TOWのソースを表示

{{Otheruses|ミサイル|その他}}
{{Refimprove|date=May 2008}}
{{Infobox Weapon
|name=BGM-71 TOW
|image=[[Image:Bombeiros de Vigo manipulando un TOW da BRILAT durante unha exhibición.JPG|300px]]
|caption=
|origin={{USA}}
|type=[[対戦車ミサイル]]
<!-- Type selection -->
|is_ranged=yes
|is_missile=yes
<!-- Service history -->
|service=[[1970年]]–現在
|used_by=[[#運用国]]の項目を参照
|wars= 
<!-- Production history -->
|designer=[[ハワード・ヒューズ#ヒュ－ズ・エアクラフト|ヒューズ・エアクラフト]]
|design_date=[[1963年]]–[[1968年]]
|manufacturer=
|unit_cost=
|production_date=
|number=
|variants= 
<!-- General specifications -->
|spec_label=
|weight=
|length=1.16–1.17m（プローブ収納状態）<br/>1.41–1.51m（プローブ展開状態） 
|part_length= 
|width=
|height=
|diameter=0.152m
|crew=
<!-- Ranged weapon specifications --> 
|cartridge= 
|caliber=
|barrels=
|action= 
|rate= 
|velocity= 
|range=
|max_range=
|feed= 
|sights= 
<!-- Explosive specifications --> 
|filling=
|filling_weight=3.9–5.9kg
|detonation=
|yield=
<!-- Vehicle/missile specifications -->
|armour=
|primary_armament=
|secondary_armament=
|engine=
|engine_power=
|pw_ratio=
|transmission=
|payload_capacity=
|suspension=
|clearance=
|wingspan=0.46-m
|propellant=
|fuel_capacity=
|vehicle_range=最大3,750m 
|ceiling=
|altitude=
|boost=
|speed=
|guidance=[[半自動指令照準線一致誘導方式]]（SACLOS） 
|steering=
|accuracy=
|launch_platform=
|transport=
}}
'''TOW'''（トウ）は、[[アメリカ合衆国]]で開発された[[対戦車ミサイル]]。名称は {{en|Tube‐launched, Optically‐tracked, Wire‐guided}}（発射筒で発射され、光学的に追跡され、有線で誘導される）の頭文字に由来する。[[アメリカ軍]]における制式名称は'''BGM-71'''。

[[1970年]]以来、世界で最も多く利用されている対戦車ミサイルである。現用のTOWは、第3世代[[主力戦車]]の[[装甲]]を貫通できるとされている。[[陸上自衛隊]]では、[[1982年]]から[[AH-1 コブラ#日本|AH-1S]]専用に導入されている。

== 概要 ==
[[ファイル:Tow atm.jpg|thumb|200px|left|TOWミサイル]]
[[ミサイル]]はチューブ型[[コンテナ]]に納められており、発射機にチューブごと装着して発射する。この発射機は約7年間整備なしに使用できるとされている。誘導方式は[[半自動指令照準線一致誘導方式]]（SACLOS）であり、ミサイルの出す光と照準中心とのズレを修正する事で誘導する。そのため発射から着弾まで射手が照準中心に目標を捕らえ続ける必要がある。発射後もミサイルと発射機は二本のワイヤーで接続されており、誘導情報はそのワイヤーにより電気的にミサイルへ伝達される。

[[アメリカ陸軍]]のほか、[[陸上自衛隊]]や[[西側諸国]]の多くで使われており、[[歩兵]]による運用のほか、車載型ミサイルや[[攻撃ヘリコプター]]に搭載されて運用される。長年の使用に伴い[[弾頭]]や誘導方式に改良が加えられ、さまざまなバリエーションがある。

しかし、着弾まで誘導し続ける必要があることから、誘導時間中に敵に発見・反撃される危険があり、現在は[[ファイア・アンド・フォーゲット|撃ち放し式]]TOWの導入が課題となっている。

== 歴史 ==
[[Image:1st TOW concept mockup.jpg|thumb|200px|left|レッドストーン兵器廠による、後のTOWとなる将来型HAW（Heavy Antitank Weapon）システムのための最初のコンセプトモックアップ]]
開発は[[ハワード・ヒューズ#ヒューズ・エアクラフト|ヒューズ・エアクラフト]]で[[1963年]]-[[1968年]]にかけて行われ、地上および[[ヘリコプター]]からの射撃性能を持つXBGM-71Aが試作された。1968年に試作品の試験契約が結ばれ、[[1970年]]まで[[アメリカ陸軍]]で運用試験が行われた。

地上発射型は[[M40 106mm無反動砲]]、[[ENTAC (ミサイル)|MGM-32A対戦車ミサイル]]の後継として、ヘリコプター搭載型は[[SS.11 (ミサイル)|AGM-22]][[空対地ミサイル]]の後継装備品として採用された。

[[1972年]]からは[[ベトナム戦争]]に投入され、[[南ベトナム]]側に配備されたTOWは、[[UH-1 (航空機)|UH-1B]]ヘリコプターに搭載され、[[ベトナム人民軍|北ベトナム軍]]によるイースター攻勢と対峙した。TOWは改修を重ね、[[1978年]]にはTOW改、[[1983年]]にTOW 2AおよびBと発展し、現在でも改修は続いている。

[[イラク戦争]]でも[[アメリカ軍]]はTOWを運用している。[[2003年]][[7月22日]]の攻撃でも使用され、この攻撃で[[ウダイ・サッダーム・フセイン|ウダイ・フセイン]]、[[クサイ・サッダーム・フセイン|クサイ・フセイン]]が死亡した。
{{-}}

== 派生型 ==
現在は[[レイセオン]]が[[ハワード・ヒューズ#ヒューズ・エアクラフト|ヒューズ]]から[[ライセンス]]を取得し、生産と開発を行っている。

{| class="wikitable"
!制式名称
!通称
!概要
|-
|XBGM-71A・BGM-71A
|TOW
|ヒューズ製 試作および初期生産型TOW。
|-
|BGM-71B
|TOW
|BGM-71Aからの改良。射程の延長。
|-
|BGM-71C
|ITOW（improved TOW, TOW改）
|BGM-71Bからの改良。炸薬の改良。
|-
|BGM-71D
|TOW 2
|BGM-71Cからの改良。誘導装置とロケットモーターの改良および[[弾頭]]の大型化。
|-
|BGM-71E
|TOW 2A
|BGM-71Dからの改良。[[爆発反応装甲]]に対応した[[成形炸薬弾#タンデム弾頭|タンデム弾頭]]の採用。
|-
|BGM-71F
|TOW 2B
|BGM-71Dからの改良。ホップアップによる上面攻撃性能の付加。
|-
|BGM-71G
|
|BGM-71Fからの派生。[[徹甲弾]]。試作品のみ。
|-
|BGM-71H
|TOW Bunker Buster
|BGM-71Eからの改良。[[地中貫通爆弾|バンカーバスター]]型。
|-
|
|TOW 2N
|ワイヤレス型。
|-
|
|FOTT
|開発計画のみ。
|-
|
|TOW-FF
|開発中。[[ファイア・アンド・フォーゲット|撃ち放し式]]。
|-
|
|TOW 2B Aero
|TOW 2B（BGM-71F）からの改良 射程の延長。旧名：TOW 2B（ER）
|}

ヒューズは、[[1989年]]にワイヤレス型のTOW 2Nを開発したが、[[アメリカ軍]]には採用されなかった。レイセオンはTOWの改良を続けているが、FOTT（{{en|Follow-on to TOW}}, TOW後継装備）計画は[[1998年]]に中止され、TOW-FF（TOW Fire and Forget, 撃ち放し式TOW）計画も[[2001年]]3月に短縮が決定した。2001年-[[2002年]]、レイセオンと[[アメリカ陸軍]]は、TOW 2Bのさらなる長射程化を共同で研究した。これは当初TOW 2B（ER）と呼ばれていた（ER={{en|extended range}}=射程延長）が、現在はTOW 2B Aeroと呼ばれている。これは[[2004年]]から生産されているが、「BGM-○○」といった米軍の制式名称は未だ定められていない。

現用のTOWは撃ち放し式ではなく、半自動の有線指令方式であり第2世代のミサイルに近い。つまり、誘導装置は発射装置に接続されていて、射手は命中まで目標を見続ける必要があるということである。このため、撃ち放し式のTOWや、撃ち放し可能な後継機種の開発が進められている。

[[イラン]]は[[イラン革命|革命]]前の[[パフラヴィー朝]]時代に購入したTOWの[[リバースエンジニアリング]]を行い、コピーにあたる[[トゥーファン (ミサイル)|トゥーファン]]を製造している。

== 運用 ==
TOWは、[[アメリカ軍]]ではBGMに該当する。これは、地上および空中射撃（B）、対地攻撃用（G） 、誘導弾（M）の意味である。「B」は、[[ミサイル]]そのものが無改造で各種の発射機から射撃できるものにのみ付与される。

[[ファイル:Hmmwv-036.jpg|thumb|250px|thumb|ハンヴィー]]
[[M220発射機]]は[[歩兵]]が使用するが、搭載可能な車種も多くあり（[[M151|M151ジープ]]、[[M113装甲兵員輸送車]]、[[ハンヴィー|M966ハンヴィー]]）、この発射機は、設計上は個人携行が可能だが、実際には巨大すぎるとの声がある。[[赤外線センサ]]による夜間射撃性や、軽量化といった改良も加えられている。
{{-}}

[[ファイル:M901-TOW-latrun-3.jpg|thumb|250px|M901 ITV]]
[[M2ブラッドレー歩兵戦闘車|M2/M3ブラッドレー]]、[[ストライカー装甲車|M1134ストライカー装甲車ATGM]]、[[M113装甲兵員輸送車|M901 ITV]]には、各種車両専用の発射機も開発されている。これらの車両は、TUA（TOW Under Armor）と呼ばれることもある。[[カナダ軍]]は、[[1990年代]]の[[ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争|ボスニア紛争]]にこれらの車両を派遣している。
{{-}}

[[ファイル:TOW対戦車ミサイルランチャー.jpg|thumb|250px|TOWミサイル発射機]]
[[ヘリコプター]]の場合、[[AH-1 コブラ]]搭載のM65射撃管制システムが最初であるが、[[UH-1 (航空機)|UH-1ヒューイ]]用のXM26も開発された。[[AH-56 シャイアン]]用のシステムも開発が着手されたものの、後に中止された。AH-1は、最大8発をチューブ型[[ランチャー]]に装填された状態で、胴体中央部左右の[[小翼|スタブウイング]]に搭載する。
{{-}}

[[M41 TOW ITAS]]（{{en|Improved Target Acquisiton System}}、改良型目標捕捉システム）は、M220発射機とハンヴィー専用発射機の後継機である。ITASは現在、[[航空機]]に搭載されるか、[[アメリカ陸軍]]と[[アメリカ海兵隊]]およびその予備軍の歩兵用に運用されている。ITASは、対戦車部隊の攻撃力向上に加えて、混成隊に不可欠な機能を与えている。TOW ITASを装備した対戦車部隊は、脅威度の高い目標を撃破できるのみならず、[[偵察]]・目標捕捉能力を有し後方射界や市街地戦闘能力に優れる。

蛇足だが、練度の低い[[兵士]]がこの[[兵器]]で敵[[戦車]]を撃破したという記録も残っており、それが評価へ影響を与えた一因となっている。

== 運用国 ==
<div style="float: left; vertical-align: top; margin-right: 1em">
;南北アメリカ
* {{USA}}
* {{ARG}}
* {{CAN}}
* {{COL}}
* {{CHL}}
* {{BRA}}
</div>
<div style="float: left; vertical-align: top; margin-right: 1em">
;[[アジア]]
* {{UAE}}
* {{YEM}}
* {{ISR}}
* {{IRN}}
* {{OMN}}
* {{KOR}}
* {{KWT}}
* {{SAU}}
* {{THA}}
* {{ROC-TW}}
* {{TUR}}
* {{JPN}}
* {{PAK}}
* {{VNM}}
* {{JOR}}
* {{LEB}}
</div>
<div style="float: left; vertical-align: top; margin-right: 1em">
;[[ヨーロッパ]]
* {{ALB}}
* {{GBR}}
* {{ITA}}
* {{NLD}}
* {{GRC}}
* {{CHE}}
* {{SWE}}
* {{ESP}}
* {{DEN}}
* {{DEU}}
* {{NOR}}
* {{HUN}}
* {{FIN}}
* {{POL}}
* {{LIT}}
* {{LUX}}
</div>
<div style="float: left; vertical-align: top; margin-right: 1em">
;[[アフリカ]]
* {{EGY}}
* {{ETH}}
* {{KEN}}
* {{SWZ}}
* {{SOM}}
* {{CHA}}
* {{TUN}}
* {{BOT}}
* {{MAR}}
</div>
{{clear}}

== 登場作品 ==
; ゲーム
* 『[[ARMA 2]]』
: [[手動指令照準線一致誘導方式|SACLOS]]誘導方式が再現されており、目標に命中するまで照準を合わせ続ける必要がある。
* 『[[WARHAWK]]』
: [[飛行機]]のみの装備アイテムであり、光学画像誘導と爆破タイミングを決めることが可能。
* 『[[WarRock]]』
: 様々なステージに配置されている他、[[ハンヴィー]]にも搭載されている。
* 『エアロダンシング 4 New Generation』
: [[AH-1 コブラ|AH-1S]][[攻撃ヘリコプター|対戦車ヘリコプター]]に搭載されており、目標に命中するまで標的を画面内に保持し続けることで誘導方式を再現している。
* 『[[コール オブ デューティ ブラックオプス]]』
: [[ジープ]]に搭載されたものを使い、[[ベトナム人民軍|北ベトナム軍]]の[[T-55]]を撃破する任務がある。
* 『[[バトルフィールド バッド カンパニー2]]』
: [[歩兵]]用、[[戦車]]用、戦闘ヘリコプター用の3つが出ており、歩兵用と戦車用は誘導機能が再現されている。
: また、中でも歩兵用はSACLOS誘導方式が再現されており、目標に命中するまで照準をあわせなければならない他、曲がり角を曲がらせるとコードが切れ、[[ミサイル]]が暴走するところまで再現されている。
* 『[[バトルフィールド2]]』
* 『[[バトルフィールド3]]』
* 『[[バトルフィールド4]]』
: 固定式、[[歩兵戦闘車]]用、[[高速戦闘艇]]用、戦闘ヘリコプター用が登場。
* 『[[マーセナリーズ2]]』
: 誘導方式が再現されており、目標に命中するまで照準を合わせ続ける必要がある。しかし、一定の時間がたつと操作不能になる。
* 『[[メタルギアソリッド4]]』
: メタルギア月光に搭載されている。

== 関連項目 ==
* [[レッドストーン兵器廠]]
* [[アメリカ合衆国のミサイル一覧]]
* [[トゥーファン (ミサイル)|トゥーファン]]
* [[79式対舟艇対戦車誘導弾]]

== 外部リンク ==
{{Commons|BGM-71 TOW|BGM-71 TOW}}
* [http://www.fas.org/man/dod-101/sys/land/tow.htm www.fas.org（英語）]
* [http://www.designation-systems.net/dusrm/m-71.html Designation Systems.net（英語）]
* [http://forsvaret.dk/NR/rdonlyres/13334351-0C0C-4B6F-8213-E6E150E0B035/0/TOWskydninghjul.mpg デンマーク軍による射撃]
* [http://www.globalsecurity.org/military/library/policy/army/fm/23-34/index.html アメリカ陸軍野戦教範"Field Manual No. 23-34 TOW WEAPON SYSTEMS"（英語）]

{{DEFAULTSORT:とう}}
[[Category:アメリカ合衆国の対戦車ミサイル]]