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血清
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[[File:US Navy 030923-N-1577S-003 Hospital Corpsman 2nd Class Donna Sanderson from Lancaster, Calif., prepares serum cups.jpg|thumb|200px|right|血清を準備する[[アメリカ海軍]]の[[軍医]]]] '''血清'''(けっせい、{{Lang-en|serum}})は、[[血液]]が[[凝固]]し、上澄みにできる淡黄色の[[液体]]成分のことである。[[血漿]]が凝固成分を含むのに対して、凝固成分をほとんど含まないか、含んだとしても少量のものをさす。主成分は[[アルブミン]]と[[グロブリン]]で、特定の病気に罹患した時にその数値に変化が表れる。また[[感染症]]や[[腫瘍]]、[[内分泌]]や[[甲状腺]]、[[血液型]]などの検査に幅広く用いられる。分離の際に[[血小板]]の細胞組織や[[代謝物質|代謝物]]が残ることがあるため、場合によっては血清でなく血漿を検査に用いることもある。 血清中には[[脂質]]が含まれる。これらの脂質は人体にとって有益なものだが、度を越すと有害になる恐れがある。また、動物の血清を[[医療]]に利用するのを[[抗血清]](血清療法)と呼ぶ。かつては馬の抗血清を用いた病気予防や治療が行われていたが、血清病と呼ばれる副作用が激しいため、現在は用いられなくなっている。 ==血漿と血清== [[File:Icteric serum.jpg|thumb|80px|right|ビリルビンの増加により黄疸症状を呈している血清]] ===両者の違い=== 血液は、血漿成分(血液中52~64%)と血球成分(血液中36~48%)に大別され、このうち血球成分は[[赤血球]]、[[白血球]]、[[顆粒球]]、[[リンパ球]]、[[白血球#単球|単球]]そして[[血小板]]である。さらに顆粒球は[[好中球]]、[[好酸球]]、[[好塩基球]]に分かれる<ref name=bloodtxt>{{PDFlink|[http://plaza.umin.ac.jp/~histsite/2bloodtxt.pdf 2 血液のしくみと働き]}} ([http://plaza.umin.ac.jp/~histsite/mokuji.htm 人体のしくみと働き]、2014年版)、{{PDFlink|[http://plaza.umin.ac.jp/~histsite/cover.pdf 看護学における大学内資料か何か]}}</ref><!--査読された出典ではない-->{{Template:信頼性要検証|date=2014年6月}}。血漿成分は水分(90%)、[[タンパク質]](約7~8%)、[[イオン#陽イオン|陽イオン]]、[[イオン#陰イオン|陰イオン]]などの[[無機化合物|無機質]](0.9%)、[[炭水化物|糖質]]、[[脂質]]、[[尿素]]、[[尿酸]]、[[アミノ酸]]など(2%)で成り立っており全血液量の55%を占める。血漿中のタンパク質には[[アルブミン]]、[[グロブリン]]([[αグロブリン]]、[[βグロブリン]]、Φ[[フィブリン|フィブリノーゲン]]、[[抗体|γ-グロブリン]])などがある<ref name=bloodtxt/>。血液を[[試験管]]に入れ放置しておくと、凝固した[[沈殿]]物([[血餅]])と液体(血漿)に分かれる<ref>家庭医学大事典、2102頁。</ref>。血餅は[[赤血球]]、[[白血球]]、[[血小板]]の血球成分と[[フィブリン]](線維素)からなる。これをさらに[[遠心分離]]すると、血清と、血餅を含む血球成分を完全に分離できる。 血漿は、[[抗凝固薬|抗凝固剤]]入り採血管で採血して放置<ref name=bloodtxt/>または遠心分離した場合に、血球成分の沈殿によりできる上澄みである。この血漿は[[凝固・線溶系|凝固因子]]を含む。一方で、[[抗凝固薬|抗凝固剤]]の入らない採血管で採血して放置した場合、抗凝固剤が入らないため、血球成分が凝固因子により凝血する。その場合の上澄みが血清であり、血清は凝固因子を欠く。つまり、抗凝固剤を使った場合は血漿と血球成分とに分かれ、使わなかった場合は血餅と血清とに分かれる<ref name=bloodtxt/>。 またアルブミンは[[腎臓学|腎臓病]]、[[肝臓#肝臓の病気|肝疾患]]で減少する<ref name=igaku2100>家庭医学大事典、2100頁。</ref>。他に血清[[ビリルビン]]は[[溶血性貧血]]や[[胆石]]、[[肝癌|肝臓がん]]、[[肝炎]]などで[[胆汁]]の流出ができなくなった場合に、血液中に逆流して血清中で増える。ビリルビンは赤血球が壊れて胆汁に再生されたもので、この物質が血清中に増えると、2ミリグラム以上で[[黄疸]]の症状を呈する<ref>家庭医学大事典、2094頁。</ref>。 ===血清学的検査=== 血清を用いて行う検査は、血液を遠心分離して残った血漿や血清を検体とした[[血液検査|血液生化学検査]]があり、内臓、特に肝臓や腎臓の機能の検査に用いられる<ref>家庭医学大事典、2092頁。</ref>また、抗体の有無を調べるためにも用いられ、これを[[血清学]]的検査という。血清学的検査の対象となる検査は次のとおりである。 ;感染症検査 ([[ウイルスマーカー]]) :[[B型肝炎|HBs抗原]]、[[B型肝炎|HBs抗体]](いずれも[[B型肝炎]][[ウイルス]])、[[HCV抗体]]([[C型肝炎]]ウイルス)、[[ヒト免疫不全ウイルス|HIV]]抗体、[[成人T細胞白血病|ATL]]など。 ;腫瘍マーカー検査 :[[α-フェトプロテイン|AFP]]([[肝細胞癌]]のマーカー)、[[癌胎児性抗原|CEA]]、[[CA19-9]]([[膵癌]]のマーカー)、[[前立腺特異抗原|PSA]]など ;内分泌・甲状腺検査 :[[甲状腺刺激ホルモンTSH|甲状腺ホルモン]]、FT3(遊離トリニヨードサイロニン)、FT4(遊離[[サイロキシン]])など。 ;その他 :[[梅毒]]検査、[[マイコプラズマ]]抗体検査寒冷凝集反応検査{{Refnest|group="注釈"|寒冷凝集素価の測定のこと。寒冷凝集素はヒトの血清中にあって、4度前後で自己の赤血球かO型の赤血球を凝集させるもので、[[マイコプラズマ肺炎]]を発症すると2週間前後でこの寒冷凝集素の値が高くなり、6週間ほどで低下する。測定の際には発病後1週目と3ないし4週目それぞれの血清を用いて、その差が4倍以上あればこの病気が疑われる。}}。 また[[血液型]]検査、[[RA|関節リウマチ]]反応(リウマチ)、[[C反応性蛋白|CRP]](C反応性タンパク)、ASO([[レンサ球菌]]感染)などの検査に血清が使われる。 <ref>家庭医学大事典、2101-2103頁。</ref> ===血漿を使った方がいい場合=== [[File:FreshFrozenPlasma.JPG|thumb|120px|right|冷凍保存された血漿]] 血清には凝固成分は少なくなるが、血小板の細胞成分や[[代謝物質|代謝物]]が増加するため、カリウム、[[リン酸|無機リン酸]]、[[乳酸]]、[[アンモニア]]などの値が高くなる。こういった成分が血小板などの細胞成分に含まれていて、凝固反応中の血清中へ流出するためである。従って、測定に血清を用いた時と、血漿を用いた時とでは、一部の検査項目で違いが出る。 [[酸性ホスファターゼ]]、ニューロン特異性[[ホスホピルビン酸ヒドラターゼ|エノラーゼ]]、[[ドーパミン]]や[[セロトニン]]など、血小板に多く含まれている物質は血清では正確な値が出ないことがあるため、このような時には血漿が用いられる。また、以下のような点でも血漿を使うメリットがある。 *凝血を待たずとも、[[遠心分離]]することで直ちに検体が得られる。(凝結は通常、室温で30分かかる) *血漿の方が血清より約15パーセントから20パーセント検体を多く採取することができる。 *血清の場合は分離した後も凝固反応が続くケースがある。 *血漿の方が、血清よりもより生体内の状態を把握しやすい。 *溶血または血小板破損の度合いが血清より少ない。健常な人の場合、血漿の遊離[[ヘモグロビン]]濃度は血清の約10分の1で、それだけ血漿には[[溶血]]が少ないと言うことである。血漿では、血小板の破壊による異常な高カリウム値というのはまずありえない。一方、血清では偽高カリウム血症が認められることがある。 [[File:Serum protein electrophoresis normal and paraprotein.png|thumb|120px|right|[[電気泳動]]による血清総タンパクの図、上は健康時、下は感染症の時のもので、アルブミン(オレンジ)の値が低く、グロブリン(濃いピンク)の値が高くなっている。]] その一方で、血漿が血清よりも検査に不都合なこともある。 *タンパク質の[[電気泳動]]分画像が変化し、[[フィブリン|フィブリノゲン]]のピークが[[抗体|γ-グロブリン]]領域に表れるため、M-タンパク血症の診断ができにくくなる。 *血漿と血球成分を分けるための抗凝固剤により、正しい測定ができないことがある。抗凝固剤は[[キレート]]剤で、[[アルカリホスファターゼ]]などの[[酵素]]を不活性化させる可能性が生じるためである。従って、検査で用いる測定方法に[[エチレンジアミン四酢酸|EDTA]]、[[クエン酸]]、[[ヘパリン]]などの抗凝固剤がどのような形で影響するのかを、前もって調査しておく必要がある。 ===血清総タンパクとアルブミン・グロブリン比=== 総タンパクの主成分は、60%を占めるアルブミン(ALB)と20%のグロブリンである。病原菌などの抗原が体内にある場合、それらを攻撃するグロブリンの値が高くなる一方で、アルブミンの値は下がるものの、総タンパク量はあまり変化しない。グロブリンが高値となるのは、慢性の[[炎症]]や[[肝硬変]]、[[悪性リンパ腫]]などの場合である。[[多発性骨髄腫]]や[[脱水 (医療)|脱水症状]]では特に値が高くなる<ref name=igaku2100/>。血清タンパクは血漿の約8%を占める、何種類ものタンパク質成分を総合したものである。これらのタンパク成分は総タンパク(TP=Total Protein)と呼ばれる<ref>{{PDFlink|[http://www.city-hospital.takarazuka.hyogo.jp/medical/department/img/laboratory01.pdf hyogo.jp]}} (宝塚市立病院サイト内の資料)</ref><!--査読された出典ではない-->{{Template:信頼性要検証|date=2014年6月}}。 ==血清脂質と血清病== [[File:Sstvacutainer small.jpg|thumb|120px|right|分離した血餅と血清(オレンジ色の部分)]] ===血清脂質=== 血清中に含まれる[[脂肪]]のことで、[[中性脂肪]]や[[コレステロール]]、[[リン脂質]]、[[遊離脂肪酸]]などが含まれる。 コレステロールは[[細胞]]や[[ホルモン]]、[[胆汁酸]]を作る上でも不可欠である。中性脂肪は分解されてエネルギーとなったり、[[皮下脂肪]]や[[脂肪組織|内臓脂肪]]として体内に貯蔵されたりする仕組みになっている。また、リン脂質は[[細胞膜]]の形成上に重要な役割を果たす。その意味で血清[[脂質]]は、人体に非常に有益な働きをしているが、バランスが崩れると[[動脈硬化]]を促す恐れがある。過剰な[[コレステロール#悪玉コレステロールと善玉コレステロール|LDLコレステロール]](悪玉コレステロール)が血管壁に蓄積して動脈硬化を早めるうえに、中性脂肪も多すぎると小粒子高密度LDL(スモールデンスLDL)を増加させる。このスモールデンスLDLの増加により、悪玉LDLが[[コレステロール#悪玉コレステロールと善玉コレステロール|善玉HDLコレステロール]]を減らすため、さらに動脈硬化が進むことになる<ref>[http://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-021.html 血清脂質] (e-ヘルスネット:メタボリック症候群が気になる方のための健康情報サイト、厚生労働省提供)</ref><!--査読された出典ではない-->{{Template:信頼性要検証|date=2014年6月}}。 本来液体に脂分は混じらないが、血清脂質の場合は、血清中の中に溶けだした格好になっている。脂質が[[アポタンパク質|アポ蛋白]]で包まれており、脂質(リピッド)と結合して[[リポタンパク質|リポ蛋白]]となって、血清中に溶けているからである。もしこのリポ蛋白が、血清中溶け込まずに遊離したような状態にあって、[[マクロファージ]]や[[細網内皮系]]で処理できない場合は[[脂肪塞栓症|脂肪塞栓]]が起こりやすくなる<ref>家庭医学大事典、1732頁。</ref>。 ===血清病の原因=== {{see also|抗血清}} 血清病とは、馬の免疫抗毒素血清によって起こる副作用である<ref name=igaku565>家庭医学大事典、565頁。</ref>。かつては[[破傷風]]や[[ジフテリア]]の予防、または治療に[[馬]]の抗血清を使っていた。この抗血清の注射により、血清タンパクが抗原となって抗体ができるが、抗原と抗体の免疫複合体となって血管壁などに付着するため、腎臓や[[関節]]組織に影響が出、この血清が原因とみられる血清病が多発していた。しかし今は馬の[[抗血清]]は使われておらず、そのため血清病は姿を消している。 初めての注射での症状は、[[リンパ節]]の腫れ、[[発疹]]、[[タンパク尿]]などで症状はさほど重くないが、2度目以降に同じ注射をした場合は、[[アナフィラキシー]]による[[ショック|ショック症状]]を起こし、死に至ることもあった<ref name=igaku565/>。 ==注釈== <references group="注釈"/> ==脚注== {{Reflist}} ==参考文献== 小学館・家庭医学大辞典編纂委員会『ホーム・メディカ 家庭医学大事典 改訂新版』小学館、1994年 ==関連項目== *[[腫瘍マーカー]] *[[血漿タンパク結合]] *[[血清学]] {{Medical-stub}} {{DEFAULTSORT:けつせい}} [[Category:血液学]] [[Category:血液]] [[Category:免疫学]] [[Category:生化学]]
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