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PCI Express
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[[ファイル:PCI-Express-Bus-1-lane.jpg|thumb|250px|マザーボード上のPCI Express x1 スロット]] [[ファイル:PCI-Express-Bus.jpg|thumb|250px|[[マザーボード]]上のPCI Express x16 スロット]] '''PCI Express'''(ピーシーアイエクスプレス)は、[[2002年]]に[[PCI-SIG]]によって策定された、[[入出力|I/O]]シリアルインタフェース([[バス (コンピュータ)|拡張バス]]の一種)である。書籍、文書では'''PCIe'''と表記されることも多い。この表記はPCI-SIG自身もウェブサイト上で使用している。名称が[[PCI-X]]と似ているものの、こちらはパラレルインタフェースであるなど、別の規格である。 == 概要 == [[Peripheral Component Interconnect|PCI]]バス、および[[PCI-X]]バスの欠点を補うべく、[[インテル]]が開発を進めていた3rd. Generation I/O、'''3GIO'''(スリージーアイオー)がその基になっている。 PCI Express 1.1 は 1レーンあたり2.5Gbps(そのうちデータ転送に使われるのは80%)で、送信/受信を分離した[[複信|全二重]]方式を採用し、計5Gbpsの[[転送速度 (コンピュータ)|転送速度]]を持つ。これは従来のPCIバス(32ビット/33MHz)の3倍から4倍に迫る転送速度であり、数字だけを見ればAGP_2xモードの転送速度に迫る。従って、高度な3D描画処理を行わないグラフィックスカードならばx1モードでも充分な転送速度を確保できる。またレーンを複数束ね、さらに低[[レイテンシ]]、高転送速度を可能とする、x2、x4、x8、x16、x32も仕様化されている。<br /> 特にPCI Express x16は、バススロットに用いるコネクタの物理的長さが従来の[[Accelerated Graphics Port|AGP]](や[[Peripheral Component Interconnect|PCI]])のそれに近いことから、AGPに代わる[[ビデオカード]]のインタフェースとして利用されている。この場合の転送速度は8GB/s(2.5Gbps時、送受信それぞれ4GB/s)で、AGP_8xモード比でおよそ4倍弱となる。 またPCI Express x1をベースとした新たな[[PCカード]]の規格である[[ExpressCard]]も策定されて、[[ノートパソコン]]等に採用される場合がある。 == 転送速度 == * 規格'''PCI Express 1.1(Gen1'''([[通称]]、以下同様)''')'''(注:規格1.1には先行して1.0と1.0aというバージョンがあった)では、伝送路1[[レーン]]あたりの物理レイヤの帯域は片方向2.5Gbpsで双方向では5.0Gbpsであるが、実効データ8ビットを送るのに物理レイヤ上で2ビットの同期制御ビットを加える[[8b/10b]]エンコード方式を用いているため、実効データ転送速度は片方向250Mbyte/secで双方向500Mbyte/secになる。ポートは1レーン、2レーン、4レーン、8レーン、12レーン、16レーン、32レーンなどとあり、x1、x2、x4、x8、x12、x16、x32などと表す。伝送路である[[レーン]]を束ねることでポートのデータ転送速度を向上させることができる。16レーンを束ねたPCI-E 1.1 x16の通信ポートであれば、ポートの実効データ転送速度は片方向4Gbytes/sec、双方向では8Gbyte/secになる。 * 規格'''PCI Express 2.0 (Gen2)''' では速度をPCI Express 1.1の2倍に引き上げたので、1レーンあたりの物理帯域は片方向5.0Gbpsで実効データ転送速度は片方向500Mbyte/secで双方向1Gbyte/secとなった。 * 規格'''PCI Express 3.0 (Gen3)''' ([[2010年]][[11月18日]]にPCI-SIGが制定)では当初は1レーンあたりの物理帯域10Gbpsを目標にしていたが、技術的困難が予想されたので8Gbpsに改め、その代わりにエンコード方式を[[128b/130b]]に変更して転送効率を向上させた<ref>[http://journal.mycom.co.jp/news/2010/11/22/041/ PCI-SIG、PCI Express base specification 3.0完成をアナウンス]</ref>(但しPCI Express 3.0ではそれまでの1.1や2.0の機器とも接続互換性があるように規格が作られている)。その結果実効データ転送速度を当初の目標としていたPCI Express 2.0 の約2倍にすることができ、1レーンあたりの実効データ転送速度は片方向1.0Gbyte/secで双方向2.0Gbyte/secとなった。PCI Express 3.0の場合にポートは規格上最大32レーンまで束ねられるので、1ポートの最大の実効データ転送レートは片方向32Gbyte/sec、双方向64Gbyte/secである。エンコードの変更による分かりにくさを回避するため、PCI Express 3.0以降では[[#物理レイヤ]]の帯域をGbps([[ギガビット毎秒]])ではなくGT/s([[ギガトランスファ毎秒]])で表記することが多くなった。 * (現在制定が進行中の)規格'''PCI Express 4.0 (Gen4)''' では、さらに1レーンあたりの物理帯域をPCI Express 3.0 (Gen3) の2倍に引き上げて片方向16GT/sとする予定である。 {| class="wikitable" style="text-align:right" |+ リンク幅毎のデータリンク層転送帯域(双方向/一方向あたり)(GB/sec) ! !! リンク幅 x1 !! x2 !! x4 !! x8 !! x12 !! x16 !! x32 !! x64 |- ! 通称 Gen1 | 0.5/0.25 || 1.0/0.5 || 2.0/1.0 || 4.0/2.0 || 6.0/3.0 || 8.0/4.0 || 16.0/8.0 ||規格にない |- ! Gen2 | 1.0/0.5 || 2.0/1.0 || 4.0/2.0 || 8.0/4.0 || 12.0/6.0 || 16.0/8.0 || 32.0/16.0 || 規格にない |- ! Gen3 | 2.0/1.0 || 4.0/2.0 || 8.0/4.0 || 16.0/8.0 || 24.0/12.0 || 32.0/16.0 || 64.0/32.0 || 規格にない |- ! Gen4 | 4.0/2.0 || 8.0/4.0 || 16.0/8.0 || 32.0/16.0 || 48.0/24.0 || 64.0/32.0 || 128.0/64.0 || 256.0/128.0 |} {| class="wikitable" style="text-align:right" |+ リンク幅毎の物理層転送帯域(双方向/一方向あたり)(GT/sec) ! !! リンク幅 x1 !! x2 !! x4 !! x8 !! x12 !! x16 !! x32 !! x64 |- ! 通称 Gen1 | 5.0/2.5 || 10/5.0 || 20/10 || 40/20 || 60/30 || 80/40 || 160/80 || 規格にない |- ! Gen2 | 10/5 || 20/10 || 40/20 || 80/40 || 120/60 || 160/80 || 320/160 || 規格にない |- ! Gen3 | 16/8 || 32/16 || 64/32 || 128/64 || 192/96 || 256/128 || 512/256 || 規格にない |- ! Gen4 | 32/16 || 64/32 || 128/64 || 256/128 || 384/192 || 512/256 || 1024/512 || 2048/1024 |} == 開発から普及までの経緯 == === パラレル・インタフェースの問題点 === PCIバスのようなパラレルインタフェースにおいて、データ転送速度を上げる方法には大まかに以下の2通りの方法がある。 # バス幅を広くする(データ線の増加) # 単位時間あたりの転送回数を増やす(高クロック化) PCIバスはこれにならい、当初の32ビット/33MHz(133MB/秒)から64ビット/66MHz(533MB/秒)までデータ転送速度が引き上げられた。さらに(同じくパラレル・インタフェースである)PCI-Xバスでは、バスクロックのDDR/QDR化も含め64ビット/1066MHz相当(7.95GB/秒)まで仕様化されている。 しかし、上記2手法の高速化にはおのずと限界がある。バス幅を広くすることはデータ線の増加につながり、それは[[集積回路|LSI]]のピン増加となり直接にコストに跳ね返る。またクロックの高速化は、データとクロックのタイミングを合わせる必要性から、LSIとボードについて非常に高度かつ精密な設計技術と製造技術が要求され、同様にコストに跳ね返る。事実、PCI-Xは非常にシビアな設計が要求され、パーソナルコンピュータ向け製品として商品化するにはコストの問題からも無理があり、パーソナルコンピュータの分野まで普及する事ができなかった。 これまでは、それなりのコストがかかってもそれに見合うだけの性能向上が見込めた。しかし、この頃はある種の壁にさしかかっており、顧客を納得させるに足るパフォーマンスを望めば、それにかかるコストが甚大な物になることが予想された。折りしもインテルはメインメモリインターフェイスのシリアル化を主張したばかりの頃だった。 === PCIバスの限界 === PCIバス登場当初から一貫してパーソナルコンピュータ市場で広く普及しているPCIバスのモードは32ビット33MHz(=133Mバイト/秒)だった。バスの伝送帯域を消費していたのは主に3Dグラフィックスカードであり、こちらはAGPによって事実上隔離されていたため、PCIバスそのものはまだまだ安泰であった。しかしながら([[チップセット]]内部ないしはブリッジチップにて)PCIバスに接続されるハードディスクのインタフェースとして広く知られる[[Advanced Technology Attachment|IDE]]が、サポートする転送速度を次第に引き上げ、[[2000年]]には66Mバイト/秒をサポートし、[[2002年]]には100Mバイト/秒の転送速度をサポートするに至った。それでもハードディスクそのものの転送速度は単体では追いついていなかったが、この頃を境にパーソナル市場においても自作ユーザを中心に[[RAID]]が流行、さらには高性能なビデオ編集用カードの普及も進み、PCIバスに接続される[[イーサネット#ギガビット・イーサネット|ギガビットLAN]]である[[イーサネット#1000BASE-T|1000BASE-T]](1000Mbps=約125Mバイト/秒)も登場、[[ハイエンド]]ユーザの志向がPCIバスの転送速度上限に到達するのは時間の問題となっていた。 === シリアル・インタフェースの台頭 === 1本の信号線と付随するもう1本の基準線(アース線)でデータ伝送を行うシリアル・インタフェースは古くから存在し、かつてほとんどのPCに搭載されていた[[RS-232|RS-232C]]が有名である。しかし、[[パリティビット]]による簡易な[[誤り検出訂正]]しか物理層に組み込めないことなどから、誤りがより多く発生するであろう高速なデータ転送には使いづらいという事情があり、しばらく表舞台に現れることはなかった。 ところが、[[IBM]]がパラレル・データにクロックを埋め込んでシリアル・データ化するという[[8b/10b]]技術を開発したことにより、シリアル転送が急速に注目を集めはじめた。さらに[[イーサネット]]でこの方式が採用され、普及が広まると8b/10b機能を搭載した[[SERDES]]チップのコストも急激に低下し、さらに[[ファイバーチャネル]]やギガビットイーサネット (GbE) の登場により転送速度も急激に高速化された。 === PCI Expressの登場 === I/Oインタフェースの転送速度不足解消のために次世代のインタフェースを模索していたインテルは、NGIO (Next Generation I/O) というシリアル・インタフェースの開発を開始した。一方、同時期に[[ヒューレット・パッカード]]やIBMも、PCIバスに代わるI/OインタフェースとしてFuture I/Oと呼ばれるシリアル・インタフェースを開発していた。 両者は後に統合され、[[InfiniBand]]と呼ばれるI/Oインタフェースとなるのだが、InfiniBandには決定的な欠陥があった。あまりにも先進的かつ理想的なI/Oインタフェースを目指したため、[[ソフトウェア]]レベルでPCIバスと全く[[互換性]]がなかったことである。このため、[[マイクロソフト]]などもサポートに消極的であり、現在ではスーパーコンピュータのノード間接続のような低遅延・高[[スループット]]を要求される限られた分野でのみ利用されている。 インテルはこの失敗を教訓とし、3GIO (Third Generation I/O) の開発を開始した。ソフトウェア・レベルでPCIバス完全互換とし、正統なPCIバスの後継者とすべく、'''PCI Express'''と名を変え、PCI-SIGでの仕様化が行われた。 === ソフトウェアの対応 === PCI Expressは従来のPCIバスが動作できる[[オペレーティングシステム]] (OS) であれば特に新しくサポートしなくても動作することは可能である。ただし、動作可能であることと機能をフルに使うことは別の問題であり、Windowsの場合では[[Microsoft Windows Vista|Vista]]から正式にPCI Expressに対応した。 === 普及 === [[ファイル:PCI-Express-graphics-board.jpg|thumb|250px|PCI Express x16 のビデオカード]] パーソナルコンピュータ向けマザーボードへの実装は比較的早くに行われた。主に搭載されるのはx16とx1である。転送速度が何よりも要求される3Dグラフィックスカードでは特に歓迎され、[[2005年]]頃にはAGPからの置き換えがほぼ完了し、2012年<!--記述時点の2013年は未完なので前年を記しておく-->現在では3Dグラフィックスカードのシェアの大半を獲得するまでに成長している(一方、かつての主力であったAGP用のグラフィックスカードは、旧来のシステムのグラフィックス機能のみの更新を希望する消費者への、いわば救済措置的に販売される程度のシェアとなっている)。 マザーボード市場においてもAGPスロットを持つ製品はほぼ完全に姿を消した。汎用バスとして見ると[[2009年]]現在、従来のPCIスロットを全廃したマザーボードもある。[[サーバ]]向けマザーボードでは依然としてPCI(64ビット)またはPCI-Xを実装したものも多い。 ATAカードをはじめとしたインタフェースカード類は比較的早くから PCI Express (x1) に移行しており、ビデオキャプチャ、テレビチューナ、サウンドカードといったマルチメディア関連においても近年発売されるカードは大半がPCI Express である。モデルチェンジを行わず販売を継続しているPCI製品も市場にはまだ残っているが、旧来のシステムのアップグレードパスとしての意味合いが強い。それでも2012年現在のATXマザーボードの拡張スロットはPCI Express x16、x1、PCIの3種類を採用したものが多が、これはPCIの需要よりもチップセット側のPCI Express の総帯域の制限によるものの方が多い。 <!--どちらにせよ、転送速度の要求が緩い製品ほど移行は遅い傾向にある。現にISA→PCI移行期でもFAXモデムやサウンドカード(サウンドブラスター)が最もしぶとく残っていた。--> いわゆるオンボードデバイスにおいては、従来PCIバスを用いて接続していた物を完全にPCI Express接続に置き換えたマザーボードが大半である。 IntelにおいてはP67以降のメインストリーム向けチップセットからPCIのサポートを打ち切っており、別途ブリッジチップを用いてPCI Express 経由で接続している形となる。 2012年後半からPCI Express 3.0([[通称]] GEN3)の仕様に対応したマザーボードやビデオカードが発売され始めた。 == 仕様 == '''PCI Express'''のデータ転送方式はPCIバスのハンドシェークとは異なり、ネットワークでのパケット送受信で行われる。このため、PCI Expressのアーキテクチャは、レイヤ構造をしている。レイヤ構造は、トランザクション・レイヤ、データリンク・レイヤ、物理レイヤの3層構造となっている。 送信を例に取ると、CPUや他デバイスから発行されたリクエストは、トランザクション・レイヤで上位のソフトウェア層に対してPCIと互換性能ある機能を提供するパケットを付加され、データリンク・レイヤに渡される。データリンク・レイヤーは、接続されている相手側デバイス間との送受信の制御を担っており、パケットにシーケンス番号、[[巡回冗長検査|CRC]]をパケットを付加して物理レイヤに渡す。物理レイヤはシリアル転送を受け持つ部分で、Gen1, 2では8b/10b変換、Gen3では128b/130b変換などを行い、[[SerDes|SERDES]]によりパケットがシリアル・データとして送られる。 また、[[トポロジ]]は、従来のPCIのマルチ・ドロップ型ではなく、[[ポイント・ツー・ポイント]]接続である。そのため、ポートを拡張するためにはスイッチが必要になる。 === トランザクション・レイヤ === トランザクション・レイヤは主にトランザクション・レイヤ・パケット (Transaction Layer Packet:TLP) の生成と復号を担う。TLPはリードやライトといったコマンドやアドレス、データなどから成る。また、トランザクション・レイヤは接続相手とのフロー制御も行う。PCI Expressの[[フロー制御]]はクレジット・ベースで行われ、これは予め自分が受信することの出来る[[バッファ]]のサイズを相手に通知しておき、バッファに空きが出来るたびにその旨を伝える方式である。送信側は自身が送信したパケットのサイズを積算していき、また送信相手からバッファの空きが伝えられるとその分を減算する。これにより送信相手のバッファ・サイズを超えることなく、パケットの転送が可能となる。 トランザクション・レイヤはまた、パケットを任意のサイズに分割する機能を有する。例えば、PCI Expressの場合、一つのTLPで最大4Kバイトのメモリ・リードを発行することが可能である。しかし実際にメモリから一度に4Kバイトを読むことは出来ない。それはCPUの[[キャッシュメモリ]]サイズに依存するからである。全てのメモリ・リードは[[キャッシュメモリ#キャッシュコヒーレンシ (Cache Coherency)|キャッシュ・コヒーレンシ]]維持のため、CPUに対しキャッシュに最新データの有無を問い合わせる。例えばインテル系の32ビットCPUはキャッシュ・ライン・サイズは64バイトであるため、4Kバイトのメモリ・リードは全て64バイトの64個のメモリ・リードに分割される必要がある。 このように、トランザクション・レイヤは自デバイス内で都合の良いようにパケットを分割する。また、データを返す場合は、もとの要求サイズで返す必要はなく、分割したまま返信することも可能である(但し返す順序は入れ換えられない)。 トランザクション・レイヤは以下の4個のアドレス空間をサポートする。 # Memory 空間 # I/O 空間 # Configuration 空間 # Message 空間 前者3空間はPCIバス互換の空間である。Message空間は、従来サイドバンド信号で通知を行っていたもので、割り込み、電源制御などの通知に使用される。 === データリンク・レイヤ === データリンク・レイヤは、トランザクション・レイヤと物理レイヤの中間に位置し、主にPCI Expressリンクの管理、エラー検出と訂正を担う。 送信側データリンク・レイヤは、トランザクション・レイヤから渡されたTLPをバイナリ値とし、データを保護するためのCRCを算出し、さらにTLPの授受を確認するためのシーケンス・ナンバを、TLPに付加して物理レイヤに渡す。 受信側ではCRCによるデータ化けチェックと、シーケンス・ナンバによるパケット欠落チェックを行う。 受信側でエラーを見つけた場合、送信側に再送を促すためにNAK (Not Acknowledge) パケットをエラー検出したTLPのシーケンス・ナンバと共に送信側に返す。正常にTLPを受信した場合は、同様にACK (Acknowledge) パケットを返す。 エラーによるパケットの再送機能もデータリンク・レイヤが受け持っており、NAKを受信した場合そのシーケンス・ナンバから全て送信し直すことになる。このため、一般的にデータリンク・レイヤ内には再送バッファが実装される。 データリンク・レイヤはTLPの送受信の他にも、DLLP (Data Link Layer Packet) と呼ばれる、データリンク・レイヤ同士でのみ情報の交換を行うパケットの送受信も行う。ACK、NACKパケットや、フロー制御に使用するバッファ・サイズ通知などもDLLPが使用される。 === 物理レイヤ === 物理レイヤは入出力バッファの制御回路、シリアル-パラレル/パラレル-シリアル変換回路、[[位相同期回路|PLL]]、[[インピーダンス]]調整回路などから成る。 PCI Express 1.1での物理メディアは、2線、800mV[[平衡接続|差動]]で400ps単位でデータのドライブが行われる。送信、受信専用の信号を必要とする全二重方式であることから、x1の場合、実際には4本の信号が使用される。 PCI Express 1.1までは2.5GTpsでのデータ転送を行っているが、PCI Express 2.0では5.0GTpsで転送が行われている。さらに、PCI Expressをケーブルで接続するための仕様検討も行われている。 このように、物理レイヤは将来的により高速なメディアに置き換えられていくレイヤであり、このため物理レイヤとデータリンク・レイヤ間のインタフェースは特に規定されておらず各ベンダの実装依存となっている。 === 物理形状 === 拡張カードの形状として[[ロープロファイルPCI]]に準じた薄いケースに収めることが可能な製品が出てき始めている。しかしこのカードの「規格」としては単にPCI Expressカードとしか表記なく外形は規定されていない。しかし[[XTバス]]以来のブラケット形状をPCIが継承しその拡張としてロープロファイルPCIが存在したことに倣い、PCI Expressでも採用された外寸形状と言える。 === ピンアサイン === {|class=wikitable style="text-align:center;" |+ PCI express x4のピンアサイン ! ピン !! Bサイド !! Aサイド !! コメント |- ! 1 |style="background:silver"| +12V || style="background:#9f9"| PRSNT1# ||align="left"| カードが挿入されるとlowにプルダウンされる |- ! 2 |style="background:silver"| +12V ||style="background:silver"| +12V ||rowspan=3| |- ! 3 |style="background:#ff9"| Reserved ||style="background:silver"| +12V |- ! 4 |style="background:#999"| Ground ||style="background:#999"| Ground |- ! 5 |style="background:#fc6"| SMCLK ||style="background:#99f"| TCK ||rowspan=5 align="left"| [[SMBus]]と[[JTAG]]のピン |- ! 6 |style="background:#fc6"| SMDAT ||style="background:#99f"| TDI |- ! 7 |style="background:#999"| Ground ||style="background:#f9f"| TDO |- ! 8 |style="background:silver"| +3.3V ||style="background:#99f"| TMS |- ! 9 |style="background:#99f"| TRST# ||style="background:silver"| +3.3V |- ! 10 |style="background:silver"| +3.3Vaux ||style="background:silver"| +3.3V ||align="left"| [[スタンバイ]]電源 |- ! 11 |style="background:#f9f"| WAKE# ||style="background:#99f"| PWRGD ||align="left"| リンク再起動、パワーグッド |- !colspan=4| ノッチ |- ! 12 |style="background:#ff9"| Reserved ||style="background:#999"| Ground || |- ! 13 |style="background:#999"| Ground ||style="background:#99f"| REFCLK+ ||align="left"| 基準クロック差動対 |- ! 14 |style="background:#f9f"| HSOp (0) ||style="background:#99f"| REFCLK- ||rowspan=2 align="left"| レーン0送信データ, + and − |- ! 15 |style="background:#f9f"| HSOn (0) ||style="background:#999"| Ground |- ! 16 |style="background:#999"| Ground ||style="background:#99f"| HSIp (0) ||rowspan=2 align="left"| レーン0受信データ, + and − |- ! 17 |style="background:#9f9"| PRSNT2# ||style="background:#99f"| HSIn (0) |- ! 18 |style="background:#999"| Ground ||style="background:#999"| Ground || |- |colspan=4| |- ! 19 |style="background:#f9f"| HSOp (1) ||style="background:#ff9"| Reserved ||rowspan=2 align="left"| レーン1送信データ, + and − |- ! 20 |style="background:#f9f"| HSOn (1) ||style="background:#999"| Ground |- ! 21 |style="background:#999"| Ground ||style="background:#99f"| HSIp (1) ||rowspan=2 align="left"| レーン1受信データ, + and − |- ! 22 |style="background:#999"| Ground ||style="background:#99f"| HSIn (1) |- ! 23 |style="background:#f9f"| HSOp (2) ||style="background:#999"| Ground ||rowspan=2 align="left"| レーン2送信データ, + and − |- ! 24 |style="background:#f9f"| HSOn (2) ||style="background:#999"| Ground |- ! 25 |style="background:#999"| Ground ||style="background:#99f"| HSIp (2) ||rowspan=2 align="left"| レーン2受信データ, + and − |- ! 26 |style="background:#999"| Ground ||style="background:#99f"| HSIn (2) |- ! 27 |style="background:#f9f"| HSOp (3) ||style="background:#999"| Ground ||rowspan=2 align="left"| レーン3送信データ, + and − |- ! 28 |style="background:#f9f"| HSOn (3) ||style="background:#999"| Ground |- ! 29 |style="background:#999"| Ground ||style="background:#99f"| HSIp (3) ||rowspan=2 align="left"| レーン3受信データ, + and − |- ! 30 |style="background:#999"| Ground ||style="background:#99f"| HSIn (3) |- ! 31 |style="background:#9f9"| PRSNT2# ||style="background:#999"| Ground ||rowspan=2| |- ! 32 |style="background:#999"| Ground ||style="background:#ff9"| Reserved |} x1のスロットは18番ピンまでで終わり、x8やx16はこれをさらに伸ばしたものになる。 {|class=wikitable |+Legend !style="background:#999"| グランドピン | 0V基準 |- !style="background:silver"| 電源ピン | PCIeカードに電力を供給する |- !style="background:#f9f"| 出力ピン | カードからマザーボードへの信号 |- !style="background:#99f"| 入力ピン | マザーボードからカードへの信号 |- !style="background:#fc6"| [[オープンドレイン]] | 複数のカードによってプルダウンされ、かつ(または)感知される |- !style="background:#9f9"| センスピン | マザーボードによってプルアップされ、カードによってプルダウンされる |- !style="background:#ff9"| 予約 | 現在使用されておらず、接続してはならない |} === 電力供給 === {|class=wikitable style="text-align:center;" |+スロットからの最大供給電力<ref>PCI Express Card Electromechanical Specification 1.1</ref> ! スロット形状 !! x1 !! x4/x8 !! x16 |- !フルハイト | 10W/25W(High Power) || 25W || 25W/75W(グラフィックカード) |- !ロープロファイル | 10W || 25W || 25W |} スロットからの最大供給電力を超えるカードについては、下記のとおり[[ATX電源#ATX電源の種類|ATX12V Ver2.x]]の補助電源プラグ経由で超過分を供給する。 * 6ピン1本:最大75W(スロットからの供給と併せて最大150W)<ref>PCI Express x16 Graphics 150W-ATX Specification Revision 1.0(2004年10月25日)</ref> * 6ピン2本:最大150W(スロットからの供給と併せて最大225W)<ref>PCI Express 225/300 Watt High Power CEM Spec 1.0(2008年3月27日)</ref> * 6ピン1本、8ピン1本:最大225W(スロットからの供給と併せて最大300W)<ref>PCI Express 225/300 Watt High Power CEM Spec 1.0(2008年3月27日)</ref> == 欠点 == === 相互接続性の問題 === PCIバスでは、32ビットバスのデバイス/スロットと64ビットバスのデバイス/スロットの全ての組み合わせにおいて動作する事が保証されていた。しかしPCI Expressでは、例えばx16仕様のカードをx8仕様のスロットに差し込む事が物理的にできない<ref>端子レイアウト的には、x16仕様のカードをx8スロットに差し込んで使用可能だが、規格上物理層は実装依存のため、動作保証外である(カード側でサポートされていれば8xとして動作する)。[[エッジ・コネクタ]]の物理的切断・コネクタの一部を削り取るという乱暴な手段を講じなければならない。</ref>。 マザーボードによっては、x1/x4/x8コネクタのエッジに初めから切り欠きが設けられていてx16仕様のカードを挿入可能な製品もあるが(「エッジフリー」と呼ばれる)、カードの端子の物理的保護や上記の他の問題に関してはそのまま残ると思われる(例:Intel DX58S0)。 この問題に対する解決策の一つとして[[アップル インコーポレイテッド|アップルコンピュータ]]の[[Mac Pro]]や[[インテル チップセット#Intel 3 Series|Intel 3シリーズ]]以降及び[[アドバンスト・マイクロ・デバイセズ#チップセット|AMD 7シリーズ]]のマルチGPU対応チップセット搭載マザーボードが採用した実装があげられる(後述の[[#利点|利点]]を参照)。 == 利点 == PCI Expressの利点の一つとしてレーン数のフレキシビリティが挙げられる。即ち、カードエッジコネクタがx16形状でもx1モードで(規格上は)動作可能であり、またスロット形状がx16用だからといってx16配線である必要は無く、上記の相互接続の問題はあれ、上位の(すなわち長い)スロットに下位の(すなわち短い)カードエッジコネクタを挿す事は容易である。さらにはBIOS上もしくはOS上からチップセットのサポートレーン数を上限にユーザーが任意に振り分け出来るように設計することも可能である。 例:合計レーン数の上限を26としx16用の物理スロットが4つあったらば、それに対し * x8 x1 x1 x16(余り0) * x4 x4 x1 x16(余り1) * x8 x1 x8 x8(余り1) * x4 x4 x8 x8(余り2) などといった複数の振り分け方を選択できるようにすることも可能である。尚、余剰レーンが出てもそれが未使用になること以上の不利益は無い。また、x16モードで動作するはずのスロットにx1専用カードを挿しても問題なく動作するようになっている。 つまり、スロット[[コネクタ]]の規格(具体的には物理寸法)は、単にそのスロットに割り振ることが可能な(規格上の)レーン数上限を示すのみである。このことから、マザーボード設計者は使用するチップセットのサポートレーン数の範囲内で、自由にスロット本数とそれらスロットに与えるレーン数を設計することが可能である。 == 脚注 == {{Reflist}} == 関連項目 == * [[Accelerated Graphics Port]] (AGP) * [[Peripheral Component Interconnect]] (PCI) * [[HyperTransport]] * [[Thunderbolt]] == 外部リンク == * [http://www.pcisig.com/home PCI Special Interest Group] * [http://www.pcisig.com/specifications/pciexpress/ PCI Special Interest Group - PCI Express] {{コンピュータバス}} [[Category:コンピュータバス規格]]
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