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記録技術の年表
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'''記録技術の年表''' (きろくぎじゅつのねんぴょう) とは、[[記録]]技術の[[歴史]]に関する[[年表]]である。ここでは主要な項目を挙げ、近年の[[磁気テープ]]、[[磁気ディスク]]、[[光磁気ディスク]]、[[光ディスク]]、[[メモリーカード]]など各分野の詳細年表については各項目に譲る。 == 主要年表 == === 紀元前 === * [[紀元前10千年紀以前|紀元前3万年]]頃 - 現在、知られる最古の[[洞窟壁画]]が現れる。 : 絵の記録。南フランスの[[ショーヴェ洞窟]] (Chauvet) 壁画。ただし、年代は論争となっており、これより新しい可能性がある。 : [[アルタミラ洞窟|アルタミラ洞窟壁画]] (スペイン、約18,000-14,000年前) * [[紀元前4千年紀|紀元前3000年以前]] - [[文字]]の発明。 : 文字を何かに記録することが可能になった。[[メソポタミア文明|古代メソポタミア]]で文字が発明され、[[古代エジプト]]でも第4王朝の時代(ギザの[[ピラミッド]]が造営された前2500年頃)から[[ヒエログリフ]]の使用が盛んになった。 * [[粘土板]]や[[パピルス]]の発明。 : 文字を記録するための[[メディア (媒体)|記録媒体]]。初期の記録媒体として長い間使用された。粘土板は重量がかさみ、パピルスは乾燥地域でしか使えない欠点があった。 * ?~[[紀元前2200年]]頃 - [[エブラ]]遺跡の書庫。 : この遺跡から1万5000枚あまりの粘土版が出土し、王の文書保存館と見られている。最古の[[図書館]]と評されることもある。[[紀元前2200年]]頃の火災で書庫は放棄され、焼き固まった粘土版を現代に残した。 *[[紀元前20世紀|紀元前2000年]]-[[紀元前15世紀|紀元前1500年]]頃 - [[ワディ・エル・ホル文字と原シナイ文字]]の出現。 :今日のほとんどすべての[[音素文字]]の祖であると考えられている。 * [[紀元前14世紀]]以降 - [[殷]]で青銅器に[[金文]]を鋳込むようになる。 * 各地で文字や文字を記録するための媒体が現れる。 : 記録媒体としては、中国の[[木簡]]・[[竹簡]]や、ヨーロッパで長い間使用された[[羊皮紙|羊皮紙(パーチメント)]]などいろいろな素材があった。 *[[紀元前300年]]頃 - [[プトレマイオス朝|古代エジプト]]で[[アレクサンドリア図書館]]が造営される。 : 古代では最大の[[図書館]]とされ、[[アレクサンドリア]]は学術の中心地となった。 *紀元前221年 - [[漢字]]の統一 :秦が中国統一を成し遂げた。この際に文字の統一が行われ、[[篆書体|小篆]]が正式に統一書体として採用された。 === 紀元後 === * [[2世紀]]初頭 - 中国([[後漢]])の[[蔡倫]]が、[[紙]]の製法を確立。 : これ以前にも紙は存在したが、文字の記録には向かないものだった。蔡倫は現在の紙のルーツとなるすき紙の製法を確立した。紙に文字を記録することが実用的に行えるようになり、以後、文字記録用の紙が普及しはじめた。 * [[8世紀]] - 製紙法が中国からイスラム世界に伝播。 : [[タラス河畔の戦い]] (751年) で製紙法が[[唐]]からイスラム世界に伝わった。製紙法がヨーロッパまで伝わるのは比較的遅く、[[12世紀]]頃になる。 * [[8世紀]] - 日本や朝鮮で[[木版印刷]]が行われる。 : 日本の[[百万塔陀羅尼]] (8世紀後半) など。 * [[13世紀]] - 中国([[南宋]])で[[活字]]を用いた[[活版印刷]]が行われる。 * [[15世紀]]後半 - ヨーロッパで近代的な[[活版印刷]]の実用化と商業印刷の開始。 : [[ヨハネス・グーテンベルク|グーテンベルク]]が[[活字|金属活字]]を用いた活版印刷術を確立した。活版印刷術は[[ルネサンス]]の3大発明の1つに挙げられる。また、[[アルドゥス・マヌティウス]]は商業[[印刷]]の父とされる。 * [[16世紀]]? - [[黒鉛]]製の[[鉛筆]]の登場。 : ヨーロッパでは16世紀に黒鉛鉛筆に関する記録が現れ、17世紀にはイギリスで量産されるようになった。 * [[1700年]]頃 - [[ゴットフリート・ライプニッツ]]が[[二進法]]を確立。 : 現代の[[デジタル]]記録技術の基本原理となっている。 * [[1770年]] - [[イギリス]]の[[ジョゼフ・プリーストリー]]が[[ゴム]]の消字性を発見。[[消しゴム]]が生まれる。 * [[1791年]] - イギリスで[[フェルトペン]]が発明される。 === 19世紀 === * [[1801年]] - [[パンチカード]]の登場。 : [[ジャカード織機]]の制御用に開発され、[[織機]]の制御や書類の処理に用いられた。パンチカードは[[コンピュータ]]とも縁が深く、黎明時代に[[プログラム (コンピュータ)|プログラム]]を記録する媒体として使用され、[[磁気テープ]]や[[フロッピーディスク]]が普及しはじめる[[1970年代]]頃まで使われた。 * [[1820年代]] - 最初の[[写真]]。 : [[ニセフォール・ニエプス]]が[[カメラ・オブスクラ]]の画像を固定するヘリオグラフィを開発。露光時間が8時間以上もかかり、実用的ではなかった。 * [[1839年]] - [[ルイ・ジャック・マンデ・ダゲール|ダゲール]]、[[ダゲレオタイプ]]を公開。 : 世界初の実用的な写真技術。銀メッキした銅板上に定着させるもので複製が不可能であったが、肖像写真用に好まれ普及した。 * [[1841年]] - [[カロタイプ]]が公開される。 :[[ウィリアム・ヘンリー・フォックス・タルボット]]が発明。紙上に定着させる、初の複製可能な写真技術。 * [[1840年代]] - ヨーロッパで[[紙]]の大量生産技術が確立される。 : ヨーロッパでは慢性的な紙不足が起こっていたが、ドイツの[[ケラー]]が[[パルプ]]の製造方法を発明し、木材パルプから紙を作ることで紙の大量生産が可能になった。 * [[1846年]] - [[輪転機]]の登場。 :リチャード・マーチ・ホーによって最初の輪転機が作られた。1時間に2万部の印刷能力があり、大量の[[新聞]]印刷が可能になった。 * [[1877年]] - [[トーマス・エジソン|エジソン]]が[[レコード]]を発明。 : [[音|音声信号]]を[[アナログ]]ディスクに記録。その後、いくつかのディスクの規格が現れ、2005年現在もLPレコードが残っている。 * [[1883年]] - 毛細管現象を利用した[[万年筆]]が発明される。現在の万年筆の基礎となった。 * [[1886年]] - [[ライノタイプ]]の登場。 : 鋳植機の一種。新聞などの印刷版型を自動的に作成する。1人の職人がひとつの版を高速に組上げることを可能にし、印刷技術の革命となった。 * [[1880年代]] - [[写真フィルム]]の普及。 : 従来の[[写真乾板]]を置き換え、写真撮影が大衆化した。 * [[1891年]] - [[リュミエール兄弟]]、[[シネマトグラフ]]を発明。 : スクリーンに上映可能な初の[[映画]]技術。初期の映画は音声のない[[サイレント映画]]だったが、[[1920年代]]に音声付の映画([[トーキー]])が現れた。[[映画史]]を参照。 * [[1893年]]ころ - [[トーマス・エジソン|エジソン]]が[[謄写版]]印刷を発明。 :「ガリ版」の名で知られ、PPC複写機が普及する[[1980年代]]まで広く使われた。 === 20世紀 === ==== 20世紀前半 ==== * [[1901年]] - 紙への[[オフセット印刷]]機が発明される。 * [[1907年]] - [[リュミエール兄弟]]、最初のカラー[[乾板]]であるオートクロームを開発・発売。 * [[1915年]] - [[早川徳次 (シャープ)|早川徳次]]、初の実用的[[シャープペンシル]]を開発・発売。 * [[1924年]] - [[石井茂吉]]、[[森澤信夫]]により[[写真植字機]]が開発される。 :[[活版印刷]]においては多くのサイズの[[活字]]が必要であったが、写真植字では1個の文字ネガで足りる。[[オフセット印刷]]の普及とともに、写真植字も急速に需要を拡大した。 * [[1925年]] - コンパクトフィルム[[カメラ]](ライカI)の登場 。 : [[ライカ]]社から発売された、手軽な携帯カメラ。 * [[1926年]] - 音声付映画である[[トーキー]]が登場。 :ワーナー・ブラザーズが開発した[[ヴァイタフォン]]システム。 * [[1920年代]]後半 - [[磁気テープ]]記録の実用化。 :[[AEG]]と[[IG・ファルベンインドゥストリー|IG・ファルベン]]により、世界初の実用的な磁気[[テープレコーダー]] (K1) が開発された。 *[[1932年]] - [[8ミリ映画|8ミリ]]フィルムが発売される。 : 家庭用の手軽な映像記録媒体。VTRが普及するまで、教育現場や産業用としても広く利用された。 *[[1932年]] - [[ウォルト・ディズニー・カンパニー|ディズニー]]、三色式[[テクニカラー]]による初めてのカラー映画『[[花と木]]』を公開。 * [[1935年]] - [[コダック]]、"コダクローム" (Kodachrome) を発売。 :3色乳剤を採用した最初の近代的なカラーフィルム。 * [[1943年]]-初の実用的[[ボールペン]]が開発される。 * [[1947年]] ** [[ハンガリー]]の物理学者[[ガーボル・デーネシュ]] が[[ホログラフィー]]を発明。 ** [[レコード#レコードの諸形態|LP]]盤が発売される。使いやすく長時間記録ができる特長から、戦前から使われていた[[SPレコード]]を置き換える。 * [[1948年]] - [[ポラロイド]]、初の[[インスタントカメラ]]「ポラロイド・ランド・カメラ」を発売。 ==== 20世紀後半 ==== * [[1950年代]]初頭 - [[コンピュータ]]用の磁気テープ記録装置の登場。 : 磁気テープによる[[デジタル]][[データ]]の記録。 * [[1951年]] - ジアゾ式[[複写機]]の登場。 * [[1956年]] - [[磁気ディスク装置|ハードディスク]]の登場 ([[IBM]])。 : 磁気ディスクによるデジタルデータの記録。[[コンピュータ]]のデータ保存と[[システムソフトウェア]]の格納用に用いられている。最初のハードディスクは自動販売機よりも大きなサイズだった。その後、小型化と高密度化が進み、現在の姿となった。 * [[1958年]] - [[ソノシート]]が発売される。 :フランスのSAIPというメーカーで開発された。日本では1959年から[[朝日ソノラマ]]から発売された。 * [[1959年]] - PPC[[複写機]]の登場。 * [[1960年]] - 電子製版機(カラー[[スキャナ]])が実用化される。 * [[1962年]] - [[フィリップス]]社が[[コンパクトカセット]]を開発。 : 磁気テープによるアナログ音声信号の書き換え可能な記録媒体。コンパクトカセットは規格が公開されたことで世界中に広まり、家庭向けの身近な音声記録媒体となった。デジタル記録媒体に置き換えられつつあるものの、2008年現在も広く使用されている。 * [[1963年]] - [[ASCII]]コードが策定される。 : [[ラテン文字]]・数字・制御文字・英文でよく使われる記号を定めた7ビット文字コード。コンピュータその他のデジタル通信機器で標準的な文字コードとなり、後に作られた文字コードはASCIIの拡張として設計されている。 * [[1969年]] - [[エドガー・F・コッド]]が[[関係データベース管理システム]]を提唱。 * [[1970年]] - [[インテル]]、[[Dynamic Random Access Memory|DRAM]]を開発。 : 1970年代以降、コンピュータの[[主記憶装置]]として用いられている。 * [[1976年]] - 米[[シュガートアソシエイツ]]が5.25インチの[[フロッピーディスク]]を開発。 : コンピュータの磁気ディスクメディアとして広く普及した。 * [[1970年代]]後半 - 日本で[[ビデオテープレコーダ]]の普及がはじまる。 : 磁気テープによるアナログ映像信号の書き換え可能な記録媒体。[[1980年]]前後には[[ベータマックス]]方式と[[VHS]]方式が[[規格争い]]を演じた。 * [[1979年]] - 米IBMが[[Standard Generalized Markup Language|SGML]]を開発。 :[[Extensible Markup Language|XML]]、[[HyperText Markup Language|HTML]]など、現在利用されている[[マークアップ言語]]の源流。 * [[1980年]]ごろ - [[電子ペーパー]]が発明される。 :ゼロックス社の[[パロアルト研究所]]に所属していたニック・シェリドンが開発。 * [[1982年]] - [[コンパクトディスク|コンパクトディスク (CD)]]の登場。([[ソニー]]、フィリップス) : [[光ディスク]]による音声のデジタル記録。2008年現在もDVD-Audioなどの後継規格に置き換えられることなく,広く普及している。 * [[1984年]] - [[フラッシュメモリ]]の開発 ([[東芝]])。 : [[半導体メモリ]]によるデジタルデータの書き換え可能な記録。データを保持するための電源を必要としない不揮発性メモリのひとつ。当初は[[マスクROM]]の置き換えとして多くの機器に搭載され、1990年代には小容量のデータ保存メディアとして普及しはじめた。2000年代には大容量化と低価格化が進み、非常に広い分野で使われている。2006年頃からは[[Flash SSD|SSD]]などハードディスクドライブの置き換え用としても使われはじめた。 * [[1985年]] - [[DTP]]の登場 : [[アルダス|Aldus]] [[PageMaker]]を搭載した[[Macintosh]]、[[PostScript]]フォントを搭載したプリンタの登場によりパーソナルコンピュータ上での組版と校正が可能に。出版の迅速化とコストダウンが進む。 * [[1988年]] - [[Moving Picture Experts Group]]の最初の会合が行われる。 : [[MPEG-1]]、[[MPEG-2]]、[[MPEG-4]]といったデジタル映像記録の標準フォーマットを策定する。 * [[1989年]] - [[World Wide Web]]が登場する。 : [[Internet Protocol]]と[[HyperText Markup Language|HTML]]という2つの技術を基盤とする、世界規模の[[ハイパーテキスト]]システム。1990年代に入ってから爆発的に普及し,世界的な[[コンピュータネットワーク]]による[[データ]]の交換と蓄積がはじまった。 * [[1991年]] - [[Unicode]]が登場する。 :世界で使われる全ての文字を同一コードで表現できる文字集合。初期は16ビット、後に21ビットで定義し直された。 * [[1993年]] - [[Digital BETACAM]]の登場。(ソニー) :デジタルVTR規格として最も普及した。このころより映像製作のデジタル化が進み、映画界も[[デジタルシネマ]]の時代になっていく。 * [[1995年]] - [[DVD]]の登場。 : 第2世代のデジタル光ディスク。CDとの互換性を持ちながら容量ははるかに大きく、長時間映像の記録ができるようになった。 * [[2000年]] - [[USBメモリ]]が登場する。 :手軽なデータ保存・交換用メディアとして普及する。 === 21世紀 === * [[2000年代]]前半 - 書き換え可能な CD や [[DVD]] の普及が進む。 : 書き換え可能な[[光ディスク]]。[[コンピュータ]]用のデータの他、音声や映像といった[[デジタル信号]]を光ディスクに記録できるようになった。 * [[2003年]] - [[Blu-ray Disc]]の登場。 : 第3世代のデジタル光ディスク。[[高精細度ビデオ|高精細度映像]]の記録が可能になった。 * [[2005年]] - [[垂直磁気記録方式]]を採用した[[ハードディスクドライブ]]が登場。 :一時鈍化した磁気ディスクの大容量化が再加速した。2007年には容量1TBのハードディスクドライブが登場している。 * [[2008年]] - [[Portable Document Format|PDF]]が国際標準化機構によって標準化された。 :様々な環境で同一レイアウトの[[電子文書]]を再現する。紙の文書の電子文書への置き換えに広く使われている。 == 関連項目 == * [[記録]] * [[情報技術史]] * [[通信技術の年表]] * [[書記]]、[[速記]]、[[タイプライター]] * [[美術史]] [[Category:媒体|きろくきしゆつのねんひよう]] [[Category:情報技術史|きろくきしゆつのねんひよう]] [[Category:年表|きろくきしゆつのねんひよう]]
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