配位子のソースを表示

[[Image:Metal-EDTA.png|right|250px|thumb|[[エチレンジアミン四酢酸]] (EDTA) が中心金属原子 (M) の配位子となっているところ<br />
1分子のEDTAだけで6本の配位結合を形成している]]
'''配位子'''（はいいし、'''リガンド'''、ligand）とは、金属に[[配位]]する化合物をいう。

== 性質 ==
配位子は[[孤立電子対]]を持つ[[基]]を有しており、この基が[[金属]]と[[配位結合]]し、[[錯体]]を形成する。配位する基としては[[アミノ基]]、[[フォスフィノ基]]、[[カルボキシル基]]、[[チオール|チオール基]]などがあり、その配位原子は主に[[窒素]]、[[リン]]、[[酸素]]および[[硫黄]]である。また、[[一酸化炭素]]や[[カルベン]]のような炭素原子を配位元素とする配位子も存在する。金属のd電子は一酸化炭素やエチレンのような [[π軌道|''π'' 軌道]]の反結合性軌道を持つ配位子に対する[[逆供与]]が起きる。

また、配位子には配位部位を1か所にのみ持つ単座配位子の他に2か所以上で配位する多座配位子がある。多座配位子によって生成する錯体は[[キレート|キレーション]]による[[エントロピー]]効果により、単座の錯体よりも安定である。現在の均一系[[触媒]]反応では[[キラリティー|キラル]]な配位子を用いた[[不斉合成]]が盛んで、様々な不斉多座配位子が合成されている

== 配位子の種類 ==
*単座配位子 &mdash; [[ピリジン]]、[[トリフェニルホスフィン]]、[[硝酸イオン]]、[[ハロゲン]]化物イオン、[[アンモニア]]、[[一酸化炭素]]、など
*二座配位子 &mdash; [[エチレンジアミン]] (en)、[[ビピリジン]] (bpy)、[[フェナントロリン]] (phen)、BINAP、[[カテコール|カテコラート]]など
*三座以上の多座配位子 &mdash; ターピリジン (tpy)、[[エチレンジアミン四酢酸]] (edta)、[[ポルフィリン]]、サイクラム、[[クラウンエーテル]]類、など

== 主な配位子 ==
{| class="wikitable" style="margin: 1em auto 1em auto 1em auto 1em auto"
! 名称 || 化学式 || 略称 || 座
|-
| [[水|アクア、アコ]]<!--曖昧回避にLinkしない--> || H<sub>2</sub>O || - || 単座 
|-
| [[アンモニア|アンミン]] || NH<sub>3</sub> || - || 単座 
|-
| [[酸化物|オキソ]] || O<sup>2−</sup> || - || 単座 
|-
| [[塩化物|クロロ]] || Cl<sup>−</sup> || - || 単座 
|-
| [[シアン化物|シアノ]] || CN<sup>−</sup> || - || 単座 
|-
| [[チオシアン酸|チオシアナト-S]] || NCS<sup>−</sup> || - || 単座 
|-
| [[チオシアン酸|チオシアナト-N]] || NCS<sup>−</sup> || - || 単座 
|-
| [[アセチルアセトン|アセチルアセトナト]] || (CH<sub>3</sub>COCHCOCH<sub>3</sub>)<sup>−</sup>|| acac || 二座 
|-
| [[エチレンジアミン]] || H<sub>2</sub>NCH<sub>2</sub>CH<sub>2</sub>NH<sub>2</sub> || en || 二座 
|-
| [[グリシン|グリシナト]] || NH<sub>2</sub>CH<sub>2</sub>COO<sup>−</sup> || gly || 二座 
|-
| [[ジエチレントリアミン]] || NH(C<sub>2</sub>H<sub>4</sub>NH<sub>2</sub>)<sub>2</sub> || dien || 三座 
|-
| [[エチレンジアミン四酢酸|エチレンジアミンテトラアセタト]] || [[画像:Metal-EDTA.png|100px]] || edta || 六座 
|-
|}

== 関連項目 ==
* [[官能基略語一覧]]
* [[錯体]]
* [[配位子場理論]]
* [[配位高分子]]
* [[キレート]]

{{DEFAULTSORT:はいいし}}
[[Category:錯体化学]]