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[[ファイル:20081229鹿島港.jpg|thumb|280px|right|鹿島港を中心に工場が広がっている]] '''鹿島臨海工業地帯'''(かしまりんかいこうぎょうちたい)は、[[茨城県]][[鹿嶋市]]、[[神栖市]]一帯にある[[工業地域|工業地帯]]である。[[鉄鋼業]]、[[発電所]]、[[石油化学]]等の工場群がある。約160の企業、2万2000人の従業員を擁し、茨城県下最大の工業集積を誇る。 == 概要 == 茨城県の東南部([[鹿行 (茨城県)|鹿行地域]])、[[霞ヶ浦]]の東に位置する。[[鹿島灘]]に面し、掘込式の工業港である[[鹿島港]]を中心に広がる。 鹿嶋市は[[新日鐵住金]][[新日鐵住金鹿島製鐵所|鹿島製鐵所]]を中心に新日鐵住金系列の企業が立地している。神栖市は[[石油化学工業]]や[[飼料]]を中心とした企業の工場が立地している。そのほか、[[火力発電所]]や[[風力発電所]]が多く立地している。 [[鉄道]]では、貨物線の[[鹿島臨海鉄道鹿島臨港線]]が通っており、[[JR]][[鹿島線]]の[[鹿島サッカースタジアム駅]](旧称・[[北鹿島駅]])と接続する。 鹿島臨海工業地帯の工業用地は、鹿島港の北側に位置する鹿嶋市の高松地区<!--(813.8ha)-->、北海浜地区<!--(226.9ha)-->と、鹿島港の南東側に位置する神栖市の神之池東部地区(通称・東部地区<!--、923.4ha-->)、南海浜地区<!--(313.5ha)-->、奥野谷浜工業団地<!--(100ha)-->と、鹿島港の南西側に位置する神之池西部地区(通称・西部地区<!--、397.4ha-->)と、神栖市(旧・[[波崎町]])砂山に位置する波崎地区<!--(329ha)-->の各地区に分けられる。 == 歴史 == [[1960年]]に「鹿島灘沿岸地域総合開発の構想」として試案が作られ、[[1963年]]には[[工業整備特別地域]]に指定され、[[全国総合開発計画]](全総)で謳われている拠点開発方式の実践として事業が進められる。30万人都市を新造するという国家プロジェクトによる巨大開発は「農工両全」、「貧困からの解放」をスローガンとして推進されていった。 開発地域の用地買収は[[1964年]]に開始。地元の地権者は、4割の土地を提供し6割の代替地移転とする鹿島独自の6-4方式により用地買収が進められ、地元地権者の理解と協力により、[[昭和]]42年度末([[1968年]]3月)までに目標面積4,000[[ヘクタール]]([[ha]])の約8割まで買収が進む。 [[1969年]]一部企業での操業が始まり、鹿島港が開港する。[[1973年]]鹿島臨海工業団地造成事業工事完了の公告が出され、[[1984年]]には茨城県が開発収束の宣言を出した。 [[2011年]][[3月11日]]の[[東北地方太平洋沖地震]]([[東日本大震災]])では揺れに加え[[津波]]と[[液状化]]で、鹿島港の港湾設備が損壊したほか各社の工場設備にも大きな被害が発生、震災直後は操業停止状態に陥った<ref>[http://www.toyokeizai.net/business/regional_economy/detail/AC/64180edef057dbb5803cb163d51154c6/ 操業停止相次ぐ鹿島臨海工業地帯、車・家電など川下への影響甚大【地図で見る震災被害】](2011年3月23日 [[東洋経済]]オンライン 2012年4月20日閲覧)</ref>。 なお、現在の人口規模は、鹿嶋市・神栖市あわせて約16万人。 === 年表 === * 1960年(昭和35年)4月 - 「鹿島灘沿岸地域総合開発計画(試案)」作成<ref name="kamisu"> 神栖町史編さん委員会著『神栖の歴史』普及版(神栖町、昭和59年7月1日発行より)</ref> * 1961年(昭和36年)4月 - [[神栖村]]深芝浜に茨城県鹿島港湾調査事務所が開設される<ref name="kamisu"/> * 1961年(昭和36年)9月 - 茨城県が「臨海工業地帯造成計画」(マスタープラン)作成<ref name="kamisu"/> * 1962年(昭和37年)4月 - 茨城県と鹿島町・神栖村・波崎町の3町村によって「鹿島臨海工業地帯開発組合」がつくられ鹿島事務所が開設する<ref name="kamisu"/> * 1963年(昭和38年)11月 - [[鹿島港]]起工式<ref name="kamisu"/> * 1964年(昭和39年)2月 - 開発組合が用地の買収を開始<ref name="kamisu"/> * 1965年(昭和40年)3月 - 深芝浜・居切浜住民の移転先が神栖村大野原と決定し、6月に移転開始し11月に移転完了する<ref name="kamisu"/> <ref name=kamisushi>[http://www.city.kamisu.ibaraki.jp/1561.htm 鹿島開発のあゆみ(神栖市ホームページより)]</ref> <ref name="kinenhi">[http://www.city.kamisu.ibaraki.jp/secure/7267/kinenhi_000.pdf 鹿島開発関係記念碑(神栖市ホームページより)]</ref> * 1965年(昭和40年)6月 - [[神栖村]]議会は[[神之池]]埋め立てを全員一致で可決<ref name="kamisu"/> * 1965年(昭和40年)11月 - 鹿島港の中央航路の掘削工事が開始される。 * 1966年(昭和41年) - 進出企業の一部(18社)社名が公表<ref name="kamisu"/> * 1967年(昭和42年) - [[国鉄]][[鹿島線]]起工式<ref name="kamisu"/> * 1968年(昭和43年)4月 - [[住友金属工業]][[新日鐵住金鹿島製鐵所|鹿島製鉄所]]の起業式が行われる<ref name="kamisu"/> * 1968年(昭和43年)7月 - 知手工業団地の造成が始まる<ref name="kamisu"/> * 1968年(昭和43年) - 内定企業への土地譲渡予約開始<ref name="kamisu"/> * 1969年(昭和44年)5月 - 東部地区石油化学コンビナート(11社)合同起工式<ref name="kamisu"/> * 1969年(昭和44年)10月 - [[佐藤栄作|佐藤総理大臣]]、三笠宮夫妻を迎えて鹿島港開港記念式典が挙行され、鹿島港が開港する<ref name="kamisu"/> * 1970年(昭和45年)2月6日 - 5万トンの原油タンカー(大栄丸)が初入港し、鹿島石油鹿島製油所の岸壁に初接岸する<ref name="kamisu"/> * 1970年(昭和45年)4月 - [[鹿島石油]]鹿島製油所、[[三菱油化]]鹿島事業所が創業開始<ref name="kinenhi"/> * 1970年(昭和45年)8月20日 - 国鉄鹿島線(北鹿島-香取)の開通式が行われる<ref name="kamisu"/> * 1970年(昭和45年)11月 - [[鹿島臨海鉄道]]が営業運転を開始<ref name="kamisu"/> * 1971年(昭和46年)1月 - 石油化学コンビナート合同完工式(13社)<ref name="kamisu"/><ref name="kamisushi"/> * 1972年(昭和47年)10月 - 25万トンのタンカー(ジャパン・アイリス号)が入港<ref name="kamisu"/> * 1973年(昭和48年)10月 - 都市計画法による市街化、同調整区域の指定<ref name="kamisu"/> * 1973年(昭和48年)12月 - 工業団地造成事業の工事完了の公告が出される<ref name="kamisu"/> * 1984年(昭和59年)7月31日 - 鹿島臨海工業地帯開発組合が解散される<ref name="kinenhi"/> == 主な工業都市 == * [[鹿嶋市]]:鉄鋼 * [[神栖市]]:石油化学、飼料 == 主な事業所 == ; [[鹿嶋市]] * [[新日鐵住金]][[新日鐵住金鹿島製鐵所|鹿島製鐵所]](高松地区) * [[日鉄住金鋼管]]鹿島事業所(高松地区) * [[中央電気工業]]鹿島工場(高松地区) * [[新日鐵住金ステンレス]]鹿島製造所(高松地区) * [[エア・ウォーター]]鹿島工場(高松地区) * [[鹿島共同火力]]鹿島共同発電所(高松地区) * [[旭硝子|AGCセイミケミカル]](北海浜地区) * [[関包スチール]]鹿島工場(北海浜地区) * [[住友林業クレスト]]鹿島事業所(北海浜地区) * [[東亜道路工業]]鹿嶋合材工場(北海浜地区) * [[日立セメント]]鹿島パウダーセンター(北海浜地区) ; [[神栖市]] <div style="float: left; vertical-align: top; white-space: nowrap; margin-right: 1em;"> * [[旭硝子]]鹿島工場(東部地区) * [[旭トステム外装]]鹿島工場(東部地区) * [[鹿島石油]][[鹿島石油#鹿島製油所|鹿島製油所]](東部地区) * [[カネカ]]鹿島工場(東部地区) * [[クラレ]]鹿島事業所(東部地区) * [[JSR]]鹿島工場(東部地区) * [[東京電力]][[鹿島火力発電所]](東部地区) * [[日本ポリエチレン]]鹿島工場(東部地区) * [[日本ポリプロ]]鹿島工場(東部地区) * [[三井化学]]鹿島工場(東部地区) * [[三菱化学]]鹿島事業所(東部地区) * [[三菱ガス化学]]鹿島工場(東部地区) * [[ユポ・コーポレーション]]鹿島工場(東部地区) * [[ライオン (企業)|ライオン]]ケミカル鹿島工場(東部地区) * [[山九]]鹿島支店(奥野谷浜地区) * [[信越化学工業]]鹿島工場(奥野谷浜地区) * [[三菱化学物流]]鹿島物流センター(奥野谷浜地区) * [[JFE条鋼]]鹿島製造所(南海浜地区) * [[ADEKA]]鹿島工場(西部地区) * [[花王]]鹿島工場(西部地区) * [[協同飼料]]鹿島工場(西部地区) * [[JA東日本くみあい飼料]]鹿島工場(西部地区) * [[昭和産業]]鹿島工場(西部地区) * [[全国酪農業協同組合連合会]]鹿島飼料工場(西部地区) </div><div style="float: left; vertical-align: top; white-space: nowrap; margin-right: 1em;"> * [[全農サイロ]]鹿島支店(西部地区) * [[竹本油脂]]鹿島工場(西部地区) * [[中部飼料]]鹿島工場(西部地区) * [[DIC (企業)|DIC]]鹿島工場(西部地区) * [[東邦化学工業]]鹿島工場(西部地区) * [[日華化学]]鹿島工場(西部地区) * [[日清丸紅飼料]]鹿島工場(西部地区) * [[日本アルコール産業]]鹿島工場(西部地区) * [[日本水産]]鹿島工場(西部地区) * [[日本配合飼料]]中央研究所(西部地区) * [[雪印種苗]]鹿島工場(西部地区) * [[エーザイ]]鹿島事業所(波崎地区) * [[ケイミュー]]鹿島工場(波崎地区) * [[三洋化成工業]]鹿島工場(波崎地区) * [[ダイキン工業]]鹿島工場(波崎地区) * [[高砂香料工業]]鹿島工場(波崎地区) * [[タカラスタンダード]]鹿島工場(波崎地区) * [[田辺三菱製薬工場]]鹿島工場(波崎地区) * [[トクヤマ]]鹿島工場(波崎地区) * [[NSファーファ・ジャパン]]関東工場(波崎地区) * [[日本化薬]]鹿島工場(波崎地区) * [[日本農薬]]鹿島工場(波崎地区) * [[日本メクトロン]]鹿島工場(波崎地区) * [[日立化成工業]](波崎地区) </div><br style="clear: left;" /> == その他 == *鹿島パラダイス([[1972年]]、フランス映画) :ベニー・デスワルト、ヤン・レ・マッソン共同監督。 :1970年に来日した2人が、鹿島臨海工業地帯を舞台に、高度経済成長期における日本の現実を伝える記録映画。鹿島が臨海工業地帯に指定され、開発景気に沸くとともに農民は土地を手放し、工場労働者に変わっていくさま、さらにそこが歓楽郷(鹿島パラダイス)に変貌していく。開発に抵抗する象徴として、[[成田空港]]に反対し土地を死守する農民の[[成田闘争]]をも捉えていく。最後に「鹿島は資本主義のパラダイスだ」の文言で締めくくられる。1973年度[[ジョルジュ・サドゥール賞]]を受賞。 *甦える大地([[1971年]]、[[石原プロ]]・松竹映配) :見渡す限りの荒地を、一大工業地帯にしようと夢みる男たちが、生臭い欲望がうずまく中で、純粋に理想を実現する勇気を、茨城県鹿島灘の臨海工業地帯をバックに描く。主演は[[石原裕次郎]]、原作は[[木本正次]]の「砂の架十字」。脚本は[[猪又憲吾]]。監督は[[中村登]]。撮影は[[金宇満司]]がそれぞれ担当。 == 関連項目 == * [[工業整備特別地域]] * [[鹿島港]] * [[常陸川水門]] * [[鹿島臨海鉄道鹿島臨港線]] * [[港公園]] * [[清真学園高等学校・中学校]] ==脚注== <references /> == 外部リンク == * [http://city.kashima.ibaraki.jp/07soccer/0705.htm 鹿島開発(鹿嶋市)] * [http://www.city.kamisu.ibaraki.jp/1561.htm 鹿島開発のあゆみ(神栖市)] * [http://www.k-monozukuri.com/kigyou_ac_new.html 立地企業一覧(鹿島ものづくりドットコム)] {{DEFAULTSORT:かしまりんかいこうきようちたい}} [[Category:日本の工業地域]] [[Category:茨城県の地理]]
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