IBM PCのソースを表示

{{Otheruses|オリジナルのIBM PC|いわゆるIBM PCクローン|PC/AT互換機|パーソナルコンピュータの一般的な用語|パーソナルコンピュータ|1970年代後期から1980年代中期にかけてリリースされた第2世代のマイコン|ホビーパソコン}}
{{infobox Information appliance
|name=IBM PC（{{lang|en|model}} 5150）
|image=[[ファイル:IBM PC 5150.jpg|200px]]
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|manufacturer=[[IBM]]
|type=[[パーソナルコンピュータ]]
|releasedate=1981年8月12日
|price=<!-- 現在の価格ではなく、初期の価格 -->
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[[ファイル:Bundesarchiv B 145 Bild-F077869-0042, Jugend-Computerschule mit IBM-PC.jpg|thumb|right|300px|[[Color Graphics Adapter|CGA]]モニタ（モデル5153）、{{lang|en|IBM PC}}キーボード、{{lang|en|IBM 5152}}プリンターおよびペーパースタンドを装備した{{lang|en|IBM PC}}({{lang|en|IBM Personal Computer model 5150}})]]
'''{{lang|en|IBM PC'''}}（{{lang-en-short|IBM Personal Computer}}）は、{{lang|en|[[IBM]]}}が[[1981年|{{lang|en|1981}}年]]に発表した[[パーソナルコンピュータ]](PC)である。IBMが最初に発売したPCであり、[[PC/AT互換機|{{lang|en|PC/AT}}互換機]]の元祖でもある。

== 呼称 ==
正式名称は「{{lang|en|IBM Personal Computer 5150}}」で、略称が「{{lang|en|IBM PC}}」である。

ただし「{{lang|en|IBM PC}}」という略称は、この「初代{{lang|en|IBM PC}}」に加え、後継モデルの{{lang|en|[[PC/XT]]}}や{{lang|en|[[PC/AT]]}}など、更にはこれらをベースとした[[コンピュータ・アーキテクチャ]]や、それに準拠した各社の[[PC/AT互換機|{{lang|en|IBM PC}}互換機（{{lang|en|PC/AT}}互換機）]]の総称としても使われ続けている。この場合は、現在{{いつ|date=2013年9月}}<!-- See [[WP:DATED]] -->は[[アップル インコーポレイテッド|アップル]]の{{lang|en|[[Macintosh]]}}との対比として、[[1990年代|{{lang|en|1990}}年代]]までの日本では[[日本電気]]の[[PC-9800シリーズ|{{lang|en|PC-9800}}シリーズ]]などの「国産独自仕様パソコン」との対比として、使われる場合が多い。

逆にIBM社製のパーソナルコンピュータでも、基本仕様が異なっていて本機と互換性のないものは「{{lang|en|IBM PC}}」とは呼ばれない。

[[周辺機器]]や[[ソフトウェア]]に、対応機種の欄に「{{lang|en|IBM PC}}互換」<ref>{{lang-en-short|IBM PC Compatible}}</ref>と書かれたものが多いが、これも上記の「{{lang|en|IBM PC}}互換機」を指したものである。

== 概要 ==
「{{lang|en|IBM PC}}」として有名なIBMパーソナルコンピュータは、[[PC/AT互換機|{{lang|en|IBM PC}}互換機]]のオリジナルであり元祖である。IBMのモデルナンバーは5150。1981年[[8月12日|{{lang|en|8}}月{{lang|en|12}}日]]に発表された。[[フロリダ州]][[ボカラトン]]にあるIBMエントリーシステム部門<ref>{{lang-en-short|Entry System Division}}、ESD</ref>のドン・エストリッジ<ref>{{lang-en-short|Don Estridge}}</ref>の指揮によるエンジニアとデザイナで構成されたチームによって開発された。

「パーソナルコンピュータ」という用語は1981年の時点ですでに一般的に普及しており、[[ゼロックス]][[パロアルト研究所]]の{{lang|en|[[Alto]]}}の特徴を示すため[[1972年|{{lang|en|1972}}年]]頃という早い時期に使われていた。しかしながら{{lang|en|IBM PC}}の成功により、{{lang|en|IBM PC}}互換機を指す一般的な用語となった。

[[2005年|{{lang|en|2005}}年]]第2四半期に、IBMはPC事業を[[レノボ]]に売却した。これはその後のIBMの[[ビジネス]]の中核が、[[サーバ]]と[[メインフレーム]]や関連サービスに移ったことを物語っている。

== 歴史 ==
オリジナルのPCは、{{lang|en|[[Apple II]]}}と{{lang|en|[[CP/M]]}}マシンで独占されていたホームコンピュータ市場への参入を企図したIBMの、最初の製品として誕生した。

これ以前のIBMは、{{lang|en|[[IBM 5100]]}}とそれに続く2機種を設計・販売していたが、ホームコンピュータに競合する製品ではなかった。改めて製品を開発するうえで従来の開発手順をとらず、敢えて会社の慣習的開発手法に囚われることなく、市場からパーツ（{{lang|en|[[CPU]]}}、[[記憶装置|メモリ]]などの[[ハードウェア]]部品や、{{lang|en|[[オペレーティングシステム|OS]]}}などのソフトウェア）を短期に調達することを認められた特別チームを編成した。このプロジェクトには、「チェス」という開発コードネームが与えられた。

このチームはドン・エストリッジをリーダーとするわずか12人のメンバーで構成されていた。彼らは与えられた約1年の制約の中でパーソナルコンピュータ(PC)の開発に成功した。僅かな期間で製品を仕上げるために、彼らはまず、様々な国や企業から「既製品」のパーツを集めてマシンを構築することにした（[[OEM]]戦略）。IBMは自社開発するところは先にコンポーネントを開発していた。次に、他社が周辺機器や互換ソフトを製造販売できるように、オープン[[コンピュータ・アーキテクチャ|アーキテクチャ]]とすることを決定。{{lang|en|[[Read Only Memory|ROM]]}} {{lang|en|[[Basic Input/Output System|BIOS]]}}の[[ソースコード]]を公開した。ソースコードが著作権で保護されることもあり、合法的に「クローン」を作り上げる方法が見つけ出されることは考えられていなかった。

このときドン・エストリッジと彼のチームは、{{lang|en|[[IBM 801|801]]}}プロセッサを採用し、[[ニューヨーク]]のヨークタウンハイツにあるIBMの研究所で開発された{{lang|en|OS}}を使うことを考えていた（801は[[ジョン・コック]]によって設計された初期の{{lang|en|[[RISC]]}}[[マイクロプロセッサ|マイコン]]だった）。801は{{lang|en|[[Intel 8088|8088]]}}より少なくとも一桁はパワフルであり、{{lang|en|OS}}は最終的に選択した[[マイクロソフト]]の{{lang|en|[[MS-DOS]]}}より何年も進んでいた。最終的にはこのソリューションは採用されず、結果的に開発期間を短縮しスケジュールの遅延を防ぐことができた。

出来上がった製品に5150という番号は付けられたが、5100～5120のシリーズとの共通点は全くない。

競合他社はまもなく機能的に等価なコピーを合法的に生産するため[[リバースエンジニアリング]]を行い、権利侵害を避けるための{{lang|en|BIOS}}の[[クリーンルーム設計]]に着手した。コロンビア・データ・プロダクツ<ref>{{lang-en-short|Columbia Data Products}}</ref>は最初の{{lang|en|IBM PC}}互換機を[[1982年|{{lang|en|1982}}年]]に発表した。[[コンパック]]は最初の{{lang|en|IBM PC}}互換の[[ラップトップパソコン|ポータブルマシン]]を1982年11月に発表した（[[1983年|{{lang|en|1983}}年]]3月まで出荷されなかった）。

{{lang|en|IBM PC}}が商業的に成功すると、PCはIBMのいつものクローズドな[[ライセンス]]形態に戻されたが、結果的には競合他社が市場をリードすることの邪魔にはならなかった。この点について、IBMが彼らのプロダクトラインを「合理化（高価格モデルとの「競合」を防ぐために低価格モデルのパフォーマンスを意図的に制限）」するという慣例は逆効果であった。

== サードパーティ流通チャネル ==
[[シアーズ#シアーズ・ローバックの歴史|シアーズ・ローバック]]と{{仮リンク|コンピュータランド|en|Computerland}}の経営者は当初よりIBMのチームと関与していた。IBMの社員、特にセールス&マーケティングの担当者である H・L・スパークス<ref>{{lang-en-short||H. L. Sparks}}</ref>は、市場についての知識の多くを彼らに頼っていた。彼らは流れとしてはほぼ自動的に新商品の主要販売元となるはずだった。シアーズローバックはできる限りの総合施設を準備しており、そしてコンピュータランドがすでに190以上の店舗を所有していたことは特に重要だった。IBMとしてみれば発表と同時に全米中で十分販売できるということだった。結果的には、家庭市場よりも（元々からターゲットとされていた）オフィス市場に対して販売される結果となり、シアーズ・ローバックは失敗に終わった。

IBM全体のビジネスは次第にかつてない量の非常に安価な「箱」を販売する企業へと発展していったため、IBMの製品を販売する外部組織（IBM用語で「[[サードパーティー]]」）の使い道はPCだけにとどまらなかった。「小売業者」にローエンドのビジネスを委託することだけが、こうした新しい顧客を大量に取り扱う唯一の方法であるとIBMは当時考えていた。これは過去に食料雑貨店から[[自動車メーカー]]まで数多くの企業が採用し成功していたアプローチだった。このような他業種の戦略は膨大な末端消費者を対象としているためPCには適切とはいえなかったが、[[1990年代|{{lang|en|1990}}年代]]の終わりには多くのPCが[[自動車|車]]や[[テレビ]]さえよりも広く世界中に売られることになった。

== IBM PCの機種 ==
=== 第1世代 ===
IBMの第一世代パーソナルコンピュータ(PC)には、オリジナルの{{lang|en|IBM PC}}の他に、{{lang|en|[[PC/AT#PC XT|IBM PC/XT]]}}、{{lang|en|[[PC/AT|IBM PC/AT]]}}、{{lang|en|[[PC/AT#PC Convertible|IBM Convertible]]}}、{{lang|en|[[PC/AT#PC Portable|IBM Portable]]}}、{{lang|en|[[PC/AT#PCjr|IBM PCjr]]}}などがある。

* オリジナルのPCはマイクロソフト{{lang|en|[[BASIC]]}}（IBMカセットベーシック）を{{lang|en|ROM}}に搭載。{{lang|en|model 5151}}は、標準的なテレビを利用できる{{lang|en|[[Color Graphics Adapter|CGA]]}}ビデオカードか、{{lang|en|[[Monochrome Display Adapter|MDA]]}}アダプタとモノクロディスプレイを利用可能。標準記憶装置は[[コンパクトカセット|カセットテープ]]。[[フロッピーディスク]]はオプションで[[ハードディスクドライブ|ハードディスク]]は利用できない。5つの[[拡張スロット]]を装備し、IBM純正の最大拡張[[主記憶装置|メモリ容量]]は256KBで、メイン基板上の64KBと3本の64KBの拡張カードという構成。{{lang|en|[[CPU]]}}は4.77{{lang|en|MHz}}の{{lang|en|[[Intel 8088|8088]]}}で（[[1978年|{{lang|en|1978}}年]]初期バージョン。[[インテル]]版は1978年、1982年、1982年のバージョンがあり、1983年以降は{{lang|en|[[アドバンスト・マイクロ・デバイセズ|AMD]]}}の[[セカンドソース]]版も採用された）、[[日本電気]] ({{lang|en|NEC}})  {{lang|en|[[NEC Vシリーズ|V20]]}}と交換することで若干高速化できた。{{lang|en|[[Intel 8087|8087]]}}[[コプロセッサ]]を追加することで計算処理能力を強化できた。IBMは9、36、16{{lang|en|K}}ビットの{{lang|en|[[Dynamic Random Access Memory|DRAM]]}}チップのいずれかを使って16KBまたは64KBの{{lang|en|RAM}}を[[プリインストール]]した構成で販売した。最終的にはより多くの拡張ボードスロットを搭載し、同時にハードディスクを搭載可能な拡張筐体{{lang|en|IBM 5161}}をリリースした。

* オリジナルのPCは家庭市場向けとしては高価すぎたが、意外にもビジネス市場で大きな成功を収めた。{{lang|en|[[PC/AT#PC XT|IBM Personal Computer XT]]}}はビジネス用に拡張された機種である。8つの拡張スロットと10MBのハードディスクを搭載していた。64{{lang|en|K}}ビットの{{lang|en|DRAM}}が導入され、メインボード上に256KBのメモリを搭載でき、後発のモデルは640KBまで拡張可能（384KBの{{lang|en|BIOS ROM}}とビデオ{{lang|en|RAM}}空間で8088{{lang|en|CPU}}の1MBある残りの[[アドレス空間]]が占有されていた）。通常はモノクロディスプレイアダプタ({{lang|en|[[Monochrome Display Adapter|MDA]]}})[[ビデオカード]]とセットで販売された。このときはまだ{{lang|en|CPU}}が4.77{{lang|en|MHz}}の8088であり、拡張バスは[[XTバス|{{lang|en|XT}}バスアーキテクチャ]]という8ビットの{{lang|en|[[Industry Standard Architecture|ISA]]}}であった。

* [[1984年|{{lang|en|1984}}年]]8月に発表された{{lang|en|[[PC/AT|IBM Personal Computer/AT]]}}は当初は6{{lang|en|MHz}}の{{lang|en|[[Intel 80286|80286]]}}を{{lang|en|CPU}}に採用。16ビットの{{lang|en|ISA}}バスと20MBのハードディスクを搭載していた。[[1986年|{{lang|en|1986}}年]]により高速な8{{lang|en|MHz}}で動作する機種が発表された。IBMはこれをマルチユーザーマシンとして市場に売り込もうと試みたが、主にパワーユーザーに対してより高速なPCとして売れた。初期の{{lang|en|PC/AT}}は一部のソフトとハードの非互換性のために信頼性が低かったが、主に内蔵の20MBのハードディスクと関連していた。IBMのハードディスクコントローラーカードに問題があるという人もいれば、{{lang|en|Computer Memories Inc.}}({{lang|en|CMI}})の製造するハードディスクに問題があるという人もおり、{{lang|en|CMI}}の33MBモデルを含むそれ以外のドライブではIBMコントローラーカードは問題なく動作した。この問題はコンピュータに対する疑念を招き、この間に286アーキテクチャも問題があるように世間で考えられたが、後にIBMは20MBの{{lang|en|CMI}}のドライブをリプレースし、{{lang|en|PC/AT}}の信頼性が認められて今日に至るまで最も広く使われているパーソナルコンピュータの工業規格となった。

* {{lang|en|[[PC/AT#PC Convertible|IBM Convertible]]}}
* {{lang|en|[[PC/AT#PC Portable|IBM Portable]]}}
* {{lang|en|[[PC/AT#PCjr|IBM PCjr]]}}

== 第2世代 ==
第2世代は、{{lang|en|[[IBM PS/2|IBM Personal System/2]]}} ({{lang|en|PS/2}})シリーズの下位モデルである、{{lang|en|Model 25}}、{{lang|en|Model 30}}として知られている。各シリーズは{{lang|en|CPU}}のクロック周波数によって区別される。

一般的にIBMパーソナルコンピュータはソフトウェアの互換性があるが、全てのプログラムが全てのマシンで動作するわけではない。一部のプログラムは特定の処理速度に依存している。また古いプログラムは新しいハイレゾディスプレイ規格を利用しないだろう。

== テクノロジー ==
=== ハードウェア ===
{{lang|en|IBM PC}}のメイン基板を[[マザーボード]]という。{{lang|en|CPU}}とメモリを搭載し、拡張カードのためのスロットがあるバスを持つ。

オリジナルのPCで使われたバスはとても広く普及し、後に{{lang|en|[[Industry Standard Architecture|ISA]]}}と名づけられた。今日{{いつ|date=2013年9月}}<!-- See [[WP:DATED]] -->でも工業用途として使われている。後になってさらに高速・高機能なものが要求され、ニューバージョンの開発を強いられた。IBMは{{lang|en|PS/2}}の製品ラインナップに{{lang|en|MCA}}バスを導入した。[[VESA ローカルバス|{{lang|en|VESA}}ローカルバス]]はより高速な32ビットカードを最大3本まで搭載でき、[[Extended Industry Standard Architecture|{{lang|en|EISA}}アーキテクチャ]]は32ビットカードスロットと下位互換性のある標準規格として開発されたが、[[ハイエンド]]のサーバシステムでしか売れなかった。ローコストでより一般的な[[Peripheral Component Interconnect|{{lang|en|PCI}}バス]]が[[1994年|{{lang|en|1994}}年]]に導入され、現在{{いつ|date=2013年9月}}<!-- See [[WP:DATED]] -->広く普及している。

マザーボードはハードディスクやフロッピーや{{lang|en|[[CD-ROM]]}}ドライブのような内部記憶装置とケーブルで接続されている。これらは31/2インチ (3.5{{lang|en|inch/90mm}}) や51/4インチ (5.25{{lang|en|inch/133.4mm}}) といった標準サイズで作られる傾向があり、標準の位置にねじ穴がある。ケースは{{lang|en|AT}}または{{lang|en|[[ATX]]}}の規格サイズの電源 ({{lang|en|PSU}}) を搭載する。

8086や8088ベースのPCは1MB以上のメモリで動作するために{{lang|en|[[Expanded Memory Specification|EMS]]}}ボードが必要だ。オリジナルの{{lang|en|IBM PC AT}}は最大16MBのメモリをアクセスできる80286を採用した(標準の{{lang|en|DOS}}アプリケーションでは拡張APIを使わない限り1MB以上のメモリにアクセスできないが)。{{lang|en|[[OS/2]]}}で動く80286ベースのコンピュータは最大メモリで動作できる。

=== キーボード ===
[[File:IBM 5150 Keyboard.jpg|thumb|IBM 5150のオリジナルキーボード]]
1981年の{{lang|en|IBM PC}}に付属したオリジナルの[[キーボード (コンピュータ)|キーボード]]は元々、開発中止となった$10,000のIBMコンピューターシステムのために[[ノースカロライナ州|ノースカロライナ]]で開発された、当時最も頑丈で高品質なキーボードであった。各キーは1億回以上のキーストロークに耐える信頼性があった。当時の他のパソコンのキーボードと比較して、{{lang|en|IBM PC}}のキーボードは[[ロールス・ロイス]]であり、高品質であるというイメージを確立する重要な役割を担った。1981年秋の{{lang|en|[[バイト (雑誌)|Byte]]}}誌においては{{lang|en|IBM PC}}を購入する理由の50%はキーボードにあると書かれていた。キーボードの重要性は、（廉価にデザインされたキーボードを持っているということが主な理由となって顧客に貧相なイメージを与えた）{{仮リンク|PCジュニア|en|IBM PCjr}}の失敗により、後に確かなものとなった。1981年初期には{{lang|en|IBM PC}}でも安価なキーボードの採用が真剣に検討されたが、しかしこの間違いはあるオリジナルの開発エンジニアのアドバイスにより避けられた。

オリジナルのキーボードはリターンキーと左のシフトキーが標準的な位置にないところが批判された。1984年にIBMは{{lang|en|AT}}キーボードでこれを直したが、バックスペースキーが短くなって遠くなった。[[1987年|{{lang|en|1987}}年]]に全てのファンクションキーと<tt>{{lang|en|Ctrl}}</tt>キーが再配置された拡張キーボードが導入された。<tt>{{lang|en|ESC}}</tt>キーもキーボードの反対側に移動した。

{{lang|en|IBM PC}}互換機は、例えばシフト済みカーソルキーのように、本当の{{lang|en|IBM PC}}のキー配列を完全に再現していることを指しているわけでは無い。しかも一部の「互換機」メーカーはキーボードの交換を防ぐため、専用のキーボードインターフェイスを使うことがある。
{{see also|キー配列}}

=== 文字コード ===
オリジナルの IBM PC の使う文字コードは7ビットの {{lang|en|[[ASCII]]}} [[アルファベット]]を基としているが、非標準の[[文字コード]]を加えた8ビットに拡張している。この文字コードは一部の国際的なアプリケーションに適さず、まもなく様々な中小企業がオリジナル文字コードの様々な国際版を提供した。IBMの慣例によりこれらは[[コードページ]]と呼ばれた。これらの文字コードは現在{{いつ|date=2013年9月}}<!-- See [[WP:DATED]] -->では淘汰され、ISO 8859-1、{{lang|en|Windows}}-1251、{{lang|en|[[Unicode]]}} といった公式に規格を定められた文字コード体系により置き換えられた。

以下は {{lang|en|IBM PC}} のオリジナルの文字コードである。

{|class=wikitable style="text-align:center"
!colspan=2 rowspan=2|
!colspan=16|1の位
|-
!0!!1!!2!!3!!4!!5!!6!!7!!8!!9!!A!!B!!C!!D!!E!!F
|-
!rowspan=17|16の位
!0
|||☺||☻||♥||♦||♣||♠||•||◘||○||◙||♂||♀||♪||♫||☼
|-
!1
|►||◄||↕||‼||¶||§||▬||↨||↑||↓||→||←||∟||↔||▲||▼
|-
!2
|||!||"||#||$||%||&||'||(||)||*||+||,||-||.||/
|-
!3
|0||1||2||3||4||5||6||7||8||9||:||;||<||=||>||?
|-
!4
|@||A||B||C||D||E||F||G||H||I||J||K||L||M||N||O
|-
!5
|P||Q||R||S||T||U||V||W||X||Y||Z||[||\||]||^||_
|-
!6
|`||a||b||c||d||e||f||g||h||i||j||k||l||m||n||o
|-
!7
|p||q||r||s||t||u||v||w||x||y||z||{|||||}||~||⌂
|-
!8
|Ç||ü||é||â||ä||à||å||ç||ê||ë||è||ï||î||ì||Ä||Å
|-
!9
|É||æ||Æ||ô||ö||ò||û||ù||ÿ||Ö||Ü||¢||£||¥||₧||ƒ
|-
!A
|á||í||ó||ú||ñ||Ñ||ª||º||¿||⌐||¬||½||¼||¡||«||»
|-
!B
|░||▒||▓||│||┤||╡||╢||╖||╕||╣||║||╗||╝||╜||╛||┐
|-
!C
|└||┴||┬||├||─||┼||╞||╟||╚||╔||╩||╦||╠||═||╬||╧
|-
!D
|╨||╤||╥||╙||╘||╒||╓||╫||╪||┘||┌||█||▄||▌||▐||▀
|-
!E
|α||ß||Γ||π||Σ||σ||µ||τ||Φ||Θ||Ω||δ||∞||φ||ε||∩
|-
!F
|≡||±||≥||≤||⌠||⌡||÷||≈||°||∙||·||√||ⁿ||²||■||
|}

本トピックの詳細については[[コードページ437]]参照

=== 記憶装置 ===
公式には{{lang|en|IBM PC model 5150}}の標準記憶媒体はカセットテープである。このテクノロジーは1981年の基準でも既に時代遅れであり、あまり利用されることは無く、フロッピーディスクドライブがインストールされないほとんどの{{lang|en|IBM PC}}は在庫となった。1981年のPCは1～2台の160KBの51/4インチ片面倍密度(1{{lang|en|D}})フロッピーディスクドライブを搭載し、{{lang|en|XT}}は通常1台の両面360KBドライブを(ハードディスクの隣に)搭載した。

{{lang|en|XT}}はハードディスクが最初に内蔵された{{lang|en|IBM PC}}だった。大容量のハードディスクがIBM互換機でもまもなく利用可能となった。プリインストールされているハードディスクコントローラと互換性のないハードディスクを追加する場合は新しいコントローラーボードを接続しなければならなかった。一部のディスクは1枚の拡張ボードにコントローラーと共に統合され、これは一般に「ハードカード」と呼ばれた。

1984年、IBMは1.2MBの両面フロッピーディスク(2{{lang|en|HD}})を{{lang|en|AT model}}に採用した。バックアップストレージとしてよく利用されるが、高密度フロッピーは互換性の問題によりあまり使われなかった。1986年、IBMは720KB倍密度(2{{lang|en|DD}})31/2インチマイクロフロッピーディスクを互換[[ラップトップパソコン|ラップトップコンピューター]]に搭載した。これは{{lang|en|PS/2}}に1.44MBの高密度版(2{{lang|en|HD}})として搭載された。これらのディスクは既存の旧型PCにも搭載可能だった。[[1988年|{{lang|en|1988}}年]]にIBMは、2.88MBの「{{lang|en|DSED}}」ディスケットドライブを[[ハイエンド]]モデルに搭載したが、これはすぐに失敗し、今日{{いつ|date=2013年9月}}<!-- See [[WP:DATED]] -->では忘れ去られている（ただしディスクフォーマットユーティリティの「サイズ」の選択肢として生き残っている）。

=== オリジナルのソフト ===
全ての{{lang|en|IBM PC}}は比較的小さなソフトを{{lang|en|ROM}}に搭載している。オリジナルの{{lang|en|IBM PC}}は40KBの{{lang|en|ROM}}を搭載し、起動時自己診断機能({{lang|en|POST}})と{{lang|en|BIOS}}機能に8KBが割り当てられていることに加えて、32KBの{{lang|en|BASIC}}（カセットベーシック）が収められている。{{lang|en|DOS}}の起動ディスクがない場合は{{lang|en|ROM BASIC}}[[インタプリタ]]がデフォルトのユーザーインターフェースとなった。{{lang|en|[[Microsoft BASIC#Microsoft BASIC の派生品|BASICA]]}}はフロッピーディスクで提供され、{{lang|en|PC-DOS}}の制御下で{{lang|en|ROM BASIC}}を動かす手段を提供した。

== IBM PCとPS/2の機種ラインナップ ==
{|class=wikitable
|+{{lang|en|IBM PC}} の範囲
|-
!機種
!発表
!CPU
!特徴
|-
|[[IBM PC|PC]]||1981年8月||8088||フロッピーディスクシステム
|-
|[[PC/AT#PC XT|XT]]||1983年3月||8088
|低速ハードディスク
|-
|XT/370||1983年10月||8088
|{{lang|en|[[System/370]]}} [[メインフレーム]][[エミュレータ|エミュレーション]]
|-
|3270 PC||1983年10月||8088||3270端末エミュレーション
|-
|{{lang|en|[[PC/AT#PCjr|PCjr]]}}||1983年11月||8088
|フロッピーベースのホームコンピュータ
|-
|{{lang|en|[[PC/AT#PC Portable|PC Portable]]}}||1984年2月
|8088||フロッピーベースのポータブル
|-
|[[PC/AT|AT]]||1984年8月||80286||中速ハードディスク
|-
|{{lang|en|[[PC/AT#PC Convertible|Convertible]]}}
|1986年4月||8088||31/2インチマイクロフロッピーラップトップポータブル
|-
|XT 286||1986年9月||80286
|低速ハードディスクだが、マザーボード上にゼロ・ウェイト・ステート・メモリー<ref>{{lang-en-short|zero wait state memory}}</ref>を搭載。これにより（プレーンなメモリを使った場合の）8MHzのAT機よりも、6MHzのこのマシンの方が事実上高速だった。
|}

{{lang|en|[[IBM PS/2]]}}シリーズ'''の一覧は、[[IBM PS/2#モデル|{{lang|en|IBM PS/2}}#モデル]]を参照。

{|class=wikitable
|+IBM PC互換機の仕様
|-
!CPU
!クロック<br>周波数<br> (MHz)
!CPU <br>バス幅 <br>（[[ビット]]）
!システム <br>バス幅 <br>（ビット）
!RAM <br>(MBytes)
!フロッピー<br>ディスクドライブ
!ハードディスクドライブ <br>(MBytes)
![[オペレーティングシステム|OS]]
|-
|8088||4.77～9.5||rowspan=3|16
|8||rowspan=2|1  <sup>(1)</sup>
|rowspan=2|5.25", 360 KB<br>3.5", 720 KB<br>3.5", 1.44 MB
|10--40||rowspan=2|[[PC-DOS]]
|-
|8086||6--12||rowspan=2|16||20～60
|-
|80286||6--25||1～8  <sup>(1)</sup>
|5.25", 360 KB<br>5.25", 1.2 MB||20--300
|{{lang|en|[[PC-DOS]]}}、{{lang|en|[[OS/2]]}}
|-
|80386||rowspan=2|16～33||rowspan=2|32
|32||rowspan=2|1～16  <sup>(2)</sup>
|rowspan=2|3.5", 720 KB<br>3.5", 1.44 MB
|rowspan=2|40--600||rowspan=2|{{lang|en|[[Unix|UNIX]]}}
|-
|80386SX||16
|}

#{{lang|en|DOS}}上では{{lang|en|[[Expanded Memory Specification|EMS]]}}メモリボードを搭載することにより1MB以上の{{lang|en|RAM}}を搭載可能。
#{{lang|en|DOS}}上では普通の拡張メモリとメモリマネージメントシステムにより1MB以上の{{lang|en|RAM}}を搭載可能。

== その他 ==
* ドン・エストリッジを含むオリジナル開発チームのほとんどは[[1985年|{{lang|en|1985}}年]][[8月2日|{{lang|en|8}}月{{lang|en|2}}日]]に[[デルタ航空191便墜落事故|デルタ航空{{lang|en|191}}便墜落事故]]により死亡した。この大惨事の結果により、IBMや多くの会社が同時に1つの便に搭乗する従業員の人数を制限するようになった。
* {{lang|en|Model 5150}}は映画[[チャイルド・プレイ]]の捜査シーンに登場した。
* [[2006年|{{lang|en|2006}}年]]6月の時点では{{lang|en|IBM PC}}と{{lang|en|XT}}はほとんどの全米気象局の上空観測基地でまだ使用中である。気象観測用の[[ラジオゾンデ]]気球から送られてくるデータを処理するために使われている。これらはラジオゾンデ交換計画により複数年に渡って段階的に廃止されつつある。

== 脚注 ==
本記事は{{lang|en|GFDL}}ライセンスである{{lang|en|Free On-line Dictionary of Computing}}の内容に基づいている。
<references/>

== 関連項目 ==
* {{lang|en|[[IBM]]}}
* [[PC/AT互換機|{{lang|en|PC/AT}}互換機]]
* {{lang|en|[[Aptiva]]}}
* {{lang|en|[[ThinkPad]]}}
* {{lang|en|[[ThinkCentre]]}}

== 外部リンク ==
* [http://www-03.ibm.com/ibm/history/exhibits/pc/pc_1.html {{lang|en|IBM PC}}（英語）]
* [http://www-03.ibm.com/ibm/history/exhibits/pc25/pc25_intro.html {{lang|en|IBM PC's Debut}}（英語）]
* [http://www-03.ibm.com/ibm/history/exhibits/pc25/pc25_PH06.html {{lang|en|IBM PC}}と{{lang|en|PS/2}}の系列図(英語)]
* [http://www-03.ibm.com/ibm/history/exhibits/pc25/pc25_tenyears.html {{lang|en|IBM PC}}の最初の10年(英語)]
* [http://www.atmarkit.co.jp/fsys/pcencyclopedia/003pc_history01/pc_hist01.html 本家{{lang|en|IBM PC}}の歴史（1）～{{lang|en|IBM PC}}誕生（元麻布春男）]

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{{IBM_Computers}}

[[Category:IBMのパーソナルコンピュータ]]
[[Category:コンピュータ史]]
[[Category:コンピュータ (歴代)]]
[[Category:FOLDOCを情報源とする記事]]