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{{出典の明記|date=2011年4月}} [[File:Ramm.png|thumb|right|300px|衝角が敵艦の船腹を突き破る模式図。水線付近の舷側装甲帯を避け、その下を突いている。]] [[File:Haifa-maritime-museum-ram-1.jpg|thumb|right|240px|[[ハイファ地区]]<!--[[アトリット]]-->沖で発見された、[[紀元前2世紀]]の古代ギリシア軍船の[[青銅]]製衝角<br />([[イスラエル国立海事博物館]]蔵)]] '''衝角'''(しょうかく)は、[[軍艦|軍船]]の[[船首]]水線下に取り付けられる[[体当たり攻撃]]用の固定武装。前方に大きく突き出た[[角]]の形状をしており(そのため英語では ram と呼ばれる)、軍船同士の接近戦において敵船の側面に突撃して、[[推進力]]を生み出す[[櫂]]の列を破壊して機動性を奪ったり、その船腹を突き破って水線下に浸水させ、行動不能化ないし[[撃沈]]することを目的とする。 こうした用法のため、衝角は船体の他の部分とは別に強力な素材で製作され、本格的な軍船では金属が、また簡易なものでは先端を尖らせた[[丸太]]が用いられた。副次的効果として船首での[[造波抵抗]]を低減する後の[[バルバス・バウ]]に類する効果があった。 == 歴史 == === 古代から近世 === 歴史的には、[[紀元前]]の[[古代ギリシア]]などの軍船においてすでに衝角が装備されていた。当時はまだ[[火器]]がなく、[[海戦]]といえば衝角で敵船の運動能力を奪ったり撃沈するのが中心であった。[[弓矢]]や[[バリスタ (兵器)|バリスタ]]、[[カタパルト (投石機)|カタパルト]]等での射合い、あるいは軍船同士が接近して敵船に乗り移り[[白兵戦]]を行う方法もあったが、衝角戦が最も一般的であった。 それ以外の国においても、衝角を装備した、あるいは衝角を装備しない軍船であっても、体当たりは海戦の主要な戦法であった。古代から[[帆船]]は広く普及していたものの、風次第で航行の自由度が大きく制限されるため、軍船では[[櫓]]や[[櫂]]を用いての人力動力が中心であった。例外として日本の場合は、[[和船]]が[[モノコック構造]]であり、外部からの衝撃に弱かったため、体当たり戦法は用いられなかった。 近世になって[[大砲]]が軍艦に搭載されると、衝角戦は主流ではなくなった。これは大砲を多数装備する事と引き替えに、櫓や櫂(およびそれを動かす人員)の装備が制限され、軍船においても[[帆船]]が主流となり、衝角戦が実用性を失ったからである。例えば[[アルマダの海戦]]([[1588年]])では、衝角戦を仕掛けようとする[[スペイン海軍]]艦隊に対して[[イギリス海軍]]艦隊は逃げ回り、結果的に勝利をものにしている。とはいえ、艦載砲の射程はまだ短く、また威力不足で船体を完全破壊する事は不可能であった。よって自立航行が不可能なほどの損害を与える事や、甲板上の兵士を死傷させ戦闘力を失わせるのが当時の艦砲の主目的であったのだが、まだ[[榴弾]]が実用化されておらず砲弾は非炸裂性であったため、小型の大砲を大量に装備して物量で補うしかなかった。そのため接近戦が主流であり、接舷して[[海兵隊]]を乗り込ませて白兵戦で決着をつけることがしばしば行われる状況であり、衝角は船体そのものへの破壊戦術としての効果を期待されて装備され続けた。 {{Double image aside|center|Olympias.1.JPG|240|Battle of Lepanto 1571.jpg|335|金属製衝角を装備した、ギリシャの復元[[三段櫂船]]「[[オリンピアス (船)|オリンピアス]]」|[[レパントの海戦]](1571年)。当時の海戦では衝角戦術が用いられた。}} === 近代 === [[File:Cumberland rammed by Merrimac.png|thumb|right|300px|[[南北戦争]]の[[ハンプトン・ローズ海戦]]で、[[アメリカ連合国海軍|南軍]][[装甲艦]]「[[バージニア (装甲艦)|バージニア]]」(右)に衝角攻撃を受けて沈みゆく[[アメリカ海軍|北軍]]軍艦「カンバーランド」(1862年3月8日)]] [[File:PolyphemusRam.jpg|thumb|right|200px|英[[水雷衝角艦]]「{{仮リンク|ポリフィーマス (水雷衝角艦)|label=ポリフィーマス|en|HMS Polyphemus (1881)}}」(在役1882年〜1903年)の衝角。[[魚雷発射管]]を組み込んだ変わり種。]] [[近代]]になって大砲の威力が飛躍的に向上すると、従来の[[戦列艦]]のような小型砲を大量に搭載した艦は、砲の威力が小さい上に防御上の弱点を抱え、廃れる事となった。よって[[19世紀]]後半には艦載砲の数を減らして、木造軍艦に鉄板で装甲が施されるようになり、[[装甲艦]]の誕生を見る。装甲艦の普及により、再び艦載砲の貫通力や命中精度がこれを撃ち抜くのに不足とされ、かつ戦列艦の時代よりも艦載砲の数が減少しているため、衝角戦が再び脚光を浴びた。[[リッサ海戦]](1866年)や[[イキケの海戦]]([[1879年]])がこの例である。もうひとつの理由として、同時期において[[蒸気機関]]の実用がなされ、艦船においても蒸気推進が主流となったからである。風により航行が制限される帆船と異なり、航行の自由度が高まり、かつ速度性能も向上したため、当然の帰結として衝角戦の実用性、および効果の度合いも高まったと考えられた。 だが、[[日清戦争]]の[[黄海海戦 (日清戦争)|黄海海戦]](1894年)時においては、[[清|清国]][[北洋艦隊|北洋水師]]の「[[定遠 (戦艦)|定遠]]」などが衝角を備え、[[大日本帝国海軍|日本海軍]][[連合艦隊|聯合艦隊]]と戦闘を行ったが、軽快艦艇で構成された聯合艦隊は衝角攻撃をかわし、かつ[[速射砲]]により多数の砲弾を浴びせる事により、北洋水師艦艇に対し損害を与えている。 近代軍艦における衝角は[[20世紀]]初頭まで装備された。[[日露戦争]]時には両軍の主力艦に装備されていたが、[[日本海海戦]]においては、数千メートル離れた距離からの砲撃のみによって[[戦艦]]を撃沈できることが明らかになった。その後まもなく衝角は装備されなくなり、[[ワシントン海軍軍縮条約]]による旧式主力艦の廃艦で[[1920年代]]にほぼ絶滅する。艦載砲の射程・命中精度・砲弾威力の向上、[[魚雷]]の登場等によって、個艦同士の接近戦が再び遠のいたためである。[[第二次世界大戦]]中の1943年に日本駆逐艦「[[天霧 (駆逐艦)|天霧]]」がアメリカ魚雷艇「[[PTボート|PT-109]]」(艇長: [[ジョン・F・ケネディ]]海軍中尉)を艦首からの体当たりで沈めた事例は近代海戦では珍しい体当たり戦(実態は暗夜の出会い頭の衝突事故)であるが、この時代の艦艇にはもちろん衝角は装備されていない。 衝角が装備されなくなったもうひとつの理由に、操艦を誤って味方同士で衝突した場合に大惨事となってしまうということがある。実際の事故事例として有名なものに、[[1893年]]に[[地中海]]で演習中のイギリス戦艦「[[キャンパーダウン (戦艦)|キャンパーダウン]]」が「[[ヴィクトリア (戦艦)|ヴィクトリア]]」に衝突して沈めてしまった例(死者358名)と、日露戦争中の[[1904年]]5月に[[黄海]]で日本巡洋艦「[[春日 (装甲巡洋艦)|春日]]」が「[[吉野 (防護巡洋艦)|吉野]]」に衝突して沈めてしまった例(死者300名以上)がある。日本海軍ではこれを機に1905年1月起工の[[筑波型巡洋戦艦]]以降の新造艦では各国に先駆けて衝角を廃止している。 == SF == <!-- ごく代表的な例以外は追加しないでください --> [[ファイル:Correa-Martians vs. Thunder Child.jpg|200px|thumb|『宇宙戦争』([[1898年]])に登場する衝角駆逐艦「[[サンダーチャイルド]]」。]] [[サイエンス・フィクション|SF]]の世界でも、[[ジュール・ヴェルヌ]]の小説『[[海底二万里]]』の[[ノーチラス号]]や、[[ハーバート・ジョージ・ウェルズ|H・G・ウェルズ]]の小説『[[宇宙戦争 (H・G・ウェルズ)|宇宙戦争]]』の[[サンダーチャイルド]]といった、衝角を装備した艦船がしばしば登場している。 特殊な用例としては、[[松本零士]]の漫画『[[宇宙海賊キャプテンハーロック]]』の[[アルカディア号]]や、アニメ『[[機動戦士Vガンダム]]』の[[クラップ#リーンホースJr.|リーンホースJr.]]などのように、[[宇宙戦艦]]に衝角が装備されているとする設定がなされる事もある。また、映画『[[海底軍艦 (映画)|海底軍艦]]』の[[轟天号]]などに見られる「艦首に装備された[[ドリル]]」も衝角の一変形であると言える。 == 関連項目 == {{Commonscat|Naval rams}} * [[外装水雷]] * [[バルバス・バウ]] * [[砕氷船]] {{DEFAULTSORT:しようかく}} [[Category:船舶の構造]] [[Category:海洋兵器]] [[Category:軍事史]]
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