1980年10月1日国鉄ダイヤ改正のソースを表示

{{Pathnav|国鉄ダイヤ改正|1976年-1987年の国鉄ダイヤ改正|frame=1}}
'''1980年10月1日国鉄ダイヤ改正'''（‐こくてつだいやかいせい）では、[[日本国有鉄道]]（国鉄）が[[1980年]]（昭和55年）[[10月1日]]に実施した[[ダイヤグラム#ダイヤ改正|ダイヤ改正]]について記す。

== ダイヤ改正の背景 ==
国鉄では[[1978年]]（昭和53年）[[10月2日]]に実施されたいわゆる「[[ゴーサントオ]]」改正で[[貨物列車]]の大幅削減を行ったが、[[旅客列車]]もこの頃になると[[運賃]]・料金の値上げや、他交通機関への移行による乗客数の減少が目立っていた。特に[[寝台列車]]などの[[夜行列車]]は、明らかに供給過剰と言える状況となっていた。

また、国鉄改革を推し進める目的で[[日本国有鉄道経営再建促進特別措置法]]（国鉄再建法）がこの年[[12月27日]]に制定・施行する予定となっており、国鉄自体にも経営改善を要求される声が強まっていたことから、この白紙ダイヤ改正を機に旅客列車にも大規模な削減のメスを入れる事になった。

== 改正の内容 ==
=== 千歳空港駅開業 ===
[[北海道]]では、[[室蘭本線]]・[[千歳線]]の[[室蘭駅]] - [[沼ノ端駅]] - [[苗穂駅]]間が電化開業したことと、[[千歳基地#千歳飛行場|千歳空港]]への連絡駅として、千歳線に'''千歳空港駅'''（現・[[南千歳駅]]）が開業した事により、列車運行体系の大幅な変更を図る事になった。

この頃まで国鉄の北海道における優等列車の運行体系は、[[青函連絡船]]を使って[[本州]]から渡ってくる旅客の流動を前提とし、北海道側の玄関口である[[函館駅]]を起点に各路線への直通列車を運行する形態となっていた。しかし、[[ワイドボディ機|大型旅客機]]の相次ぐ導入により、東京 - 札幌間の[[シェア]]は国鉄5%・[[航空|空路]]95%という有様になっていた。そこで[[鉄道管理局#総局・鉄道管理局一覧|北海道総局]]ではそれまで無視していた航空機との連帯輸送を千歳空港駅の開設などをきっかけに考慮するようになり、道内各都市間の相互連絡を主とする体制に改めるため、運行上の主軸は[[札幌駅]]に移されることになった。

結果、この改正では室蘭駅 - 千歳空港駅 - [[札幌駅]] - [[旭川駅]]間に[[エル特急]]「[[スーパーカムイ (列車)|ライラック]]」が設定された。一方で青函連絡船の運航便数が削減された他、青函連絡船に接続する[[函館駅]] - 札幌駅間の優等列車は削減され、[[特急列車|特急]]「[[おおぞら (列車)|おおぞら]]」3往復のうち、1往復が函館駅発着から札幌駅発着に変更された他、[[小樽駅]]経由で結ぶ[[急行列車|急行]]「[[ニセコライナー|ニセコ]]」の内、気動車使用の1往復が廃止され客車1往復のみとなり、[[室蘭本線]]・[[千歳線]]経由で結んでいた、急行「[[北斗 (列車)|すずらん]]」が[[臨時列車]]に格下げされ、函館駅 - 札幌駅間の夜行列車は[[小樽駅]]経由の夜行普通列車のみとなった。
 
また、[[小樽駅]] - [[釧路駅]]を結んでいた[[夜行列車|夜行]][[普通列車]]「[[まりも (列車)|からまつ]]」が廃止された。

=== 減量ダイヤ ===
この改正では前述したように、利用不振が続く[[旅客列車]]が大幅に削減された。

==== 新幹線 ====
冒頭で述べたように、当時、1975年から数回行われた値上げにより新幹線の運賃、料金もまた大幅に上昇していた。藤木成彦によれば、[[旅客機]]に対しては、1970年代前半までは大幅な価格優位性があり、新幹線全体での[[定員|乗車効率]]は1974年度に69.3%と開業以来のピークを記録したが、1978年度には49.3%と20%も低下していた。これは、主として[[こだま (列車)|こだま]]の乗車効率が悪化した為だった。藤木によれば、1979年9月当時、大人一人の東京-大阪間の移動において各交通手段の比較は次のようになっている<ref>藤木成彦（[[時事通信社]]運輸省担当）「値上げすれば新幹線でも乗車客が減る」『80年代の巣立ち 国鉄の秘策 地域経済を変える戦略のすべて』第4章内 オーエス出版 1979年</ref>。

*新幹線：3時間10分（ひかり）、運賃、料金計9500円
*旅客機：移動、手続き、空港アクセス時間等計約2時間、移動費用計10800円<ref>航空運賃10400円、[[東京モノレール]]230円、空港バス170円</ref>
*[[自家用車]]：6時間半、3550円（1台4人乗車）<ref>藤木が設定した条件は次の通り。<br />移動距離530キロメートル、燃費9km/[[リットル|L]]、ガソリン代1L当たり140円、[[平均時速]]80キロ、高速料金5800円、休憩無し</ref>

このような情勢の元、新幹線では「[[ひかり (列車)|ひかり]]」が6往復増発される一方で、「[[こだま (列車)|こだま]]」は26往復が削減された。それによる途中駅の利用客の不便を補うため、この時から[[東海道新幹線]]区間では「ひかり」の一部列車がそれまで「こだま」しか停車していなかった[[静岡駅|静岡]]など途中駅に停車するようになった。また、[[山陽新幹線]]の[[三原駅]] - [[博多駅]]間で地盤が固まっていなかった事から行われていた減速運転がこの時解除され、スピードアップが図られている。

==== 在来線 ====
東北でも、[[東北本線優等列車沿革|寝台特急「ゆうづる」]]のうち、前述した青函連絡船との連絡を図る時間帯の2往復が[[臨時列車]]に格下げされた。また[[国鉄24系客車|24系24形客車]]を使用する「ゆうづる」1往復と「[[日本海 (列車)|日本海]]」1往復のA寝台の連結が廃止された。さらに[[国鉄24系客車|24系25形客車]]が東北筋にも転属配置されたことで、「[[あけぼの (列車)|あけぼの]]」を最後に[[国鉄20系客車|20系客車]]を用いた特急の定期運用が消滅するなどの動きがあった。

東京以西の在来線では[[山陽本線優等列車沿革#山陽新幹線全線開業|山陽本線の夜行列車]]などが削減の中心とされた。「[[富士 (列車)|富士]]」は[[宮崎駅|宮崎]]発着に短縮され、日本最長距離列車トップの座を「[[はやぶさ (列車)|はやぶさ]]」に譲った他、関西と[[九州]]を結ぶ夜行急行列車が全廃された。また[[四国]]では[[急行列車]]の[[グリーン車]]と[[宇高連絡船]]の深夜便が廃止され、急行用グリーン車用車両は普通車座席指定席の扱いになった。九州では急行列車の格上げによる特急列車の増発が中心となった。

なお、九州や北海道の一部の主要幹線では昼間の[[急行列車]]がほとんど消滅し、[[周遊券]]の自由周遊区間における「急行[[自由席]]乗車可」の特典が有名無実化したため、翌年からワイド周遊券に限って、段階的に自由周遊区間の「特急自由席乗車」が認められるようになるといった影響もあった。また、[[鹿児島本線]][[小倉駅 (福岡県)|小倉駅]]-[[博多駅]]間で運行されていた[[特別快速]]が、快速列車と統合され廃止された。

=== 五方面作戦の基本部分完成 ===
またこの改正では、[[東海道線 (JR東日本)|東海道本線]]と[[横須賀線]]電車の[[東京駅]] - [[大船駅]]間での線路共用をなくす事によって列車増発を図る[[SM分離]]が完成し、[[1964年]]（昭和39年）に始められた東京近郊各路線の輸送力を強化する「[[通勤五方面作戦]]」も、ようやく基本とされる部分については完了することになった。

== 脚注 ==
{{Reflist}}


{{国鉄・JRダイヤ改正}}

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[[Category:日本国有鉄道のダイヤ改正|1980]]
[[Category:1980年の日本]]
[[Category:1980年の鉄道]]