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CardWirth
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{{コンピュータゲーム |Title=CardWirth |Genre=[[ロールプレイングゲーム]] |Plat=PC ([[Microsoft Windows|Windows]]) |Dev=groupAsk |Pub=Version.1.20:同上<br />Version.1.50:カードワース愛護協会 |Ver=1.20:groupAskによる最終版<br />1.50:カードワース愛護協会による最新版 |Play=1人 |Media=[[ダウンロードゲーム|ダウンロード]] |Date=[[1998年]][[8月18日]] |Price=無料([[フリーウェア]]) |Device=[[マウス (コンピュータ)|マウス]]または[[キーボード (コンピュータ)|キーボード]] |Spec=[[Microsoft Windows 95]] / [[Microsoft Windows NT|NT 4.0]] 以降<br />[[Pentium]]120Mhz以上<br />[[記憶装置|メモリ]]32[[メガバイト|MB]]以上推奨<br />[[画面解像度|800x600ピクセル]] 65536色以上 表示可能な[[ディスプレイ (コンピュータ)|ディスプレイ]]推奨 |etc=[[DirectX]]不要 }} '''CardWirth'''(カードワース、略称「CW」)は「groupAsk」が開発した[[Microsoft Windows|Windows]]上で動作する[[フリーウェア]]の[[コンピュータRPG]]である。 [[2000年]]頃にブームを迎え、一大コミュニティを形成し[[メディア (媒体)|メディア]]から頻繁に取り上げられていた時期もあったが、その後はブームも去り比較的小規模な状態で落ち着いた。登場から16年目となる[[2014年]]現在もユーザーによるシナリオの作成・公開などは続いており、一時期ほど活発ではないものの一定のユーザーを獲得している。 なお開発者のgroupAskはCardWirthの開発や運営から既に退いており、その役割はユーザーサイドに委ねられている。 == 概要 == CardWirth(カードワース、略称「CW」)は、「groupAsk」(「[[#開発者と公式サイト|開発者と公式サイト]]」の項にて後述)によって開発され、[[1998年]]8月にインターネット上で公開された。公式サイトに記述された紹介文によると「CardWirthはTRPG([[テーブルトークRPG]])の自由度と、[[カードゲーム]]の遊び易さを融合した、新しい形態のRPG」とされている。自由に移動できるフィールドを持たない、画面内に配置されたカードをクリック(選択)することでゲームを進行させていく、[[キャラクター]]の能力値のほとんどが隠蔽されている、戦闘システムがカードバトルになっているなどの独特のゲームシステムが特徴である。そのプレイ感覚は[[コンピュータゲーム]]に当てはめて例えた場合、どちらかといえばRPGよりも[[アドベンチャーゲーム]] (AVG) や[[サウンドノベル]]に近い。 多くのRPGと異なり基本的に固定されたストーリーを持たず、「シナリオ」と呼ばれる外部データをユーザーが追加してプレイする形式が採られている。シナリオについては、CardWirthが[[テーブルトークRPG|TRPG]]を意識しているだけあって、特定のシナリオをプレイすることによって以降連鎖的にプレイ可能となる[[キャンペーン (TRPG)|キャンペーンシナリオ]]形式にも対応している。 CardWirth本体はシナリオを読み込み、動作させるためのエンジンとなっている。 またこのエンジンとは別にシナリオ作成用[[エディタ]]も公開されており、ユーザーの手によってシナリオを制作することが可能。 現在ではユーザーが作成したシナリオやCardWirthでの利用に適した各種の[[リソース]](画像、楽曲)が多数公開されている。 一般に人気[[フリーゲーム|フリーソフトゲーム]]のコミュニティ形成は「作者」:「ユーザー」の関係が一対多であることが多いが、CardWirthは先述の通りユーザーが創作側に回ることも珍しくなく、多対多のコミュニティが形成された。 == 開発者と公式サイト == groupAskは当初から[[同人ゲーム]]の制作のみを目的としていたわけではなく、また制作した[[ソフトウェア]]を[[同人誌即売会]]で頒布していない事からも、狭義における[[同人サークル]]とはスタンスの異なる同人集団である。 かつてgroupAskの[[公式ウェブサイト|公式サイト]]に「groupAskは[[コンピュータネットワーク|ネットワーク]]という[[仮想世界]]に存在する[[ソフトウェア]][[開発]][[グループ]]であり主に[[Microsoft Windows|Windows]]の[[ソフトウェア]]の制作を行っている」という主旨の一文を掲載していたことからも、その事がうかがい知れる。 もっとも、結果として[[同人ゲーム]]であるCardWirth以外の[[ソフトウェア]]を[[開発]]するまでには至らなかった。 groupAskのメンバーは斉藤・倉貫・赤塚の3名。groupAskの「Ask」とは、groupAskのメンバーでありCardWirthを開発したメンバーでもあるこの3名の頭文字から名付けられた。この3名は当時[[大学]]の研究室で一緒に作業をしており、斉藤が年長で、倉貫と赤塚が一年後輩にあたる。 開発時には[[プログラム (コンピュータ)|プログラム]]の大半を倉貫が、音楽を赤塚が担当し、[[グラフィック]]とシナリオの数多くを斉藤が手がけている。 CardWirthが[[インターネット]]上で公開されるようになってからは主に倉貫が[[公式ウェブサイト|公式サイト]]の運営作業に当たる。その役割はサイト情報の更新に加え、ユーザー間の交流を目的に設置された各種[[コンテンツ]]の管理、そしてユーザーが制作したシナリオを投稿できる「Adventurer's GUILD」(通称「ギルド」)と称されるサイトの運営であった。 もっとも、現在は3名とも社会人として多忙な日々を送っているため、こうしたCardWirthの開発・[[公式ウェブサイト|公式サイト]]の運営作業からは退く。 現在はgroupAskから正式に[[委託]]を受けた"CardWirthを愛する有志によって結成された団体"である「カードワース愛護協会」によって運営される公式[[ファンサイト]]、「groupAsk official fansite」がその機能を引き継いでいる。<ref>(参考資料:[[ファンサイト]]「CardWirth Anthology」の[[コンテンツ]]「CWエッセイ」第8回・第43回・第44回)</ref>。 === 開発よもやま === ==== 開発経緯 ==== 開発当初、CardWirthはProject_RPG3という開発名で呼ばれていた。 斉藤が開発し始めたゲーム[[プログラム (コンピュータ)|プログラム]]の3つ目の意味で、[[Microsoft Windows|Windows]][[オペレーティングシステム|プラットフォーム]]で開発されたのはこれが最初のもの。 本人の談によると、当初は10分くらいで終了するブリキの玩具のようなものが想定されており、[[インターネット]]上で公開するつもりもなかったという。 後に倉貫・赤塚の両名が開発に加わり、この[[プログラム (コンピュータ)|プログラム]]が本格的なゲームとしての具体性を帯びることになった事から、CardWirthは世に登場した<ref>(参考資料:[[ファンサイト]]「CardWirth Anthology」の[[コンテンツ]]「CWエッセイ」第8回・第43回・第44回)</ref>。 ==== タイトルの由来 ==== CardWirthという名称、とりわけWirthという単語については、groupAskによる公式見解が存在しておらず名称の由来は不明である。 "数日間悩んだ末、どこからか出た言葉"という赤塚の発言<ref>(出典:CWエッセイ第8回「~カードワースの夜明け~」)</ref>などもあるが、groupAsk名義で正式に定義されたことは無い。 ユーザーの間でも過去に幾度かの考察がなされ、古くはWirthとは伝説や伝承を意味する言葉であり「札伝説」という意味である<ref>(出展:「CardWirth Users'Network」[[1999年]]7月24日7時48分のアムリタの発言)</ref>というものが、後にはWirthは英語の古語で「自分で商売を営んでいる人」、転じて「宿屋の主人」を意味する<ref>(出典:「CardWirthUsers'Network」[[2001年]]3月9日7時17分のmishikaの発言)</ref>というものが定説となった。 == システム構成 == CardWirthの[[プログラム (コンピュータ)|プログラム]]には先述の通り、本体となるシナリオ動作エンジン(CardWirth本体)とシナリオ作成用[[エディタ]] (CardWirthEditor等) が存在する。 (配布は[[エンジン]]単体・あるいは両者をパッケージングした形態で行われているので必ずしも[[エディタ]]がシステムに含まれるわけではない) これに[[デフォルト]]の各種リソース、データ、そしてユーザーが各自で追加したシナリオ群によって構成される。 配布されているバージョンやパッケージング形態によっては後述する「エフェクトブースター」などが含まれていることもある。 === 動作環境 === CardWirthは設計された時期や開発[[概念|コンセプト]]の関係上、[[DirectX]]等の複雑な描画・音響エフェクトは使用されておらず、基本的にそれほど高いスペックは要求されない([[Microsoft Windows 95|Windows 95]]以上が動くパソコンであれば問題はない)。 長らく[[Microsoft Windows XP|Windows XP]]以降の環境に十分に対応できていなかったが、最新のバージョンではこの点は解消されている。 もっとも、最新バージョンは描画・音響共に機能が向上していることもあり、快適に動作させるためにはそれなりのスペックが必要となっている(動作環境はCPUは1GHz以上、[[記憶装置|メモリ]]は32ビット[[オペレーティングシステム|OS]]で1[[ギガバイト|GB]]以上・64ビット[[オペレーティングシステム|OS]]では2[[ギガバイト|GB]]以上に改められている)。 === エンジン === CardWirthEditorで制作したシナリオを動作させる、CardWirthの本体部分(エンジン)。 この[[プログラム (コンピュータ)|プログラム]]単体でゲームを起動することが可能。 ==== CardWirth ==== 純正またはその派生エンジンは公開されて以来いくつかのバージョンが存在するが、現行のバージョンはgroupAskが配布しているVer.1.20と、groupAsk official fansiteが未完成の状態の新エンジンをgroupAskから譲り受け、公開可能な状態にまで引き上げたVer.1.28以降の2種類が存在する。 Ver.1.29以降はVer.1.28に対して上位互換であり、Ver.1.28用に作られた全てのシナリオが問題なく動作するとされているが、Ver.1.20とVer.1.28の間には動作に若干の差異があり、シナリオの仕様や作成年次によっては完全な互換性がないものもある(中にはシナリオの進行に支障をきたすこともある)。 現在はVer.1.50が主流。 なお、最新バージョンであるVer.1.50は後述するCardWirthNextの前身にあたるエンジンであるため、厳密にはそれ以外のバージョンのエンジンとは異なる系統に位置する。 シナリオのデータ形式はgroupAskの時代から非公開となっており、有志の解析結果は存在するものの公式による仕様書は存在しない。 ==== CardWirthNext ==== CardWirthNextは、CardWirthの現行最新バージョンであるVer.1.50を開発したLynaが手がける派生エンジン。1.50をベースとしているが、1.50以前のCardWirthエンジンにはない独自の機能が多数実装されている。 データ形式は上位互換であるため、Ver.1.15からVer.1.20の移行と同様に逆戻りはできないが、旧来のデータはそのまま利用可能である。 ただしNextエンジン及び後述するWirthBuilderから生成されるデータは独自形式になるため、宿データやシナリオデータなどは他のCardwirthツールと互換性がない。 このエンジンで扱われるデータ形式も2014年5月現在非公開であるため、Nextの保守及び拡張は開発者であるLynaだけとなっている。 公式ファンサイトでは本流とは異なる派生エンジンという扱いになっているが、公式ギルドにおいてもNext形式のシナリオを受け付けている。 ==== CWI ==== CWIは、クローンエンジン開発プロジェクトの一つ。 Thomasによって開発され、[[C_Sharp|C#]]によって記述された独自の互換エンジンを持つ。 現在は開発停止しているが、ソースコードが公開されているため、派生プロジェクトやこのエンジンを利用したツールなどが発表されている。 同時にシナリオデータの仕様についても独自の解析結果を公表しており、後述のCardWirthPyでもその成果が利用されている。 ==== CardWirthPy ==== CardWirthPyは、クローンエンジン開発プロジェクトの一つ。 [[Python|プログラム言語「Python」]]によって一から開発された独自の互換エンジンを用いており、「[[FLOSS|フリー・オープンソースの維持]]」「CardWirthとの99%の互換性を目指す」を標榜している。 このプロジェクトの中核をなすエンジンであるCardWirthPyは鋭意開発中であり、現在もバグ修正や細部の互換性を高めるため調整が活発に行われている。 プロジェクトへの参加やコードの変更は[[オープンソースソフトウェア|オープンソース]]であるため、誰でも認められている。 なお、「CardWirthとの99%の互換性を目指す」のCardWirthとは純正またはその派生エンジン(Ver.1.20エンジンを含むVer.1.50エンジン以下)、および後述のバリアント仕様のエンジンのことであり、これらと双方向での互換性を持っているが、宿データには互換性がなくそのままでは読み込めないため、利用するにはデータ形式の変換が必要である。 シナリオ形式はCardWirth互換のものとは別にXMLによるCardWirthPy独自形式も持つが、他のエンジンでは互換性がないため利用できない。 === エディタ === CardWirthエンジンで動作させるためのシナリオを制作する[[エディタ]]ツール。 ==== CardWirthEditor ==== groupAskが配布している「CardWirthEditor」と、CardWirth Ver.1.28の仕様に合わせて軽微な改造を施してgroupAsk official fansiteがかつて配布していた「CardWirthEditor2」が存在するが、基本的に同一のものである。 多くのエディタが[[スクリプト言語|スクリプト]]での記述を必要とするのに対し、CardWirthEditorは[[インタフェース (情報技術)|インタフェース]]として完全な[[グラフィカルユーザインタフェース|GUI]]を備えており、全くの初心者であっても容易に扱えるのが特徴。 その一方で、コンテントと呼ばれる[[アイコン]]化された一連の処理の並びが一般的な[[プログラミング言語]]の[[ソースコード]]とそれほど変わらないため、昨今用いられるプログラミング言語([[Perl]]や[[Java]]など)による開発に慣れているユーザーも直感的に扱えるという、非常に優れた開発ツールとしての一面も持つ。 ただし、あくまでもCardWirth用に作られたシナリオ[[エディタ]]に過ぎないので、高度な[[プログラミング (コンピュータ)|プログラミング]]にまで対応しているわけではない。 もっとも、多少複雑な処理を組み込むにしてもシナリオを制作する上で困ることはほとんどない。 少なくとも[[サウンドノベル]]のような形式のシナリオを作るのであれば、基本的なコンテントをいくつか覚えるだけですぐにでも思い通りの物を制作することが出来る。 なおCardWirthEditorを長時間起動していると[[主記憶装置|メモリ]]の使用量が増加していくという問題点(おそらく[[メモリリーク]])が確認されている。 ==== WirthBuilder ==== CardWirthEditorの後継として開発されたシナリオ制作[[エディタ]]で、CardWirth Ver.1.50 フルパックではCardWirthEditorを廃してこちらが同梱されるようになった。 また、前述のCardWirthNext用のシナリオ制作[[エディタ]]でもある。 CardWirthエンジンVer.1.29以降に追加された機能をシナリオに盛り込むためにはこちらのツールを使う必要がある。 ただし、CardWirthNext(Ver.1.60以降)用のWirthBuilderで出力されたシナリオは新規・既存を問わずこれまでと異なる専用の形式で保存されるため、他のエディタ(プロジェクト)では利用できなくなる。 ユーザインタフェースはCardWirthEditorを踏襲しており、旧来からのユーザーでも違和感なく操作できるようになっている。 ==== CWXEditor ==== 元は前述のCardWirthPy用としてCardWirthPy本体とは別のプロジェクトにより開発されたシナリオ制作[[エディタ]]であったが、後にCardWirthエンジン用のシナリオも取り扱う機能が実装された。 CardWirth用に作られたシナリオデータとCWXEditorで作られたシナリオデータは完全に同一のものであるため相互で利用可能だが、CardWirthNext用に作られたシナリオは独自形式で保存されるためCWXEditorで開くことは出来ない。逆に、CardWirthNextの機能を使ったシナリオを制作することも出来ない。 非常に強力な各種シナリオ制作支援機能が搭載されているが、多機能すぎることやユーザインタフェースがCardWirthEditorと全く異なる事などから、旧来からのユーザーも含めて扱いにはそれなりの習熟が必要となる。 === 同梱ツール === 旧バージョンにのみ存在していた付属[[プログラム (コンピュータ)|プログラム]]。 ==== CardWirthUtility ==== CardWirthのプレイ時の各種データに対して修正や編集を行うためのユーティリティソフト。 現在はエンジンにその機能の大半が譲られる形となり廃止されている。 しかしこのプログラムには引退した[[プレイヤーキャラクター]]の具体的な数値データを見ることが出来るという、現在のエンジンにはない大きな特徴があった。 ==== エフェクトブースター ==== groupAsk official fansiteによって一から開発されたもの。 これは単体のソフトウェアの名称ではなく、CardWirth Ver.1.20で[[JPEG]]ファイルを読み込むために作られた[[ダイナミックリンクライブラリ|DLL]]ファイルを拡張し、画像エフェクト処理の再生機能を追加したものを利用した技術と、その関連[[ソフトウェア]]の総称である。 この技術を利用することでCardWirthに様々な画像エフェクト機能を追加できるようになるが、CardWirth単体とは異なり使用時の再生[[パフォーマンス]]は[[ハードウェア]]の[[性能]]に大きく依存する。 関連[[ソフトウェア]]群の使い勝手がCardWirthEditorほど良くなく、またヘルプ群が不足していた(リファレンスですら説明が不十分である)点からあまり普及せず、一部の[[ヘビーユーザー]]が使用するにとどまった。 元々は開発者が試作ツールとして開発を進めていたものであり、一般に公開する予定がなかったという。 CardWirthVer.1.50では上記の[[ダイナミックリンクライブラリ|DLL]]が使われていないことから、現在エフェクトブースターは同バージョンのパッケージ内に同梱されていない。 替わりにエンジンそのものに同様の機能が備えられており、またWirthBuilder上からその設定が可能となっている。 ==== JPYメーカー ==== エフェクトブースター関連の[[プログラム (コンピュータ)|プログラム]]としてかつて公開されていた開発ツール。 エフェクトブースターの機能は独自仕様の[[スクリプト言語]]によってパラメータをいくつか記述するだけで使用できたが、完全に[[グラフィカルユーザインタフェース|GUI]]化されたCardWirthEditorに慣れ親しんでいたユーザーからすれば扱い難いという問題があった。 これを解消すべく後日公開されたが、エフェクトブースターの全機能が扱えない、また使い勝手の点でも洗練されているとは言えず、結局完成度が低いままに終わってしまった。 === シナリオ === シナリオは、実際には[[Microsoft Windows|Windows]]の1[[フォルダ]]としてパッケージングされたファイル群によって形成される。 その主な内容はシナリオのソースファイル、シナリオのデータファイル、そしてリソースファイル([[Windows bitmap|BMP]]・[[JPEG]]・[[Portable Network Graphics|PNG]]・[[MIDI]]・[[WAV]]・[[MP3]]・その他)となっている。 オリジナルのCardWirth本体には「交易都市リューン」「[[ゴブリン]]の洞窟」の2本があらかじめ収録されている(ただし、収録されている付属シナリオは後述する[[バリアント]]の種類によって違いがある)。 == 世界観 == 当初は、多くの[[ファンタジー]]作品に見られるような[[中世]][[ヨーロッパ]]を[[モチーフ]]とした“[[剣]]と[[魔法]]の世界”がゲームの舞台として設定されていた。 もっとも、CardWirthはユーザーがシナリオを自由に制作できる上、開発者のgroupAskもユーザーに対してシナリオの制作に関して特に制約を課すことがなかったので、ゲームの舞台となる世界観は必ずしも固定されたものではなかった。 そのためシナリオによっては前述の世界観と大きくかけ離れた世界が舞台となる事もあり、[[銃器]]や[[活版印刷]]が当たり前のように普及している場合もあれば、それどころか[[科学技術]]によって[[宇宙]]に進出するようなことさえある。 後に"CardWirthをまったく違う世界観で楽しもう"というコンセプトから「[[バリアント]]」と呼ばれる、CardWirthのシステムに[[パッチ]]を当てた[[派生]]バージョンが誕生し、[[現代社会]]を舞台としたCardWirthなどが登場するようになった(なお、CardWirthにおけるバリアントとはこのように世界観そのものの変革を含めた意味となるため、CardWirthエンジン内のリソースファイルを変更しただけの改変プログラムはバリアントには該当しない)。 ただし、バリアントは現状あまり普及しているとはいえない。 これまでのところバリアント用エンジンはCardWirth Ver.1.28の実行ファイルを改変して作られているため、CardWirthNextでバリアント用に改造する手法は確立されていない。CardWirthPyではユーザーの手元にバリアント用エンジンがあればそちらのリソースを取り込むよう指定することで動作する。 === ファンタジーI型 === groupAskがCardWirthの世界観として用意したもので、[[バリアント]]ではなくオリジナルの世界観。 [[中世]][[ヨーロッパ]]の[[都市]]に似た「リューン」という名の街を中心に、子守から人探し・護衛・モンスター討伐・果ては世界の命運を掛けるような大[[冒険]]まで、さまざまな仕事の依頼を引き受ける[[冒険者]]達の活劇を描く。 プレイヤーは「[[冒険者]]の宿」に集まった、そんな[[冒険者]]達を駆ることで、それらの仕事を次々と引き受けていくことになる。 本来の意味での公式設定というものは一切存在しないが、CardWirth(ファンタジーI型)においてはgroupAskが制作したシナリオに登場するわずかな設定を「公式設定」と定義することがある。 そういった「公式設定」のほとんどがぼかされているのが特徴で、たとえば[[教会]]や神聖[[魔法]]が存在するのに[[神]]の定義が全く存在しなかったり、また舞台であるリューンにしても[[国家]]であるとは明言はされていない(ただし、[[王国]][[騎士団]]の存在から[[王国]]であるらしきことなどは窺える)。 リューンとその周辺のいくつかの[[文化]]・[[宗教]]・[[地理]]などの設定と、過去に[[超古代文明]]世界と[[古代]][[王国]]期が存在していたという歴史などが、わずかに垣間見える程度である。 この事から、各シナリオ作者は自作のシナリオにおいてそれらを自由に設定できると同時に、それらが公式設定たり得ることもない。 なお、「公式設定」はおろかユーザーズシナリオを含め全体を見ても、[[エルフ]]や[[ドワーフ]]といった有名どころの[[亜人]]があまり登場しないという[[王道]]的な[[ファンタジー]]世界としては特異な傾向が見られる。 === 現代バリアント・探偵 === [[バリアント]]システム第一弾として提唱元であるgroupAsk official fansiteがリリースした作品。 現代から近未来にかけての日本(?)を舞台としており、[[プレイヤーキャラクター]]も[[冒険者]]から[[探偵]]事務所に所属する[[探偵]]という立場に変わっている。 [[魔法]]の代わりとして[[超能力]]のようなものが一応存在している世界となっている。 この設定を世界観として公式にサポートしていることから、世界観が中途半端で解りにくいという批判もわずかながらに存在した。 === 現代バリアント・学園 === CardWirthユーザーの一人、「じぇんつ」が制作した[[バリアント]]システム。 現代日本(?)の巨大学園が舞台となっており、その近辺で巻き起こる日常・非日常な毎日をクラスメイトや先輩後輩、教師達と一緒になって送ることになる。 世界観の変更に合わせて全体的なゲームシステムおよびゲームバランスの見直しが行われており、単純な世界観のすげ替えだけにとどまらず、既存のシステムと世界観を上手く融合させて新たな解釈を生み出した、[[バリアント]]企画の好例となった。 === 大江戸バリアント === CardWirthの閉塞コミュニティ([[#ユーザーとコミュニティ|「ユーザーとコミュニティ」]]の項にて後述)の一つで開発が進められてきた[[バリアント]]システム。 架空の東方国家「日の本」が舞台となっており、[[プレイヤーキャラクター]]は[[長屋]]を拠点とする「仕事人」(この世界における[[冒険者]])という設定。 [[江戸]]という響きから[[時代劇]]的な世界観を想定しがちだが、実際はファンタジーI型同様に細部はそれほど決められておらず、やはり各作者の裁量によって世界観をある程度変化させることが可能。 実際、このバリアントシステムに同梱されているシナリオ「狸の住まう穴」の内容は正統派[[時代劇]]とは無縁の[[妖怪]]退治となっている。 このことから[[江戸]]というよりは[[和風]]ファンタジー全般を扱っているとみた方が早い。 同じ様に多様性を取り入れた現代バリアント・探偵に比べ、単純にこれまでファンタジーI型で行ってきたことを[[和風]]なものに置き換えさえすればよいという利点があり、創作は行いやすい。 === その他のバリアント === 上記以外にも[[バリアント]]システムの作例がこれまでにいくつか存在するが、閉塞されたコミュニティ([[#ユーザーとコミュニティ|「ユーザーとコミュニティ」]]の項にて後述)内で確認されている程度でこれまでのところ広く認識されているものはない。 == ゲームの主な流れ == ここではオリジナルの世界観であるファンタジーI型を基準にするが、流れそのものは基本的に他の[[バリアント]]システムでもほぼ同様である。 === 冒険の準備 === ゲームを初めてプレイする際にはまず[[冒険者]]達の所属する、[[冒険者]]の宿を作成することから始まる。 以後、[[プレイヤー]]はこの宿で冒険者の登録やパーティ編成などを行うことが出来る。 手始めに、まずはこの宿に所属する[[冒険者]]の登録作業([[プレイヤーキャラクター]]の作成)を行うこととなる。 [[冒険者]]については名前や外見、性別や年代に加え能力の傾向と特徴を自由に設定可能。 一度の冒険(シナリオ)に投入できる1[[パーティ]](チーム)の人数は最大で6人までだが、宿自体に登録できる[[冒険者]]の数に上限はない。 また、ある[[冒険者]][[パーティ]]での[[冒険]]の最中でも「中断」することで他のメンバーを別の[[冒険]]に向かわせてプレイすることが可能。 === 装備を整える === シナリオの内容は必ずしも[[冒険]](仕事)ばかりとは限らない。 中には街や店で[[冒険者]]達が[[冒険]]の役に立つ[[武器]]や[[道具]]類である「アイテムカード」や、特技や[[魔法]]といった技術である「スキルカード」を購入するためのものも存在する。 購入したカードを[[冒険者]]達に持たせることによって、それらの「カード」を[[冒険]]中に活用することが可能になる。 一人が所持出来るカードの枚数はその冒険者の実力(いわゆる[[レベル (ロールプレイングゲーム)|レベル]])に応じて増加する。 CardWirthには一般的な[[コンピュータRPG]]によく見られる[[キャラクタークラス|職業(クラス)]]という概念はないので、[[ゲーム]]中の有利不利さえ気にしなければ[[冒険者]]の能力値の傾向と異なるカード、例えば豪傑タイプの[[キャラクター]]であっても[[魔法]]を所持することが可能。なお、CardWirthでは一般的な[[武器]]や[[防具]]といったものは各自あらかじめ装備しているものとみなされているため、それらを用意する必要はない。 === 依頼を受ける === 全てのシナリオで共通しているわけではないが、基本的に[[冒険者]]は[[冒険]]者の宿で「仕事」の依頼を宿の主人あるいは依頼主から直接話を聞いた上で請け負い、出発するところからシナリオはスタートすることになる。 依頼の内容は千差万別であり、駆け出しでもこなせる簡単な仕事から非常に危険で困難なものまで幅広く存在する。(大まかな難易度は「対象レベル」として予め表示される) === 探索 === [[プレイヤー]]([[プレイヤーキャラクター]])が自由に行動を起こせるようになると、画面上にカードが表示される。 [[プレイヤー]]が[[マウスポインタ]]でカードを[[クリック]]すると基本的に何らかの反応があり、それによりゲームが進行する。 多くの場合はメッセージが表示され最終的にいくつかの選択肢が出てくるのだが、時には冒険者の所持する「カード」を使って能動的に行動を取り、その後の展開を有利に進めたい場面も出てくるはずである。 (たとえば敵の見張りを[[魔法]]の力で無力化したい、明らかに怪しい場所を調査技能を使って徹底的に調べてみたい、など) このような場合は画面上に表示されているカードに対して[[冒険者]]が手持ちの「カード」を使用することで狙い通りの動作を実行できる事がある。(シナリオ側がプレイヤーのそういった行動に対応していなければならない)。 これは本作品の特徴のひとつで、「[[テーブルトークRPG|TRPG]]らしい」と言わしめる重要な要素となっている。 === 戦闘 === 時には[[冒険者]]達と敵対する存在との間で[[戦闘 (コンピュータゲーム)|戦闘]]が発生することもある。 戦闘自体は一般的な[[ターン]]制だが、よく見られる[[コマンド]]を入力する方式ではなくカードバトル方式となっている。それぞれの[[冒険者]]が手札として配布されたカードの中から適当と思われる一枚を選び、使用することで[[戦闘]]を進めていく。 (なお[[冒険者]]達のカードは毎[[ターン]]自動的に選択されているが、[[プレイヤー]]が自由に選択することも出来る) 手札には「攻撃」や「防御」といった基本的な行動が取れるカードの他に、プレイヤーが事前に用意しておいた「アイテムカード」や「スキルカード」も加わることになる。 常に手札として用意されるアイテムカードを別にすると、手札として回ってこない行動を取ることは当然出来ない。 また[[冒険者]]達の[[レベル (ロールプレイングゲーム)|レベル]]が低いうちは手札の枚数も少なく、特殊なアイテムカードを所持していないとスキルカードもなかなか回ってこないなどカードバトルならではの特徴があり、それらを考慮した駆け引きが楽しめる。 なお[[冒険者]]は基本的に「意識不明」になっても死亡する事はなく、比較的容易に戦列に復帰することが出来るが、全員が戦闘不能となった時点で敗北となり、ほとんどの場合はそれで[[ゲームオーバー]]となる。(イベントが発生し、そのままシナリオが継続されることもある) === 任務完了~帰還 === 無事に依頼を果たせたかどうかは別にして、宿に生還することが出来ればシナリオは終了する。 多くの場合この時点で仕事に対する評定が行われ、成功報酬が支払われることになる。 [[冒険者]]達の名声は経歴として残り、それが成長につながったり(一定以上の名声を得ることで、[[レベル (ロールプレイングゲーム)|レベル]]が上がる)、またこの経歴が後の冒険につながることもある。([[キャンペーン (TRPG)|キャンペーンシナリオ]]の前提条件となる) その他に、[[冒険]]の最中で一時的に仲間が加わることがあるが、そういった人物を新たな[[冒険者]]として宿に迎え入れることが出来るのもCardWirthの特徴の一つとなっている。(こちらについてもシナリオ側の対応次第)。 == 歴史 == CardWirthは[[シリーズ (作品)|シリーズ]]化されていない単一の[[同人ゲーム]]としては非常に息が長いため、登場してから今日に至るまでの[[歴史]]を把握している者は今では非常に少なくなっている。 以下はCardWirth全体を取り巻く大まかな流れをまとめたものであるが、個々の出来事をより詳細に記録した文献として[[ファンサイト]]の一つである「拾穂文庫」に「CardWirth史年表」というコンテンツが存在する。 === 黎明期(1998年頃) === CardWirthが公開されて間もないこの頃は当然ユーザー数も少なく、それに比例してシナリオやリソースもほとんど存在しなかった。 裏を返せば、この当時からCardWirthの持つ魅力に気付き、盛り上げていくことに尽力してきたユーザーが多く存在した時期と言える。 「ないものは作るしかない」、この発想からかこの頃のユーザーは一人の[[プレイヤー]]であると同時に自身が優秀な[[ゲームクリエイター|クリエイター]]でもあった。 「Adventurer's GUILD」への投稿数がまだそれほど多くなかったこの頃は、groupAskによって投稿シナリオ一つ一つに対し[[コメント]]が付けられていた。 また、極めて短期間ではあるがシナリオへの人気投票システムが稼動したこともあった。 しかし人気投票については[[フリーソフト]]の[[ゲーム]]に評価で優劣をつけるということに対し疑念を抱くシナリオ作者も多く、騒動の元となった。 その後、投票対象となるシナリオを登録制へと改められるなどの改良も行われたが、最終的には評価することの意義そのものが問われることになり、このシステムは廃止された。 この議論以降、「Adventurer's GUILD」でのシナリオの取り扱いは「シナリオの登録」のみとなり、評価に関する一切は無くなる。 === 最盛期(1999年~2000年頃) === [[メディア (媒体)|メディア]]でCardWirthが取り上げられる機会が多くなったこの頃、当時の[[インターネット]]事情とも相まってユーザーの総数が一気に増加し、それに伴いユーザーが作成したシナリオの登録数も急速に増加した。 「Adventurer's GUILD」には大量のシナリオが登録されるようになり、実力派と呼ばれるようになるシナリオ作者達も多く現れた。 その一方で、「Adventurer's GUILD」に投稿されるシナリオの完成度には大きな開きができ、まさに玉石混交といった様となり混迷を極めた。 また、あまりの投稿数の増加にgroupAskによる手作業での登録作業では追いつかなくなり、一時は「Adventurer's GUILD」が機能しなくなるなどの弊害も見られた。 (その後、公式サイトの移転と同時に「Adventurer's GUILD」をはじめとするユーザー情報の登録作業はすべて半自動化された) この頃はCardWirthを取り扱う[[ファンサイト|ユーザーズサイト]]も次々に開設され、[[オフラインミーティング|オフ会]]などの動きも含めユーザー間による交流が最も多く見られた時期でもあった。 === 減少期(2000年~2001年頃) === シナリオの投稿数が増えたことはユーザーにとっては歓迎すべき事態であると同時に、氾濫するシナリオを持て余し、自己にとってより良質のシナリオだけを求めるユーザー層(悪く言えば[[ダウンロードオンリーメンバー|DOMユーザー]])も増やす結果となっていった。 その流れを象徴するかのように、それまで何度かに渡って物議を醸してきた「シナリオ作者としてのユーザーの視点」と「プレイヤーとしてのユーザーの視点」のずれ、すなわちシナリオの評価についての是非が再び持ち上がる。 評価を是とするこの時の動きはそれまで以上に大きなものとなった為、シナリオ作者を中心とした多くのユーザー層からの不満や不信、反発といったものを招き、CardWirthコミュニティを二分するほどの勢いで意見の衝突を引き起こした。 当時コミュニティの中核をなしていたユーザーの多くがこれらの騒動に大なり小なり関わってきたことから、議論が平行線のまま収束する頃にはそういったユーザーも様々な理由で次第にコミュニティから遠のいていった。 急騰した人気が一段落したこともあり、ここからそれまでの賑わいが急速に収縮していくこととなる。 === 低迷期(2001年~2003年頃) === ユーザー数の減少はそのままCardWirthコミュニティ全体に響き、その後しばらくは低調が続くこととなる。中でも初期の頃から活躍し、それまでコミュニティの牽引役となっていたユーザーの多くが一線を退いたこと、そして開発元であるgroupAskにこの頃大きな動きが見られなかった事などが大きかった。 もっとも、これはユーザー層が大きく入れ替わる、いわば転換期としての側面もあった。特にこの当時コミュニティにデビューしたユーザーには実力派の[[クリエイター]]が多くそろっていたことから、低迷が続くもののCardWirthの人気は持続することとなった。 また、[[公式ウェブサイト|公式サイト]]を離れた旧来からのユーザーの一部は、他方で個々の[[ファンサイト|ユーザーズサイト]]に分散して小規模なコミュニティを形成していく。 こういった新たなコミュニティは以降も地道に活動を続け、こちらもCardWirthコミュニティ全体を支えた。 === 上昇期(2003年~2005年頃) === [[2003年]]、ここにきてそれまで長らく動きがなく、[[公式ウェブサイト|公式サイト]]の運営も滞りがちとなっていたgroupAskにようやく動きが見られる。 一部ユーザーからの提言を受け、これまでgroupAskのみで行ってきた公式サイトの運営を有志のユーザーに任せることを決断。これにより同年6月、「Adventurer's GUILD」などのサポートが公式サイトから“公式ファンサイト”の「groupAsk official fansite」へ委譲された。 これ以降、ファン有志のコミュニティが共同でCardWirth全体を支えていくことになる。その後groupAsk official fansiteから最新バージョンのCardWirthが登場したこともあり、コミュニティ全体の動きが活発化した。 また新規ユーザーも引き続き増え続け(ただし、同じくらいには古くからのユーザーが減少してもいた)、良質のシナリオやリソースが安定して提供されていくようになる。 === 安定期(2005年頃~2011年頃) === この時期になると、エンジンのバージョンが固定された状況が長く続いたこともあって、CardWirthを取り巻く状況はほぼ横ばいとなり大きな変動は見られなくなった。 ユーザーの動きとしては中心となるべき開かれたコミュニティの場が存在していなかったこともあり、多くのユーザーは個人単位で細々とした活動を行うか、自身が身を置く閉塞的コミュニティから出ずに活動するようになっていた。こうした動きからユーザーの入れ替わりが最も緩やかな時期だったと見る事ができる。 また、システム面での変遷が無かったことからユーザー単位での技術的成熟が図られた時期でもある。 この頃にクローンプロジェクトの一つであるCardWirthPyの開発が開始されている。 === 再開期(2011年頃~現在) === [[2012年]]、LynaによってCardWirthエンジンVer.1.28の機能拡張およびバグ修正ツールである「CardWirth Extender」が開発された。 これは長らく困難とされてきたCardWirthエンジン本体の[[リバースエンジニアリング]]([[逆コンパイラ]]によるソースコードの解析)の結果、実現されたものである。 このツールは同年3月にはgroupAsk official fansiteへ持ち込まれ、CardWirthエンジンへと組み込まれた。 この数日後には、多くのCardWirthユーザーにとって念願だった新バージョンであるVer.1.29として登場し、これをさらに改良したVer.1.30が同年10月にリリースされた。 groupAskによって開発されたプログラムを利用した派生エンジンはこのバージョンまでとなる。 [[2013年]]4月には、ソースコードを刷新して開発されたクローンエンジンであるCardWirthNextが後継バージョン(Ver.1.50)として発表された。 CardWirthエンジンの新バージョンを巡る動きに伴い、コミュニティの動きも再び活発化。 「Adventurer's GUILD」にも、引き続き新作シナリオが投稿されている。 == ユーザーとコミュニティ == かつてCardWirthのユーザーは[[公式ウェブサイト|公式サイト]]を中心に一大コミュニティを形成していたが、ある時期を境にこの図式は徐々に崩壊していくこととなった。 その後は大手掲示板の創作系[[スレッドフロート型掲示板|スレッド]]やいくつかの[[ファンサイト|ユーザーズサイト]]や[[mixi]]といった[[ソーシャル・ネットワーキング・サービス|SNSサイト]]などに分散する形で小規模なコミュニティが形成されていき、そうしたコミュニティに合流できていないユーザー同士の繋がりは一時期かなり希薄になり、それがコミュニティ全体の弱体化につながっている部分もあった。 今日では[[Twitter]]によって既存ユーザー・新規ユーザーの区別なくつながりが生まれていくという新たなコミュニティのスタイルが形成されつつある。 === ユーザー === ==== シナリオ作者 ==== CardWirth用のシナリオ[[エディタ]]は非常に扱いやすいため、操作方法の習熟にそれほどの時間を要しない。そのため、シナリオ([[ストーリー]])のアイデアさえ持っていれば、誰にでも簡単にシナリオを作ることができる。 そうしたこともあって、CardWirthコミュニティには非常に多くのシナリオ作者が存在し、また彼らの創作したシナリオの数は実に1000を超えるとされる。(現在は入手できなくなっているものも多く存在し、また最新の資料も存在しないため正確な数は不明) ==== リソース作者(画像) ==== CardWirthで使用する画像は、主に画面(シナリオの場面)の背景となる[[写真]]や[[コンピュータグラフィックス|CG]]といった[[JPEG]]画像、そして本作品において最も重要な要素となる「カード」の絵柄として使用される74*94[[ピクセル]]の[[Windows bitmap|BMP]]あるいは[[Portable Network Graphics|PNG]]画像とがある。 背景画像については一般的なリソースがそのまま流用可能であるが、カード画像として使用する画像はサイズが特殊な大きさのため、基本的に専用の素材が必要となる。もっともカード画像についてはgroupAskをはじめ、古くから大勢のユーザーが多数提供してきたために不足はない。 カード画像はVer.1.28までは[[Windows bitmap|BMP]]形式しか使えず、また初期の頃は[[インターネット]]を取り巻く通信環境が脆弱だったこともあって、容量の関係から16色形式の[[ドット絵]]が主流で、多くのドッター([[ドット絵]]の作者)達がその技術を発揮した。 近年では[[ブロードバンドインターネット接続|ネットワークもブロードバンド化が進み]]、容量を気にする必要もなくなってきたことから、[[フルカラー]]の[[イラストレーション|イラスト]]を256色形式に減色したリソースを提供する作者が増えた。 今ではPNG形式にも対応し、容量を抑えながらフルカラーや半透明といったカード画像も使用可能になった。 一方背景画像を提供する作者も少なくなく、そういった中で[[ビュー|クォータービュー]]形式の画像を張り合わせて背景を作り出す「Qubes」という独自の規格も考案されたりした。(Qubesについては普及こそしなかったが、groupAskがCardWirthEditorでこの規格をサポートしている) <!-- ウェブデザイナーである[[森川眞行]]の'''G-TOOL'''がよく利用されている。//この情報はWikipediaでは不要--> ==== リソース作者(音響) ==== CardWirthで使用する音は、[[バックグラウンドミュージック|BGM]]となる[[MIDI]]形式の楽曲と[[効果音]]として用いられる[[WAV]]形式の音とに分かれる。 後に[[MP3]]形式のファイルへの対応が進み、試験導入が行われた頃のVer.1.28では不完全な改造によりループができなかったりシステムエラーを招くといった問題があったがVer.1.30で根本的な対応が図られ、これ以降のバージョンではどの環境でも問題なくMP3形式の音声を利用できる。 [[効果音]]の製作は技術を要することもあり、CardWirthコミュニティからはあまり提供されていないが、BGMに使われる[[MIDI]]についてはそれなりの数の作者が存在していた。 CardWirthコミュニティを中心に活動する[[MIDI]]ファイルの作者に共通して見られる傾向として、オリジナリティの高い楽曲を数多く提供しているしていたという特色がある。 かつてはそうした[[MIDI]]の作者によるコミュニティも形成されたこともあるが、[[デスクトップミュージック|DTM]]の中心が[[MIDI]]から[[MP3]]に移行するという世間の流れもあり、今では多くの作者が引退したり、[[MP3]]による自作曲を発表できる場に移っている。こうした事情により、[[MIDI]]の利用が大半を占めていたCardWirthの音楽も、[[MP3]]に移行し始めている。これにはCardWirth発表当時のホームページサービスが提供する容量が数MB程度だったのに対し、現在ではオンラインストレージなどによりGB単位が利用できるために、アップロードサイズを気にする必要が無くなったことも大きい。 ==== プレイヤー ==== ここでいう[[プレイヤー]]とは、シナリオやリソースなどの創作活動そのものを行ってはいないCardWirthのユーザーのことで、かつ潜在的なものではなく[[インターネット|ネット]]上での[[人格]]を持つ場合を指す。 こうしたプレイヤーは単純にCardWirthで遊ぶだけではなく、そこから一歩進んで何らかのコミュニティ活動に参画し、他のユーザーに影響力を与えている事が多い。 そのほとんどは、これまで各自がプレイしてきたことによって得た各種の情報を何らかの形式で他者に提供する(前述の感想サイト的なものから、[[ベータ版]]シナリオに対するテストプレイに至るまで)形となっている。 === コミュニティ === ==== 一般的なコミュニティ ==== CardWirthのユーザーであれば誰でも参加でき、また利用することが可能なユーザー同士の集まり、あるいはその場所。 参加資格に特に制限のない企画サイトなどもこれに含まれる。 シナリオ作者のために設けられた「CardWirth ScenarioWriter's Community」(通称「しなさくコム」)、CardWirthに関するイラストを楽しもうという目的で設けられた「Card Illustrations Board」(通称「イラボ」)など、現在その多くは何らかの目的別に設けられている。 ==== 閉塞的なコミュニティ ==== 一般的なコミュニティに対し、一部の関係者だけが集い、それにより形成されるコミュニティ。 もっとも、これらのコミュニティであっても何らかの対外的な措置(例えば[[パスワード]]がなければ[[閲覧]]できないなどの制限)が設けられていることはほとんどなく、結果として閉塞的になっているだけのことが多い。こうした集まりはどこにでも存在し、またその規模・趣旨・目的といったものが千差万別であり、さらにはその性質上[[統計]]などもなく、はっきりとしたことは言えない。 <!--そのこともあり、-->たとえ実際は門戸の開かれたコミュニティであったとしても、何も知らないユーザーがこれらのコミュニティに新たに加わることは容易ではない。 ただし関係者しか集まらないということもあってか、一部の集まりではCardWirthコミュニティ全体の現状からでは想像できないほどの勢いを持っている。 代表的なものとしては[[mixi]]のCardWirth関連のコミュニティ、あるいは[[2ちゃんねる]]の一部のスレッドなど。 ただ、公式側の開発の停滞などから閉塞的なコミュニティで開発された技術が、(コミュニティの存在を伏せた形で)一般的なコミュニティに紹介されるなどの動きも出ている。 ==== Twitter ==== [[Twitter]]では特にコミュニティの存在・形成を意識することなく、ユーザーがCardWirthに関わる発言を行う、あるいは周囲の発言を拾う事によって自然とつながりが生まれていく。 こうしたことから、近年は[[Twitter]]からCardWirthコミュニティあるいはCardWirthそのものに触れるユーザーが増えてきている。 == メディアの動き == CardWirthがここまで有名になったのは、[[1999年]]~[[2000年]]頃にかけて[[フリーウェア]]を掲載する[[本|書籍]]や[[ウェブサイト]]などで大なり小なり紹介されたことに起因する。 ここでは、現在に至るまでの間に特に目立った動きについて取り上げる。 === テックウィン(書籍) === [[株式会社アスキー]](現[[エンターブレイン]])の出版していた雑誌「[[テックウィン]]」において、過去に何度か数ページに渡っての特集が組まれたことがある。 また同誌ではそれ以外の号においてもほぼ毎回のようにCardWirth本体またはシナリオを掲載しており、この雑誌からCardWirthを知ったというユーザーも少なくなかった。 *[[テックウィン]] [[2001年]] 3月号 **特集4 カード型RPG[カードワース]スペシャルパック(6ページ) *[[テックウィン]] [[2002年]] 7月号 **特集4 カードRPG[カードワース]シナリオ大全(6ページ) <!--*また、上記2刊の間に4ページの特集が組まれた号が存在する。 --> === 公式ガイドブック(書籍) === CardWirthは[[フリーウェア]]のゲームとしては珍しく、[[2000年]]5月に公式ガイドブックが[[ムック (出版)|ムック]]形式で発売されている(「I/O別冊 カードワース公式ガイドブック」ISBN 978-4-87593-832-3)。発行元は[[工学社]]。 ゲーム本体および[[エディタ]]、CardWirthの世界観(今で言うところの「[[#ファンタジーI型|ファンタジーI型]]」について)の紹介はもちろん、groupAskの制作したシナリオ「教会の妖姫」を元にして描かれたオリジナル[[小説]]を掲載し、シナリオ作成講座の解説も行っている。 本書にはいくつかのシナリオも収録されているが、これは当初「Adventurer's GUILD」に公開されていたほぼすべてのシナリオを網羅する目玉企画となる予定であったとされている。 しかし実際には各シナリオ作者への収録許諾に関する手回しに不手際があった<!--(当時の関係者の証言によると、回答期限の設定が半月にも満たなかったという)//(聞いたことはありますが、この部分については[[検証可能性]]が低いため、確実なソースが出るまで記述の公開は保留された方が良いと思います)-->ため、誌面で紹介されているシナリオですらいくつか収録できていない<ref>(210本中131本・・・出展:「CardWirthUsers'Network」[[2000年]]4月26日18時57分のTELぅぇぃの発言)</ref>。 またこの不手際に関しては、[[工学社]]側の事務手続きが収録作品に対してシナリオ作者への許諾のみに終わり、シナリオで使用しているリソースの作者に対する問い合わせが不十分だったこと、さらにこの件における[[編集者]]からの回答に多くのユーザーが納得できなかったこともあって、一連の[[工学社]]側の対応を反面教師とする向きが後のCardWirthコミュニティでの[[著作権]]に関する意識向上のきっかけとなった<ref>(参考資料:「CardWirthUsers'Network」[[2000年]]5月12日 19時25分「6132」番)</ref>。 なお、このガイドブックは[[工学社]]にもすでに[[在庫]]がなく、また[[流通]]している可能性もほぼ皆無<!--絶版//たびたび「絶版」と用いられますが、元々ムックですから基本的には初期流通分しか存在しません-->であることから現在は入手が困難である。 === enban.net(ウェブサイト) === [[2002年]]11月まで[[株式会社アスキー]]が運営していた[[エンターテインメント]][[コンテンツ]]の配信サイト「enban.net(エンバンネット)」において、有償(月額500円)[[コンテンツ]]である「週刊ゲームズ」を通じて、CardWirthのシナリオが毎週配信されていた。 「週刊ゲームズ」は曜日毎に7種類のゲームを提供するという内容で、[[金曜日]]には「カードワースの森」という[[コンテンツ]]が用意された。<!--(現在このサービスは終了(サイト自体も閉鎖)しておりシナリオの配布はシナリオ製作者にゆだねられています。)//この記述は事実無根です。作者はアスキーとの契約により、このコンテンツ用に制作した作品を自由にすることは許可されていないとあります(出展:当事者であるイーグルの掲示板への本人による2007年 5月13日(日)09時09分10秒投稿記事より)--> 現在この[[サービス]]は終了しただけでなく、[[ウェブサイト|サイト]]自体も閉鎖しており、これらの[[コンテンツ]]もそれとともに事実上入手できなくなっている。 ちなみに、groupAskでは「ユーザーは作成したシナリオを有料で配布しても構わない」としているが、実際に有料で配布されたシナリオはここでの他に類を見ない。 これは過去にカードワースのシナリオを[[シェアウェア]]にすることについての是非が[[議論]]された際、反対意見が圧倒的多数を占めたことにもよる<ref>(参考資料:「CardWirth Users'Network」[[2000年]]9月2日 1時12分「7854」番)</ref>。 === ベクター(ウェブサイト) === [[オンラインソフトウェア]]の[[ダウンロード]]などを手がけている[[ベクター (企業)|株式会社ベクター]]の[[ウェブサイト|サイト]]では、「[[ロールプレイングゲーム|RPG]]」の[[ジャンル]](「[[ダウンロード]]」>「[[Microsoft Windows|Windows]]」>「[[ゲーム]]」>「[[ロールプレイングゲーム|RPG]]」)の一つとして「[[マルチ]]シナリオRPG CardWirth」という項目が設けられている。 シナリオ作者が自作のCardWirthのシナリオを「Adventurer's GUILD」に登録するためには、自身が完成したファイルを[[インターネット]]上のどこかに[[アップロード]]する必要があったが、CardWirthが急速に普及した頃はまだそのような場が十分にはなく、またそもそも具体的にはどの様にすれば良いのか解らないというユーザーも多かった。 そこでもっとも手軽な方法として、[[ベクター (企業)|ベクター]]の[[ウェブサイト|サイト]]に「[[フリーウェア]]」として登録するという手法が確立された。 そのため、[[ベクター (企業)|ベクター]]には別項目を用意しなければならないほど数多くのCardWirthシナリオが登録されている。 === CardWirthParty(同人サークル) === [[インターネット]]上で参加者を募り、創作物を収録した作品集「CardWirthParty」を制作した。 主にCardWirthのシナリオを題材とした[[イラストレーション|イラスト]]が収録されているが、[[編曲|アレンジ楽曲]]やオリジナルのシナリオが含まれることもある。 8タイトルが制作され、1作目のみ有償で販売されたが、以降の作品は無料で頒布されている。また現在では全てのタイトルが先述のベクターより[[ダウンロード]]することができる。 2008年12月の[[コミックマーケット|コミックマーケット75]]を最後に「同人イベントへの参加」の無期停止(実質終了)、また2010年10月には無期限の活動停止を公式サイトで発表した。しかし2012年8月の[[コミックマーケット|コミックマーケット82]]には参加しており、活動再開の可能性もある。 なお、2013年には[[同人サークル]]EGOTEXによって同様の活動を行って制作された「CardWirth Carnival! 01」が頒布され、こちらもベクターで[[ダウンロード]]することができる。 == このページの脚注 == {{Reflist}} == 外部リンク == * [http://www.ask.sakura.ne.jp/ GROUP ASK WEBSITE] * [http://cardwirth.net/ groupAsk official fansite] * [http://twc.xrea.jp/cardwirth/ CardWirth Reconstructed](CardWirthNextの開発サイト) * [https://bitbucket.org/k4nagatsuki/cardwirthpy-reboot CardWirthPy Reboot](CardWirthPyの開発サイト) * [http://www.vector.co.jp/vpack/filearea/win/game/rpg/cardw/ Vector(ベクター)](CardWirthの頁) * [http://www27.atwiki.jp/cw-port/ cw-port] {{DEFAULTSORT:かあとわあす}} [[Category:コンピュータRPG]] [[Category:フリーゲーム]] [[Category:同人ソフト]]
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