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U-2 (航空機)
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{{otheruseslist|アメリカ空軍制式の'''U-2'''|ソ連赤色空軍制式の機体|Po-2 (航空機)}} <!-- infobox以外を編集する際はboxの下までスクロールしてください。 --> {{ Infobox 航空機 | 名称=ロッキード U-2 ドラゴンレディ | 画像=Image:Usaf.u2.750pix.jpg | キャプション=飛行中のU-2R/TR-1 | 用途=高高度戦術偵察機 | 分類=[[偵察機]] | 設計者=クラレンス・ジョンソン | 製造者=[[ロッキード]]社 | 運用者 more= **{{USA}}([[アメリカ空軍]]、[[中央情報局|CIA]]、[[アメリカ航空宇宙局|NASA]]) **{{TWN}}([[中華民国空軍|台湾空軍]]) | 初飛行年月日=[[1955年]][[8月1日]] | 生産数=86機 | 生産開始年月日= | 運用開始年月日=[[1957年]] | 退役年月日= | 運用状況=運用中 | ユニットコスト= }} '''ロッキード U-2'''(Lockheed U-2)は[[ロッキード]]社が[[F-104 (戦闘機)|F-104]]をベースに開発したスパイ用の高高度[[偵察機]]。初飛行は[[1955年]]。公式ではないが、'''ドラゴンレディ'''(Dragon Lady)という愛称がある。また、その塗装から「黒いジェット機」の異名もある。 == 概要 == [[中央情報局|CIA]]の資金により開発されたU-2は、[[1955年]](昭和30年)[[8月4日]]、1号機が進空したのに続いて計55機生産され、[[冷戦]]時代から現代に至るまで、[[アメリカ合衆国|アメリカ]]の国防施策にとって貴重な[[情報源]]となった。 当初、空軍は高高度偵察機を各メーカに競争発注する予定だったが、これを察知したロッキード社の開発チーム、[[スカンクワークス]]主任、クラレンス・ケリー・ジョンソンが秘密裏に空軍へF-104を改造した偵察機型を提案し、結果として空軍はこの提案に合致するような要求を各メーカに提示した。当然ながらこうした状況ではロッキード社の案が採用となり、これがU-2となった。当時は、[[ベルエアクラフト|ベル]]社などが[[X-16_(航空機)|X-16]]などを作成していたが、こうした他社の案は全て不採用となった。 U-2は細長い直線翼を備え、高度25,000m(約82,000[[フィート|ft]])もの高高度を飛行し、偵察用の特殊なカメラを積み、[[冷戦]]時代は[[ソビエト連邦|ソ連]]など[[東側諸国|共産圏]]の[[弾道ミサイル]]配備状況をはじめとする機密情報を撮影した。その並外れた高高度性能は、[[要撃機|要撃戦闘機]]による撃墜を避けるため、敵機が上昇し得ない高高度を飛行するためのものだが、後に対空ミサイルの発達により撃墜が可能となった(後述)。 [[ファイル:US Air Force U-2 (2139646280).jpg|thumb|250px|飛行中のU-2]] 当初、U-2はCIAとアメリカ空軍、台湾空軍で使用されていたが、1970年代にCIAと台湾空軍はU-2の運用を取りやめたため現在ではアメリカ空軍のみで運用されている。[[戦闘機]]や[[地対空ミサイル]]の能力が向上した現在、撃墜される危険のある地域を強行偵察することは困難であるが、電子/光学センサー(搭載量約1.36[[トン|t]])の進歩は著しいものがあり、直接敵国上空を飛行しなくとも、かなりの情報収集が可能になっている(敵国の付近を飛ぶだけでも、通常高度500~600kmの[[低軌道]]に位置する[[偵察衛星]]に比べれば遥かに近い距離からの偵察であり、より精度の高い情報収集が可能である)。そのため後継機である[[SR-71 (航空機)|SR-71]]が退役した現在も、湾岸地域や[[ボスニア]]では有力な情報収集手段となっており、現役で活躍中である。アメリカ空軍はコクピット等の[[アビオニクス]]の機能を向上させ、エンジンを[[ゼネラル・エレクトリック F110|F118-GE-101]](推力8390kg)に換装した性能向上型U-2Sへの改修計画を進めている。 なお、U-2のUは汎用機を表す任務記号で、本来偵察機ならばRが使用されるのだが、これはスパイ機という特性上本来の任務を秘匿するためにあえて付けられたものである。ただし高高度の大気観測など、その高空性能を活かして、偵察以外の任務にも幅広く使われている。現在、[[アメリカ航空宇宙局|NASA]]では研究機ER-2として、[[大気]]の測定などに使用している。 {{-}} == 特徴 == [[ファイル:Lockheed ER-2 takes off.jpg|thumb|250px|[[アメリカ航空宇宙局|NASA]]の研究機ER-2の離陸。車輪が胴体だけにあるのがわかる]] [[ファイル:U-2-pilot-suit-up.jpg|thumb|150px|left|U-2と与圧スーツを着たパイロット]] U-2は高度25000m(約82000ft)以上と[[成層圏]]を飛行することができる。[[旅客機]]は通常10000m(約33000ft)程度なので、その2倍以上ということになる。外観は[[誘導抵抗]]を減らすための[[グライダー]]のような[[翼#形状関係|縦横比]]の大きな主翼形状が特徴で、揚抗比(揚力と抗力の比率)は20以上であり、軽量化と非常に小さな[[空気抵抗]]により目的の性能を生み出している。 U-2は軽量化を徹底した末、車輪が胴体前部と後部の2箇所にしかなく、離陸時には翼の両端に地上から離れるときに外れる補助輪をつけ滑走し、着陸時には車がU-2と並走して翼が地面につかないよう指示を出しつつ十分に低速になったところで翼端を地面にすりつけ着陸、その後補助輪を装着され滑走路から移動を行う。また高高度を飛行中の最大速度と当該高度における[[失速]]速度の差はわずか時速18km(約10kt)<ref>空気密度が薄く揚力が発生しにくいため</ref>であり、もっとも操縦の難しい[[軍用機]]とされている。ただし失速して揚力を失っても頭部を下げれば再び揚力を回復し、その事態が即墜落に結びつくわけではない。ただ高度を下げる事になるので、作戦行動中であれば被撃墜リスクは高まる。 またその徹底した軽量化は、同時にU-2の弱点も生み出している。後述の[[U-2撃墜事件]]では、ソ連軍の放った[[S-75 (ミサイル)|S-75]] [[地対空ミサイル]]が付近で爆発した際の爆風で機体が破壊され、墜落した。これは地対空ミサイルの威力が強かったのではなく機体外壁がとても薄く作られていたため、衝撃波に耐えられなかったためである。 またそれを証明するように、高高度から墜落したにも関わらず、機体は、大破と言うよりは潰されたような形で発見された。軽量で大柄な機体のために空気抵抗が大きくなり、落下速度があまり速くならなかったためである。 もうひとつの特徴として、パイロットは高高度を飛行するため、特殊な[[与圧スーツ]]を着用する。それはまた高高度で脱出する際に必要不可欠な装備でもある。このスーツは[[宇宙服]]とほぼ同様で、違いは色と生命維持装置が直接付いているかいないか、及び宇宙空間での推進装置が無いだけであるという(『週刊ワールドエアクラフト』より)。このスーツのヘルメットには数個の穴があり、ヘルメットを脱がずにチューブ入りの食料を摂取できる。また、呼吸と排泄のためのチューブが、外付けの機械と繋がっている。 2009年に[[アポロ11号]]が月面着陸してから40周年を記念した[[英国放送協会|BBC]]の番組「[[:en:James May at the Edge of Space|James May at the Edge of Space]]」で、イギリス人のジャーナリスト[[ジェームズ・メイ]]がアメリカ空軍のU-2に同乗し、高度21,000m(約70,000ft)に到達した際は、コクピット内の計器類や、チューブを使った食事など、飛行中の機内の様子が放送されている。 == 任務 == === キューバ危機 === {{main|キューバ危機}} 冷戦下においてU-2偵察機はソ連や[[中華人民共和国]]、[[キューバ]]などの東側諸国への偵察飛行を行った。[[1962年]][[10月14日]]にはキューバに偵察飛行を行いソ連軍の[[ミサイル]]発射基地の建設を発見したが、27日にはソ連軍の[[地対空ミサイル]]で撃墜され、パイロットは死亡した。 === 黒いジェット機事件 === {{main|黒いジェット機事件}} また、[[中華民国|台湾]]や[[日本]]国内の基地から、中華人民共和国や[[朝鮮民主主義人民共和国|北朝鮮]]への偵察飛行を行ったが、数回にわたり撃墜された。[[1959年]](昭和34年)[[9月24日]]には、日本国内に配備されていたU-2が[[藤沢飛行場]]へ不時着し、「黒いジェット機事件」として問題化した<ref>[http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/033/0512/03312010512014c.html 国籍不明機の日本上空飛行に関する緊急質問] - 第33回国会衆議院本会議会議録</ref>。 === U-2撃墜事件 === {{main|U-2撃墜事件}} [[ファイル:Francis Gary Powers U2 at Moscow.jpg|thumb|250px|撃墜された機体の残骸]] [[1956年]][[6月]]から[[ソビエト連邦|ソ連]]領空を飛んで偵察を行うようになった。U-2は[[ソ連防空軍]]の[[MiG-19 (航空機)|MiG-19P]]などの[[要撃機|迎撃戦闘機]]による迎撃をたびたび受けていたが、[[1950年代]]末に[[Su-9 (航空機)|Su-9]]迎撃戦闘機が配備されるまでは、ソ連にはU-2に有効な攻撃を与え得る高度に達することのできる戦闘機は存在しなかった。その一方、ソ連ではU-2を撃墜するために新型の地対空ミサイルも開発していた。 [[1960年]][[5月1日]]にはソ連領空内にCIA所属のU-2偵察機が[[領空侵犯]]をし偵察飛行をしていたところ、[[S-75 (ミサイル)|S-75]]地対空ミサイルによる迎撃を受け、U-2はついに撃墜された。パイロットの[[フランシス・ゲーリー・パワーズ]]は脱出し無事であったがソ連に[[捕虜]]として捕らえられ公開裁判にかけられた。パワーズはスパイ飛行を認め有罪となるが、その後アメリカで逮捕された[[ソ連国家保安委員会|KGB]]の[[ルドルフ・アベル]][[大佐]]との身柄交換により釈放された。 === 黒猫中隊 === [[1961年]]には、CIAの支援の下で[[中華民国空軍|台湾空軍]]内にU-2を運用する第25中隊、通称「[[黒猫中隊]]」が創設された。黒猫中隊は、[[1959年]]からアメリカ国内で訓練を受けていた台湾空軍のパイロットで編成され、2機のU-2での[[中華人民共和国]]奥地への偵察に従事した。当然、この任務も中国政府が支配している地域への領空侵犯をしながらの危険な任務であり、[[中国人民解放軍空軍|中国空軍]]による迎撃で5機を失い3名のパイロットが戦死、任務中や訓練中の事故で6名のパイロットが殉職した。U-2のほかにRB-57とRF-84も供与された。 黒猫中隊のもたらした情報は、中ソ国境での軍事的緊張を示しており、[[中ソ対立]]が深刻化していることを明らかにした。また中国の核開発の情報をもたらした。[[1972年]]に[[ニクソン大統領の中国訪問]]で米中両国間の国交が樹立され、米中両国間の緊張関係が緩和されると中国への偵察任務は停められ、[[1974年]]に黒猫中隊は解散となった。 === ソビエトのU-2模造機 === 撃墜されたU-2は半径数100kmの範囲に散乱した。それらの破片は数千人のソビエト軍によって拾い集められ、技術情報が収集された。フルシチョフはU-2のコピー機が開発するように命令し1年後には試作機が完成した。しかし重量が重く高高度を飛ぶことができず1962年5月に開発が中止された。 == 各型 == ; U-2A :初期型、単座機。J57-P-37Aジェットエンジン搭載。48機製造。 ; U-2B :複座[[練習機]]型。J57-P-31エンジン搭載、5機製造。 ; U-2C :J57-P-13エンジン搭載。 ; U-2D :複座練習機型。 ; U-2CT :U-2Dの再改良型、6機改修。 ; U-2E :U-2Bの[[空中給油]]対応型。 ; U-2F :U-2Cの空中給油対応型。 ; U-2G :[[航空母艦]]発着用に[[アレスティング・フック]]の追加、降着装置が強化された型。3機改修。 ; U-2R :再改良型、燃料容量などが増大。12機製造。 ; U-2RT :U-2Rの複座練習機型。1機製造。 ; U-2EPX :U-2Rの海洋哨戒型。2機製造。 ; WU-2 :大気・気象観測機型。 ; TR-1A :側方監視[[レーダー]]などを搭載した戦場監視機。[[アビオニクス]]なども更新。33機製造。 ; TR-1B :TR-1Aの複座練習機型。2機製造。 ; ER-2 :NASA用の地球環境調査機。単座。 ; U-2S :TR-1Aの改良型。エンジン、センサー、航法システムなどを更新。31機改修。 ; TU-2S :TR-1Bの改良型。 == 仕様(U-2S)== * 全長:19.13m * 全幅:31.39m * 全高:4.88m * 最高速度:M0.8 * エンジン:[[ゼネラル・エレクトリック|GE]] [[ゼネラル・エレクトリック F110|F118-GE-101]][[ターボファンエンジン]]×1基 * 推力:8600kg * 空虚重量:7250kg * 最大離陸重量:18598kg * 航続距離:7400km * 最高高度:27000m (約89000ft) * 定員:1人 == 脚注 == {{commons|Lockheed U-2}} {{脚注ヘルプ}} {{Reflist}} {{アメリカ軍の固定翼機 (呼称統一以降)}} {{DEFAULTSORT:U-2}} [[Category:アメリカ合衆国の軍用機]] [[Category:偵察機]] [[Category:シギント]] [[Category:冷戦|ゆつ]]
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