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'''重根'''(じゅうこん、[[英語|英称]]:''multiple root'')とは、1 変数[[多項式]] ''f''(''x'') の[[零点|根]]のうち重複度が2以上のもののことをいう。 == 概要 == 1 変数[[多項式]] ''f''(''x'') が、定数 ''a''≠0 ,α<sub>1</sub>,α<sub>2</sub>, … α<sub>''n''</sub> を用いて :<math>f(x) = a(x-\alpha_1)(x-\alpha_2)\cdots(x-\alpha_n)</math> の形に因数分解され、α<sub>1</sub>, α<sub>2</sub>, ..., α<sub>''n''</sub> の中に 2 つ以上同じ値がある場合、その値を ''f''(''x'') の重根という。 方程式 ''f''(''x'') = 0 の解は一般に :<math> \left\{\begin{matrix} y&=&f(x) \\ y&=&0 \end{matrix}\right. </math> つまり ''xy''-[[座標系]]において ''y'' = ''f''(''x'') と ''x'' 軸との交点の ''x'' 座標である。 ''f''(''x'')が1変数多項式のとき、 ''y'' = ''f''(''x'') が''x''=αで ''x'' 軸に接するなら、αは ''f''(''x'') の重根となる。したがって''f''(''x'')は''x''=αでの微分も0となり、''x''=αが''f''(''x'') の重根であることと :<math> \left\{\begin{matrix} f(\alpha)&=&0 \\ f'(\alpha)&=&0 \end{matrix}\right. </math> であることは[[同値]]である。 == 定義 == [[体 (数学)|体]] ''K'' 上の多項式 ''f''(''x'') と ''K'' の元 α に対し、(''x'' - α)<sup>2</sup> | ''f''(''x'') が成立するとき、すなわち 2 以上の[[自然数]] ''k'' と多項式 ''g''(''x'') で :<math>f(x)=(x-\alpha)^k g(x)</math> を満たすものが存在するとき、α を ''f''(''x'') の'''重根'''という。特に ''g''(''x'') が α を根に持たないならば、''k'' を根 α の'''重複度'''(ちょうふくど、''multiplicity'')という。 == 判別式 == 多項式 ''f''(''x'') の根を α<sub>1</sub>, α<sub>2</sub>, ..., α<sub>''n''</sub> とし、その全体から作られる最簡交代式(差積)の平方 :<math>D_f := \prod_{1\leq i < j\leq n}(\alpha_i -\alpha_j)^2</math> を多項式 ''f''(''x'') あるいは方程式 ''f''(''x'') = 0 の'''判別式'''(はんべつしき、''discriminant'')という。 これは「代数方程式が重根を持つかどうか」 を判別するための式である。すなわち、判別式が 0 であることとその代数方程式が重根を持つこととが同値となる。このことは判別式を差積に取り替えても変わらない。にもかかわらず差積の平方を判別式とするのは、それが方程式の[[係数]]によって必ず記述できるからである。これは、 # 差積の平方が根に関する[[対称式]]となること、 # [[対称式]]が基本対称式で表すことができること、 # 根の基本対称式が方程式の[[係数]]によって記述されること([[根と係数の関係]]) によって保証される。 たとえば、二次方程式 ''ax''<sup>2</sup> + ''bx'' + ''c'' = 0 の根を α, β とすると根と係数の関係により :<math>\alpha + \beta = -\frac{b}{a},</math> :<math>\alpha\beta = \frac{c}{a}</math> が成り立ち、判別式すなわち差積の二乗は :<math>(\alpha - \beta)^2 = (\alpha + \beta)^2 - 4\alpha\beta = \left(-\frac{b}{a}\right)^2 - 4\times\frac{c}{a} = \frac{b^2 - 4ac}{a^2} </math> となる。''a''<sup>2</sup> > 0 であるので、実用上は分母を掃った ''b''<sup>2</sup> - 4''ac'' を判別式として用いることが多い。 == 関連項目 == * [[零点]] {{DEFAULTSORT:しゆうこん}} [[Category:多項式]] [[Category:初等数学]] [[Category:数学に関する記事]]
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