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[[ファイル:CoralBleaching.jpg|thumb|right|300px|褐虫藻が共生した正常な状態のサンゴ(左)と白化したサンゴ(右)]] '''褐虫藻'''(かっちゅうそう)、英語で"zooxanthella"(ゾーザンテラあるいはズークサンテラ)とは、海産[[無脊椎動物]]と細胞内[[共生]]する [[渦鞭毛藻]]類の単細胞[[藻類]]の総称である。具体的な属としては''Symbiodinium'' spp.や''Amphidinium'' spp.,''Gymnodinium'' spp.などが知られている。 熱帯、亜熱帯に生息する海産無脊椎[[動物]]の細胞内に[[共生]]している。 代表的な宿主として、[[クラゲ]]、[[シャコ貝]]、[[イソギンチャク]]、[[造礁サンゴ]]があげられる。 == 特徴 == 大きさは、約10マイクロメートル。黄あるいは褐色をしている。 共生状態では球形をしているが、宿主から単離した場合、卵形に変化し[[鞭毛]]を用いて泳ぐことが確認されている。 [[光合成]]をおこない、余剰の生産物を宿主に渡すと考えられている。 == 共生する動物 == すべての造礁サンゴは褐虫藻を共生させている。他にクラゲ類では根口クラゲ類のサカサクラゲやタコクラゲ、[[イソギンチャク]]類の一部、[[シャコガイ]]類は外套膜に共生藻を持ち、普段は殻を広げて外套膜を外に向けて広げる。リュウキュウアオイガイは二枚貝の殻が前後に平らになり、殻を半ば砂に埋め、殻の平らになった面を明るいところに向けている。[[ウミウシ]]にもごく一部に褐虫藻を持つものがある。[[扁形動物]][[無腸類]]にも褐虫藻を共生させるものがあり、明るいところへ[[光合成]]をしに集まることで有名である。 [[原生動物]]の[[有孔虫]]にも褐虫藻をもつものがある。浮遊性の''Globigerina''や、底在性の[[星の砂|ホシズナ]]やゼニイシなどがそうである。 == 造礁サンゴと褐虫藻の関係 == 造礁サンゴは、褐虫藻からの[[光合成]]産物、または自らの[[触手]]で動物プランクトンを捕食することで栄養を摂取している。褐虫藻の光合成が宿主の栄養供給にどれだけ貢献しているかの見積もりは、研究報告によって異なっている。 造礁サンゴが[[生態系]]の中で、[[生産者]]であるか[[消費者]]であるかは、長い間、議論の的となっている。最近は、生産者と考えられる傾向が強い。また、褐虫藻はサンゴ体内で増殖するが、その密度はほぼ一定である。これは宿主であるサンゴが褐虫藻を体外に放出することで調整していると考えられている。体外に放出された褐虫藻は、サンゴ礁の動物の餌となる、あるいは他の海産無脊椎動物に感染すると考えられている。 サンゴの[[骨格]]形成が、褐虫藻の光合成によって促進されると言われている。しかしながら、具体的な機構については明らかでない。その他の褐虫藻と共生する動物についても、石灰質の殻や骨格の形成が促進されるとの報告がなされている。 褐虫藻の側では、サンゴの代謝産物である[[二酸化炭素]]や[[アンモニア]]を光合成の基質として利用する。 == その他 == 近年、話題に上ることが多い「サンゴの白化」とは、褐虫藻が宿主の対外に排出される(褐虫藻は高温に耐えられないため。)、あるいは褐虫藻の持つ[[クロロフィル]]量が減少することによってサンゴの共肉部が無色化し、その骨格が透けて見えるようになる現象のことである。長期間、高海水温(およそ30度)が続くことで起きると考えられている。また共肉部の衰退により骨格が剥き出しになった状態を「骨格化」と言い、「白化」と混同されやすい。 [[Category:藻類|かつちゆうそう]]
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