長沼健のソースを表示

{{サッカー選手
|名前=長沼 健
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|カタカナ表記=ナガヌマ ケン
|アルファベット表記=NAGANUMA Ken
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|誕生日={{生年月日と年齢|1930|9|5|no}}
|出身地=[[広島県]][[広島市]]
|没年月日={{死亡年月日と没年齢|1930|9|5|2008|6|2}}
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|代表国={{JPNf}}
|代表年=1954-1961
|代表出場（得点）=4(1)
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'''長沼 健'''（ながぬま けん、[[1930年]][[9月5日]] - [[2008年]][[6月2日]]）は、[[広島県]][[広島市]][[中区 (広島市)|中区]]袋町出身の元[[サッカー]]選手・[[サッカー日本代表|日本代表]]選手、元日本代表[[監督]]である<ref>[http://www.chugoku-np.co.jp/kikaku/interview/In02080501.html 日本サッカー 次の1歩へ 協会最高顧問 長沼 健氏に聞く - 中国新聞]</ref><ref name="taikyo">[http://www.hiroken-taikyo.jp/04/pdf/spo_hiroshima/vo90/90gou.pdf スポーツひろしま第90号 2008年6月30日8頁、広島県体育協会]</ref>。[[1994年]]より第8代[[日本サッカー協会]]会長を4年務め、その後同協会最高顧問のほか[[日本フットサル連盟]]名誉会長、日本ハンディキャップサッカー連盟会長、[[日本体育協会]]副会長、[[埼玉スタジアム2002]]場長、NPO法人日本知的障害者サッカー支援機構顧問を務めた。

== 来歴 ==
=== 若年時代 ===
[[FIFAワールドカップ|W杯]]の[[1930 FIFAワールドカップ|第1回大会]]が開催された1930年の生まれ<ref name="証言者10">[[#証言者]]10-14頁</ref><ref name="library775">[http://library.footballjapan.jp/user/scripts/user/story.php?story_id=775 賀川サッカーライブラリー オリンピック代表監督からワールドカップ招致まで 40年間を日本協会とともに 長沼健（中）]</ref><ref name="library838">[http://library.footballjapan.jp/user/scripts/user/story.php?story_id=838 長沼健さんの叙勲を祝う会で――。第1回W杯の年に生まれ、サッカーー筋74年]</ref>。

実家は広島の老舗電気工事業・長沼電業社。祖父の長沼鷺蔵は[[賀茂郡 (広島県)|賀茂郡御]]園宇村（現・[[東広島市]]）出身の[[広島藩]]士で、[[戊辰戦争]]の際に結成された「神機隊」の参謀<ref name="大観">[[#大観]]102頁</ref>。[[明治維新]]後、[[広島県警察|廣島県警察部]]に奉職し[[刑事|刑事係]]を務めた後、数々の事業を起こしその一つが長沼電業社であり、のち広島有数の実業家となり、[[広島市議会]]議員などの要職を務めた<ref name="大観"/>。父親、実兄もサッカー選手<ref name="証言者10"/>。広島は[[野球]]が非常に盛んな地域であるが、進学した旧制[[広島高等師範学校]]附属小学校（現・[[広島大学附属小学校]]）には野球班(部)がなく、小学校時から自然にサッカーを始めた<ref name="taikyo"/><ref name="library.naganumaue">[http://library.footballjapan.jp/user/scripts/user/story.php?story_id=774 40年間を日本協会とともに 長沼健（上）]</ref><ref>[http://www.hiroshima-u.ac.jp/fsc/seitokai/kurabu/cyuu/unndoubu/p_gdaima.html 広島大学 中学サッカー班 長沼健氏(本校39回生）のご逝去について]、[[#本当に]]186-187頁</ref>。

[[1945年]]15歳の夏、[[広島市への原子爆弾投下|原爆投下]]の日には広島市内中心部にあった学校での防空当番が前夜にあり、当日7時までいて、その後8キロ西北の[[疎開]]先、現在[[広島広域公園陸上競技場|広島ビッグアーチ]]がある付近・沼田（現・[[安佐南区]][[沼田町 (広島県)|沼田]]）まで自転車で帰る途中、家に着く直前[[広島市への原子爆弾投下|被爆]]した<ref name="証言者10"/><ref name="本当に188">[[#本当に]]188-191頁</ref><ref>[[#竹内]]148頁</ref>。30分帰りが遅かったら直下だった<ref name="本当に188"/>。1週間後市内に入り地獄絵を見る<ref name="証言者10"/><ref name="本当に188"/>。多くの知人・級友を亡くし、自らも亡くなるまで[[白血球]]過多で苦しんでいた。その為、[[被爆者手帳]]を持っていた<ref name="証言者10"/><ref name="library.naganumaue"/>。後年、海外遠征すると「お前のネイティブタウンはどこだ」と聞かれ「広島です」と答えると、みんな原爆のことは知っていて、「お前は何で生きてるんだ」と驚かれた<ref name="原爆少年14">[[#原爆少年]]14-16頁</ref>。外国では広島市民は全員死んだという認識であったという<ref name="原爆少年14"/>。

=== 学生時代 ===
終戦後、焼け野原となった町でグラウンドの整地、食糧調達、器材の作製などを自分達で行い、1個だけのボールを縫いながらサッカーに打ち込みボールを追った<ref name="証言者14">[[#証言者]]14-16頁</ref><ref name="本当に192">[[#本当に]]192-194頁</ref><ref name="soccertalk700">[http://www.soccertalk.jp/content/2008/06/no700.html No.700 長沼健さんを悼む | サッカーの話をしよう 大住良之オフィシャルアーカイブサイト ]</ref><ref name="yanmar-ob">[http://www.yanmar-ob.com/soccer-ob/bulletin/kaiho_03.pdf ヤンマーサッカーOB 会会報 第3号 平成20年10月]</ref><ref>[http://www.2002world.com/history/japan/jh_012.html 全日本選手権の変遷1 ア式蹴球全国優勝競技会～復活第1回全日本選手権大会]</ref>。戦争で中断されていた全国中等学校選手権（現・[[全国高等学校サッカー選手権大会]]）が[[1947年]]に復活。長沼は旧制広島高等師範学校附属中学（現・[[広島大学附属中学校・高等学校|広島大学附属高校]]）のエース[[フォワード (サッカー)|FW]]としてチームを戦後初の優勝に導いた<ref name="本当に192"/><ref>『激動のスポーツ史⑨サッカー』、[[ベースボール・マガジン社]]、1989年、p150</ref>。チームは相手の虚を突くパスワークに抜群の冴えを見せ、ボールを両足で自由に蹴れるのはこのチームだけだったと言われている<ref name="library.naganumaue"/><ref name="評伝・長沼健さん ">[http://www.chugoku-np.co.jp/sports/Sp200806030125.html 日本サッカーの羅針盤 評伝・長沼健さん - 中国新聞 スポーツ情報]</ref>。

特にFWの3人、のち“アジアの黒豹”と謳われた[[木村現]]、[[樽谷恵三]]、長沼の速攻は当時の学生レベルでは止められなかった<ref name="acacia100">[http://www.acacia100.net/wp/wp-content/uploads/2011/05/acacian_night419-02.pdf アカシア会 公式サイト 長沼健さん（39回）を追悼して]</ref><ref name="雲を抜けて39">『雲を抜けて、太陽へ!』[[岡野俊一郎]]、[[東京新聞|東京新聞出版部]]、2009年、p39、40</ref><ref name="library2056">[http://library.footballjapan.jp/user/scripts/user/story.php?story_id=2056 人の話を聞き、人を働かせ、自らも労をいとわぬ気配りの名手。日本サッカーの大功労者、長沼健さんを偲んで]</ref><ref>当時のサッカーはFWが5人のチームが多かったので、木村、樽谷、長沼はFWの右側の3人となる。</ref>。5-0、4-0、5-0、7-1と4試合で21得点を叩き出し、得失点差は20<ref name="本当に192"/>。決勝戦7-1のスコアは、戦後最多得点、及び大会最多得点差記録として現在も残る。同チームの右[[ミッドフィールダー|ハーフバック]]（[[ミッドフィールダー|HB]]）だったのが[[ヤンマーディーゼルサッカー部]]（現・[[セレッソ大阪]]）創設者・[[古川能章]]<ref name="yanmar-ob"/>。この大会の初戦で、のち長らく盟友となる東京都立五中学（現・[[東京都立小石川高等学校|都立小石川高校]]）の[[岡野俊一郎]]と対戦している<ref name="library.naganumaue"/><ref name="証言者14"/><ref name="acacia100"/><ref name="vivasoccerCramer3">[http://www.vivasoccer.net/event/Cramer_symposium200808/Cramer_sympo_3.html クラマーを語る(3)]</ref><ref name="thestadium"581>[http://thestadium.jp/?p=581 長沼 健 最高顧問 お別れの会がしめやかに]</ref><ref name="jfa2008080606">[http://www.jfa.or.jp/archive/jfa/communication/2008/080606/index.html キャプテン川淵のウィークリーコラム | JFA | 長沼健最高顧問を偲ぶ]</ref><ref>[http://www.yomiuri.co.jp/sports/feature/japan/ja20080603_04.htm 日本サッカー支え半世紀 長沼元会長死去]、[http://library.footballjapan.jp/user/scripts/user/story.php?story_id=2464 「坂の上の雲」の時代を身近に感じる85歳と語り合う歴史物語]、[http://www.ssf.or.jp/history/pdf/story_02.pdf オリンピアンかく語りき Story2：岡野俊一郎 ... - 笹川スポーツ財団]</ref>。翌[[1948年]]、[[国民体育大会|国体]]でも優勝<ref>[http://www.shonan-soccer.com/shonan_obkai/pages/kinensi/shousi.html 小史 - 湘南高校サッカー部]、[http://www.shonan-soccer.com/shonan_obkai/pages/kinensi/23kobayashi.html 第3回国体、幻の優勝]</ref>。

[[1949年]]、長沼ら新制広島高等師範学校附属高校のメンバー8人が卒業後[[関西学院大学]]入りし[[1950年|1950]]～[[1952年]]、関西学生リーグ3連覇、1950年[[東西学生蹴球対抗王座決定戦|大学王座]]、関学の黄金時代を築いた<ref name="library775"/><ref name="雲を抜けて39"/><ref name="library2056"/><ref>[http://library.footballjapan.jp/user/scripts/user/story.php?story_id=2341 兵庫サッカーとわたし ～村田忠男会長に聞く～｜賀川サッカーライブラリー]、『11人の中の1人』長沼健、生産性出版、1975年、2008年増補、p186、『広島スポーツ史』広島県体育協会、1984年、p314</ref>。関学への進学は親戚の[[手島志郎]]のアドバイスによるもの<ref name="証言者17">[[#証言者]]17-19頁</ref>。1950年は、長沼ら現役大学生メンバーと[[鴇田正憲]]らOBを加えた全関学が[[第30回全日本サッカー選手権大会|全日本サッカー選手権大会]]（[[天皇杯全日本サッカー選手権大会|天皇杯]]の前身）で[[慶應義塾体育会ソッカー部|慶應義塾大学]]を6-1で降して優勝<ref name="証言者17"/>。

[[1953年]]、関西学院大学を卒業するとさらに大学でサッカーを続けるためと、電気関係の家業を将来継ぐためもあり、関東学生リーグで前年2位であった[[中央大学]]の3年（学部は当時の工学部）に編入<ref name="library775"/><ref>[[#証言者]]19-21頁</ref><ref name="library2056"/>。4年次には主将を務め100人の部員を統率し、[[全日本大学サッカー選手権大会]]2年連続準優勝に導いた。

中央大学時代の1953年には[[西ドイツ]]・[[ドルトムント]]で開催された第3回国際学生週間（[[ユニバーシアード]]の前身）に初めて日本学生代表として岡野、[[平木隆三]]ら17名と参加<ref name="library775"/>、約2ヶ月にわたって[[ヨーロッパ]]を転戦した<ref name="library2056"/><ref>[http://kaze.shinshomap.info/series/doitsu/06.html 第6回 「ドイツVS日本」とワールドカップ - 連想出版がつくるWEB ]</ref>。これは[[竹腰重丸]]技術委員長の提唱で、日本サッカーの復興のため若い人の視野を広げて将来に役立ててもらおうと企図されたもので試合、[[ホームステイ]]の他、[[オペラ]]、[[美術館]]などを見てまわった<ref>[http://www.salon2002.net/monthly/2009/2009-11-kansaisalon.pdf 記者として、サッカー人として 大谷四郎]</ref>。しかし当時の蹴球協会には金はなく参加費用は自腹（個人負担+出身校や[[都道府県]]協会の[[募金]]）だった<ref name="library775"/><ref>[http://library.footballjapan.jp/user/scripts/user/story.php?story_id=2312 大いに見聞を広めよう｜賀川サッカーライブラリー]</ref><ref name="kansai02">[http://www.salon2002.net/monthly/2007/kansai02.html 関西サロン2月報告 西ドイツからドイツまで ワールドカップの旅 賀川浩 （スポーツライター）]</ref><ref name="日韓キックオフ">大島裕史『日韓キックオフ伝説』、[[実業之日本社]]、1996年、p234-237</ref>。この頃ドイツの街もまだ戦禍が生々しかったが、あちこちに見事な芝があった<ref>[http://soj-net.com/seedsnet/081022.htm SEEDS-net vol.113]</ref>。日本には[[神戸市|神戸]]と[[横浜市|横浜]]の外国人クラブにしか芝のグラウンドは無かった<ref name="証言者25">[[#証言者]]25-28頁</ref><ref name="古河電工サッカー部史">『古河電工サッカー部史』古河電工サッカー部史刊行委員会、2004年、p45-50</ref>。

[[1954年]]には、日本が初めて[[FIFAワールドカップ|ワールドカップ]]予選に参加した[[1954 FIFAワールドカップ・予選|第5回スイスW杯予選]]の[[サッカー日本代表|日本代表]](当時の名称は全日本)に選出される<ref name="証言者22">[[#証言者]]22-25頁</ref>。[[3月7日]]、スイスW杯予選グループ13初戦の雪の神宮競技場（現・[[国立霞ヶ丘競技場|国立競技場]]）の対[[サッカー大韓民国代表|韓国]]戦で記念すべきW杯予選における日本代表の第1号ゴールを決める<ref name="日韓キックオフ"/><ref name="nikkansports.p-sc-tp2">[http://www.nikkansports.com/soccer/japan/news/p-sc-tp2-20080602-367439.html 復刻・日本W杯初出場、長沼氏悲願の48年-日刊スポーツ、2008年6月3日2面]</ref><ref name="日韓サッカー反目から共生へ">康煕奉『日韓サッカー反目から共生へ』、新幹社、2001年、p13-19、康奉雄『知られざる日韓サッカー激闘史』、広済堂出版、1998年、p140-141、[http://www.nikkansports.com/soccer/japan/news/f-sc-tp2-20080602-367420.html 日本W杯史初ゴールは…長沼健さんだった - サッカー日本代表ニュース ]</ref>。この試合は日韓宿命の対決、サッカー日韓戦の第1戦、第1号ゴールでもあった<ref name="讀賣新聞200864">{{Cite news|url=http://www.yomiuri.co.jp/sports/feature/japan/ja20080603_04.htm|title= 日本サッカー支え半世紀 長沼元会長死去
|publisher=[[讀賣新聞]]|date=2008年6月4日2面}}</ref><ref name="toyotacup">[http://archive.sportsnavi.yahoo.co.jp/soccer/toyotacup/2004/column/200412/at00003273.html トヨタカップを呼んだ男たち 第5回 長沼健]</ref><ref>『日韓キックオフ伝説』p263-282、[http://www.mindan.org/soccor/k_soccer/k_soccer2.htm スイス大会(1954年) 初の韓日戦、日本撃破し出場権 - Mindan]</ref>。この頃日本サッカーの目標はオリンピックであり、長沼はワールドカップとは何かよく分からずやっていたと言う<ref name="証言者22"/>。この頃の日本サッカーはそのような時代であった<ref name="nikkansports.p-sc-tp2"/>。

=== 古河電工へ ===
中央大学卒業後の[[1955年]]、実家の事業と付き合いがあった縁故もあり、当時関東実業団リーグ2部に転落していた[[古河電気工業サッカー部|古河電工]]（現[[ジェフユナイテッド市原・千葉]]）へ入団<ref name="証言者25"/><ref name="本当に210">[[#本当に]]210-216頁</ref>。当時の古河電工サッカー部は、創部10年を経てはいたものの、[[アイスホッケー]]の選手も混じる同好会レベルのチーム<ref>『古河電工サッカー部史』、p35-45</ref><ref name="サッカーの物語">『サッカーの物語』田中孝一 [[ベストセラーズ|kkベストセラーズ]]、2001年、p67-72</ref>。本格的なサッカー選手は長沼ら数人だけだった。この頃、社会人スポーツはまだ熱気がなく「スポーツは学生まで」という考えが日本では主流だった。古河は他の企業よりもスポーツに関して理解が深く、「社員の志気を高めるために」と社長が号令をかけて、バレーボール部とサッカー部に力を入れることになり、サッカー部の強化を一任されたのが長沼だった<ref name="古河電工サッカー部史"/><ref name="サッカーの物語"/><ref>[http://www.soccertalk.jp/content/2004/06/no517.html No.517 古河電工サッカー部史 | サッカーの話をしよう 大住良之アーカイブサイト]</ref>。「スポーツは学生まで」という考えを改めなくてはいけないと、毎年毎年、いい選手を獲ってくれと会社に要請した<ref name="本当に210"/>。社業が第一、毎日5時まで仕事をして練習となるが、自前のグラウンドはなく、ボールは蹴らず、[[皇居]]の周りを何周も走るだけ。[[二重橋]]前の手入れの行き届いた芝生公園を見ながら「あそこで蹴れたら気持ちがいいだろうな」と思いながら走った<ref name="証言者25"/>。ボールを蹴るのは週末のみ、毎回違う郊外のグラウンドを借りてボールを蹴った<ref name="証言者25"/>。ここでもエースフォワードとして活躍し、すぐに関東実業団リーグ2部優勝、1部昇格に導く。「長沼を中心に何か始めるらしい」と知った[[平木隆三]]は[[1957年]]、湯浅電池を円満退社して古河電工へ移ったほどであった<ref name="古河電工サッカー部史"/><ref>『11人の中の1人』長沼健、生産性出版、p190、『進化する日本サッカー』忠鉢信一、[[集英社]]、2001年、p36</ref>。長沼は古河電工に入社した1955年に[[読売新聞社]]の後援で新設された[[全国都市対抗サッカー選手権大会]]に「[[東京クラブ]]」のメンバーとして出場して優勝している（翌年も）<ref>[http://fukuju3.cocolog-nifty.com/footbook/2012/09/post-36fc.html 松永碵「幻のプロサッカー秘話」: 蹴球本日誌]、[http://fukuju3.cocolog-nifty.com/footbook/2012/10/post-bfd1.html 東京倶楽部・東京クラブ: 蹴球本日誌]、[http://fukuju3.cocolog-nifty.com/footbook/2012/10/1950-0dae.html 出身大学クラブ、地域クラブでもプレーしていた1950年代の社会人選手: 蹴球本日誌]、[http://fukuju3.cocolog-nifty.com/footbook/2012/11/post-ea41.html 東京クラブがプロ化していたら・・・: 蹴球本日誌]</ref>。

[[1956年]]、[[メルボルンオリンピック]]日本代表に選ばれたものの下痢を発症し隔離病棟に拘束され、その間にチームは1試合で敗退した<ref>[[#証言者]]27-28頁</ref><ref name="library788">[http://library.footballjapan.jp/user/scripts/user/story.php?story_id=788 オリンピック代表監督からワールドカップ招致まで 40年間を日本協会とともに 長沼健（下）]</ref>。[[1958年]]、東京[[アジア競技大会|アジア大会]]日本代表。[[1959年]]、28歳の若さで古河電工の[[プレイングマネージャー]]となり同年[[全日本実業団サッカー選手権大会|実業団]]、[[全国都市対抗サッカー選手権大会|都市対抗]]の2冠に輝いた。

翌[[1960年]]、古河電工を実業団チームとして初めて[[天皇杯全日本サッカー選手権大会|天皇杯]]を制覇、日本一に導く<ref name="証言者25"/><ref>『古河電工サッカー部史』、p139</ref>。それまでの学生サッカーの時代から、社会人サッカーの時代の始まりだった<ref name="証言者25"/>。更に翌[[1961年]]は史上初の3冠（全日本（天皇杯）、実業団、都市対抗）を達成しこの年新設された、第1回[[日本年間最優秀選手賞]]（フットボーラー・オブ・ザ・イヤー）を受賞した。

人柄の良さから長沼のまわりには自然と人が集まってきたといわれ、長沼が関学、中大、古河電工と移るとともに日本サッカー界の勢力地図が塗り替えられていき、古河を強豪にしたことによって[[八重樫茂生]]、[[宮本征勝]]、[[川淵三郎]]、[[木之本興三]]、[[清雲栄純]]、[[岡田武史]]らのちの重要人物が古河入りすることになった<ref name="jfa2008080606"/><ref name="library788"/><ref>『古河電工サッカー部史』、p45-50、115、『11人の中の1人』長沼健、生産性出版、p189-191、[http://akagane-k.sakura.ne.jp/a-club/kouenkai/back_number/402report.html 夢があるから強くなる ～日本サッカーの国際化を支えて40年～. 講師： 公益財団法人 日本サッカー協会名誉会長 小倉純二氏]</ref>。彼らは「長沼一家」と呼ばれた<ref>[[#大和魂]]150頁</ref>。『古河電工サッカー部史』は、「長沼が古河に入社してなかったら、歴史は変わっていただろう」と書いている<ref>『古河電工サッカー部史』、p45</ref>。

この頃古河のプレイングマネージャーだった長沼は日本代表入りを辞退し続けたといわれ、代表出場試合数は多くはない。1960年に来日した[[デットマール・クラマー]]が、長沼の指導者としての能力に目を付け、強引に代表試合に出場させたといわれている（[[1961年]][[11月28日]]、対[[サッカーユーゴスラビア代表|ユーゴスラビア代表]]）<ref name="vivasoccerCramer3"/><ref>[[#本当に]]209頁</ref><ref>[http://blog.goo.ne.jp/s-ushiki/e/8ce0b3583568b4e18f4c0d7e7d0b256c 長沼健さんの思い出]、[http://www.vivasoccer.net/guest/chujo/note11.htm クラマー取材ノートから(11)]、[http://www.vivasoccer.net/guest/chujo/note17.htm クラマー取材ノートから(17)]</ref>。

=== 日本代表監督就任 ===
[[1962年]]、この頃サッカーはまったく人気が無く、[[サッカー日本代表|日本代表]](当時の名称は全日本)の監督といえば、ある程度の年配者が当たり前だったが、同郷で当時日本サッカー協会会長だった[[野津謙]]が大英断を下し、まだ現役選手でありながら33歳で日本代表監督（コーチ・岡野俊一郎(32歳)）に抜擢される<ref name="acacia100"/><ref name="library788"/><ref>[[#証言者]]28-33頁</ref><ref>『雲を抜けて、太陽へ!』p91</ref>。これは日本サッカー近代化のスタートだった<ref name="写蹴">今井恭司『写蹴』、[[スキージャーナル]]、2010年、p53、204、205</ref>。1962年12月9日に行われた日本代表対スウェーデン選抜戦が、当時まだ30代前半だった長沼監督&岡野俊一郎コーチ・コンビのデビュー戦で、同時に最古のサッカー日本代表のサポーター組織・[[日本サッカー狂会]]のデビュー戦でもあった<ref>[[日本サッカー狂会]]『日本サッカー狂会』[[国書刊行会]]、2007年、p22</ref>。新体制下では、クラマーが技術面や戦術面でチームを牽引し、岡野がそれを補佐。そして人望の厚い長沼が選手を束ねるという適確な役割分担が機能し、日本代表は短期間で見違えるような進歩を遂げた<ref name="digest20081014">『[[週刊サッカーダイジェスト]]』「日本サッカーを変えた監督力」2008年10月14日号、p24-25</ref>。当時の日本代表チームは、東京に本拠を置く「[[丸の内御三家]]」の東のグループと、[[東洋工業サッカー部|東洋工業]]と[[八幡製鉄サッカー部|八幡製鉄]]の広島出身者を中心とした西のグループとがあってお互い仲が悪かったが、長沼が広島出身で西のグループにも崇拝されていため和が保たれたといわれる<ref>[[日本サッカー狂会]]『日本サッカー狂会』[[国書刊行会]]、2007年、287頁</ref>。

長沼は日本代表監督として[[1964年]]、[[前東京オリンピック|東京オリンピック]]の対[[アルゼンチン]]戦での勝利は日本に空前のサッカーブームを起こし[[1968年]]、[[メキシコシティオリンピック|メキシコオリンピック]]でも'''銅メダル獲得'''の偉業を達成した<ref name="library775"/><ref name="library2056"/><ref name="讀賣新聞200864"/><ref name="toyotacup"/><ref name="library788"/>。長沼と岡野は二人で、代表選手の所属チームとの交渉、スカウティング、マッチメイク、広報活動等を行い代表チームの強化とサッカー普及に尽力した<ref name="digest20081014"/>。クラマー-長沼-岡野の共同作業は、ほぼ何も無い土地に種を蒔き、開化させることに等しかった<ref name="digest20081014"/>。

クラマーの提案を受け[[1965年]]から発足した[[日本サッカーリーグ]](JSL)の創設にも岡野、[[西村章一]]、[[重松良典]]らと尽力<ref name="library788"/><ref>[[#証言者]]34-36頁</ref><ref name="本当に210"/><ref name="note37">[http://www.vivasoccer.net/guest/chujo/note37.htm 日本リーグの錦の御旗 - 牛木素吉郎＆ビバ！サッカー研究会 公式サイト]</ref><ref>[http://blog.goo.ne.jp/s-ushiki/e/04c37677285299b8826ddb1ab47f88e1 日本サッカーリーグの創設（上）]、[http://blog.goo.ne.jp/s-ushiki/e/d92f8c45ed58251aa8b688e553e489a9 日本サッカーリーグの創設（下）]、[http://library.footballjapan.jp/user/scripts/user/story.php?story_id=277 多くの困難を乗越えて日本サッカーリーグ開幕｜賀川サッカーライブラリー]、[http://ramos.jp/info/?p=685 Jリーグの基礎である日本サッカーリーグ27年間]、ラモス瑠偉 オフィシャルウェブサイト、2013年5月16日、『古河電工サッカー部史』、p76
139、『サッカーの物語』、p160、161、『[[月刊グラン]]』[[2003年]]10月号、p36</ref>。長沼はこの時もまだ現役選手だった。クラマーの提案は、ドイツの北部・南部・西部3リーグ制の地域リーグである[[レギオナルリーガ (ドイツサッカー)|レギオナルリーガ]]を想定していたが、[[新幹線]]と[[在来線]]を乗り継げば「全国リーグ」が出来ると反撥したのは長沼たちであったという<ref name="本当に210"/>。アマスポーツの全国リーグは初めてのケースで、他の競技団体からも大きな注目を浴びた。[[アイスホッケー]]、[[バスケットボール]]、[[バレーボール]]の全国リーグが翌年から追随した。JSL創成期の苦労は現在とは比べ物にならない程過酷なもので、広島などへの遠隔地への試合では「われわれには[[夜行列車]]があります」と社業に差し支えると渋る会社と交渉。週末に移動し日曜に試合をこなし、夜行で帰り月曜の朝、[[東京駅]]に着くとそのまま[[丸の内]]の会社に出社し仕事をした。部員には「絶対に寝るな」と釘を刺したという<ref name="note37"/>。リーグが始まって社内でも「いくら何でもかわいそうだ」という声が出て、月曜の午前中は休める会社も出てきた<ref name="本当に210"/>。それがセミプロ化への流れを作ったのではないか、と長沼は話している<ref name="本当に210"/>。その後古河は、サッカー部を廃部するという時期があったが、長沼の存在があったから廃部を救えたという<ref name="jfa2008080606"/><ref name="thestadium581">[http://thestadium.jp/?p=581 長沼 健 最高顧問 お別れの会がしめやかに]</ref>。

[[1966年]]、日本代表を連れヨーロッパ遠征中、せっかくだから選手にワールドカップを見せてやろうと[[ドーバー (イギリス)|ドーバー]]の[[インド]]人が経営する安宿に泊まり、[[1966 FIFAワールドカップ|ワールドカップイングランド大会]]を自身も初観戦<ref name="nikkansports.p-sc-tp2"/><ref>[[#本当に]]209頁</ref><ref>[http://webcache.googleusercontent.com/search?q=cache:9qzMGLM65G8J:kaze.shinshomap.info/special/02/01.html+%E7%89%9B%E6%9C%A8%E7%B4%A0%E5%90%89%E9%83%8E%26%E3%83%93%E3%83%90!%E3%82%B5%E3%83%83%E3%82%AB%E3%83%BC%E7%A0%94%E7%A9%B6%E4%BC%9A+%E9%95%B7%E6%B2%BC%E5%81%A5%E3%80%80&cd=6&hl=ja&ct=clnk&gl=jp 世界のサッカーを見続けて35年 - WEBマガジン［KAZE］風]</ref>。またドイツ遠征中、[[アディダス|アディダス社]]のアディ・ダスラー（アドルフ・ダスラー）に代表選手のシューズを作ってもらう。これが現在、[[麒麟麦酒]]（[[キリンビール]]）・[[キリンビバレッジ]]と両輪で日本代表を支える有力[[スポンサー]]・アディダスと協会との長きに亘る付き合いの始まりであった。

また、長沼は後年キリンビールのスポンサー獲得も実現させている<ref name="批評1037">『[[サッカー批評]]』10号、2001年3月、[[双葉社]]、p64-66、『サッカー批評』37号、2008年1月、双葉社、p34-35</ref>。[[天皇杯全日本サッカー選手権大会|天皇杯]]の決勝戦が[[元日]][[国立霞ヶ丘陸上競技場|国立競技場]]開催になったのは、[[明治神宮]]に250万人の参拝客が来るので、[[初詣]]帰りの1％でも来てもらえないか、と思案して変更したものという<ref>『サッカーの物語』、18、57頁</ref>。[[1969年]]、第1回FIFAコーチング・スクールでクラマーの助手を務め世界初のFIFAコーチ・ライセンス取得。[[1970年]]、野津のお供で[[1970 FIFAワールドカップ|ワールドカップメキシコ大会]]を視察<ref>[http://library.footballjapan.jp/user/scripts/user/story.php?story_id=935 メキシコの余韻の中で(2)｜賀川サッカーライブラリー]</ref><ref name="本当に">[[#本当に]]185、224-228頁</ref>。この時は[[ロイヤルボックス]]で観戦し、当時の[[国際サッカー連盟]](FIFA)会長・[[スタンリー・ラウス]]から話が出たというワールドカップ日本招致の話を野津から聞く<ref>[[#本当に]]228-229頁</ref>。ワールドカップ日本招致を野津に進言したのは長沼だともいわれるが<ref>[http://www.vivasoccer.net/archives/1970-1972/1970_9.htm ワールドカップ大作戦を展開しよう（サッカーマガジン1970年9月号）]</ref>、長沼は反対していたとも言われ、この辺の経緯は不明<ref>[http://www.salon2002.net/monthly/2011/kansai12.pdf 《関西サロン 2011 年12 月例会報告》]</ref>。[[1960年代]]から海外遠征時にサッカー協会には内緒で試合の[[ギャランティー|ギャラ]]を選手に還元していたという<ref>[[#本当に]]218-219頁</ref>。[[1972年]]、日本蹴球協会技術委員長。[[1974年]]、同理事となり協会の[[法人]]化（財団法人日本サッカー協会に名称変更）にも奔走。日本代表監督は[[1976年]]まで歴代最長の11年間指揮を執った<ref>[http://www.nobodymag.com/journal/archives/2008/0603_0054.php W杯アジア予選 日本対オマーン 3-0 梅本洋一 | nobodymag]</ref>。この頃の代表監督は契約でなく、協会の組織の中の役職のため無報酬だった<ref>[[#証言者]]37頁</ref><ref>『月刊グラン』2003年9月号、p40</ref>。

=== 日本サッカーの改革者として ===
代表監督を退任したこの年、医者の野津謙サッカー協会会長では将来が望めないと岡野・重松らと野津会長=[[小野卓爾]]専務理事体制の刷新を画策<ref>『[[サッカー批評]]』20号、p50-57、双葉社、2003年9月</ref><ref>[http://www.salon2002.net/monthly/2008/03.html 3月例会報告 －「サロン2002in岡山」－報告]サロン2002</ref>。三菱化成工業（現・[[三菱化学]]）社長だった[[篠島秀雄]]に会長就任を要請した。しかし篠島が[[1975年]]急逝したため篠島から推薦されていた[[平井富三郎]]（元・[[新日本製鐵]]社長）を新たに担ぎ、野津会長の後継とした<ref name="library788"/><ref name="本当に224"/>。自身も専務理事となり平井会長=長沼体制として実質的に日本サッカーのリーダーとなる<ref name="写蹴"/><ref name="本当に184">[[#本当に]]184-185、224頁</ref><ref name="日経2008627">[[日本経済新聞]]夕刊「追想録」2008年6月27日5面</ref><ref name="supportista">[http://supportista.jp/news/1448 犬飼会長就任は「長沼時代」の終焉だ／サッカー瞬刊誌 サポティスタ]</ref>。平井はサッカーには明るくなかったが<ref name="斬り捨て御免">別冊宝島編集部編『サッカー日本代表斬り捨て御免！』、[[宝島社]]、2002年、p282-284</ref>、平井を迎えたのは財政の確立が至上命題であったためで、財政の確立を平井会長に進言したのは長沼である<ref name="本当に224">[[#本当に]]224-228頁</ref><ref>[http://www.jsports.co.jp/press/article/N2008071013202702.html 【後藤健生コラム】まもなく決まる、日本サッカー協会新会長]</ref>、長沼が大会社のトップを間近に見て経営の心得を実地に学んだことは大きな意味を持った<ref>『月刊グラン』2009年8月号、p32</ref>。これらはサッカー誌などで「76政変」「長沼のクーデター」「無血クーデター」などと呼ばれている。「無血クーデター」というのは、この交代が揉めずにすんなり行われたため。野津らも世代交代の時期と考えていたのではといわれている<ref>『サッカー批評』20号、p50-57、双葉社、2003年9月</ref>。長沼がリーダーとなったことで、半世紀以上も続いてきた大学リーグ中心のサッカー協会が日本リーグを中心とする社会人チームの関係者の手に移るという大きな分岐点であった<ref name="本当に210"/><ref>[http://blog.goo.ne.jp/s-ushiki/e/78f003d7c72d4da19ef2c8436de26cb6 犬飼新会長は新しい時代の始まり - 牛木素吉郎のビバ！スポーツ時評]</ref>。また「[[丸の内御三家]]」の影響力がさらに強まることとなった<ref name="斬り捨て御免"/>。長沼は、平井富三郎、[[藤田静夫]]、[[島田秀夫]]と3代の会長を立てながら、実質的に激動期の改革を主導した<ref name="digest20080722">『[[週刊サッカーダイジェスト]]』「3人の先駆者が築いたもの」2008年7月22日号、p18-19</ref>。この頃、[[早稲田大学]]の[[同好会]]でサッカーに興じていた[[岡田武史]]を呼びつけ[[早稲田大学ア式蹴球部|同大学蹴球部]]に入部させたという逸話も残る<ref name="thestadium581"/><ref name="sponichi20080604">{{Cite news|url=http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2008/06/04/kiji/K20080604Z00001760.html|title= 岡田監督「健さんが勝たせてくれた」|publisher=[[スポーツニッポン]]|date=2008年6月3日7面}}</ref>。[[加茂周]]の[[日産自動車サッカー部]]監督就任は、長沼らの仲介によるもの<ref>『東京大学のサッカー ライトブルーの青春譜』、東大LB会、2008年、p87-88</ref>。また協会の運営を円滑に進めるため、古河の経理部門にいた[[小倉純二]]を抜擢した<ref name="supportista"/><ref>[https://archive.is/20130501134247/mainichi.jp/opinion/news/20130123ddm012070103000c.html 時代を駆ける:小倉純二／6 激烈、W杯誘致合戦]</ref>。小倉が「国際派」となるのは、1981年に古河電工のロンドン支店に転勤になった小倉に長沼が「日本サッカー協会国際委員（在ロンドン）」と書かれた名刺を持たせてからである<ref>[http://www.nikkei.com/sports/column/article/g=96958A88889DE3E3EAE7EBE0E4E2E0EBE2E5E0E2E3E2E2E2E2E2E2E2;p=9694E0EBE2E3E0E2E3E2E1EBE3E3 日本サッカー協会・小倉新会長への期待と課題 ：日本経済新聞]、{{Cite news|url=http://sankei.jp.msn.com/sports/news/120804/oth12080403140000-n1.htm|title=【土・日曜日に書く】論説委員・別府育郎 ロンドンが人生を変えた男|publisher=[[産経新聞]]|date=2012年8月4日}}</ref>。

当時の日本サッカー協会には財源確保という大きなテーマがあった<ref name="digest20080722"/><ref name="本当に224"/>。長沼は[[国際サッカー連盟|FIFA]]や欧州のクラブ組織を参考に、以下の3つを柱として協会の組織改革する<ref name="進化する日本サッカー5659">忠鉢信一『進化する日本サッカー』、[[集英社]]、2001年、56-59頁</ref>。
* FIFAの組織に準じた専門委員会の改編<ref name="進化する日本サッカー5659"/>。
* FIFAに先じた個人登録制度（のち年齢別登録制に変更）の導入<ref name="library788"/><ref name="本当に224"/><ref name="日経2008627"/><ref name="進化する日本サッカー5659"/><ref name="証言者49">[[#証言者]]49-52頁</ref><ref>『月刊グラン』2009年9月号、p32</ref>。個人登録制度は長沼が平井会長に提案して、[[平木隆三]]と共に計画を練り、[[大谷四郎]]にも相談して発足させたもの<ref name="本当に224"/>。選手個々から登録料を徴収するという提案は[[日本中学校体育連盟|中体連]]から「子供たちから金を取るのか」<ref name="digest20080722"/>などと、強い抵抗を受けたが[[1978年]]から実施した<ref name="本当に224"/>。付随して日本のスポーツでは初めて、天皇杯を日本のすべての加盟チームに門戸を開いた<ref name="library.naganumaue"/><ref name="library788"/><ref name="日経2008627"/><ref>『月刊グラン』2003年10月号、p37</ref>。
*[[自転車操業]]ともいわれた当時のサッカー協会の慢性的な赤字体質からの脱却<ref name="本当に224"/>。オフィシャルサプライヤー制度を始め、[[デサント]]、[[アシックス]]、[[プーマ]]と契約<ref name="進化する日本サッカー5659"/>。[[1977年]]に結成した「日本サッカー後援会」<ref>[[#本当に]]232、242頁</ref><ref>[http://www.nadeshikoleague.jp/fan_zone/bu/talk/051/index.html 日本女子サッカーリーグ -お楽しみ-]</ref>の会費と個人登録制度、国際試合の興行収入、[[日本体育協会]]からの[[補助金]]と合わせ財政基盤確立をもたらした<ref name="進化する日本サッカー5659"/>。

同年、組織的に選手を発掘し育成するナショナル・トレーニング・センター制度を発足<ref name="本当に224"/><ref name="進化する日本サッカー5659"/>。この年[[電通]]から持ち込まれた[[ペレ]]の引退試合を国立競技場で開催<ref name="本当に224"/><ref name="digest20080722"/><ref name="証言者49"/><ref>電通が初めて手掛けたサッカーの興行（『[[週刊サッカーマガジン|サッカーマガジン]]』2008年[[5月20日]]号、[[ベースボール・マガジン社]]、53-61頁）</ref>、観衆6万5000人を集め、国立競技場が初めて満員になったといわれ、7000万円の純益を出した<ref name="本当に224"/><ref name="証言者49"/><ref>『サッカーの物語』田中孝一、18頁</ref>。協会が手掛けた初めての大きな興行で、1978年から実施した個人登録制度導入と合わせ以降、日本サッカー協会は赤字体質から脱却した<ref name="library788"/><ref name="本当に224"/><ref>[http://archive.sportsnavi.yahoo.co.jp/soccer/toyotacup/2004/column/200412/at00003275.html トヨタカップを呼んだ男たち 第5回 長沼健3]、『サッカー批評』20号、p50-57、双葉社、『月刊グラン』2003年10月号、p37、『日本は、サッカーの国になれたか。電通の格闘。』濱口博行、[[朝日新聞出版]]、2010年、p50-62</ref>。

この年を境に協会は一度も赤字になることはなく、[[日本プロサッカーリーグ|Jリーグ]]発足直前には40億円の金があったといわれている。同じ年、[[全日本少年サッカー大会]]をスタートさせ全国高等学校サッカー選手権を国立競技場での決勝など[[首都圏 (日本)|首都圏]]開催へ移す<ref name="証言者49"/>。また[[日本体育協会]]にこれも先じて始めたコーチングスクール開催<ref name="本当に224"/>、のちのトレーニングセンター建設などで<ref name="digest20080722"/>、[[ユース]]世代の指導がスムーズに行われるようになった<ref>日本でもコーチのシステムをつくった方がいいというクラマーのアドバイスを受けて、コーチングスクール開催等、それを具体化したのは全て長沼（『11人の中の1人』長沼健、生産性出版、1975年、2008年増補、はしがきii、p207、208）。</ref>。 また、協会の有力スポンサーにキリンビールが付いたのは長沼が当時、[[原宿]]の協会の部屋の窓から線路を挟んで目と鼻の先にかつて本社のあったキリンビールに「ああいう（大きな）会社に支援をお願いできないものか」と思案したのが始まりである<ref name="批評1037"/>。

[[1978年]]から始めて当初[[赤字]]を出した[[キリンカップサッカー|ジャパンカップ]]のスポンサー探しに、キリンビール社員で審判員だった久保田秀一に案件を依頼。久保田の尽力で長沼は岡野と共に[[代理店]]なしで当時の同社・[[小西秀次]]社長に直談判し冠スポンサーを実現させ、同大会は[[1980年]]第3回大会から[[キリンカップサッカー]]と名称変更となった<ref name="批評1037"/><ref>『日本は、サッカーの国になれたか。電通の格闘。』、p65-68<br />[http://t.pia.jp/feature/sports/japan-soccer/060511index.html チケットぴあ] - JAPANサッカーを支える企業。</ref>。[[インターコンチネンタルカップ (サッカー)|インターコンチネンタルカップ]]（トヨタカップ）日本開催実現にも協力する<ref name="toyotacup"/><ref name="sportsnavi200807180007">[http://archive.sportsnavi.yahoo.co.jp/soccer/japan/text/200807180007-spnavi.html スポーツナビ｜偉大な先人への「はなむけ」]</ref>。[[1977年]]、[[セルジオ越後]]らの提言を受け日本ミニサッカー連盟（現在の[[日本フットサル連盟]]）発足<ref>『フットサル公式ファンガイド』[[日本文化出版]]、1995年、p100</ref>。

[[1981年]]に日本代表監督に就任した[[森孝慈]]の要請に応え、それまで勝利給はおろか日当さえも出なかった代表チームの報酬金<ref>1982年から1日3千円の手当て、1983年からは出場した場合あるいは勝利した場合にボーナス</ref>や宿泊ホテルを改善<ref>『週刊サッカーマガジン』2008年12月16日号、p56-57</ref><ref name="サッカー批評40">『サッカー批評』40号、p38-42、双葉社</ref>。これは[[1983年]]から[[大韓サッカー協会|韓国]][[Kリーグ]]が始まり、[[サッカー大韓民国代表|韓国代表]]選手に金銭的手当てが出るようになった影響がある<ref name="日本サッカー史">[[後藤健生]]『日本サッカー史 日本代表の90年』（双葉社、2007年）ISBN 978-4-575-29932-8</ref>。1983年、木之本のJSL事務局長抜擢に尽力した<ref name="サッカー批評40"/><ref name="HIHYO1305">[[#回想]]p71-73</ref>。[[1984年]]、日本のサッカー界初の[[引退試合]]「[[釜本邦茂]]引退試合 ヤンマーディーゼル対日本サッカーリーグ選抜」（[[国立霞ヶ丘陸上競技場|国立競技場]]）開催に尽力<ref>[http://library.footballjapan.jp/user/scripts/user/story.php?story_id=2299 釜本邦茂(24)ペレとオベラートの友情参加。満員の国立競技場、引退試合でも先制 ゴール]</ref>。

=== Jリーグ創設への舵取り ===
[[1987年]]、[[日本サッカー協会|日本サッカー協会(JFA)]]副会長就任<ref name="証言者52">[[#証言者]]52-54頁</ref>。同年、[[エリザベス2世 (イギリス女王)|エリザベス女王]]が名誉総裁を務める[[イングランドサッカー協会]]に倣い、[[高円宮憲仁親王]]を名誉総裁に迎える<ref>[[#証言者]]57-58頁</ref><ref>[http://smtp.nipponkaigi.org/2100-kataru/2110-05naganuma01.html 追悼 日本サッカー協会の元会長・最高顧問の長沼健氏 - 日 本 会 議]</ref>。

[[1989年]]、FIFAに2002年ワールドカップ開催の意思を伝える<ref name="証言者52"/>。[[森健兒]]、[[石井義信]]、[[木之本興三]]らと、のちに川淵が中心となって進めたプロ化推進では難色を示す長老が多くこのままでは頓挫してしまうと判断、長沼は協会内にプロ化検討委員会の設置を提案し自ら委員長<ref>[[毎日新聞]]、2008年6月3日15面</ref>（プロリーグ対策本部長<ref>[[#両足]]201頁</ref><ref>『清水エスパルスーJリーグへの挑戦』田中孝一、大栄教育システム出版、1993年、p16</ref>）に就任<ref name="本当に220">[[#本当に]]220-222頁</ref>、プロ化反対派に対する防波堤となり川淵らを強力にバックアップしJリーグを実現させた<ref name="library2056"/><ref>[[#両足]]176-178頁</ref><ref>[http://www.jsgoal.jp/official/jfa/00066069.html J's GOAL | オフィシャルニュース | 長沼 健 日本サッカー協会最高顧問が逝去]</ref><ref name="スポーツ報知">[[スポーツ報知]]、2008年6月3日2面</ref><ref>『古河電工サッカー部史』、p93、[http://www.soccer-king.jp/sk_column/article/111880.html Soccer King - 川淵三郎「日本人にとってサッカーは非常に相性のいいスポーツ～」]、[https://archive.is/20130501132630/mainichi.jp/opinion/news/20130124ddm012070065000c.html 時代を駆ける:小倉純二／7 「日韓共催」突然の打診]</ref>。[[博報堂]]がJリーグを手掛けることになったのは長沼からのリンクであるという<ref>[http://www.sports-soken.com/blog/archives/2008/06/post_317.html 長沼健さん、ご逝去 (スポーツ総合研究所 Blog) ]</ref>。

また[[愛知県]]は当初、Jリーグ参加に難色を示していたが、地域性から全国リーグの格好が付かないと、トヨタカップで付き合いのあった[[豊田章一郎]]に熱弁を振るい[[トヨタ自動車]]の出馬を懇請、さらに[[名古屋グランパスエイト]]から企業名を外させた事も極めて大きな意味があった<ref name="サッカー批評40"/><ref name="kawabuti">[http://fc40.wablog.com/file/川淵三郎_私の履歴書_2008.pdf 私の履歴書 川淵三郎]</ref>。[[1991年]]、川淵を日本代表強化委員長に抜擢<ref name="kawabuti"/><ref>[http://number.bunshun.jp/articles/-/12103?page=2 川淵三郎、大いに語る] 文藝春秋 Number Web by:武智幸徳</ref>。日本代表のW杯出場への挑戦が、現実的な目標となったのはこの時から<!---
<ref>[[東京スポーツ]]、2009年6月2日、p5</ref>--->。

[[1993年]]、[[日本体育協会]]会長代行<ref name="taikyo"/>。古河での出世のチャンスを拒み長らくサッカー協会会長職も固辞したといわれる。関係者が皆「健さんの頼みは断れない」と口を揃える磊落型の親分肌で知られた長沼は[[1994年]]、64歳で漸く日本サッカー協会会長に就任。日本代表監督経験者としては初の会長就任となった<ref>『サッカー批評』52号、2011年9月10日、p90</ref>。

その後[[ハンス・オフト]]、[[パウロ・ロベルト・ファルカン]]の招聘、そして[[1998 FIFAワールドカップ|1998年フランスW杯]]予選途中での[[加茂周]]監督更迭<ref name="library2056"/><ref>[[#証言者]]58-62頁</ref><ref>[http://www.ninomiyasports.com/sc/modules/bulletin/article.php?storyid=3463 第127回 日本代表監督、こう選んだ＜前編 - Sports Communications＞]、[http://www.ninomiyasports.com/sc/modules/bulletin/article.php?storyid=2013 井原正巳（U-23日本代表コーチ）＜後編＞「今だから話せるお酒の話」]、[http://www.nikkansports.com/news2/wcup/games/kz-jp.html 日刊スポーツ・W杯]</ref>、岡田コーチの昇格を英断し<ref>Jリーグで監督経験がなかった岡田コーチの昇格に不安の声も大きかったが、長沼は最高責任者として、岡田の能力を信じ、監督交代を断行した（[[スポーツ報知]]、2008年6月3日2面）。</ref><ref name="thestadium581"/><ref name="トップリーグ">[http://www.japantopleague.jp/column/sportstory/sportstory_0059.html 日本トップリーグ連携機構「次世代に伝えるスポーツ物語」]</ref><ref>[http://footballweekly.jp/archives/1244564.html 【セルジオ越後コラム】犬飼会長にクビをかける覚悟はあるか ]、[[スポーツニッポン]]、2008年6月3日7面</ref>、[[ジョホールバルの歓喜]]・'''日本サッカー悲願の[[FIFAワールドカップ|W杯]]初出場'''をもたらした<ref name="讀賣新聞200864"/><ref name="日経2008627"/>。

また'''[[2002 FIFAワールドカップ|2002年日韓W杯]]招致'''では、世界30ヶ国、延べ75万キロ、地球19周を飛び回り開催を実現させた<ref name="library.naganumaue"/><ref name="library2056"/><ref name="讀賣新聞200864"/><ref>[[#証言者]]3-8頁</ref><ref>『2002年のフェアプレー {{small|W杯日韓共催とFIFAの政治力学}}』竹内浩、[[共同通信社]]、1996年</ref><ref name="ninomiyasports">[http://www.ninomiyasports.com/sc/modules/bulletin/article.php?storyid=2003 SPORTS COMMUNICATIONS - 第68回 生粋の“FW”気質の持ち主 長沼健・日本サッカー協会最高顧問]</ref><ref>[http://www.seishiro.jp/profile/30years/06.html 自民党 衆議院議員 衛藤征士郎｜政治三十年のあゆみ]、[http://www.japan-sports.or.jp/news/newsDetail.asp?newsNo=420 「長沼 健 お別れの会」を挙行 - ニュース - 日体協]、[http://thestadium.jp/?p=535 長沼 健・JFA最高顧問（元会長）死去 | スポーツニュース速報とコラム ]、[http://www.americandream.co.jp/advices/52-2002-.html 14．2002年日韓共催ワールドカップ 長沼健 日本サッカー協会会長]、[http://thestadium.jp/?p=585 「長沼健・最高顧問を偲んで」 | スポーツニュース速報とコラム ]、[http://www.yurindo.co.jp/static/yurin/back/412_3.html 情報紙『有鄰』No.412 P3 - 有隣堂]、[http://www.mindan.org/front/newsDetail.php?category=5&newsid=10101 韓国スポーツの礎を築く 国の枠を超えた在日(08.08.15) - mindan]</ref>。

[[1996年]][[5月31日]]、[[2002 FIFAワールドカップ]]の日韓共催が決定し、直後に試算した結果、2か国開催によって「収入は半減・支出は不変」となることから[[2002 FIFAワールドカップ|2002年日韓W杯]]は赤字になると見込まれた。その赤字の補てんの為に、日韓W杯の収支試算が出た直後からJFA内で資金(ストック)を貯めていった<ref name="JFA特集">{{Cite book|和書|year=2003|title=[[サッカー批評]]issue20 - 改革を進める日本サッカー協会|volume=|publisher=[[双葉社]]}}P36～P37[http://sportsnavi.yahoo.co.jp/soccer/other/column/200309/0912hihy_00.html Web版サッカー批評(Vol.11)-スポーツナビ2003年9月12日]</ref>。[[1997年]]､JFAは協会設立75周年を機に「JFAアクションプラン」を策定した。その中に、当時JFA会長だった長沼は「自前のJFAハウスを持つ」と明記した(それまでJFAの事務所は常に賃借だった)。もちろん、長沼もすぐに実現するとは思っておらず、遠大な目標のつもりだった<ref name="JFA特集" />。ところが、実際に日韓W杯が終了すると、日本W杯組織委員会(JAWOC)は約130億円の黒字を計上した。その黒字の一部とJFAが日韓W杯の赤字補てんに備えて貯めていた資金(ストック)を合わせて、JFAは[[三洋電機|三洋電機株式会社]]が所有していたビルを[[2003年]]に購入した<ref name="JFA特集" />。この時、長沼は既にJFA会長ではなかったが、長沼が遠大な目標としてJFAアクションプランに「JFAハウスを持つ」と記してからわずか6年後に目標が実現したのだった。同年9月、この[[日本サッカー協会ビル|日本サッカー協会ビル(JFAハウス)]]にJFA事務局が移転し、同時に[[日本プロサッカーリーグ]]（Jリーグ）、[[日本フットボールリーグ]](JFL)、[[日本女子サッカーリーグ]]など国内のサッカー事務局や関連企業も都内各地などから移転し、同年12月22日に2002年W杯を記念した[[日本サッカーミュージアム]]を開設した<ref>[http://www.jfa.or.jp/jfa/history/index.html JFA沿革・歴史-JFA公式HP]</ref><ref>[http://www.11plus.jp/inquiry/ 日本サッカーミュージアムよくあるご質問：全般について-日本サッカーミュージアム公式HP]</ref>。

戦後日本サッカー史の歴史を変える局面全てに立ち会い、しかも重要な役割を果たしてきた人物<ref name="soccertalk700"/><ref name="評伝・長沼健さん "/><ref name="toyotacup"/><ref name="日韓サッカー反目から共生へ"/><ref name="thestadium581"/><ref name="本当に184"/><ref name="トップリーグ"/><ref>[http://www.s-c-s.jp/kinomoto/200906.html 木之本興三の部屋｜株式会社エス・シー・エス]、[http://www.sportsnetwork.co.jp/adv/bn_writer_2008/takiguchi/vol404-3_col_takiguchi.html 長沼健さんとサッカー記者たち 滝口隆司/毎日新聞大阪本社運動部記者]</ref>。長沼の人生は日本サッカーの苦悩と葛藤のクロニクルそのものであった<ref name="library838"/><ref name="library.naganumaue"/><ref name="nikkansports.p-sc-tp2"/><ref name="讀賣新聞200864"/><ref name="toyotacup"/><ref name="thestadium581"/><ref name="sportsnavi200807180007"/><ref name="スポーツ報知"/><ref name="ninomiyasports"/><ref>[[スポーツニッポン]]、2008年6月3日6面、[[日本経済新聞]]、2008年6月3日37面、[http://kokorozashi11.net/activity/event_2010_01.html 『長沼 健さん回顧展～ニッポン．サッカーの軌跡』広島で開催 - 志の会]、[http://www.sportsonline.jp/hfa.home/files/%E9%95%B7%E6%B2%BC%E5%81%A5%E3%81%95%E3%82%93%E3%83%81%E3%83%A9%E3%82%B7ol.pdf 長沼健さん回顧展]</ref>。

[[デットマール・クラマー]]は 「私は日本サッカー界に偉大な貢献をしたと言われますが、それはとんでもない話。ナガヌマのほうがはるかに素晴らしい人でした」<ref name="トップリーグ"/><ref>[http://www.jfa.or.jp/archive/fanzone/d_report/080724/index.html 国内サッカーレポート | ファンゾーン | JFA]</ref>「私はあくまで招待されたアドバイザー。銅メダル獲得には、長沼の貢献のほうが大きかった」<ref>『週刊サッカーマガジン』2008年8月5日号、p33</ref>と話している。[[スポーツ報知]]は「今でこそ、サッカーは野球と並ぶ人気スポーツの地位を確立したが、長沼は、その礎を築き上げた最大の功労者」と評している<ref name="スポーツ報知"/>。

=== 長沼路線の功罪 ===
フランスW杯予選前に、川淵に任命された[[加藤久]]強化委員長が加茂監督では、アジア予選を勝ち抜けないとして同監督を更迭し、後任監督を[[ネルソン・バプティスタ・ジュニオール|ネルシーニョ]]に決定した。当時のJFA規定では強化委員会が[[サッカー日本代表|日本代表]]監督の評価を行うと明記されていた。契約交渉は最終段階に入り、残りは条件面を詰めるだけになっていたのにも関わらず、W杯誘致運動から帰国した長沼は"鶴の一声"で加茂続投を決めてしまった<ref name="日本サッカー史"/>。さらに、その決定過程を記者会見で上手く説明出来なかったばかりか「加茂でフランスに行けなかったら辞任する」と発言したものの、加茂更迭時に自らは会長職にとどまった<ref>[http://www.ninomiyasports.com/sc/modules/bulletin/article.php?storyid=1976 第333回 「FWはロマンチスト…」思い出深い長沼語録]</ref>。更に契約交渉の最終段階で、日本代表監督契約を突然白紙撤回されたネルシーニョが"日本サッカー協会には腐ったミカンがいる"と長沼を非難したことも物議を醸し、[[マスメディア]]を大いに賑わせた<ref>ネルシーニョ見送りの理由を「予算的の無理だった」以外に語らず、依然真相の細部は藪の中である（『[[週刊サッカーダイジェスト]]』「3人の先駆者が築いたもの」2008年7月22日号、p19）。</ref>。また日本単独開催を目指していたW杯が、政治的妥協の結果、韓国との共催となり韓国に譲歩しすぎた事も当時極めて強い批判を受けた<ref name="サッカー批評40"/><ref>[http://www.americandream.co.jp/advices/52-2002-.html 14．2002年日韓共催ワールドカップ 長沼健 日本サッカー協会会長]<br />[http://webcache.googleusercontent.com/search?q=cache:6IsoIDyCnasJ:www.mindan.org/shinbun/news_bk_view.php%3Fcorner%3D1%26page%3D12%26subpage%3D457+%E9%95%B7%E6%B2%BC%E5%81%A5&cd=118&hl=ja&ct=clnk&gl=jp 次へ - mindan]</ref><ref>[[東京スポーツ]]、2008年6月5日5面</ref>(だが、実際は、2002年ワールドカップの日韓共催はFIFA内の会長選挙を巡る権力闘争によって決まったのであって、共催は避けられないことであった。もし、長沼が最終的に共催の決断を下さねば、韓国の単独開催になるのは必至の情勢であった<ref>『中田英寿・洪明甫 TOGETHER 2002ワールドカップBook』, 講談社, (2001年), ISBN 4-06-179351-9</ref>)。

これら一連の出来事により、[[1997年]]から1998年にかけ、長沼はとくに若年の[[ジャーナリスト]]と彼らを支持するファンからの厳しい批判にさらされ、競技場で大きなブーイングを浴びる事もあった<ref>[http://ameblo.jp/football-crazy-daisuke/entry-10102590041.html サッカーライター秋元大輔のブログ 長沼健さんを悼む]</ref>。

=== 晩年 ===
{{Wikinews|訃報 長沼健氏}}
[[1998年]]にサッカー協会会長職を岡野に譲って同協会名誉会長となり<ref>長沼が最初に後継に要請したのは川淵だったという。（川淵三郎「[[私の履歴書]]」2008年2月、[[日本経済新聞社]]）<br />『雲を抜けて、太陽へ!』p186-188</ref>、日韓W杯終了後に最高顧問となった。晩年はスポーツ界全体の振興にも力を注ぎ、[[日本体育協会]]副会長として地方の大会にもこまめに足を運んだ<ref>[[読売新聞]]、2008年6月25日13面</ref>。また、日本スポーツ少年団本部長、日本[[フットサル]]連盟会長、[[埼玉スタジアム2002]]の場長などを務め、知的障害者サッカーの普及などにも奔走した<ref name="sportsnavi200807180007"/>
<ref>[http://nhfs.jp/index.php/Cup_Komon 名誉顧問挨拶｜NPO法人 日本知的障害者サッカー支援機構 NHFS]、[http://www.chugoku-np.co.jp/sports/Sp200806030076.html 「広島が生んだ巨星」 長沼健さん死去、惜しむ声相次ぐ]</ref>。
[[1997年]]、[[南米サッカー連盟]]大勲位特別頚章。

[[2004年]]、[[勲等|勲三等]][[旭日章|旭日中綬章]]。

[[2005年]]、[[日本サッカー殿堂]]委員会委員長<ref name="kansai02"/>、及び、第1回[[日本サッカー殿堂]]。

[[2008年]][[6月2日]]、前年から患っていた[[肺炎]]のため逝去。{{没年齢|1930|9|5|2008|6|1}}。

この日、[[日産スタジアム]]で行われた[[2010 FIFAワールドカップ|FIFAワールドカップ・南アフリカ大会]]アジア3次予選の日本対[[サッカーオマーン代表|オマーン]]戦において、長沼の死を悼み、試合開始前に黙祷が捧げられ、日本代表の選手達は腕に喪章を付けてプレーをした。試合は3-0で日本が勝利を収めて長沼への手向けとした<ref name="jfa2008080606"/>。尚、長沼はこの日指揮を執った「監督・岡田武史」生みの親でもあった<ref name="sponichi20080604"/><ref name="スポーツ報知"/><ref>[http://web.gekisaka.jp/81487_18854_fl W杯予選 | 岡田監督が長沼氏に勝利の報告 | ゲキサカ | 講談社]</ref>。

日本政府は、多年に亙る長沼の日本スポーツ界並びにサッカー界への功労を評価し、2008年[[7月1日]]の[[閣議]]で長沼に死後[[叙位]]（[[正五位]]／叙位日付は死去日の6月2日付）を親授することを決めた。また同年11月には[[アジアサッカー連盟]](AFC)から生前の功績を称えて「アジアのダイヤモンド賞」が贈られている。

== 所属クラブ ==
=== 選手歴 ===
* 1946年-1949年 - 広島高等師範学校附属中学校・高校
* 1949年-1953年 - 関西学院大学
* 1953年-1955年 - 中央大学工学部（理工学部）
* 1955年-1966年 - 古河電工

=== 指導者歴 ===
* 1962年-1976年 - 日本代表監督（一部現役時代と重複）
* 1972年-1974年 - 日本サッカー協会技術委員長
* 1974年-1976年 - 日本サッカー協会理事
* 1976年-1987年 - 日本サッカー協会専務理事
* 1987年-1994年 - 同 副会長
* 1994年-1998年 - 同 会長
* 1998年-2002年 - 同 名誉会長
* 2002年- 同 最高顧問

== 個人成績 ==
日本サッカーリーグ
{{サッカー選手国内成績表 top|yy}}
!colspan="4"|日本!!colspan="2"|リーグ戦!!colspan="2"|-!!colspan="2"|[[天皇杯全日本サッカー選手権大会|天皇杯]]!!colspan="2"|期間通算
|-
|[[1965年のJSL|1965]]||rowspan=3|[[古河電気工業サッカー部|古河]]||||rowspan=3|[[日本サッカーリーグ|JSL]]||||6||colspan="2"|-||||||||
|-
|[[1966年のJSL|1966]]||||||2||colspan="2"|-||||||||
|-
|[[1967年のJSL|1967]]||||0||0||colspan="2"|-||||||||
{{サッカー選手国内成績表 通算始|1|日本|JSL}}19||8||colspan="2"|-||||||||
{{サッカー選手国内成績表 通算終}}19||8||colspan="2"|-||||||||
|}

== 出場大会 ==
{{MedalTop}}
{{MedalSport|男子 [[サッカー]]}}
{{MedalBronze|[[メキシコシティオリンピック|1968]]|サッカー}}
{{MedalBottom}}

=== アマチュア時代 ===
* [[1947年]] 全国中等学校選手権（優勝）
* [[1948年]] 国民体育大会（優勝）
* [[1950年]] 全日本選手権大会（優勝）
* [[1953年]] ユニバーシアード
* [[1954年]] ワールドカップ予選

=== 実業団時代 ===
* [[1956年]] メルボルンオリンピック
* [[1960年]] 天皇杯（優勝）

=== 代表監督時代 ===
* [[1964年]] 東京オリンピック
* [[1968年]] メキシコオリンピック（銅メダル獲得）

== 賞詞 ==
* [[1961年]] 日本年間最優秀選手
* [[1997年]] 南米サッカー連盟大勲位特別頚章
* [[2004年]] [[旭日中綬章]]
* [[2005年]] 第1回[[日本サッカー殿堂]]入り
* [[2008年]] [[叙位]]（[[正五位]]）

== 代表歴 ==
=== 試合数 ===
* 国際Aマッチ 4試合 1得点(1954-1961)
{{サッカー代表個人成績|日本|2}}
|-
|1954||2||1||0||0||2||1
|-
|1955||0||0||0||0||0||0
|-
|1956||0||0||1||1||1||1
|-
|1957||0||0||0||0||0||0
|-
|1958||1||0||0||0||1||0
|-
|1959||0||0||0||0||0||0
|-
|1960||0||0||0||0||0||0
|-
|1961||1||0||0||0||1||0
|-
!通算
|4||1||1||1||5||2
|}

=== 得点数 ===
{| class="wikitable" style="font-size:smaller;"
! # !! 年月日 !! 開催地 !! 対戦国 !! スコア !! 結果 !! 試合概要
|-
| 1 || 1954年3月7日 || [[日本]]、[[東京]] || {{KORf}} || 1-5 || 敗戦|| [[1954 FIFAワールドカップ]]予選
|-
|}

== 脚注・出典 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist|3}}

== 著書 ==
* 『チームプレー』長沼健 光文社（1969年）
* 『サッカーに賭けた青春』長沼健 [[講談社]]（1969年）
* 『11人の中の1人』長沼健 生産性出版（1975年、2008年増補）
* {{Cite book|和書|author=|year=2006|month=|title=時代の証言者13「サッカー」長沼健|publisher=[[読売新聞社]]|isbn=|ref=証言者}}

== 参考文献・ウェブサイト ==
* 『古河電工サッカー部史』古河電工サッカー部史刊行委員会（2004年）
* 『Jリーグ風―超・消費社会の経済学』栗田房穂 ウェッジ（2004年）
* 『Jリーグ群像 夢の礎』大住良之 アストロ教育システム （1995年）
* 『高校サッカー60年史』全国高等学校体育連盟サッカー部 講談社（1983年）
* 『財団法人 日本サッカー協会75年史』同編集委員会 [[ベースボール・マガジン社]]（1996年）
* 『サッカーに魅せられた男・宮本征勝』加藤栄二 [[三一書房]]（1997年）
* {{Cite book|和書|author=[[大住良之]]、[[後藤健生]]|year=2000|month=|title=日本サッカーは本当に強くなったのか|publisher=[[中央公論新社]]|isbn=|ref=本当に}}
* 『日本サッカー史』後藤健生 [[双葉社]]（2002年）
* 『空っぽのスタジアムからの挑戦』平塚晶人 [[小学館]]（2002年）
* 『「Jリーグ」のマネジメント』広瀬一郎 [[東洋経済新報社]]（2004年）
* 『虹を掴む』[[川淵三郎]] 講談社（2006年）
* 『[[サッカー批評]]』[[双葉社]]、10号（2001年3月）、20号（2003年9月）、37号、38号（2008年1月、3月）、40号（2008年9月）双葉社
* 「長沼健回顧録」他『サッカー批評』（25号、32号、33号、34号）、双葉社（2006年～2007年）
* 『新時代へのキックオフ』仮野忠男 [[角川書店]]（2001年）
* 『サッカーの国際政治学』小倉純二 講談社（2004年）
* 『日韓ワールドカップの覚書』[[川端康生]] 講談社（2004年）
* 『Mr.フットボール堀田哲爾回想録』堀田哲爾を囲む会 アイオーエム（2005年）
* 『[[月刊グラン]]』[[中日新聞社]]（2003年9月-11月号）
* 『広島スポーツ史』河野徳男 財団法人広島県体育協会（1984年）
* 『進化する日本サッカー』忠鉢信一 [[集英社]]（2001年）
* 『W杯（ワールドカップ）ビジネス30年戦争』田崎健太 [[新潮社]]（2006年）
* 『サッカーの物語』田中孝一 [[ベストセラーズ|kkベストセラーズ]]（2001年）
* 『[[週刊サッカーマガジン]]』2008年5月20日号、ベースボール・マガジン社
* 『日本は、サッカーの国になれたか。電通の格闘。』濱口博行 [[朝日新聞出版]]（2010年）
* 『2002年のフェアプレー {{small|W杯日韓共催とFIFAの政治力学}}』竹内浩 [[共同通信社]]（1996年）
* {{Cite book|和書|author=加部究|year=2008|month=|title=大和魂のモダンサッカー|publisher=[[双葉社]]|isbn=4575300420|ref=大和魂}}
* {{Cite book|和書|author=[[木之本興三]]|year=2013|month=|title=日本サッカーに捧げた両足 真実のJリーグ創世記|publisher=[[ワニブックス]]|isbn=4847091655|ref=両足}}
* {{Cite journal|和書 |author = [[木村元彦]] |date = 2013-5 |title = [21年目の真実] Jリーグ創造記 森健兒、木之本興三の回想|journal = [[サッカー批評]] |issue = 62 |issn = |ref = 回想}}
*{{Cite book|和書|author=唐澤富太郎|year=1959|title=新日本人物大観  広島県版|publisher=人事通信社広島支局|isbn=|ref=大観}}
* {{Cite book|和書|author=今子正義|year=2014|month=|title=W杯サッカー日本の礎 原爆少年サッカー魂|publisher=南々社|isbn=978-4-86489-019-9|ref=原爆少年}}
* [http://library.footballjapan.jp/user/scripts/user/story.php?story_id=774 賀川サッカーライブラリー オリンピック代表監督からワールドカップ招致まで 40年間を日本協会とともに 長沼健（上）][http://library.footballjapan.jp/user/scripts/user/story.php?story_id=775 長沼健（中）][http://library.footballjapan.jp/user/scripts/user/story.php?story_id=788 長沼健（下）][http://library.footballjapan.jp/user/scripts/user/story.php?story_id=789 長沼健（続）][http://library.footballjapan.jp/user/scripts/user/story.php?story_id=838 長沼健さんの叙勲を祝う会で――。第1回W杯の年に生まれ、サッカーー筋74年][http://library.footballjapan.jp/user/scripts/user/story.php?story_id=2056 日本サッカーの大功労者、長沼健さんを偲んで]
* [http://webcache.googleusercontent.com/search?q=cache:PMQdLn0wUGoJ:blog.goo.ne.jp/s-ushiki/m/200807+%E5%9D%82%E7%94%B0%E4%BF%A1%E4%B9%85+%E9%87%8E%E6%B4%A5&cd=11&hl=ja&ct=clnk&gl=jpexample.com 牛木素吉郎&ビバ!サッカー研究会 公式サイト]
* [http://sportsnavi.yahoo.co.jp/soccer/other/column/200309/0912hihy_01.html 季刊 サッカー批評 半田雄一編集長インタビュー]
* [http://sportsnavi.yahoo.co.jp/soccer/toyotacup/2004/column/index.html トヨタカップを呼んだ男たち]
* [http://www.ninomiyasports.com/sc/modules/bulletin/article.php?storyid=2003 SPORTS COMMUNICATIONS - 第68回 生粋の“FW”気質の持ち主 長沼健・日本サッカー協会最高顧問]
* [http://blog.nikkansports.com/sports/legend/cat1272/ 伝説－スポーツ王国日本 歴史を作った者たち－ - nikkansports.com ]
* [http://www.japantopleague.jp/column/sportstory/sportstory_0059.html 日本トップリーグ連携機構「次世代に伝えるスポーツ物語」]
* [http://www.jfa.or.jp/archive/jfa/communication/2008/080606/index.html キャプテン川淵のウィークリーコラム | JFA | JFA]
* [http://www.youtube.com/watch?v=OJeolKv9lpQexample.com NHKアーカイブス NHK映像ファイル あの人に会いたい（NHK、2008年10月18日）]
* [http://www.acacia100.net/wp/wp-content/uploads/2011/05/acacian_night419-02.pdf アカシア会 公式サイト 長沼健さん（39回）を追悼して]

== 関連項目 ==
* [[小沢通宏]]

== 外部リンク ==
* [http://www.jfa.or.jp/ 公益財団法人日本サッカー協会]
* [http://www.j-league.or.jp/ Jリーグ]
* [http://www.2002world.com/history/history_index.html 日本サッカーの歴史]
* [http://www005.upp.so-net.ne.jp/I_love_Marinos/bleu/japan_player/naganuma.html 日本代表選手出場試合記録]
* [http://archive.footballjapan.jp/user/scripts/user/person.php?person_id=20 日本サッカーアーカイブ 長沼健]
* [http://www.yomiuri.co.jp/sports/feature/japan/ja20080603_04.htm 日本サッカー支え半世紀 長沼元会長死去]
* [http://www.the-afc.com/jp/afc-annual-awards/21338 AFC年間アワード AFC、長沼氏の功績を称える]
* [http://www.jfa.or.jp/jfa/topics/2008/a20080718_1.html 「長沼健 お別れの会」を挙行｜トピックス｜JFA｜日本サッカー協会]
* [http://www.kokorozashi11.net/pdf/info_100425.pdf 志の会]

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