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遺伝子
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{| style="float:right; background:none;" |- |[[Image:Gene.png|right|thumbnail|270px|遺伝子 (gene) は[[デオキシリボ核酸|DNA]]二重らせん構造からなり、それがさらに巻いた構造をとり[[染色体]]を成す。[[真核生物]]の染色体はXのような形をとる。 [[イントロン]] (intron) は真核生物の遺伝子内でしばしば見られる構造で、 [[メッセンジャーRNA]]に転写された後[[スプライシング]]により除去される。[[エクソン]] (exon) だけが蛋白に[[翻訳 (生物学)|翻訳]]される。]] |} '''遺伝子'''(いでんし)は[[生物]]の[[遺伝情報]]を担う主要因子であると考えられている。全ての生物で'''[[デオキシリボ核酸|DNA]]'''を媒体として、その[[塩基配列]]にコードされている。ただし、[[RNAウイルス]]では[[リボ核酸|RNA]]配列にコードされている。 == 概念 == もっとも狭義の遺伝子は[[タンパク質]]の情報に対応する転写産物 (mRNA) の情報が書き込まれている核酸分子上のある長さをもった特定の領域='''[[構造遺伝子]]'''(シストロン)のことをさす。2013年現在での分子生物系分野において遺伝子といった場合は、[[構造遺伝子]]のみを指すことが多い。転移RNA (tRNA) やリボソームRNA (rRNA) などの転写産物そのものが機能を持つ[[ノンコーディングRNA]]の情報が書き込まれている部分や、それ自体は転写はされないが[[転写因子]]の認識部位となり、転写産物の転写時期と生産量を制御する[[プロモーター]]や[[エンハンサー]]などの'''調節領域'''を含める場合もある(→[[オペロン]])。ちなみに、語感が似る調節遺伝子とは上記の[[転写因子]]のタンパク質をコードしたれっきとした構造遺伝子である。 ある[[種 (分類学)|生物種]]・[[病原]]・[[細胞小器官]]などにおける[[ジャンクDNA]]等も含む広義の遺伝子の総和は[[ゲノム]]と呼ばれる。ゲノム上の遺伝子の位置を示したものを'''遺伝子地図'''や'''染色体地図'''と呼ぶ。ただし、ゲノムは[[真核生物]]においては=一組の[[染色体]]の塩基配列の全てであり、通常、[[葉緑体]]や[[ミトコンドリア]]などの細胞小器官は別ゲノムとしてあつかう(例えば「[[ヒト]]のゲノム」といった場合は、「ヒトミトコンドリアのゲノム」は含まない)。 古典的には[[遺伝子]]は、[[ゲノム]]もしくは[[染色体]]の特定の位置に占める遺伝の単位(→[[遺伝子座]])であり、その位置は変わらず、構造も変化しないと考えられていた。しかし[[トランスポゾン]](可動性遺伝子)が発見され、抗体産生細胞で多種の抗体を作り出すために遺伝子を再編成していることが明らかにされている。他にも[[遺伝子増幅]]、[[染色体削減]]といったダイナミックな変化や、二つの遺伝子の転写産物がつなぎあわされる[[トランススプライシング]]のように遺伝子の概念を広げる現象もある。 [[集団遺伝学]]や[[進化ゲーム理論]]で用いられる遺伝子概念は[[自然選択]]あるいは[[遺伝的浮動]]の対象として集団中で頻度を変化させる理論的な存在である。表現型に算術平均的に影響を与えると仮定されている一種の情報であり、これは古典的な遺伝子の概念に近い。文化進化の文脈で用いられる[[ミーム]]は集団遺伝学における遺伝子のアナロジーである。 遺伝子という言葉は、「遺伝する因子」としての本来の意味を超えて遺伝子産物の機能までを含んで用いられる場合があり、混乱を誘発している。後者の典型例としては、遺伝しない遺伝子を使った[[遺伝子治療]]などがあげられる。さらに遺伝子やDNAという言葉は、科学的・神秘的といったイメージが先行し、一般社会において生物学的定義から離れた用いられ方がされていることが多い。それらの大半は通俗的な遺伝観を言い換えたものに過ぎない。一般雑誌などでは[[疑似科学]]的な用法もしばしば見受けられる。 == 機能 == [[ファイル:Dna-split.png|thumb|DNA複製]] 遺伝子はDNAが[[DNA複製|複製]]されることによって次世代へと受け継がれる。複製はDNAの[[二重らせん]]が解かれて、それぞれの分子鎖に相補的な鎖が新生されることで行われる。 本質的には情報でしかない遺伝子が機能するためには'''[[遺伝子発現|発現]]'''される必要がある。発現は、一般に[[転写 (生物学)|転写]]と[[翻訳 (生物学)|翻訳]]の過程を経て、[[遺伝情報]](= DNAの塩基配列)が[[タンパク質]]などに変換される過程である。こうしてできたタンパク質が、ある場合は直接特定の生体内化学反応に寄与して化学平衡などに変化をもたらすようになり、ある場合は他の遺伝子の発現に影響を与え、その結果[[形質]]が[[表現型]]として現われてくる。'''転写'''はDNAからRNA([[mRNA]]や[[rRNA]]など)に情報が写し取られる現象であり、'''翻訳'''はmRNAの情報を基にタンパク質が合成される過程である。この過程は[[セントラルドグマ]]とも呼ばれる。 == 遺伝子の発現 == [[遺伝子発現]]に関する多くの知見は真核生物ではなく[[真正細菌]]である[[大腸菌]]を[[モデル生物]]とした実験から得られてきた。 == 真核生物の遺伝子の一般的な働き方 == [[細胞核|核]]内では様々なDNA結合特異性を持った[[転写調節因子]]の転写調節領域への結合や、[[DNAメチル化|DNAのメチル化]]状態などで遺伝子の活性が制御されている。[[デオキシリボ核酸|DNA]]から[[RNAポリメラーゼ]]によってRNAへと[[転写 (生物学)|転写]]された転写産物は[[mRNA前駆体]]と呼ばれる。 これが、5'末端へのキャップ構造の付加やスプライシング、3'末端の切断、ポリA鎖の付加といった作用を受けてmRNAとなる。mRNAは転写の場である核から核膜孔を通過し[[細胞質]]へ運ばれる。 細胞質では、キャップ構造を認識する蛋白質や翻訳開始因子との作用により[[リボソーム]]がmRNAに結合する。リボソーム上では、コドンに対応した[[アンチコドン]]を持ったアミノアシル[[tRNA]]がAサイトに結合することで塩基配列からアミノ酸配列への遺伝情報の[[翻訳 (生物学)|翻訳]]が行われる。Pサイトに結合しているペプチジルtRNAから、アミノ酸が連なったポリペプチドがAサイトのtRNAに付加され、これがPサイトに移動することが繰り返される。 翻訳されたアミノ酸配列はその一次構造に依存した立体構造をもつ蛋白質へと折り畳まれる。蛋白質の機能はその立体構造によって規定されており、正常な構造をもつ蛋白質がさらに[[糖鎖]]の付加やリン酸化といった翻訳後の修飾をうけて最終的な遺伝子産物となることもある。 == 遺伝子研究 == 一般に、遺伝子研究とは[[遺伝学]]、[[分子生物学]]、[[ゲノミクス]]などの研究を指す。[[集団遺伝学]]や[[進化遺伝学]]は含めないことが多い。 <!--以降、説明の重複や前後関係の混乱などを整理してみた。誤りがあれば修正いただきたい--> 遺伝子研究はメンデル・モーガンの[[古典遺伝学]]に始まった。古典遺伝学における遺伝子研究は[[メンデルの法則|メンデル]]の行なったような[[交雑実験]]と[[表現型]]の観察を中心とし、遺伝子は遺伝情報を担う粒子の概念として扱われた。 分子生物学黎明期では主に[[大腸菌]]や[[ファージ]]を用いて、DNAを直接扱う形質転換実験や、DNA塩基配列からの遺伝子発現機構の解析などが行われた。現在では様々な[[モデル生物]]に研究対象が拡大している。これは、遺伝子の実体がほとんど全生物において『DNAである』ことによる(DNAを扱えればいかなる生物でも分子生物学的実験は行なえる)。 [[突然変異]]の表現型から遺伝子機能を推定する正の遺伝学はマウスなどでは行いづらく、先に遺伝子を同定してから変異体を作成する[[逆遺伝学]]という手法が生まれた。逆遺伝学の先にゲノムプロジェクトがあり、さまざまな生物種で進行または終了している。ゲノムプロジェクトによって遺伝子の数を有限に規定することができる。<!--この説明はどうか?間違ってはいないが妙に限定的過ぎないだろうか?--> [[デオキシリボ核酸|DNA]]の構造決定と[[ゲノムプロジェクト]]は遺伝子研究に[[パラダイムシフト]]をもたらした。シーケンシング(塩基配列の解析)技術は2009年現在も飛躍的に進歩し続けており、高速かつ低コストにゲノム全体を網羅的に解析できるようになりつつある。単に塩基配列を知るというレベルではなく、個体差を比較したり、遺伝子の発現パターンをプロファイリングしたりといった、従来は困難と認識されてきた研究も現実的に可能となってきた。[[in vivo]]における遺伝子の機能、すなわち『遺伝子はどのように生物体で機能しているのか』という問いへの答えが明らかになりつつある。 === 遺伝子操作の概要 === 遺伝子の機能を調べるにはいくつかのテクニックが必要である。生物体内 (in vivo) における特定の遺伝子はいくつかのコピーが存在するものの、その遺伝子が何を意味しているのか、発現するとどうなるのか、変異が起こればどうなるのかを調べることは困難である。したがって、その遺伝子のみを取り出して、遺伝子の特性を生物体外 ([[in vitro]]) で調べる必要がある。それらの過程には # [[クローニング]]:扱いやすくするために対象遺伝子を担うDNAの数を増やす # [[シークエンシング]]:遺伝子の配列を読む # [[過剰発現系|過剰発現]]:遺伝子をタンパク質に翻訳し、その機能を理解する の三段階を経る。クローニングや発現の前には、サブクローニングや発現ベクターへの遺伝子の導入といったプロセスを経ることもある。 === クローニング === クローニングとは、遺伝子のクローンを作成する実験である。遺伝子のクローンを作成するにはある程度の配列がわかっていることを前提に現在2つの方法が実用化されている。 * ゲノムDNAを[[制限酵素]]で切断し、[[サザンブロッティング]]で目的遺伝子を含む配列を同定する方法 * [[ポリメラーゼ連鎖反応|PCR]]法を用いて目的の遺伝子配列を増幅する方法 遺伝子配列がわからない場合には、目的のタンパク質を対象生物内から精製し、タンパク質[[エドマン分解|N末端配列]]を決定した後、[[ミックスプライマー]](アミノ酸とその遺伝暗号に対応するパターン全てを含む複数種のプライマー、詳しくは当該記事にて)を用いてクローニングを行なうことができる。 上記いずれのケースにおいても、単一のDNA配列のみを増幅した、あるいは精製したのみでは[[ヌクレアーゼ]]によって分解を受けてしまう。したがって、目的DNA配列をクローニングベクターに導入し、大腸菌を用いてベクターを増幅することを含めてクローニングという実験が完結する。 真正細菌は遺伝子に介在配列を持たないためにDNAから遺伝子をクローニングすることが可能だが、真核生物の場合は[[イントロン]]をのぞいた[[エクソン]]部分のみを抽出する必要がある。これは[[スプライシング]]後の[[mRNA]]を精製し、[[逆転写酵素|逆転写]][[ポリメラーゼ連鎖反応|PCR]] (RT-PCR) を行なうことによってクローニングが可能となる。 {{main|クローニング}} === シークエンシング === {{main|DNAシークエンシング}} シークエンシングとはDNAの塩基配列の並びを決定する実験を意味する。シークエンシングを行なうには、やはりある程度の配列が判明している必要があるが、クローニングが可能であれば特に問題はない。シークエンシングにはかつて[[マクサム - ギルバート法]]が用いられていたが、現在はサンガー - クルソン法([[ジデオキシヌクレオチド鎖終結法]])の変法である『ダイターミネーターサイクルシークエンシング法』が一般的である。 2009年現在もっとも一般的に使われているシークエンシング技術では、1つの[[プライマー]]から1,200塩基対の配列が一回の実験で決定可能である。しかし「次世代型シーケンサー」と総称される高速解読装置が複数のメーカーから発表されており、これらを用いれば従来よりはるかに大量の配列情報を短時間に得ることができる。たとえばアプライドバイオシステムズ社のSolidシステムでは一回の解析で30億塩基対の解読が可能という<ref>[http://www.natureasia.com/japan/advertising/advertorial/pdf/2007_NatureJapan_Advertorial.pdf 森下真一、橋本 真一 「日本オリジナルの遺伝子解析法と次世代シーケンサの出会いは新しい知見をもたらす」Nature 日本版 Advertising Supplement 2007]</ref>。 === 過剰発現 === タンパク質を用いた実験を行なうには、 * 生物内からタンパク質を精製する、 * '''[[過剰発現系]]'''(かじょうはつげんけい)を用いて大腸菌等ベクターの宿主に目的タンパク質を大量に発現させる という二通りの方法がある。生物内からタンパク質を精製するには、大量のサンプルが必要であり、[[タンパク質の精製|タンパク質精製]]のテクニックが必要であるために一般的な技術とは言いがたい。一方過剰発現系を用いれば、誰でも簡単に目的のタンパク質を大量に得ることができる。 最も一般的な過剰発現系には、発現ベクター中の大腸菌の[[lacZ|''lac''Z]]プロモーター配列の下流に、クローニングした遺伝子を導入する方法がある。この方法では、[[IPTG]]という物質を用いて''lacZ''プロモーター下流の遺伝子を大腸菌内で発現させることができる。転写されたmRNAはその後、大腸菌の[[リボソーム]]で翻訳され、大量にタンパク質を生産する。 このようにして生産したタンパク質を用いて、[[酵素]]であれば活性を測定したり、DNA結合タンパクであればDNA結合実験を行なったりとタンパク質の実験が可能である。現在、ポストゲノムと言われる分野の主流はこの過剰発現系を用いたものである。しかしながら、大腸菌発現系では多くの問題を抱えており、現在大腸菌以外にも多くの発現宿主が開発されている(真正細菌:細胞外酵素作成型([[Bacillus属|''Bacillus''属]]を用いたもの)真核生物:[[出芽酵母]]、動物細胞、ヒト細胞などなど)。 {{main|過剰発現系}} 以上のような方法と比較して、要するコスト及び時間を低下させることが可能な、コムギ胚芽を利用した[[無細胞タンパク質合成系]]という新たな方法も研究されている。 === 遺伝子研究の応用 === [[遺伝子導入]]とは、上記にあげた遺伝子の実験系を用いて目的遺伝子の宿主でない他生物にクローニングしたベクターを導入し、その遺伝子が有効な形質を発現できるように仕向けることである。例えば、特定の[[除草剤]]に対して耐性を持つような作物や、[[霜害]]を防ぐ糖タンパクを生産できる作物(アイスマイナス)などはその一例である。 しかしながら、導入したベクターが[[花粉]]などを通じて拡散し、除草剤耐性を持っていなかった雑草にまでそうした形質が導入される危険性を指摘され、このような遺伝子組み換え実験は厳しく規制された状況である。遺伝子組み換え実験による物理的規制は * P1:一般的な実験室 * P2:病原性を扱うような実験室 * P3:バイオクリーンルーム(室内に流入する空気は全て[[HEPA|HEPAフィルタ]](0.22μm方形のフィルター)を通している) * P4:遺伝子組み換え対象生物に触れずに実験できる実験室 というランクが付けられており、危険な遺伝子組み換え実験を行なう場合にはそれ相応の規制のランクの敷かれた実験室で行なうように義務付けられている。 == 歴史 == 現在の遺伝子の概念は[[グレゴール・ヨハン・メンデル|メンデル]]によって定義される。彼はエンドウ豆のいくつかの[[表現型]]に注目した交雑実験を行い、表現形質が分離することを発見する(1865年 →[[メンデルの法則]])。これを説明するために形質を伝える因子たる「遺伝粒子」を考え、これが現在の遺伝子の基となっている。それまで形質は液体のように混じりあっていくと考えられていた。しかし、長らくメンデルの法則は不評で、1900年に再発見されるまで理解されなかった。 細胞学者たちは減数分裂の様子を観察し、対になった染色体が一つずつになり、接合後に再び対を作るという染色体の挙動が、遺伝子のそれと同じであることを発見した(→[[染色体説]])。[[ショウジョウバエ]]の[[突然変異]]を用いた遺伝学的実験によりそれが明らかにされた。 染色体はタンパク質と核酸からできていることが明らかにされたが、当時はタンパク質が遺伝子の正体であると考えられていた。多数の種類があるタンパク質に比べ、核酸はあまりにも多様性が低いと考えられていたためである。実際、100bpのDNAの情報量は約10の60乗 (4<sup>100</sup>) であるのに対し、100個のアミノ酸で構成される蛋白質の情報量は10の130乗 (20<sup>100</sup> = 2<sup>100</sup> × 10<sup>100</sup>) と甚だ差が激しい。 しかし、肺炎双球菌やファージを用いた実験で DNA が遺伝子の正体であることが実証され、そのすぐ後に DNA の構造が解明された。DNA の二重らせん構造は遺伝子の性質と非常によく一致していた。 === メンデルの法則発見から二重らせん構造発見までの歴史 === * [[1865年]] [[グレゴール・ヨハン・メンデル]](現在の[[チェコ]])がエンドウ豆の交雑実験の結果を発表。(→[[メンデルの法則]]) * [[1869年]] ミーシャーが膿の細胞抽出液から[[デオキシリボ核酸|DNA]]を発見する。 * [[1900年]] メンデルの投稿した論文が[[ユーゴー・ド・フリース]]([[オランダ]])、[[カール・エリッヒ・コレンス]]([[ドイツ]])、[[エーリッヒ・フォン・チェルマック]]([[オーストリア]])によって再発見される。この再発見者の一人フリースは[[パンゲン説]]を推し、細胞内で形質を伝達する物質をパンゲンと仮定する。 * [[1903年]] [[ウォルター・S・サットン]]が遺伝子が[[染色体]]上にあることを提唱した。(→[[染色体説]]) * [[1909年]] ヨハンセンはメンデルの指摘した因子をフリークの名づけたパンゲン (pangen) から『'''gene(遺伝子)'''』と呼ぶことを提案した。 * [[1910年]] [[トーマス・ハント・モーガン]]が[[ショウジョウバエ]]の交雑実験を始める。 * [[1921年]] DNAの[[テトラヌクレオチドモデル]]を解説した論文が発表される(J. Biol Chem. 48:119〜125)。当時、遺伝物質は多様性に富んだポリペプチド(タンパク質)であり、テトラヌクレオチドはその保護の役割を果たしていると考えられていた。 * [[1922年]] モルガンらのグループによってショウジョウバエの4つの染色体上に座している50個の遺伝子の相対位置が決定され、発表される。 * [[1927年]] ミューラーが[[X線]]は遺伝子に[[突然変異]]を導入することを指摘する。 * [[1934年]] カスパーソンがDNAは[[生体高分子]]であることを示し、テトラヌクレオチドモデルが誤りであることが証明される。 * [[1935年]] [[マックス・デルブリュック]]らは、遺伝子は物質的単位であることを提案した。 * [[1941年]] ビードルとテータムが『[[一遺伝子一酵素説]]』(1つの遺伝子は1つの酵素をコードしている)を発表。 * [[1944年]] [[フレデリック・グリフィス]]の肺炎双球菌の形質転換実験([[グリフィスの実験]])を元にした、[[オズワルド・アベリー]]らの『DNAが遺伝物質であることの実験的証明』を収めた論文が掲載される(J. Exp. Med. 79:137〜158)。この論文はDNA=遺伝物質であることが確実な今、矛盾のないものだが、当時は評価を全く受けなかった(註:この見方は、アヴェリーが属していたロックフェラー研究所およびその周辺での、当初の反響を伝えているに過ぎない。実際には、ジョシュア・レーダーバーグ、ジェームス・ワトソン、マックファーレン・バーネットなど現代遺伝学・分子生物学の元を築いた科学者たちが、「まだ初学者であった頃にアヴェリーらの論文を読んで大きな刺激を受けた」と述べている。ちなみに、ワトソンは彼の著書(ワトソン&ベリー『DNA』)のなかでも、「アヴェリーの実験はハーシーとチェイスの実験が行われる前に既に評価されていた」と重ねて記している。つまり、先を見据えていた科学者の間では正当に評価されていたということである。) * [[1950年]] [[エルヴィン・シャルガフ]]が[[ペーパークロマトグラフィー]]を用いて塩基存在比に数学的関連があることを明らかにした(AとT、GとCはそれぞれ数が等しいことを示した)。 * [[1952年]] [[アルフレッド・ハーシー]]と[[マーサ・チェイス]]による『[[ハーシーとチェイスの実験]]』結果が論文に掲載される(J. Gen. Physiol. 36:39〜56)。本論文によってファージの遺伝物質がDNAであることが確実視されたと言われる。同年、[[ロザリンド・フランクリン]]がDNAが[[二重らせん構造]]であることを証明するX線回折像写真を撮影する。 * [[1953年]] [[ジェームズ・ワトソン]]と[[フランシス・クリック]]によってDNAのB型二重らせん構造のモデルが示され、DNAは生体内で『[[二重らせん構造]]』をとっていることを示す論文が発表される(Nature 171:737,738)。 === 二重らせん構造発見以降の歴史 === * [[1955年]] セベロ・オチョアによってポリヌクレオチドホスホリラーゼが発見された(一見遺伝子とは無関係だが[[遺伝暗号]]の解明に寄与した重要な[[酵素]]である) * [[1956年]] エリオット・ヴォルキンとラザルス・アストラチャンによってDNAから[[タンパク質]]への情報のメッセンジャーがRNAである証拠が提出された(mRNAが存在する可能性を示した、このことが確実になったのは5年後、ソル・シュピーゲルマンとベンジャミン・D・ホールらの実験による) * [[1958年]] クリックによって[[セントラルドグマ]]が提唱された(Symp. Soc. Exp. Biol. 12:138〜163)。 * [[1959年]] ロバート・ホリーによって[[tRNA|tRNA<sup>ala</sup>]]分子が単離された * [[1961年]] マーシャル・ニーレンバーグとハインリッヒ・マテイによって[[大腸菌]][[無細胞発現系]]を用いたポリ[[ウラシル]]からポリ[[フェニルアラニン]]が合成される実験が行なわれた(遺伝暗号解明への初めての実験) * [[1964年]] ニーレンバーグとフィリップ・レーダーによって遺伝暗号解明に大きな寄与をした『[[トリプレット結合能測定法]]』が開発された。ヤノフスキーによって遺伝子がタンパク質をコードしていることが示された(遺伝子タンパク質間の'''共直線性'''が示された) * [[1966年]] 遺伝暗号の解読が完了した * [[1970年]] ハワード・テミンとデビット・バルチモアがそれぞれある種の[[ウイルス]]で[[逆転写酵素|逆転写]]反応を見出した(セントラルドグマ概念の訂正) * [[1977年]] 遺伝子が介在配列によっていくつかの単位に分断されていることが発見された(不連続遺伝子、[[イントロン]]の発見) * [[1979年]] [[フレデリック・サンガー]]によって[[ミトコンドリア]]ではことなる遺伝暗号が使用されていることが発見された([[非標準コドン]]の発見) * [[1981年]] [[トーマス・チェック]]によって自己[[スプライシング]]イントロンが発見された([[リボザイム]]の発見) == 脚注 == {{脚注ヘルプ}} {{Reflist}} == 参考文献 == * 『細胞の分子生物学』ニュートンプレス - 詳しく知りたい人向け。 * 『Lewin 遺伝子』東京化学同人 - 詳しく知りたい人向け。 == 関連項目 == {{Wiktionary|遺伝子}} * [[致死遺伝子]] * [[複対立遺伝子]] * [[補足遺伝子]] * [[抑制遺伝子]] * [[遺伝子組み換え作物]] * [[遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律]](カルタヘナ法) * [[遺伝子治療]] * [[ヒトゲノム計画]] * [[ハプロタイプ]] * その他は[[特別:Prefixindex/{{SUBJECTPAGENAME}}|{{SUBJECTPAGENAME}}で始まる記事の一覧]]を参照。 == 外部リンク == * [http://www.mls.sci.hiroshima-u.ac.jp/smg/education/gene_main.html 遺伝子の部屋(いでんこのへや)] - いでんこさんと博士の対話形式で進められる遺伝子についての分りやすい解説。[[広島大学]]分子遺伝学研究室内。 * {{Mpedia|英語版記事名=Genes|英語版タイトル=Genes}} {{DEFAULTSORT:いてんし}} [[Category:遺伝学|*けのみくす]] [[Category:分子生物学]] [[Category:遺伝子|*]] {{Link GA|de}}
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