納入した。

UH-1Jは[[ベル・エアクラフト|ベル]]との共同開発をベースとしているが、80パーセントを国産技術としている。UH-1Jは当初より、一部の機体が[[暗視装置|暗視ゴーグル]]対応[[軍用機のコックピット|コックピット]]で生産され、また、大半の機体は映像伝送装置か[[FLIR|赤外線監視装置]]を搭載している。また、J型の民間版205Bも開発し、販売している。

防衛庁（現 [[防衛省]]）では[[1997年]]（平成9年）からUH-1後継機として、[[三菱重工業]][[ライセンス生産]]の[[UH-60J (航空機)#UH-60JA 多用途ヘリコプター|UH-60JA]]（約37億円）の導入も開始したが、大変高価なためにUH-1J（約12億円）と混用する計画に変更した。
{|class="wikitable" style="text-align:right"
|+UH-1Jの調達数<ref>[http://www.japandefense.com/ JapanDefense.com]</ref><ref>[http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_web/ 防衛白書の検索]</ref>
! 予算計上年度 !! 調達数 !!予算計上年度 !! 調達数 !!予算計上年度 !! 調達数 !!予算計上年度 !! 調達数
|-
|| 平成元年度（1989年） || 12機 || 平成6年度（1994年） || 13機 || 平成11年度（1999年） || 5機 || 平成16年度（2004年） || 2機 
|-
|| 平成2年度（1990年） || 0機 || 平成7年度（1995年） || 13機 || 平成12年度（2000年） || 7機 || 平成17年度（2005年） || 3機
|-
|| 平成3年度（1991年） || 0機 || 平成8年度（1996年） || 7機 || 平成13年度（2001年） || 6機 || 平成18年度（2006年） || 4機
|-
|| 平成4年度（1992年） || 13機 || 平成9年度（1997年） || 3機 || 平成14年度（2002年） || 3機 || 平成19年度（2007年） || 16機
|-
|| 平成5年度（1993年） || 13機 || 平成10年度（1998年） || 4機 || 平成15年度（2003年） || 6機 || 合計 || 130機
|}

=== 後継機 ===
{{see also|OH-1}}
平成22年度に[[防衛省]]は、平成23年度から平成29年度までに、UH-1Jか[[OH-1]]をベースに、UH-1Jと同等以下の価格で、長距離洋上飛行での安全性、速度、航続性能を大幅に高め、高温・高標高領域での超低空飛行が可能な「新多用途ヘリコプター」を国産開発する事を決定した。[[2012年]]3月には、[[川崎重工業]]がOH-1を母体に後継機を開発すること、最終的に約140機を製造し、1機あたりの価格は約10億円になる見通しである事が一部メディアで報じられた<ref>{{Cite news
 | url = http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012030702000026.html
 | title = 東京新聞:多用途ヘリ　川重に決定　防衛省
 | newspaper = 東京新聞
 | date = 2012-3-7
 }}</ref>。そして同月中に川崎重工から同情報が公式発表された<ref>{{Cite news
 | url = http://www.khi.co.jp/news/detail/20120328_2.html
 | title = 新多用途ヘリコプター（UH-X）を受注
 | newspaper = 川崎重工公式サイト
 | date = 2012-3-28
 }}</ref>。
しかし、[[2012年]]9月、防衛省と関連企業は次期多用途ヘリコプターの開発・納入計画を巡る談合が行われていた疑いが強まったとして、東京地検特捜部の家宅捜索を受けたことが判明した。これを受け、[[2013年]][[1月11日]]に、UH-X開発計画の白紙化と川崎重工との契約解除が決定された。

== 主要諸元・能力 ==
{| class="wikitable" style="text-align:center"
! 
! UH-1B
! UH-1D
! UH-1H
! UH-1J
! UH-1HP<ref>{{Cite web|author=[[ベル・ヘリコプター]]|year=2012|month=8|url=http://www.bellhelicopter.com/MungoBlobs/505/1010/HueyII_ProductSpecBook.pdf|title=Bell Huey II - Product Specifications|format=PDF|language=英語|accessdate=2013-08-23}}</ref>
|-
! 全長（[[翼#回転翼|主回転翼]]含む）
| 16.15m
|colspan="2"| 17.39m
| 17.44m
| 17.46m
|-
! 胴体幅
| 2.85m
|colspan="2"| 2.62m
| 2.86m
| 2.65m
|-
! 全高
| 3.77m
| 4.39m
| 4.41m
| 3.97m
| 3.91m
|-
! 主回転翼直径
| 13.41m
|colspan="2"| 14.63m
| 14.69m
| 14.63m
|-
! [[エンジン]]
| [[ライカミング T53|T53]]-L-5×1<br />（960shp;720kW）
| T53-L-11B×1<br />（1,100shp;820kW）
| T53-L-13×1<br />（1,400shp;1044kW）
|colspan="2"| T53-L-703×1<br />（1,800hp;1342kW）
|-
! 最高速度
| 236km/h
| 238km/h
| 230km/h
| 240km/h
| －
|-
! 巡航速度
| 202km/h
| 209km/h
| 204km/h
| 200km/h
| 219km/h
|-
! 上昇率
| 810m/min
| 535m/min
| 487m/min
|colspan="2"| －
|-
! 航続距離
| 418km
| 507km
|colspan="2"|  512km
| 502km
|-
! 上昇限界
| 5,150m
| 5,910m
| 4,145m
| 3,840m
| 6,096m
|-
! 空虚重量
| 2,047kg
| 2,365kg
| 2,255kg
| 2,473kg
| 2,552kg
|-
! 最大離陸重量
| 3,856kg
|colspan="2"| 4,310kg
| 4,772kg
| 5,080kg
|-
! 積載量
| 貨物：1,451kg（3,200lbs）<br />[[兵士|兵員]]：7名
|colspan="3"| 貨物：1,800kg（4,000lbs）<br />兵員：11名
| 貨物：2,268kg<br />（機外搭載時） 
|-
! 乗員
|colspan="5"| 1-4名
|}
[[画像:Bell UH-1 IROQUOIS.png|450px|left]]
{{-}}

== 形式一覧 ==
{{Multiple image|direction=vertical|width=250
|image1=Bell_UH-1A,_UH-1B,_UH-1C_side-view_silhouettes.png
|caption1=UH-1A/B/C
|image2=Bell_UH-1D_and_UH-1H_side-view_silhouettes.png
|caption2=UH-1D/H
|image3=Bell_UH-1E_and_UH-1F_side-view_silhouettes.png
|caption3=UH-1E/F
|image4=Bell_UH-1N_Iroquois_side-view_silhouettes.png
|caption4=UH-1N
|image5=Bell 214 and 214ST side-view silhouettes.png
|caption5=ベル214
}}
; XH-40 
: 社内モデル。ベル 204 原型機。3機製造。
; YH-40 
: 前量産型、6機製造。
; [[#UH-1A|HU-1A]] 
: 社内モデル ベル 204量産型。[[1962年]]にUH-1Aに名称変更。
; [[#UH-1B|HU-1B]] 
: HU-1Aのローターなどの改良型。1962年にUH-1Bに名称変更。
; [[#UH-1C|UH-1C]] 
: UH-1Bの武装ヘリ型として[[エンジン]]を強化した型。
; [[#YUH-1D|YUH-1D]] 
: UH-1Dの前量産型。7機製造。
; [[#UH-1D|UH-1D]] 
: 社内モデル。ベル 205量産型。ベル 204より機内容積を拡大。
; HH-1D 
: UH-1Dの[[捜索救難|SAR]]型。
; [[#UH-1E|UH-1E]] 
: UH-1B/Cの[[アメリカ海兵隊]]向け。
; TH-1E 
: UH-1Eの訓練型。
; [[#UH-1F|UH-1F]] 
: UH-1B/Cの[[アメリカ空軍]]向け。
; [[#UH-1F|TH-1F]] 
: UH-1Fの訓練型。
; UH-1G 
: [[AH-1 コブラ|AH-1G]]との混同防止のために未使用。しかし、一部ではUH-1D/Hの[[ガンシップ]]型を非公式にUH-1Gと呼称。
; [[#UH-1H|UH-1H]] 
: UH-1Dのエンジン強化型。
; CUH-1H
: UH-1Hの[[カナダ軍]]向け。
; EH-1H 
: ELINT任務機。
; [[#HH-1H|HH-1H]] 
: UH-1HのSAR・救急任務機。アメリカ空軍向け。
; JUH-1H 
: 戦場監視任務機。4機改造。
; TH-1H 
: UH-1Hのアメリカ空軍・訓練型。
; [[#UH-1J|UH-1J]] 
: [[日本]]の[[富士重工業]]におけるUH-1Hの改良型。[[陸上自衛隊]]向け。
; [[#ベル モデル 450|UH-1Y]] 
: アメリカ海兵隊向け（UH-1Nアップグレード型）。
; [[#HH-1K|HH-1K]] 
: SAR型。[[アメリカ海軍]]向け。
; [[#UH-1L|UH-1L]] 
: アメリカ海軍向け。
; [[#UH-1L|TH-1L]] 
: UH-1Lの訓練型。
; [[#UH-1M|UH-1M]] 
: UH-1C[[ガンシップ]]型の改良型。
; [[#ベル モデル 212|UH-1N]] 
: 社内モデル。ベル212。エンジンを2基に増備（ツインパック）
; VH-1N 
: [[要人|VIP]]輸送用。
; HH-1N 
: SAR型。
; CUH-1N 
: UN-1Nのカナダ軍向け。
; [[#UH-1P|UH-1P]] 
: UH-1Fのアメリカ空軍、[[特殊作戦]]向け。
; UH-1V 
: アメリカ陸軍の救出作戦向け。
; UH-1X 
: 1機のみ製造。
; RH-2 
: 調査・研究機。
{{-}}

== 使用国 ==
{| border="0" cellpadding="10" cellspacing="0"
|-
|- valign="top"
|
*{{ALB}}
*{{ARG}}
*{{AUS}}
*{{AUT}}
*{{BHR}}
*{{BAN}}
*{{BLZ}}
*{{BOL}}
*{{BIH}}
*{{BRA}}
*{{BRN}}
*{{BIR}}
*{{CAM}}
*{{CAN}}
*{{CHI}}
*{{COL}}
*{{CRC}}
*{{DOM}}
|
*{{ESA}}
*{{ECU}}
*{{ETH}}
*{{GER}}
*{{GRE}}
*{{GEO}}
*{{GUA}}
*{{HON}}
*{{IDN}}
*{{IRN}} 
*{{IRQ}}
*{{ISR}}
*{{JAM}}
*{{JPN}}
*{{JOR}}
*{{KWT}}
*{{LBN}}
|
*{{MKD}}
*{{MEX}}
*{{MAR}}
*{{NLD}}
*{{NZL}}
*{{NOR}}
*{{OMN}}
*{{PAK}}
*{{PAN}}
*{{PAR}}
*{{PNG}}
*{{PER}}
*{{PHI}}
*{{ROC-TW}}
*{{SAU}}
*{{SIN}}
*{{SRB}}
|
*{{SOM}}
*{{KOR}}
*{{ESP}}
*{{SWE}}
*{{TAN}}
*{{THA}}
*{{TUN}}
*{{TUR}}
*{{UGA}}
*{{ARE}}
*{{USA}}
*{{URU}}
*{{VEN}}
*{{VNM}}
*{{YEM}}
*{{ZAM}}
*{{ZIM}}
|}
[[File:UH-1 operators.png|500px|left]]
{{-}}

== 登場作品 ==
{{main|UH-1に関連する作品の一覧}}

== 脚注 ==
<references />

== 関連項目 ==
* [[ヘリコプター]]
* [[AH-1 コブラ]]
* [[UH-60 ブラックホーク]]
* [[CH-47 (航空機)|CH-47 チヌーク]]
* [[87式地雷散布装置]]
* [[陸上自衛隊の装備品一覧]]

== 外部リンク ==
{{commons|UH-1 Huey}}
* [http://www.mod.go.jp/gsdf/ 陸上自衛隊] - [http://www.mod.go.jp/gsdf/equipment/index.html#/detail/3/3_7/ UH-1H] - [http://www.mod.go.jp/gsdf/equipment/index.html#/detail/3/3_8/ UH-1J]

{{アメリカ軍のヘリコプター}}

[[Category:アメリカ合衆国の軍用機]]
[[Category:アメリカ合衆国のヘリコプター]]
[[Category:ベトナム戦争]]
[[Category:陸上自衛隊の装備品]]

{{Link GA|es}}