C-46 (航空機)のソースを表示

{{ Infobox 航空機
| 名称=カーチス C-46 コマンドー
| 画像=Image:C-46_Commando.jpg
| キャプション=[[アメリカ陸軍航空軍]]のC-46
| 用途=[[輸送機]]
| 分類=
| 設計者=George A. Page Jr.
| 製造者=[[カーチス・ライト]]社
| 運用者 more=<br />
** {{USA}}（[[アメリカ陸軍航空軍|陸軍航空軍]]、[[アメリカ海兵隊|海兵隊]]、[[アメリカ海軍|海軍]]）
** {{JPN}}（[[航空自衛隊]]）
| 初飛行年月日=[[1940年]][[3月26日]]
| 生産数=3,181機
| 生産開始年月日=
| 運用開始年月日=[[1941年]]
| 退役年月日=
| 運用状況=退役（民間機としては現役）
| ユニットコスト= 
}}
'''カーチス C-46 コマンドー'''（Curtiss C-46 Commando）は、[[アメリカ合衆国|アメリカ]]の[[カーチス・ライト]]社が製造した[[輸送機]]である。

== 概要 ==
史上最大の[[レシプロエンジン|ピストンエンジン]]双発機である。原型機はダグラス[[DC-3]]に対抗するために[[カーチス・ライト|カーチス]]が開発した旅客機'''CW-20'''で、DC-3に対し客室の容量を40%ほど大きくした太い胴体にして36座席の旅客数で上回るという計画であった。そのため重量は45%ほど増加した。客室を[[与圧]]することも考慮して胴体の断面構造はダルマ型にされたが、与圧装置が装備されることはなかった。また、試作型CW-20Tは双尾翼の機体であったが、低速飛行時に不調であることが判明し、すぐに単一の尾翼に改められている。設計にかなり長期間を要したため、登場した頃には既にDC-3が市場を独占しており、旅客機としての確定発注は1機も得られなかったが、大きい客室容量は[[アメリカ陸軍]]の興味をひき、軍用[[輸送機]]C-46として採用された。C-46はエンジンに強力な[[プラット・アンド・ホイットニー R-2800|R-2800「ダブル・ワスプ」]]が採用され、客室窓が少なくなった点以外はCW-20とほとんど変わらない機体だった。

[[File:C-46 medical flight.jpg|left|thumb|[[マニラ]]から撤退する負傷兵を載せたC-46の機内（[[1945年]]）]]
[[第二次世界大戦]]では3,000機以上が生産されて、[[DC-3]]の軍用型[[C-47 (航空機)|C-47]]と共に[[アメリカ軍]]の[[輸送機]]の主力となった。[[アメリカ海兵隊]]にも'''R5C'''の名称で採用されている。C-47に比べると、2,000馬力級の強力なエンジンを積んでいるため、性能は勝っていたが、一方で機体側、特に電気系統の故障率が高かったとも言われている。

ATC（航空輸送コマンド）が[[1942年]]6月に編成され輸送任務の需要が急増すると、大出力エンジンを装備するC-46が前線の山岳地帯や[[南大西洋]]横断に投入されるようになった。中でも、[[大日本帝国陸軍]]に対峙すべく[[イギリス領インド帝国|イギリス領インド]]の[[アッサム]]から[[ヒマラヤ山脈]]を越えて[[中華民国]]の[[昆明]]に物資を輸送する「ハンプ超え」が特筆される活躍であった。高さ7,000m級の山々を飛び越える輸送ルートは、与圧キャビンや[[排気タービン]]を持たない輸送機には苦難の連続だったが、C-47とともにこの作戦を成功させた。

第二次世界大戦後も[[朝鮮戦争]]で運用されたほか、[[ベルリン封鎖]]時の空輸作戦や[[ベトナム戦争]]初期にも使用された。同盟国の[[航空自衛隊]]や[[中華民国空軍|中華民国（台湾）空軍]]などの軍へ供与されただけでなく、民間にも多くが払い下げられており、北米や中米、南米の民間航空会社では、現在でも少数が貨物輸送に使用されている。

== 派生型 ==
[[ファイル:Curtiss CW-20A BOAC at Gibraltar c1941.jpg|250px|サムネイル|CW-20A]]
[[ファイル:Curtiss XC-113.jpg|250px|サムネイル|XC-113]]
;CW-20T
:試作型で、垂直尾翼は双尾翼式。エンジンは[[ライト R-2600]]を搭載。
;CW-20A
:単一の尾翼に改めた試作機。'''C-55'''の名称でアメリカ陸軍が評価試験を行い、カーチス・ライト社に戻された後[[英国海外航空|BOAC]]に売却された。
;CW-20
:民間型。
;C-46
:最初の軍用型。R-2800-43エンジンを搭載。
;C-46A
:後部胴体左側に大型の貨物扉を設け床面を強化、エンジンをR-2800-51に強化し高高度性能を改善。
;XC-46B
:段差付き風防の設計評価に用いられたC-46A。エンジンはR-2800-34W。社内名称'''CW-20B-1'''。
;XC-46C
:右エンジンナセルに[[ゼネラル・エレクトリック]]製TG-100[[ターボプロップエンジン]]を搭載した試験機。後に'''XC-113'''に改称。社内名称'''CW-20G'''。
;C-46D
:胴体後部に乗降扉を追加した人員輸送型。社内名称'''CW-20B-2'''。
;C-46E
:C-46Aと同じ扉配置で、XC-46Bと同じ段差付き風防を装備した汎用輸送型。社内名称'''CW-20B-3'''。
;C-46F
:胴体両側に扉を備え、主翼端を四角く切り落とした。社内名称'''CW-20B-4'''。
;C-46G
:段差付き風防と切り落とした翼端の両方を採用。社内名称'''CW-20B-5'''。
;AC-46K
:[[ライト R-3350|ライト R-3350-BD]]エンジン搭載型として計画。社内名称'''CW-20E'''。
;XC-46L
:R-3350エンジン搭載した試験機。社内名称'''CW-20H'''。
;R5C-1
:アメリカ海兵隊向けのC-46A。

== 採用国 ==
;{{ARG}}
;{{BOL}}
;{{BRA}}
;{{ROC-TW}}
;{{PRC}}
;{{COL}}
;{{CUB}}
;{{DOM}}
;{{ECU}}
;{{EGY}}
;{{HAI}}
;{{HON}}
;{{ISR}}
;{{KOR}}
;{{LAO1949}}
;{{MEX}}
;{{PER}}
;{{SSR}}
;{{USA}}

=== 日本での運用 ===
[[ファイル:koukukouen_20051008_C-46A_1.jpg|thumb|250px|[[所沢航空記念公園]]のC-46A]]
[[日本]]では[[1954年]]にC-46Dが[[航空自衛隊]]へ36機供与され、「'''空の[[国鉄D51形蒸気機関車|デゴイチ]]'''」と呼ばれ重宝された<ref>[[#指揮官空戦記]]242頁</ref>。[[飛行点検隊]]でフライトチェック機としても使用されたほか、独自の派生型として初の国産[[電子戦]]機材J/ALQ-1を搭載し電子戦訓練機とした'''EC-46D'''や、[[F-86 (戦闘機)|F-86D]]のレドームを機首に装備した飛行試験機'''C-46D FTB'''も存在した<ref>[[航空ファン (雑誌)|航空ファン]] イラストレイテッド 1999 AUTUMN No.108 『自衛隊航空機オールカタログ』 文林堂 [[1999年]]</ref>。[[1962年]]（昭和37年）には、損耗補充のため[[中華民国軍|台湾空軍]]から廃棄予定の12機（C-46A 9機、C-46D 3機）を安価で購入。[[部品取り]]のための購入だったが、予想以上に状態が良かったため、整備してそのまま使用した<ref>[[#指揮官空戦記]]243頁</ref>。[[1978年]]まで使用され、日本で退役した際に供与分の残存機体はアメリカへ返納され、払い下げを受けた民間業者の手で[[千島]]経由、米本土へ帰還しており、その一部は[[カナダ]]などで現役である。

自衛隊で使用されたC-46は[[所沢航空記念公園]]、航空自衛隊[[入間基地]]、航空自衛隊[[浜松広報館]]（エアーパーク）、航空自衛隊[[美保飛行場|美保基地]]、静岡県の河口湖自動車博物館などで野外展示されている。また、エンジン（R-2800）は[[航空科学博物館]]で展示されている。

== 要目(C-46A) ==
* 全幅：32.91m
* 全長：23.26m
* 全高：6.62m
* 翼面積：126.34m<sup>2</sup>
* エンジン：[[プラット・アンド・ホイットニー]] [[プラット・アンド・ホイットニー R-2800|R-2800-51ダブル・ワスプ]]18気筒[[星型エンジン]]（2,000[[馬力|HP]]）×2
* 空虚重量：13,608kg
* 最大離陸重量：20,412kg
* 最大速度：435km/h（高度15,000ft）
* 巡航速度：278km/h
* 実用上昇限度：7,470m
* 航続距離：5,069km（巡航速度時）
* 乗員：4名
* ペイロード：兵士40名、貨物6,800kg

== 映像での登場作品 ==
* 『[[モスラ]]』
* 『[[モスラ対ゴジラ]]』
* 『[[ウルトラセブン]]』

== 脚注 ==
{{Reflist}}

== 参考文献 ==
{{Commonscat|C-46 Commando}}
*{{Cite book|和書|author=[[小福田晧文]]|year=1978|month=8|title=指揮官空戦記　{{small|ある零戦隊長のリポート}}|publisher=光人社|isbn=4-7698-0127-0|ref=指揮官空戦記}}
*分冊百科「週刊 ワールド・エアクラフト」No.99 [[2001年]] [[デアゴスティーニ]]社

{{アメリカ空軍の輸送機}}
{{DEFAULTSORT:C046}}

[[Category:アメリカ合衆国の軍用輸送機]]