M109 155mm自走榴弾砲のソースを表示

{{戦車|
|名称=M109 155mm自走榴弾砲
|画像=[[ファイル:Bae PIM upgrade.jpg|250px]]
|説明=最新型のM109 PIM
|全長=6.614m
|車体長=6.114m 
|全幅=3.15m
|全高=3.279m
|重量=23.796t
|懸架方式=
|速度=56.33km/h
|整地時速度=
|不整地時速度=
|行動距離=354km
|主砲=20[[口径]]または33口径または39口径155mm[[榴弾砲]]×1
|副武装=[[ブローニングM2重機関銃|12.7mm重機関銃M2]]×1
|装甲=
|エンジン名=[[デトロイトディーゼル]]8V-71T<br />[[2ストローク機関|2ストローク]][[V型8気筒]][[液冷エンジン|液冷]][[スーパーチャージャー|スーパーチャージド]]・[[ディーゼルエンジン|ディーゼル]]
|出力=405hp/2,300rpm
|乗員=6名
|備考=
}}
'''M109 155mm自走榴弾砲'''は、[[アメリカ合衆国]]が開発した[[自走砲]]。専用に開発された車体と155mm[[榴弾砲]]を装備した旋回式[[砲塔]]を持つ。結果として[[M44 155mm自走榴弾砲]]の後継車両として[[第二次世界大戦]]後第2世代の自走砲となる。

M109A6にのみ[[パラディン]]（[[シャルルマーニュ]]の家臣として知られていた[[ローランの歌|十二勇将]]）という愛称がある。

== 概要 ==
[[1962年]]から生産が行われ、[[アメリカ陸軍]]と[[アメリカ海兵隊|海兵隊]]向けが合わせて約2,000両が生産された。[[主砲]]を新型に換装するなどの改良型（M109A1/A2）に加え、さらなる近代化改修（M109A3-A6）が行われ、シリーズの生産累計は約10,000両といわれている。

アメリカ以外にも[[ドイツ連邦軍]]や[[イスラエル国防軍]]など[[西側諸国]]で広く採用された。

しかし、[[1980年代]]以降、[[イギリス]]製の[[AS-90]]や[[ドイツ]]製の[[PzH2000自走榴弾砲|PzH2000]]、[[大韓民国|韓国]]製の[[K9 155mm自走榴弾砲|K9]]などの新型[[自走砲|自走]][[榴弾砲]]に更新されて逐次退役しつつある。

[[1998年]]にはM109の後継となる[[:en:XM2001 Crusader|XM2001 クルセイダー]]の開発が始まったが、高額なのと50トンに及ぶ大重量のため[[2002年]]に開発が中止されたので、当面M109が現場で使われると思われる。

== バリエーション ==
; M109
: 初期型。[[1963年]]生産開始。M126 155mm[[榴弾砲]]およびM127砲架を使用。
; M109A1/A1B
: [[銃砲身|長砲身]]化、33[[口径]]MX185 155mm榴弾砲に換装、最大射程18,100メートル。
; M109A2
: M185 155mm榴弾砲およびM178砲架を使用、[[弾薬]]搭載量が28発から36発に増加。
; M109A3/A3B
: A1/A1BのA2規格への改修型、M127砲架をM178砲架に換装。
; M109A4
: A2およびA3の[[規制が議論されている兵器|NBC]]戦対応能力向上型。
; M109A5
: M284 155mm榴弾砲およびM182砲架を使用した[[ポルトガル]]向けの車両。単価約207万[[アメリカ合衆国ドル|USドル]]。
; M109A6 パラディン
: 長砲身化、[[装甲]]強化、[[射撃管制装置]]の改良など、大幅な近代化を図った型。[[主砲]]には39口径に長砲身化した155mm榴弾砲XM284と、AAS（先進型武装システム）計画から生まれた155mm榴弾砲XM282、XM283があり、XM284はチャージ8のM208装薬を用い、M549A1ロケット補助[[榴弾]]を30kmまで飛ばすことが可能であった。また、XM282は、58口径という長大な砲身長を有し、新たに開発されたXM244装薬の使用を可能とし、XM864ベース・ブリード榴弾を使用した場合の最大射程は45kmにも達した。
; M109 "KAWEST"
: [[スイス]]の改良版、47口径で最大射程36km、通称Pz Hb 79/95 Pz Hb 88/95。
; M109 L52
: [[ドイツ]]と[[オランダ]]で[[2002年]]に開発。[[PzH2000自走榴弾砲|PzH2000]]用の52口径155mm榴弾砲を搭載する。
; M109 PIM
: M109A6パラディンの最新改良版。発表された写真では、起動輪、転輪、誘導輪が[[M2ブラッドレー歩兵戦闘車]]と同等の物に変更され、[[無限軌道|履帯]]はダブルピン・ダブルブロックの新型に変更されている。また、[[指揮官|車長]]用ハッチ周囲に防弾版が装着され、[[ブローニングM2重機関銃|12.7mm重機関銃M2]]にも強化ガラス付きの防弾版が装着されている。
; M109 Rochev
: [[イスラエル国防軍]]に[[1970年代]]に配備されたバージョンで、M109A1ないしA2に相当する。[[砲塔]]前面や車体周囲に荷物ラックが追加されており、搭載可能な弾薬数が増やされているらしい（45発とされる）。主砲上に[[戦車#装備と構造|同軸機銃]]として12.7mm重機関銃M2を装着した例も見られる。
; M109 Doher
: イスラエル国防軍がM109 Rochevに独自改良を施したバージョンで、[[1990年代]]に配備された。射程が18kmから22kmに伸びている（M109A5相当）。車長用[[キューポラ]]が新型になり、M60"[[マガフ]]"シリーズのウルダン・キューポラと同様に、ハッチを水平に少し浮かせた状態で周囲を視察できるようになっている。その他、[[慣性航法装置]]（Inertial Navigation System, INS）装備、NBC防御強化、装填手ハッチに7.62mm[[機関銃]]を装備・電動式トラベルロック装備・砲塔後部右側に車外発電機搭載、などの改良がなされている。
; XM701
: M109の車体をベースにした試作[[歩兵戦闘車]]。
<gallery widths="180px" heights="150px">
ファイル:Self-propelled-howitzer-vietnam.jpg| <div style="font-size:smaller">M109初期型、South Vietnam撮影
ファイル:Panzerhaubitze M109 A3.jpg| <div style="font-size:smaller">M109 A3型1996,05/09Bosnien und Herzegowinaで撮影
ファイル:Spanish M109A5 howitzer Bright Star 2001.jpg| <div style="font-size:smaller">M109 A5型、2001,10/20BRIGHT STAR 01/02演習で撮影
ファイル:M109A6 Paladin UTARNG 2004 firing.jpg| <div style="font-size:smaller">M109 A6 Paladin、2004,06/12撮影
</gallery>

== 火砲諸元・性能 ==
{{火砲スペック
|出典={{Cite web|author=Ichinohe_Takao|date=2001年10月30日|url=http://sus3041.sakura.ne.jp/contents/gun_db/m109a5hsp155.htm|title=155mm自走榴弾砲M109A5|accessdate=2011年8月17日}}
|種別=[[自走砲|自走]][[榴弾砲]]
|口径=155mm
|砲身長=39[[口径|口径長]]
|重量=
|その他の諸元=
<!--性能-->
|俯仰角=-6~+75（手動および油圧）、可変速度7deg/sec
|旋回角=全周可能（手動および油圧）、可変速度11deg/sec
|初速=
|有効射程=
|最大射程=24km（通常弾）, 30km（RAP弾）
|発射速度='''持続'''：1発/3分, '''最大'''：8発/分
|その他の性能=
<!--メカニズム-->
|砲尾=[[隔螺式]][[尾栓|閉鎖機]]
|反動=
|砲架=M182
|弾薬=[[砲弾]]・薬嚢分離装填式（[[北大西洋条約機構|NATO]]標準規格）
|砲弾={{仮リンク|M107榴弾|en|M107 projectile}}など
}}
<gallery widths="180px" heights="150px">
ファイル:Loader M-992.jpg|M-992の給弾システム。[[1999年]]撮影
ファイル:M109BREECH.JPG|M109主砲の尾栓。[[2007年]][[2月14日]]撮影
</gallery>

== 採用国 ==
[[ファイル:M109 operators.png|thumb|400px|M109 2010青は現在の採用国、赤はかつての採用国]]
=== M109A1 ===
*{{DEN}} - 76（A3DKにアップグレード）
*{{ETH}} - 17
*{{GRE}} - 51 A1B
*{{KUW}} - 5 A1B
*{{LBY}} - 18 A0
*{{OMA}} - 15 A0
*{{PER}} - 12
*{{SAU}} - 28
*{{TUN}} - 11
*{{IRN}} - 390

=== M109A2/A3 ===
[[ファイル:Cannon fire - M109 self-propelled howitzer.jpg|thumb|M109イスラエルバージョン2008年[[12月14日]]撮影]]
*{{BEL}} - 127 A2（内64はA4BEにアップグレード、現在全て退役40のA3はブラジルに売却）
*{{GER}} - 570 A3GE A1/A2（[[2007年]]7月までにPzH 2000に置換えギリシャへ供与）
*{{GRE}} - 84 A2, 50 A3GEA1, 196 A3GEA2（+56 A3GEA2 50 A3GEA1はA3GEA2レベルにアップグレードして使用）
*{{EGY}} - 279 A2
*{{KOR}} - 1,040（K55/55A1）
*{{MAR}} - 84
*{{NOR}} - 56 A3G（14はA3GNにアップグレード、そして9は冬の気候に合せA3GNMにアップグレード）
*{{PAK}} - 150 A2
*{{POR}} 
*{{THA}} - 20
*{{NLD}} - 126 A2/90、2007-[[2008年]]までにPzH 2000へ段階的に置き換える
*{{BRA}} - 40 A3（元ベルギー）

=== M109A2/A5 ===
*{{AUT}} - 80 A2/A5Ö
*{{TWN}} - 225

=== M109A4 ===
*{{BEL}} - 64 A4BE
*{{CAN}} - 76 A4B+（[[1967年|1967]]-[[2005年]]にかけて使用されていたが段階的に退役予定）

=== M109A5 ===
[[ファイル:M109A5 in repair.JPG|thumb|M109A5]]
*{{EGY}} - 201
*{{POR}} 
*{{THA}} - 20
*{{MAR}} - 60
*{{SAU}} - 48
*{{flag|Bahrain}} - 20
*{{ITA}} - 192
*{{GRE}} - 12
*{{ESP}} - 96
{{-}}

=== M109A6 Paladin ===
*{{USA}} - 950

=== M109 KAWEST ===
*{{SUI}} - （通称Pz Hb 79/95 Pz Hb 88/95）
*{{CHI}} - 48（元スイス、RUAGにアップグレード）

=== M109 Doher ===
[[ファイル:Israeli Doher M109.jpg|thumb|M109Doherイスラエルバージョン2005,3撮影]]
*{{ISR}} - 600
{{-}}

== 登場作品 ==
; 映画
* 『[[宇宙戦争 (2005年の映画)|宇宙戦争（2005年版）]]』 
: 避難する主人公達の前を通り過ぎる。
* 『[[クローバーフィールド/HAKAISHA|クローバーフィールド]]』 
: [[M1エイブラムス|M1A1エイブラムス]][[戦車]]と[[歩兵]]隊とともに[[ニューヨーク]]で「何か」と交戦する。
* 『[[ミスト (映画)|ミスト]]』 
: 映画の後半にて[[アメリカ軍]]の車両隊の先頭に登場する。

; ゲーム
* 『[[WarRock]]』
:  機動力が低く、車体と[[砲塔]]の旋回速度が遅い。[[ブローニングM2重機関銃]]を2番席に装備している。
* 『[[大戦略シリーズ]]』

== 参考文献 ==
*「PANZER 2000年9月号M109自走砲車の開発・構造・発展｣後藤仁 著 アルゴノート社

== 関連項目 ==
* [[榴弾砲]]
* [[自走砲]]
* [[M108 105mm自走榴弾砲]]

== 外部リンク ==
{{commons|M109 howitzer}}
* {{Youtube|BwmXru-woNc|M109自走榴弾砲の解説動画}}
* {{Youtube|fEF3bvCioC0|M109A1自走榴弾砲の解説動画}}

{{第二次世界大戦後のアメリカの装甲戦闘車両}}
{{第二次世界大戦後のイギリスの装甲戦闘車両}}
{{大韓民国の装甲戦闘車両}}

{{DEFAULTSORT:M109しそうほう}}
[[Category:アメリカ合衆国の自走砲]]
[[Category:155mm砲]]

{{Link GA|de}}