JR西日本681系電車のソースを表示

{{鉄道車両
|車両名  = JR西日本・北越急行681系電車
|社色    = 
|画像    = WestJapanRailwayCompanyType681-0.jpg
|pxl= 250px
|画像説明= JR西日本所有車（0番台）<br />（2006年12月26日 新大阪駅）
|unit   = self <!-- 単位手入力 -->
|編成=基本編成：6両 ([[MT比|2M4T]])<br />付属編成：3両 ([[MT比|1M2T]])
|起動加速度=1.8km/h/s
|営業最高速度=JR線内 130 km/h<br />ほくほく線内 160 km/h（W編成および2000番台）
|設計最高速度=
|減速度（通常）=4.3km/h/s
|減速度（非常）=
|編成定員    = 
|全長=
|全幅=
|全高=
|車体材質=[[炭素鋼|普通鋼]]
|編成重量 = 
|軌間     = 1,067mm
|電気方式 = 交流 20,000V (60Hz) <br />直流 1,500V<br />（[[架空電車線方式]]）
|駆動装置 = [[WN駆動方式|WNドライブ]]
|台車 = 軸梁式[[鉄道車両の台車史#ボルスタレス台車|ボルスタレス台車]]（[[蛇行動#ヨーダンパ|ヨーダンパ]]付）<br />WDT300・WDT303（2000番台）・WTR300
|主電動機 = [[かご形三相誘導電動機]]
|出力     = 220kW / 基<br />(WMT103)
|編成出力 =6両基本→220kW×8=1,760kW<br />3両付属→220kW×4=880kW
|制御装置 = [[サイリスタ位相制御]][[整流器|コンバータ]] (WRS103)+[[パルス幅変調|電圧型PWM]][[ゲートターンオフサイリスタ|GTOサイリスタ]]-[[可変電圧可変周波数制御|VVVFインバータ]] (WPC6)<br />1C1M制御
|歯車比   = 5.22
|ブレーキ方式= [[回生ブレーキ|電力回生ブレーキ]]併用[[電気指令式ブレーキ|電気指令式空気ブレーキ]]<br />（[[直通ブレーキ|直通予備]]・[[抑速ブレーキ|抑速]]・[[鉄道のブレーキ#耐雪ブレーキ|耐雪ブレーキ]]機能付き）
|保安装置=[[自動列車停止装置#ATS-P形（デジタル伝送パターン形）|ATS-P]],[[自動列車停止装置#ATS-S改良形（ATS-Sx形）|ATS-Sw]]
|メーカ=[[川崎重工業車両カンパニー|川崎重工業]]・[[近畿車輛]]・[[日立製作所]]・[[新潟鐵工所]]
|備考=
}}
'''681系電車'''（681けいでんしゃ）は、[[西日本旅客鉄道]]（JR西日本）と[[北越急行]]の[[交直流電車|交直両用]][[特急形車両]]である。

== 概要 ==
[[京阪神]]と[[北陸地方]]を結ぶ[[特別急行列車|特急]][[サンダーバード (列車)|「雷鳥」「スーパー雷鳥」]]は専ら[[国鉄485系電車|485系]]が使用されてきたが、高速道路網の整備が進み、所要時間の短縮とより高いサービスが提供ができるように製造されたのが本系列である。[[九州旅客鉄道]]（JR九州）の[[JR九州783系電車|783系]]「ハイパーサルーン」を嚆矢として、[[国鉄分割民営化]]後に続々と新形特急車両を導入する中でJR西日本は最後発となったが、[[1992年]]7月に量産先行試作編成が登場した。

投入当時、[[北陸新幹線]]は一部区間（[[糸魚川駅]] - [[魚津駅]]間、[[石動駅]] - [[金沢駅]]間）を[[新幹線鉄道規格新線|スーパー特急方式]]として着工しており、本系列は将来的にこの新線で高速で走行することを目的に、最高速度は160[[キロメートル毎時|km/h]]で設計された。その後同区間も含め全線フル規格に変更したが、[[北越急行ほくほく線|ほくほく線]]での160km/h運転にこの設計は生かされている。

JR西日本の車両は[[川崎重工業車両カンパニー|川崎重工業]]・[[近畿車輛]]・[[日立製作所]]、北越急行の車両は[[新潟鐵工所]]の4社が製造した。1997年までにJR西日本・北越急行の両社合計で102両を新製し、その後の増備はコストダウンと性能向上を図った[[JR西日本683系電車|683系]]に移行した。

なお、[[鉄道総合技術研究所]]（鉄道総研）による[[在来線]]の140km/h化の非常ブレーキ試験で本系列が使用された<ref>[http://www.rtri.or.jp/rd/division/rd42/rd4230/rd42300103.html 在来線140km/h化のためのブレーキ方式] - 鉄道総合技術研究所 </ref>。

== 構造 ==
1000番台については「量産先行試作車」、0・2000番台については「量産車」と記述する。

=== 車体 ===
[[ファイル:Takefu Station Thunderbird1 200507.jpg|thumb|非貫通型先頭車（0番台）]]
車体は[[炭素鋼|普通鋼]]製を基本とし、軽量化の観点から強度が必要な個所に関しては[[耐候性鋼|高耐候性圧延鋼材]]、屋根板および床板には腐食を考慮して[[ステンレス鋼]]を使用している<ref name="RF199507_107">『鉄道ファン』1995年7月号、交友社、1995年、p.107</ref>。量産先行試作車落成時は9両貫通編成であったため、非貫通型運転台しか存在しなかったが、量産車では七尾線への乗り入れを考慮して6両+3両への編成分割および併合時の通り抜けができるよう、貫通型運転台を備える車両も落成した<ref name="RF199507_104">『鉄道ファン』1995年7月号、交友社、1995年、p.104</ref>。非[[貫通扉|貫通型]]前頭部は大型曲面1枚ガラスの流線形とし、スカートも一体形状とすることでスピード感あふれる形状とした<ref name="RF199507_107" />。貫通型前頭部は美観確保の観点から幌を収納式とし、幌内側には化粧板を備えて防音性を確保している<ref name="RF199507_107" />。側面[[窓]]は連続窓構造である。

安定した高速度走行と曲線通過性能の向上を目指した低重心設計が施されており、曲線通過性能は半径700m以上で本則+25km/hである<ref name="RF199507_106">『鉄道ファン』1995年7月号、交友社、1995年、p.106</ref>。

列車種別・行先表示器は[[JR西日本221系電車|221系]]以来の標準である、列車種別表示部が[[方向幕|字幕式]]、行先表示部は[[発光ダイオード|LED]]式となっている。各乗降扉の横には、LED式の号車番号表示と座席種別表示器が設置されている。

<gallery>

ファイル:JRW series681-1000 Headside.JPG|非貫通型先頭車（1000番台）。乗務員室側窓の形状が0番台と異なる。
ファイル:Ohayō Express.JPG|貫通型先頭車
ファイル:JRW series681 destination.jpg|列車種別・行き先表示器
</gallery>

=== 主要機器 ===
[[ファイル:JRW series683-0 pantograph.jpg|thumb|下枠交差式パンタグラフWPS27D<!--これは683系のパンタグラフでは?-->]]
量産先行試作車では、[[動力車|電動車]] (M) に[[可変電圧可変周波数制御|VVVFインバータ]]と補助電源装置、[[付随車]] (Tp, T)　に[[集電装置]]・[[変圧器]]・[[整流器]]と[[圧縮機|空気圧縮機]]を分散搭載し、M - Tp - T の3両1[[動力車#ユニット方式|ユニット構成]]となっていたが、量産車では M - Tp の2両1ユニットと、動力関係機器の搭載のない純然たる付随車に改め編成の自由度を大きくした。これにより、M車は直流電車と機器の共通化が容易となるとともに重量物を集中配置して粘着性能を確保している<ref name="RF199507_108">『鉄道ファン』1995年7月号、交友社、1995年、p.108</ref>。Tp車には交直流機器を配置し、保守上も特高圧機器と高低圧機器の混在によるトラブル防止のメリットがある。それに加えて、ユニットを組まない付随車 (T) を組み込むことで編成を構成している。

主変圧器 (WTM26) は強制風冷式を採用し、1,400[[ボルト (単位)|kV]][[アンペア|A]]の容量が備わっている<ref>[http://www.mitsubishielectric.co.jp/society/traffic/syaryou/suisin/syuhenatuki/henatuki_seihin.html 車両システム・推進制御システム・主変圧器--製品紹介--] - [[三菱電機]]車両システム</ref>。80km/h以上での走行性能向上に伴い、量産先行試作車に比べて容量が見直されている<ref name="RF199507_108" />。

主整流器 (WRS103) は[[サイリスタ位相制御]]コンバータが使用され、VVVFインバータ (WPC6) は[[ゲートターンオフサイリスタ|GTOサイリスタ]][[半導体素子|素子]]を使用した [[パルス幅変調|PWM]] インバータである。インバータ1基で1台の[[かご形三相誘導電動機]]を制御する 1C1M 制御方式が採用されている。

補助電源装置は、GTO二重チョッパ+[[絶縁ゲートバイポーラトランジスタ|IGBT]]3レベルインバータで構成された[[静止形インバータ]] WSC33を採用する<ref name="RF199507_109">『鉄道ファン』1995年7月号、交友社、1995年、p.109</ref>。低騒音化、メンテナンスフリー化を図るとともに、インバータ素子をパワートランジスタ（量産先行試作車）から変更することで制御応答性を向上させた<ref name="RF199507_109" />。空気圧縮機 (WMH3096-WTC1500) は、往復単動2段式水平対向4気筒が搭載されている。

[[デッドセクション]]通過時は[[操縦席|運転席]]の交直切替スイッチを操作することで主回路が切り替わる。車内[[照明]]は直流電源方式で、デッドセクション通過時には[[二次電池|蓄電池]]からの供給に切り替わるため、基本的に消灯しない。

集電装置は、[[JR西日本221系電車|221系]]や[[JR西日本207系電車|207系]]と同様に[[集電装置#下枠交差型|下枠交差式]]パンタグラフ (WPS27C) が採用されている。

[[鉄道車両の台車|台車]]は、軸はり式の[[鉄道車両の台車史#ボルスタレス台車|ボルスタレス台車]] WDT300（電動車両）・WTR300（付随台車）で、車輪径は860[[ミリメートル|mm]]、[[ホイールベース|軸距]]は2,100mmである。160km/h走行に対応するために基礎ブレーキ装置が強化されており、WDT300 は[[ブレーキキャリパー|キャリパ]]式[[ディスクブレーキ]]が、WTR300は[[踏面ブレーキ]]と1車軸あたり2枚のディスクブレーキが搭載されている。高速走行時の安定性を確保するため、[[蛇行動#ヨーダンパ|ヨーダンパ]]とアンチローリング装置が備わっている。

屋根上には[[エア・コンディショナー|空調機器]]が搭載されており、量産車は[[集中式冷房装置|集中式]]の WAU704 が1基と、ユニットを組まずに交流関係の機器を搭載しない車両（クロ681形・クハ681形・サハ681形）には圧縮機と[[エバポレーター]]を分離したセパレート方式の WAU303 が2基搭載されている。冷房能力は1両あたり36,000[[カロリー|kcal]]/hと共通である。量産先行試作車はセパレート型 WAU302 で、2基搭載されている。

[[警笛#西日本旅客鉄道（JR西日本）|ミュージックホーン]]は[[メロディ|旋律]]を奏でるタイプを搭載し、本系列以降のJR西日本の特急形電車でも採用された。

=== 車内 ===
3両に2両の割合（編成中の付随車）で[[列車便所|トイレ]]・[[洗面器#洗面台・洗面所|洗面所]]が設置され、そのうち編成中の1か所は[[車椅子]]に対応したものである。客室両端には、8色[[プラズマディスプレイ]]式の[[車内案内表示装置]]が設置されているが、老朽化などから2007年ごろから683系と同じLED式への取り替えが進められている。

[[普通車 (鉄道車両)|普通車]]の[[鉄道車両の座席|座席]]は通路を挟んで横2列+2列の4[[アブレスト]]で配置されており、肘掛内蔵テーブルや、シートバックテーブルが備えられた[[リクライニングシート]]である。[[座席#シートピッチ|シートピッチ]]は970mmで、座席[[モケット]]の色は、奇数号車はサーモンピンク、偶数号車はグレーブルーと分けられている。

[[グリーン車]]の座席は通路を挟んで横2列+1列の3アブレストでリクライニングシートが配置されている。シートピッチは1,160mmで、肘掛内蔵テーブルやフットレストが備えられている。
<gallery>
ファイル:JRW series681 greencar-inside.jpg|グリーン車の車内
ファイル:681kei syanai.JPG|0番台の普通車の車内（奇数号車）
ファイル:681kei syanai 2.JPG|0番台の普通車の車内（偶数号車）
ファイル:JRW series681-1000 ordinarycar-inside.JPG|1000番台の普通車の車内
</gallery>

== 形式 ==
; クモハ681形 (Mc)
: 普通席を備える貫通型[[制御車|制御]]電動車。サハ680形とユニットを組んで使用される。[[越後湯沢駅|越後湯沢]]・[[和倉温泉駅|和倉温泉]]向き運転台、車椅子対応設備を備え、VVVFインバータ・補助電源装置・電動空気圧縮機などが搭載されている。
:
; モハ681形 (M)
: 普通席を備える中間電動車。クハ680形・サハ680形とユニットを組んで使用される。VVVFインバータ・補助電源装置・電動空気圧縮機などが搭載されている。
:
; クロ681形 (Tsc)
: [[グリーン車|グリーン席]]を備える非貫通型制御付随車。[[大阪駅|大阪]]向き運転台・トイレ・洗面所が備えられている。
:
; クハ681形 (T'c)
: 普通席を備える非貫通型制御付随車。越後湯沢・和倉温泉向き運転台・トイレ・車椅子対応設備が備えられている。
:
; クハ680形 (Tpc)
: 普通席を備える貫通型制御付随車。クモハ681形・モハ681形とユニットを組んで使用される。大阪向き運転台・トイレ・洗面所を備え、主変圧器・主整流器・集電装置などが搭載されている。
:
; サハ681形 (T)
: 普通席を備える中間付随車。トイレ・洗面所・[[車内販売]]準備室・車椅子対応設備・多目的室・[[自動販売機]]・業務用室・車掌室が設置されている。
:
; サハ680形 (Tp)
: 普通席を備える中間付随車。クモハ681形・モハ681形とユニットを組んで使用される。トイレ・洗面所・[[列車電話|公衆電話]]を備え、主変圧器・主整流器・集電装置などが搭載されている。

{| class="wikitable" style="text-align: center; font-size:80%;"
|+ JR西日本
|style="background:#ccc;" colspan="7"|{{TrainDirection|大阪|富山・和倉温泉}}
|-
!rowspan="2"|1000番台
|style="width:5em"|クロ681<br />-1001
|style="width:5em"|サハ680<br />-1101
|style="width:5em"|モハ681<br />-1051
|style="width:5em"|サハ680<br />-1301
|style="width:5em"|モハ681<br />-1101
|style="width:5em"|クハ681<br />-1501
|-
|style="width:5em"|クハ680<br />-1201
|style="width:5em"|モハ681<br />-1301
|style="width:5em"|クハ680<br />-1501
|colspan="3"|
|-
!rowspan="4"|0番台
|style="width:5em"|クロ681<br />-0
|style="width:5em"|サハ680<br />-0
|style="width:5em"|モハ681<br />-300
|style="width:5em"|サハ681<br />-300
|style="width:5em"|サハ680<br />-0
|style="width:5em"|クモハ681<br />-500
|-
|style="width:5em"|クロ681<br />-0
|style="width:5em"|サハ680<br />-0
|style="width:5em"|モハ681<br />-0
|style="width:5em"|サハ681<br />-300
|style="width:5em"|サハ680<br />-0
|style="width:5em"|クモハ681<br />-500
|-
|style="width:5em"|クハ680<br />-500
|style="width:5em"|モハ681<br />-0
|style="width:5em"|クハ681<br />-200
|colspan="3"|
|-
|style="width:5em"|クハ680<br />-500
|style="width:5em"|モハ681<br />-300
|style="width:5em"|クハ681<br />-200
|colspan="3"|
|}

{| class="wikitable" style="text-align: center; font-size:80%;"
|+ 北越急行
|style="background:#ccc;" colspan="7"|{{TrainDirection|越後湯沢・和倉温泉|金沢}}
|-
!rowspan="2"|2000番台
|style="width:5em"|クハ680<br />-2500
|style="width:5em"|モハ681<br />-2000
|style="width:5em"|クハ681<br />-2000
|colspan="3"|
|-
|style="width:5em"|クロ681<br />-2000
|style="width:5em"|サハ680<br />-2000
|style="width:5em"|モハ681<br />-2200
|style="width:5em"|サハ681<br />-2200
|style="width:5em"|サハ680<br />-2000
|style="width:5em"|クモハ681<br />-2500
|}

<gallery>  
ファイル:JRwest Kumoha681-508.jpg|クモハ681形（クモハ681-508）
ファイル:JRwest Moha681-4.jpg|モハ681形（モハ681-4）
ファイル:JRwest Kuroha681-5.jpg|クロ681形（クロ681-5） 
ファイル:JRwest Kuha681-4.jpg|クハ681形（クハ681-4）  
ファイル:JRwest Kuha680-504.jpg|クハ680形（クハ680-504）  
ファイル:JRwest Saha681-208.jpg|サハ681形（サハ681-208）  
ファイル:JRwest Saha680-15.jpg|サハ680形（サハ680-5）  
</gallery>

=== 改造 ===
==== 量産先行試作車の量産化統一工事 ====
{| style="margin:0em 0em 0em 1em; border:solid 1px #999; text-align:center; font-size:80%; float:right;"
|-
|colspan="2"|{{TrainDirection|大阪|和倉温泉・富山}}
|-
|
{| class="wikitable"
|+ 落成当初
|style="width:4em"|クロ681<br />-1
|style="width:4em"|サハ680<br />-101
|style="width:4em"|モハ681<br />-201
|style="width:4em"|サハ680<br />-201
|style="width:4em"|モハ681<br />-1
|style="width:4em"|サハ680<br />-101
|style="width:4em"|サハ680<br />-1
|style="width:4em"|モハ681<br />-101
|style="width:4em"|クハ680<br />-1
|}
|
|-
|
{| class="wikitable"
|+量産化改造後
|style="width:4em"|クハ680<br />-1001
|style="width:4em"|モハ681<br />-1001
|style="width:4em"|サハ680<br />-1001
|style="width:4em"|サハ680<br />-1101
|style="width:4em"|モハ681<br />-1101
|style="width:4em"|サハ680<br />-1201
|style="width:4em"|モハ681<br />-1201
|style="width:4em"|サハ680<br />-1101
|style="width:4em"|クロ681<br />-1001
|}
|}
1000番台は登場当初はクロ681形を[[富山駅|富山]]側に連結していたが、編成の向きを後述の[[#0番台|0番台]]と統一させるために、[[西日本旅客鉄道鷹取工場|鷹取工場]]・[[西日本旅客鉄道吹田工場|吹田工場]]・[[金沢総合車両所|松任工場]]で改造工事を施工することになった。しかし、改造工事中の[[1995年]][[1月17日]]の[[兵庫県南部地震]]（[[阪神・淡路大震災]]）で3両が被災した。

同年3月から改めて工事を施工したが、地震によって鷹取工場の事務所が倒壊し改造図面が紛失したため、設計担当者が現場作業者と一緒に改造を進めることとなった。また、電動車の主電動機が機器管理庫内の立体棚から落下したため、量産車の予備の主電動機を制御器のプログラムを書換えの上使用することとなった<ref>西日本旅客鉄道『阪神・淡路大震災 鉄道復旧記録誌』[[交通新聞社]]、p.640、1996年。</ref>。工事内容を以下に示す<ref>『鉄道ファン』2009年5月号、交友社、2009年、p.58</ref>。

*クロ681-1（元9号車）は、出入り口を移設の上、連結面側に洗面所・洋式便所を追加し、クロ681-1001として大阪側（1号車）に方向転換。
*モハ681-201（元7号車）は、方向転換の上、モハ681-1201として連結位置を3号車に変更。
*クハ680-1（元1号車）は、出入り口を移設の上、連結面側に洗面所・小便器・洋式便所・自動販売機を追加し、クハ680-1001として富山側（9号車）に方向転換。
*サハ680-101（元8号車）、サハ680-201（元6号車）、モハ681-101（元2号車）、サハ681-101（元4号車）、サハ680-1（元3号車）およびモハ681-1（元5号車）は、連結位置を2号車（サハ680-1101）、4号車（サハ680-1201）、5号車（モハ681-1101）、6号車（サハ681-1101）、7号車（サハ680-1001）、8号車（モハ681-1001）に変更。

改造と同時に1000番台へ[[鉄道の車両番号|車両番号]]を変更した。塗色は0番台と同一のものに変更され、「'''Super Raicho THUNDERBIRD'''」の[[ロゴタイプ|ロゴ]][[シール|ステッカー]]が貼り付けられた。その後は9両固定編成として一部の「スーパー雷鳥（サンダーバード）」（のちに「サンダーバード」に統一）に対して限定運用されていた。

[[2001年]]9月には9両固定編成から量産車と同一の基本編成6両と付属編成3両にするために、6号車と7号車の付随車（サハ）を制御車（クハ）に改造し、一部車両では車両番号を変更した。

0番台との差異は、非貫通先頭車の運転台側窓の形が0番台が台形に対し、1000番台は三角形である点である。

==== 車内設備統一工事 ====
2002年12月から2004年7月にかけて、当時[[金沢総合車両所]]に所属していた「サンダーバード」用車両39両（T01 - T03・T06・T11 - T13・T15・T17編成）に対して、683系との車内設備統一を図る目的で改造が施工された<ref name="JRR 2010Sum 3">ジェー・アール・アール編『JR電車編成表 2010夏』交通新聞社、2010年、p.132。ISBN 978-4-330-14310-1。</ref>。

* 3号車と8号車の入れ替え（座席モケットの色も変更） - 当初は3号車富山・和倉温泉側と4号車大阪側に乗降扉がなかった。
** 3号車を8号車へ組成位置を変更すると同時に、車掌室を撤去し自動販売機と座席を1列増設。
* 4号車の[[売店]]（プチカフェテリア）を撤去し自動販売機・車内販売準備室を設置、車掌室を3号車から移動。
* 9号車の[[バリアフリー]]対応化 - 客用ドアを広幅化、車椅子対応トイレを設置、座席を2席分撤去し車椅子対応化。
* グリーン車の[[薄型テレビ#液晶テレビ|液晶テレビ]]を撤去。

この改造により、新たに以下の番台区分の車両が発生した。
; モハ681形300番台 (M)
: クハ680形もしくはサハ680形とペアを組んで使用されている。種車はモハ681形0・200番台で、車掌室を撤去し自動販売機と座席が1列増設された。
:*モハ681-201 - 203・206・7 → モハ681-301 - 303・306・307
; クハ681形200番台 (Tc)
: 種車はクハ681形0番台で、車椅子対応設備・車椅子対応トイレが設置された。
:*クハ681-1 - 3・5・7 → クハ681-201 - 203・205・207
; サハ681形300番台 (T)
: 種車はサハ681形200番台で、売店を撤去し、自動販売機・車内販売準備室・車掌室が設置された。
:*サハ681-201 - 203・206 → サハ681-301 - 303・306

{| style="margin:0em 0em 0em 1em; border:solid 1px #999; text-align:center; font-size:80%; padding:1em;"
|-
|colspan="2"|{{TrainDirection|大阪|和倉温泉・富山}}
|-
|
{| class="wikitable"
|+基本編成
!改造前
|style="width:5em"|クロ681<br />-0
|style="width:5em"|サハ680<br />-0
|style="width:5em"|モハ681<br />-200
|style="width:5em"|サハ681<br />-200
|style="width:5em"|サハ680<br />-0
|style="width:5em"|クモハ681<br />-500
|-
!rowspan="2"|改造後
|style="width:5em"|クロ681<br />-0
|style="width:5em"|サハ680<br />-0
|style="width:5em"|モハ681<br />-300
|style="width:5em"|サハ681<br />-300
|style="width:5em"|サハ680<br />-0
|style="width:5em"|クモハ681<br />-500
|-
|style="width:5em"|クロ681<br />-0
|style="width:5em"|サハ680<br />-0
|style="width:5em"|モハ681<br />-0
|style="width:5em"|サハ681<br />-300
|style="width:5em"|サハ680<br />-0
|style="width:5em"|クモハ681<br />-500
|}
|
{| class="wikitable"
|+付属編成
!改造前
|style="width:5em"|クハ680<br />-500
|style="width:5em"|モハ681<br />-0
|style="width:5em"|クハ681<br />-0
|-
!rowspan="2"|改造後
|style="width:5em"|クハ680<br />-500
|style="width:5em"|モハ681<br />-0
|style="width:5em"|クハ681<br />-200
|-
|style="width:5em"|クハ680<br />-500
|style="width:5em"|モハ681<br />-300
|style="width:5em"|クハ681<br />-200
|}
|}
*T06・T17編成は、後に「はくたか」に転用された。そのため、同編成から転用された現W05・W15編成は他の「はくたか」用W編成と設備が一部異なっている。

== 番台区分別概説 ==
=== 1000番台 ===
[[ファイル:WestJapanRailwayCompanyType681-1000.jpg|thumb|1000番台<br />（2006年8月11日 岸辺駅）]]
[[1992年]]7月に登場し、同年12月より「雷鳥」の[[臨時列車]]として営業運転を開始した量産先行試作車である。営業開始当時は「ニュー雷鳥」という[[鉄道の車両愛称|車両愛称]]であった。

2006年時点での内装は床材や座席モケットの模様、仕切り壁の色、車内案内表示装置が683系と共通になっている。車内放送の[[車内放送#車内チャイム|チャイム]]は量産車と異なるトーンである。

後述するように683系4000番台の投入で運用に余裕ができたため、旧T07編成だった6両編成1本、旧T18編成だった3両編成1本を2011年3月12日付で[[金沢総合車両所]]から[[京都総合運転所]]（現：[[吹田総合車両所]]京都支所）に転属させている（T07編成→W01編成、T18編成→V01編成）。
{{-}}

=== 0番台 ===
[[ファイル:WestJapanRailwayCompanyType681-0.jpg|thumb|T編成による「サンダーバード」]]
[[ファイル:681kei hakutaka.JPG|thumb|W編成による「はくたか」]]
量産車は[[1995年]]2月に登場し、同年4月より営業運転を開始した。車体色は{{Color|#808080|■}}グレー・{{Color|#0000ff|■}}ブルー・□ホワイト。「はくたか」では北越急行ほくほく線内で最高速度160km/h運転を実施している。

[[1995年]][[4月20日]]から「スーパー雷鳥（サンダーバード）」の運転を開始するために、1995年2月から3月にかけて基本編成6本（T01 - T06編成）、付属編成7本（T11 - T17編成）の合計57両が落成した。さらに、[[1997年]][[3月22日]]から「はくたか」の運転を開始するために、1997年2月から3月にかけて基本編成2本（W01・W02編成）、付属編成2本（W11・W12編成）の合計18両が落成した。

「サンダーバード」用T編成には「'''THUNDERBIRD'''」（2001年までは「'''Super Raicho THUNDERBIRD'''」）、「はくたか」用W編成には「'''Hakutaka WHITE WING'''」のロゴステッカーを貼付している。

その後、2001年12月から2002年2月にかけて「サンダーバード」用に683系が増備された<ref name="JRR 2011Sum 3">ジェー・アール・アール編『JR電車編成表 2011夏』交通新聞社、2011年、p.138。ISBN 978-4-330-21211-1。</ref>。それによって余裕が出た18両（T04・T05編成→W03・W04編成、T14・T16編成 → W13・W14編成）を「はくたか」に転用し、同列車で運用されていた金沢総合車両所の485系が置き換えられ、<ref name="JRR 2011Sum 1">ジェー・アール・アール編『JR電車編成表 2011夏』交通新聞社、2011年、p.132。ISBN 978-4-330-21211-1。</ref>、2002年3月以降、JR西日本が担当する「はくたか」運用は681系に統一された。

683系4000番台の投入で運用に余裕ができたため、2009年6月には9両（T06・T17編成 → W05・W15編成）が「はくたか」に転用され<ref name="JRR 2011Sum 1" />、同年7月から2011年3月にかけて27両（T01 - T03編成 → W11 - W13編成、T15・T12・T13編成 → V11 - V13編成）を京都総合運転所に転出させている<ref name="RF 201007">「JR旅客会社の車両配置表」『[[鉄道ファン (雑誌)|鉄道ファン]]』2010年7月号、[[交友社]]、p.44。</ref><ref>ジェー・アール・アール編『JR電車編成表 2011夏』交通新聞社、2011年、p.359。ISBN 978-4-330-21211-1。</ref>。

「はくたか」転用に際して、ほくほく線内における[[単線]]の[[トンネル]]を高速で通過する際に発生するいわゆる「耳ツン」状態を防止するために気密性を高くする工事が施工されている。
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=== 2000番台 ===
[[ファイル:Hakuraka-sr681.jpeg|thumb|2000番台「Snow Rabbit Express」<br />（[[黒井駅 (新潟県)|黒井駅]] - [[犀潟駅]]間）]]
北越急行が「はくたか」の専用車両として所有する車両で、[[1996年]]に製造された。車体設備および編成は0番台「はくたか」用W編成に準拠しているが、北越急行の独自性を表すために車体塗装は変更され、{{Color|#DC143C|■}}クリムゾンと{{Color|#AFDFE4|■}}アクアブルーと□ホワイトとし、'''Snow Rabbit Express'''のロゴステッカーが貼り付けられている。

製造は、N01編成が川崎重工、N02編成が新潟鐵工所、N11とN12は近畿車輛が担当した。
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== 車両配置と運用線区 ==
2012年4月1日の車両配置<ref>ジェー・アール・アール編『JR電車編成表 2012夏』交通新聞社、2012年。ISBN 978-4-330-28612-9。</ref>と運用線区、および運用推移を以下に示す。

=== JR西日本 ===
==== 金沢総合車両所 ====
0番台3両編成6本（T11編成、W11 - W15編成）、0番台6両編成5本（W01 - W05編成）の合計48両が配置されている。T11編成は「サンダーバード」用の681系で唯一金沢総合車両所に所属する編成である。

T11編成は683系R編成（R10 - R13編成）と共用で特急「サンダーバード」（大阪駅 - 富山駅・[[魚津駅]]間）の増結用編成などとして運用されている。

W編成は北越急行が所有する2000番台（後述）や683系8000番台と共通に「はくたか」「[[おはようエクスプレス・おやすみエクスプレス|おはようエクスプレス]]」（金沢駅 - [[泊駅 (富山県)|泊駅]]間）で運用されている。

;推移
1992年7月28日に落成した先行量産車は、[[金沢総合車両所|金沢運転所]]に新製配置された。試験走行の後、同年12月26日の臨時「雷鳥」85・90号から運用を開始した<ref name="rf200905 33">『鉄道ファン』2009年5月号、交友社、2009年、p.33</ref>。

1995年4月20日ダイヤ改正にあわせ、量産車が落成した。先行量産車を含めて「'''スーパー雷鳥（サンダーバード）'''」8往復に充当され、区間130km/h運転の実施により、最速所要時間の短縮を図った。

[[1997年]][[3月8日]]ダイヤ改正では、列車名称を「'''サンダーバード'''」に改称した。運行本数は8往復で現状維持である<ref>[http://web.archive.org/web/19971022220205/www.westjr.co.jp/new/1press/dia.html 平成9年3月ダイヤ改正]（[[インターネット・アーカイブ]]）- 西日本旅客鉄道プレスリリース 1996年12月6日</ref>。また、[[北越急行]][[ほくほく線]]経由で特急「はくたか」が運行を開始し、同列車の2往復に充当される18両（6両編成2本、3両編成2本）が新製配置された。なお、同月22日付の組織改正により、金沢運転所は松任工場と統合の上、金沢総合車両所となった。

[[2001年]][[3月3日]]ダイヤ改正では、「スーパー雷鳥」の廃止と「サンダーバード」の増発（15往復）が行われた。「サンダーバード」用の683系36両（6両編成4本、3両編成4本）が新製投入され、富山・和倉温泉発着列車のすべてが「サンダーバード」となった<ref>[http://web.archive.org/web/20010417124807/www.westjr.co.jp/kou/press/4press/n001208b.html -平成13年3月 ダイヤ改正について- I 在来線特急・急行]（インターネット・アーカイブ） - 西日本旅客鉄道プレスリリース 2000年12月8日</ref>。

2002年3月22日ダイヤ改正では、JR西日本所有485系による定期「はくたか」運用を681系に置き換えるため、「サンダーバード」用として683系18両（6両編成2本、3両編成2本）が新製投入された。そして同数の681系が「はくたか」に転用された。

2009年2月から、「サンダーバード」用として683系4000番台が108両（9両編成12本）新製配置された。これによって、9両（6両編成1本、3両編成1本）が「はくたか」増発用に転用、先行量産車を含む36両（6両編成4本、3両編成4本）が683系54両とともに485系「雷鳥」置き換え用として京都総合運転所に転属した。

==== 吹田総合車両所京都支所 ====
2012年6月1日付の組織改正に伴い、京都総合運転所から改称された。

0番台3両編成3本（V11 - V13編成）、0番台6両編成3本（W11 - W13編成）、1000番台3両編成1本（V01編成）、1000番台6両編成1本（W01編成）の合計36両が配置されている。

同所に所属の683系と共通運用で、特急「サンダーバード」8往復（大阪駅 - 金沢駅・和倉温泉駅間）<ref name="JRR 2011Sum 1" />と「[[びわこエクスプレス]]」（大阪駅 - [[米原駅]]間）、「[[おはようエクスプレス・おやすみエクスプレス]]」（前者は[[福井駅 (福井県)|福井駅]] → 富山駅間、後者は金沢駅 → 福井駅間）で運用されている。

;推移
金沢総合車両所に683系4000番台が新製配置され、それに押し出される形で2009年10月1日付で9両が転入した。485系「雷鳥」の置き換え名目としており、2009年10月1日ダイヤ改正より、同時に転入した683系0番台と共通で「サンダーバード」3往復で運用を開始した。

683系4000番台の増備による金沢所からの転入により順次運用を拡大し、2010年3月13日ダイヤ改正では「サンダーバード」7往復で運用された。2011年3月12日付で転属した車両をもって金沢所から本運転所への転入を終了し、同日ダイヤ改正では1往復だけ残った「雷鳥」を置き換え、現在の運用となった。

=== 北越急行 ===
[[ファイル:Hokuetsu kyuko 681-2000 20090518.jpg|thumb|2000番台基本編成+0番台付属編成で運用される「はくたか」]]
2000番台6両編成2本（N01・N02編成）と3両編成2本（N11・N12編成）が配置されているが、車両の管理はJR西日本に委託しており、金沢総合車両所の681系「はくたか」用の編成と共通運用で、特急「はくたか」「おはようエクスプレス」（[[泊駅 (富山県)|泊駅]] - [[金沢駅]]間）で運用されている。

[[2005年]][[3月1日]]のダイヤ改正からは681系や683系8000番台編成と完全に共通運用となったために使用車両に関する問い合わせが多いことから、編成運用計画一覧が北越急行公式ウェブサイトで公開されている。
{{-}}

== 臨時運用 ==
{{出典の明記|section=1|date=2014-3}}
過去には[[富山地方鉄道]]線直通の『サンダーバード宇奈月・立山』として同社[[富山地方鉄道本線|本線]][[宇奈月温泉駅]]や[[富山地方鉄道立山線|立山線]][[立山駅]]まで乗り入れていた。また、冬季には『[[シュプール号]]』として[[信越本線]][[長野駅]]まで乗り入れた実績がある。他にも、[[長岡まつり]]開催に伴う団体臨時列車で回送列車として[[新潟駅]]まで乗り入れたほか、電化後の[[小浜線]]や[[山陰本線]]、試運転で[[北近畿タンゴ鉄道]][[北近畿タンゴ鉄道宮福線|宮福線]]にも乗り入れたことがある。

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist}}

== 参考文献 ==
* 薗浦好隆（西日本旅客鉄道株式会社車両部）「681系量産車」『鉄道ファン』1995年7月号、交友社、pp.102 - 109。

== 外部リンク ==
* {{外部リンク/JR西日本車両案内|thunderbird|サンダーバード|681系・683系}}
* {{外部リンク/JR西日本車両案内|hakutaka|はくたか|681系・683系}}
* [http://www.hokuhoku.co.jp/3annai/01syaryo/top.html 特急「はくたか」] - 北越急行

{{commonscat|JR West 681}}
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[[Category:西日本旅客鉄道の電車|681]]
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