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{{基礎情報 会社 |社名 = ネクスト・ソフトウェア |英文社名 = Next Software, Inc. |画像 = [[ファイル:Entrance view of NeXT Computer Inc..jpg|250px|NeXT社エントランス]] |種類 = 未公開会社 |特記事項 = 1996年、[[アップル インコーポレイテッド|アップル]]が買収 |設立 = 1985年 |国籍 = {{USA}} |本社所在地 = [[カリフォルニア州]][[レッドウッドシティ (カリフォルニア州)|レッドウッドシティ]] |業種 = 情報・通信業(元は電気機器) |関係する人物 = [[スティーブ・ジョブズ]](会長、CEO)<br />[[ロス・ペロー]](取締役)<br />John Patrick Crecine(取締役)<br />[[ジョン・ルビンスタイン]](ハードウェア技術系[[ヴァイスプレジデント|VP]])<br />[[バッド・トリブル]](ソフトウェア技術系[[ヴァイスプレジデント|VP]])<br />[[アビー・テバニアン]](ソフトウェア技術系[[ヴァイスプレジデント|VP]])<br />[[バートランド・サーレイ]](ソフトウェア技術者)<br />[[スコット・フォーストール]](ソフトウェア技術者)<br />Mitchell Mandich(営業系[[ヴァイスプレジデント|VP]]) |事業内容 = コンピュータの製造販売([[NeXTcube]]、[[NeXTstation]])、ソフトウェアの開発販売([[OPENSTEP]]、[[WebObjects]]) |従業員数 = 540 (1992)<ref name=employees>{{cite news | title=NeXT Inc. to Drop Hardware 300 losing jobs in strategy shift | date=February 9, 1993 | work=[[サンフランシスコ・クロニクル|The San Francisco Chronicle]]}}</ref> }} '''NeXT'''(正式名称は、'''NeXT, Inc.'''、'''Next Computer, Inc.'''、'''Next Software, Inc.''' と変遷)は、[[アメリカ合衆国]][[カリフォルニア州]][[レッドウッドシティ (カリフォルニア州)|レッドウッドシティ]]を本拠地とした[[コンピュータ]]企業で、[[高等教育]]やビジネス市場向けの[[ワークステーション]]を開発製造していた。[[アップル インコーポレイテッド|アップル]]の創業者の1人[[スティーブ・ジョブズ]]がアップルを辞め、[[1985年]]に創業。最初の製品[[NeXTcube]]を1988年に発売し、小型化した[[NeXTstation]]は[[1990年]]に発売。売り上げはそれほど大きくはなく、全部で5万台ほどを販売したと見積もられている。とはいうものの、その革新的な[[オブジェクト指向]]型[[オペレーティングシステム]][[NEXTSTEP|NeXTSTEP]]と開発環境は多大な影響を及ぼした。 NEXTSTEPの主要な[[アプリケーションプログラミングインタフェース|API]]は、後に[[OPENSTEP]]として標準化された。NeXTは1993年にハードウェア事業から撤退し、いくつかの[[OEM]]へのOPENSTEP仕様販売と自社製の実装の販売に注力するようになった。NeXTはまた、世界初の企業向け[[Webアプリケーションフレームワーク]] [[WebObjects]] の開発でも知られている。WebObjects は5万ドルと高価だったために広く普及することはなかったが、Webページの動的生成に基づいた初期のWebサーバとして特筆すべき例であった。アップルは1996年12月20日、4億2900万ドルでNeXTを買収し<ref name="apple-acquisition">{{cite press release|title=Apple Computer, Inc. Agrees to Acquire NeXT Software Inc.|url= http://product.info.apple.com/pr/press.releases/1997/q1/961220.pr.rel.next.html| archiveurl= http://web.archive.org/web/20020208190346/http://product.info.apple.com/pr/press.releases/1997/q1/961220.pr.rel.next.html|archivedate=2002-02-08|publisher=Apple Computer|date=1996-12-20|accessdate=2008-06-13}}</ref>、現行の [[OS X|Mac OS X]] の大部分はNeXTSTEPを基盤として開発された<ref>{{cite press release|title=Apple Computer, Inc. Finalizes Acquisition of NeXT Software Inc.|url= http://product.info.apple.com/pr/press.releases/1997/q2/970207.pr.rel.next.html| archiveurl= http://web.archive.org/web/19990117075346/http://product.info.apple.com/pr/press.releases/1997/q2/970207.pr.rel.next.html|archivedate=1999-01-17|publisher=Apple Computer|date=1997-02-07|accessdate=2008-06-13 }}</ref>。WebObjectsは、かつて[[OS X Server|Mac OS X Server]]および[[Xcode]]の付属ソフトであった。 == 歴史 == === 1985年–1986年: NeXT創業 === 1984年、アップル創業者の1人[[スティーブ・ジョブズ]]はアップルのスーパーマイクロ部門([[Macintosh]]と[[Lisa (コンピュータ)|Lisa]]の開発部門)の責任者を務めていた。Macintoshは、Apple University Consortium によって学生や教育機関には割引価格で販売していたため、大学などで大いに成功を収めていた<ref>{{cite book|first=Randall|last=Stross|title=Steve Jobs and the NeXT Big Thing|publisher=Athenium|year=1993|page=56| isbn=0-689-12135-0}}</ref><ref>Stross 1993, p. 67</ref>。Apple University Consortium は1984年2月までに5000万ドルのコンピュータを販売した<ref>{{cite news|last=Morrison|first=Ann|title=NeXT, Microsoft tackle objects: NT to gain OpenStep port|work=Fortune|date= 1984-02-20}}</ref>。 会長として、ジョブズはMacintoshを売り込むために各地の大学や研究者をしばしば訪問していた。当時の[[フランス共和国大統領]][[フランソワ・ミッテラン]]を迎えた午餐会で、ジョブズはノーベル化学賞を受賞した[[ポール・バーグ]]と出会った<ref name="nextbigthing">Stross 1993, p. 72</ref><ref>{{Cite news|last=Shannon|first=Victoria|title=Apple losing its polish in Franc| work=International Herald Tribune|page=11|date=2006-05-22|url= http://www.iht.com/articles/2006/05/21/business/lobbyside.php }}</ref>。バーグは、実験室で実際に実験しないで、教科書だけで[[遺伝子組み換え]]を学生に教えるにはどうしたらよいかで悩んでいた。遺伝子組み合えの実験にはかなり費用がかかり、当時のパーソナルコンピュータでシミュレートするには複雑すぎた。バーグはジョブズに、彼のアップルへの影響力を行使して、高等教育用の"3M"ワークステーションを作ってくれないかと持ちかけた。"3M"とは、1[[メガバイト]]以上の[[Random Access Memory|RAM]]、[[ピクセル|メガピクセル]]レベルのディスプレイ、[[FLOPS|メガFLOPS]]レベルの性能を意味する(3つの「メガ」で"3M"。[[Alto]]などを指した用語)。 ジョブズはバーグの描いたワークステーションに好奇心をそそられ、高等教育向けコンピュータ企業を1985年秋に立ち上げることを考えたが、当時アップル社内では内紛が大きくなっていた。ジョブスの部門はMacintoshの新製品をリリースできず、[[:en:Macintosh Office|Macintosh Office]] の大部分もリリースが遅れていた<ref>{{Cite news| last = Fuerst| first = Irene| title = Apple's new Mac push; can Apple Computer succeed in wooing big companies with its Macintosh Office?| work = Datamation Magazine| page = 42| date = March 15, 1985}}</ref>。結果として売り上げが急落し<ref>{{cite book | first=Frank | last=Rose | title=West of Eden | publisher=Viking | year=1990 | page=193 | isbn=0-670-81278-1}}</ref>、アップルは売れ残り在庫の償却に数百万ドルを費やした<ref>Rose 1990, p. 227</ref>。アップルの[[最高経営責任者]] (CEO) [[ジョン・スカリー]]はジョブズのアップルにおける権限を奪い取り、1985年には[[ジャン=ルイ・ガセー]]を後釜に据えた<ref>Rose 1990, p. 291</ref>。その後ジョブズはアップルの経営権を取り戻すべく闘争を開始した。ジョブズが社用で[[西ヨーロッパ]]と[[ソビエト連邦]]に出張している間に、スカリーは取締役会の協力をとりつけた<ref>{{cite book | first=Jeffrey S. | last=Young | coauthors=Simon, William L. | title=iCon: Steve Jobs | publisher=John Wiley & Sons | year=2005 | page=118 | isbn=0-471-72083-6}}</ref>。 数カ月間アップル社内で邪魔者扱いされた末、ジョブズは1985年9月13日(金曜日)に辞任した。彼は取締役会に、退職後に新たなコンピュータ会社を立ち上げることと、スーパーマイクロ部門から数人の従業員を連れて行くことを明らかにした。また、その会社はアップルとは直接競合することはないし、新会社で設計したものをMacintoshブランドでマーケティングするべくライセンス提供することもありうると表明していた<ref>{{cite news| last = Spector| first = G| title = Apple's Jobs Starts New Firm, Targets Education Market| work = PC Week| page = 109| date = September 24, 1985}}</ref>。 ジョブズはアップルコンピュータの株式売却で得た700万ドルを出資し、アップル元従業員の[[バッド・トリブル]]、George Crow、Rich Page、Susan Barnes、[[スーザン・ケア]]、Dan'l Lewin と共に新会社 NeXT, Inc. を創業。各地の教育関係の業者と相談し(ポール・バーグとも再び会合を行った)、ワークステーションの仮の仕様が出来上がった。それは、遺伝子実験シミュレーションを実行できるほど強力で、大学生が自分の部屋で使える程度に安価になるよう設計された<ref name="secondcoming">{{cite book | first=Alan | last=Deutschman | title=Second Coming of Steve Jobs | publisher=Broadway Books | year=2000 | page=64|isbn=0-7679-0432-X}}</ref>。しかし仕様が確定する以前に、アップルはNeXTが創業者のインサイダー情報を利用しているとして訴えた<ref name="nextbigthing">Stross 1993, p. 75</ref><ref>Deutschman, p. 44</ref>。ジョブズはこれについて、「4300名以上を抱える20億ドル企業がブルージーンズをはいた6人に太刀打ちできないとは想像しにくい」と述べた<ref name="nextbigthing"/>。この訴えは裁判になる前に取り下げられた。 1986年、ジョブズは有名なグラフィックデザイナーである[[ポール・ランド]]に10万ドルでブランド・アイデンティティ制作を依頼した<ref name="rand">{{cite book | first=Steven | last=Heller | coauthors=Helfand, Jessica; Lois, George | title=Paul Rand | publisher=Phaidon Press | year=2000 | page= 256|isbn=0-7148-3994-9}}</ref>。ランドは、ロゴの正確な角度(28°)や社名の正確な綴り(NeXT)などを含む100ページのブランドの詳細を示す冊子を作った<ref name="rand"/>。最初の外部からの出資は[[テキサス州]]の実業家[[ロス・ペロー]]からの資金提供だった。ペローはテレビ番組 ''The Entrepreneurs'' で、ジョブズとNeXTの従業員を初めて見た。1987年、ペローは2000万ドルを出資し、NeXTの株式の16%を得た(つまり、この時点で会社の時価総額は1億2500万ドル)。1988年には、取締役会に参加することになった<ref>{{cite book | first=Jeffrey S. | last=Young | coauthors=Simon, William L. | title=iCon: Steve Jobs | publisher=John Wiley & Sons | year=2005 | page=134 | isbn=0-471-72083-6}}</ref>。 === 1987年–1993年: NeXT Computer === ==== 第1世代 ==== 当初は、[[アドビシステムズ]]と後に [[Display PostScript]] となる技術の開発を行っていたが、これを実装できそうな[[オペレーティングシステム]]がその時点では存在しなかったことから、[[1986年]]中ごろ会社の方針を転換。単なるローエンドのワークステーションだけでなく、これを搭載できる[[オペレーティングシステム]]ならびにコンピュータを総合的に開発することとなった。これを受けて社名は NeXT Computer, Inc. に変更された。[[カーネギーメロン大学]]で[[Mach]]カーネルを開発していた[[アビー・テバニアン]]が同社に参加してチームを率い、NeXTSTEPオペレーティングシステムを開発した。ハードウェア部門を率いたのは創業当時からのメンバーである Rich Page で(かつて[[Lisa (コンピュータ)|Lisa]]開発チームの責任者だった)、ハードウェアの設計開発を行った。NeXTの最初の工場は1987年、[[カリフォルニア州]][[フリーモント]]に設けられた<ref name="nextbigthing"/>。この工場は年間15万台のマシンを製造する能力があった<ref name="nextbigthing"/>。NeXTの最初のワークステーションは公式には [[NeXTcube|NeXT Computer]] と名付けられたが、[[マグネシウム合金]]製のマットブラックの一辺が約1フィートの正立方体という特異な形状から、一般に "the cube" と呼ばれた<ref name="byte"/>。このデザインはジョブズが Apple IIc をデザインした[[ヘルムート・エスリンガー]]率いる [[フロッグデザイン|frog design]] に依頼したものである<ref>{{cite news| last = Bonnera| first = Paul| title = The heart of a new machine (frogdesign for NeXT computer)| work = PC/Computing Magazine| page = 144|date=February 1989}}</ref>。 このワークステーションのプロトタイプは1988年10月12日に披露され、喝采を持って迎えられた。1号機は1989年に評価され、その後[[ベータ版]]の[[NeXTSTEP]]オペレーティングシステムをインストールしたごく少数のマシンが大学などに販売された。当初 NeXT Computer はアメリカ国内の[[高等教育]]機関向けに限定販売され、基本価格は6500ドルとされていた<ref name="byte">{{cite magazine|title=The NeXT Computer|author=Thompson, Tom|coauthors=Baran, Nick|journal=Byte|volume=13|issue=12|pages= 158–175|year=1988|month=November|url= http://www.simson.net/ref/NeXT/byte_article.htm}}</ref>。このマシンは主にそのハードウェアを中心に各種雑誌で広くレビューされた。デビューが数カ月遅れたことについて聞かれたジョブズは「遅れた? このコンピュータは5年先を行っているよ!」と答えた<ref>{{cite book | first=Robert | last=Standefer | title=Macintosh Switcher's Guide | publisher=Wordware Publishing | year=2004 | chapter=Evolution of Mac OS X | page =33| isbn=1-55622-045-6}}</ref>。非常に斬新な[[ソフトウェア]]構成に加えて、[[光磁気ディスク]]、本体とデザインを統一したモニタ、400[[dpi]]の[[レーザープリンター]]、プリンター・本体・モニタ・キーボードへそれぞれへの配線が最小になる接続方式などを採用した。 NeXT Computer は25MHzの [[MC68030]] [[CPU]] をベースとしている。当初、[[RISC]]方式の[[MC88000]]も検討したが、十分な量が確保できないということで取りやめた<ref>{{cite news | last = Takahashi |first = Ken | title = Motorola making chips in Japan | work = Newsbytes | date = August 29, 1989}}</ref>。[[Random Access Memory|RAM]]は8から64[[メガバイト|MB]]、256MBの[[光磁気ディスク]] (MO) を備え、40MB(スワップ専用)、330MB、660MBの[[ハードディスクドライブ]]、10Base-2 [[イーサネット]]、[[NuBus]]、1120×832[[ピクセル]]のグレースケール・ディスプレイ ''MegaPixel'' を備えている。1989年当時の一般的なPCでは、RAMは640[[キロバイト|KB]]から4[[メガバイト|MB]]、CPUは[[Intel 8086|8086]]/[[Intel 8088|8088]]/[[Intel 80286|286]]/[[Intel 80386|386]]、ディスプレイは16色640×350かモノクロ720×348、ハードディスクは10MBから20MB、[[コンピュータネットワーク|ネットワーク]]機能はほとんどなかった<ref>{{cite news| last = White| first = David W.| title = Dell System 325 (Hardware Review)| work = The Local Area Network Magazine| page = 132|date=December 1989}}</ref><ref>{{cite news| last = Krasnoff| first = Barbara| title = Buyer's guide: benchmarks| work = Personal Computing| page = 170|date=December 1989}}</ref>。 光磁気ディスク装置は[[キヤノン]]が製造したもので、主な記憶媒体としてコンピュータに採用したのは日本以外ではNeXTが初めてだった<ref name="magneto-optical">{{cite news| last = Rawles| first = Richard| title = Developers split over optical drive (NeXT Inc's 256Mbyte erasable magneto-optical drive)| work = MacWEEK| page =3.n33| date = September 19, 1989}}</ref>。ハードディスクよりも安価だが(特に未使用媒体は安価で、元々キヤノンが1枚当たり150ドルを得ることになっていたが、ジョブズは交渉でそれを50ドルに値引きした)、低速である(平均[[シーク (コンピュータ)|シーク時間]]は96ms)。設計上、MO装置は NeXT Computer には1つしかなく、システムをシャットダウンせずに媒体を取り出すことができないため、コンピュータ間でファイルをやり取りするにはネットワークを介するしかなかった<ref name="magneto-optical" />。ストレージは初代の NeXT Computer にとっては弱点だった。光磁気ディスク媒体は比較的高価であり、フロッピーディスクドライブよりも高速だが性能と信頼性に問題を抱えていた<ref name="magneto-optical" />。それは一次媒体として[[NEXTSTEP|NeXTSTEP]]を動作させるには容量的にも性能的にも不十分だった<ref name="magneto-optical" />。 1989年、NeXTは以前から[[コンパック]]の再販業者をしていた BusinessLand と契約し、NeXTのコンピュータを全国の販売店で販売する契約と結んだ。それまで学生や教育機関に直販だけしていたビジネスモデルからの大きな転換である<ref>{{cite news | title=''[http://query.nytimes.com/gst/fullpage.html?res=950DE1DB123EF936A15750C0A96F948260 Businessland Deal Seen for Next Inc.]'' | date=March 25, 1989 | work= Reuters}}</ref>。BusinessLand の創業者 David Norman は、12ヵ月後には NeXT Computer の売り上げはコンパック製品をしのぐことになるだろうと予言した<ref>{{cite news | author=Shaffer, Richard | title=NeXT means business now. | work=Personal Computing | date=July 1989 | publisher=General Reference Center Gold}}</ref>。同じく1989年には、[[キヤノン]]が自社製ワークステーションにNeXTSTEP環境を使う権利と引き換えに1億ドルを出資し、16.67%の株式を得た(時価総額は6億ドル)<ref name="canon">{{cite news | author=Alan Farnham | title=Steve Jobs just says no. | author=McCarthy, Vance | work=Fortune | date=July 17, 1993 | publisher=General Reference Center Gold}}</ref>。これはソフトウェア製品にとっての大きな市場拡大を意味していた。キヤノンはその後、インテルのGXプロセッサを使ったNeXTstationを日本市場向けにリリースした。キヤノンはまた、日本でのNeXT製品の販売代理店としても働いた<ref>{{cite news | last =Garfinkel | first =Simon L | title =Open Door Policy | publisher =NeXTWORLD | date = April 1994 | url= http://www.simson.net/ref/NeXT/nextworld/94.4/94.4.Apr.Japan1.html}}</ref>。 初代のNeXT製コンピュータは1990年、一般市場で9999ドルで発売された。なお、最初の出資者だった[[ロス・ペロー]]は[[テキサス州]][[プラーノ]]に創業したシステムインテグレータ Perot Systems に専念するため、1991年6月にNeXTの取締役を辞任した<ref>{{cite news | title = NeXT may expand two-man board | work = PC Week | page = 125 | date = December 9, 1991}}</ref>。 ==== 第2世代 ==== [[File:NeXTstation.jpg|right|thumb|right|220px|[[NeXTstation]](キーボードもマウスもディスプレイもオリジナルのまま)]] 1990年、NeXTは第2世代のワークステーションをリリースした。NeXT Computer を改良し改名した[[NeXTcube]]と、"the slab"(厚板)と称された[[NeXTstation]]で、後者はピザボックス型の形状である。なお、「ピザボックス」という呼び方は[[サン・マイクロシステムズ]]の [[SPARCstation 1]] に由来するため、ジョブズは比較されることを避けるため、この呼び方をしないよう従業員に命じている。光磁気ディスク装置の代わりに2.88MBのフロッピードライブを装備した。ただし、2.88MBのフロッピーディスクは高価だったため、1.44MBフロッピーに取って代わることはなかった。そこでNeXTは[[CD-ROM]]ドライブを採用し、これがその後のストレージの業界標準となった。カラーグラフィックス対応の NeXTstation Color もあり、NeXTcubeに NeXTdimension という[[ビデオカード]]を装備するとカラー対応になった。これら新世代のマシンは[[MC68040]]をベースとし、以前のマシンよりも安価で高性能になっている。 1992年、NeXTはプロセッサのクロック周波数を33MHzに上げ、RAM容量を最大128MBとした "Turbo" 版のNeXTcubeとNeXTstationを発売した。NeXTはいずれ[[RISC]]アーキテクチャに移行する予定で、それによって更なる高性能を実現する計画だった。このプロジェクトは [[:en:NeXT RISC Workstation|NeXT RISC Workstation]] (NRW) と呼ばれていた。当初は [[MC88000|Motorola 88110]] を使う予定だったが、モトローラが88kアーキテクチャの今後を保証しなかったため、[[PowerPC 601]]のデュアル構成に変更となった<ref>{{cite web |title=Hardware was great while it lasted | work=NeXTWORLD| author=Garfinkel, Simson L. | month=March | year=1993| url= http://www.simson.net/ref/NeXT/nextworld/NextWorld_Extra/93.03.Mar.NWE/93.03.Mar.NWExtra21.html| accessdate=2008-06-13}}</ref><ref>{{cite web |title=Canon to buy NeXT factory, design center| work=NeXTWORLD | author=Lavin, Dan | month=March | year=1993|url= http://www.simson.net/ref/NeXT/nextworld/NextWorld_Extra/93.03.Mar.NWE/93.03.Mar.NWExtra07.html | accessdate=2008-06-13}}</ref>。そのマザーボードやケースが試作されていたが、完全な製造に入る前にハードウェア事業からの撤退が決まった。 何人かの開発者がNeXTのプラットフォーム上で先駆的なプログラムを書いている。1991年、[[ティム・バーナーズ=リー]]は NeXT Computer を使って世界初のWebブラウザとWebサーバを生み出した<ref>{{cite web | author=Berners-Lee, Tim| title=The WorldWideWeb browser |url= http://www.w3.org/People/Berners-Lee/WorldWideWeb.html | work= [[World Wide Web Consortium]] | accessdate=2008-06-13 }}</ref>。1990年代初めには[[ジョン・D・カーマック]]がNeXTcubeを使って ''[[Wolfenstein]] 3D'' と ''[[DOOM|Doom]]'' というゲームを作った。NeXT製コンピュータ向けに発売された商用ソフトウェアとしては、[[表計算ソフト]]の [[Lotus Improv]] や[[Mathematica]]がある。また、システムに同梱された小型アプリケーションとしては [[:en:Merriam-Webster|Merriam-Webster]] Collegiate Dictionary、[[オックスフォード大学出版局|オックスフォード]]引用句辞典、[[ウィリアム・シェイクスピア]]作品集、そしてこれらにアクセスするための検索エンジン ''Digital Librarian'' があった。 1992年、NeXTは2万台のコンピュータを売り上げたが(これにはマザーボードをアップグレードした数も含んでいる)、同業他社に比べるとその台数は少ない。1992年の売上高は1億4000万ドルとなり、それを受けてキヤノンはさらに3000万ドルを出資することになった<ref>{{cite book | first=Jeffrey S. | last=Young | coauthors=Simon, William L. | title=iCon: Steve Jobs | publisher=John Wiley & Sons | year=2005 | page= 200 | isbn=0-471-72083-6}}</ref>。最終的にNeXTが販売したコンピュータは累計で5万台となった<ref>{{cite web | title=NeXT Fans Give Up the Ghost| work=Wired News | url= http://www.wired.com/gadgets/mac/commentary/cultofmac/2005/12/69888 | year=2005 | accessdate=2008-06-13 }}</ref>。 === 1993年–1996年: NeXT Software === 1992年、NeXTは [[Intel486|Intel 486]] ベースの[[PC/AT互換機]]へのNeXTSTEPの[[移植 (ソフトウェア)|移植]]を開始した。この移植はNeXTの事業戦略の変化に対応したものだった。1993年末までにこの移植が完了し、NeXTSTEP 486 とも呼ばれるバージョン3.1がリリースされた。実はそのリリース前の1992年に[[クライスラー]]が3000本を購入する計画を持ちかけていた<ref>{{cite news | title=Next Computer Close To a Deal With Chrysler | date=September 8, 1992 | work=The San Francisco Chronicle}}</ref>。NeXTSTEP 3.x は後に[[PA-RISC]]<ref name="RISC">{{cite news | last =Sherman | first =Lee | title =First NeXT RISC Workstation | work =NeXTWORLD | year =2004 | url = http://www.simson.net/ref/NeXT/nextworld/94.4/94.4.Apr.PA-RISC1.html | accessdate=2008-04-14}}</ref>や[[SPARC]]ベースのプラットフォームにも移植されており、結局4種類のバージョン(NeXTSTEP/NeXT、NeXTSTEP/Intel、NeXTSTEP/PA-RISC、NeXTSTEP/SPARC)が登場した。これら移植版はあまり広く使われることはなかったが、[[:en:Bank One Corporation|First Chicago NBD]]、[[スイス銀行コーポレイション]]、O'Connor and Company などといった組織がそのプログラミング環境に惹かれて採用した<ref>{{cite news| title = NeXTSTEP: NeXT announces new release of NeXTSTEP & NeXTSTEP Developer. (NeXTSTEP 3.2 and NeXTSTEP Developer 3.2)| work = EDGE: Work-Group Computing Report| page = 40| date = October 25, 1993}}</ref>。アメリカ連邦政府機関でも広く使われており、[[:en:United States Naval Research Laboratory|Naval Research Laboratory]]、[[アメリカ国家安全保障局]]、[[国防高等研究計画局]]、[[中央情報局]]、[[アメリカ国家偵察局]]などが採用した<ref>{{cite news| last = McCarthy| first =Shawn P.| title = Next's OS finally is maturing. (NextStep Unix operating system)| work = Government Computer News| page = 46| date = March 6, 1995}}</ref>。 NeXTは1993年にハードウェア事業から手を引き、社名を NeXT Software Inc に変えた。そして540名いた従業員のうち300名を解雇した<ref name="employees"/>。NeXTはフリーモントの工場も含めてハードウェア事業をキヤノンに売却する交渉を行った<ref name="employees"/>。ハード関連事業を買い取った[[キヤノン]]は Firepower Systems 社を設立したが、最終的には[[モトローラ]]に売却した。PowerPCマシンの開発も含め、全てのハードウェアの製造がストップした。[[サン・マイクロシステムズ]]のCEO[[スコット・マクネリ]]は1993年、NeXT Software に1000万ドルを出資し、NeXTのソフトウェアをサンのシステムに将来採用する計画を発表した<ref>{{cite news | title=Sun invests in Next, which will license NextStep OS for Sparc. | work=InfoWorld | date=November 29, 1993 | publisher=General Reference Center Gold}}</ref>。NeXTはサンと共同でNeXTSTEPのカーネル部分を除いた[[OPENSTEP]]を開発した。また、NeXTは当初の事業計画に戻り、各種オペレーティングシステム向けに開発ツールキットを販売するようになった。新製品としては、[[Microsoft Windows NT|Windows NT]] 上で動作するOPENSTEPである OpenStep Enterprise などがあった。また、大規模な動的Webアプリケーション構築用プラットフォームである [[WebObjects]] も開発した。WebObjects には[[デル]]、[[ウォルト・ディズニー・カンパニー|ディズニー]]、[[ワールドコム]]、[[英国放送協会|BBC]]といった大手企業の顧客がついた<ref name="webobjects">{{cite web | date= June 16, 2005 | first=Johnny | last=Evans | title=Apple releases WebObjects as a free application | work=MacCentral | url= http://www.macworld.co.uk/news/index.cfm?NewsID=11860 | accessdate=2008-04-14}}</ref>。後にNeXTを買収したアップル自身も [[ITunes Store|iTunes Store]] など同社のサイトの多くでWebObjectsを使っている<ref>{{cite web |date= June 2, 2003 | last=Dalrymple | first=Jim | title=Xserves power iTunes Music Store, 'America 24/7' | url= http://www.macworld.com/article/24637/2003/06/xserve.html | work= Macworld | accessdate=2008-06-13 }}</ref>。 === 1996年: 買収 === アップルコンピュータは1996年12月20日、NeXT買収の意思があることを発表した<ref name="apple-acquisition" />。4億2900万ドルが各出資者に支払われ、[[スティーブ・ジョブズ]]にはアップルの株式150万株が支払われた(ジョブズは買収交渉に直接対応した関係で、現金の受け取りを意図的に避けた)<ref name="apple-acquisition" /><ref>{{cite news| title = Apple files with SEC for Jobs to sell 1.5 million shares| work = [[シアトル・タイムズ|The Seattle Times]]| date = June 19, 1997}}</ref>。この買収は第一に、時代遅れになりつつある [[Mac OS]] の代わりとしてNeXTSTEPを採用するためだった。他にも[[Copland]]の開発継続、[[BeOS]]の買収という案もあったが、最終的にNeXT買収が選ばれた<ref name="kernelthread">{{cite web |url= http://www.kernelthread.com/publications/appleoshistory/6.html|title=Quest for ''the'' Operating System |last=Singh |first=Amit |date=2004-02 |work=kernelthread.com |accessdate=2009-07-23}}</ref>。1997年、ジョブズはコンサルタントとしてアップルに復帰し、同年7月4日には暫定[[最高経営責任者|CEO]]に就任<ref>{{cite news| title = Apple May Press Jobs To Be Or Not To Be CEO| work = Newsbytes| date = March 24, 1998}}</ref>。2000年には正式なCEOとなった<ref>{{cite web | date=January 5, 2000 | title=Jobs takes Apple CEO job full time |work=[[CNET]] | first=Jim | last=Davis | coauthors=Kanellos, Michael | url= http://www.news.com/Jobs-takes-Apple-CEO-job-full-time/2100-1001_3-235252.html | accessdate=2007-01-04 }}</ref>。ジョブズがアップルの取締役会を改編した際に、NeXTで重役を務めていた者が何人かアップルで同等の役職に迎えられた。 === NeXTの遺産 === OPENSTEPの技術は、Mac OS Xに引き継がれ、アップルのソフトウェア技術の中核になった。人材面でも、NeXT出身のエンジニアがアップルの主要メンバーとして活躍している。現在のアップルのMac担当上級副社長[[クレイグ・フェデリギ]](前任者[[バートランド・サーレイ]]や[[アビー・テバニアン]]も)、iPhoneソフトウェア担当上級副社長[[スコット・フォーストール]]らはNeXTの経歴を持つ。 NeXT買収後、NeXTSTEPの[[PowerPC]]への移植が行われ、それと同期するようにインテル版とWindows版の OpenStep Enterprise ツールキットにも改良が加えられていった。このオペレーティングシステムは Rhapsody というコード名で呼ばれ<ref>{{cite web | date=August 6, 1997 | title=What's NeXT? | work=MacObserver | first=Arlen | last=Britton | url= http://www.macobserver.com/columns/whatsnext/articles/080697.shtml | accessdate=2008-06-13 }}</ref>、全プラットフォーム共通の開発ツールキットは Yellow Box と呼ばれた。従来との互換性を保つため、Mac OS 用アプリケーションが動作する ''Blue Box'' という環境が追加された<ref>{{cite news| last = Thompson| first =Tom| title = Rhapsody with blue (Apple's next-generation operating system code-named Rhapsody)| work = Byte| page = 26|date=April 1997}}</ref>。 1999年、この新オペレーティングシステムのサーバ版である [[Mac OS X Server 1.0]] がリリースされ、2001年には通常版の [[Mac OS X v10.0]] がリリースされた。OPENSTEPの開発ツールキットは [[Cocoa]] と改称された。Rhapsody の Blue Box は[[Classic]]環境と改称された。また、既存のアプリケーションを移植しやすくするため、Mac OS の Toolbox に相当する環境を[[Carbon]]として搭載した<ref>{{cite news| last = Sellers| first = Dennis| title = OS X III: finally, a first-class OS| work = Computer User| page = 66|date=November 2000}}</ref><ref>{{cite news| title = Mac OS X Takes Macintosh to New Level| work = eWeek| date = July 15, 2002}}</ref>。Mac OS X にはNeXTSTEPから受け継いだインタフェースがいくつかある。例えば[[Dock]]、[[サービスメニュー]]、[[Finder]]のブラウザビュー、NSText、フォントや色のシステムワイドなセレクタなどである。 NeXTSTEPのプロセッサに依存しない機能は Mac OS X にも残った。各バージョンはPowerPCとx86アーキテクチャの両方でコンパイルできるよう保持されていたが、2005年まではPowerPC版だけが公にリリースされていた。2005年6月6日、アップルはインテルのプロセッサに移行する計画を発表した<ref>{{cite press release | title=Apple to Use Intel Microprocessors Beginning in 2006 | url= http://www.apple.com/pr/library/2005/jun/06intel.html | publisher=Apple Computer|date=June 6, 2005 | accessdate=2008-06-13 }}</ref>。さらに[[iPhone]]や[[iPad]]向けには[[iOS (アップル)|iOS]]として、ARM向けのMac OS Xのサブセットといえるものが使われている。 == 特徴 == NeXTワークステーションは、米国では大学とともに金融機関が主な販売先であり、日本では[[大阪大学]]や[[広島大学]]、[[神奈川大学]]に数百台規模で導入された。しかし、専用の[[ハードウェア]]だったため、その後の[[パーソナルコンピュータ|PC]]の高性能化と低価格化に取り残された。 NeXTワークステーション向けに作られた[[オペレーティングシステム]]、「[[NEXTSTEP|NeXTSTEP]]」はDisplay Postscriptを採用し、独自の洗練されたグラフィカルユーザインターフェースを備え、ソフトウェア開発環境には[[C言語]]にオブジェクト指向的な拡張を施し、本格的なオブジェクト指向開発を可能にした「[[Objective-C]]」を採用。後にカーネル依存部分を切り離した[[OPENSTEP]]を経てMac OS Xの礎となった。 後期には画面表示のためのDisplay [[PostScript]]と共に、現在の[[OpenGL]]あるいは[[DirectX]]に相当する 3Dkit と呼ばれる3D表示フレームワークにQuickRenderManを搭載し、[[PIXAR]]の「[[RenderMan|PhotoRealistic RenderMan]]」(1バージョン古いものがデモとして)がバンドルされ、RenderMan を標準で使用することができた。[[RenderMan]]のシーン記述ファイル[[RIB]]は、「3次元表示のための PostScript」とも呼ばれる。 アップルコンピュータの[[QuickTime]]が有名になってくると、[[NeXTime]]と呼ばれる互換モジュールも発表し、QuickTimeムービーをNeXT上で見ることができるようになった。 先進的で洗練された仕様には熱狂的なヘビーユーザを生み出した。 また、アップルのMac OS Xの[[アプリケーションプログラミングインタフェース|API]]である[[Cocoa]]のクラス名には、NEXTSTEPからの名残でNS-とプレフィックスが付けられる。 == 系譜 == *NeXTcube ([[モトローラ]] [[MC68030]] 25MHz ) 一辺が1フィートのキューブ型(アメリカでの正式名は NeXT Computer) *NeXTcube ([[モトローラ]] [[MC68040]] 25MHz ) CPUがアップグレードされたモデル。 *NeXTstation ([[モトローラ]] [[MC68040]] 25MHz ) ピザボックス型。 *NeXTstation Color ([[モトローラ]] [[MC68040]] 25MHz ) カラー表示モデル。 *NeXTcube Turbo ([[モトローラ]] [[MC68040]] 33MHz )(第三世代:動作周波数が引き上げられたモデル。) *NeXTstation Color Turbo ([[モトローラ]] [[MC68040]] 33MHz ) *NeXTdimension キューブ型モデルにdimensionボードというカラーグラフィックプロセッシングボードを付加したモデル。 == 企業文化とコミュニティ == ジョブズはアップルの会社組織が自分が辞めることになった原因だと感じていたため、官僚的内部抗争のない企業にしようと考えていた{{要出典|date=2009年11月}}。ジョブズはNeXTの企業文化をアップルとは異なったものにするべく、設備や給料や福利厚生など様々な面で違ったやり方を採用した。ジョブズはアップルでも企業構造の改革を何度か行っているが、NeXTでは一般的な企業の組織構造は採用せず、従業員ではなく「メンバー」による「コミュニティ」を作るようにした<ref name="NeXTBigThing">{{cite book | first=Randall | last=Stross | title=Steve Jobs and the NeXT Big Thing | publisher=Athenium | year=1993 | page=80 | isbn=0-689-12135-0}}</ref>。NeXTでは1990年代初めまで2段階の給料しかなかった<ref name="NeXTBigThing"/>。1986年以前から参加していたメンバーには7万5000ドル、それ以後に参加したメンバーには5万ドルが支払われていた。このため、管理職が部下より給料が低いこともあるという、やりにくい状況が生まれた。その後、6カ月ごとに従業員のパフォーマンスレビューを行って昇給を行うようになった。オープン性を確保するため、全ての従業員が給与支払い名簿に無制限にアクセスできるようになっていた(実際にはほとんどこの権利を行使した例はない)<ref name="NeXTBigThing"/>。NeXTの[[医療保険]]は、結婚している夫婦だけでなく、未婚のカップルや同性愛のカップルにも権利を与えていた(後に廃止された)<ref name="NeXTBigThing"/>。給料日も当時のシリコンバレーの他の企業とは異なっていた。一般に月に2回、その期間の最終日に給料日が設定されていたが、NeXTでは月に1回、期間の最初に給料日が設定されていた<ref>{{cite book| last = Stross| first = Randall E| title = Steve Jobs and the NeXT Big Thing| publisher = Maxwell Macmillan International| year = 1993| pages = 289–374| url = http://books.google.com/books?id=j5JQAAAAMAAJ&pgis=1| isbn = 9780689121357}}</ref>。 ジョブズは、[[パロアルト (カリフォルニア州)|パロアルト]]の Deer Creek Road 沿いにオフィス用の建物を見つけた<ref name="AppleConfidential">{{cite book | first=Owen W. | last=Linzmayer | title=Apple Confidential 2.0 | publisher=No Starch Press | year=2004 | page=323|isbn=1-59327-010-0}}</ref>。これは、建築家[[イオ・ミン・ペイ]]が設計した階段が印象的な建物である<ref name="AppleConfidential"/>。堅木床の1階には大きな作業台を置き、ワークステーションの組み立て作業場として使った。在庫管理の誤りを避けるため、NeXTでは[[ジャストインタイム生産システム]]を採用した<ref name="AppleConfidential"/>。メイン基板やケースなど主要な[[コンポーネント]]は全て外注し、1階でそれらを使って出荷品を組み立てていた。2階はオフィスで、壁のないオープンフロア方式になっていた。壁で仕切られていたのは、ジョブズの部屋と一部の会議室だけだった<ref name="AppleConfidential"/>。NeXTの成長と共にオフィス空間がさらに必要になった。そこでレッドウッドシティに新たなオフィスを借りた<ref>[http://cba.epropertydata.com/photos/pdf/fs/433636_1.pdf NeXTが使っていた建物の広告パンフレット]</ref><ref name="NeXTBigThing"/>。こちらもペイの設計である。建築上の中心は、一見して何も支えがないように見える階段である。やはりオープンフロア式だが、備品も豪華で、5000ドルの椅子や1万ドルのソファ、[[アンセル・アダムズ]]の写真パネルなどがあった<ref name="NeXTBigThing"/>。 ''NeXTWORLD''誌は1991年に創刊された。[[サンフランシスコ]]の Integrated Media による出版で、Michael Miley、後には Dan Ruby が編集者として関わった。NeXTのコンピュータ、オペレーティングシステム、ソフトウェアを扱う唯一の定期刊行物だった。ただし、1994年に廃刊となった<ref>{{cite web | publisher=[[University of Pennsylvania#Libraries|University of Pennsylvania Library]] | title=Serial Archive Listings for NeXTWORLD | work=The Online Books Page | url= http://onlinebooks.library.upenn.edu/webbin/serial?id=nextworld| accessdate=2008-06-13 }}</ref>。開発者向けカンファレンスとして ''NeXTWORLD Expo'' を1991年と1992年にはサンフランシスコの Civic Center で、1993年には同じくサンフランシスコの Moscone Center で開催した。いずれも基調講演はジョブズが行った<ref>{{cite news | title=NeXT makes play for corporate market | work=PC Week | author=NextStep users seek safety in big numbers | date=January 27, 1992}}</ref>。 == コンピュータ業界に与えた影響 == NeXTは商業的にはあまり成功したとは言えないが、コンピュータ業界に与えた影響は大きい。NeXTcubeとNEXTSTEPがリリースされた1988年以降、他社はNeXTのオブジェクト指向システムをエミュレートし始め<ref>{{cite news | author=Smith, Carrie | title=NeXT means business now. | work=Wall Street & Technology | date=May 1994 | publisher=General Reference Center Gold}}</ref>、[[オブジェクト指向プログラミング]]と[[グラフィカルユーザインタフェース]]がより一般化していった。アップルは1989年、次世代パソコン向けにNEXTSTEP同様オブジェクト指向の開発・実効環境のオペレーティングシステムを構築するプロジェクト [[Taligent]] を[[IBM]]や[[ヒューレット・パッカード|HP]]と共同で開始した<ref>{{cite news| last = Semich| first =J. William| title = Taligent (Apple, IBM and HP's joint object-oriented operating system)| work = Datamation Magazine| page = 34| date = March 15, 1994}}</ref>。 マイクロソフトは1991年に[[Cairo (オペレーティングシステム)|Cairoプロジェクト]]を発表。Cairoの仕様にも同様のオブジェクト指向ユーザインタフェースが含まれていた。プロジェクト自体は最終的に中止されたが、一部の要素はその後のプロジェクトに受け継がれた。1994年、マイクロソフトとNeXTは共同でOPENSTEPを [[Microsoft Windows NT|Windows NT]] 上に移植する作業を開始し、1996年9月、OPENSTEP Enterpriseとしてリリースされた<ref>{{cite news | author=Smith, Carrie | title=NeXT, Microsoft tackle objects: NT to gain OpenStep port. | work=PC Week | date=November 7, 1994 | publisher=General Reference Center Gold}}</ref><ref>[http://archive.is/20120708152944/findarticles.com/p/articles/mi_m0EIN/is_1996_August_27/ai_18615631/ NeXT Software Introduces OPENSTEP Enterprise to Develop Distributed Enterprise and Intranet Applications; Most Proven Enterprise Object-Oriented Solution Now Available on Windows NT]</ref>。 [[WebObjects]]は当初5万ドルという高価格で発売されたためもあり<ref name=birthdaywo>{{cite web |work=MacObserver|url= http://www.macobserver.com/article/2006/03/28.14.shtml |title=Happy Birthday: WebObjects at 10 |accessdate=2008-06-13 |last=Stewart |first=Graham |year=2006}}</ref>、広く使われることはなかったが、動的ページ生成が可能な初期のWebサーバとして歴史的に重要であると言えよう。WebObjectsは2010年現在、Appleの主力製品を外れており、かつてのようにMac OS XやMac OS X Serverに付属されなくなりバージョンアップも停止しているが、Apple StoreやiTunes Store, App Store等のAppleの各種サービスを支えるベースシステムとして利用されている。 == 関連項目 == {{Commons|NeXT}} * [[NEXTSTEP]] * [[NeXTcube]] * [[NeXTstation]] == 脚注・出典 == {{Reflist|2}} == 参考文献 == * {{cite book | first=Alan | last= Deutschman | title=The Second Coming of Steve Jobs | publisher=Broadway | year=2001 | isbn=0-7679-0433-8}} * {{cite book | first=Owen W. | last=Linzmayer | title=Apple Confidential 2.0 | publisher=No Starch Press | year=2004 | isbn=1-59327-010-0}} * {{cite book | first=Michael | last=Malone | title=Infinite Loop | publisher=Currency | year=1999 | isbn=0-385-48684-7}} * {{cite book | first=Randall E. | last=Stross | title=Steve Jobs & the NeXT Big Thing | publisher=Scribner | year=1993 | isbn=0-689-12135-0}} * {{cite book | first=Jeffrey S. | last=Young | coauthors=Simon, William L. | title=iCon: Steve Jobs | publisher=John Wiley & Sons | year=2005 | isbn=0-471-72083-6}} == 外部リンク == * {{cite web |url= http://www.next.com/ |title=www.next.com (web archive) |archiveurl= http://web.archive.org/web/19970412194822/http://www.next.com/ |archivedate=1997-04-12 |accessdate=2009-11-10}} * [http://www.islandnet.com/~kpolsson/workstat/ The Chronology of Workstation Computers] * {{cite web |url= http://www.next.com/Merger/MergerRelease.html |title=Archived announcement of NeXT's acquisition by Apple |archiveurl= http://web.archive.org/web/19970412201122/http://www.next.com/Merger/MergerRelease.html |archivedate=1997-04-12 |accessdate=2009-11-10}} * [http://contracts.onecle.com/apple/next.mer.1996.12.20.shtml Full acquisition/merger contract between Apple and NeXT] * [http://simson.net/ref/NeXT/ NeXT Computer Historical Site] * [http://www.simson.net/ref/NeXT/nextworld/ NeXTWORLD Magazine Archives] * [http://www.nextcomputers.org NeXTcomputers.org - Welcome to the NeXT world!] * [http://www.pixar.com/jp/renderman/index.html レンダーマン(ピクサー・アニメーション・スタジオ)] {{DEFAULTSORT:ねくすと}} [[Category:アップル インコーポレイテッド|*2]] [[Category:OS X]] [[Category:ワークステーション]] [[Category:かつて存在したアメリカ合衆国のコンピュータ企業|ねくすと]] [[Category:NeXT|*]] {{Link FA|en}}
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