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赤煙硝酸
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'''赤煙硝酸'''(せきえんしょうさん、'''R'''ed '''F'''uming '''N'''itric '''A'''cid、RFNA)は、[[ロケット]]の[[酸化剤]]として用いられる、[[硝酸]]に[[四酸化二窒素]]を溶かした物質である。 1分子の[[四酸化二窒素]](無色)と2分子の[[二酸化窒素]](赤褐色)とは[[化学平衡]]で相互に変換する為、'''赤煙硝酸'''とロケット燃料でいうところの'''発煙硝酸'''(はつえんしょうさん、'''W'''hite '''F'''uming '''N'''itric '''A'''cid, WFNA)とは製造原料に由来する[[二酸化窒素]]の溶解量が異なるだけで同じ化学物質である。 ==概要== 赤煙硝酸には四酸化二窒素が溶けているため、空気中では赤い色の煙を発生する。この煙の色は四酸化二窒素から生じた二酸化窒素によるものである。溶けこんだ四酸化二窒素の量によって無色から褐色までの色をなし、常温では液体である。常温で気体の四酸化二窒素を硝酸に溶かしこむことで液体の状態で保管可能となる。 赤煙硝酸は1960年代から[[発煙硝酸]]に代わる常温貯蔵が可能な[[酸化剤|液体酸化剤]]として[[非対称ジメチルヒドラジン]]等の燃料と組み合わせてロケットの推進剤として用いられるようになった。その配合はHNO<sub>3</sub>にN<sub>2</sub>O<sub>4</sub>を13%と3%の[[水]]H<sub>2</sub>Oである。酸化剤として[[液体酸素]]を用いるロケットと異なり、燃料と赤煙硝酸を混合するだけで発火するため、ロケットから点火系が必要無くなり、また総じて固体燃料と比べて[[比推力]]が大きいため、特に[[ソビエト連邦|旧ソ連]]が設計した[[弾道ミサイル]]で多用されている。旧ソ連ではAK(Azotna Kislota:[[ロシア語]]で硝酸の意)の後ろに四酸化二窒素の量を示す数字をつけて表される。AK20の場合は硝酸80%に四酸化二窒素が20%溶けている事を示す。 AK20とAK27が存在し、添加物の差違によってAK20I、AK20F、AK20K、AK27I、AK27Pの区別がある。 硝酸による貯蔵タンクの腐食を防ぐため、通常は抑制剤と呼ばれる物質が添加されている。抑制剤が添加された赤煙硝酸は抑制赤煙硝酸('''I'''nhibited '''R'''ed '''F'''uming '''N'''itric '''A'''cid、IRFNA)と呼ばれる。抑制剤に使用される物質は[[フッ化水素]]など複数存在するが、いくつかは機密となっている。 赤煙硝酸は酸化材としてだけでは無く、まれに[[ロケットエンジンの推進剤|推進剤]]としても用いられる。この場合、ロケット燃料は赤煙硝酸だけとなる。 [[第二次世界大戦]]の最中、[[ドイツ軍]]では赤煙硝酸をいくつかの[[ロケット]]に用いた。この混合物はS-Stoff(96%の[[硝酸]]と4%の[[塩化鉄|塩化第二鉄]])とSV-Stoff(94%の[[硝酸]]と6%の[[四酸化二窒素]])である)である。 {{DEFAULTSORT:せきえんしようさん}} [[Category:酸化剤]]
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