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超光速航法
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'''超光速航法'''(ちょうこうそくこうほう)は[[サイエンス・フィクション|SF]]などに見られる[[架空]]の[[航法]]であり、[[宇宙船]]が[[光速度|光速]]を超える速さで航行するための[[技術]]。 [[相対性理論]]によると、[[物体]]の相対論的[[質量]]は[[速度]]が上がるに従って増加し、光速において[[無限大]]となる。このため、単純に[[加速]]を続けても光速に達することも、光速を越えることもできない。[[宇宙]]を縦横無尽に駆け回るような[[サイエンス・フィクション|SF]]の[[恒星船]](とくに[[スペースオペラ]])では、これでは都合が悪いので、様々な架空[[理論]]にもとづく超光速航法が考えられている。[[ハードSF]]においては、最先端の[[物理学]]の仮説を利用して、相対論の枠内で[[ブラックホール]]を利用して超光速を使わずに空間移動する方法や、超[[空間]]での移動を用いる。 また、SFの設定では、超光速航法の関連技術を使って[[超光速通信]]も行われているとすることがある。そうでない場合、[[通信]]よりも超光速宇宙船で移動するほうが先に届くため「通信宇宙船」を設定することがある。 逆に相対性理論を厳密に適用し、宇宙船の速度が光速を越えないSFも多く存在する。 ==超光速航法の定義== 超光速航法というと光より速いスピードとシンプルに考えるかもしれないが、しかし実はそう単純ではない。[[チェレンコフ光]]という現象は[[水]]などの[[媒質]]中で減速した光速より速いスピードで[[素粒子]]が進行したことで起こる光の[[衝撃波]]であるし、宇宙に[[ショートカット|近道]]を作るタイプの超光速航法では、光より遅い進行スピードで光より早く目的地に到着することがよくあるからである。これは到着が早いのであって、[[速度]]が速いのではない。また、速度を計る[[時計]]の進みも相対性理論では場所によって異なり、ほぼ光速で[[飛行]]している宇宙船内やブラックホールの[[事象の地平面]]付近では[[地球]]上の我々から見ると[[時間]]は殆ど止まっている。すなわちこのような時間の遅れた系にいる[[観測]]者が『[[五感|体感]]』する移動は、その観測者から見て光速は常に光速であるにも関わらず、超光速航法と全く同じ結果になることがある。 つまりここで言う超光速航法とは、地球上のような弱い[[重力場]]中や何もない宇宙空間を光速よりも十分遅いスピードで[[運動 (物理学)|運動]]している観測者の持つ時計で測って、出発点と目的地の間の距離を[[真空]]中の光速度で割るよりも短い時間で目的地へ到着する(しうる)航法全般、と言うことになる。超光速航法を超光速と[[定義]]付ける重要なファクターは、多くの場合地球の時計なのである。 これに対し、空間のある地点と、そこから離れた地点を「くっつけて」移動する、あるいは何らかの方法で瞬間移動するものを[[ワープ]]と言う。いずれにしろ超科学的であることは間違いなく、厳密に区別できるものでもない。ワープについては[[ワープ]]の記事を参照。 == さまざまな超光速航法 == [[E・E・スミス|エドワード・E・スミス]]の『[[宇宙のスカイラーク]]』シリーズでは、「光速の壁は[[音の壁|音速の壁]]と同じように突破可能である」(つまり、理論を無視する)として、加速を続けることによって光速を越えている。また同じ作者の『[[レンズマン]]』シリーズでは、「バーゲンホルム機関」という装置で宇宙船の質量を無効化し、超光速を達成している。 SFテレビシリーズの『[[スタートレック]]』では、ワープ・エンジンにより宇宙船を包み込むように[[亜空間]][[場|フィールド]]を発生させると、亜空間フィールドの膜に包まれた内部は、[[プランク時間]]以内に通常の空間に対して光速で進み出し、[[ワープ|ワープ航法]]を行うという設定になっている。作品中ではワープ用の亜空間フィールドのことを「ワープ・フィールド」言うこともある。亜空間フィールドの膜の中は通常の空間であり、宇宙船自体は通常の空間に対して静止している。亜空間フィールドの外から見ると、宇宙船は亜空間フィールドの膜に包まれ光速で移動しているように見えるが、宇宙船自体は亜空間フィールドの膜の中にある通常の空間に対して静止している。『スタートレック』シリーズでは、亜空間という架空の空間により、光速以上の速さで移動できないという[[相対性理論]]との矛盾を回避している。 これと似た方法では、『[[エイリアン (映画)|エイリアン]]』シリーズにおいては、「超推進エンジン」が船の周辺に「超推進フィールド」を張り巡らせ、この中の物体は光速を超える事が出来る。 もし超推進中の船から[[脱出ポッド]]が飛び出した場合、光速以下に減速するため強力な慣性力がポッドにかかる。しかし、ポッド船体や搭乗員にダメージが及ぶほどではない描写がある。 同時に冷凍睡眠の延長上と思われる「超睡眠カプセル」も用いられる。 日本のテレビアニメ『[[宇宙戦艦ヤマト]]』でも同じワープ航法という名称の超光速航法が登場するが、こちらは、出発点と到着点の間の空間を折りたたみ、通常の時空間から飛び出して目的地まで近道をするというものである。 [[アイザック・アシモフ]]は晩年の作品『[[ネメシス (小説)|ネメシス]]』において、『[[ファウンデーションシリーズ|ファウンデーション]]』シリーズなどに登場する超光速航法「ハイパースペース・トラベル」の開発史を描いている。それによると、ハイパースペース(超空間)通過時においても宇宙船は通常空間の恒星などの大質量点による[[引力]]の影響を受けるが、超光速においてはそれが逆に[[斥力]]として作用するため、通常空間復帰時に誤って恒星やブラックホール等に突っ込んでしまう恐れは無い、と説明されている。 本職の工学者である[[石原藤夫]]は、自らのSF小説『ホワイトホール惑星』に登場させた「白黒穴帆型推進システム」において、[[ローレンツ収縮]]の公式と[[ツィオルコフスキーの公式]](と他の幾つかのやや強引な仮定)を元にして、「[[数式]]的に」超光速運動の原理を証明して見せた。また、石原藤夫の別の作品、太陽系を中心とした直径100光年(=1光世紀)の球殻宇宙「光世紀世界」を舞台にしたハードSF「光世紀パトロール」シリーズには「光速伸張航法」が登場する。 [[山本弘 (作家)|山本弘]]の小説『[[サイバーナイト]]』では、極めて小さな時間単位([[プランク秒]]未満)のうちでは物理法則が無効になるので、その時間単位内で膨大なエネルギーをつぎ込んで超光速で移動するという「跳躍航法(ジャンプ・ドライブ)」が使われている。山本の作品では、パロディも含めこの種の超光速航法が多数登場する。 また、山本弘の別のSF小説『ギャラクシートリッパー美葉』シリーズでは、[[人間原理]]を応用した「観測しない」方式も挙げられる。この方式の根底には「光速を超えた航行は相対性理論によって否定される」という事実がある。換言すれば、航行者が光速を超えた航行を観測しないことによって超光速飛行状態を攪乱しないとき、かつそのときに限り超光速飛行状態が維持されるのである。つまり平たく言ってしまえば、宇宙船の乗員や外部からの観察者が、「現在、宇宙船が超光速で移動している」という事実を、絶対に「見ない」「知覚しない」ことで、超光速状態を維持するのである。 同様に[[観測問題]]的トリックを使用するものには[[神林長平]]の『[[敵は海賊]]』シリーズと[[谷甲州]]の『[[航空宇宙軍史|終わりなき索敵]]』がある。それぞれ細かいカラクリは異なるが方法としては、目的空間に先行情報を送り込み、その場所における存在確率を上げてから実体を送り込んで辻褄を合わせをする点で共通している。海外のSFで似た方式を取る物として、[[ジェイムズ・P・ホーガン]]の『創世記機械』に登場する「フィリップス駆動」がある。これは物質を高次空間の波動が4次元空間に投射された物とみなし、出発地で一旦分解したパターンを目的地で再構成する事で移動を行う。 それ以外の超光速航法には、高次元空間や亜空間、二次元空間などの相対性理論が適用されない空間を通過する方法などがある。 宇宙船の装置による超光速航法以外に、宇宙の特定の場所の間には[[ワームホール]](虫食い穴)という抜け道があって、そこを通ることによって超光速を達成するという場合もある。ワームホールは宇宙が出来た時から自然に存在していた場合や、超文明を持った宇宙の先住種族の技術によって作られた場合、人類の技術によって作成した場合などがある。 前者の「宇宙ができたときから自然に存在していた」という設定では[[野尻抱介]]の[[クレギオン]]シリーズが、「超文明を持った宇宙の先住種族の技術」としては[[アーサー・C・クラーク]]の[[2001年宇宙の旅]]のスターゲートがある。 ニュアンスは違ってくるかも知れないが、アメリカのSFドラマ、『[[スターゲイト]]』シリーズに登場するの「スターゲイトシステム」や藤子F不二雄の『[[ドラえもん]]』の秘密道具「[[どこでもドア]]」もワームホールの一種であるといえる。 なお、相対性理論との関係で、超光速航法と[[タイムトラベル]]は結びつけて考えられることも多い。例えば、事故によって意図せぬ時間の跳躍を起こしてしまう、などといったストーリーはSFで良く登場するものである。 もう少し突っ込めば、超光速航法自体も相対性理論的にはタイムトラベルの一種である。超光速航法が可能であれば、同時にタイムトラベルも可能になってしまうのである。(参考:『タイムマシンの話―超光速粒子とメタ相対論』[[都筑卓司]]著) 劇中では、理論の詳細よりも「宇宙船が単独で、普通の水上船のようにそれなりの時間をかければ超光速航行が可能」、「普通の航行ではなく、任意の場所に瞬間移動できる」、「宇宙船自体に超光速航行能力はないが、特定の外部施設(ワープゲート、位相差空間ゲートなど)を通過することで超光速航行が可能」、「宇宙船が単独で超光速航行が可能だが、いつでもどこでもではなく、悪条件下では航行不能に陥る」などの制約条件の方が、ストーリー上重視される。 == 超光速機関・超光速航法の一覧 == {{hidden begin|title = 超光速機関・超光速航法の一覧を表示するには右の [表示] をクリックしてください。}} * DSドライブ(『[[伝説巨神イデオン]]』) * U.M.N.(『[[ゼノサーガシリーズ]]』/[[モノリスソフト]]) * Ωドライブ(『[[敵は海賊]]』シリーズ/[[神林長平]]) * インフレーション・ホール([[ダイバージェンス・イヴ]]シリーズ) * ゲイトシステム(『[[スターゲイト]]』。同シリーズには''ハイパードライブ''も登場している。) * サーフィング(『[[それゆけ!宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ]]』/[[庄司卓]]) * ジャーネル裂開駆動(『魔王子』シリーズ/[[ジャック・ヴァンス]]) * ジャンプドア(『ジャンプドア』シリーズ/[[フランク・ハーバート]]。同シリーズには''FTL(超光速)宇宙船''も登場する。) * ショウ機関(『[[スカーレット・ウィザード]]』/[[茅田砂胡]]) * ショートカット・アンカー(『[[ほしのこえ]]』/[[新海誠]]。ハイパードライブとの併用) * スリップスペース または [[:en:Shaw-Fujikawa|ショウ-フジカワ]]([[HALO_(ビデオゲームシリーズ)|HALOシリーズ]]) * 星間トンネル航法(『[[ハコダテ観光ガイド イカール星人襲来中|ハコダテ観光ガイド イカール星人襲来中!]]』/[[函館市]]) * ゼロドライブ航法(『[[ウルトラマンダイナ]]』/[[円谷プロダクション]]) * チェレンコフ推進(『[[宇宙の戦士]]』/[[ロバート・A・ハインライン]]) * バーゲンホルム機関(『[[レンズマン]]』/[[E・E・スミス|エドワード・E・スミス]]) * ハイゲート(『地球連邦の興亡』/[[佐藤大輔]]) * ハイパースペース・トラベル(『[[ファウンデーションシリーズ]]』他/[[アイザック・アシモフ]]) * ハイパークロックアップ(『[[仮面ライダーカブト]]』/仮面ライダーカブト ハイパーフォーム) * ハイパードライブ(『[[スター・ウォーズ]]』、『[[超人ロック]]』/[[聖悠紀]]、『[[YAT安心!宇宙旅行]]』、他多数) * 消去機関(バニシング・エンジン)とタイム・エーテル推進の併用(『銀河乞食軍団』/[[野田昌宏]]) * パルスワープ(『[[コスモス・エンド]]』) * フィロト(『[[エンダーのゲーム]]』シリーズ/[[オースン・スコット・カード]]) * フォールド航法(『[[マクロスシリーズ]]』) * ブラックホールの跳躍(『[[宇宙船サジタリウス]]』) * ボソンジャンプ(『[[機動戦艦ナデシコ]]』、『[[遊撃宇宙戦艦ナデシコ]]』/[[麻宮騎亜]]) * マンシェン駆動系(『[[銀河辺境シリーズ]]』/A・バートラム・チャンドラー) * リープ航法(『[[宇宙の騎士テッカマン]]』他) * [[ワープ|ワープ航法]](『[[スタートレック]]』、『[[宇宙戦艦ヤマト]]』、『[[ダーティペア]]』、『[[銀河英雄伝説]]』、他多数) * 亜空間ワープ(『[[スターオーシャンシリーズ]]』/[[トライエース]]。同シリーズでは、更に高性能になった''重力ワープ''も登場する。) * 位相差空間航法(『[[カウボーイビバップ]]』) * 異層次元航法推進システム(『[[R-TYPE]]』シリーズ/[[アイレムソフトウェアエンジニアリング|アイレム]]) * 異次元ワープシステム(『[[ダライアス]]』シリーズ/[[タイトー]]) * 空間歪曲機関(ワープ・ドライブ)(『[[UGSF]]』作品群/[[ナムコ]]) * [[チオチモリン|吸時性物質]]の利用(『チオチモリン、星へ行く』/[[アイザック・アシモフ]]) * 光速伸張航法(『光世紀パトロール』シリーズ/[[石原藤夫]]) * 重力ワープ(『[[スターオーシャン Till the End of Time]]』/[[トライエース]]) * 重力推進(『ガニメアン』シリーズ/[[ジェイムズ・P・ホーガン]]) * 次元トンネル(『[[YAT安心!宇宙旅行]]』) * 次元波動超弦励起縮退半径跳躍[[重力波 (相対論)|重力波]]超光速航法(バニシング・ドライブ)(『[[トップをねらえ!]]』/[[ガイナックス]]) * 白黒穴帆型推進システム(『ホワイトホール惑星』/[[石原藤夫]]) * 相転移航法(『[[ロスト・ユニバース]]』/[[神坂一]]) * [[超空間転移機]](『[[機甲界ガリアン]]』) * 超空間航法(『[[2001夜物語]]』/[[星野之宣]]) * 超光速シャフト(超光速空間流)の利用(『[[航空宇宙軍史|終わりなき索敵]]』/[[谷甲州]]) * 跳躍航法(『[[サイバーナイト]]』/[[山本弘 (作家)|山本弘]]) * 超光速跳躍(『[[ミニスカ宇宙海賊]]』/[[笹本祐一]]) * 定位リバース・コンバート(『[[電脳戦機バーチャロン]]』) * [[どこでもドア]](『[[ドラえもん]]』/[[藤子不二雄]]) * [[波動エンジン]](『[[宇宙戦艦ヤマト]]』シリーズ) ** [[波動エンジン#『宇宙戦艦ヤマト2199』における描写|次元波動超弦跳躍機関]](『[[宇宙戦艦ヤマト2199]]』) ** ゲシュ=タム機関(『宇宙戦艦ヤマト2199』) * 平面宇宙航法(『[[星界の紋章]]』シリーズ/[[森岡浩之]]) * 膨張推進(『宇宙兵ブルース』/[[ハリイ・ハリスン]]) * 無限不可能性ドライブ (『[[銀河ヒッチハイク・ガイド]]』/[[ダグラス・アダムズ]]) * 門<ゲート>(『[[スカーレット・ウィザード]]』/[[茅田砂胡]]) * 量子スリップストリーム航法(『[[スタートレック:ヴォイジャー]]』) * 量子生成=消滅型位相波不連続超光速ドライブ(『ギャラクシートリッパー美葉』/[[山本弘 (作家)|山本弘]]) * 量子テレポート(『[[劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-|機動戦士ガンダム00]]』) * 『劫(アウン)』効果(『光の塔』/[[今日泊亜蘭]]) * 時空切断航法(『[[ナイトウォッチ三部作]]』/[[上遠野浩平]]) * クロノドライブ(『[[ギャラクシーエンジェル]]』) * エンカナッハ・ドライブ(『反逆者の月』/[[デイヴィッド・ウェーバー]]) * I3・エクシード航法(『[[無限航路]]』) * FTL(Faster Than Light=超光速)ジャンプ(『[[GALACTICA/ギャラクティカ]]』) {{hidden end}} ==関連項目== * [[光速]] * [[ワープ]] {{デフォルトソート:ちようこうそくこうほう}} [[Category:超光速航法|*]] [[Category:SF]]
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