F-16 (戦闘機)のソースを表示

{{Otheruseslist|原型のF-16|発展型の[[戦闘爆撃機]]仕様の試作機で、[[アメリカ航空宇宙局|NASA]]所属の実験機|F-16XL (戦闘機)|原型及び発展型を扱った作品|F-16に関連する作品の一覧}}
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{{ Infobox 航空機
|名称=F-16 ファイティング・ファルコン
|画像=画像:F-16 June 2008.jpg
|キャプション=イラク領空で飛行中のF-16C（[[2008年]]）
|用途=[[戦闘機]]
|分類=[[マルチロール機|多用途戦闘機]]
|設計者=ハリー・J・ヒレーカー
|製造者=[[ジェネラル・ダイナミクス]]（[[ロッキード・マーティン]]社）
|運用者 more=:
**{{USA}}（[[アメリカ空軍]]）
**{{ISR}}（[[イスラエル航空宇宙軍|イスラエル空軍]]）
**{{TWN}}（[[中華民国空軍|台湾空軍]]）
**{{KOR}}（[[大韓民国空軍|韓国空軍]]）
**{{EGY}}（[[エジプト空軍]]）など
|初飛行年月日=[[1974年]][[2月2日]]（非公式では同年[[1月20日]]）
|生産数=4,500機以上
|生産開始年月日=
|用開始年月日=[[1978年]]
|退役年月日=
|運用状況=現役
|ユニットコスト =<br/>F-16A/B 1,460万[[アメリカ合衆国ドル|USドル]]（[[アメリカ国防総省]]1998年度会計価格）<br/>F-16C/D 1,880万USドル（アメリカ国防総省1998年度会計価格） 
}}
'''F-16'''は、[[アメリカ合衆国]]の[[ジェネラル・ダイナミクス]]社が開発した[[第4世代ジェット戦闘機]]である。[[愛称]]はファイティング・ファルコン（Fighting Falcon）。

ジェネラル・ダイナミクス社軍用機部門の[[ロッキード]]社への売却と、ロッキードの[[マーティン・マリエッタ]]併合による[[ロッキード・マーティン]]への改称により、現在はロッキード・マーティン社の製品となっている。
__TOC__
<br style="clear:both" />

== 概要 ==
[[バージニア州]]フォールズチャーチに本社を置く[[ジェネラル・ダイナミクス]]社が開発した軽量[[戦闘機]]。当初は昼間軽量戦闘機として開発されたが、後に全天候対空/対地攻撃能力を付与された。正式な初飛行は[[1974年]][[2月2日]]。[[ストレーキ|LERX]]、胴体とLERX及び翼を一体で成形する[[ブレンデッドウィングボディ]]の採用、[[フライ・バイ・ワイヤ]]を搭載するなど、当時の革新的技術を取り入れている。その後も段階的な改良が続けられたことにより、登場から30年以上経った現在においても最新鋭戦闘機に遅れを取らない能力を維持し続けている。

[[アメリカ空軍]]では高価な[[F-15 (戦闘機)|F-15]]と安価な本機での「ハイ・ロー・ミックス」運用が行われており、保有作戦機の過半数を占めている<ref name="JWings No114 37P">『JWings』No114 [[イカロス出版]] 2008年 54頁</ref>。

4,500機以上製造され、世界20ヵ国以上の[[空軍]]が採用した実績から[[ベストセラー]]戦闘機と評されており、[[アメリカ合衆国|アメリカ]]製の[[ジェット機|ジェット戦闘機]]としては約9,000機の[[F-86 (戦闘機)|F-86]]、約5,700機の[[P-80]]、約5,000機の[[F-4 (戦闘機)|F-4]]に次ぐ第4位の生産数を誇る。現在も採用する国が増え続けているため、輸出向けの生産は現在でも続いており、[[2012年]][[4月3日]]にはモロッコ空軍向けのF-16C Block 52アドバンスドが4,500機目の納入機として完成した<ref>『JWings』No166 [[イカロス出版]] 2012年 84頁</ref>。また、本機をベースとした戦闘機や[[練習機]]が複数開発されている（後述）。

後継機として[[F-35 (戦闘機)|F-35]]を開発中で、アメリカ空軍では[[2020年代]]までの運用を予定している。[[2012年]]の時点で、1,020機を保有している。

== 開発史 ==
F-16開発の契機は、[[1970年]]頃、[[アメリカ空軍]]内部の[[ジョン・ボイド (軍人)#戦闘機マフィアとF-16|戦闘機マフィア]]と呼ばれる集団の中でも先鋭的な、[[ジョン・ボイド (軍人)|ジョン・ボイド]]を中心とするグループが、導入コストが安く稼働率の高いF-XXにより[[制空戦闘機]]F-Xの補佐を発案したことに端を発する。これは、[[F-111 (航空機)|F-111]]の発展形的内容とされた当初案を却下して、[[MiG-25 (航空機)|MiG-25]]の出現に対処するために<!--当初のコンセプトである[[MiG-21 (航空機)|MiG-21]]に対して性能比で25%優位の[[戦闘機|昼間戦闘機]]を放棄し、米空軍資料での言及なし。:http://www.airpower.maxwell.af.mil/airchronicles/cc/jim.html-->
制空戦闘を最重視して改定したF-X（後の[[F-15 (戦闘機)|F-15 イーグル]]）の運用にF-XXを組み合わせることにより、質のみらず量においても[[ソ連空軍|ソビエト空軍]]/[[ソ連防空軍|防空軍]]の戦闘機部隊を凌駕するという目的のものであった。

F-15推進派は、安価な新型戦闘機の出現がF-15導入の予算に影響すると懸念しこの動きを嫌っていた。しかし、当時[[アメリカ合衆国国防副長官|国防副長官]]だった[[デビッド・パッカード]]が、[[X-27 (航空機)#CL-1200|CL-1200ランサー]]の売り込み先を探していた[[クラレンス・ジョンソン|ケリー・ジョンソン]]の助言によりこの計画に興味を持ち、先進技術の実証機として軽量戦闘機（LWF：Light Weight Fighter）F-XXの開発計画を開始した<ref name="KFillus No.10　p140">『[[航空ファン (雑誌)|航空ファン別冊　航空ファンILLUSTRATED]]』10号、1982年、文林堂、140頁</ref><ref name="F-16_Fighting_Falcon P12">[[ビル・ガンストン]]　『F-16 ファイティングファルコン　最先端テクノロジー機のすべて』　浜田一穂訳、[[原書房]]、1996年(新装版　第2刷)ISBN 4-562-02764-9、12頁</ref><ref name="F-16_Fighting_Falcon P4">[[ビル・ガンストン]]　『F-16 ファイティングファルコン　最先端テクノロジー機のすべて』　浜田一穂訳、[[原書房]]、1996年(新装版　第2刷)ISBN 4-562-02764-9、4頁</ref><ref name="KF199906P44">『航空ファン』558号、文林堂、1999年、44頁</ref>。

[[画像:YF-16 and YF-17 in flight.jpg|thumb|250px|left|YF-17とYF-16]]
[[1972年]][[1月6日]]に提示した要求提案（RFP：request for proposal）は、通常であれば詳細な性能や想定される作戦なども記載され、200ページ程度に達するものであるのに対し、わずか21ページという簡潔な物であった。そこでは、20,000lb（約9トン）級の小型の機体で高い機動性を持ち、搭載される電子機器は単純で、最高速度は[[マッハ数|マッハ]]1.6程度、設計案のうち2案による比較テストを行うが量産や制式化は考慮しないとされていた。この要求提案を受け取ったのは9社の航空機製造メーカーであった。そのうち、[[グラマン]]（[[F-14 (戦闘機)|F-14]]）、[[フェアチャイルド (航空機メーカー)|フェアチャイルド]]（[[A-10 (航空機)|A-10]]）、[[マクドネル・ダグラス]]（[[F-15 (戦闘機)|F-15]]）、[[ロックウェル・インターナショナル]]（[[B-1 (航空機)|B-1]]）といった、すでに新型機の受注を得ていた企業は開発参加を辞退した。[[アメリカ国防総省|米国防総省]]の社会主義的な受注調整（[[カルテル#官製談合|カルテル]]）の対象になると見込まれた為である。この要求提案に応じた[[ジェネラル・ダイナミクス]] 、[[ノースロップ]]、[[ボーイング]]、[[リング・テムコ・ボート|LTV]]、[[ロッキード]]の5社のうち、ジェネラル・ダイナミクス社が開発する契約を締結した。ジェネラル・ダイナミクス社は、[[1960年代]]から社内研究案として計画していた軽量戦闘機モデル404/785/786の発展型である'''モデル401'''、ノースロップ社内研究案P-530の発展型である'''P-600'''（後の[[YF-17 (戦闘機)|YF-17]]）をLWFの審査対象と考えていた<ref name="KFillus No.10　p130">『航空ファン別冊　航空ファンILLUSTRATED』10号、1982年、文林堂、130頁</ref><ref name="Ben R. Rich　 407">ベン・リッチ『ステルス戦闘機—スカンク・ワークスの秘密』増田興司訳 [[講談社]] 1997年　ISBN 4-06-208544-5 407頁</ref><ref name="KF199906P45">『航空ファン』558号、文林堂、1999年、45頁</ref><ref name="KFillus No.10　p131">『航空ファン別冊　航空ファンILLUSTRATED』10号、1982年、文林堂、131頁</ref><ref name="AW200407P50"/>。

ロッキード社[[スカンクワークス]]が提案した'''CL-1200 ランサー'''は、極めて低い評価に終わり、[[F-5 (戦闘機)#F-5E/F|F-5A/B]]の後継海外供与機計画に続き採用されなかった。その低い評価は、[[クラレンス・ジョンソン|ケリー・ジョンソン]]の『[[ハノイ]]上空でミグ相手に[[航空戦]]を引き起こした場合、航続距離不足になるようなRFPでは意味がない（要約）』といった独断の主張に基づくものであった。しかし、[[スカンクワークス]]の2代目ボス[[ベン・リッチ]]は、提出したカタログスペックは量産されたF-16にきわめて近い物であったとしている<ref name="Ben R. Rich P388-389">ベン・リッチ『ステルス戦闘機—スカンク・ワークスの秘密』増田興司訳 [[講談社]] 1997年　ISBN 4-06-208544-5 388-389頁</ref><ref name="F-16_Fighting_Falcon P12"/>。

'''T-1100'''を提出した[[リング・テムコ・ボート|LTV]]の航空機部門は、[[ヴォート・エアクラフト・インダストリーズ]]として[[1983年]]の独立後も経営を続けているが、[[1980年代]]末のA-10後継機選定においてF-16派生型のA-16と採用を争ったA-7Fの設計を最後に航空機開発から撤退した<ref name="AW200407P50">『[[エアワールド]]』Vol.333号 、エアワールド社、2004年、50頁</ref>。

ボーイングにより提案された'''モデル908'''は、初期の評価では有力な採用候補とされていたものの、最終的には選考されなかった。この設計案はF-16と同様の機体下部[[インテーク]]を採用しており、この配置は後の[[先進戦術戦闘機計画]]（ATF：Advanced Tactical Fighter）提出案や[[X-32 (航空機)|X-32]]でも採用された<ref name="AW198906P69">『[[エアワールド]]』Vol.13 6号 、エアワールド社、1989年、69頁</ref><ref name="Jay Miller Lockheed-Martin F/A-22 Raptor: Stealth Fighter(ja) P27">[[ジェイ・ミラー]]『最強戦闘機F-22ラプター』石川潤一訳　P27</ref>。

空軍の[[武官|制服組]]による反対や海軍アナリストの横やりも有ったものの、F-4の陳腐化と[[インフレーション]]によるF-15の単価上昇によりLWFの実用化の動きが具体化し、[[1974年]][[3月7日]]に[[ジェームズ・R・シュレシンジャー]]が、LWFの計画を[[上院]]軍事委員会に提示した。その計画は、[[1980年代]]のアメリカ空軍に配備され、多目的に使用できるACF（Air Combat Fighter：空戦戦闘機）として発展させ、3年間で300機導入した場合の機体単価を300万ドルに納める戦闘機を検討するというものであった。そして、ジェームズ・R・シュレシンジャーは[[4月27日]]にACFの飛行審査を決定した。それでも空軍内部には同盟国向け戦闘機と言う見方も存在していた<ref name="F-16_Fighting_Falcon P14-17">[[ビル・ガンストン]]　『F-16 ファイティングファルコン　最先端テクノロジー機のすべて』　浜田一穂訳、[[原書房]]、1996年(新装版　第2刷)ISBN 4-562-02764-9、14-17頁</ref><ref name="KFillus No.10　p130"/>。

[[画像:DF-ST-91-10018.JPEG|thumb|250px|left|ヨーロッパへの売り込みで、一方の雄であったミラージュF1]]
[[1973年]][[11月]]に[[北大西洋条約機構|NATO]]加盟国のうち[[ベルギー]]、[[デンマーク]]、[[ノルウェー]]、[[オランダ]]の4ヶ国が[[F-104 (戦闘機)|F-104G]]を更新する機体の取得に際し、有利な取引条件を引き出す為の政治的発言力強化を目的として4ヶ国共同行動の検討を始め、[[1974年]]の始めにMFPG（多国戦闘機戦闘機計画グループ）を発足させた。これらの国々は、F-15やF-14と言った大型の戦闘機を必要としていなかったため、有力な候補とされていたのは、[[ミラージュF1 (戦闘機)|ミラージュF1]]や[[SEPECAT ジャギュア|ジャギュア]]、ACF採用案（F-16もしくはF-17）やノースロップが独自に提案したP-530、[[サーブ 37 ビゲン]]輸出型（ユーロファイター<ref>後の[[ユーロファイター タイフーン]]とは全く関係がない</ref>）である。
その候補は、ミラージュF1/M53、ACF採用案、ユーロファイターの三機種に絞り込まれた。同年五月に結成されたMFPG調査グループは同年[[6月]]に[[フランス]]と[[アメリカ合衆国|アメリカ]]、7月には[[スウェーデン]]を訪れた<ref name="F-16_Fighting_Falcon P70-71">[[ビル・ガンストン]]　『F-16 ファイティングファルコン　最先端テクノロジー機のすべて』　浜田一穂訳、[[原書房]]、1996年(新装版　第2刷)ISBN 4-562-02764-9、70-71頁</ref><ref name="F-16_Fighting_Falcon P73">[[ビル・ガンストン]]　『F-16 ファイティングファルコン　最先端テクノロジー機のすべて』　浜田一穂訳、[[原書房]]、1996年(新装版　第2刷)ISBN 4-562-02764-9、73頁</ref>。

[[画像:Fsaabmcgipen.jpg|thumb|250px|サーブ 37 ビゲンは戦時の部品供給に不安を抱えていた]]
YF-16の初飛行は、正式には[[1974年]][[2月2日]]とされる。ただし、これに先立つ[[1月20日]]の[[タキシング]]テスト中にロール軸のふらつきが発生、機体への壊滅的な損傷を防ぐため離陸し、テストを行っていた飛行場周辺を飛行した<ref name="KF199906P45">『航空ファン』558号、文林堂、1999年、45頁</ref><ref name="F-16_Fighting_Falcon P45">[[ビル・ガンストン]]　『F-16 ファイティングファルコン　最先端テクノロジー機のすべて』　浜田一穂訳、[[原書房]]、1996年(新装版　第2刷)ISBN 4-562-02764-9、45頁</ref><ref name="KFillus No.10　p131">『航空ファン別冊　航空ファンILLUSTRATED』10号、1982年、文林堂、131頁</ref>。

新型の[[ゼネラル・エレクトリック]]社YJ101を使用したため、初飛行が[[6月9日]]まで遅れたYF-17との審査はそれぞれ2機を使用し、YF-16が347回、YF-17が288回の飛行を行い、比較テストが行われた。

[[F-4 (戦闘機)|F-4]]と[[A-7 (航空機)|A-7]]、状況によっては最新鋭機だが政府とグラマン社の間で[[インフレ]]に起因する金銭的トラブルが発生していたF-14を更新する事を目的に[[1974年]]4月に正式な開発計画として始まった[[アメリカ海軍]]のVFAX（次期戦闘攻撃機）は、[[8月28日]]に予算削減を目的に、『ACFの選定で採用された航空機が採用される』と言う決定を議会が行ったが、アメリカ空軍はアメリカ海軍の要求を受け入れるつもりは無く、空軍制服組高官の中には、両者の意見交換の場で空軍側出席者に対し、公然と『海軍の要求を飲んだ人間には、[[アラスカ]]で[[サケ|サーモン]]の数を数えてきてもらう』的な恫喝すら行う者も居た<ref name="Bill Gunston F/A-18_Hornet P28">[[ビル・ガンストン]]　『F‐18ホーネット—戦闘攻撃機』　[[浜田一穂]]訳、[[原書房]]、1986年、ISBN 4-562-01806-2、28頁</ref><ref name="orr kelly Hornet: the Inside Story of the F/A-18(ja) P73">[[オア・ケリー]]　『F/A-18の秘密』　吉良忍訳、[[朝日ソノラマ]]、1992年、ISBN 4-257-17250-9、73頁</ref><ref name="Bill Gunston F/A-18_Hornet P30">[[ビル・ガンストン]]　『F‐18ホーネット—戦闘攻撃機』　[[浜田一穂]]訳、[[原書房]]、1986年、ISBN 4-562-01806-2、30頁</ref>。

海外への輸出先を確保できる可能性が出てきた事による[[アメリカ合衆国国務省|国務省]]からの圧力により、アメリカ空軍は1974年[[7月]]にACFの勝者をアメリカ空軍で制式に採用することを保証し、1975年の2月とされていたACFの採用決定は1975年1月に前倒しが決定された。この決定の前倒しに、ジェネラル・ダイナミクスとノースロップの両企業は対応可能と回答していた<ref name="F-16_Fighting_Falcon P18">[[ビル・ガンストン]]　『F-16 ファイティングファルコン　最先端テクノロジー機のすべて』　[[浜田一穂]]訳、[[原書房]]、1996年(新装版　第2刷)ISBN 4-562-02764-9、18頁</ref><ref name="F-16_Fighting_Falcon P68-69">[[ビル・ガンストン]]　『F-16 ファイティングファルコン　最先端テクノロジー機のすべて』　[[浜田一穂]]訳、[[原書房]]、1996年(新装版　第2刷)ISBN 4-562-02764-9、68-69頁</ref>。

アメリカ空軍は1975年[[1月13日]]に、機動性、航続距離、加速性での優位、F-15と共通のエンジンを使用した事によるF-15調達コストの引き下げを理由にF-16の制式採用を公表した<ref name="F-16_Fighting_Falcon P20-22">[[ビル・ガンストン]]　『F-16 ファイティングファルコン　最先端テクノロジー機のすべて』　[[浜田一穂]]訳、[[原書房]]、1996年(新装版　第2刷)ISBN 4-562-02764-9、20-22頁</ref>。

1975年3月にNATO運営委員会からミラージュF1/M53、F-16、サーブユーロファイターの比較レポートが公開された。このレポートの中でF-16は価格と機体性能は他の2機種よりすぐれているが、[[ライセンス生産]]のオフセットの見返りが一番少なく、MFPGが機体の開発計画に影響力を行使できない、先端技術を用いた部品が[[ブラックボックス]]化されていると言った事を指摘されていた<ref name="F-16_Fighting_Falcon P86-66">[[ビル・ガンストン]]　『F-16 ファイティングファルコン　最先端テクノロジー機のすべて』　[[浜田一穂]]訳、[[原書房]]、1996年(新装版　第2刷)ISBN 4-562-02764-9、86-88頁</ref>。この前後の時期から、断った上で持ちかけられた側が暴露した、ダッソーの代理人による[[オランダ]]の政治家に対する買収工作や[[中央情報局|CIA]]が公表したノースロップによる、当時[[国民議会 (フランス)|フランス国民議会]]副議長だった、[[ポール・ステラン]]買収など、MFPG参加国の政治家への買収や対立候補への妨害工作が明るみに出始めた<ref name="F-16_Fighting_Falcon 83-84P">[[ビル・ガンストン]]　『F-16 ファイティングファルコン　最先端テクノロジー機のすべて』　[[浜田一穂]]訳、[[原書房]]、1996年(新装版　第2刷)ISBN 4-562-02764-9、83-84頁</ref>。

1975年[[6月7日]][[パリ航空ショー]]の会場で、ベルギー、オランダ、ノルウェー、デンマークの4ヶ国が共同でライセンス生産したF-16を採用する事を公表した<ref name="F-16_Fighting_Falcon 88-92P">[[ビル・ガンストン]]　『F-16 ファイティングファルコン　最先端テクノロジー機のすべて』　[[浜田一穂]]訳、[[原書房]]、1996年(新装版　第2刷)ISBN 4-562-02764-9、88-92頁</ref>。

== 特徴 ==
{{出典の明記|section=1|date=2009年5月}}
;基本構造
[[画像:F-16C Fighting Falcon.JPEG|thumb|250px|left]]
F-16は当初から、胴体と翼を一体で整形する技術（[[ブレンデッドウィングボディ]],Blended Wing Body：BWB）や機体の操縦をコンピュータで補正・制御する技術（[[フライ・バイ・ワイヤ]],FBW：Fly By Wire）といった革新的技術を取り入れた設計となっていた。

ブレンデッドウィングボディは離着陸時や旋回時など大迎角での飛行の際に、胴体で揚力を発生する効果が大きいため、実質上、主翼面積を増大させたのと同等の効果を持つ。単純に主翼面積を増やした場合は、抗力の増大や回転率低下といった欠点も不可避のものとなるが、これを抑えることができる。また、胴体内容積を大きく取ることができるため、内部構造の簡素化や燃料搭載量増への効果がある。

従来の操縦系では[[操縦桿]]やフットペダルをロッドリンクやワイヤー、油圧パイプを使って[[動翼]]と機械的に接続していたが、FBWでは一方の端からの入力を電気信号に変換して電線（ワイヤー）で出力側まで伝送する。これにより、機械的接続なしに操縦席の入力を[[動翼]]の[[アクチュエータ]]に伝えたり、逆に動翼への圧力を操縦席側の[[サーボモーター]]による擬似応答とすることが可能となった。
特にデジタル信号に変換することにより[[コンピュータ]]による補正が容易になり、F-16が静安定性緩和（relaxed static stability：RSS）による[[運動能力向上機]]（Control Configured Vehicle：CCV）として実現するに至っている<ref name="KFillus No.10　p139">『航空ファン別冊　航空ファンILLUSTRATED』10号、1982年、文林堂、139頁</ref><ref>航空機における運動、つまり、姿勢変化は静安定性に抗した力を加えることであるので、静安定性を０に近づける程、姿勢変化のための力が小さくなる、つまり、運動性が高まることになる</ref>。

ブレンデッドウィングボディを持つCCVとすることにより、大きな主翼面積として翼面荷重を低く抑えるという手法を取ることなしに要求される運動性を獲得した。より小さな主翼面積は抗力や突風の影響を抑え、低空域での機動性や安定性、加速力の向上に寄与している。なお、静安定性緩和による[[水平尾翼]]の釣合い荷重の軽減に応じた尾翼面積の減少も空気抵抗低減に効果があったが、本格的生産後に判明した対地攻撃時の引き起こし時の不具合に対して30%面積を拡大されている。主翼には、後縁に[[フラップ]]と[[エルロン]]の両方の機能を持つフラッペロン<ref>飛行機は本来、主翼後縁には内側にフラップ、外側にエルロンの2つの操縦翼面が取付られているが、それを1つの操縦翼面とし、フラップとエルロンの両方の役目を持たせたもの</ref>と前縁に前縁フラップ<ref>本来は、低速飛行や離着陸時での高揚装置（より多くの揚力を発生させる）として使用されていたものだが、本機は機動性向上のために使用されている</ref>が取付けられており、小さい旋回や大[[迎角]]での飛行などの空戦時の機動性向上が図られている。また、エア・ブレーキは[[エンジン]]ノルズ付近の両側に取付けられている<ref>最強 世界の軍用機図鑑 2013年 学研パブリッシング 59頁</ref>。

機体の構造材料としては[[アルミニウム合金]]が高い割合を占め、[[F-100 (戦闘機)|F-100]]以降に[[アメリカ合衆国|アメリカ]][[戦闘機]]に広く採用されている[[チタン|チタニウム]]合金の使用率は2%程度である。[[F-15 (戦闘機)|F-15]]の25.8%と比べると10分の1程度であり、価格低減を重視している。一方で[[複合材料]]の使用率は4%に達し、F-15の1.2%よりも高い。また、F-15のボロン系に対し、より発展したグラファイト系の複合材料を採用している。
{{-}}

;コックピット
[[画像:F-16C cockpit m02006112700032.jpg|thumb|250px|right|F-16Cの計器版パネル。正面に有るのが、上から[[ヘッドアップディスプレイ]]、データ入力パネル、アナログ式の[[速度計]]（左）/[[高度計]]（右）、[[姿勢指示器]]、[[方位磁針]]、パイロットの膝の前のものは多機能ディスプレイ]]
FBWは操縦桿配置を両足の間という一般的な場所から自由に変更することを可能にした。F-16では操縦者の右側に移動させ（サイドスティック方式）、シートのリクライニング角を30度と深めることにより、遠心力の身体軸方向の分力を緩和してブラックアウトの発生を遅らせたり高G機動時の加重を体全体に分散することにより、対G能力の向上を図っている<ref name="F-16_Fighting_Falcon P140">[[ビル・ガンストン]]　『F-16 ファイティングファルコン　最先端テクノロジー機のすべて』　[[浜田一穂]]訳、[[原書房]]、1996年(新装版　第2刷)ISBN 4-562-02764-9、140頁</ref><ref name="F-16_Fighting_Falcon P141">[[ビル・ガンストン]]　『F-16 ファイティングファルコン　最先端テクノロジー機のすべて』　[[浜田一穂]]訳、[[原書房]]、1996年(新装版　第2刷)ISBN 4-562-01806-2　141頁</ref>。

操縦桿入力の信号化には操縦桿の変位ではなく操縦桿に加わる圧力を使用している。試作当初は操縦桿を固定していたが、加重もしくは迎え角の限界に達していることが伝わらずに[[パイロット]]が力を加え続けて余分な疲労を生じることがないよう、若干動くように変更された<ref name="F-16_Fighting_Falcon P143">[[ビル・ガンストン]]　『F-16 ファイティングファルコン　最先端テクノロジー機のすべて』　[[浜田一穂]]訳、[[原書房]]、1996年(新装版　第2刷)ISBN 4-562-01806-2　143頁</ref>。

パイロットには、視界に慣れるまで計器飛行を行うよう指導されるという話もある<ref name="F-16_Fighting_Falcon P146-153">[[ビル・ガンストン]]　『F-16 ファイティングファルコン　最先端テクノロジー機のすべて』　[[浜田一穂]]訳、[[原書房]]、1996年(新装版　第2刷)ISBN 4-562-01806-2　146-153頁</ref>。これは全周視界がほぼ確保されているためである。つまり、パイロットの身体の大部分に当たる周囲に[[キャノピー]]が位置して機体が視認されにくく、視界を遮る枠も単座型では後方にのみ存在しているにすぎない。このため、他機種から転換してきたパイロットは、機体と水平線の位置関係を誤認したり、錯覚として機体から加速度により振り落とされそうになるかのような感覚を抱くこともあるという。
{{-}}

;エンジン
試作機からBlock 25までの機体は、[[プラット・アンド・ホイットニー]]社製の[[プラット・アンド・ホイットニー F100|F100]]を一基搭載していたが、Block 30からは、[[ゼネラル・エレクトリック]]社製の[[ゼネラル・エレクトリック F110|F110]] の搭載も可能な[[エンジンベイ]]となった<ref name="AW199012P68">『[[エアワールド]]』Vol.14 12号 、エアワールド社、1990年、68頁</ref>。

機体下面に装備され、外見上の目立つ特徴となっている[[インテーク]]は遷音速域での効率に重点を置いた固定式となっており、軽量な機体に高出力のエンジンでありながらも最高速度を[[マッハ数|マッハ]]2に留めている。
LWFは遷音速域で起こる格闘戦を目的としてマッハ2以上の最高速度の要求がなかったため、ジェネラル・ダイナミクスでは、最高速度をマッハ2.2とする可動式インテークを装備した場合と最高速度をマッハ2程度とした固定式インテークを比較すると、超音速領域の最高速度と余剰推進力を除いた同一条件要素において固定式インテークの方が優れているとした結果である<ref name="KFillus No.10　p136-139">『航空ファン別冊　航空ファンILLUSTRATED』10号、1982年、文林堂、136-139頁</ref>。

;武装
[[画像:HAF F-16D Block 52.jpg|thumb|250px|ギリシャ空軍のF-16D Block 52アドバンスドと搭載兵器。開発当初想定されていなかった、ヘルメット照準に対応する[[IRIS-T]]や撃ちっぱなし・同時多目標攻撃能力を持つAMRAAM、誘導爆弾や対レーダーミサイル、スタンドオフディスペンサーが主体となっている]]
[[M61 バルカン|M61A1 20mmバルカン砲]]を固定武装とし、主翼先端部や主翼下に[[AIM-120 (ミサイル)|AIM-120 AMRAAM]]や[[サイドワインダー (ミサイル)|AIM-9]]を搭載可能。これに加え、[[無誘導爆弾]]や[[クラスター爆弾]]、[[レーザー]][[誘導爆弾]]、[[ロケット弾]]などを搭載できる。

この他にも採用国独自の改修を施された場合もある。
{{-}}

;愛称
愛称は、当初「マスタングII」や「コンドル」も検討されていたが、[[空軍士官学校 (アメリカ合衆国)|空軍士官学校]]でマスコットに使用されているファルコン（[[隼]]）と決定した。しかし、[[航空機]]の[[商標]]としては『ファルコン』が[[ダッソー]]の[[ビジネスジェット]][[ダッソー ファルコン]]に使われているため、訴訟を避ける目的で、'''ファイティング・ファルコン'''（Fighting Falcon：戦う[[隼]]）と言う名称が制定されている。[[アメリカ空軍|米空軍]]のパイロットや整備員の間での非公式な愛称として、[[宇宙空母ギャラクティカ|宇宙空母ギャラクティカ オリジナルシリーズ]]に由来する「[[バイパー]]」や「エレクトリックジェット」と言う名称も使用されている<ref name="F-16_Fighting_Falcon P123">[[ビル・ガンストン]]　『F-16 ファイティングファルコン　最先端テクノロジー機のすべて』　浜田一穂訳、[[原書房]]、1996年(新装版　第2刷)ISBN 4-562-02764-9、123頁</ref><ref name="AW200407P51">『[[エアワールド]]』Vol.333号 、エアワールド社、2004年、51頁</ref><ref name="Tom Clancy FW P204">[[トム・クランシー]]『トム・クランシーの戦闘航空団解剖』平賀秀明　[[新潮社]]〈新潮文庫〉、1997年、ISBN 4-10-247206-1、204頁</ref><ref name="SK (N)No86">世界の傑作機 No.86 F-4ファントムII 米空軍型 65頁</ref>。

非公式名称の一つの「バイパー」は[[インド]]向けに提案されていたF-16INの現地公式名称として、メーカー側でも使用していた。

;運用
当初[[ドッグファイト|格闘戦]]のための軽量戦闘機として開発されたにもかかわらず、対地攻撃に使用できる十分な対地攻撃能力を兼ね備えた結果「スウィング・ロール」や「スウィングファイター」と呼ばれた。近年、この種の機体は[[マルチロール機]]と呼ばれている。

低速・低空での運動性が良好であることから[[湾岸戦争]]前の時点で派生機のA-16が[[A-10 (航空機)|A-10]]の後継の座を[[A-7 (航空機)#各型|A-7F]]や[[ハリアー II (航空機)|AV-8B]]と争っていたが、湾岸戦争での実績に対する再評価によりA-10を延命改修した上で[[2028年]]まで使用した後、F-16ともども[[F-35 (戦闘機)|F-35]]で更新するという決着となっている<ref name="KF198906P77">『航空ファン』Vol38、No5、文林堂、1989年、77頁</ref>。
{{節stub}}

== 採用状況 ==
{{出典の明記|section=1|date=2009年5月}}
[[F-15 (戦闘機)|F-15]]は[[1960年代]]後半から[[1970年代]]末にかけての[[インフレ]]により高価になり、[[アメリカ空軍]]でも当初計画されていた配備済の[[F-4 (戦闘機)|F-4]]全機をF-15と発展型で置き換える事ができなかったため、F-16を並行配備して作戦機数を確保している。

対地攻撃任務は制空任務より損耗率が大きいため、高価なF-15が制空任務専門に充てられたのに対し、F-16は制空・対地の双方の任務に用いられた。

F-15系列機に対する対地攻撃任務面の長所として、軽量小型でかつCCV設計の採用によって空気抵抗が小さく、高度300m以下での低高度での機動が上回っている点もあげられている<ref>[http://search.external.lmco.com/search?q=cache:jPJrMtIh904J:www.lockheedmartin.com/aeronautics/about/Locations.html+4%2C000+built+F-16&access=p&output=xml_no_dtd&ie=UTF-8&client=default_frontend&site=default_collection&proxystylesheet=default_frontend&oe=ISO-8859-1 Locations | Lockheed Martin Aeronautics Company]</ref>。しかしその一方で、兵器の搭載量に関してはF-15には及ばない。

アメリカ空軍をはじめ多くの国で運用中であるが、[[2020年代]]からは[[F-35 (戦闘機)|F-35 ライトニングII]]への更新が進むとされる。ただしアメリカ空軍はF-16を[[2025年]]まで運用できるよう改修しており、また、[[アラブ首長国連邦]]など最新型を運用している国では2025年以降も運用されることが予想される。

<!-- 類似範囲が不明。F-2≒経国≒T-50 か。-->
F-16は[[日本]]の[[F-2 (航空機)|F-2]]の原型になっている。また、[[中華民国|台湾]]の[[F-CK-1 (航空機)|F-CK-1 経国]]は、ジェネラル・ダイナミクスの協力下でF-16級の能力を目標に自主開発された。さらに、[[大韓民国|韓国]]の[[T-50 (航空機)|T-50]]は、ロッキード・マーティンの協力下で、他の[[練習機]]からF-16を始めとする第4/4.5世代戦闘機へのステップアップを容易にし、有事の際は[[攻撃機]]として運用する事を念頭に置いて設計された。そのため、各機各様ながらF-16と類似点の多い機体となっている。

{{節stub}}

== 実戦参加 ==
F-16が参戦した戦争の多くは[[中東]]を戦場とした。
[[ファイル:F-16netz002.jpg|thumb|left|250px|[[ガリラヤ平定作戦]]で交戦経験があると思われるF-16。5つと1/2のシリア空軍およびフセイン政権時代のイラク空軍を示すキルマークがある]]
[[1981年]][[6月7日]]に[[イスラエル航空宇宙軍|イスラエル空軍]]による[[イラク]]の首都近郊の原子力発電所への航空攻撃作戦の[[バビロン作戦]]で参加し、[[1982年]][[6月6日]]にキリスト教系民兵の支援を目的に[[イスラエル]]が[[レバノン内戦]]に介入したガリラヤ平定作戦では、[[F-15 (戦闘機)|F-15]]と共に[[シリア軍|シリア空軍]]に対するベッカー高原の[[制空権|航空優勢]]を常に掌握していた<ref name="Tom Clancy FW P220">[[トム・クランシー]]『トム・クランシーの戦闘航空団解剖』平賀秀明　[[新潮社]]〈新潮文庫〉、1997年、ISBN 4-10-247206-1、220頁</ref>。

[[アフガニスタン紛争 (1978年-1989年)|ソビエト軍のアフガニスタン侵攻]]では、[[パキスタン軍|パキスタン空軍]]のF-16は[[ソビエト連邦空軍]]や[[アフガニスタンの軍事|アフガニスタン空軍]]に大きな損害をもたらした<ref name="Tom Clancy FW P220"/>。

[[ファイル:Mark-84 bomb.jpg|thumb|250px|湾岸戦争当時の『主要な武装』の一つである、[[Mk 84 (爆弾)|MK84低抵抗爆弾]]。後方のF-16に搭載されている対空ミサイルは[[サイドワインダー (ミサイル)|AIM-9]]。初期作戦能力を獲得したばかりのAIM-120は支給されていなかった]]
[[1990年]][[8月2日]]にイラクの隣国[[クウェート]]への侵攻に始まる[[湾岸戦争]]では[[アメリカ空軍]]の主力として参戦した。当時配備されていたF-16の大多数は精密誘導兵器運用能力はなく、精密誘導兵器の運用能力を持つF-16 Block 40/42保有部隊にしても[[LANTIRN]]のAN/AAQ-14標定ポッドの生産遅延によりAN/AAQ-13航法ポッドのみの保有であったため、[[対空兵器]]対策として高度1万フィート以上から目視照準で[[無誘導爆弾]]を投下する戦術に限られた上に異常気象による視界悪化から芳しい戦果を得ることはなかった<ref name="KF199611 P52">『航空ファン』527号、文林堂、1996年、52頁</ref><ref name="gunnzikennkyuu200809 P122-124">『[[軍事研究]]』No510　[[ジャパン・ミリタリー・レビュー]]　2008年　ISBN 4-562-03298-7 122-124頁</ref>。
戦争終結までの約13,000回の出撃で8機のF-16がイラク側の対空兵器で撃ち落とされた。平均して1,636回の出撃で1機という出撃回数に対する被撃墜率は、低高度攻撃を主な任務としていた[[トーネード IDS|トーネード]]や、本来想定されていない戦線後方への[[航空阻止]]に投入された結果大きな損害を被った[[A-10 (航空機)|A-10]]に比べて低かったが、機数と出撃回数の多さから損失数はトーネードの12機の次に多かった<ref name="Every man a tiger　P106-113">[[トム・クランシー]]・[[チャック・ホーナー]]『暁の出撃(下)』[[白幡憲之]] [[原書房]] 2000年　ISBN 4562032995106-113頁</ref>。

[[1992年]][[11月27日]]に[[ベネズエラ]]で発生した、[[ウゴ・チャベス]]のクーデターでは、当時のベネズエラ政府側についた部隊のF-16が、2機の[[OV-10 (航空機)|OV-10]]と1機のAT-27を撃墜した<ref>Cooper, Tom and Juan Sosa. [http://www.acig.org/artman/publish/article_161.shtml “Venezuelan Coup Attempt, 1992”]. ''Air Combat Information Group (ACIG)'', 1 September 2003. Retrieved: 16 May 2008.</ref><ref>世界の名機シリーズ F-16 ファイティングファルコン [[イカロス出版]] 2009年 ISBN 4863202458 66頁</ref>。

[[サザン・ウォッチ作戦]]において[[アメリカ軍]]のF-16は[[1992年]][[12月]]にイラク南部で[[MiG-25 (航空機)|MiG-25]]、[[1993年]][[1月]]にイラク北部で[[MiG-23 (航空機)|MiG-23]]を、視界外交戦能力を持つ[[AIM-120 (ミサイル)|AIM-120]]により撃墜した<ref name="KF199906P27">『航空ファン』558号、文林堂、1999年、27頁</ref><ref>Anon. [http://www.f-16.net/f-16_fighting_falcon_airframe-2045.html "F-16 Aircraft Database: F-16 Airframe Details for 86-0262"]. ''F-16.net''. Retrieved: 16 May 2008.</ref>。

[[キプロス島]]の領有権を巡り対立関係にある[[ギリシャ]]と[[トルコ]]の間では、[[1960年代]]から偶発的な[[ドッグファイト|空中戦]]がたびたび発生しており、[[1996年]][[10月10日]]にギリシャの[[ミラージュ2000 (戦闘機)|ミラージュ2000]]が[[トルコ軍|トルコ空軍]]のF-16Dを撃墜したが、トルコ政府がこの事件を公表するまでギリシャは事件の発生を公式に認めていなかった<ref>Anon. [http://www.acig.org/artman/publish/article_299.shtml “Greek & Turkish Air-to-Air Victories”]. ''Air Combat Information Group (ACIG)'', 28 October 2003; updated 18 September 2004. Retrieved: 16 May 2008.</ref> <ref>Dewitte, Lieven. [http://www.f-16.net/news_article619.html “Deadly 1996 Aegean clash is confirmed”]. ''F-16.net'', 22 May 2003. Retrieved: 16 May 2008.</ref>。

[[ファイル:F-16 tail.jpg|thumb|right|250px|[[アライド・フォース作戦]]で撃墜されたF-16(アメリカ空軍第555飛行隊所属機)の[[キャノピー]]と[[垂直尾翼]]。<br/>[[セルビア]]の[[ベオグラード]]{{仮リンク|ベオグラード航空博物館|label=航空博物館|en|Museum of Aviation (Belgrade)}}にて展示]]
中東での作戦と平行し、[[ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争]]において[[1994年]]にセルビア空軍機との交戦と防空施設への攻撃に投入された。

[[コソボ紛争]]末期に[[北大西洋条約機構|NATO軍]]が本格的な介入を行った[[アライド・フォース作戦]]では、[[MiG-29 (航空機)|MiG-29]]と交戦し、[[1999年]][[3月24日]]に[[オランダ空軍]]のF-16AM、[[5月4日]]にアメリカ空軍のF-16CJがそれぞれ1機ずつを撃墜した<ref name="KF199906P27"/><ref name="KF199906P29">『航空ファン』558号、文林堂、1999年、29頁</ref>。

[[2001年]]の[[アフガニスタン紛争 (2001年-)|アメリカ軍を中心とした多国籍軍のアフガニスタン侵攻]]や[[2003年]]の[[イラク戦争]]に投入された際の攻撃の多くは[[レーザー]][[誘導爆弾]]や[[JDAM]]と言った精密誘導兵器や[[AGM-88 (ミサイル)|HARM]]といったスタンドオフ兵器による対地攻撃だった<ref name="KF200306P58">『航空ファン』606号、文林堂、2003年、58頁</ref>。

[[2006年]][[5月23日]]にはギリシャとトルコのF-16が空中衝突によって失われた<ref> [http://www.f-16.net/news_article1809.html “Greek F-16 and Turkish F-16 collide - 1 pilot OK”]. ''F-16.net'', 23 May 2006. Retrieved: 16 May 2008.</ref>。

2006年[[11月27日]]、地上部隊の戦闘支援中の米軍所属機が[[バグダード]]北西30km付近で墜落した<ref>{{cite news |title=米軍F16戦闘機、バクダッド北西で墜落 - イラク|author=AFP|newspaper=[[フランス通信社]]|date=2006-11-27|url=http://www.afpbb.com/article/war-unrest/2146241/1126640|accessdate=}}</ref>。同年8月31日、[[オランダ軍]]のF-16がアフガニスタン南部で墜落した<ref>{{cite news |title=アフガニスタンでのオランダ軍機墜落、軍幹部が会見 - オランダ|author=AFP|newspaper=[[フランス通信社]]|date=2006-09-01|url=http://www.afpbb.com/article/war-unrest/2105804/841035|accessdate=2011-03-02}}</ref>。

[[2011年リビア内戦]]における[[オデッセイの夜明け作戦]]においてギリシャ、[[イタリア]]、[[アラブ首長国連邦]]のF-16は初めての実戦参加となった。
{{節stub}}

== 著名な事故 ==
[[2009年]][[9月13日]]、1機の[[イスラエル航空宇宙軍|イスラエル空軍]]所属F-16Aが[[ヘブロン]]上空での練習飛行中に爆発し、[[パイロット]]1名が死亡した<ref name="IDF-2009-09-13">{{cite news |title=「コロンビア」で死亡のイスラエル人宇宙飛行士の息子、戦闘機事故で死亡|author=AFP|newspaper=[[フランス通信社]]|date=2009-09-14|url=http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/accidents/2640945/4583471|accessdate=2011-03-02}}</ref>。このパイロットは[[コロンビア号空中分解事故]]で死亡した[[イラン・ラモーン]]の長男だった<ref name="IDF-2009-09-13"/>。

[[2011年]][[2月14日]]、多国間共同訓練[[コブラ・ゴールド]]11参加中の[[タイ王国空軍]]所属2機が空中で接触し、2機共に墜落した。脱出したパイロットは2名とも無事だった<ref>{{cite news |title=共同訓練でタイ空軍機墜落＝日本参加の「コブラ・ゴールド」|author=バンコク時事|newspaper=[[時事通信社]]|date=2011-02-14|url=http://www.jiji.com/jc/zc?k=201102/2011021400680|accessdate=2011-03-02}}</ref>。

== 派生型 ==
F-16は生産数の多さから同一マイナーコード中でも生産ブロックにより相当に仕様が異なるため、多様な派生型を持つ。

=== 社内研究案 ===
;モデル401F
:モデル401の原型案<ref name="KFillus No.10　p135">『航空ファン別冊　航空ファンILLUSTRATED』10号、1982年、文林堂、135頁</ref>
;モデル785
:モデル401と同時期に研究されていた[[ブレンデッドウィングボディ]]未適応の設計案<ref name="KFillus No.10　p136">『航空ファン別冊　航空ファンILLUSTRATED』10号、1982年、文林堂、136頁</ref>
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=== 試作機 ===
;YF-16(モデル401)
:F-16の試作機。[[エンジン]]は[[F-15 (戦闘機)|F-15]]と同じF100-PW-100を搭載。射撃管制用の[[レーダー]]FCSは簡素なものを搭載しており、[[ヘッドアップディスプレイ|ヘッドアップディスプレイ（HUD）]]は[[A-7 (航空機)|A-7]]のものを改造して装備していた。総生産機数は単座型2機のみ。
;F-16 FSD
:FSDは「全規模開発機」の略。量産に向け機体を大型化し、エンジンをF-16用に開発されたF100-PW-200に換装、[[AN/APG-66]]レーダーや全天候航法システムを追加。総生産機数は単座型6機（1-6号機）、複座型2機（7-8号機）の合計8機。
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=== F-16A/B ===
[[画像:General Dynamics F-16A-10 (SN 80-0531) landing 060905-F-1234S-030.jpg|thumb|250px|F-16A]]
;Block 1
:最初の量産型で、黒色の[[レドーム]]を持つ。[[1978年]]から配備開始。
;Block 5
:機体の機械としての信頼性と生産性の向上<ref name="KF199611 P-62">『航空ファン』527号、文林堂、1996年、62頁</ref>。黒色のレドームが空中で発見されやすいという意見から、この型以降レドームの色をグレーに変更している<ref name="mawf16P36">世界の名機シリーズ F-16 ファイティングファルコン イカロス出版 2009年 ISBN 4863202458 36頁</ref>。
;Block 10
:機体の機械としての信頼性と生産性の向上<ref name="KF199611 P-62"/>。Block 1/5も後にピース・レトロフィットI/II計画によりこの仕様に改修された。
:ニューヨーク州航空隊に配備された24機には、[[GAU-8 (機関砲)#派生機種|GAU-13 30mm機関砲]]を収めたGPU-5/A[[ガンポッド|機関砲ポッド]]を装備できるように改修され、[[湾岸戦争]]で使用されたもののあまり効果がなかったため元のBlock 10仕様に戻された<ref name="mawf16P36"></ref>。
;F-16 Nets (ネッツ)
:[[イスラエル航空宇宙軍|イスラエル空軍]]が保有するF-16 A/B Block 10の独自改修機。後に[[イスラエル・エアロスペース・インダストリーズ|IAI]]により改修が行われ、[[エンジン]]以外の性能がF-16C/D相当となっている。
;Block 15(F-16A+/B+)
:[[1981年]]から導入された多段階能力向上（[[英語|英]]：Multi Stage Inprove Program、MSIP）の第一段階（新システム向けの新配線と新構造の導入）<ref name="caa2011-2012P38">『戦闘機年鑑 2011-2012年度版』 イカロス出版 2011年 ISBN 9784863204027 38頁</ref>による最初のアップグレード型で、この時既に製造が始まっていたC/D型にも同じ改良が加えられている<ref name="mawf16P36"></ref>。外装式の{{仮リンク|照準ポッド|en|Targeting pods}}運用を目的に、インテーク側面へ[[ハードポイント]]と配線が追加され<ref name="KFillus No.10　p150">『航空ファン別冊　航空ファンILLUSTRATED』10号、1982年、文林堂、150頁</ref><ref name="KF199611 P-62"/>、それに伴う重心バランスの変化によるピッチ方向の安定性を確保するため、水平安定板の30%大型化などの改修を行った。
:当初[[ノルウェー]]向けの機体のみ、垂直尾翼基部後部に[[パラシュート|ドラッグシュート]]を装備していたが、[[ベルギー]]と[[オランダ]]も後日ドラッグシュートを追加した<ref name="KFillus No.10　p107">『航空ファン別冊　航空ファンILLUSTRATED』10号、1982年、文林堂、107頁</ref><ref name="KF199611 P60">『航空ファン』527号、文林堂、1996年、60頁</ref><ref name="KF199906P47">『航空ファン』558号、文林堂、1999年、47頁</ref>。
[[File:F-16ADF Italian Air Force.JPG|thumb|250px|イタリア空軍のF-16A ADF]]
;F-16 ADF
:[[空軍州兵]]向けの防空戦闘機型。ADFは「防空戦闘機」の略語<ref>[[英語|英]]:A Defences Fighter</ref>。[[F-106 (戦闘機)|F-106]]、[[F-4 (戦闘機)|F-4C]]後継機として、[[マクドネル・ダグラス]]（現:[[ボーイング]]）[[F-4 (戦闘機)#計画機その他|F-4能力向上型]]または[[F-15 (戦闘機)|F-15A]]、[[ノースロップ]]（現:[[ノースロップ・グラマン]]）[[F-20 (戦闘機)|F-20]]、[[ジェネラル・ダイナミクス]]F-16A/B改修案（F-16ADF）またはF-16C/D新造機と言った候補の中から、[[1986年]]10月に相対費用効果に優れていたF-16A/B改修案が採用された<ref name="MA199306 P-29">『[[モデルアート]]』No.409、モデルアート社、1993年、29頁</ref><ref name="F-16_Fighting_Falcon P230">[[ビル・ガンストン]]　『F-16 ファイティングファルコン　最先端テクノロジー機のすべて』　[[浜田一穂]]訳、[[原書房]]、1996年(新装版　第2刷)ISBN 4-562-02764-9、230頁</ref>。
:全天候要撃を行うために、Block 15に[[スパロー (ミサイル)|AIM-7]]と[[AIM-120 (ミサイル)|AIM-120]]の運用能力を追加（AIM-7用の[[イルミネーター]]と、AIM-120用のデータリンクを追加装備したAN/APG-66(V)1レーダーを搭載）。A型の垂直尾翼基部が左右に膨らみ（垂直尾翼基部にAN/ARC-200HF無線機が収容されたため）、機首左側面に[[サーチライト]]を追加、さらにA/B型共通でインテーク下側とキャノピー前方にバードスライサーとよばれる[[敵味方識別装置|IFF]]機器用のブレードアンテナが追加された<ref>現在はステルス性向上のためにカバーで覆われている</ref><ref name="MA199306 P-30">『[[モデルアート]]』No.409、モデルアート社、1993年、30頁</ref><ref name="mawf16P38">世界の名機シリーズ F-16 ファイティングファルコン イカロス出版 2009年 ISBN 4863202458 38頁</ref><!--『モデルアート』No.409を出典とする資料は、将来的に他の資料に差し替え予定-->。このIFFアンテナはAIFF（AdvancedIFFの略）といわれる機器で、この装備によりレーダーとIFFの機能を分離することができるのでレーダーとの併用が可能となっている（以前はIFFとレーダーを切り替えて使用していた）<ref>http://www.aerospaceweb.org/question/planes/q0286b.shtml</ref>。
:[[1989年]]から合計271機（A型：246機 B型：25機）が改修された。[[冷戦]]終結後の防空態勢の変更によって[[アメリカ空軍]]からは退役したが、その後中古機が[[ヨルダン]]、[[タイ王国|タイ]]に輸出され、[[イタリア]]にもリースされた。また、[[ポルトガル]]向けのBlock 15 OCUはADFとほぼ同仕様で製造された。
<div style="clear:both"></div>
;Block 15 OCU
:[[1988年]]から配備開始。OCUは「運用能力向上」の略語<ref>[[英語|英]]:Operational Capability Update</ref>。[[最大離陸重量]]の増加に伴う機体構造の補強や、C/D型と同じ広角HUDの装備、信頼性を向上させたF100-PW-220エンジンへの換装などが行われている。追加された主な搭載兵器には、[[ペンギン (ミサイル)|AGM-119]]、[[AGM-65 マーベリック|AGM-65]]、そしてAIM-120がある。アメリカ空軍では残っていたBlock 15全機とBlock 10の一部がこの仕様に改修されている<ref name="mawf16P36"></ref><ref name="mawf16P38"></ref>。
;F-16AM/BM (F-16 MLU)
:[[ベルギー]]、[[オランダ]]、[[ノルウェー]]、[[デンマーク]]が保有するF-16A/Bの近代化改修型。MLUは「寿命中近代化」<ref>[[英語|英]]:Mid-Life Update</ref>の略語。試改修初号機の初飛行は[[1995年]]。モジュラー型ミッションコンピューターやAIM-120の運用能力を持つAN/APG-66(V)2レーダー、[[グローバル・ポジショニング・システム|GPS]]など、後述するBlock 5X相当の電子機器が搭載されている。MLU仕様への改修は他の国でも行われており、アメリカ空軍でも223機のF-16A/BをMLU仕様に改修する計画があったが、冷戦の終結などにより中止された<ref>世界の名機シリーズ F-16 ファイティングファルコン イカロス出版 2009年 ISBN 4863202458 39頁</ref>。
[[File:F-16 in Songshan Air Force Base 20110813.jpg|thumb|250px|台湾空軍のF-16A Block 20]]
;Block 20
:Block 15 OCUを元にMLU仕様として[[中華民国空軍|台湾空軍]]向けに新造された機体。ただし、レーダーはダウングレード型のAN/APG-66(V)3になっており<ref>世界の名機シリーズ F-16 ファイティングファルコン イカロス出版 2009年 ISBN 4863202458 26頁</ref>、AIM-120が運用できない代わりにAIM-7を運用する（現在はAIM-120の運用が可能になっている）。[[1997年]]から配備開始。Block 20はBlock 15からBlock 25へ生産移行した際に空き番号になっていたので、MLU仕様で製造された機体に割り当てられた。軍備を増強する中国に対抗するため、アビオニクスの更新、[[スケラブル・アジャイル・ビーム・レーダー|SABR]] AESAレーダーの搭載、新型ミサイル・爆弾運用能力の付加などアビオニクスの更新やF100-PW-229エンジン搭載の研究などアップグレードが行われる予定<ref>[http://wiki.livedoor.jp/namacha2/d/F-16A/B%c0%ef%c6%ae%b5%a1%a1%d6%a5%d5%a5%a1%a5%a4%a5%c6%a5%a3%a5%f3%a5%b0%a5%d5%a5%a1%a5%eb%a5%b3%a5%f3%a1%d7%a1%ca%c2%e6%cf%d1%a1%cb  日本周辺国の軍事兵器 F-16A/B戦闘機「ファイティングファルコン」(台湾) ]</ref>。
{{節stub}}
{{-}}

=== F-16C/D ===
;Block 25
:[[1984年]]から配備開始。第二段階のMSIP（中核電子機器、[[コックピット]]、機体フレームの変更）<ref name="caa2011-2012P38"></ref>によるA/B型の能力向上型。[[エンジン]]はF100-PW-220に、[[レーダー]]は[[AN/APG-68]]に換装し、コックピットには2基の多機能ディスプレイや広角[[ヘッドアップディスプレイ|HUD]]（在来型の視野角度10°に対し15°）が搭載され、[[スパロー (ミサイル)|AIM-7]]の運用能力を得た。搭載機器の変更により[[垂直尾翼]]基部の厚みが増し前方に延長され、機体構造の改良により機体後部のパネルラインが以前の機体と変わっている<ref name="KF200404P57">『航空ファン』616号、文林堂、2004年、57頁</ref>。なお、新造機を採用したのは[[アメリカ空軍]]のみ。
[[画像:USAF_F16_80FS_SK.jpg|thumb|250px|F-16C Block 30 第354戦闘航空団第18アグレッサー飛行隊所属機（手前二機）と第80戦闘航空団第35戦闘飛行隊（奥の機体）]]
;Block 30/32
:[[1987年]]から配備開始。リスク軽減を目的としたAFE<ref>Alternative Fighter Engineの略</ref>プログラムにより、[[F-15E (航空機)|F-15E]]と共通のエンジンベイを使用した型で、従来までのF100に加えてF110（F110-GE-100）エンジンが搭載可能になった。この型以降、ブロックナンバーの下1桁は搭載するエンジンを表し、「0」がF110搭載型、「2」がF100搭載型となる。F110を搭載したBlock 30後期生産型（86-0262以降）からは[[インテーク]]を拡大したMCID（モジュラー・コモン・インレット・ダクト、通称「ビッグ・マウス」） に変更（これに対し従来のインテークはNSID ノーマル・ショック・インレット・ダクトと呼ばれる）してエンジンの吸気効率を改善し、カタログスペックから低下していた低中高度のエンジン出力を改善した。以降のモデルでもエンジンノズル形状の違いとともにF110搭載機とF100搭載機の識別点となっている。他にはインテーク部に[[レーダー反射断面積|RCS]]軽減処理を行い、在来型よりレーダー捕捉を困難にした。
:後に[[AIM-120 (ミサイル)|AIM-120]]の運用能力を得た機体はBlock 30B/32Bとも呼ばれる。その後さらに[[AGM-45 (ミサイル)|AGM-45 シュライク]]および[[AGM-88 (ミサイル)|AGM-88 HARM]][[対レーダーミサイル]]の運用能力も加えられ、[[ワイルド・ウィーゼル]]任務にも使用可能になった（この能力を本格的に持つのは後述するBlock 5Xになってからである）<ref name="KF198905P69">『航空ファン』Vol.38 No.5、1989年、69頁</ref><ref name="MA199306 P-28">『[[モデルアート]]』No.409、モデルアート社、1993年、28頁</ref><ref name="Tom Clancy FW P216">[[トム・クランシー]]『トム・クランシーの戦闘航空団解剖』平賀秀明　[[新潮社]]〈新潮文庫〉、1997年、ISBN 4-10-247206-1、216頁</ref><ref>世界の名機シリーズ F-16 ファイティングファルコン イカロス出版 2009年 ISBN 4863202458 42頁</ref>。
<!--;Block 30B、[[モデルアート]]No.409で記載有り、MCID適応型？-->
{{-}}

[[画像:F-16N of VF-45 taking off from NAS Oceana 1989.JPEG|thumb|250px|F-16N]] 
;F-16N/TF-16N
:[[アメリカ海軍]]の[[アグレッサー部隊]]による異機種戦闘訓練用に開発された型。[[1988年]]から26機（単座型F-16N：22機 複座型TF-16N：4機）が導入され、第126戦闘飛行隊（VF-126 Bandits）や[[アメリカ海軍戦闘機兵器学校|トップガン]]などで運用された。機体はBlock 30前期型に相当。軽量化のため、レーダーはA/B型のAN/APG-66を搭載し、機銃と防御電子機器は下ろされ、主翼の構造材強化と空戦機動記録用機材の追加が行われている。また、訓練では不要なため[[空対空ミサイル]]の運用能力も持たない<ref name="KF200402P63">『航空ファン』614号、2004年、文林堂、63頁</ref><ref name="mawf16P40">世界の名機シリーズ F-16 ファイティングファルコン イカロス出版 2009年 ISBN 4863202458 40頁</ref>。
:[[1991年]]の定期点検で『空軍では問題ないが海軍の基準では問題となるレベル』で主翼に[[クラック]]が発見されたことにより飛行停止。改修した上で運用再開の計画もあったが予算の問題から実行されず、[[1994年]]に海軍の保有する全てのF-16が飛行停止となり、翌[[1995年]]に退役した<ref name="MA199306 P-29">『[[モデルアート]]』No.409、モデルアート社、1993年、29頁</ref><ref name="KF200705P61">『航空ファン』653号、文林堂、2007年、61頁</ref><ref name="KF200402P63"/>。
:多くの機体はデビスモンサンや博物館に送られたが、1機の'''海軍のF-16'''は空軍の演習場で標的として破壊された<ref name="KF200402P63"/>。なお、アメリカ海軍はその後、[[パキスタン]]向けに製造されながらも引き渡されなかったBlock 15 OCU 14機（A型：10機 B型：4機）を再整備して運用している<ref>世界の名機シリーズ F-16 ファイティングファルコン イカロス出版 2009年 ISBN 4863202458 77頁</ref>。

<gallery widths="180px" heights="150px">
画像:Krzesiny 3RB.JPG|F100搭載機のインテーク
画像:Misawa Aviation AND Scence Museum F16A exhaust nozzle.jpg|F100[[ノズル]]部
画像:IAF F-16 during RED FLAG 2003 1.JPEG|F110搭載機のインテーク
画像:F-16 4 Yokota Tokyo.jpg|F110[[ノズル]]部
</gallery>

[[画像:IAF_F-16D.jpg|thumb|250px|F-16Dブラキート]]
;F-16C Barak（バラク）/D Brakeet（ブラキート）
:[[イスラエル航空宇宙軍|イスラエル空軍]]が保有するBlock 30/40の独自改修機で、[[イスラエル]]製電子戦機器を搭載した事による重量増加により、着陸装置の強化が行われている。複座型のF-16Dブラキートは、ワイルド・ウィーゼル機として使用するため、背面にドーサルスパインが新設されており、エルタEL/L-8240電子戦装置を収容する<ref name="KF200004P90">『航空ファン』568号、文林堂、2000年、90頁</ref><ref name="AW199102P80">『[[エアワールド]]』Vol.15 2号 、エアワールド社、1991年、80頁</ref>。
{{-}}

;Block 40/42(F-16CG/DG)
:[[1989年]]から配備開始。第三段階のMSIPによって作られた<ref name="mawf16P43">世界の名機シリーズ F-16 ファイティングファルコン イカロス出版 2009年 ISBN 4863202458 43頁</ref>夜間作戦能力向上型で、「ナイト・ファルコン」または「ナイト・アタック・ファルコン」と呼ばれる。[[LANTIRN]]の運用が可能になった他、視野角度がBlock 25/3Xの15°から18°に大型化したLANTIRN-HUDやGPSの装備、全天候型のAN/APG-68(V)1レーダーの搭載によるAIM-120の運用能力やデジタル式飛行操縦装置による自動地形追随機能の付加が行われた。最大離陸重量の増加に伴いタイヤとホイールが大型化されたため、主脚カバーの形状が変更され、従来[[降着装置|主脚]]に取り付けられていた[[前照灯#航空機|着陸灯とタクシー灯]]は降着装置扉に移された<ref name="KF199603P27">『航空ファン』519号、文林堂、1996年、27頁</ref><ref name="MA199306 P-29">『モデルアート』No.409、モデルアート社、1993年 29頁</ref><ref name="Tom Clancy FW P210">[[トム・クランシー]]『トム・クランシーの戦闘航空団解剖』平賀秀明　[[新潮社]]〈新潮文庫〉、ISBN 4-10-247206-1、1997年、210頁</ref><ref name="KF199611 P-55">『航空ファン』527号、文林堂、1996年、55頁</ref><ref name="KF200404P57"/><ref name="KF199906P51"/><ref name="MA199306 P-29"/><ref name="mawf16P43"></ref>。
:計画ではF-16XLのF-16E/Fに続き、Block 4XはF-16G/H、Block 5XはF-16J/K、という形式になる予定であったが、納税者が新型を開発していると誤認し当時開発中であった[[F-22 (戦闘機)|F-22 ラプター]]の調達に影響を与える可能性があったため、在来型のC/Dという名称で調達を続けた。しかし同一機体の大量保有と常に改修が行われている状況下での機体の識別が必要な為、Block 4X型をF-16CG/DG、Block 5X型をF-16CJ/DJとして区別する様になった<ref name="KF199906P51">『航空ファン』558号、文林堂、1999年、51頁</ref>。
[[画像:F-16_2_Yokota_Tokyo.jpg|thumb|250px|F-16C Block 50 インテーク右下に付いているペットボトル状の物はASQ-213 HTS]]

<span id="Block 50/52(F-16CJ)">
;Block 50/52(F-16CJ/DJ)
:[[1993年]]から配備開始。Block 4XのようなLANTIRN運用能力は持たないが、重量増加に伴い低下した運動能力の改善を目的にエンジンを出力増強型のF110-GE-129（Block 50）あるいはF100-PW-229（Block 52）へ変更した。他には探知距離と信頼性を高めたAN/APG-68(V)5レーダー、改良型の[[慣性航法装置]]やデータモデム、[[暗視装置|暗視システム]]対応[[コックピット]]などが採用されている<ref name="mawf16P43"></ref>。
;Block 50D/52D
:Block 50/52の後期生産型。レーダーは能力強化型のAN/APG-68(V)7/(V)8が搭載され、[[JDAM]]や[[AGM-154 JSOW|JSOW]]の運用能力が付加された他、防空網制圧（SEAD）任務用装備として、フルスペックでの[[AGM-88 (ミサイル)|AGM-88 HARM]][[対レーダーミサイル]]とASQ-213 HTS（HARM照準システム）ポッドの運用能力を生産段階で追加。後に以前のBlock 50/52も全てこの仕様となった<ref name="mawf16P43"></ref>。
{{-}}

;Block 50/52アドバンスド(Block 50+/52+)
:[[2002年]]から配備され始めた、Block 50/52の輸出向け更新型。[[合成開口レーダー|合成開口能力]]を持つAN/APG-68(V)9レーダーを搭載し、スタンドオフ精密誘導兵器の全天候運用が可能になった。機体構造を変更して機体背面への[[コンフォーマル・フューエル・タンク]]の装備が可能になった他、モジュラー型ミッションコンピューターやドラッグシュート収容部を利用した後方警戒レーダーの装備、[[JHMCS]]の運用能力付与、キャノピー前方へのIFF機器用アンテナの追加などが行われた<ref>世界の名機シリーズ F-16 ファイティングファルコン イカロス出版 2009年 ISBN 4863202458 44頁</ref>。
:複座型にはイスラエル空軍のF-16Dブラキートと同様にドーサルスパイン新設による電子機器追加を実施し、複座[[戦闘爆撃機]]としても運用可能になった。

;F-16I Sufa(ソウファ)
:F-16D Block 52アドバンスドのイスラエル仕様。イスラエル製の電子機器を搭載する。

;F-16CM/DM(F-16 CCIP)
:アメリカ空軍が[[パイロット]]と整備員への教育とメンテナンスの簡易化のための共通仕様実行計画（Common Configuration Implementation Program）によりCG/DG/CJ/DJの艤装を統一した改修機体。これにより夜間作戦任務主体（CG/DG）、SEAD任務主体（CJ/DJ）といった任務の区分けは不要になり、より柔軟な運用が可能になった。改修初号機は[[2002年]]に完成。
:AN/APG-68(V)9レーダーへの換装やコンフォーマル・フューエル・タンクの搭載能力など、Block 50/52アドバンスドや後述するF-16E/Fの機能の一部が盛り込まれている。機体の状況により改修点が異なり、JHMCSへの対応は648機、[[リンク16]]は517機が計画対象となっているほか、CJ/DJ限定のモノクロ多機能ディスプレイのカラー化<ref name="KF200508P51"/>や、[[LANTIRN#AN/AAQ-14|AN/AAQ-14]]や[[AN/AAQ-33|スナイパーXR]]と[[ASQ-213]]の並行運用を可能にするため、ASQ-213の取り付けをインテーク左下側面へ変更と言った改修も並行して行われる<ref name="KF200508P51">『航空ファン』632号、文林堂、2005年、8月号、51頁</ref><ref name="KF200508P53">『航空ファン』632号、文林堂、2005年、8月号、53頁</ref>。
:なお、後継となる[[F-35 (戦闘機)|F-35]]配備までの繋ぎとするため更なる改修も計画されており、機体寿命の延長や[[スケラブル・アジャイル・ビーム・レーダー|SABR]]<ref>[http://www.flightglobal.com/news/articles/northrop-grummans-sabr-wins-usaf-f-16-aesa-upgrade-bid-388984/ フライトグローバル] </ref>[[フェーズドアレイレーダー|AESAレーダー]]への換装などが予定されている<ref>『JWings』No171 [[イカロス出版]] 2012年 92頁</ref>。

;KF-16
:[[大韓民国空軍|韓国空軍]]が運用するF-16C/D Block 52に付けられた名称。
:生産段階でCCIP仕様機相当の機体儀装を実施して<ref name="KF200302 P-17">『航空ファン』602号、文林堂、2003年、17頁</ref>おり、IFF及び電子戦機器が他国のF-16CJ/DJと細部が若干異なるほか、在来型の1枚板のHUDとLANTIRN-HUDを装備する機体が混在している。アビオニクスの更新、[[レイセオン・アドバンスド・コンバット・レーダー|RACR]] AESAレーダーの搭載などの改修が行われる予定<ref>[http://japanese.china.org.cn/politics/txt/2012-08/06/content_26142127.htm]</ref><ref>[http://www6.atwiki.jp/namacha/pages/154.html?pc_mode=1|日本周辺国の軍事兵器 F-16C/D戦闘機「ファイティングファルコン」（KF-16）] </ref>。

;F-16IQ
:イラク空軍が導入したBlock 52アドバンスド。イスラエルとの関係を配慮してダウングレードが施されており、AIM-120の代わりにAIM-7を運用し、AIM-9も最新型のXは運用されない。<ref>『航空ファン』741号、2014年、文林堂、66-67頁</ref>

<gallery widths="180px" heights="150px">
画像:F-16 equipped with LANTIRN pods.jpg|LANTIRNポッドはインテーク下部に装備されている
画像:F-16D Krzesiny.JPG|ポーランド空軍のF-16D Block 52アドバンスド。機体上部のドーサルスパインにより機体形状が大幅に変わっている
画像:F-16Isufa002.jpg|敵対国中枢部へのディープストライクも可能となったF-16Iソウファ。機体上部の丸みを帯びたコブはコンフォーマル・フューエル・タンクとなっている
</gallery>
{{節stub}}

=== F-16E/F ===
[[画像:Emirati F-16 Fighting Falcon in 2009.jpg|thumb|250px|アラブ首長国連邦空軍のF-16F Block 60]]
;Block 60/62
:Block 50/52の発展型新造機。初号機のF-16Fは[[2003年]]に初飛行した。当初の名称はF-16C/D Block 6Xであったが、搭載装備品や能力などで相違が大きくなったことから、新規のマイナーコードを割り当てた<ref name="mawf16P46">世界の名機シリーズ F-16 ファイティングファルコン イカロス出版 2009年 ISBN 4863202458 46頁</ref>。なお、開発費には[[アラブ首長国連邦]]から30億ドルの資金供給がされている。
:基本的な特徴はBlock 50/52アドバンスドと同じだが、[[AN/APG-80]] AESA[[レーダー]]、AN/ASQ-28[[FLIR|前方監視赤外線装置]]・目標指示システム（IFTS）<ref>[[ノースロップ・グラマン]]社製。FLIRと[[レーザー目標指示装置]]を一体化したものでF-16E/Fの[[キャノピー|風防]]前方に装備されている。参考文献：月刊JWings 2008年5月号</ref>の装備、大推力型のF110-GE-132（Block 60）もしくはF100-PW-232（Block 62）への[[エンジン]]換装、精密誘導兵器の運用能力付加など、改修点は広範囲に及ぶ<ref name="mawf16P46"></ref>。
:[[コックピット]]は従来のF-16から一新されて完全な[[グラスコックピット]]となっており、[[タッチパネル]]式の大画面カラー[[液晶ディスプレイ]]3基、新型アップ・フロント通信/航法/識別操作パネル、大型[[ヘッドアップディスプレイ|HUD]]、[[暗視装置|暗視ゴーグル]]対応の照明を備え、ディスプレイには状況認識に優れたカラーマップを表示可能にしている<ref name="mawf16P46"></ref>。
:現在、採用したのは[[アラブ首長国連邦]]のみで、「デザート・ファルコン」の通称でBlock 60を80機（E型：55機 F型：25機）導入している<ref>世界の名機シリーズ F-16 ファイティングファルコン イカロス出版 2009年 ISBN 4863202458 17頁</ref>。なお、F-16E/Fは装備面では現在最強のF-16といえるがこの機体が輸出されたことは"米国が自国より優れた戦闘機を海外へを販売した初めての例"として、フライトグローバルによって報じられた（ただし実際には、アメリカ空軍で採用された[[F-104 (戦闘機)|F-104A-D]]よりも、性能面で優れたF-104Gを[[西ドイツ]]をはじめ当時の西側各国に輸出した例もあり、類似の事例は過去に皆無ではない）。
;Block 61
:<ref>[http://flyteam.jp/news/article/31272 UAE空軍、F-16 Block 61を30機採用か]</ref>
;F-16V
:[[2012年]][[2月]]に発表された近代化改修型。AESAレーダーの装備やコックピット・アビオニクスのアップグレードによってF-16E/Fと同等の能力を得るとされる。また、F-16Aなどの初期型からの改修も可能とされ、[[F-22 (戦闘機)|F-22]]や[[F-35 (戦闘機)|F-35]]といった[[第5世代ジェット戦闘機|5世代戦闘機]]との相互運用性も優れているとしている。なお、形式番号の「V」はF-16の非公式名称である「バイパー」に由来する<ref>『航空ファン』713号、文林堂、2012年、124頁</ref>。

=== 採用されなかった派生型機 ===
[[画像:F-16B J79.jpg|thumb|250px|F-16/79]]
;{{仮リンク|ヴォートモデル1600|label=ヴォートモデル1600/1601/1602|en|Vought Model 1600}}
:海軍航空戦闘機（NACF）計画への提案の為に、[[ジェネラル・ダイナミクス]]とLTVの航空機事業部（現:[[ヴォート・エアクラフト・インダストリーズ]]）の合同チームにより設計された[[艦載機]]型で、ジェネラル・ダイナミクスが[[航空母艦|空母]]艦載機の設計を殆ど行った事がないため、当初[[マクドネル・ダグラス]]に提携を持ちかけた<ref name="Bill Gunston F/A-18_Hornet P33">[[ビル・ガンストン]]　『F‐18ホーネット—戦闘攻撃機』　[[浜田一穂]]訳、[[原書房]]、1986年、ISBN 4-562-01806-2、33頁</ref><ref name="orr kelly Hornet: the Inside Story of the F/A-18(ja) P73">[[オア・ケリー]]　『F/A-18の秘密』　吉良忍訳、[[朝日ソノラマ]]、1992年、ISBN 4-257-17250-9、73頁</ref>。
:VFAXの中止により、VFAX提出案であるモデル263の採用の可能性が無くなったマクドネル・ダグラスは、両企業と提携し、どの企業がNACFの勝者であろうと利益を上げる事ができる態勢を整えようとしていたが、ジェネラル・ダイナミクスが計画の主導権を強く主張したため物別れに終わった<ref name="Bill Gunston F/A-18_Hornet P32">[[ビル・ガンストン]]　『F‐18ホーネット—戦闘攻撃機』　[[浜田一穂]]訳、[[原書房]]、1986年、ISBN 4-562-01806-2、32頁</ref><ref name="Bill Gunston F/A-18_Hornet P34">[[ビル・ガンストン]]　『F‐18ホーネット—戦闘攻撃機』　[[浜田一穂]]訳、[[原書房]]、1986年、ISBN 4-562-01806-2、34頁</ref><ref name="orr kelly Hornet: the Inside Story of the F/A-18(ja) P74">[[オア・ケリー]]　『F/A-18の秘密』　[[吉良忍]]訳、[[朝日ソノラマ]]、1992年、ISBN 4-257-17250-9、74頁</ref>。
:[[ノースロップ]]には当初からマクドネル・ダグラスから共同開発の打診が有ったが、LTVとの共同開発の道を模索していた。それと同時期にジェネラル・ダイナミクスからもLTVに共同開発の話が持ち込まれ、ノースロップ側の契約条件がLTVにとって有利な物であったにも拘らず、LTVはジェネラル・ダイナミクスと提携し、F-16をベースとしたモデル1600/1601/1602の三案が提出したが、計画提出期限日に発生した、LTV社幹部と提出用の図面を乗せた[[航空機]]が離陸途中にアヒルの養殖池に滑り込んだ事による海軍の印象悪化、空母への着艦の難しさと[[フライ・バイ・ワイヤ]]への電波干渉による誤作動の恐れ、バックアップの機械式操縦系統が無い事により被弾時にフライ・バイ・ワイヤの損傷で機体の制御が不能になる事が指摘された事から海軍側の評価は低く、マクドネル・ダグラスが設計変更を行ったノースロップ[[YF-17 (戦闘機)|F-17]]の発展型であるP630が[[F/A-18 (航空機)|F/A-18]]として採用された<ref name="Bill Gunston F/A-18_Hornet P32"/><ref name="orr kelly Hornet: the Inside Story of the F/A-18(ja) P74"/><ref name="orr kelly Hornet: the Inside Story of the F/A-18(ja) P85">[[オア・ケリー]]　『F/A-18の秘密』　吉良忍訳、[[朝日ソノラマ]]、1992年、ISBN 4-257-17250-9、85頁</ref><ref name="orr kelly Hornet: the Inside Story of the F/A-18(ja) P86">[[オア・ケリー]]　『F/A-18の秘密』　吉良忍訳、[[朝日ソノラマ]]、1992年、ISBN 4-257-17250-9、86頁</ref><ref name="orr kelly Hornet: the Inside Story of the F/A-18(ja) P87">[[オア・ケリー]]　『F/A-18の秘密』　吉良忍訳、[[朝日ソノラマ]]、1992年、ISBN 4-257-17250-9、87頁</ref>。
;F-16Bワイルド・ウィーゼル型
:ジェネラル・ダイナミクスの自社企画として製作され、この種の航空機を必要とする幾つかの国が興味を示したほか、[[アメリカ空軍]]の[[F-4 (戦闘機)|F-4G]]後継[[ワイルド・ウィーゼル]]機取得計画に提案も行われ、対抗馬として[[トーネード IDS#派生型|トーネード ECR]]や[[F-15 (戦闘機)|F-15A]]や[[F-15E (航空機)#バリエーション|F-15 FOWW]]、F-4G近代化、ATF採用機転用、ATA採用機転用も提案されていたが、予算状況から単一任務機の新規導入計画が破棄されたため、受注を得られなかった。並行する形で[[イスラエル]]のF-16Dブラキートや他に任務と共にワイルド・ウィーゼルにも対応できるBlock 50D/52Dなどが開発されている<ref name="F-16_Fighting_Falcon P166">[[ビル・ガンストン]]　『F-16 ファイティングファルコン　最先端テクノロジー機のすべて』　[[浜田一穂]]訳、[[原書房]]、1996年(新装版　第2刷)ISBN 4-562-02764-9、166頁</ref><ref name="AW199012P70">『[[エアワールド]]』Vol.14 12号 、エアワールド社、1990年、70頁</ref>。
;F-16XL
:ジェネラル・ダイナミクスの自社企画として開発の始まった派生型の1つである。F-15Eとの競合に敗れた。
{{main|F-16XL (戦闘機)}}
;F-16AgileFalcon(アジャイルファルコン)
:改良と共に重量増加によって低下していた機動性をF-16Aレベルに改善する為に計画されていた、主翼の大型化計画で、[[北大西洋条約機構|NATO]]参加国のF-16ユーザー向けに提案されていた<ref name="AW198906P77-78">『[[エアワールド]]』Vol.13 6号 、エアワールド社、1989年、77-78頁</ref>。愛称のアジャイルとは敏捷なという意味。
;F-16/79
:[[1977年]]に[[ジミー・カーター|カーター]]政権の「NATO諸国とイスラエルにのみF-16の輸出は許可される」という武器輸出政策に対して国防総省の資金により輸出仕様として規制対象の[[プラット・アンド・ホイットニー F100|F100]][[エンジン]]を輸出実績のある[[ゼネラル・エレクトリック J79|J79]]の発展型J79-GE-119に換装したダウングレードモデルで、性能はF100搭載のF-16と[[F-5 (戦闘機)|F-5]]の間とされ、限定的ながらマルチロール能力も持つはずだった<ref name="KFillus No.10　p150">『航空ファン別冊　航空ファンILLUSTRATED』10号、1982年、文林堂、150頁</ref>。
:[[オーストリア]]、[[ヨルダン]]、[[マレーシア]]、[[ナイジェリア]]、[[シンガポール]]、[[台湾]]、[[タイ王国|タイ]]に対して売り込みが行われ、シンガポールが一旦は採用を決定したが、武器輸出規制の緩和によって、F-16A/Bの全ての導入希望国への販売が可能となり、F-16A/Bの発注に切り替えられた為、試作のみで終わった。この規格の機体が採用されていた場合、形式名はF-16E（単座）/F（複座）となる予定であった<ref name="F-16_Fighting_Falcon P206">[[ビル・ガンストン]]　『F-16 ファイティングファルコン　最先端テクノロジー機のすべて』　[[浜田一穂]]訳、[[原書房]]、1996年(新装版　第2刷　206頁</ref><ref name="KFillus No.10　p150"/>。
;A-16(F-16 CAS)
:アメリカ空軍の主導で、[[A-10 (航空機)|A-10]]後継の[[近接航空支援]]型として開発されていたが、[[湾岸戦争]]の戦績によるA-10の再評価や[[冷戦]]終結に伴う軍縮による部隊数削減、A-16向けに開発された通信機材であるCP-1516/ASQやATHS（自動目標伝達装備）や[[GAU-8 (機関砲)|GAU-8]]の派生型であるGPU-5/A[[ガンポッド]]、[[FLIR]]の在来型への搭載による、在来型F-16の近接航空支援対応により、[[A-7 (航空機)|A-7F]]共々計画自体が立ち消えとなってしまった<ref name="AW199102P78">『[[エアワールド]]』Vol.15 2号 、エアワールド社、1991年、77頁</ref>。
:この形式の機体は、[[アメリカ軍]]が保有していたF-16Cからの改造と、Block 5X新造機に生産段階で対応装備を搭載したBlock 6Xの製造を予定していた。
;RF-16
:アメリカ空海軍の統合先進航空偵察システムの空軍側運用機として、Block 4X/5X導入により余剰となったBlock 3XにA-16と共通の視線追従/ヘルメット投影型FLIRの搭載<ref name="AW199012P71">『[[エアワールド]]』Vol.14 12号 、エアワールド社、1990年、71頁</ref>や他の[[偵察機]]（[[U-2 (航空機)|U-2]]や[[E-8 (航空機)|E-8]]、[[無人航空機#無人偵察機|無人偵察機]]）との地上局を中心としたネットワーク化を計画していた<ref name="AW199102P70-71">『[[エアワールド]]』Vol.15 2号 、エアワールド社、1991年、70-71頁</ref>。
:[[偵察]]専用型が実際に開発されることはなかったものの、[[アメリカ合衆国|アメリカ]]など一部の保有国ではF-16に偵察ポッドを搭載して偵察任務に使用している。なお、ベルギーやオランダでは偵察ポッドの運用を可能にした機体をRF-16あるいはF-16(R)と呼称していた<ref name="mawf16P40"></ref>。
;F-16IN
:[[インド空軍]]の[[MiG-21 (航空機)|MiG-21]]後継機選定計画（MMRCA）の候補機。[[インド]]向けにF-16E/Fをベースとして各種機能を若干発展させている。機首にFLIRの代わりAN/AAS-42 [[IRST]]を装備し、エンジンはF110-GE-132が搭載される予定であった。愛称は「スーパーヴァイパー」で、F-16 Block70ともいわれる。
;F-16ES
:ESは「戦略作戦能力強化」の略。[[イスラエル航空宇宙軍|イスラエル空軍]]での採用を狙って開発された形式で、コンフォーマル・フューエル・タンクと内装式FLIRを初めて採用した。機体そのものはイスラエルには採用されなかったが、コンフォーマル・フューエル・タンクと内装式FLIRは後にBlock 50/52アドバンスドやF-16E/Fで実用化された。
;F-16 Block 40/42 SX-1/2/3
:[[航空自衛隊]]の[[F-1 (航空機)|F-1支援戦闘機]]後継機選定に提案されていた形式。SX-の後に続く数字が大きくなる程、原型機からの改造度が上がり、SX-3は主翼の大型化等、アジャイルファルコンに近い内容が盛り込まれていたほか、一部ではF-16の双発機型である、SX-4まで改造プランが存在したとされている<ref name="gunnzikennkyuubessatu200908 P33">『[[軍事研究]]別冊　新兵器最前線シリーズ8 空自F-2/F-1戦闘機と世界の戦闘攻撃機』　[[ジャパン・ミリタリー・レビュー]]　2008年　33頁</ref>。なお、F-1の後継としてはF-16をベースとし、機体の大型化や主翼構造の変更などを行った[[F-2 (航空機)|F-2]]が採用された。
;F-16AT ファルコン 21
:F-16XLから派生した、アメリカ合衆国の[[先進戦術戦闘機計画|ATF計画]]計画を念頭に代替案として設計された機体。[[F-22 (戦闘機)|F-22]]の技術を取り入れて機器を更新した上で、主翼を台形のクリップトデルタ翼に変更、機体を延長して航続距離、搭載量の倍増を図ったもの<ref>{{citejournal|url=http://www.flightglobal.com/pdfarchive/view/1991/1991%20-%203220.html|title=A Fighting Cahnce|author=Graham Warwick|journal=Flight International|page=26|date=1991-12|accessdate=2013-08-21}}</ref><ref>{{citejournal|url=http://www.flightglobal.com/pdfarchive/view/1990/1990%20-%202655.html|title=After ATF...|author=Simon Elliott|journal=Flight International|page=145|date=1990-07|accessdate=2013-08-21}}</ref>。後に1/15サイズの模型が超音速飛行の空力研究に用いられている<ref>{{citeweb|url=http://archive.org/details/nasa_techdoc_19930022544|title=Supersonic aerodynamic characteristics of an advanced F-16 derivative aircraft configuration (July 1, 1993)|author=Fox, Mike C. Forrest, Dana K|publisher=NASA|date=1993-07-01|accessdate=2013-08-20}}</ref>。
;F-16X ファルコン 2000
:<!--追記よろしく-->
{{節stub}}

=== 実験機 ===
;YF-16 CCV
:試作初号機をベースに、空気取り入れ口下部に[[カナード]]翼を装備した[[運動能力向上機|CCV]]実験機。
;F-16/FSW
:[[X-29 (航空機)|X-29]]の[[ジェネラル・ダイナミクス]]案。計画のみ<ref name="F-16_Fighting_Falcon P188">[[ビル・ガンストン]]　『F-16 ファイティングファルコン　最先端テクノロジー機のすべて』　[[浜田一穂]]訳、[[原書房]]、1996年(新装版　第2刷)ISBN 4-562-02764-9、188頁</ref>。
[[画像:AFTI F-16 USAF.jpg|thumb|250px|F-16AFTI]]
;NF-16A AFTI
:大角度運動制御へのデジタル技術の応用を目指して開発された実験機。空気取り入れ口下部にカナード翼と、背部に電子機器を収めるドーサルスパインを装備。
;NF-16D VISTA
:F-16D Block 30をベースにした実験機。VISTAは「可変安定性飛行模擬試験機」の略語。飛行操縦コンピューターを搭載し、他の[[航空機]]が持つ動的特性や角度を模擬できた。その後[[推力偏向]]ノズルを搭載したMATV（多軸推力変更）仕様へと改装された後、元のVISTA仕様に戻された。
;F-16/101
:F100エンジンのスタグネーション[[ストール]]問題に対する保険として計画の始まった、エンジンを[[B-1 (航空機)|B-1A]]に搭載されている[[ゼネラル・エレクトリック F101|GE F101]]の発展型に換装したテストベッド機。F101そのものが搭載されるF-16は量産されなかったが[[1980年代]]末から[[アメリカ空軍]]の導入したF-16の大部分は、F101の発展型であるF110系列のエンジンを搭載している<ref name="KFillus No.10　p150"/>。
;F-16 LOAN
:[[統合打撃戦闘機計画]]向けの研究用に、[[ステルス性]]を持たせたエンジン排気口を装備した実験機。LOANは「低被発見性非対称排気口」の略。
;F-16 DSI
:統合打撃戦闘機計画向けの研究用に、ステルス性を持たせたDSIインテークを装備した実験機。DSIは[[ダイバータレス超音速インレット]]（[[英語|英]]：Diverterless Supersonic Inlet）の略。
;F-16D 'CK-1'
:ロッキードによって製作されたF-16D Block40をベースとした試験機。
;F-16 GCAS
:Block 25をベースとした自動衝突回避システムの試験機。[[スウェーデン]]とアメリカが共同開発している。
;F-16 STOL
:エンジンノズルを二次元[[推力偏向|推力偏向ノズル]]に変更した実験機。計画のみ。
{{節stub}}

=== 特殊用途機 ===
;QF-16
:QF-4の更新用として、[[1997年]]から[[ロッキード・マーティン]]とトラコーフライトシステムによって開発されている、無人標的機型<ref name="KF199906P29"/>。
;GF-16
:整備教育用の教材機。
{{節stub}}

== F-16をベースに設計された機体 ==
F-16をベースとした[[戦闘機]]や[[練習機]]の開発が行われたことも特筆すべき点である。
※詳細は各項目を参照のこと。
;[[F-CK-1 (航空機)|F-CK-1]]（経国戦闘機）
:[[台湾]]が、[[アメリカ合衆国|アメリカ]]からのF-16の輸入を当初認められなかったことから、F-16の開発元[[ジェネラル・ダイナミクス]]と共同で開発した戦闘機。両者の案を合併したため、機体が小型化し[[エンジン]]が双発になるなど大きな違いが見られる一方、全体的なデザインやフライトシステムなど、設計の随所に影響が見られる。F-16の輸出が許可されたため、製造数減少。130機。
;[[ラビ (航空機)|ラビ]]
:[[イスラエル]]がF-16をベースに開発していた戦闘機。イスラエルが独自戦闘機の製造に入って[[中東]]の軍事バランスが崩れることを懸念したアメリカの圧力により開発は中止された。ラビで開発された技術は[[中華人民共和国]]の[[J-10 (航空機)|J-10]]に移転されたと噂される。
; [[F-2 (航空機)|F-2]]
:[[日本]]の[[航空自衛隊]]が運用する[[F-1 (航空機)|F-1]]の後継として、F-16を元にし、防衛庁技術研究本部（現：[[防衛省]][[技術研究本部]]）が主契約会社を[[三菱重工業]]に認定して[[ロッキード・マーティン]]と共同開発した[[支援戦闘機]]。生産数は試作機4機、量産型94機の計98機。シルエットはF-16に酷似しているが、機体各部の拡大、素材ならびに構造変更によって原型機とは著しい差異がみられる。
;[[T-50 (航空機)|T-50]]
:ロッキード・マーティンの支援を受け[[韓国航空宇宙産業|KAI]]が開発した高等練習機。派生型として軽攻撃機A-50が計画され、軽戦闘機F-50も検討されている。

== 運用国 ==
=== 採用 ===
[[画像:World operators of the F-16 Fighting Falcon.png|thumb|left|400px|F-16を採用した国。青色は50機以上、水色は50機以下。黄色は検討中またはキャンセル]]
{{-}}
==== 南北アメリカ ====
{| class="wikitable"
|-
! 国 !! 導入<br />機数 !! 備考
|-
|style="white-space:nowrap"|{{USA}}
|style="white-space:nowrap"|2,244機
||[[アメリカ空軍|空軍]]の採用経緯は『開発史』を、装備形式は『派生型』を、[[アメリカ海軍|海軍]]の[[アグレッサー部隊]]運用機については、『F-16C/D』の『F-16N/TF-16N』および『運用国』の『パキスタン』を参照
|-
|style="white-space:nowrap"|{{VEN}}
|style="white-space:nowrap"|24機
||[[1982年]]に導入を決定し、[[1983年]]から機体の引き渡しが行われた。機体の引き渡し計画の名称は「ピース・デルタ」で、Block 15 OCU 24機（A型18機/B型6機）が引き渡された。反米的な言動を行っている[[ウゴ・チャベス]]の大統領就任後は部品供給が途絶えており、現在の運用状況は不明である<ref name="AW200407P58"/><ref name="KF200806P63"/>。
|-
|style="white-space:nowrap"|{{CHL}}
|style="white-space:nowrap"|46機
||[[1990年代]]に、同国空軍が保有する[[航空機]]の更新を目的としたProyecto Caza　2000で[[ミラージュ5 (航空機)|ミラージュ50]]、[[F-5 (戦闘機)|F-5E/F]]、[[ホーカー ハンター|ハンター]]をすべて新型の[[戦闘機]]で更新する計画であったが、経済情勢の悪化により、ハンターを[[ベルギー]]から購入した中古のミラージュ5で置き換え、保有するミラージュ50とF-5E/Fをアップグレードするにとどまった。しかし、ミラージュ5/50は[[2010年]]にはすべて引退するため、Proyecto Caza　2000は規模を縮小して継続する事となった。

この計画に対して、[[サーブ 39 グリペン|グリペン]]や[[ミラージュ2000 (戦闘機)|ミラージュ2000]]、[[Su-27 (航空機)|Su-27]]、[[F/A-18 (航空機)|F/A-18]]なども売り込まれたが、[[2001年]]にF-16C/D Block 50アドバンスドの採用を決定、「ピース・ピューマ」として[[2006年]]から10機（C型：6機 D型：4機）が引き渡された。しかし、ミラージュ5/50を更新するには機数が足りないため、[[2005年]]に[[オランダ]]から中古のF-16AM/BM18機（AM型：11機 BM型：7機）をピース・アムステルIとして購入し、[[2009年]]のピース・アムステルIIでさらに18機のF-16AMを追加した<ref name="KF200806P9">『航空ファン』666号、文林堂、2008年、9頁</ref><ref name="KF200806P15">『航空ファン』666号、文林堂、2008年、15頁</ref><ref>世界の名機シリーズ F-16 ファイティングファルコン [[イカロス出版]] 2009年 ISBN 4863202458 88頁</ref><ref>『JWings』No159 [[イカロス出版]] 2011年 61頁</ref>。
|-
|}

==== ヨーロッパ ====
{| class="wikitable"
|-
! 国 !! 導入機数 !! 備考
|-
|style="white-space:nowrap"|{{BEL}}
|style="white-space:nowrap"|160機
||採用の経緯は『開発史』を参照。[[SABCA]]で[[ライセンス生産]]されたBlock 1/5/10/15を116機（A型：96機 B型：20機）導入、[[1983年]]にはBlock 15 OCU 44機（A型：40機 B型：4機）を追加発注した。現在残っている機体は全てF-16AM/BM仕様に改修されている<ref>世界の名機シリーズ F-16 ファイティングファルコン [[イカロス出版]] 2009年 ISBN 4863202458 93頁</ref>。
|-
|style="white-space:nowrap"|{{NLD}}
|style="white-space:nowrap"|213機
||採用の経緯は『開発史』を参照。[[フォッカー]]（[[1996年]]倒産）でライセンス生産されたBlock 1/5/10/15を102機（A型：80機 B型：22機）導入、[[1983年]]には111機（A型：97機 B型：14機）を追加発注した。現在残っている機体は全てF-16AM/BM仕様に改修されている<ref>世界の名機シリーズ F-16 ファイティングファルコン [[イカロス出版]] 2009年 ISBN 4863202458 83頁</ref>。
|-
|style="white-space:nowrap"|{{NOR}}
|style="white-space:nowrap"|74機
||採用の経緯は『開発史』を参照。フォッカーでライセンス生産されたBlock 1/5/10/15を72機（A型：60機 B型：12機）導入。その後損耗補充用としてBlock 15 2機（B型のみ）を追加発注したが、これらは[[アメリカ合衆国|アメリカ]]製である。現在残っている機体は全てF-16AM/BM仕様に改修されている<ref>世界の名機シリーズ F-16 ファイティングファルコン [[イカロス出版]] 2009年 ISBN 4863202458 90頁</ref>。
|-
|style="white-space:nowrap"|{{DNK}}
|style="white-space:nowrap"|67機
||採用の経緯は『開発史』を参照。SABCAでライセンス生産されたBlock 1/5/10/15を58機（A型：46機 B型：12機）導入。[[1984年]]にはBlock 15 12機（A型：8機 B型：4機）を追加発注し、その後損耗補充用としてアメリカ空軍の余剰機7機（A型：6機 B型：1機。A型はBlock 15、B型はBlock 10）が1994年と1997年に引き渡された。現在残っている機体は全てF-16AM/BM仕様に改修されている<ref>世界の名機シリーズ F-16 ファイティングファルコン [[イカロス出版]] 2009年 ISBN 4863202458 88-89頁</ref>。
|-
|style="white-space:nowrap"|{{GRC}}
|style="white-space:nowrap"|170機
||[[キプロス島]]の領有権を巡り、トルコと対立関係にあるギリシャは、[[1984年]]にF-16の導入を公表、[[1987年]]にピース・ゼニアIとして導入が確定し、[[1988年]]からBlock 30が40機（C型：34機 D型：6機）引き渡された。その後もトルコ側のF-16増強と歩調を合わせる形で、[[ミラージュ2000 (戦闘機)|ミラージュ2000]]の導入と共にF-16の追加購入も続けられ、[[1993年]]4月の契約されたピース・ゼニアIIでBlock 50を40機（C型：32機 D型：8機）、[[2000年]]3月のピース・ゼニアIIIではBlock 52アドバンスドを60機（C型：34機 D型：16機）導入、[[2005年]]には一旦は導入する事を公表していた[[ユーロファイター タイフーン]]の採用を導入コストの問題から白紙化し、ピース・ゼニアIVとしてBlock 52アドバンスドを30機（C型：18機 D型：12機）導入した<ref name="AW200407P59">『[[エアワールド]]』Vol.333号 、エアワールド社、2004年、59頁</ref><ref>世界の名機シリーズ F-16 ファイティングファルコン [[イカロス出版]] 2009年 ISBN 4863202458 85頁</ref>。
|-
|style="white-space:nowrap"|{{POR}}
|style="white-space:nowrap"|45機
||[[1990年]]に20機のBlock 15 OCU（A型：17機 B型：3機。実際はADFとほぼ同仕様）の導入を決定し、ピース・アトランティスIとして[[1994年]]から引き渡しが行われ、[[1997年]]にはピース・アトランティスIIとしてアメリカ空軍で余剰化したBlock 15が25機（A型：21機 B型：4機。引き渡し前にエンジンをF100-PW-220Eに換装）追加導入された。ピース・アトランティスIIで受領した機体の内20機がF-16AM/BM仕様に改修されている<ref>世界の名機シリーズ F-16 ファイティングファルコン [[イカロス出版]] 2009年 ISBN 4863202458 94頁</ref>。
|-
|style="white-space:nowrap"|{{ITA}}
|style="white-space:nowrap"|34機
||[[ユーロファイター タイフーン|タイフーン]]の配備と[[F-104 (戦闘機)|F-104]]の退役のタイムラグで生じる防空能力の低下を補うために、[[1993年]]から[[トーネード ADV]]を10年間リースしていたが、リース終了後もタイフーンの配備が追いつかない事が確実となったため、[[2003年]]からピース・シーザーとしてF-16 ADFを5年契約（その後さらに5年延長）でリースした。機数は30機（A型：26機 B型：4機）とされたが、機数が揃わなかったためA型の内4機はBlock 10、B型の内3機はBlock 1/5/10が1機ずつとなっており、この他に4機が部品取り用として引き渡された<ref name="JWings No114 57P">『JWings』No114　[[イカロス出版]]　2008年　57頁</ref><ref>世界の名機シリーズ F-16 ファイティングファルコン [[イカロス出版]] 2009年 ISBN 4863202458 80-81頁</ref>。[[2012年]]5月にタイフーンとの交代を終え全機運用を終了した<ref>[http://www.f-16.net/news_article4581.html Italian F-16 'Peace Caesar' program comes to an end]. ''F-16.net'', 24 May 2012.</ref>。
|-
|style="white-space:nowrap"|{{POL}}
|style="white-space:nowrap"|48機
|従来から配備している[[ソビエト連邦|ソビエト]]製[[戦闘機]]の更新を目的に、F-16、[[ミラージュ2000 (戦闘機)|ミラージュ2000]]、[[サーブ 39 グリペン|グリペン]]の三機種で比較選考を行い、[[2002年]]にF-16の採用を決定。[[2006年]][[11月9日]]からピース・スカイとして、Block 52アドバンスド48機（C型：36機 D型：12機）の引き渡しが開始された<ref name="AW200407P56"/><ref name="JWings No114 57P"/>。
|-
|}

==== アジア・アフリカ ====
{| class="wikitable"
|-
! 国 !! 導入機数 !! 備考
|-
|style="white-space:nowrap"|{{ISR}}
|style="white-space:nowrap"|362機
||A/B（新造機と中古機）/C/D/I（全て新造機）の各形式を保有、[[ラビ (航空機)|IAIラビ]]の原型。A/B型はネッツ（Netz）、C型はバラク（Barak）、D型はブラキート（Brakeet）、I型はソウファ（Sufa）の愛称で呼ばれる。

[[1978年]][[8月15日]]にF-16を導入する事を公表したが、当初公表されたのは[[イラン]]向けに製造が始まっていたBlock 10 75機（A型：67機 B型：8機、内A型18機とB型全機はBlock 5からの改修機）のみで、採用理由は、イラン向けの機体がキャンセルされたため早期に機体を受け取る事ができるためとしており、第二次発注分である75機（後述）の存在は隠匿されていた。このピース・マーブルIでの機体引き渡しは[[1980年]]から開始されたが、バビロン作戦で2週間、レバノン侵攻で11ヶ月の禁輸措置を受けた。[[1994年]]のピース・マーブルIVでは[[湾岸戦争]]時に[[イラク]]の[[スカッド]]攻撃に対して反撃を行わなかった見返りとして、[[アメリカ空軍]]で余剰化したBlock 1/5/10が計50機（A型：36機 B型：14機）引き渡された<ref name="F-16_Fighting_Falcon P219-221">[[ビル・ガンストン]] 『F-16 ファイティングファルコン 最先端テクノロジー機のすべて』 [[浜田一穂]]訳、[[原書房]]、1996年(新装版 第2刷)ISBN 4-562-02764-9、219-221頁</ref><ref name="AW200407P54-55">『[[エアワールド]]』Vol.333号 、エアワールド社、2004年、55-56頁</ref><ref>世界の名機シリーズ F-16 ファイティングファルコン [[イカロス出版]] 2009年 ISBN 4863202458 79頁</ref>。

F-16の導入は、既に作戦立案が始まっていたバビロン作戦にも影響を与え、[[コンフォーマル・フューエル・タンク]]を装備した[[F-15 (戦闘機)|F-15]]による原子炉への攻撃は、原子炉攻撃を受け持つF-16と護衛のF-15で編成されたストライクパッケージによる攻撃に変更された<ref name=Raid on the Sun(ja) P112>[[ロジャー・クレイア]] 『イラク原子炉攻撃!』 [[高澤市郎]]訳、[[並木書房]]、2007年、ISBN 4-89063-215-8、112頁</ref>。

[[1986年]]から始まったピース・マーブルIIでBlock 30が75機（C型：51機 D型：24機）、ラビの開発中止により発注されたピース・マーブルIIIでは、Block 40が60機（C型：30機 D型：30機）が引き渡された<ref name="AW200407P56">『[[エアワールド]]』Vol.333号 、エアワールド社、2004年、56頁</ref>。

<!--19**年の-->敵国中枢部への攻撃能力向上を目的とした航空機選定でロッキードが提案したF-16ESは、[[F-15E (航空機)|F-15E]]の[[イスラエル]]仕様であるF-15Iに敗北したが、[[1999年]]の発注では再びF-16が選定された。このピース・マーブルVで導入されたF-16IはBlock 52アドバンスドの複座型で、当初は50機の正式採用に加え、50機のオプション契約であったが、オプション契約分も正式に発注された<ref name="AW200407P56"/>。
|-
|style="white-space:nowrap"|{{EGY}}
|style="white-space:nowrap"|220機 +<br />20機（予定）
||[[1979年]]の[[キャンプ・デービッド合意]]後、旧東側製の[[航空機]]の更新を目的に[[1982年]]のピース・ベクターIでBlock 15が42機（A型：34機 B型：8機、内B型1機は[[オランダ]]製）、[[1986年]]のピース・ベクターIIでBlock 32が40機（C型：34機 D型：6機）、[[1991年]]のピース・ベクターIIIでBlock 40が47機（C型：35機 D型：12機）引き渡されたのに続き、[[1994年]]のピース・ベクターIVでは、[[トルコ]]製のBlock 42を46機（C型：34機 D型：12機）を導入した。Block 4X系の増強はその後も進んだが、1999年のピース・ベクターV（C型21機）と2001年のピース・ベクターVI（C型：12機 D型：12機）では再び[[アメリカ合衆国|アメリカ]]製のBlock 40を導入した<ref name="AW200407P56-57">『[[エアワールド]]』Vol.333号 、エアワールド社、2004年、56-57頁</ref><ref name="KF200806P63">『航空ファン』666号、文林堂、2008年、63頁</ref>。2010年にはBlock 52アドバンスドを20機発注している<ref>『JWings』No141 [[イカロス出版]] 2010年 94頁</ref>。なお、[[1997年]]の時点で残っていたBlock 15/32は全機Block 42仕様に改修されている<ref>世界の名機シリーズ F-16 ファイティングファルコン [[イカロス出版]] 2009年 ISBN 4863202458 82頁</ref>。
|-
|style="white-space:nowrap"|{{IDN}}
|style="white-space:nowrap"|12機 +<br />24機(予定)
||1989年から1990年にかけてピース・ビマセナとしてBlock 15 OCU 12機（A型：8機 B型：4機）が引き渡された。防空能力向上のために[[パキスタン]]向けに引き渡されなかった完成機の導入も検討していたが、[[スハルト]]政権下での[[人権問題]]を理由とした売却差し止めや[[アジア通貨危機]]による同国政府の資金難により、[[Su-27 (航空機)|Su-27]]や[[Su-30 (航空機)|Su-30]]と言った[[ロシア]]製[[軍用機]]を導入した<ref name="KF199906P48">『航空ファン』558号、文林堂、1999年、48頁</ref><ref name="JWings No114 56P">『JWings』No114 [[イカロス出版]] 2008年 56頁</ref><ref name="AW200407P61">『[[エアワールド]]』Vol.333号 、エアワールド社、2004年、61頁</ref>。しかし、[[2011年]]に中古のBlock 25 30機をBlock 52相当に改修して導入することを発表<ref>『JWings』No162 [[イカロス出版]] 2011年 85頁</ref>。機数は24機となったが2014年7月14日に引き渡しを開始し、2015年末までには引き渡しを完了する予定<ref>[http://flyteam.jp/news/article/37830 インドネシア空軍、F-16C/Dアップグレード機を受領] FlyTeamニュース 2014年7月15日</ref>。
|-
|style="white-space:nowrap"|{{TWN}}
|style="white-space:nowrap"|150機
||[[1970年代]]から導入を希望していたが、敵対国へ新型戦闘機を売却した事で発生する[[中華人民共和国|中国]]の抗議をかわすための代案として、F-16/79か[[F-20 (戦闘機)|F-20]]の売却を持ちかけられたが、これらの機体では[[中華民国空軍|台湾空軍]]の要求性能を満たせなかった事に加え、レーガン政権による台湾への高性能兵器の輸出禁止により、GDとの共同開発による台湾製戦闘機[[F-CK-1 (航空機)|F-CK-1]]の採用および[[フランス]]製の[[ミラージュ2000 (戦闘機)|ミラージュ2000]]を導入する事を決定した。

ミラージュ2000という戦闘機市場でのライバルの出現により、[[アメリカ合衆国連邦政府|アメリカ政府]]は方針を転換し、[[1992年]]にF-16の売却を決定したが、中国の反発を防ぐため、Block 15の機体にMLU仕様相当の艤装を行ったBlock 20 150機（A型：120機 B型：30機）の輸出を承認した。このピース・フェンファンによるF-16の導入により[[F-CK-1 (航空機)|F-CK-1]]の配備予定数も下方修正された<ref name="AW200407P62-63">『[[エアワールド]]』Vol.333号 、エアワールド社、2004年、62-63頁</ref>。

[[2006年]]、台湾は売却を拒否された[[F-35 (戦闘機)|F-35]]の代わりにF-16C/D 66機の追加購入意向を発表したが<ref>世界の名機シリーズ F-16 ファイティングファルコン [[イカロス出版]] 2009年 ISBN 4863202458 87頁</ref>、[[2011年]]にアメリカ政府は台湾が保有するF-16A/Bの改修用にフェーズドアレイレーダー、[[グローバル・ポジショニング・システム|GPS]]などの部品を売却する方針を連邦議会に通告したため、追加購入は見送られた。しかし、[[2012年]]になってアメリカ政府は中国の軍備増強を踏まえて台湾へのF-16C/Dの売却を「真剣に検討する」としている<ref>[http://jp.wsj.com/World/China/node_435282 米政府高官、台湾への新型F16戦闘機売却を「真剣に検討する」] [[ウォール・ストリート・ジャーナル]]日本語版 2012年5月2日</ref>。
|-
|style="white-space:nowrap"|{{KOR}}
|style="white-space:nowrap"|170機
||F-16C/D Block 32の完成機、完成機及び自国内での[[ノックダウン生産]]/[[ライセンス生産]]したKF-16（F-16C/D Block 52 CCIP相当）を保有、[[T-50 (航空機)|T-50]]のベース機。 
アメリカからの援助による、防空システムの近代化の一環として[[1981年]][[12月]]に導入が決定し、防空システムの近代化が終了した[[1986年]][[2月]]からピース・ブリッジIとしてBlock 32 30機（C型：20機 D型：10機）の引き渡しが行われた<ref name="AW200407P57">『[[エアワールド]]』Vol.333号 、エアワールド社、2004年、57頁</ref><ref name="F-16_Fighting_Falcon P223-224">[[ビル・ガンストン]] 『F-16 ファイティングファルコン 最先端テクノロジー機のすべて』 [[浜田一穂]]訳、[[原書房]]、1996年(新装版 第2刷)ISBN 4-562-02764-9、223-224頁</ref>。

[[1989年]]のKFP I（韓国戦闘機計画 I）選定では、韓国国内でのライセンス生産を前提に、一旦は[[F/A-18 (航空機)|レガシーホーネット]]の採用を決定したが、アメリカ側が難色を示した事と韓国の経済情勢から白紙化され、[[1994年]]にF-16 Block 52の採用が決定した。このピース・ブリッジIIで120機（C型：80機 D型：40機）導入されたF-16のうち12機がロッキード製、36機がキット組み立て、72機がライセンス生産機で、[[2000年]]にピース・ブリッジIIIとして契約されたKFP II（韓国戦闘機計画 II）で、さらに20機（C型：14機 D型：6機）が生産された<ref name="AW200407P57-58">『[[エアワールド]]』Vol.333号 、エアワールド社、2004年、57-58頁</ref>。
|-
|style="white-space:nowrap"|{{OMA}}
|style="white-space:nowrap"|12機 +<br />12機（予定）
||[[2007年]]からピース・アサマ・アサフィアとして、F-16C/D Block 50アドバンスド12機（C型：8機 D型：4機）の引き渡しが開始された<ref name="JWings No114 57P"/>。[[2011年]]には、さらに12機（C型：10機 D型：2機）を追加発注した<ref>『JWings』No163 [[イカロス出版]] 2012年 92頁</ref>。
|-
|style="white-space:nowrap"|{{BHR}}
|style="white-space:nowrap"|22機
||[[F-15 (戦闘機)|F-15]]・[[F/A-18 (航空機)|F/A-18]]・[[トーネード ADV]]・[[ミラージュ2000 (戦闘機)|ミラージュ2000]]・ソビエト製戦闘機との比較検討の上で、1987年にF-16採用を決定し、1990年5月から引き渡しが始まった<ref name="JWings No114 55P">『JWings』No114 [[イカロス出版]] 2008年 55頁</ref><ref name="AW200407P61-62">『[[エアワールド]]』Vol.333号 、エアワールド社、2004年、61-62頁</ref>。
同年7月のイラクの[[クウェート侵攻]]で始まった[[湾岸戦争]]に、導入されたばかりのF-16も実戦参加を行ったが、この作戦行動には、アメリカ空軍退役後バーレーン空軍の指導を行っていた人物が、アメリカ[[大使館]]関係者から「国務省が（アメリカの法律違反に対する）調査の準備を行っている」と言う警告を受けるまで、バーレーン空軍のパイロットとして参加していた<ref name="Tom Clancy FW P369-371">[[トム・クランシー]]『トム・クランシーの戦闘航空団解剖』平賀秀明 [[新潮社]]〈新潮文庫〉、1997年、ISBN 4-10-247206-1、369-371頁</ref>。

湾岸戦争終結後に保有する[[F-5 (戦闘機)|F-5]]の置き換えにF(TF)-16Nの斡旋を受けたが、実戦投入可能な状態するには手間がかかる状態であったため、1998年に新造機の導入を決定し、2000年から引き渡しが行われた。同国が保有するF-16はすべてBlock 40で、1990年のピース・クラウンIではC型8機とD型4機が、ピース・クラウンIIではC型10機が引き渡された<ref name="AW200407P61-62"/>。
|-
|style="white-space:nowrap"|{{PAK}}
|style="white-space:nowrap"|40機 +<br />62機（予定）
||[[1983年]]のピース・ゲートI/IIで、Block 15が40機（A型：28機 B型：12機）引き渡され、[[1985年]]に引き渡しは完了した。

[[1989年]]にはピース・ゲートIII/IVとしてBlock 15 OCUを71機発注し、前払金65,800万ドルの支払いも済ませていたが、[[パキスタンの核実験 (1998年)|核開発疑惑]]により引き渡しが停止され、既に完成していたA型13機とB型16機はアメリカ国内に保管される事となった。行き先を失ったこれらの機体は[[インドネシア]]や[[ニュージーランド]]が導入を検討したが諸般の事情によって断念し、[[2002年]]に[[アメリカ軍]]が引き取った。しかし空軍ではシステムコマンドで2、3機のみの使用に終わり、多くは[[アメリカ海軍]]の[[アグレッサー部隊]]で使用されている<ref name="KF199906P49"/><ref name="JWings No114 55P">『JWings』No114 [[イカロス出版]] 2008年 55頁</ref>。

[[2005年]]には[[アフガニスタン紛争 (2001年-)|アフガニスタン紛争]]への協力の見返りとしてF-16の導入が再開される事となり、ピース・ドライブとしてBlock 52アドバンスド36機（C型：12機 D型：6機、オプションで18機。オプションは後に正式契約となった模様）を導入の上で保有しているA/B型のMLU改修を決定した。ピース・ゲートIII/IVで未引き渡しとなっていたA/B型についても、26機をMLU仕様に改修して引き渡す事で合意されている。これらの引き渡しは[[2010年]]から開始されている<ref>世界の名機シリーズ F-16 ファイティングファルコン [[イカロス出版]] 2009年 ISBN 4863202458 91-92頁</ref>。2014年には、ヨルダンからA型12機とB型1機を購入した<ref name="JWings No192 97P">『JWings』No192 [[イカロス出版]] 2014年 97頁</ref>。
|-
|style="white-space:nowrap"|{{TUR}}
|style="white-space:nowrap"|240機 +<br />30機（予定）
||1983年に採用とライセンス生産を行う事を公表し、ピース・オニックスIとしてBlock 30を43機（C型：34機 D型：9機）、Block 40を117機（C型：101機 D型：16機）装備した。1987年に初めて引き渡された8機のBlock 30はアメリカ製の機体であったが、それに続く機体は[[トルコ]]国内での製造キットの組み立て（[[ノックダウン生産]]）であった。製造が進むとトルコ製部品の比率は高くなり、Block 40からは[[トルコ航空宇宙工業]]の完全なライセンス生産機に切り替わった。

[[1996年]]のピース・オニックスIIと[[1998年]]のピース・オニックスIIIではBlock 50が合計80機（C型：60機 D型：20機）受領された。このトルコ製F-16は、契約上アメリカ軍への売却のみ認められており、近隣の米軍基地でタッチ&ゴーを行い、形式上いったん米軍に納入した機体をトルコ政府が米軍から[[対外有償軍事援助]]（FMS：Foreign Military Sales）形式で購入している。[[トルコ航空宇宙工業]]は[[エジプト]]向けの完成機体とアメリカ製機体向けの部品供給も行った<ref name="KF200406P30">『航空ファン』618号、2004年、文林堂、30頁</ref><ref name="AW200407P59">『[[エアワールド]]』Vol.333号 、エアワールド社、2004年、59頁</ref>。

2007年にはピース・オニックスIVとしてBlock 50アドバンスドを30機（C型：14機 D型：16機）発注し、2011年に初号機が引き渡された。また、従来の保有機の内165機を同仕様に改修する作業も発注済みである<ref>『JWings』No156 [[イカロス出版]] 2011年 92頁</ref>。
|-
|style="white-space:nowrap"|{{SGP}}
|style="white-space:nowrap"|70機
||1985年に一旦は8機のF-16/79を発注したが、武器輸出規制の緩和によりBlock 15 OCU（A型/B型4機ずつ）に変更、ピース・カービンIとして1989年に引き渡された。そのほとんどは後にタイへ譲渡されている<ref name="JWings No114 58P">『JWings』No114 [[イカロス出版]] 2008年 58頁</ref>。

1998年のピース・カービンIIと2000年のピース・カービンIIIでは合計30機のBlock 52が引き渡されたほか、1999年には訓練用にリースしていた機体も12機購入した。これらの内訳はC型が22機、D型が20機で、D型の大部分はイスラエルのF-16Dブラキートと同様のドーサルスパインを持つ。2003年のピース・カービンIVでは20機のBlock 52アドバンスドが引き渡されたが、これらは全てD型である<ref>世界の名機シリーズ F-16 ファイティングファルコン [[イカロス出版]] 2009年 ISBN 4863202458 86頁</ref>。
|-
|style="white-space:nowrap"|{{THA}}
|style="white-space:nowrap"|61機
||1984年にF-16A/B導入を表明したが、アメリカ政府は[[ASEAN]]諸国や中華人民共和国の急速な軍備増強による地域の不安定化を理由に、F-16/79の売却のみ認めていたが、1987年にアメリカ政府の方針が変更され、Block 15 OCUの売却が認められた。このピース・ナレアンIで12機（A型：8機 B型：4機）の導入契約が結ばれた。しかしタイの財政状況悪化から一旦A型6機の追加契約がオプション契約に切り替えられたが、1987年12月にオプション契約分もピース・ナレアンIIとして正式に発注された。

1995年のピース・ナレアンIIIでは大きなトラブルは発生せず、Block 15 OCUを18機（A型：12機 B型：6機）導入した。1997年により高性能の航空機の導入を決定し、F-16を含む複数の候補の中から[[F/A-18 (航空機)|F/A-18C/D]]を選定したが、[[アジア通貨危機]]によりこの導入計画は白紙化された。この計画の代案として2000年7月（一部の書籍では1999年3月としている<ref name="JWings No114 58P"/>）にF-16の増強を決定し、ピース・ナレアンIVとしてアメリカからF-16 ADF 16機（A型：15機 B型1機）と部品取り用のA型2機を導入した。その後もF-16の増強が行われ、シンガポールからBlock 15 OCU 7機（A型：3機 B型：4機）を寄贈された<ref name="JWings No114 58P"/><ref name="AW200407P60-61">『[[エアワールド]]』Vol.333号 、エアワールド社、2004年、60-61頁</ref>。
|-
|style="white-space:nowrap"|{{UAE}}
|style="white-space:nowrap"|80機
||1994年から1998年にかけて選考を行い、F-16の採用を決定した。この選考で比較対象とされた機種は[[ラファール (航空機)|ラファール]]であった。[[2003年]]6月に80機）E型：55機 F型：25機）を発注し、[[2004年]]4月から引き渡しが開始されている<ref name="AW200407P56"/>。
|-
|style="white-space:nowrap"|{{JOR}}
|style="white-space:nowrap"|55機 +<br />9機（予定）
||保有機の更新用にF-16の導入を希望している事を表明していたが、隣国であるイスラエルと対立関係にあった事から、アメリカ政府はF-16を売却する事に難色を示していた。しかしイスラエルと和平合意に達した事と、[[ロシア]]と[[MiG-29 (航空機)|MiG-29]]を購入するための交渉を始めた事から、1996年にピース・ファルコンIとしてF-16 ADF 16機(A型12機/B型4機)が5年契約のリースで引き渡された<ref name="AW200407P63">『[[エアワールド]]』Vol.333号 、エアワールド社、2004年、63頁</ref>。

1999年にはピース・ファルコンIIとしてさらにF-16 ADFを17機（A型：16機 B型：1機）購入し、全機にMLU仕様への改修を施している。リース期間が満了となったピース・ファルコンIの機体はそのまま供与されたが、MLU仕様への改修は施されていない。その後さらにヨーロッパから中古のF-16AM/BMを導入する事を計画し、2006年からピース・ファルコンIIIとしてベルギーから16機（AM型：12機 BM型：4機）を、ピース・ファルコンIVとしてオランダから6機（BM型のみ）を購入した。今後、ピース・ファルコンVとしてさらに9機のF-16AMがベルギーから引き渡される予定<ref>『JWings』No141 [[イカロス出版]] 2010年 62-64頁</ref>。
|-
|style="white-space:nowrap"|{{MAR}}
|style="white-space:nowrap"|24機
||1991年に一旦は中古のF-16A/Bの導入を決定したが、フランスが[[ミラージュ2000 (戦闘機)|ミラージュ2000]]の販売と保有する[[ミラージュF1 (戦闘機)|ミラージュF1]]のアップグレードを提案したため再検討となった。しかしこれらはどちらも実現せず、最終的にフランスが提案した[[ラファール (航空機)|ラファール]]/ミラージュ2000の組み合わせとの検討の末、[[2008年]]にF-16C/D Block 52アドバンスド24機（C型：18機 D型：6機）の導入を決定した。引き渡しは[[2011年]]から開始されている<ref>世界の名機シリーズ F-16 ファイティングファルコン [[イカロス出版]] 2009年 ISBN 4863202458 94-95頁</ref>。
|-
|style="white-space:nowrap"|{{IRQ}}
|style="white-space:nowrap"|18機（予定）
||[[2011年]]9月に18機を導入するFMS契約を結んだ<ref>『JWings』No160　[[イカロス出版]]　2011年　88頁</ref>。導入するのはBlock 52アドバンスドに準じたF-16IQで、2014年6月6日に初号機が引き渡された<ref name="JWings No192 97P"></ref>。
|-
|}

=== 採用決定・納入待ち ===
{| class="wikitable"
|-
! 国 !! 導入機数 !! 備考
|-
|style="white-space:nowrap"|{{ROU}}
|style="white-space:nowrap"|48機（予定）
||[[2008年]][[5月20日]]に[[MiG-21 (航空機)|MiG-21 ランサー]]の後継機としてF-16C/Dの導入を決定し、新造のBlock 50/52アドバンスド24機と中古のBlock 25再生改修機24機がFMSで引き渡されることになっていたが<ref name="KF200808P125">『航空ファン』668号、2008年、文林堂、125頁</ref>実現せず、[[2012年]][[8月22日]]にポルトガル政府と中古のF-16A/Bを9機購入するための交渉を進めていることを発表した<ref>『JWings』No171　[[イカロス出版]]　2012年　94頁</ref>。
|-
|}

=== 採用検討中・検討後不採用・採用取り消し ===
==== 採用検討中 ====
{| class="wikitable"
! 国 !! 備考
|-
|style="white-space:nowrap"|{{BGR}}
||<ref name="KF200806P63"/>
|-
|style="white-space:nowrap"|{{SVN}}
||<ref name="KF200806P63"/>
|-
|}

==== 検討後不採用・採用取り消し ====
{| class="wikitable"
! 国 !! 備考
|-
|style="white-space:nowrap"|{{SAU}}
||[[F-5 (戦闘機)|F-5E]]更新F-Xとして検討していた<ref name="KF199906P49">『航空ファン』558号、文林堂、1999年、49頁</ref>。
|-
|style="white-space:nowrap"|{{ESP}}
||F-16の量産機が視界外交戦能力を実装していなかったため、[[F/A-18 (航空機)|F-18A/TF-18（現：F/A-18B）]]をC.15/EC.15として採用した<ref name="Bill Gunston F/A-18_Hornet P3">[[ビル・ガンストン]]　『F‐18ホーネット—戦闘攻撃機』　[[浜田一穂]]訳、[[原書房]]、1986年、ISBN 4-562-01806-2、3頁</ref>。
|-
|style="white-space:nowrap"|{{CAN}}
||F-16の量産機が視界外交戦能力を実装していなかったため、F-18A/Bを[[CF-18 ホーネット|CF-188A/B]]として採用した<ref name="Bill Gunston F/A-18_Hornet P3"/>。
|-
|style="white-space:nowrap"|{{AUS}}
||F-16の量産機が視界外交戦能力を実装していなかったため、F-18A/Bを採用した<ref name="Bill Gunston F/A-18_Hornet P3"/>。
|-
|style="white-space:nowrap"|{{ZAF}}
||[[サーブ 39 グリペン]]を採用。
|-
|style="white-space:nowrap"|{{JPN}}
||[[F-104 (戦闘機)|F-104]][[F-X (航空自衛隊)#第3次F-X|後継F-X]]で提案が行われたが、[[F-15 (戦闘機)|F-15]]を採用した<ref name="maru mechanic No42P61">『丸メカニック』42号、[[潮書房]]、1983年、61頁</ref>。[[F-2 (航空機)|F-2]]原型機。それぞれの経緯は該当項目を参照
|-
|style="white-space:nowrap"|{{NZL}}
||[[A-4 (航空機)|A-4]]更新用F-Xとしてパキスタンに引き渡されなかった機体のリース取得を予定していたが、空軍の[[戦闘機]]部隊解散が決定したことによりキャンセルされた<ref name="KF199906P49"/><ref name="AW200407P58">『[[エアワールド]]』Vol.333号 、エアワールド社、2004年、58頁</ref>。
|-
|style="white-space:nowrap"|{{BRA}}
||F-5後継F-X2にF-16BRの仮称で提案されていたが、一次選考で脱落<ref name="KF200812P123-124">『航空ファン』672号、文林堂、2008年、123-124頁</ref>。
|-
|style="white-space:nowrap"|{{CZE}}
||グリペンを採用<ref name="KF200806P63"/>。
|-
|style="white-space:nowrap"|{{HUN}}
||グリペンを採用<ref name="KF200806P63"/>。
|-
|style="white-space:nowrap"|{{IRN}}
||[[北大西洋条約機構|NATO]]4ヵ国に続く採用決定国であったが、同国の[[ゴム州]][[ゴム (イラン)|ゴム市]]で発生した暴動を発端とする国内情勢悪化<!--や第一次オイルショック終結後の原油価格下落に伴う外貨収入の減少-->により発注自体を取り消し、[[イラン空軍]]仕様で製造されていた機体は、既に組み立てが始まっていた機体も含めて[[イスラエル]]が取得した<ref name="F-16_Fighting_Falcon P218">[[ビル・ガンストン]]　『F-16 ファイティングファルコン　最先端テクノロジー機のすべて』　[[浜田一穂]]訳、[[原書房]]、1996年(新装版　第2刷)ISBN 4-562-02764-9、218頁</ref>。
このイラン向けの機体は[[アメリカ海軍]]標準の武装での運用を前提に製造されており、対地攻撃時に使用する[[爆弾]]はMk83低抵抗1,000lb爆弾が標準武装とされていた<ref name=Raid on the Sun(ja) P112>[[ロジャー・クレイア]] 『イラク原子炉攻撃!』 [[高澤市郎]]訳、[[並木書房]]、2007年、ISBN 4-89063-215-8、112頁</ref>。
|-
|style="white-space:nowrap"|{{IND}}
||[[MiG-21 (航空機)|MiG-21]]更新F-Xに対してF-16INの仮称で提案されていたが、一次選考で脱落。最終的に[[ラファール (航空機)|ラファール]]を採用した。
|-
|style="white-space:nowrap"|{{PHL}}
||[[2011年]]12月に中古のF-16C/Dを1個飛行隊分導入すると発表した<ref>『JWings』No163 [[イカロス出版]] 2012年 93頁</ref>が、翌年一転して断念する意向を明らかにした<ref>[http://japanese.ruvr.ru/2012_05_18/fuiripin-beikoku-sentouki-no-kounyuu-dannen/ フィリピン　米国製戦闘機の購入　断念] ロシアの声 2012年5月18日</ref>。
|-
|}
<!--{{reflist}}　出典テスト用-->

== 仕様 ==
[[画像:GENERAL DYNAMICS F-16 FIGHTING FALCON.svg|500px|right]]
=== 機体仕様 ===
''参考文献''（脚注を除く）
*Block 25/50：『航空情報 No.789』
*Block 42/F-16E：『戦闘機年鑑 2009-2010』 ISBN 978-4-86320-157-6

;F-16C Block 25
*全幅：9.45m
*全長：15.03m
*全高：5.09m
*翼面積：27.87m&sup2;
*自重：8.27t
*[[最大離陸重量]]：19.19t
*発動機：[[プラット・アンド・ホイットニー]] [[プラット・アンド・ホイットニー F100|F100]]-PW-220（[[アフターバーナー|A/B]]使用時 10,809kg）1基
*[[ステルス性#レーダー反射断面積|RCS]]：約2m&sup2;
*[[射撃管制装置|FCS]]：[[AN/APG-68]]<ref name="KF199906P51"/>
*レーダー警戒装置：ALR-69<ref name="ALR-69">以下の点から、F-16N/TF-16Nを除いたBlock 1からBlock 4Xまで、出荷段階ではALR-69を装備していると判断した。　1.『F-16 ファイティングファルコン　最先端テクノロジー機のすべて 』の110ページに記載された、量産前のアビオニクス整備システム開発で名称があげられている。2.『戦闘機年鑑 2005-2006年度版』35ページで、F-16N/TF-16Nは従来搭載されていたALR-69を装備していない、Block 4Xは後日Block 5Xと同様のALR-56Mに交換されたと記述されていた</ref>
*燃料搭載量：
*最大速度：[[マッハ数|マッハ]]2.02
*上昇率：15,240m/m
*実用上昇限度：15,240m
*離陸滑走距離：260m
*着陸滑走距離：600m
*最大搭載量：7,070kg
*航続距離：4,200km
*乗員：1名
*機体寿命（各種派生型共通）：4,000時間

;F-16C Block 40（F-16CG）
*全幅：10.00m（翼端[[空対空ミサイル|AAM]]含む）
*全長：15.03m
*全高：5.09m
*翼面積：27.9m&sup2;
*空虚重量：8,627kg
*全備重量：10,780kg
*[[最大離陸重量]]
**制空任務：12,331kg
**最大装備：19,187kg
*発動機：[[ゼネラル・エレクトリック]] [[ゼネラル・エレクトリック F110|F110]]-GE-100（[[アフターバーナー|A/B]]使用時 128.9kN）1基
*[[射撃管制装置|FCS]]：AN/APG-68(V)<ref name="KF199906P51"/>
*レーダー警戒装置：ALR-69もしくはALR-56<ref name="sentoukinenkan2005-06 35P">『戦闘機年鑑 2005-2006年度版』　[[イカロス出版]]　2005年　ISBN 4871496325　35頁</ref>
*燃料搭載量：3,896l（機内搭載）+1,402l×2（[[増槽]]）
*最大速度：[[マッハ数|マッハ]]2.0+（2,414km/h）
*実用上昇限度：15,240m+
*機外搭載量：5,443kg
*戦闘行動半径
**Hi-Lo-Hi：740nm
**Hi-Lo-Lo-Hi：340nm
**迎撃任務：710nm
*航続距離：2,000nm+
*乗員：1名

;F-16C Block 50（F-16CJ）
*全幅：9.45m
*全長：15.04m
*全高：5.09m
*翼面積：27.9m&sup2;
*自重：8.27t
*全備重量：12t（空戦時）
*[[最大離陸重量]]：19.19t
*発動機：[[ゼネラル・エレクトリック]] [[ゼネラル・エレクトリック F110|F110]]-GE-129（[[アフターバーナー|A/B]]使用時 13,154kg）1基
*推力重量比：0.69
*[[射撃管制装置|FCS]]：AN/APG-68(V)5
*レーダー警戒装置：ALR-56M<ref name="AW199012P45">『[[エアワールド]]』Vol.14 12号 、エアワールド社、1990年、69頁</ref>
*最大速度：[[マッハ数|マッハ]]2.0
*上昇率：15,240m/m
*実用上昇限度：15,240m
*翼面荷重：687.7kg/m&sup2;
*翼福加重：236.9kg/m&sup2;
*最大搭載量：7,070kg
*戦闘行動半径：1,759km
*航続距離：約3,982km
*乗員：1名

;F-16E
*全幅：9.45m（翼端[[ミサイル]][[ランチャー]]含む）
*全長：15.03m
*全高：5.09m
*翼面積：27.87m&sup2;
*空虚重量：9,979kg（[[コンフォーマル・フューエル・タンク]]装備）
*全備重量：13,154kg
*[[最大離陸重量]]：20,866kg
*発動機：[[ゼネラル・エレクトリック]] [[ゼネラル・エレクトリック F110|F110]]-GE-132（[[アフターバーナー|A/B]]使用時 144.47kN）1基
*[[射撃管制装置|FCS]]：AN/APG-80<ref name="sentoukinenkan2005-06 37P">『戦闘機年鑑 2005-2006年度版』　[[イカロス出版]]　2005年　37頁</ref>
*レーダー警戒装置：
*最大速度：[[マッハ数|マッハ]]2.02
*乗員：1名

=== 武装 ===
{{col|
;固定武装
*[[M61 バルカン|M61A1 バルカン砲]]
|
;[[空対空ミサイル]]
*[[サイドワインダー (ミサイル)|AIM-9 サイドワインダー]]
*[[AIM-120 (ミサイル)|AIM-120 AMRAAM]]
*[[パイソン (ミサイル)|パイソン4]]

;[[空対地ミサイル]]
*[[AGM-65 マーベリック]]
*[[AGM-88 (ミサイル)|AGM-88 HARM]]
*[[AGM-142 (ミサイル)#派生型|AGM-142 Have Lite]]
*[[AGM-154 JSOW]]

;[[空対艦ミサイル]]
*[[ペンギン (ミサイル)|AGM-119 ペンギン]]
|
;その他兵装
*[[レーザー]][[誘導爆弾]]
*[[クラスター爆弾]]
*[[ロケット弾]]
*[[無誘導爆弾]]
*[[AN/ALE-50]]など
}}

== 登場作品 ==
{{Main|F-16に関連する作品の一覧}}

== 外部リンク ==
{{Commons|Category:General Dynamics F-16 Fighting Falcon}}
* [http://www.lockheedmartin.com/products/f16/ ロッキード・マーティン公式HP] {{en icon}}
** [http://www.youtube.com/watch?v=Op-4NBYbUcU 2009年パリショーでのデモフライト] -ロッキード・マーティンによって[[YouTube]]に投稿された動画
* [http://www.f-16.net/ F-16.net] {{en icon}} 
* [http://wiki.scramble.nl/index.php/Lockheed_Martin_F-16_Fighting_Falcon F-16 Scramble - The Aviation Magazine] {{en icon}}
* [http://www.andersen.af.mil/shared/media/document/AFD-090204-080.wmv コープノース演習に参加したF-16の着陸(動画)] - アンドリュース空軍基地公式HP {{en icon}}
* [http://eaglet.skr.jp/MILITARY/F-16.htm F-16 FightingFalcom] {{ja icon}}

== 出典・脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{reflist|2}}

{{アメリカ軍の固定翼機 (呼称統一以降)}}

{{デフォルトソート:F016}}
[[Category:ジェネラル・ダイナミクス]]
[[Category:アメリカ合衆国の戦闘機]]

{{Link FA|hu}}
{{Link FA|nl}}
{{Link FA|es}}
{{Link GA|en}}
{{Link GA|sv}}