西之島のソースを表示

{{Otheruses|[[小笠原諸島]]の島|[[隠岐諸島]]の島|西ノ島}}
{{Infobox 島
|島名=西之島
|画像=[[Image:Growth_of_Nishino-shima_Volcanic_Island.jpg|thumb|400px|2014年7月4日時点の西之島。上方が北で、比較的白い部分が旧島。<br>（[[NASA]]の衛星画像）]]
|座標={{coord|27|14|49|N|140|52|28|E|region:JP-13_type:isle|name=西之島|display=inline,title}}
|地図国コード = JP
|面積=1.3
|周囲=-
|標高=74以上
|海域=[[太平洋]]（[[フィリピン海]]）
|国={{JPN}}（[[東京都]]）
|地図=[[Image:Map of ogasawara islands ja.png|center|320px|西之島の位置（地図中央）]]
}}

'''西之島'''（にしのしま）は、[[小笠原諸島]]の[[島]]（[[無人島]]）。[[海底火山]]の活動により生じた火山島であり、付近では2014年6月現在も頻発に[[噴火]]活動がみられる。時には海面近くの噴火口からの[[火山噴出物]]により「新しい陸地」が生じることもある。[[1973年]]と[[2013年]]に近傍で噴火し、それぞれ陸地を形成した。

英語でも<i lang="en">Nishinoshima</i>と表記するが、<i lang="en">Rosario Island</i>とも呼ばれる<ref>Freeman, Otis W. (1951). [http://books.google.com/books?id=kjIhAAAAMAAJ ''Geography of the Pacific,'' pp. 229-235.]</ref>。これは[[1702年]]にこの島を発見した[[スペイン]]の[[帆船]]「ロザリオ号」による命名である。行政区画は、[[東京都]][[小笠原村]]。

== 地理 ==
[[東京]]の南約1,000[[キロメートル]]、[[父島]]の西約130キロメートルに位置する。[[火山列島]]（硫黄列島）と同一火山脈に属し、付近は海底火山活動が活発である。西之島火山体は海底から計測すると比高4,000[[メートル]]、直径30キロメートルにもなる大火山であり、火山体の山頂部は直径約1キロメートルの火口地形で、海面に出ている西之島はその火口地形の頂点にすぎない。周囲の海は、島の北方沖合い数百メートルまで水深10メートル未満の浅瀬で、1～2キロメートル沖まで水深30メートル程度の浅い海だが、その先は火山体の急峻な斜面となり、数千メートルの深海に至る。島の北の沖合いにある[[岩礁]]も火口縁の一部である。

== 生態系 ==
西之島は[[海洋島]]であり、噴火後まだ時間が経過していないため[[植物相]]は貧弱で、[[スベリヒユ]]、[[オヒシバ]]、[[イヌビエ]]、[[グンバイヒルガオ]]、[[ハマゴウ]]及び[[ツルナ]]の6種しか確認されていない<ref name="kankyo">{{PDFlink|[http://www.env.go.jp/info/iken/h200608a/a_1.pdf 国指定化女沼鳥獣保護区指定計画書（環境省案）] - 平成20年5月9日環境省報道発表資料}}</ref>。これらの多くは、種子の[[海流散布]]を行う植物である。

動物では、[[アカオネッタイチョウ]]や[[アオツラカツオドリ]]、[[オオアジサシ]]、[[オーストンウミツバメ]]、[[カツオドリ]]、[[オナガミズナギドリ]]、[[セグロアジサシ]]などの12種類の鳥類の生息、そのうち9種類の繁殖が確認されている<ref name="kankyo"/>。その他にはアリやクモ、カニの生息が確認されている<ref name="kankyo"/>。[[1975年]]には新属新種の[[ニシノシマホウキガニ]]が発見された（同種は他の島にも生息が確認されたが、西之島では噴火活動によりその後の生息が確認されていない）。かつては[[アホウドリ]]も生息していたとされる。

[[2008年]][[8月1日]]に国指定西之島[[鳥獣保護区]]（集団繁殖地）に指定されている（面積29[[ヘクタール]]）。島全域が特別保護地区である。島に人は居住していない。

== 海底火山の活動に伴う「新島」現象と地形の変化 ==
西之島は4000メートル級の山体をもつ海底火山の火口縁がわずかに海面上に現れた部分にあたる。かつての西之島（旧島）は面積0.07[[平方キロメートル]]、南北650メートル、東西200メートルの細長い島だった。この海底火山は噴火の記録はなかったが、[[1973年]]に「有史以来初めて<ref>[http://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/326_Nishinoshima/326_index.html 西之島]、気象庁ウェブサイト</ref>」噴火し、大量の溶岩流や噴出物が海面上まで堆積して西之島付近に新しい陸地を形成した。この陸地は「西之島新島」と命名され、当時は「新島ブーム」とマスコミに報道され、大きな話題となった。西之島の東側の火山体の火口は、[[1911年]]の測量では深さ107メートルあったが、この噴火により50メートル未満まで浅くなった。

1年に及ぶ噴火が収束すると、新島は南側からの波で強い侵食を受け、最初の数年は年間 60～80メートルの速さで海岸が後退した。新島は波で削られて失われ、火孔や標高52メートルの丘も消失したが、削られた土砂が波で運ばれて湾内に堆積した。堆積の速さが侵食を上回ったため、侵食されながらも面積が増加した。[[1982年]]には湾の一部が海から切り離されて湖になり、[[1980年代]]を通して堆積を続け、[[1990年]]頃には湾口は無くなり完全に一体化、旧島北端を頂点とした、釣り鐘のような四角形状の島になった。形状が安定すると面積は減少に転じ、[[1999年]]時点での新島部分の面積は0.25平方キロメートル、最高標高は15.2メートルである。また、旧島部分を含めた西之島全体の面積は0.29平方キロメートル、最高標高は25メートルであった。[[2003年]]時点で島の大きさは、東西約760メートル、南北約600メートル程で、[[安山岩]]を主体としていた。

島の付近では数年おきに海水の変色や蒸気の吹き上げが観測されていたが、2013年には40年ぶりに噴火を観測し、新しい陸地を形成した。1973年と2013年のどちらも、当初は西之島から海面を隔てた「別の島」であったが、溶岩の噴出や堆積が進んで西之島と一体化している。2013年の噴火は1973年の噴火と比較して溶岩流出量が非常に多く、また1973年の噴火による堆積で水深10メートル未満の浅瀬が広がっていたことにより、島の急激な成長に繋がった。一連の活動はなおも継続しており、陸地の規模は変化するとみられる。なお、西之島から噴出しているマグマについて、[[伊豆諸島]]の島である[[三宅島]]、[[八丈島]]、[[青ヶ島]]、[[鳥島]]などは[[玄武岩]]マグマを噴出するが、西之島では[[大陸]]地殻に似た[[安山岩]]マグマを噴出しているため、大陸形成過程の謎を解明する手がかりになるのではと研究者が注目している<ref>[http://www.jamstec.go.jp/j/jamstec_news/20140612/ 西之島の不思議：大陸の出現か？] JAMSTEC 海洋掘削科学研究開発センター 2014年6月12日</ref>。

=== 1973年の噴火に伴う経過 ===
[[File:Nishinoshima mlit1978.jpg|320px|right|thumb|航空写真（1978年当時）<br/>写真上方が西北。湾を挟んで上の部分が旧島、下の部分が1973年の噴火により形成された新島。後に湾になっている部分が堆積作用により土砂で埋まり、2013年の噴火直前は台形状の海岸線になっていた。]]
[[1973年]][[5月30日]]、西之島の東方600メートルで海底火山の噴火があり、同年[[9月11日]]に新しい島が出現した。同年[[12月21日]]には[[海上保安庁]]により「西之島新島」と命名された。この時点で新島の大きさは、東西550メートル、南北200～400メートル、面積0.121平方キロメートル、標高52メートルに達していた。その後も火孔の増加、噴石の堆積やマグマの流出により新島は成長を続け、翌年には西之島と陸続きとなり<ref name="kubota">{{PDFlink|[http://www.kubota.co.jp/siryou/pr/urban/pdf/15/pdf/15_2_7.pdf 日本の火山-7 西之島新島]}} 小坂丈予、アーバンクボタ NO.15、1978年1月</ref><ref>{{PDFlink|[https://www.gsj.jp/data/chishitsunews/74_05_04.pdf 西之島火山の活動とその観測]}} 小坂丈予</ref>、上が開いた「コ」の字形（馬蹄型）の地形の内側に湾をもつ島となった。

; [[1973年]]（昭和48年）
*[[4月12日]] - 変色水が確認される。
*[[5月30日]] - 西之島の東方600mで海底火山の噴火による白煙を観測。
*[[6月27日]] - 噴煙、噴石、水柱を観測。
*[[9月11日]] - 直径30～50メートルの新島を発見。
*[[9月14日]] - 西之島南端から東南東に600メートル地点に、直径120～150メートルの新島を確認。中央に直径約70メートルの円形噴火口、高さ北側で約40メートル、南側で約20メートル。
*[[9月29日]] - 新島主火口より溶岩流出。その西約40メートルに第2新島を発見。
*[[10月9日]] - 第2新島の西に3つ目の新島が確認される。
*[[10月10日]] - 第1～3新島が陸続きになる。
*[[10月30日]] - 第3新島のみを残し2つが消滅した。
*[[11月20日]] - 火孔が東に約400m移動して噴火が続く。
*[[12月21日]] - 海上保安庁により「西之島新島」と命名される<ref name="kubota">{{PDFlink|[http://www.kubota.co.jp/siryou/pr/urban/pdf/15/pdf/15_2_7.pdf 日本の火山-7 西之島新島]}} 小坂丈予、アーバンクボタ NO.15、1978年1月</ref><ref>{{PDFlink|[https://www.gsj.jp/data/chishitsunews/74_05_04.pdf 西之島火山の活動とその観測]}} 小坂丈予</ref>。
; [[1974年]]（昭和49年）
*[[3月2日]] - 新島の東北方に第3、第4、第5火孔ができ、第5火孔によって新々島が形成され孫島とも呼ばれる。
*[[3月14日]] - 新々島が新島とつながった事を確認。[[東京水産大学]]等の調査隊が上陸、3月には[[東海大学]]の調査隊、[[東京大学]]、[[東京工業大学]]の調査隊がそれぞれ調査を行った<ref>{{PDFlink|[https://www.gsj.jp/data/chishitsunews/75_02_01.pdf 西之島火山の活動とその観測（続）]}} 小坂丈予</ref>。
*5月 - 火山活動が収束する。火山活動収束時の溶岩堆積量は2400万平方メートル。
*[[6月10日]] - 漂砂などにより新島と旧島が接続した事を確認。馬蹄形の形状となる<ref name="kubota" />。

=== 2013年の噴火に伴う経過 ===
{{multiple image
| align     = right
| direction = vertical
| width     = 350
| image1    = New Island in Volcanic Island arc, near Japan..jpg
| width1    =
| alt1      =
| caption1  = [[2013年]][[12月8日]]時点の西之島。
| image2    = Nishinoshima ali 2013358.jpg
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| alt2      =
| caption2  = 同[[12月24日]]時点の西之島。噴火による陸地は2週間余りで急激に成長していることがわかる。（ともに[[NASA]]の衛星画像）}}
; [[2013年]]（平成25年）
*[[11月20日]] - 西之島の南南東500メートルで噴火があり、新しい陸地が出現した。10時20分ごろ、[[海上自衛隊]]が西之島付近で噴煙を確認<ref>{{Cite web |date=2013-11-21 |url=http://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/326_Nishinoshima/326_index.html |title=西之島 Nishinoshima（東京都） |publisher=[[気象庁]] |accessdate=2013-11-25}}</ref>。16時17分、海上保安庁航空機が西之島南南東の500メートル付近に、直径200メートル程度の噴石の島が出現した事を確認した<ref>{{Cite web |date=2013年11月20日18時20分 |url=http://www.jma.go.jp/jp/volcano/forecast_03_20131120182013.html |title=火山名  西之島  火口周辺警報（火口周辺危険） |publisher=[[気象庁]]地震火山部 |accessdate=2013-11-24}}</ref>。
*[[11月21日]] - [[菅義偉]]官房長官は新島の命名について「島が消滅した例があるために現時点で命名の予定はない」と述べる<ref name=national>{{Cite web |date=2013-11-22 |url=http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20131122002 |title=小笠原諸島、西之島沖に“新島” |publisher=ナショナルジオグラフィックニュース |accessdate=2013-11-25}}</ref>。
*[[11月22日]] - 海上保安庁、島に2つの火口を確認<ref>{{Cite web |date=2013-11-23 |url=http://sankei.jp.msn.com/life/news/131123/trd13112308220002-n1.htm |title=西之島噴火　火口２カ所を確認　マグマ安定供給か |publisher=[[msn]] |accessdate=2013-11-25}}</ref>。
*[[12月26日]] - 海上保安庁観測、9時23分には溶岩流が西之島の南岸に到達し、2ヶ所で接続して一体化していた<ref>{{PDFlink|[https://www1.kaiho.mlit.go.jp/KIKAKU/press/2013/H251226_nisinosima.pdf 新島が西之島と接続し一体に]}} 海上保安庁海洋情報部</ref>。12月24日に入り江だった部分が池になる。

; [[2014年]]（平成26年）
*[[2月4日]] - 海上保安庁観測、西之島全体の面積が今回の噴火以前の3倍となる<ref>{{Cite web |author = |date = 2014年02月04日 21時25分 |url = http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20140204000124 |title = 西之島の面積３倍に 海保「１００年は残る」|work = |publisher = [[京都新聞]] |accessdate=2014-2-5}}</ref>。入り江が池になった部分が完全に埋まり、島の形は紡錘形になった。
*[[3月22日]] - 国土地理院が無人機で観測、海面上で確認できる噴出溶岩量は約1130万立方メートルに成長、海面上の標高は71メートルに達していた（4月14日報道発表）。海面上の部分で1日あたり10万立方メートルの溶岩が噴出しているとみられる<ref>{{cite news |title=小笠原・西之島、無人機で撮影　溶岩、東京ドーム９杯分 |newspaper=[[日本経済新聞]] |date=2014-4-15 |url=http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG1500H_V10C14A4CR0000/ |accessdate=2014-4-17}}</ref><ref>[http://www.gsi.go.jp/kenkyukanri/kenkyukanri60006.html 西之島の空中写真を無人航空機で初めて自動撮影],国土地理院,2014年4月14日14:00発表</ref>。
*[[3月24日]] - 海上保安庁観測、これまで知られていた新しい陸地の南側・北側の2つの火口に加え、北側の火口の西側に新たな火口を確認<ref>[http://www.kaiho.mlit.go.jp/info/kouhou/h26/k20140325/k140325-1.pdf 西之島の火山活動の状況（3月24日）]（PDF）, 海上保安庁, 2014年3月25日付</ref>。
*[[東京大学地震研究所|東大地震研究所]]の分析により、噴火開始から4月上旬までに噴出したマグマの総量が、1973年の噴火の規模を上回っていることが確認された。なお、海上保安庁の見解では、周辺海域の水深が深いため、今後は「面積の増え方は減ってくるのでは」としている<ref>{{Cite news|url=http://sankei.jp.msn.com/science/news/140512/scn14051209030002-n2.htm|title=西之島噴火、４０年前上回る規模でＴＤＬの１・５倍に「非常に珍しい」|newspaper=産経新聞|date=2014-05-12|accessdate=2014-06-11}}</ref>。
*[[6月13日]] - 海上保安庁観測、北側の火口の東約150メートル付近に新たに4つめの火口を確認<ref>[http://www.asahi.com/articles/ASG6J5K0VG6JUTIL02J.html 噴火中の小笠原西之島に新たな火口　大量の溶岩、海まで], 朝日新聞2014年6月16日付</ref>。[[東京工業大学]]の野上健治は観測機に同乗し「溶岩の供給は安定的」「極めて活発な活動状態」と述べた。
*[[6月27日]] - [[だいち2号]]が撮影した最初の画像の1つとして西之島の高分解能モード画像が公開された<ref>{{Cite web|url=http://www.jaxa.jp/press/2014/06/20140627_daichi2_j.html|title=陸域観測技術衛星2号「だいち2号」（ALOS-2）の初画像取得について|work=宇宙航空研究開発機構（JAXA）ホームページ|date=2014/6/27|accessdate=2014/06/27}}</ref>。
*[[7月23日]] - 海上保安庁観測、島の面積が噴火前の6倍に拡大。噴煙の高さも先月までより数倍規模に達していた<ref>[http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140725/t10013275501000.html 西之島 面積が噴火前の約６倍に（NHKニュース）]</ref>。東京工業大学の野上は「これまでよりも爆発規模が大きくなっている」「活動はここ数ヶ月よりも上向き」とコメント<ref>{{Cite news|url=http://mainichi.jp/feature/nationalgeo/archive/2014/07/28/ngeo2014072802.html|title=小笠原の西之島、さらに拡大|newspaper=毎日新聞|date=2014-07-28|accessdate=2014-07-30}}</ref>。

== 形状の推移 ==
西之島の形状変化を時系列順に示す。右上に「※」が付いているものは、新しい陸地（新島）部分の単体の数値。
{| class="wikitable" style="line-height:1.4em; font-size:90%;"
|+ 形状の推移
|-style="white-space:nowrap;"
! 時系列 !! style="width:15em; padding-right:3.5em; padding-left:3.5em;" | 事象 !! 面積<br />(km<sup>2</sup>) !! 最高点標高<br />(m) !! 長さ/東西<br />(m) !! 幅/南北<br />(m) !! 溶岩堆積量<br />(m<sup>3</sup>) !! 観測者
|-
| [[1973]]年以前
|  || 0.07 || 平坦 || 650 || 200 || - || 国土地理院
|-
| 1973年9月11日
| 噴火により、島の東南東沖600mに新しい島（1973年新島）を確認。 || ？<sup>※</sup> || 1-5<sup>※</sup> || 30-50<sup>※</sup> || 30-50<sup>※</sup> || - || 海上保安庁
|-
| 1973年9月14日
| 新島中央に直径70メートルの噴火口を確認。 || ？<sup>※</sup> || 40<sup>※</sup> || 120-150<sup>※</sup> || 120-150<sup>※</sup> || - || 海上保安庁
|-
| 1973年12月21日
| 海上保安庁が「西之島新島」と命名。 || 0.121<sup>※</sup> || 52<sup>※</sup> || 550 || 200-400 || - || 海上保安庁
|-
| [[1974年]]8月3日
| 新島が西之島と一体化した後、航空測量を実施。 || 0.316<br />（0.238<sup>※</sup>） || - || - || - || - || 海上保安庁
|-
| [[1999年]]
| 波による侵食で島は徐々に縮小していた。 || 0.29<br />（0.25<sup>※</sup>） || 25<br />（15.2<sup>※</sup>） || - || - || - || 気象庁
|-
| [[2003年]]
| 海上保安庁水路部測量<ref>[https://gbank.gsj.jp/volcano/Act_Vol/nishinoshima/page4.html 西之島火山 - 陸上地形], 中野俊（[[産業技術総合研究所]]）,2013年10月11日付 </ref>。 || 0.29 || 25 || 760 || 600 || - || 海上保安庁水路部
|-
| [[2013年]]11月20日
| 噴煙を確認。6時間後、島の南南東沖500mに新しい島（2013年新島）を確認。 || ？<sup>※</sup> || ？<sup>※</sup> || 200<sup>※</sup> || 110<sup>※</sup> || - || 海上保安庁、パスコ
|-
| {{Nowrap|2013年11月26日}} <ref>{{Cite web |date=2013-11-27|url=http://www.hazardlab.jp/know/topics/detail/3/8/3888.html|title=西之島沖の噴火新島 面積1.3〜1.5倍に拡大|accessdate=2014-01-04}}</ref>
| - || - || - || 200<sup>※</sup> || 170-180<sup>※</sup> || - || 海上保安庁
|-
| 2013年12月4日
| 新島の面積が初日より3.7倍に拡大。 || 0.056<sup>※</sup> || 27<sup>※</sup> || 300<sup>※</sup> || 260<sup>※</sup> || 300,000 || 海上保安庁、国土地理院
|-
| {{Nowrap|2013年12月13-17日}} <ref>{{Cite web |author= |date=2013-12-17 |url=http://sankei.jp.msn.com/life/news/131217/trd13121710340002-n1.htm |title=小笠原の新島、面積５倍に　溶岩流れ西之島と合体か |publisher=[[産経新聞]] |accessdate=2013-12-17}}</ref>
| 新島の面積が初日より5倍に拡大。 || 0.08<sup>※</sup> || 39<sup>※</sup> || 400<sup>※</sup> || 300<sup>※</sup> || 800,000 || {{Nowrap|海上保安庁、}}国土地理院
|-
| {{Nowrap|2013年12月24-26日}} {{Nowrap|<ref>{{Cite web |author = |date = 2013年12月25日 18時41分 |url = http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013122501001669.html |title = 小笠原の新島、西之島とほぼ合体　面積も拡大 |work = |publisher = [[東京新聞]] |accessdate=2013-12-25}}</ref><ref>{{Cite web |author = |date = 2013-12-25 |url=http://sankei.jp.msn.com/science/news/131225/scn13122517030004-n1.htm |title = 小笠原の新島、西之島とほぼ合体　面積も拡大、東京ドームの３倍 |publisher = [[産経新聞]] |accessdate = 2013-12-26}}</ref>}}
| 新島は西之島の8割の面積に。溶岩流が西之島に到達し、26日に一体化。 || 0.39<br />（0.15<sup>※</sup>） || - || 450<sup>※</sup> || 500<sup>※</sup> || - || 海上保安庁
|-
| {{Nowrap|[[2014年]]2月11-16日}} {{Nowrap|<ref>[http://www.kaiho.mlit.go.jp/info/kouhou/h26/k20140212/k140212-2.pdf 西之島の火山活動の状況（2月11日観測）]（PDF）, 海上保安庁, 2014年2月12日付</ref><ref>{{Cite web |author = |date = 2014-02-22 |url=http://www.asahi.com/articles/ASG2P54S9G2PUJHB00M.html |title = 西之島の新島部分、２カ月で１０倍　小笠原諸島 |publisher = [[朝日新聞]] |accessdate = 2014-03-04}}</ref>}}
| 新陸地の面積10倍に。接合部の池が埋まり、西之島全体が紡錘形になった。 || 0.72<br />（0.45<sup>※</sup>） || 66 || 900 || 750 || 7,900,000 || 海上保安庁、国土地理院
|-
| {{Nowrap|2014年3月22-24日}} {{Nowrap|<ref>[http://www.gsi.go.jp/kenkyukanri/kenkyukanri60006.html 西之島の空中写真を無人航空機で初めて自動撮影],国土地理院,2014年4月14日14時発表</ref><ref>[http://www.kaiho.mlit.go.jp/info/kouhou/h26/k20140325/k140325-1.pdf 西之島の火山活動の状況（3月24日観測）]（PDF）, 海上保安庁, 2014年3月25日付</ref><ref>[http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20140325-OYT1T00605.htm 西之島の新たな陸地、明治神宮とほぼ同じ面積に], 読売新聞, 2014年3月25日</ref>}}
| 北火口の西側に新たな火口を確認。新陸地の面積は11月当初の70倍に。 || 0.7<sup>※</sup> || 71 || 1150 || 850 || 11,300,000 || 国土地理院、海上保安庁
|-
| {{Nowrap|2014年4月14-15日}}
| 1973年の噴火の溶岩堆積量より多くなった。|| 0.75<sup>※</sup> || || 1150 || 950 || 25,000,000 || 海上保安庁、国土地理院
|-
| {{Nowrap|2014年5月17-23日}}
| 新陸地の面積は11月当初の86倍に。|| 0.86<sup>※</sup> || || 1300 || 1050 || || 海上保安庁、国土地理院
|-
| {{Nowrap|2014年7月4-23日}}
| 島全体の面積は11月以前の6倍に。海面に出ている溶岩量は東京ドーム18杯分。|| 1.3<br /> （1.08<sup>※</sup>） || 74 || 1580 || 1380 || 22,200,000 || 国土地理院（7月4日）<br/>海上保安庁（7月23日）
|}

== 歴史 ==
西之島に[[地下水|井戸水]]はない上に[[農耕]]にも適さないため、遭難船の漂着者を除いて人が居住していた記録はない。ただし、西之島では産出しない[[半深成岩]]でできた、お面のようにも見える長さ23センチメートルの石が[[東海大学]]の調査隊によって採取されている<ref>青木斌・小坂丈予編著「海底火山の謎 - 西之島踏査記」東海大学出版会、[[1979年]]、122頁</ref>。

* 約1000万年前 - 火山活動により島が誕生。
* [[1543年]]（[[天文_(元号)|天文]]12年） - [[スペイン]]の[[帆船]]サン・フアン号の航海日誌に、[[火山列島]]発見後に北東に向け航行中「噴火する岩」を見たという記述があり、彼らの測量が正しければ西之島が記録に登場する初出となる。
* [[1702年]]（[[元禄]]15年） - [[スペイン]]の帆船ヌエストラ・セニョーラ・デル・ロザリオ号 ''Nuestra-Senora del Rosario'' が発見し、「ロザリオ島 ''Isla de  Rosario''」と命名。
* [[1801年]]（[[寛政]]13年） - [[イギリス]]の[[軍艦]][[ノーティラス|ノーチラス号]]によって「ディスアポイントメント（失望）島」と命名。
* [[1854年]]（[[嘉永]]6年） - 前年に[[小笠原諸島]]の[[父島]]に来航した[[マシュー・ペリー|ペリー]]提督の[[サスケハナ_(蒸気フリゲート)|サスケハナ号]]が[[琉球王国|琉球]]に戻る途中に測量し、「ディスアポイントメント島はロザリオ島と同一の島」と報告。
* [[1875年]]（[[明治]]8年） - [[グアノ]]を採取するため、西之島に渡る日本人がいた<ref>佐藤孫七(1974)海底火山西之島事情,水路9 3-1,日本水路協会</ref>。
* [[1904年]]（明治37年） - [[日本語]]で「西ノ島」と呼ばれるようになった。
* [[1911年]]（明治44年） - [[海防艦]][[松江 (海防艦)|松江]]が[[測量]]を実施した（測量記録は[[関東大震災]]のため失われた）。翌年発行の海図からは「西之島」と表記。
* [[1928年]]（[[昭和]]3年） - [[父島]]と[[母島]]を結ぶ定期船「母島丸」が難破し、西之島に漂着。乗員乗客は海鳥の卵や草を食べて生き延び、1週間後に救助された。
* [[1945年]]（昭和20年） - 日本が[[第二次世界大戦]]に敗北、西之島は小笠原諸島・火山列島の島々とともに[[アメリカ軍]]の支配下におかれ、[[1952年]][[日本国との平和条約|サンフランシスコ講和条約]]によって[[アメリカ合衆国]]の管理下となる。
* [[1968年]]（昭和43年） - [[南方諸島及びその他の諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定|小笠原返還協定]]により日本国に復帰。東京都小笠原村に所属。
* [[1973年]]（昭和48年） -[[5月30日]]、西之島の東方600メートルで海底火山が噴火し、同年[[9月11日]]に新しい陸地が出現した。同年[[12月21日]]には海上保安庁により'''西之島新島'''と命名された。
* [[1974年]]（昭和49年） - 6月、新島と旧島が一体化していることを海上保安庁が確認した。
* [[1975年]]（昭和50年） - 新属新種の[[ニシノシマホウキガニ]]が発見された。その後の火山活動で生息域が埋没し、島内では絶滅した（なお[[1993年]]以降、[[悪石島]]や[[北硫黄島]]などで同種が生息しているのが確認されている）<ref>[http://www.jha.or.jp/jp/shop/products/suiro/pdf/suiro128.pdf 「ニシノシマホウキガニ」について], 小坂丈予「海底火山調査にまつわる話(5)〜新島形成後の西之島〜」P.35,『水路』第128号, Vol.32, No.4, 財団法人日本水路協会, 2004年</ref>。
* [[1982年]]（昭和57年） - 新島と旧島の間の湾が、土砂の堆積により湾口が閉じ、[[湖]]になる。
* [[1990年]]（[[平成]]2年）- 湾が土砂の堆積により埋め立てられ消失する。
* [[2008年]]（平成20年）[[8月1日]] - 国指定西之島鳥獣保護区（集団繁殖地）に指定される（面積29ヘクタール）。島全域が特別保護地区となる。
* [[2013年]]（[[平成]]25年） - [[11月20日]]、西之島の南南東500メートル付近で40年ぶりに噴火を確認<ref>{{Cite web |date=2013-11-20 |url=http://www.jma.go.jp/jp/volcano/forecast_03_20131120182013.html |title=火山名  西之島  火口周辺警報（火口周辺危険） |publisher=[[気象庁]]地震火山部 |accessdate=2013-11-24}}</ref><ref>{{Cite news |title=小笠原諸島の西之島付近で噴火 |url=http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131120/t10013215161000.html |date=2013-11-20 |newspaper=NHKニュース |publisher=日本放送協会 |accessdate=2013-11-20}}</ref>。新島が出現して急拡大し、[[12月26日]]には海上保安庁が西之島と一体化したことを確認した。なお、翌[[2014年]]も噴火活動は継続している。


== 参考文献 ==
* {{PDFlink|[http://www.env.go.jp/info/iken/h200608a/c_1.pdf 国指定西之島鳥獣保護区指定計画書（環境省案）] - 平成20年5月9日環境省報道発表資料}}
* {{PDFlink|[http://www.env.go.jp/info/iken/h200608a/d_1.pdf 国指定西之島鳥獣保護区西之島特別保護地区指定計画書（環境省案）] - 平成20年5月9日環境省報道発表資料}}
* {{Cite book|和書
|author = [[青木斌]]・[[小坂丈予]]編
|title = 海底火山の謎：西之島踏査記
|year = 1974
|publisher = [[学校法人東海大学出版会|東海大学出版会]]
|series = 東海科学選書
|isbn = 978-4-486-00285-7
}} - 形成された新島に上陸調査した唯一の記録出版物。海底火山の噴火からその後の上陸、調査までドキュメンタリータッチにまとめられている。
* {{Cite book|和書
|author = [[加藤祐三 (地学)|加藤祐三]]
|title = 軽石：海底火山からのメッセージ
|year = 2009
|publisher = [[八坂書房]]
|isbn = 978-4-89694-930-8
}}

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist}}

== 関連項目 ==
* [[海底火山]]
* [[サントリーニ島]] - 紀元前に海底火山の噴火により生じた、[[エーゲ海]]にある[[ギリシャ]]領の島で、現在は著名な観光地である。
* [[スルツェイ島]] - [[1963年]]に海底火山噴火により生じた[[アイスランド]]の新島。[[北欧神話]]の巨人スルトにちなんだ名で、[[地質学]]者の[[シグルズール・ソラリンソン]]が命名した。[[2008年]]に[[世界遺産]]（[[自然遺産_(世界遺産)|自然遺産]]）に登録された。

== 外部リンク ==
{{commonscat|Nishinoshima}}
* [http://www1.kaiho.mlit.go.jp/GIJUTSUKOKUSAI/kaiikiDB/kaiyo18-2.htm 海域火山データベース･西之島] - [[海上保安庁]][[海洋情報部]]
* [http://www.pasco.co.jp/disaster_info/131122/　2013年11月西之島噴火活動モニタリング] - [[パスコ (航空測量)]]
* [http://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/326_Nishinoshima/326_index.html 西之島] - 気象庁
* [http://gbank.gsj.jp/volcano/Act_Vol/nishinoshima/index.html 第四紀火山 西之島火山] - 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
* [http://portal.cyberjapan.jp/site/mapuse4/?lat=27.24716&lon=140.875381&z=15&did=std&tab=3&lkey1=suichoku_old_nishinoshima&lopa1=1 地理院地図 西之島付近噴火活動] - [[国土地理院]] 
* {{YouTube|9vdcPYV54Lw|【小笠原諸島西之島】海上から見た噴火活動}}  - 小笠原村観光局職員が2014年3月14日に撮影した動画。天候の都合で偶然西之島に立ち寄ったクルーズ船上から撮影した。複数の噴火口から赤く噴き上がるマグマが鮮明に映っている貴重な映像。

{{伊豆・小笠原諸島の島々}}
{{日本の活火山}}

{{DEFAULTSORT:にしのしま}}
[[Category:小笠原村]]
[[Category:小笠原諸島]]
[[Category:小笠原諸島の無人島]]
[[Category:火山島]]
[[Category:海底火山]]
[[Category:国指定鳥獣保護区]]