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'''超アクチノイド元素'''(ちょうアクチノイドげんそ)は、次の二つの意味で用いられる。 #([[:en:Transactinide element|transactinide]]) [[アクチノイド]]の最後に当たる[[ローレンシウム]](原子番号103)より[[原子番号]]の大きい[[元素]]の総称である。'''超重元素'''ともいう。これまでに104~118番が発見され、[[IUPAC]]で承認もしくは申請中である。 #([[:en:Superactinide|superactinide]]) [[周期表]]([[拡張周期表]])で、アクチノイドの下に配置される元素群の名称。原子番号121の[[ウンビウニウム]]から153の[[ウンペントトリウム]]までが相当する。未だ一つも発見されていない。 ''区別のため、本記事中では 1.の意味には「超重元素」を用い、単に「超アクチノイド」といったときは 2.を意味するものとする。このような使い分けは一般的に為されているわけではなく、あくまで本記事における便宜的なものである。'' == 超重元素の合成法と特徴 == 超重元素はすべて天然には存在しないため、2種類の方法で合成される。1つは、金属原子に別の金属原子をイオンビームにして衝突させるもので、「冷たい核融合反応」と呼ばれる。もう一つは、アクチノイド元素に、イオンビームにした軽元素原子を衝突させるもので、「熱い核融合反応」と呼ばれる。ここで言う「熱い」「冷たい」とは、衝突によって生じる新元素の[[励起]]エネルギーの量を表すものである。共に、まず二つの原子が衝突して励起された'''複合核'''を生じ、これがすぐに[[中性子]](n)を放出して'''超重核種'''ができる。 たとえば、原子番号(Z)104番の[[ラザホージウム]](Rf)を合成するには、[[カリホルニウム]](<sub>98</sub>Cf)に原子番号6の[[炭素]](<sub>6</sub>C)をイオンビームにして衝突させる。この核反応は、 :<sup>249</sup>Cf+<sup>12</sup>C→(<sup>261</sup>Rf<nowiki>*</nowiki>)→<sup>257</sup>Rf+4n または簡略化して :<sup>249</sup>Cf(<sup>12</sup>C,4n)<sup>257</sup>Rf と表される。ここでは、<sup>261</sup>Rf<nowiki>*</nowiki>が'''複合核'''であり、<sup>257</sup>Rfが4個の中性子を放出してできた'''超重核種'''である。 超重元素は全て[[放射性元素]]であり、[[半減期]]が数マイクロ秒~数秒程度の非常に短命な核種が多い。そのため、同定・確認に時間がかかり、詳しい化学的性質はあまりわかっていない。ただし[[ドブニウム]]268のように数時間程度の半減期を持つ核種も一部あり、また原子番号114付近には[[安定の島]]と呼ばれる長寿命の核種の存在が予想されている。 なお、超重元素では中心にある[[原子核]]の正電荷に比例して周りの電子との相互作用が非常に強くなる。それに従い、[[内殻電子]]の速度は[[光速]]に近づき、[[相対論効果]]で[[質量]]が重くなるためにその[[軌道半径]]は収縮する(直接的な相対論効果)。一方、[[外殻電子]]の軌道半径は、内殻軌道の収縮により原子核の正電荷が遮蔽されるため逆に大きくなる(間接的な相対論効果)。これらの現象は原子番号に比例して大きくなるため、[[化学結合]]に関与する[[原子価]]電子が大きく変化し、超重元素は[[周期表]]上の同属元素とは異なった化学的性質を持つ事が予想されている。 === 単一原子化学による分析 === 上記の理由のため、いくら核反応を続けても超重元素の生成率は1分から1日の間にやっと数原子が得られるだけである。したがって、研究者たちが一度に取り扱えるのは事実上わずか1原子であり、これをすばやく運搬・分離分析して化学的性質を決定しなければならない。このような研究を「'''単一原子化学'''」といい、多数実験を行うことによって[[統計]]的に[[分配係数]]を決定するため、[[クロマトグラフィー]]が用いられている。単一原子化学では、マクロ量で扱われる[[熱力学的平衡]]論(質量作用の法則)が適用できないため、単一粒子を仮定した熱力学的関数を導入することにより質量作用の法則と等価の解釈を行う。 == 超アクチノイド(アクチノイドの下) == [[第8周期元素|第8周期]]において[[ランタノイド]]、[[アクチノイド]]に相当する位置には、原子番号121[[ウンビウニウム]]から153[[ウンペントトリウム]]までの33元素が入る。これらを超アクチノイド(superactinide)と呼ぶ。全ての超アクチノイドは超重元素でもある。2010年現在、全ての超アクチノイド元素は未発見である。 原子番号121のウンビウニウムから138[[ウントリオクチウム]]までの18元素は周期表に初めて登場する[[Gブロック元素]]であり、5g軌道に電子が充填されていくと考えられる。また、原子番号139[[ウントリエンニウム]]から153ウンペントトリウムまでの15元素はランタノイド、アクチノイドの同族に当たる[[Fブロック元素]]であり、6f軌道に電子が充填されていくと考えられる。5g軌道、6f軌道とも内殻に当たるため、超アクチノイド元素の化学的性質は似通っていると予想される。 '''エカアクチノイド'''(eka-actinide)と呼ばれることもあるが、Fブロックの部分のみを指して使われることもあり、曖昧差のある用語である。未発見の元素群であることもあり、用語や日本語訳はあまり固まっていない。 ==関連項目== *[[超ウラン元素]] *[[未発見元素の一覧]] {{DEFAULTSORT:ちようあくちのいとけんそ}} [[Category:元素群]] [[Category:原子核物理学]]
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